ローズアッ 空き家 地域を守れるのは自分たち何もしなければ...

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調1 2 9 72 田村伊久男さん 友人の紹介で見つけた築90年以上の古民家。淡路 に住みたいと思っていた私には、願ってもない物件 でした。 自然豊かなこの場所で「夢を実現したい」と思い、 奈良県から移住。家を改修し、島の食材を使った料 理でおもてなしをする「島のごちそう。古民家カフ ェと宿『淡』」を4年前にオープンしました。古民家 の良さはそのままに、友人たちと壁を塗り直したり、 カウンターを作ったりしながら店を作り上げました。 空き家を求めている移住者の多くは、何度も現地 に足を運んで家を探します。なかなか物件が見つか らず、賃貸を断られることもあるからです。所有者 の事情もあると思いますが、状態がいい空き家は改 修すると新しい利用価値が生まれます。使わないと もったいないですよ。 住み心地には満足していますが、やっぱり草刈り などの管理は大変。そんなときは、地域の方が支え てくれるので助かっています。私も町内会の隣保長 として、一人暮らしのお年寄りを見守るなど、これ からも地域とのつながりを大切にしていきたいです。 140そばカフェ生田村 生田畑152 ☎ 70-1478 土日・祝日 11:00~15:00 築90年の古民家 温もりある空間で夢を実現 藤原由美さん(53) 生かせば空き家に第2の人生島のごちそう。 古民家カフェと宿「淡」 生田田尻597 ☎090-3265-0856 金曜・土日・祝日のみ (平日は予約制) 11:00 ~ 17:00 都会での生活に疲れを感じて、5 年前に千葉県か ら移住してきました。淡路を選んだきっかけは、車 で全国を旅したとき。ただの観光地だけではない秘 めた可能性を感じたからです。 住まいを求めて出会ったのが、江井にある草木に 覆われた空き家。家の中に入ると腰の位置まで土砂 があふれ、悪臭も漂っていました。でも、そんな物 件だからこそ「おもしろいんじゃない !?」と不思議 な魅力を感じ、購入を決意。今は民宿にしようとリ フォーム中です。 その後も数件の空き家を改修。今住んでいる家は 「ここしかない」と一目見て気に入った物件です。見 つけた日の夜には家主に直接連絡し、売買交渉をし ました。 家づくりは全くの素人でしたが、試行錯誤しなが ら自分たちの手でリノベーション。でも驚いたこと に、作業をしていると、ご近所さんが手伝ってくれ るんです。木材や廃材を譲ってくれたり、柱の入れ 替えを教えてくれる大工さんもいたり。自然と助け が集まるのは、このまちならではですね。 ゆったり暮らせる環境で 家づくりに夢中 久保田智哉さん(34)、シェリル・チーさん(35)ご夫婦 改修作業の様子 市内では、個人の住宅としてはもちろん、店舗などにも利 用されている空き家。市や県では、空き家での暮らしをサ ポートする事業を行っています。 まちづくり政策課 ☎ 64-2506 ■移住促進空き家改修支援 空き家への移住に向けた改修費の 1/3 を助成します。 ■空き家活用支援事業 古民家を交流拠点・店舗など地域の活性化に利用、 賃貸住宅として改修する費用を助成します。 今年後の受け付けは終了しました。次年度の募集は お問い合わせください。 65 5 10 25 空き家での暮らし をサポート ローズアッ 空き家 今月 Awaji City Public Relations Magazine 広報淡路 2020年2月号 6 7

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Page 1: ローズアッ 空き家 地域を守れるのは自分たち何もしなければ ...地域を守れるのは自分たち何もしなければ廃れる 住まい手と地元をつなげるす。的に地域活動を展開していまつり」を開催するなど、積極

何もしなければ廃れる

地域を守れるのは自分たち

つり」を開催するなど、積極

的に地域活動を展開していま

す。

住まい手と地元をつなげる

 「住む人が増えなければ過

疎化は止まらない。住む人が

いなくなり、いずれ誰もいな

くなってしまうのでは」と危

機感を覚えた田村さん。先頭

に立って、地元に人を呼び込

む活動を始めました。

 

まずは地区にどんな空き家

があるのか確認し、所有者に

管理や利活用など今後の意向

を調査しました。所有者の意

向を踏まえて、空き家の活用

方法を検討。その結果、昨年

は1軒の売却と2軒の賃貸に

つなげることができました。

また、移住コーディネーター

 

廃園した保育所を改修し、

地元で栽培したそばをひきた

て、打ちたてで提供する「そ

ばカフェ生田村」(以下生田

村)。淡路市生田地域活性協

議会が9年前に立ち上げまし

た。

 「そばが人気を呼び、地域

に人が集まるようになった。

でも住む人は増えなかった」

と話すのは、事務局長の田村

伊久男さん(72)。生田村を

運営し、年に一度「そば花ま

田村伊久男さん

 友人の紹介で見つけた築90年以上の古民家。淡路に住みたいと思っていた私には、願ってもない物件でした。 自然豊かなこの場所で「夢を実現したい」と思い、奈良県から移住。家を改修し、島の食材を使った料理でおもてなしをする「島のごちそう。古民家カフェと宿『淡』」を4年前にオープンしました。古民家の良さはそのままに、友人たちと壁を塗り直したり、カウンターを作ったりしながら店を作り上げました。 空き家を求めている移住者の多くは、何度も現地に足を運んで家を探します。なかなか物件が見つからず、賃貸を断られることもあるからです。所有者の事情もあると思いますが、状態がいい空き家は改修すると新しい利用価値が生まれます。使わないともったいないですよ。 住み心地には満足していますが、やっぱり草刈りなどの管理は大変。そんなときは、地域の方が支えてくれるので助かっています。私も町内会の隣保長として、一人暮らしのお年寄りを見守るなど、これからも地域とのつながりを大切にしていきたいです。

空き家へ対応は早めがカギ

 

空き家は放置すれば、さまざま

なリスクがあります。老朽化によ

る倒壊の危険はもちろん、庭木や

雑草が生い茂ると近隣住民にも迷

惑がかかります。場合によっては、

所有者に損害賠償が請求されるケ

ースも。また、所有者が死亡した

ことで、知らぬ間に相続人となり

責任が降りかかってくることもあ

ります。

 「今は困っていないからそのう

ち…」と先送りにしていると、建

物の資産価値が落ちて、買い手(借

り手)が少なくなります。そうな

らないためにも、早めに「売却」「賃

貸」「管理」などを今後の在り方

を検討しましょう。これから家を

買いたい人もマイホームを一から

建てるのではなく、空き家を活用

するのも一つです。「空き家問題」

は地域にも影響すること。家族と

一緒に真剣に考えてみてください。

大切なわが家、だからこそ。

約140世帯が暮らす生田地区。「地域が活性化するだけでは、

過疎は止まらない」と人口を増やそうと奮闘する人がいます。

そばの栽培から始まった地域づくりを紹介します。  

そばカフェ生田村所生田畑152 ☎70-1478営土日・祝日 11:00~15:00

築90年の古民家温もりある空間で夢を実現

藤原由美さん(53)

生かせば宝に空き家に第2の人生を

島のごちそう。古民家カフェと宿「淡」所生田田尻597☎090-3265-0856営金曜・土日・祝日のみ (平日は予約制) 11:00~17:00

 都会での生活に疲れを感じて、5年前に千葉県から移住してきました。淡路を選んだきっかけは、車で全国を旅したとき。ただの観光地だけではない秘めた可能性を感じたからです。 住まいを求めて出会ったのが、江井にある草木に覆われた空き家。家の中に入ると腰の位置まで土砂があふれ、悪臭も漂っていました。でも、そんな物件だからこそ「おもしろいんじゃない !?」と不思議な魅力を感じ、購入を決意。今は民宿にしようとリフォーム中です。 その後も数件の空き家を改修。今住んでいる家は「ここしかない」と一目見て気に入った物件です。見つけた日の夜には家主に直接連絡し、売買交渉をしました。 家づくりは全くの素人でしたが、試行錯誤しながら自分たちの手でリノベーション。でも驚いたことに、作業をしていると、ご近所さんが手伝ってくれるんです。木材や廃材を譲ってくれたり、柱の入れ替えを教えてくれる大工さんもいたり。自然と助けが集まるのは、このまちならではですね。

ゆったり暮らせる環境で家づくりに夢中

久保田智哉さん(34)、シェリル・チーさん(35)ご夫婦

改修作業の様子

市内では、個人の住宅としてはもちろん、店舗などにも利用されている空き家。市や県では、空き家での暮らしをサポートする事業を行っています。問 まちづくり政策課 ☎64-2506

■移住促進空き家改修支援 空き家への移住に向けた改修費の1/3を助成します。

■空き家活用支援事業 �古民家を交流拠点・店舗など地域の活性化に利用、賃貸住宅として改修する費用を助成します。

※�今年後の受け付けは終了しました。次年度の募集はお問い合わせください。

の近藤善昭さん(65)と一緒

に戸建て住宅を活用した「お

試し住宅」の運営を開始。移

住前に暮らしを体験できる拠

点を整備しました。

 「新しい人が来ることに抵

抗を感じる人、空き家を手放

すのに踏ん切りがつかない人

もいます。それでも声を掛け

続け、この5年間で10世帯25

人がこの地区にやってきまし

た」と笑顔の田村さん。子ど

もたちも増え、Uターンで地

元に帰ってきた人もいるそう

です。少しずつ成果が実り始

めた田村さんの活動。「地元

を守れるのは自分たち」とい

う思いを胸に今日も奮闘して

います。

空き家での暮らしをサポート

クローズアップ 空き家今月 の

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