トップ honda パフォーマンス 報告honda sustainability report 2020 14 1 編集方針...

22
Honda Sustainability Report 2020 14 編集方針 1 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 Honda の概要 4 ガバナンス 6 パフォーマンス 報告 7 資料 8 目次 5 戦略 目次

Upload: others

Post on 30-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

Honda Sustainability Report 2020 14

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略目次

Page 2: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

中長期戦略

年度計画

2030年ビジョン

すべての人に、「生活の可能性が拡がる喜び」を提供する―世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」の進化をリードする―

(⇒p.17)

21世紀の方向性21世紀の方向性

「存在を期待される企業」をめざす

喜びの創造 喜びの拡大 喜びを次世代へ

[ 活動指針 ]

Hondaフィロソフィー (⇒p.05)

マテリアリティマトリックス(⇒p.24)

経営への反映

ステークホルダーエンゲージメント(⇒p.29)

H o n d a のサステナビリティ

「Hondaフィロソフィー」は、Hondaグループすべての企業と、そこで働くすべての従業員の価値観として共有され、あらゆる企業活動と、従業員の行動や判断の基準となっています。さらに、企業の成長機会の創出とサステナブルな社会の実現を両立させるため、21世紀の方向性として「存在を期待される企業」を掲げ、「喜びの創造」「喜びの拡大」「喜びを次世代へ」という取り組みを推進しています。

これらの実現に向けて、Hondaが進むべき方向性を具体的に示したマイルストーンが、「2030年ビジョン」です。

Hondaのサステナビリティにとって重要なことは、商品・サービスを通した価値の提供によってステークホルダーの期待・要請に応えるとともに、環境や社会に対する影響への配慮など、企業の社会的責任を果たすことや、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することです。そこで Hondaでは、ステークホルダーと Hondaの両視点を踏まえて、中長期の事業戦略を策定しています。2つの視点を整理するにあたっては、「マテリアリティマトリックス」をガイドに、グローバルの地域ごとの特色に照らし合わせ、果たすべき役割や貢献すべき点を考慮しています。

戦略

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

5

Honda Sustainability Report 2020 15

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15,102-16,102-46

Page 3: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

持続的な成長のために

持続的な成長のロードマップ

貧困や難民問題、人権問題、気候変動、エネルギー問題、労働安全衛生の改善、高齢化社会など、多くの社会的課題が取りざたされています。そんななか、グローバルで多岐にわたるビジネスを行っている Hondaにとって、バリュー・チェーンにおける機会や責任を理解することは、経営上の優先課題を特定するうえでも欠かせません。また、事業環境の急激な変化にいち早く対応し、乗り越えていくためには、次の方向性をビジョンとして定める必要があります。

Hondaが、創業 100年を超える 2050年に「存在を期待される企業」であり続けるために、2030年にありたい姿をまとめたのが「2030年ビジョン」です。

ビジョンの策定にあたっては、現在から将来を見据えた視点(フォアキャスト)と、2050年から現在にさかのぼった視点(バックキャスト)、この両方の視点から長期の環境変化を検討しました。既存事業を継続的に運営していくなかで、大きく変化していく社会の期待とお客様のニーズに応じて、既存事業の価値をどう転換・進化していくのか。また、二輪・四輪・ライフクリエーション、そして、その枠を超えた新しい領域も含め、これまでなかった新たな価値をどのように創出していくのか。長期にわたって持続的な成長を実現し得るビジョンとするために、この「既存事業」「価値転換」「新価値創出」の 3

つの視点から、2030年に向けた事業の変革の方向性を検討しました。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 16

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15,102-16,102-46

Page 4: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

2 0 3 0 年ビジョン

Hondaが策定した 2030年ビジョンは、「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する ̶ 世界中の一人ひとりの『移動』と『暮らし』の進化をリードする ̶ 」というステートメントで表されるものです。このビジョンを達成するため、21世紀の方向性の活動指針である「喜びの創造」「喜びの拡大」「喜びを次世代へ」の 3つの視点で、取り組みの方向性を定めました。まず、 「喜びの創造」を実現するのが、 「『移動』と『暮らし』の価値創造」です。「自由で楽しい移動の喜びの提供」と「生活が変わる・豊かになる喜びの提供」をめざして、「モビリティ」「ロボティクス」「エネルギー」の 3 つの分野に注力していきます。次に、「喜びの拡大」を実現するのが、「多様な社会・個人への対応」です。先進国や開発途上国にかかわらず多様な社会に向けて、また、多様な文化・

価値観を持つすべての人に向けて、最適な商品・サービスを提供することで、人々の喜びを、さらに拡げていくことをめざします。最後に、「喜びを次世代へ」を実現するのが、「クリーンで安全・安心な社会へ」です。環境と安全の領域でのナンバーワンをめざして、さらに資源を投入し、カーボンフリー社会と、交通事故ゼロ社会の実現をリードする存在となることをめざしていきます。また今回のビジョンでは、Honda普遍の想いに立ち返り、「量」から「質」へと大きく舵をきりました。それが、我々の企業姿勢である「質の追求による成長」です。「提供価値の質」と「取り組みの質」を徹底して追求していくことで、喜びの輪を拡げ、より輝くHondaブランドをめざします。このビジョンの実現に向けて、限られた経営資源を有効活用し、既存ビジネスの転換や進化、新価値創造を行っていきます。

すべての人に、「生活の可能性が拡がる喜び」を提供する̶ 世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」の進化をリードする ̶

質の追求による成長

注力すべき事業視点 : 経営資源の有効活用

2030年ビジョン

《喜びの創造》「移動」と「暮らし」の価値創造

《喜びの拡大》多様な社会・個人への対応

《喜びを次世代へ》クリーンで安全・安心な社会へ

● 自由で楽しい移動の喜びの提供● 生活が変わる・豊かになる喜びの提供

● カーボンフリー社会の実現をリード● 交通事故ゼロ社会の実現をリード

● 社会特性や個人の状況に合わせた、最適な商品・サービスの提供

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 17

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15,102-16,102-46

Page 5: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

2 0 3 0 年ビジョン実現に向けた方向性

「移動」と「暮らし」をより豊かにHonda eMaaS

Honda eMaaSとは、モビリティサービス(MaaS ※ 1)と、エネルギーサービス(EaaS ※ 2)によって、お客様の移動と暮らしがシームレスにつながるサービスです。

Honda eMaaSは暮らしの拠点である自宅と移動手段であるモビリティ、到着先でのアクティビティをつなげたり、帰宅するまでの一連のプロセスをつなげることで、お客様に魅力のある体験価値を提供することができます。さらに効率的に移動する手段を提供し、過疎地の高齢者など移動弱者の増加やドライバー不足などの、社会的課題へ対応することができます。また今後モビリティの電動化がより一層進んでいくなかで、車両位置情報

やバッテリー充電情報、それ以外の情報である電力や気象・交通情報等を、統合管理することにより、市場に分散したバッテリー群を、一つの大きなエネルギーストレージとみなすことができます。つまり、Hondaの電動モビリティやエネルギー機器が、電力の一時的な蓄放電装置として機能することが可能です。これにより、ピークカット・ピークシフト・調整電力のための充放電を行うことで、電力系の安定化にも寄与し、お客様に対して電力価格の低減効果を提供できます。同時に、社会に対しては、再生可能エネルギーと製品をつなげることで再生可能エネルギー普及拡大に貢献することが可能です。このように Honda eMaaSにより、2030年ビジョン、「すべての人に『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」を実現していきます。

※ 1 MaaS:Mobility as a Service(サービスとしての移動)の略。次世代移動サービス。

※ 2 EaaS:Energy as a Service(サービスとしてのエネルギー)の略。次世代電力供給・エネルギー最適化サービス。

Honda eMaaSのイメージ

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 18

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 6: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

2 0 3 0 年ビジョン実現に向けた方向性

カーボンフリー社会の実現をリードするさらなる戦略の検討~複数シナリオの分析~気候変動 複数シナリオ分析

Hondaは TCFD※提言でも重要視されている「シナリオ分析」を実施してお

り、現在から将来に向けた複数のシナリオを想定したうえで戦略構築を行っています。どのシナリオも、さまざまな要因の変化により不確実性を含んでいるため、さまざまな状況における分析や検証が重要となります。リスクや機会をそれぞれのシナリオで明確にすることで、より持続可能な企業経営が実現できると考えています。そこで Hondaは複数のシナリオを視野に入れ、戦略を立案することで、事業や製品展開に活用し、リスク軽減や機会創出を図り、さらなる強靭性を持ったサービス・製品展開を実現します。

Hondaはこれまで、2℃シナリオをベースに、ライフサイクル全体で2050年をめどとしたCO2排出量の半減(2000年比)を目標として掲げ、GHG排出削減やエネルギー、資源の効率利用を基軸に事業活動を進めてきました。さらに気候変動が起こった際の事業に与えるインパクトも測定し、将来の気候変動影響で懸念されるリスクと機会を、より広範囲に分析できるように進めています。

Hondaはシナリオ分析の結果をもとに、戦略構築を行い、2030年ビジョンの

一つである「カーボンフリー社会の実現をリード」することをめざしていきます。

※ TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)の略。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 19

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 7: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

再生可能電力 バイオマス

電気分解

水素 電力

H2+CO2(CO2回収)

合成燃料(e-fuel) バイオ燃料

製品

FCV バッテリーEV PHEV ハイブリッド車・ジェット機など内燃機関搭載製品

「適材適所」で

カーボンフリーな

モビリティを組み合わせ

再生可能エネルギー

エネルギーキャリア※2

各地域のエネルギー政策や、地域特産エネルギーキャリアエネルギー政策・地域性

二輪・四輪・パワープロダクツ・航空機それぞれに適したエネルギーキャリア

エネルギーとモビリティの親和性

長距離・近距離走行といったパワーユニットごとの特徴パワーユニットの特徴と役割

快適性・スポーツ性能などの嗜好や、ファーストカー・セカンドカーなど使用目的

カスタマーの嗜好・目的

2 0 3 0 年ビジョン実現に向けた方向性

カーボンフリー社会の実現に向けてマルチパスウェイ

Hondaはモビリティの提供を通じて、人々が興味や関心を持ったことを実現するために外に出るきっかけをつくりたい、そして、家族や友人とリアルな体験を共有することで、生活を豊かにするお手伝いをしたいと考えています。そこには、社会にできる限り負荷を与えない、持続可能なモビリティを提供する責任がともないます。お客様の心をつかむような技術を生み出し、Honda製品を手に取ったすべてのお客様に、移動の喜びを実感していただけるのであれば、Hondaにとってこれ以上の喜びはありません。そうした想いと将来世代への責任を心に刻み、私たちは日々、課題の解決に向け、カーボンフリー技術の研究開発に取り組んでいます。

そこで Hondaは「マルチパスウェイ(複数の経路)で再生可能エネルギーの利用を促進する」というシナリオを描いています。再生可能エネルギーを使って発電した電気は、そのままバッテリー EVに提供することも可能ですが、電気を水素に変えて FCV※ 1に供給することもできます。また、水素と CO2を結合させて合成燃料にして、ハイブリッド車や航空機に供給することもできます。このように、再生可能エネルギーを運ぶ道筋は必ずしも電気だけではありません。マルチパスウェイとは、最もエネルギー効率が高くなるよう、全方位で技術の可能性を模索し、複数の経路でカーボンフリー社会をめざすという考え方です。また世界には、各地のエネルギー政策や地域性ごとに、多様なニーズがあり、個別の対応が必要です。グローバルで事業を展開する以上、各国・地域ニーズに適材適所で応えられるカーボンフリー技術を準備するのは、企業としての務めです。Hondaは、この戦略を通じて、すべてのお客様に最適なモビリティを提供してまいります。

マルチパスウェイのイメージ

※ 1 FCV:Fuel Cell Vehicle(燃料電池自動車) の略

※ 2 エネルギーキャリア:エネルギーの輸送・ 貯蔵を担う化学物質の総称。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 20

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 8: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

2 0 3 0 年ビジョン実現に向けた方向性

交通事故ゼロ社会の実現に向けてHondaの考え方

Hondaは、2030年ビジョンのステートメントに「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」と掲げています。モビリティは、移動の喜びや利便性を提供する一方で、交通事故というかたちで人の命を奪ってしまう側面もあります。Hondaにとって、人々が生活を送るうえで欠かせない移動にともなう交通事故をなくしていくことは、非常に重要な取り組みです。

Hondaは、交通事故ゼロ社会の実現をリードする存在となることをめざし、

「自由な移動の喜び」をすべての人に提供するため、下図のような四輪安全技術のロードマップを描いています。自動運転技術の研究による成果を、安全運転支援にも積極的に活用し、事故を減らしていきます。併せて、高齢者や初心者など、運転が得意でないドライバーの不安を取り除き、誰もがいつまでも自由に移動できるモビリティを提供します。さらに、一人ひとりに寄り添いながら、出かけたいという好奇心をかき立て

「思わず出かけたくなる」ような「新たな移動の喜び」を創り出します。

安全を創出

事故を回避負荷を軽減

被害を軽減

認識を支援

交通事故ゼロ社会の実現をリード

技術進化

1990 2000 2010 2020 (年)

● 助手席用SRSエアバッグ

運転席用SRSエアバッグ

● シートベルトプリテンショナー● i-SRSエアバッグシステム

● i-SRSエアバッグシステム〈連続容量変化タイプ〉

● i-サイドエアバッグシステム●

● コンパティビリティ対応ボディ● 歩行者傷害軽減ボディ

● ポップアップ フードシステム● ナイトビジョン

● アダプティブクルーズコントロール(ACC)● 車線維持支援システム(LKAS)

● VSA

● 衝突軽減ブレーキ(CMBS)

●ナローオフセット● i-SRSエアバッグシステム 〈斜め衝突対応〉

● LaneWatch(レーンウォッチ)

● 車車間通信

● 高速道路自動運転技術

● 衝突軽減ブレーキ(CMBS)〈夜間歩行者、自転車、交差点(右左折時)〉

● 衝突軽減ブレーキ(CMBS)〈歩行者(昼)〉

● 路外逸脱抑制機能

● 信号情報活用運転支援システム

先進安全新技術開発テストコース

全方位衝突実験施設

歩行者ダミー

四輪安全技術ロードマップ ※ 青で囲んだもの は、Hondaの技術開発を支える設備。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 21

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 9: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

ジェスチャー(歩行)

AIが歩行者の行動を予知予測

顔の向き

体の向き

予測軌道

2 0 3 0 年ビジョン実現に向けた方向性

安全運転支援

Honda SENSINGの標準装備化と機能高度化交通事故ゼロ社会の実現に向けて、Hondaが力を入れているのが、安全運転支援技術「Honda SENSING」の機能拡充です。2015年に日米欧の 3地域で発売を開始した、先進の安全運転支援システム Honda SENSING /「Acura

Watch」は、以後搭載機種の拡大を続けてきました。今後さらなる Honda SENSINGの標準装備化を着実に進めていくとともに、先進安全機能が搭載されていない既販車に対しては、後付けできる「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の市販に向け、開発に取り組んでいます。近年、日本で社会問題となっている誤発進事故のように、これまで人間が運転していた点を、いかにセンシング能力の向上でサポートできるかが、将来に向けた技術進化の、重要な方向性の一つです。

Hondaは、安全運転支援システムの機能を高度化し、標準装備化していくことによって、交通事故のない社会の実現にまた一歩近づくことができると考えています。運転技術に自信がない初心者や、運転中の認知・判断・操作が遅れやすい高齢者を含めた多くの方に、安全運転支援技術を提供することで、より安全な運転の実現をサポートします。

高度なAI技術の開発により、さらに複雑な交通状況にも的確に対応また人工知能(AI)を用いて、予知・予測・判断能力を向上させる技術開発にも積極的に取り組んでいます。人間の頭脳は、過去の経験則から「ここから人が飛び出してくるかもしれない」というように、さまざまな事故の可能性を予見して運転し、いざという時には瞬時に対応する能力を持っています。こうした、人が持つ膨大な認知・行動パターンのデータを蓄積し、標準化して AIに学習させることで、「ぶつからない技術」を進化させることができれば、より複雑な交通状況への対応も可能になっていきます。例えば、歩行者や自転車が多い商店街をクルマで走る場面で、狭い道路脇からの急な飛び出しを予測し、危険を先読みして回避する。あるいは、混雑時の高速道路で合流する際に、本線にいるクルマが車間を開けて譲る意思があるかを見極めて、安全なタイミングで合流する。こういった、他の交通参加者との協調が必要な場面で、高度な AI技術が周囲の状況を認識し、他者の動きを予知して回避できるような、スムーズな運転の実現をめざしています。

Honda SENSINGの最新の進化

AIを用いた予知・予測技術のイメージ

路外逸脱抑制機能路外逸脱抑制機能 近距離衝突軽減ブレーキ

衝突軽減ブレーキ(CMBS)

車線以外(縁石、草、砂利など)

対向車線 壁などの障害物

横断自転車 夜間歩行者 右左折時 対向車

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 22

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 10: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

2 0 3 0 年ビジョン実現に向けた方向性

自動運転技術

Hondaは「交通事故ゼロ社会の実現」をめざすうえで重要な役割を果たすものが安全運転支援技術で、その進化の先には自動運転技術があると考えています。安全運転支援技術 Honda SENSINGでは、カメラやセンサーといったシステムがつねに周囲の状況を認識し、歩行者や自転車、他のクルマなどを検知して、

運転をサポートしています。これまで積み重ねてきた安全運転支援技術のほか、以前から続けてきた事故調査など安全技術の知見を総動員することで、自動運転車では搭載されたカメラやセンサー、AIが「認知」「予測」「判断」「操作」を行い、高度な自動化によりヒューマンエラーの排除を可能とすることをめざしています。

ドライバ状態

自車位置

周辺車両

システム状態

車両制御

ローカルマップ処理

最適な行動計画

障害物の距離と速度

座標照合と白線補正

バックエンドサーバー

TCU (通信ユニット)

把持センサー操舵トルクセンサー

ヘッドアップ ディスプレイ

センターディスプレイ

(NAVI)

全面液晶メーターステアリングインジケーター

〈曲がる〉EPS冗長化

〈止まる〉ブレーキ冗長

〈電源〉2ndバッテリー

ドライバーモニターカメラ

地図 ECU +高精度地図

マルチ GNSSアンテナ

自車位置認識

外界認識

ドライバー状態検知

行動計画

HMI

車両制御・機能冗長Radar Fusion

Camera Radar Sub-ECU1

Main-ECU

LiDAR Fusion

Camera LiDAR Sub-ECU2

障害物の距離と速度

地図統合

高速道自動運転車のシステム構成

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 23

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 11: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

マテリアリティ分析

※ 1 SDGs:Sustainable Development Goalsの略。2015 年に国連持続可能な開発サミットにおいて採択された貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などに関する国際目標。

※ 2 ESG:Environment(環境)、Social (社会)、Governance(ガバナンス)の略。

※ 3 モビリティデバイド:移動手段の違いによる人の生活の格差。

ステークホルダーの視点を踏まえた課題評価Hondaフィロソフィーを基点とした長期ビジョン達成に向けては、取り組むべき重要な課題を Hondaとステークホルダーの 2つの視点から整理しています。「マテリアリティマトリックス」はそうした課題を整理するための代表的なフレームワークであり、これを作成・活用することで、課題の網羅性を確認し、位置付けを明確化しました。マテリアリティマトリックスの作成にあたっては、課題の抽出とその重要性の評価という 2 段階で行いました。課題の抽出は、社内各本部のメンバーによる議論に加え、技術革新の状況、SDGs ※ 1 やパリ協定に記された社会課題も踏まえ、グローバルかつバリュー・チェーンの観点で実施しています。そしてこれら課題の重要性について、代表的な ESG ※ 2 評価機関や、企業のサステナビリティに精通した欧米の NGOとの対話などを通じて、ステーク

各重要課題に対する取り組みは、各パートで説明しています。

ホルダー視点での評価を行いました。そのうえで、サステナビリティ戦略会議などにおいて、経営メンバーが評価・確認をしています。こうして、「カーボンフリー社会の実現」や「交通事故ゼロ社会の実現」などを、モビリティカンパニーとして優先的に取り組むべき重要課題として可視化することができました。これらは、SDGsの目標 13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」、目標 7「すべての人々に手頃で信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」や目標 3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」などの達成に貢献するものと考えています。このように、ステークホルダーの視点を踏まえて特定された重要課題は、ビジョン達成のための全社戦略に反映され、各事業活動へ織り込まれていきます。

各象限内での重要度に違いはない

水資源の保全サプライチェーン全体へのサステナビリティ活動の展開人権の尊重

労働安全衛生の確保生物多様性の保全化学物質の適切な管理と汚染防止開発途上国の経済発展への貢献

ステークホルダーにとっての重要性

Hondaにとっての重要性

気候変動・エネルギー問題への対応クリーンな大気の保全電動化の推進資源の効率利用交通事故死者数の大幅削減製品品質の向上モビリティデバイド※3の解消

最重要課題

モビリティ体験の質の向上情報化・自動化技術の生活への活用ブランドマネジメントの強化経営資源の有効活用ガバナンスの強化多様性の拡大と人材の育成

2030年ビジョンの実現

存在を期待される企業へ

全社戦略への反映

重要課題

極めて高い高い

極めて高い

高い

取り組むべき課題の整理

マテリアリティマトリックス

戦略(⇒p.14)

ガバナンス(⇒p.36)

環境(⇒p.53)

安全(⇒p.80)

品質(⇒p.94)

人材(⇒p.110)

サプライチェーン(⇒p.134)

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 24

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15,102-16,102-46,102-47,103-1,103-2,103-3

Page 12: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

H o n d a の取り組みと S D G s

SDGsへの貢献Hondaはステークホルダーの皆様と喜びを共有するために、時代のニーズを先取りした世の中に役立つ独自の技術で、モビリティ社会の発展に貢献することをめざしています。この考え方は SDGs の目標 9「産業と技術革新の基盤を作ろう」、目標 12

「つくる責任 つかう責任」や目標 17「パートナーシップで目標を達成しよう」 の達成に通じるものであり、Hondaの企業活動全般に関わるものとなっています。

また、Hondaは経済的な価値を追求しながら、社会への価値を創出していくことが、持続可能な経営にもつながり、ひいては社会の持続可能性にも貢献できるものと考えています。

2030年ビジョンの実現に向けた重要課題(⇒ p.24)に基づき、企業活動を通じて「持続可能な開発目標(SDGs)」にも貢献していきます。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 25

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 13: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

H o n d a の取り組みと S D G s

最重要課題 Hondaの取り組み 達成に貢献するSDGs目標気候変動・エネルギー問題への対応

eMaaS (⇒p.18)カーボンフリー社会 (⇒p.19)物流に関する取り組み (⇒p.138)サプライヤーでの環境負荷低減 (⇒p.144)

クリーンな大気の保全 クリーンな大気の保全 (⇒p.69)

電動化の推進 製品の電動化(⇒p.58)

資源の効率利用 マルチパスウェイ(⇒p.20)資源の有効利用(⇒p.60)

交通事故死者数の大幅削減 事故ゼロ(⇒p.21)事故に遭わない社会へ(⇒p.81)

モビリティデバイドの解消 eMaaS(⇒p.18)

Hondaの取り組み内容

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 26

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 14: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

H o n d a の取り組みと S D G s

重要課題 Hondaの取り組み 達成に貢献するSDGs目標水資源の保全 水資源の保全 (⇒p.70)

サプライチェーン全体へのサステナビリティ活動の展開

サプライチェーンのサステナビリティ強化に向けて (⇒p.135)サプライヤーでの環境負荷低減 (⇒p.144)

人権の尊重 人権 (⇒p.114)ダイバーシティの取り組み (⇒p.117)

経営資源の有効活用 持続的な成長のために (⇒p.16)

ガバナンスの強化 コーポレートガバナンス (⇒p.37)

多様性の拡大と人材の育成 人総合力の発揮に向けた多様性の進化 (⇒p.114)OJTを基盤とする人材育成 (⇒p.115)ダイバーシティの取り組み (⇒p.117)

労働安全衛生の確保 労働安全衛生 (⇒p.125)

生物多様性の保全 生物多様性の保全 (⇒p.71)

化学物質の適切な管理と汚染防止

化学物質の管理と削減 (⇒p.71)

開発途上国の経済発展への貢献

2030年ビジョン (⇒p.17)

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 27

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 15: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

サステナビリティ戦略会議 環境安全戦略会議

取締役会

経営会議

各本部/各子会社

サステナビリティ全領域に関わる・中長期の戦略/方針・情報開示の方向性・課題/進捗状況

環境安全領域に関わる・中長期の戦略/方針・情報開示の方向性・課題/進捗状況

議長:最高財務責任者(CFO) 議長:社長(CEO)

出 席 者:経営会議メンバー、執行役員、常勤監査等委員取締役開催頻度:1回/年事 務 局:経営企画統括部

サステナビリティマネジメント体制

サステナビリティ課題の特定と推進体制Hondaは、サステナビリティ活動の方針や取り組みを議論・検討する場として、最高財務責任者(CFO)を議長とする「サステナビリティ戦略会議」を設定しています。この会議では、ビジョン実現に向けた課題を、ステークホルダーとの対話などから認識した期待や要請に照らし合わせて特定し、その対応・推進状

サステナビリティマネジメント体制(2019 年度~)

況の確認を含め議論しています。2019年度からは、環境安全領域の推進強化のため当該領域会議を分離しました。それぞれの議題に集中できるよう、議長も個別に設定しています。ここで検討された重要課題を踏まえて、経営会議や取締役会で全社戦略を決定し、各本部、各子会社の方針・施策として実行しています。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 28

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-18,102-19,102-20,102-21,102-26,102-27,102-28,102-29,102-30,102-31,102-32,102-33,102-34,102-46

Page 16: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

ステークホルダーエンゲージメント

基本的な考え方Hondaが社会から「存在を期待される企業」となるためには、コミュニケーション・サイクルを実践していくことが必要です。それは、① Hondaがどのような価値を社会に提供しようとしているのかを適宜・的確に伝え、②多様なステークホルダーの Hondaに対する要請や期待を把握・理解し、③具体的な施策に落とし込み、④その評価を受ける、という仕組みです。とりわけ近年は、事業の規模拡大やグローバル化に加え、ITの急速な普及によって、企業活動が社会に及ぼす、また社会が企業に及ぼす影響の大きさや範囲が広がっており、そのスピードも加速しています。そんななか、「ステークホルダーとの対話」は、Hondaの取り組みに対するより正しい理解につながるとともに、社会環境の変化やリスクを把握できる有益な手段でもあると考えています。こうした認識のもと、Hondaはグローバルで、さまざまな機会を通じて対話を実施しています。この対話は、Hondaのステークホルダーのなかでも、右図の主要なステークホルダー(Hondaの事業活動により影響を受ける、もしくはその行動が事業活動に影響を与えるもの)と、社内各部門との間で行っています。例えば、株主・投資家とのエンゲージメントでは、シェアホルダー(株主)リレーションズと、インベスター(投資家)リレーションズを通じて、Honda

をより正しく理解してもらえるよう対話を行っています。また、代表的な ESG評価機関や NGOとの対話から得られた意見を「マテリアリティ分析」(⇒ p.24)に反映させ、Hondaが取り組むべき課題の特定に役立てています。

会議体への参加など

経済団体業界団体

国際イニシアチブへの参画、定期的な

コミュニケーションなど

国際機関NGO

製品の商品性検証、技術の共同開発

など

研究機関

株主総会、機関投資家向け説明会など

株主・投資家お客様満足度調査、

Enjoy Hondaなど

お客様

施策や技術に関する対話の実施、実証実験など

国・自治体従業員満足度調査、役員と従業員との

対話など

従業員

工場見学、従業員による

社会貢献活動など

地域社会

相互補完による協力関係など

ビジネスパートナー

ジャーナリストミーティング、新車発表会など

メディア

お取引先懇談会、サプライヤー

リスクアセスメントなど

サプライヤー

販売会社懇談会 /説明会など

販売会社

Honda

ステークホルダーエンゲージメント

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 29

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-40,102-42,102-43,102-44,103-1,103-2,103-3,413-1,413-2

Page 17: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダー 主な対話方法 概要 頻度対応するマテリアリティマトリックス項目 窓口 参照

お客様 お客様満足度調査 サービスオペレーション向上のため、全世界において各販売店でアフターサービスを受けたお客様に対し、顧客満足度についての調査を実施しています。

毎年 ブランドマネジメントの強化

顧客担当部門 ⇒ p.102

交通教育センターでのスクール・企業研修

安全運転普及のため、日本国内をはじめ、世界36ヵ国で二輪車・四輪車・高齢者講習などの交通安全研修を行っています。

通年 交通事故死者数の大幅削減

安全運転普及担当部門

⇒ p.83

株主・投資家 決算説明会 決算概況、取り組みなどにつき、記者会見、電話会議を開催しています。得られたご意見、ご要望を参考に企業価値の最大化に取り組んでいます。

年4回 財務部門 https://www.honda.co.jp/investors/

個別説明・カンファレンス参加

経営状況、生産、研究開発、事業戦略の説明、意見交換を実施しています。得られたご意見、ご要望を参考に企業価値の最大化に取り組んでいます。

通年

サプライヤー 事業計画懇談会・事業状況共有会

中長期経営方針、事業計画、サステナビリティ案件(ESG/コンプライアンス・ガバナンス/リスクアセスメント)に関する情報を共有します。

毎年 製品品質の向上サプライチェーン全体へのサステナビリティ活動の展開

購買部門 ⇒ p.148

サプライヤーへの第三者監査の実施

購買用ガイドライン(⇒ p.141)に基づきコンプライアンス違反等の未然防止、環境負荷低減実現のため、主要サプライヤーへの第三者監査を実施します。

毎年 サプライチェーン全体へのサステナビリティ活動の展開ガバナンスの強化

⇒ p.146

経済団体・業界団体 業界団体活動への参画 業界活動を通じて社会の期待・要請を把握し、持続可能な事業環境を整え社会に貢献すべく、各種会議体に参画しています。

通年 渉外部門

国際機関・NGO 森林保全活動(秩父・富士山)

「豊かな水を育む森を次世代へ」をコンセプトに、全国7ヵ所の水源の森で保全活動を行っています。

年2回 水資源の保全 社会貢献推進部門

https://www.honda.co.jp/philanthropy/forest/

国際イニシアチブへの参画 持続可能な社会の実現に向けた、期待・要請の把握と貢献をめざし、各種会議体に参画しています。

通年 サステナビリティ企画部門

地域社会 ビーチクリーン活動 「素足で歩ける砂浜を次世代へ」をコンセプトに、全国各地の砂浜で清掃活動を行っています。

年30回程度 生物多様性の保全 社会貢献推進部門

⇒ p.152

従業員 意識調査 より働きやすい職場環境づくりのため、従業員の意識調査や活性度測定を行っています。

意識調査:3年ごと活性度測定:毎年

多様性の拡大と人材の育成

人事部門 ⇒ p.125

2019年度における取り組み例

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 30

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-40,102-42,102-43,102-44,103-1,103-2,103-3,413-1,413-2

Page 18: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

ステークホルダーエンゲージメント

外部団体との協働Hondaは、グローバルなモビリティカンパニーとしての責任を果たしていくために、政府をはじめ経済団体や業界団体との対話を推進するとともに、外部団体との協働を行っています。日本においては一般社団法人日本自動車工業会の副会長職、理事、委員会委員長職、委員、公益社団法人自動車技術会の理事、東京商工会議所の副会頭職を引き受けています。また、IMMA ※ 1や OICA ※ 2といった二輪車、四輪車の国際団体においても、委員会、作業部会の議長を各業界団体の代表として務めています。さらにWEF※ 3 や、WBCSD ※ 4 への加盟を通じて、サステナビリティに関するイニシアチブとも協力しています。なお Hondaの各地域における事業執行にあたっては、各地域が自立性を高め、迅速な意思決定を行うため、一定の範囲内で権限を委譲しています。政治献金を行う場合は、各国の法令に基づき、社内の必要な手続きを経て行っています。

※ 1 I M M A:I n t e r n a t i o n a l M o t o r c y c l e Manufacturers Association(国際二輪車工業会)の略。

※ 2 OICA:Organisation Internationale des Constructeurs d'Automobiles(国際自動車工業連合会)の略。

※ 3 WEF:World Economic Forum(世界経済フォーラム)の略。

※ 4 WBCSD:World Business Council for Sustainable Development(持続可能な開発のための世界経済人会議)の略。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 31

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

103-1,103-2,103-3,415-1

Page 19: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

ステークホルダーエンゲージメント

外部評価企業の持続可能性の指標 「Dow Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に選定

2019 年 9月、Hondaは社会的責任投資の代表的な指標である DJSI ※ 1

の評価において、全世界における自動車セクターの上位 4 社に入り、「Dow

Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に 3年連続で選定されました。また同時に、アジア・太平洋地域の「Dow Jones Sustainability Asia/

Pacific Index」の構成銘柄に 5 年連続で選ばれています。DJSI は、米国の S&P Global社によって運営されている投資指標です。経済・環境・社会の 3つの側面から世界の主要上場企業のサステナビリティを評価し、総合的に優れた企業を構成銘柄として選定しています。

S&P Global社によるサステナビリティ評価にて 「Silver Class」に選定

Hondaは S&P Global社によるサステナビリティ企業評価「Sustainability

Award 2020」において、「Automobiles」セクターで「Silver Class」を獲得しました。 S&P Global社は経済・環境・社会の側面から、世界約 4,700

の企業のサステナビリティ評価を行い、毎年、各セクターの評価上位企業を「Gold Class」「Silver Class」「Bronze Class」として発表しています。

「CDP Japan 500 Climate Change Report 2019」において 「B」を獲得

2020年 1 月、CDP は、世界の大手企業約 5,000 社を対象に実施した、各企業の気候変動対策や GHG ※ 2 排出量削減への取り組みの調査結果を発表しました。

Honda は、そのなかの1カテゴリーである「CDP Japan 500 Climate

Change Report 2019」にて、「B」を獲得しました。CDPは、企業や都市の重要な環境情報を測定・開示・管理し、共有するためのグローバルなシステムを提供する国際的な非営利団体です。企業の環境問題への取り組みレベルを「情報開示」「認識」「マネジメント」「リーダーシップ」の 4 段階で評価しています。

CDP評価指標である気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD ※ 3)で要求されている項目については、パフォーマンス報告の環境(⇒ p.53)をご参照ください。

※ 1 DJSI:Dow Jones Sustainability Indices (ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)の略。

※ 2 GHG:Greenhouse Gas(温室効果ガス)の略。

※ 3 TCFD: The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 32

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-12,102-13

Page 20: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

研究開発

基本的な考え方Hondaは、未知の世界の開拓を通じて新しい価値を創造することを目的に、1960年、本田技研工業株式会社から研究開発部門を分離・独立させ、独自の研究開発機構である株式会社本田技術研究所を設立しました。創業者 本田宗一郎は、「私が研究所で何を研究しているかといえば、技術ではなく、どういうものが人に好かれるかを研究しているのです」と語っています。この言葉が示すように、研究所では、技術を研究するだけではなく、人の価値観を研究することで、新しい価値の創造に挑戦してきました。二輪・四輪・ライフクリエーション・航空機等、それぞれの事業を取り巻く環境は大きく異なり、他方、デジタル技術革命は、事業領域を限定しない大きな社会構造の変化をもたらそうとしています。このような時代の潮流のなかで、Hondaが 2030年ビジョンに掲げる「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」ためには、「将来に向けた新価値創造」と「タイムリーで競争力の高い商品開発」をともに強化していく必要があります。

2019年~の変革

そこで、2019年 4月には、「120%の良品を生み出す」使命を持ち、タイムリーかつ競争力の高い商品開発を担う機能と、「99%の失敗のなかから新たな価値を創出する」技術研究を担う機能とに分化。この「商品開発」と「技術研究」とを同居させた、「二階建て経営」に取り組んできました。具体的には、まず二輪の研究開発機能を本田技研工業株式会社に統合しました。また、研究所においても最高効率の商品開発オペレーションを追求する「オートモービル」「ライフクリエーション」「エアロ」の事業別研究開発組織へと再編しました。併せて新価値創造に向けては、将来のモビリティ革新技術と先進技術創出に取り組む専任組織として「先進技術研究所」を発足させました。同時に、デジタル技術の活用や、モビリティ・コネクテッド・エネルギーマネジメント等のさまざまなサービス開発による新価値創造を担う「デジタルソリューションセンター」を新設しました。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 33

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 21: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

研究開発

2020年~の変革

さらに 2020年 4月には、Honda全体として、これらの変革をさらに推し進めるため、四輪事業強化に向けた「四輪商品開発機能」、Honda全体のデジタルトランスフォーメーションの実現や新サービス開発の強化に向けた「デジタルソリューション関連機能」を、それぞれ本田技研工業株式会社へと統合しました。これらの組織再編により、新たな研究所は、創業者の想いでもあった「研究所は思い切ったデザインや誰も真似ができない技術を生み出す組織体」として、未来の価値創造に向けた技術研究・開発に注力する体制へと生まれ変わります。新しい研究所は、2019年に設立した「先進技術研究所」における研究領域の拡大と強化に加え、Hondaの競争力の源泉であり強みであるパワーユニットと環境エネルギー領域のエキスパートを商品の枠組みを超えて集結させ、特化した「先進パワーユニット・エネルギー研究所」、暮らしの新価値を創造する「ライフクリエーションセンター」、価値創造の原点であるデザインを商品の枠組みを超えて一貫性のあるメッセージとしてお届けする「デザインセンター」の体制に再編しました。これにより研究所は商品に違いを生み出す革新技術の基礎・応用研究と技術開発、さらには新たなモビリティやロボティクスに代表される新価値商品の研究開発を担い、Hondaのドライビングフォースとして将来の価値創造をリードしていきます。研究所は、その設立以来、「技術で人の役に立つ」という変わらぬ想いを胸に、自己変革を繰り返しながら運営されてきました。2030年ビジョンの実現に向けては、前述の運営体制の変更により、新価値創造・技術創出力を高めていきます。加えて、大きな時代のうねりに対応するために、外部の技術・ビジネスパートナーとの連携も図っています。Hondaは、人々にとって価値あるもの・ことを通じて、「移動と暮らしの喜び・豊かさ」「クリーンで安全・安心な社会」をお届けするべく、研究開発に取り組んでいます。

現行

統括機能本部

先進技術研究所

オートモービルセンター

デジタルソリューションセンター

ライフクリエーションセンター

HRD Sakura HRD Sakura

エアロエンジンセンター

株式会社本田技術研究所

新体制(2020年4月~)

先進技術研究所

先進パワーユニット・エネルギー研究所

ライフクリエーションセンター

デザインセンター

株式会社本田技術研究所

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 34

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15

Page 22: トップ Honda パフォーマンス 報告Honda Sustainability Report 2020 14 1 編集方針 トップ メッセージ 2 Honda フィロソフィー 3 4 Honda の概要 6 ガバナンス

イノベーションマネジメント

Honda の研究開発子会社である株式会社本田技術研究所は、従来の機械工学に加えて、脳研究や視覚・聴覚認識など最先端の知能化研究をさらに進化させることを目的に、2003 年に株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュートを設立。ドイツ・フランクフルト、米国・シリコンバレー・コロンバス、日本・埼玉県和光市に拠点を設け、先進科学研究者とのネットワークを構築し、研究に取り組んできました。また、株式会社本田技術研究所の米国・シリコンバレーにある同社の子会社である現地法人 Honda R&D Innovations, Inc.では、2015 年より、オープンイノベーションを通じて革新的な製品やサービスを作り出すプログラムとして、「Honda Xcelerator(ホンダ・エクセラレーター)」を、シリコンバレーを中心に、イスラエル、欧州、中国、日本などで推進しています。Honda Xcelerator は、革新的なアイデアを持つスタートアップ企業に対し、資金援助やコラボレーションの場、テスト用車両、Hondaのメンターによるサポートなどを提供するプログラムです。パーソナルモビリティ、自動運転、人工知能、先進素材、ロボティクス、エネルギー、ヒューマン・マシン・インターフェース、製造技術などの領域を開発対象として、共創を通じたモビリティやエネルギーマネジメントの進化をめざしています。株式会社本田技術研究所は、この Honda Xceleratorを通じて、世界各地のスタートアップ企業と、相互にメリットのある戦略的関係を築き、新たな技術やビジネスモデルを採用した、将来の製品やサービスの研究開発を進めてきました。2020年 4月からは、本社の「経営企画統括部 ビジネス開発部」に、その機能を統合し、社会実装に向けた準備を加速しています。一方、日本でも知能化研究開発を加速するために、外部有識者や研究機関との連携を図る共創の場として、「Hondaイノベーションラボ Tokyo(英語名称 :

Honda R&D Innovation Lab Tokyo)」 を、2017年 2月に東京・赤坂に開設しています。また、2017年 4月に開設した「R&Dセンター X(エックス)」では、「ロボティ

クス」「CI」「エネルギーマネジメント」などの技術を研究してきました。2019

年 4月からは、豊富な商品開発の経験を有する「パワープロダクツR&Dセンター」と、この「R&Dセンター Xを融合させ、既存パワープロダクツ商品の知能化や新価値創出を実現する「ライフクリエーションセンター」として活動を進めてました。なお 2020年 4月には、「ライフクリエーションセンター」のパワーユニット開発機能について、新設された「先進パワーユニット・エネルギー研究所」に移管し、「暮らし」の未来を創造する「完成機開発室」と、新たな事業の柱となるマリンの商品開発を行う「マリン開発室」を新設しました。

戦略5

Hondaのサステナビリティ ・・・・・・・・・ 15

持続的な成長のために ・・・・・・・・・・・・・ 16

2030年ビジョン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2030年ビジョン実現に向けた方向性 ・・・ 18

マテリアリティ分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 24

Hondaの取り組みとSDGs ・・・・・・・・・ 25

サステナビリティマネジメント体制 ・・・ 28

ステークホルダーエンゲージメント ・・・ 29

研究開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

イノベーションマネジメント ・・・・・・・・ 35

Honda Sustainability Report 2020 35

編集方針1 トップメッセージ2 Honda

フィロソフィー3 Honda の概要4 ガバナンス6 パフォーマンス報告7 資料8目次 5 戦略

strategy

目次

102-15