オーディオマニアのための...

2014年スピーカー再生技術研究会オフ会 assi@天の川オーディオ研究室

オーディオマニアのためのデジタルフィルタ入門

● assi@天の川オーディオ研究室


目的

● デジタルフィルタ仲間を増やす● デジタルフィルタに詳しい人を召喚する


今回の目標

● デジタルフィルタは簡単！● デジタルフィルタは便利！

– ということを示す


断り書き

● 私はデジタルフィルタの素人です● 数学的に正確なことより分かり易さを

優先しています● 間違ったことを言っている可能性があります


デジタルフィルタの利点

● 早い！● 安い！● 旨い！（個人の感想です）


数値計算ソフト

● MATLAB● Scilab● GNU Octave● FreeMat● R● Python+数値計算ライブラリ


数値計算ソフトは必要？

● エクセルなど普通のソフトでもできるのに慣れない数値計算ソフトを使う必要があるの？

● 数値計算ソフトの習得にかかるコストとメリットは？

メリット　＞＞　コスト


デジタルフィルタにもいろいろあるけど

● IIR　難しい● FIR　簡単・分かり易い


デジタルフィルタの正体

● 数字の列（係数）● この係数を音楽信号と計算（畳み込み）して

出力する


デジタルフィルタの設計

● 係数を決めること:数値計算ソフトを使用すると楽ちん！

● 計算は別の専用プログラムが行う(convolution engine)


係数ってどうなってるの？

● 単なる数字の列（一次元）● サンプリング時間毎の大きさを表す


それって普通のWavファイルと同じじゃない？

● その通り！● 係数をwavファイルの形で指定する

畳み込みソフトもある。


畳み込み


畳み込みって何？

● 数式ではなく、オーディオマニア的に理解すると簡単！

● 掛けて足すだけ！


畳み込み1_1

この二つを畳み込む


畳み込み1_2

掛けて....


畳み込み1_3

足す！


畳み込み2

逆から見ると...


畳み込み3

● 順序を変えても同じ(交換法則、結合法則)● アナログフィルタ・部屋の反射・スピーカーの

特性・マイクの特性　みーんな畳み込み！


インパルスレスポンス（インパルス応答）


インパルスレスポンスとデジタルフィルタの関係

● FIRフィルタの係数＝インパルスレスポンス


インパルスレスポンスとは

● インパルスが入力された時の出力


インパルスとは

● 持続時間０（極めて短時間）の信号● デジタルではサンプリング時間より短い信号は

表せない● [1,0,0,0,....]


インパルスレスポンスの測定_1

スピーカーを測定する場合、インパルスを再生して録音すれば良い

インパルス * スピーカの特性　*　部屋の特性　*　マイクの特性

しかしこの方法ではS/N比が悪い



インパルスに戻せる測定用信号を使う

（ログスイープ、M系列の擬似ノイズなど）

TSP　*　逆TSP　=　インパルス



インパルス * スピーカの特性　*　部屋の特性　*　マイクの特性

TSP　*　逆TSP　*　スピーカーの特性　*　部屋の特性　*　マイクの特性

TSP　*　スピーカーの特性　*　部屋の特性　*　マイクの特性　*　逆TSP


デジタルフィルタを作ってみよう


入力をそのまま出力するフィルタ

[1,0,0,0]

インパルスと同じ


入力を-6dBするフィルタ

[0.5,0,0,0]


入力の位相を反転するフィルタ

[-1,0,0,0]


時間を遅らすフィルタ

[0,0,1,0]


壁からの反射

[1,0,0,...0.8,0,0...]


デジタル処理のメリット

● 見える１● 見える２● 聴こえる


見える1

● 周波数特性が見える● インパルスレスポンスをfftして表示


見える2

● 波形が見える– 何の波形がみえるの？

● どんな波形でも！


単発サイン波_1

● 単発サイン波の測定法

単発サイン波　＊　スピーカー　＊　部屋　＊　マイク



● 入力と出力が同じ魔法のフィルタ[1,0,0,0...]　＝　インパルス

単発サイン波＝単発サイン波　＊　インパルス



単発サイン波　＊　スピーカー　＊　部屋　＊　マイク

単発サイン波　＊　インパルス　＊　スピーカー　＊　部屋　＊　マイク

インパルス　＊　スピーカー　＊　部屋　＊　マイク　＊　単発サイン波



インパルスレスポンスと畳み込む


バーストサイン



矩形波



聴こえる1

音楽信号をインパルスレスポンスと畳み込んで再生してみる


聴こえる2

音楽信号をインパルスレスポンスと畳み込んで再生してみる（2kHzローパスフィルタ）


聴こえる３

● 音楽信号をインパルスレスポンスと畳み込んで再生してみる[0.6,0,0,...0.4]


デジタルフィルタで出来ること

● チャンネルデバイダ● スピーカー特性の測定・補正● ルーム特性の測定・補正● マトリクススピーカーをデジタルで

などなど


直線位相と最小位相


直線位相フィルタ

● 直線位相– 位相が変わらない– 左右対称（プリリンギングがある）


最小位相フィルタ

● 最小位相– 位相が変わる（波形が変わる）– 因果的（自然なフィルタ）


どちらを使う？

● 直線位相– チャンネルデバイダ

● 最小位相– それ以外全部？


直線位相フィルタ

● 位相が変化しない● フィルタを掛ける前に位相がズレていれば位相のズレはそのまま

● 直線位相フィルタの逆フィルタは直線位相


最小位相

● 最小位相フィルタの逆フィルタは最小位相● レコードのイコライザやCDのエンファシスは最小位相フィルタ

● 部屋の定在波補正も最小位相● 聴こえない周波数のイコライザは

どっちにする？● 最後は聴感で決めればOK?


アマチュアでも出来ることがたくさんあります！

ご清聴ありがとうございました

オーディオマニアのための...

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