バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … ·...

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Connected Industries」第4回懇談会 2018.5.21 バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 (バイオ分科会:COCN小林 憲明 キリンホールディングス株式会社

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Page 1: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

「Connected Industries」第4回懇談会 2018.5.21

バイオとデジタルの融合がもたらすバイオエコノミーの創造(バイオ分科会:COCN)

小林 憲明

キリンホールディングス株式会社

Page 2: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

• バイオ分野の基盤技術は欧米が先行 (ゲノム編集技術、合成生物学など)

・コストに見合うバリュー(革新的な素材・製品)を提供できていない(但し、欧米も同様)

• バイオBDを使いこなす技術が未熟(バイオ・インフォマティクス人材が不足)• 公的機関・民間のデータの活用・連系が不十分(バイオBD活用の効果が不透明で協調化に及び腰)

⇒ 産学官連携の下、バイオBD活用の成功モデルを確立し、データ協調化につなげる必要

バイオ関連分野における我が国の強み

商品化における摺合せ技術による高付加価値化(競争力のある高機能化学品)

優位性のあるリアルリソース(生物資源、生体機能エビデンス、マテリアルサイエンス等)と連動したデータが豊富

環境対応を含めた生産ダウンストリーム技術と安全安⼼な製品提供

センサーセンシング技術や計測・測定技術

先進的な生物育種技術

<勝ち筋> リアルワールドデータを活用した「バイオ・イノベーション」の実現

我が国のバイオ産業が直面する課題

バイオ分科会(COCN) :背景・現状認識

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バイオ分科会(COCN)の検討体制(2017年6月から2018年3月までの検討体制)

テーマリーダー:三菱ケミカル 横浜研究所 バイオ技術研究室長 水無 渉

○その他の参加企業IHI、味の素、出光興産、江崎グリコ、カネカ、サントリーグローバルイノベーションセンター、JSR,JXTGエネルギー、島津製作所、清水建設、大陽日酸、高砂香料、帝人、東芝、東レ、日立化成、日立製作所、日立ハイテクノロジーズ、富士フイルム、ブリヂストン、北海道三井化学、マルハニチロ、三菱総合研究所、ユーグレナ、ユニバーサルマテリアルズインキュベーター 等

WG1(化学品)

WG2(高機能食品)

WG3(その他の分野での活用)

WG4(デジタル活用)

◎キリン株式会社R&D本部技術開発推進部長

〇産業総合研究所生物プロセス研究部門長

◎三菱ケミカル株式会社バイオ技術研究室長

〇鹿島建設株式会社環境本部環境ソリューションG次長

〇東京工業大学大学院 総合理工学研究科 教授◎株式会社日立総合計画研究所 副所長

◎住友株式会社技術企画部担当部長

〇理化学研究所副主幹

COCN実行委員(2017年6月から2018年3月までの検討体制)

◎主査、〇副主査

〇住友化学株式会社 専務執行役員 小川 育三〇JXTGエネルギー株式会社 取締役 常務執行役員 五十嵐 仁一〇三菱ケミカル株式会社 顧問 折戸 文夫

各WGの議論を踏まえ全体会合を計8回実施。2018年2月に検討結果報告書を提出。

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①産業界と公的機関のデータ利活用/公的機関のさらなる連携・融合爆発的に増加するバイオ関連データや数多くあるデータベースが有効活用されていない、企業等からのプライベートデータの連携が不十分、データ解析系人材(バイオインフォマティシャン、データサイエンティスト)の不足

ナショプロ等による産学連携および産産連携の促進,バイオ・インフォマティックス人材の育成(リカレント教育の仕組み作り)

②革新的バイオ素材・高機能品開発/循環型社会の実現 モノつくりバイオ技術(合成生物学)は欧米が先行、原料入手が高コストで産業化に大きな負担/バイオ化学品製造はダウンストリームに課題、欧米であるようなバイオ化学品を活用する政策的仕組みがない

データを有効に活用した日本発の優位技術の開発(産官学連携強化)、日本産業に適したバイオプリファード制度(仮称)の設置

③食による健康増進・未病社会の実現食の機能性に対する科学的エビデンスの蓄積不足、医療データの食開発への利活用が困難、食薬区分等の制度的な制約

食の機能性に関する科学的エビデンスの蓄積促進、市場への訴求性拡幅(トクホ・機能性表示制度の更なる活用、食薬区分の見直し議論

バイオ分科会(COCN) :提言要旨

Page 5: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

バイオ・インフォマティクス人材の育成(リカレント教育)

バイオ分科会(COCN) の検討1:産業界と公的機関のデータ利活用

バイオ関連データのビッグデータ化・データベース統合・民間企業による利活用促進

・どう活用するか:爆発的に増加するバイオ関連データや数多くあるデータベースが有効活用されていない・どう連携するか:企業等からのプライベートデータの連携が不十分(前競争領域での成功モデルがない)・どう育てるか: バイオインフォマティシャン、データサイエンティスト等の人材不足

課題

産学官連携により有用なデータベース整備・開発プラットフォームの構築→データの協調化を加速

目指す姿

新しい価値例えば高機能ポリマー

新しい価値例えば高機能食品

開発プラットフォーム(機能予測AI)

開発プラットフォーム(機能予測AI)

データベースの統合・利活用

リアルリソースの共有

民間企業保有のデータ

公的機関保有データ

成功モデルの構築事例企業・公的データの協調連携の成功モデルを示す必要性

生物資源データプラットフォーム

API開放/連系データ協調の促進→多様なDBを繋ぎ価値を創造

生物資源をBDに!

NITE

有志企業

NEDO事業:生物機能設計

・・・スモールデータ共有 AI開発

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Page 6: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

「生物の機能を活用したものづくり」による持続可能な成長社会の実現

生物機能情報バイオDBから生物機能をデザイン⇒高効率に革新的バイオ素材等を生産する生物工場の創成

サプライチェーン上のボトルネック解消→再生可能原料からの化学品等の事業をクラスター化し循環型社会を実現

研究 開発 製造 流通 消費原料

物性情報バイオ素材の機能予測技術バイオマテリアルズインフォマティクス基盤技術の開発

各種物性データ

AIを用いた機能設計

機能素材の合理的予測

サプライチェーン関連技術の高度化ボトルネックプロセスの高度化・優位化

フロー速度

フロー速度

例えば

廃水処理の高度化

多センサーによる状態解析、生物叢解析データ

ボトルネック解消による低コスト化

バイオ分科会(COCN) の検討2: 革新的バイオ素材・高機能品開発・ 何を作るか: バイオ素材は試作に多大なコスト・時間を要する。試作→機能検証では限界・ どのように作るか: 偶然(突然変異)の産物から最適設計への転換が必須・ いかに安く作るか: 生物を扱うバイオプロセスの不確実性とこれに伴う非効率なプロセスの改善が必須

課題

市場への訴求性の確保

(革新的バイオ素材の「見える化」表示制度の検討)

×繋ぐ 機能設計スマートセル

(生物細胞)

生産株

統合バイオデータベース

生物情報

AI

高機能化合物の高効率開発へ

×繋ぐ

生産プロセス技術経産省推進中未着手 未着手

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Page 7: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

健康 軽度不調 病気

軽度不調マーカーの特定とセンシング技術の開発

大規模コホート研究 大規模データベース化

市場への訴求性(トクホ・機能性表示制度の更なる活用)

バイオ分科会(COCN) の検討3: 食による健康増進・未病社会の実現・どう評価するか: 食の機能性に対する科学的エビデンスの蓄積不足/健康度の指標が未確立・どう担保するか: 個人情報保護の観点から医療データの利活用が困難・いかに普及させるか:機能性表示食品制度は、機能性に関する証明の負担が大きい

血液・尿中マーカーメタボローム解析

遺伝子発現

唾液・涙液内生理活性物質

アミノ酸インデックスストレスマーカー

腸内マイクロバイオーム

miRNA解析

睡眠の質認知機能活動量 1a

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課題

「食」領域の新システム開発により“治す”シックケアから“保つ”ヘルスケアへの移行

システマティックレビュー(SR) システム開発

食品成分と効果効能データの集積

コホート研究データの集積

(腸内マイクロバイオーム等)

ヘルスケアシステムの質の向上 セルフケアの食における有用素材・食材の選択幅を拡大

食材の健康面における機能の明確化・規格化

「食」の新素材開発の効率化と新システム開発によるヘルスケア産業の活性化

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Page 8: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

バイオ・インフォマティクス人材の育成(リカレント教育)

市場への訴求性確保合理的な生物機能デザイン

(NEDOスマセル事業)

機能設計スマートセル(生物細胞)

生産株 統合バイオDB

生物情報

AI

生物機能データプラットフォーム構築

(NITE/NEDO事業)

⇔ ⇔ ⇔

API開放/連系/セキュリティ確保

⇔ ⇔ ⇔ ・・・公的機関保有データ

⇔ ⇔ ⇔ ⇔ ⇔ ⇔ ・・・民間企業保有データ

バイオ・素材関連データベース統合・利活用促進

革新的バイオ素材・高機能品開発

「食」を通じた新たな健康システムの開発

マテリアルインフォ 基盤技術の開発

各種物性データ

機能素材の合理的予測サプライチェーン関連技術の高度化

フロー速度

フロー速度

例えば廃水処理の高度化

ボトルネック解消による低コスト化生物機能活用

AIを用いた機能設計

植物 鶏卵

微生物

健康 軽度不調 病気

軽度不調マーカーの特定とセンシング技術の開発 大規模コホート研究 大規模データベース化

1a1b2a2b2456

システマティックレビューシステム開発

食品成分と効果効能データの集積

コホート研究データの集積

(腸内マイクロバイオーム等)

「食」の新素材開発の効率化とヘルスケア産業の活性化

「食」の機能性(疾病予防効果等)の訴求

革新的バイオ素材の表示・表彰制度の創設

産業界として、国のプロジェクトも活用しつつ前競争領域における成功モデルの確立に取組む

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Page 9: バイオとデジタルの融合がもたらす バイオエコノミーの創造 ( … · ・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要

グローバルバイオエコノミーサミット2018

世界各国から800名以上が参加 → 日本からも産学官の多機関から参加本会議: 日本バイオプラスチック協会石塚会長(現在NEDO理事長)、経済産業省江崎統括調整官ワークショップ: 経済産業省、JABEX / JBA、三菱ケミカル、カネカ、JIRCAS他の参加者: 農林水産省、JETRO、NEDO、東大 / VTT、秋田県立大、三菱ケミカル、カネカ、横河電機

日立製作所、三井物産、JABEX / JBAなど ※JABEX/JBAからの報告より抜粋

GBS2018 参加者報告より・SDGsの推進に向けて変革を起こす戦略として、バイオエコノミーの重要性を確認・R&D・カバナンス・能力開発等において国際協調の強化が必要・「一つ我々の惑星」という認識の下、持続可能なバイオマス利活用を通じたバイオエコノミーの構築が重要・日本の科学技術力への評価は高く、今後も大きな役割を担うことに対する期待

官民連携の戦略的な取組みを通じた積極的国際展開の必要性バイオ技術を活用した健康増進・循環型社会の実現に向けて日本のバイオ戦略を世界に発信する必要性

2018年4月19~20日@ベルリン(ドイツ)

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