安全データシート · 2019. 1. 30. · 1 / 13 サンワ化学株式会社 skc -qcp fm 53 20...

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1 / 13 サンワ化学株式会社 SKC-QCP-FM-532-02 改定日:15/06/24 安全データシート 作成日 2010 11 04 改訂日 2015 06 24 1製品及び会社情報 製品名 98濃硫酸 会社名 :サンワ化学株式会社 住 所 :静岡県袋井市浅羽 2777-1 担当部署 :品質管理部 TEL 0538-23-6611 FAX 0538-23-7918 緊急連絡先 0538-23-6611 2危険性・有害性の要約 重要危険有害性及び影響 危険性 爆発性、引火性いずれも無いが、密閉容器内で硫酸に よって鉄が侵され水素が発生した場合は、引火、爆発の 危険があり、また有機物と接触すると発火の恐れがある 特有の危険有害性 皮膚に接触すると重度の薬傷を起こし、眼に入れば失明する 事もある。飲込んだ場合は死亡する事がある。加熱した硫酸 から出る蒸気を多量に吸入すると上気道から肺組織の損傷を 受けることがある。硫酸ミスト又は蒸気を繰り返し吸入する と慢性の上気道炎又は気管支炎を起こすことがある。 また、歯の表面の異変や歯牙酸食症をおこすこともある GHS分類 物理化学的危険性 火薬類 分類対象外 可燃性・引火性ガス 分類対象外 可燃性・引火性エアゾール 分類対象外 支燃性・酸化性ガス 分類対象外 高圧ガス 分類対象外 引火性液体 区分外 可燃性固体 分類対象外 自己反応性化学品 分類対象外 自然発火性液体 区分外 自然発火性固体 分類対象外

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サンワ化学株式会社 SKC-QCP-FM-532-02 改定日:15/06/24

安全データシート

作成日 2010 年 11 月 04 日

改訂日 2015 年 06 月 24 日

1. 製品及び会社情報

製品名 :98% 濃硫酸

会社名 :サンワ化学株式会社

住 所 :静岡県袋井市浅羽 2777-1

担当部署 :品質管理部

TEL :0538-23-6611

FAX :0538-23-7918

緊急連絡先 :0538-23-6611

2. 危険性・有害性の要約

重要危険有害性及び影響

危険性 爆発性、引火性いずれも無いが、密閉容器内で硫酸に

よって鉄が侵され水素が発生した場合は、引火、爆発の

危険があり、また有機物と接触すると発火の恐れがある

特有の危険有害性 皮膚に接触すると重度の薬傷を起こし、眼に入れば失明する

事もある。飲込んだ場合は死亡する事がある。加熱した硫酸

から出る蒸気を多量に吸入すると上気道から肺組織の損傷を

受けることがある。硫酸ミスト又は蒸気を繰り返し吸入する

と慢性の上気道炎又は気管支炎を起こすことがある。

また、歯の表面の異変や歯牙酸食症をおこすこともある

GHS分類

物理化学的危険性 火薬類 分類対象外

可燃性・引火性ガス 分類対象外

可燃性・引火性エアゾール 分類対象外

支燃性・酸化性ガス 分類対象外

高圧ガス 分類対象外

引火性液体 区分外

可燃性固体 分類対象外

自己反応性化学品 分類対象外

自然発火性液体 区分外

自然発火性固体 分類対象外

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自己発熱性化学品 区分外

水反応可燃性化学品 分類対象外

酸化性液体 区分外

酸化性固体 分類対象外

有機過酸化物 分類対象外

金属腐食性物質 分類できない

健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分 5

急性毒性(経皮) 分類できない

急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外

急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外

急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外

急性毒性(吸入:ミスト) 区分 2

皮膚腐食性・刺激性 区分 1A-1C

眼に対する重篤な損傷 区分 1

眼刺激性

呼吸器感作性 分類できない

皮膚感作性 区分外

生殖細胞変異原生 分類できない

発がん性 分類できない

生殖毒性 区分外

特定標的臓器・全身毒性 区分 1(呼吸器系)

(単回ばく露)

特定標的臓器・全身毒性 区分 1(呼吸器系)

(反復ばく露)

吸引性呼吸器有害性 分類できない

環境に対する有害性 水生環境有害性(急性) 区分 3

水生環境有害性(長期間) 区分外

ラベル要素

絵表示又はシンボル

注意喚起語 危険

危険有害性情報 H303 飲込むと有害のおそれ

H330 吸入すると生命に危険(ミスト)

H314 重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷

H318 重篤な眼の損傷

H370 臓器(呼吸器系)の障害

H372 長期にわたる又は反復曝露による臓器(呼吸器系)の障

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H402 水生生物に有害

注意書き【安全対策】 P260 ミストを吸入しないこと

P264 取扱い後は洗うこと

P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと

P271 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること

P273 環境への放出を避けること

P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること

P284(換気が不十分な場合)呼吸用保護具を着用すること

【応急処置】 P310 ただちに医師に連絡すること

P314 気分が悪いときは医師の診断/手当てを受けること

P320 特別な措置が緊急に必要である

P363 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること

P301+P330+P331 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐

かせないこと

P303+P361+P353 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染さ

れた衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワー

で洗うこと

P304+P340 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸し

やすい姿勢で休息させること

P305+P351+P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこ

と。次にコンタクトレンズを着用していて外せる場合は外すこ

と。その後も洗浄を続けること

P307+P311 暴露した場合:医師に連絡すること

【保管】 P405 施錠して保管する事

P403+P233 換気の良い場所で保管すること、容器を密栓して

おくこと

【廃棄】 P501「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、内容物

や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄処理業者に

処理を依頼する

3. 組成及び成分情報

化学物質

単一製品・混合物 単一製品

化学名又は一般名 硫酸

別名 情報無し

成分及び含有量 硫酸分として 90%以上

化学式(分子量) H2SO4

化学特性(示性式

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又は構造式)

CAS 番号 7664-93-9

官報公示整理番号 【化審法】(1)-430

【安衛法】

分類に寄与する不純物 情報無し

及び安定化物

TSCA 登録の有無 有り

EINECS No. 231-639-5

4. 応急処置

吸入した場合 硫酸ミスト又は蒸気を吸入した時は、直ちに患者を毛布等に

くるみ、新鮮な空気が得られる場所に移し、医師の診断を

受ける

皮膚に付着した場合 直ちに多量の水で洗い続け、医師に診断を受ける。この場合

アルカリ液などを用いて硫酸を中和してはならない

部分的に硫酸の付着した衣服は直ちに全部脱ぎ取り、多量に

付着した時は多量の水で洗い流した後、衣服を脱ぎ取る方が

良い。重症の薬傷あるいは広範囲にわたる薬傷の場合には

速脈、発汗、虚脱のようなショック症状を起こす恐れが

大きい

眼に入った場合 直ちに多量の水を用いて 15 分間以上洗い続ける。その際

瞼をよく開いて、眼球、瞼の隅々まで水がよく行き渡るよう

に洗い、医師の診断を受ける

飲込んだ場合 意識の明瞭な時は、元気づけて口を多量の水で洗わせた後

できれば卵白を混ぜた牛乳を飲ませ、医師の診断を受ける

直ちにこのような処置がとれない場合には多量の水を飲ませ

る、その際硫酸を吐かせようとしてはならない。意識を失っ

ているときは、何も与えないで医師に任せること

予想される急性症状 腐食性、灼熱感、咽頭痛、咳、息苦しさ、息切れ、発赤

及び遅発性症状 痛み、水疱、重度の皮膚熱傷、重度の熱傷、腹痛、ショック

又は虚脱感

最も重要な兆候及び症状 皮膚灼熱

応急処置をする者の保護 情報無し

医師に対する特別注意 肺水腫の症状は 2~3 時間経過するまで現れない場合が多く

安静を保たないと悪化する。従って安静と経過観察が不可欠

である

5. 火災時の措置

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消火剤 (小火災) 泡、消火液、不燃性ガス、粉末消火剤が有効である

(大火災) 霧状の水、泡、消火液、不燃性ガス、粉末消火剤が有効

使ってはならない消火剤 情報無し

特有の危険有害性 加熱により容器が爆発する恐れがある

火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生する恐れ

がある

特有の消化方法 硫酸自体は不燃性であり、助燃性も無いが、硫酸を取扱う

作業所などでの火災は、霧状の水などを用いる消火器を使用

するのが良い。棒状の水を噴射する場合は、硫酸飛沫を飛ば

す恐れがあるから注意して使用する

容器周辺の火災の場合は、速やかに容器を安全な場所に移す

移動不可能の場合は、容器及び周囲に散水して冷却し、消火

後も大量の水を用いて十分に容器を冷却する

消火を行う者の保護 消火の際は保護手袋、保護衣を着用し、眼、鼻、口を覆う

顔面保護具(ホースマスク)を着用する

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項 風下の人を風上に避難させ、また低地から離れる。漏出した

場所の周囲にロープを張るか又は付近に警告を発するなど

して人の立入りを禁止する

保護具及び緊急措置 漏出した箇所の修理その他の作業に当たるものは保護眼鏡

保護手袋、保護長靴、保護衣、安全帽など適切な保護具を

着用する

環境に対する注意事項 水で洗い流す時は、河川・海域等へ流入して環境を汚染する

恐れがあるから注意する

回収・中和

封じ込め及び浄化方法 ポンプを停止するなどして漏洩を止める

及び機材 漏えい事故を起こした場合は、必要な処置を行った後、直ち

に出荷者又は販売者に連絡し、必要に応じ消防機関、保健所

警察署へ連絡する

小量の場合は、土砂等に吸着させて取除くか又はある程度

水で希釈した後、消石灰、ソーダ灰等で中和し多量の水で

洗い流す

多量の場合は、土砂等でその流れを止めるか又は安全な場所

に導いて、できるだけ回収に努め、硫酸を吸着した土砂は

安全な場所に処分し、硫酸の回収後は遠くから徐々に注水し

ある程度希釈した後、消石灰、ソーダ灰等で中和し多量の水

を用いて洗い流す

二次災害の防止策 全ての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙・花火・火炎)

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7. 取扱い及び保管上の注意

取扱 技術的対策 「8.曝露防止および保護措置」に記載の設備対策を行い

保護具を着用する

局所排気・全体換気 「8.曝露防止および保護措置」に記載の局所排気、全体

換気を行う

安全取扱注意事項 取扱いは換気の良い場所で行うことが望ましいが、換気の悪

い場所では、ガスや蒸気を吸入しないに呼吸器系保護具を

着用する

有機物、硫酸塩、炭化物、塩素酸塩、金属粉など反応性の

大きい物質と離れた場所で取扱う

硫酸が直接体に触れないように作業員は必ず適切な保護具を

着用し、かつ作業場付近に十分な水を用意しておく

硫酸容器は破損しないように注意して取扱う

ポリエチレン容器等の栓を外す時は、硫酸の噴出の恐れが

あるから、顔や手を容器の口の上に近付けない

ドラム缶の栓を外す時には、ドラム缶の片側に立って顔を

遠ざけ、徐々に 1 回転未満緩め、内部の圧を抜き、さらに

徐々に緩めて取外す

容器から硫酸を取出す時は、容器を固定した後、専用の傾斜

装置、安全サイホンなどを用いて注意深く作業する。容器の

破損や硫酸の噴出などの恐れがあるから、空気圧を用いて

取出してはならない

硫酸を希釈する時は、必ず水を攪拌しながら、硫酸を少量

ずつ加える。逆にすると急激な発熱によって酸の飛沫が飛ぶ

事がある

硫酸の入っているドラム、タンクローリー、タンク車、貯蔵

タンク(いずれも鋼製の場合)の中では水素が発生する恐れ

があるから、内容物の有無に拘わらずドラム缶、タンクの

近くでの喫煙や火の使用は禁止する。またこれらをハンマー

でたたくなど火花を発するような事をしてはならない

空の容器は出荷者へ返送する前に硫酸を完全に排出しておく

接触回避 「10.安定性および反応性」を参照

保管 技術的対策 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取扱う為に必要な採光

照明及び換気の設備を設ける

漏出した酸が貯蔵所外に流出しないように適切な流出防止

施設を設ける

混触危険物質 「10.安定性および反応性」を参照

保管条件 他の薬品、有機物、酸化剤などから遠ざけて貯蔵する

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硫酸が漏出しても地下に浸透しないように床は耐酸塗料で

施工する

ポリエチレン容器等の小型容器は、直射日光を避けて極力

冷暗所に貯蔵する

ドラム缶による貯蔵が長期に亘るときは、内圧を抜く為

毎週一回程度ガス抜きをする

容器包装材料 国連輸送法規で規定されている容器を使用する

8. ばく露防止及び保護措置

管理濃度 設定されていない

許容濃度(ばく露限界値

生物学的ばく露指標) 【日本産業衛生学会(2008 年版)】 1mg/㎥(最大許容濃度)

【ACGIH(2005 年版)】TLV-TWA 0.2mg/㎥

(1 日 8 時間、1週 40 時間の時間荷重平均許容濃度)

設備対策 取扱い場所の近くに手洗い、洗眼設備、全身シャワーを設け

その位置を明瞭に表示する

気中濃度を推奨された管理濃度・許容濃度以下に保つために

工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する

高熱取扱いで、工程でミスト・ガスが発生する時は空気汚染

物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置

する

保護具 呼吸器の保護具 酸素呼吸器、防毒マスク(亜硫酸ガス用)等

手の保護具 耐酸性(ゴム等)の手袋等

眼の保護具 保護眼鏡、顔面シールド等

皮膚及び体の 安全帽、安全靴、保護衣、前掛け等

保護具

衛生対策 取扱い後は良く手を洗うこと

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態 形状 透明液体

色 常温では無色透明(工業用は僅かに着色しているる事がある)

臭い 無臭

pH 0.3(1N)、1.2(0.1N)、2.1(0.01N)

融点・凝固点 (融点) -32.0℃(93.10%)-16.5℃(96.05%)+3.0℃(98.0%)

(凝固点)-29.4℃(93.19%)-22.2℃(95.0%)-1.1℃(98.0%)

沸点・初留点及び 279℃(93.19%)、297℃(95.0%)、327℃(98.0%)

沸騰範囲

引火点 不燃性

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自然発火温度 不燃性

燃焼性(個体・ガス) 該当しない

爆発範囲 不燃性

蒸気圧(全圧)(80℃) 0.57mmHg(76Pa)(90%)、0.04mmHg(5.3Pa)(95%)

0.01mmHg(1.3 Pa)(98%)

蒸気密度(空気=1) 3.4

蒸発速度(酢酸ブチル=1) データ無し

比重(密度)(15℃/4℃) 1.8331(93%)、1.8388(95%)、1.8411(98%)

溶解度(水への) 混和する

オクタノール・水分配係数 log Pow=-2.2(推定値)

分解温度 340℃

臭いのしきい(閾)値 データ無し

粘度 27mPa・s(20℃)

粉じん爆発下限濃度 データ無し

最小発火エネルギー データ無し

体積抵抗率(導電率) データ無し

10.安定性及び反応性

安定性 濃硫酸は水と溶解して多量の熱を発生するが、硫酸自体は燃焼

しない

塩基、可燃性物質、酸化剤、還元剤、水と接触すると火災や爆発

のおそれがある

危険有害反応 加熱すると最初、水蒸気を発生し、加熱を続けると硫酸蒸気を

の可能性 発生する。さらに加熱すると沸点(98.3%で 327℃)までは硫酸

蒸気が発生するが、98.3%以上の濃硫酸及び沸点以上では三酸化

硫黄の発生が多くなる。硫酸を 1000℃以上に加熱すると分解して

二硫化硫黄を発生する

水、有機物と混合すると発熱する

多くの反応により火災又は爆発を生じることがある

強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と反応する

強酸であり、塩基と激しく反応し、鉄などのイオン化傾向の高い

元素と反応して水素を発生する

避けるべき条件 加熱すると、刺激性又は有毒なヒュームやガス(硫黄酸化物)を

生成する

混触危険物質 可燃性物質、還元性物質、強酸化剤、強塩基などとの接触に注意

危険有害な 燃焼の際は硫黄酸化物などが生成される

分解生成物

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11. 有害性情報

急性毒性 飲込んだ場合は重症の障害を引き起こし、死亡する事がある

経口 (硫酸)ラット LD50:2140mg/Kg(SIDS2001)(硫酸濃度 21.6%)

飲込むと有害の恐れ(区分 5)

吸入 (硫酸ミスト)ヒト TCL0:800μ g/㎥

(硫酸ミスト)モルモット(成熟)LC50:50mg/㎥・8 時間

ラット LC50:0.375mg/L・ 4 時間(SIDS2001)

LCL0:178ppm・7 時間

吸入すると生命に危険(区分 2)〔ミスト〕

(LD50は 50%致死量、TCL0 は最小中毒濃度、LC50 は 50%

致死濃度、LCL0 は最小致死濃度を表す)

皮膚腐食性刺激性 本物質の pH が 1 以下であることから、GHS 分類基準に従い

腐食性物質で、皮膚に接触すると重度の薬傷を起こすと判断され

区分 1A-1C と分類した

重篤な皮膚の薬傷(区分 1A-1C)

眼に対する重篤な 人の事故例では前眼房の溶解を伴う眼の重篤な損傷が認められ

損傷・刺激性 たとの記述(ATSDR1998)、兎の眼に対して 5%液で中等度、10%

液では強度の刺激性が認められたとの記述(SIDS2001)及び本物

質の pH が 2 以下であることから区分 1 とした

重篤な眼の損傷(区分 1)

呼吸器感作性又は 硫酸の皮膚感作性に関するデータは無い。硫酸の利用実績は長い

皮膚感作性 が、皮膚刺激作用による皮膚障害が良く知られている一方、皮膚

感作性の症例報告は皆無である

体内には硫酸イオンが多量に存在するが、アレルギー反応は起こ

らない。以上の結果から硫酸はヒトに対してアレルギー性を示さ

ないとの結論が得られるとの記述から区分外とした

生殖細胞変異原生 in vivo では生殖細胞、体細胞を用いたいずれの情報も無く

in vitro 変異原生試験では単一指標(染色体異常試験)の試験系

でのみ陽性の結果がある(ATSDR1998)が、他の指標では陰性であ

ることから分類できないとした

発がん性 硫酸を含む無機強酸のミストへの職業的曝露については、国際

がん研究機関(IARC.1992)ではグループ 1、米国産業衛生

専門家会議(ACGIH.2004)では A2、米国国家毒性プログラム

(NTP.2005)では K に分類されているが、硫酸そのものについ

ては、いずれの機関も発がん性を分類していないことから分類

できないとした

生殖毒性 ウサギ及びマウスでの胎児器官形成期に吸入曝露した試験では

母獣に毒性が認められない用量では、両種ともに胎児毒性及び

催奇形性は認められず(SIDS2001)また、慢性毒性試験及び発がん

性試験においても雌雄の生殖器官への影響は認められず刺激性/

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腐食性による直接作用が主たる毒性であることから、生殖毒性を

示す懸念は無いと判断されている(SIDS2001)事から、区分外とし

特定標的臓器 ヒトの低濃度の吸入曝露では咳、息切れなどの気道刺激症状が認

全身毒性(単回ばく露) められており(DFGOT2001)、高濃度曝露では咳、息切れ、血痰

排出などの急性影響のほか、肺の機能低下及び繊維化、気腫など

の永続的な影響が認められたとの記述及びモルモットでの 8 時

間吸入曝露で肺の出血及び機能障害が認められたとの記述

(ATSDR1998)から 区分 1(呼吸器系)とした

臓器(呼吸器系)の障害(区分 1)

特定標的臓器 (SIDS2001)ラットでの 28 日間吸入曝露試験では区分 1 のガイダ

全身毒性(反復ばく露) ンス値範囲で咽頭粘膜に細胞増殖が認められ(ATSDR1998)

モルモットでの 14~139日反復吸入曝露試験では区分 1のガイダ

ンス値範囲内の濃度で鼻中隔浮腫、肺気腫、無気肺、細気管支の

充血、浮腫、出血、血栓などの気道及び肺の障害がさらに、カニ

クイザルでの 78 週間吸入曝露試験では、肺の気管支に細胞の過

形成壁の肥厚などの組織学的変化が、区分 1 のガイダンス値の範

囲の用量(0.048mg/L、23.5Hr/Day)で認められたことから区分

1(呼吸器系)とした

長期又は反復曝露による臓器(呼吸器系)の障害(区分 1)

吸引性呼吸器有害性 情報無し

12.環境影響情報

生体毒性 魚類(ブルーギル)96 時間 LC50=16-28mg/L (SIDS2003)

水生生物に有害(区分 3)

残留性・分解性 情報無し

生体蓄積性 情報無し

土壌中の移動性 情報無し

他の有害影響 情報無し

環境基準 情報無し

13.廃棄上の注意

残余廃棄物 「7.取扱いおよび保管上の注意」の項を参照し、そのまま廃棄

せず、消石灰などで中和してから「廃棄物の処理及び清掃に関す

る法律」に従って廃棄する

廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと

都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは

地方公共団体がその処理を行っている場合には、そこに委託して

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処理する事

廃棄物の処理を委託する場合、処理業者に危険性、有害性を十分

告知の上、処理を委託する

汚染容器及び包装 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体

の基準に従って適切な処分を行う

空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去する事

14.輸送上の注意

国際規制 海上規制情報 IMO の規定に従う

航空規制情報 ICAO/IATA の規定に従う

UN No. UN 1830

Proper Shipping Name Sulphuric acid with more than 51% asid

Class 8

Packing Group Ⅱ

Marine Pollutant Not applicable

国内規制 陸上規制情報 毒劇法の規定に従う

海上規制情報 船舶安全法の規定に従う

海洋汚染物質 非該当

航空規制情報 航空法の規定に従う

国連番号 UN1830

品名 硫酸(濃度が 51 質量%を超えるもの)

クラス 8

等級 Ⅱ

緊急時応急措置 137

指針番号

特別の安全対策 他の物質との混載はなるべく避ける

移送時はイエローカードを携行する事

硫酸の容器への充填、容器の移動、積込み、荷降ろし等の

作業を行うときは、適切な保護具を着用する

衝撃、転倒、墜落などによって容器から硫酸が漏れたり

飛散したりしない様、慎重に取り扱う

車両で多量の硫酸を運搬する時は、できるだけ交通量の少

ない道路を選び、硫酸の漏出などの為に災害が発生した時

には、応急措置を講じ、必要に応じて消防機関、保健所

警察署などに連絡する(「6.漏出時の処置」の項を参照)

車両で運搬する場合、積替え、休憩、車両故障などの為

一時停止する時はできるだけ安全な場所を選ぶ

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サンワ化学株式会社 SKC-QCP-FM-532-02 改定日:15/06/24

15.適用法令

労働安全衛生法 名称等を通知すべき有害物(1 重量%未満を除く)

(法第 57 条の 2、施行令 18 条の 2 別表第 9(611 硫酸))

腐食性液体(規則第 326 条)

作業主任者を選任すべき作業(施行令第 6 条別表第 3 第 3 類物質)

特定化学物質 第 3 類物質

(特定化学物質等障害予防規則第 2 条第 1 項第 6 号別表第 2)

労働基準法 法 75 条第 2 項(療養補償)施行規則第 35 条(業務上の疾病の範囲)

別表第 1 の 2(化学物質等による疾病)に該当

消防法 貯蔵等の届出を要する物質(消防活動阻害物質)

(法第 9 条の 3、政令別表第 2、省令第 2 条 65 硫酸を含有する製剤

[硫酸 60%以下を含有する物を除く])

化審法 既存化学物質

PRTR 法 第 1 種及び第 2 種指定化学物質に該当しない

(法第 2 条、施行令別表第 1、第 2)

毒物劇物取締法 劇物(法第 2 条別表第 2(89 硫酸 濃度 10%以下の物を除く))

麻薬及び向精神薬 輸入及び輸出の届出を要しない麻薬向精神薬原料の量

取締法 硫酸及びこれを含有する製剤(硫酸 20Kg を含有する量)

硫酸 10%以下を除く(施行規則第 45 条の 5、第 45 条の 8)

港則法 腐食性物質(施行規則第 12 条)

船舶安全法 腐食性物質(危規則第 3 条、危険物告示別表第 1

UNNo.1830(濃度が 51 質量%を超えるもの)、2796(濃度が 51 質量%

以下のもの)

航空法 腐食性物質(施行規則第 194 条)

道路法 通行制限物質(施行令第 19 条の 13)

水質汚濁防止法 指定物資(法第 2 条第 4 項)(施行令第 3 条の 3)

大気汚染防止法 特定物質(施行令第 10 条)

海洋汚染等及び 海洋環境の保全の見地から有害である物質

海上災害の防止 (施行令第 1 の 2 別表第 1 Y 類物質)

に関する法律

外為法 輸出令別表第 2 の 35 の 2 項(10%を超える混合物を含む)

別表第 2 の 35 の 2 項(イオン濃度指数が 2.0 以下である破棄物)

廃掃法 産業廃棄物(施行令第 2 条)

16.その他

参考文献 製品安全データシート(薄硫酸・希硫酸)、硫酸協会

16615 の化学商品(化学工業日報社)

JIS Z7253(2012) GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方

法ラベル、作業場内の表示及び安全データシート(SDS)

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GHS 分類結果データベース(独立行政法人 製品評価技術基盤機構

NITE)

その他各データに記載

災害事例 情報無し

本文書の記載内容は、現時点で入手できた最新の情報に基づいて作成しておりますが

情報の正確さ、完全性を保証するものではありません。

全ての化学薬品には未知の有害性があり得るため、取扱いに際しては細心の注意が必要です。

御使用者各位の責任において安全な使用条件を設定の上、安全にお取扱い下さるようお願い

申し上げます。

以上