ビジネス支援サービスの活用...•bpoを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。...

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ビジネス支援サービスの活用 平成26年3月 商務情報政策局 1 資料4

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Page 1: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

ビジネス支援サービスの活用

平成26年3月

商務情報政策局

1

資料4

Page 2: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

ビジネス支援サービスとは

• 「ビジネス支援サービス」とは企業の業務を代替するサービスをいう。

• 大別して、産業横断型(①ITO、②BPO、③KPO)、④産業特化型に整理できる。

付加価値

ITOInformation Technology Outsourcing

KPOKnowledge Process Outsourcing

BPOBusiness Process Outsourcing

ソフトウェア R&D

ITコンサルティング

ソフトウェア開発

インフラストラクチャマネジメント

ビジネス・コンサルティング

ビジネス・アナリティクス

マーケットインテリジェンス

リーガルアウトソーシング

ERM

財務会計

サプライチェーン(購買・物流)

コンテンツ・ドキュメント

HRM

育成

人材管理

給与計算

採用

CRM

マーケティング&セールス

コンタクトセンタ/コールセンタ

産業横断

エネルギー例: エネルギー商取引、リスク管理、デジタル油田

ソリューション、等

旅行・運輸例: 収益管理システム、

顧客ロイヤリティソリューション、等

医薬例: R&D、臨床試験、医療記録転写

小売例: 電子商取引、プランニング、MD、デマンドインテ

リジェンス、等

その他

銀行・金融サービス・保険例:投資研究、プライベート・エクイティ調査、リス

ク・マネジメント調査、等

産業特化

製造例: 生産管理、ベンダー管理、組立・生産、等

通信例: IP transformation、ネット広告、マルチメディ

ア、等

(出所)デューク大学 Center on Globalization, Governance & Competitiveness より事務局作成 *1、*3 HfS Research 「State of the Outsourcing Industry 2013」

2

高度な分析能力・専門知識を必要とする分析の外部委託市場規模:170億㌦(2010)*2 成長率:24%(2012→2013)代表的企業:Infosys(印)

事務処理的なバックオフィス業務の一部の外部委託市場規模:3,040億㌦*3 成長率:5.5%(2012→2013)代表的企業:アクセンチュア(米)

情報システム部門の業務の一部の外部委託

市場規模:6,048億㌦*1(2013)成長率:3.9%(2012→2013)代表的企業:●●

*2 Evalueserve「KPO Industry Growth Impacted by the Great Recession」

Page 3: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

• ビジネス支援サービスを利用したサービス事業者の多くは、経営資源のコア業務への集中、コスト削減、業務の効率化といった生産性・付加価値向上の効果を得ている。

※ビジネス支援サービスは他の産業分野の生産性への波及効果が大きい。

ビジネス支援サービスの必要性① 生産性向上・高付加価値化への寄与

25.0

21.1

17.2

28.8

22.6

18.2

19.2

28.6

19.4

23.1

20.0

50.0

72.2

74.5

74.1

69.5

71.0

75.8

70.5

61.9

71.0

69.2

60.0

50.0

2.8

4.4

8.6

1.7

6.5

6.1

10.3

9.5

9.7

7.7

20.0

0.0

期待未満 期待通り 期待以上

コスト削減

業務の効率化

業務プロセスの標準化

経営資源のコア業務への集中

業務拡大への柔軟な対応

グローバルレベルでの効果的な業務の実現

専門的知識・スキルの活用

新技術の活用

コンプライアンスの遵守・法令等改正への対応

セキュリティリスクの軽減

経営上の意思決定の迅速化

Q8A「その他」の回答内容表示

ビジネス支援サービス利用(うちBPO)で得られた効果についてのアンケート調査 N=216

出所:平成25年度経済産業省アウトソーシングやシェアードサービスの企業による利用の実態調査

3

Page 4: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

(参考)ビジネス支援サービスによる生産性向上・高付加価値化の事例

4

飲食業A社

新店舗数の飛躍的な増加に比例し、売掛金管理業務が増加。コア業務に集中すべき正社員の業務時間を確保するかが課題だった。独自の「売掛金管理業務」のシステム化では、社員のトレーニングなどが新たに必要となり、時間的コストの削減には繋がらなかった。

BPOの導入効果 1 社員が派遣スタッフやアルバイトへのトレーニング等の業務から解放さ

れ、アドバイザリー業務などのコア業務に従事するができた。 売掛金管理に従事する社員が3名から1名になり、また1店舗あたりの単価

が15%ほど削減できた。

Page 5: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

全体5.1%

出所:HfS Research 「State of the Outsourcing Industry 2013」

0

200

400

600

800

1000

1200

2012 2013 2014 2015 2016 2017

(10億ドル)日本 アジア太平洋(日本を除く)

欧州・中東・アフリカ 南米

北米

世界の地域別ビジネス支援サービス(ITO+BPO)市場推移

5

日本 3.0%

• 世界的に見ると、特に市場規模の大きいITO・BPOは、年平均5.1%(2017年には約1兆1,700億ドル規模)の成長見込み。しかし日本は年平均3.0%に留まる。

• 北米と比べると、特にGDPに占めるBPOの市場規模が小さく、BPOの成長が遅れている。日本にとって、特にBPOの成長を促すことが重要。

ビジネス支援サービスの必要性② 成長産業としての可能性

国2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

BPO北米 0.75% 0.76% 0.77% 0.77% 0.77% 0.77%

日本 0.14% 0.17% 0.17% 0.18% 0.18% 0.18%

ITO北米 1.18% 1.18% 1.18% 1.20% 1.22% 1.21%

日本 1.40% 1.76% 1.74% 1.73% 1.69% 1.67%

全体

北米 1.93% 1.94% 1.95% 1.97% 2.00% 1.98%

日本 1.55% 1.94% 1.91% 1.91% 1.87% 1.86%

GDPに占めるアウトソーシング市場の割合

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6

• BPOに期待した効果について、日本は米国に比べ、「経営資源へのコア業務への集中」 、「業務拡大への柔軟な対応」といった、戦略的なBPO利用への意識が低い。

• また、BPOの業務領域別に利用割合を見ても、総じて米国の方が高く、多くの企業が幅広い業務領域でBPOを活用している。

67.6%

64.5%

29.3%

31.5%

26.2%

19.4%

26.9%

30.9%

30.6%

13.6%

8.3%

1.2%

72.2%

68.2%

19.4%

19.7%

10.4%

11.0%

26.1%

7.0%

10.4%

8.7%

5.0%

0.7%

0 20 40 60 80

コスト削減

業務の効率化

業務プロセスの標準化

経営資源のコア業務への集中

業務拡大への柔軟な対応

グローバルレベルでの効果的な業務の実現

専門的知識・スキルの活用

新技術の活用

コンプライアンスの遵守・法令等改正への対

セキュリティリスクの軽減

経営上の意思決定の迅速化

その他

米国(n=324) 日本(n=299)

BPOに期待した効果(日米比較、2014)

18.5%

23.8%

25.9%

20.1%

17.0%

21.6%

31.8%

55.6%

46.3%

8.0%

8.4%

14.0%

11.0%

14.0%

17.1%

19.1%

5.7%

16.1%

15.7%

12.7%

0 10 20 30 40 50 60

調達・購買

人事

財務・経理

マーケティング

カスタマーサポート(CRM)

データの分析・解析

ドキュメント

法務

税務

その他

米国(n=324) 日本(n=299)米国(n=324)        日本(n=299) 米国(n=324)        日本(n=299)出所:平成25年度経済産業省アウトソーシングやシェアードサービスの企業による利用の実態調査

課題① 戦略的BPO利用への意識の低さ(BPO利用に関する日米比較1)

BPOの業務領域別の利用割合(日米比較、2014)

6

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(参考)米国の戦略的BPOの利用事例プルデンシャル・ファイナンシャル社

• 大規模な国際展開戦略(新たなコア業務)の実行のため、BPOベンダを「経営パートナー」と位置づけ、BPOを利用することで、業務プロセスの徹底的な可視化・合理化、コア業務への人員集中等を実施。

• 人材管理(Human Resource)に関する10以上の間接業務(給与、福利厚生、人材育成など)を包括的にアウトソーシング。

• のべ約250名の人員を削減しつつ、国際業務への人員配置増を実施。

7

米国内従業員48,000名

海外の従業員9,000名

米国内従業員22,500名

海外の従業員22,500名

2000年 社員57,000名 2002年 社員45,000名

国際業務へのシフト戦略

BPO利用

•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

(出典)「プルデンシャル生命の現状2013」

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戦略的BPOへの意識の低さの他、日本企業は以下の課題を抱えている。

①BPOのコストとメリットへの認識が不足(≒戦略的BPO利用への認識不足)

②当該業務に従事していた人材の処遇が困難

③BPO事業者に関する情報の不足

28.0

18.7 14.7

10.4 11.2 11.2

33.3

16.0 13.3

1.3

21.3

29.3

16.5

22.3

8.3 12.8

17.8

36.0

18.5

13.0

2.0

25.3

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

コスト削減以外のメリッ

トについて理解を得にく

従来当該業務に従事して

いた社員の扱いにこまる

現場の反対が強い

経営層の理解が得られな

費用を捻出することが困

どの事業者を選べばよい

か分からない

費用対効果が得られるか

どうか分からない

実際に業務を移管するま

でに長い時間を要する

業務プロセスの洗い出し

やマニュアル化など、手

間ひまがかかる

その他

特になし

① ①

アウトソーシングを検討した際の課題(日米比較、2014)

米国(n=400)

日本(n=375)

出所:平成25年度経済産業省アウトソーシングやシェアードサービスの企業による利用の実態調査 8

課題② 人材の処遇、BPOベンダに関する情報不足

Page 9: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

課題③ 中小サービス業のBPO利用の低さ

• 中堅・中小企業は大企業と比較するとBPOの利用割合が低いが、BPOを利用している中堅・中小企業の満足度は大企業と比較して遜色ない高い水準にある。

• 今後のBPO利用についても大企業と同等程度の意向を示している。

• 中堅・中小企業は利用してみるとBPOの良さを実感するが、実態としての利用は少ない状態にあると言える。

出所:平成21年度経済産業省BPO調査報告書

BPO利用有無の規模別比較 BPOへの満足度の規模別比較今後のBPO利用への考え方の規模別比較

•規模が小さいほど利用割合が減少 •規模に関わらず満足している企業が多い

9

•利用意向は規模に関わらず同程度

Page 10: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

• 米国では、1989年イーストマン・コダック社がIBMへBPOを行った案件を契機に、急速にBPOが普及。2012年には世界のBPO市場の50%を米国が占めるようになった。

• また、世界ランキング「The Global Outsourcing 100」の上位10社のうち半数が米国企業であり日本企業はランク入りしていない。

米国のアウトソーシング成長期案件

10

Rank 企業 国

1 ISS デンマーク

2 Accenture 米国

3 Wipro インド

4 CBRE 米国

5 Infosys インド

6 HCL Technologies インド

7 CSC 米国

8 Sodexo フランス

9 NCR 米国

10 Johnson Controls - Global WorkPlace Solutions

米国

アウトソーシング企業ランキング上位10社

0

100

200

300

400

2012 2013 2014 2015 2016 2017

(10億ドル) 日本 アジア太平洋(日本を除く) 欧州・中東・アフリカ 南米 北米BPO市場推移

北米50%

出所:International Association of Outsourcing Professionals

日本

時期 案件

1989年

イーストマンコダック社の情報システムシカゴ市駐車場システムゼネラルダイナミクス社の情報システムコンチネンタル銀行の情報システム

1994年 ゼロックス社の情報システム

1995年JPモルガンの情報システムコンパック社のパソコン開発・設計業務

1996年 南オーストラリア州政府の情報処理業務

平成11年度通商産業省アウトソーシング産業事業規模基本調査より事務局作成

出所:HfS Research 「State of the Outsourcing Industry 2013」

課題④ 市場規模とBPOベンダ企業の日米比較

Page 11: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

要因分析① 戦略的なBPO利用の意識が低い理由

• 日本企業の多くはBPOをコスト削減の手段として認識しているため、戦略的なBPO利用への意識が低いと考えられる。

• 現にBPOを行う日本企業の多くは連結対象や資本関係のあるBPOベンダーへアウトソーシングしており、コスト削減や効率化以外の効果をあまり感じていない傾向。

• BPOの戦略的な価値(コア業務への集中、(BPOベンダの)専門的知識・スキルの活用、業務プロセスの改善等)への理解を広める必要がある。

11

連結対象会

54%

連結対象会社

ではないが、資

本提携(出資)関

係のある会社

7%

資本提携関係

のない会社

37%

無回答

2%

6割

業務のアウトソーシング先企業

BPOベンダー企業との資本関係の有無と、実際に得られた効果の関係

出所:経済産業省平成20年度BPO研究会報告書

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• 日本においてBPO利用に伴う人材の処遇が困難な主な理由として、

① 従業員の解雇が法律で制限されている② 社内における戦略的配置転換が困難(戦略業務が定義できていない等により)

が挙げられる。(経済産業省によるベンダ、米国学識者等へのヒアリング)

要因分析②-1 BPO利用により生じうる人材の処遇の困難さ

12

33.0%

9.0%

21.6%

26.5%

0.9%

37.3%

44.8%

17.7%

12.0%

9.4%

1.0%

36.5%

0 20 40 60

社内の他部署に配置転換

社外に出向・転職

アウトソーシング先の事業者に転籍

リストラ(希望退職を募る)

その他

アウトソーシングによる余剰人員は未発生

米国(n=324) 日本(n=299)

従来当該業務に従事していた社員の取り扱い(日米比較、2014) 労働契約法16条

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

裁判所は、一般的に、解雇の事由が重大な程度に達しており、他に解雇回避の手段がなく、かつ労働者の側に宥恕すべき事情がほとんどない場合にのみ解雇の相当性を認めており、かなり厳格な判断がなされている。(労働政策研究・研修機構HPより)

BPOベンダーの声

「クライアントから社員の転籍を受け入れることは可能だが、待遇の変化を嫌がられて成立しない」

「社内で配置転換が成功しているのは、コア業務への集中がお題目でなく具体性を持っている企業。漠然と掲げている企業は上手くいかない傾向」

出所:平成25年度経済産業省アウトソーシングやシェアードサービスの企業による利用の実態調査

12

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要因分析②-2 BPO事業者に関する情報不足

• BPO未経験企業は、セキュリティなど基礎的なサービス水準に不安を持つ中で、「BPOベンダ企業に関する情報が少ないことにより、BPOベンダー企業を信頼しにくい」(平成

20年度経済産業省BPO研究会報告書)と感じている。

• そのため、日本企業は「アウトソーシング事業者の能力を客観的に評価できる指標・認定制度」へのニーズが高い。

• 他方、米国では「ユーザ企業間でBPOベンダに関する情報交換を行うコミュニティが存

在し、BPOベンダのサービスを情報共有・評価している」(経済産業省による米国BPOベンダーヒアリング)

19.0 

37.1 

51.5 

31.7 

14.8 

12.8 

12.8 

16.5 

2.0 

1.9 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

米国

(n=400)

日本

(n=375)

アウトソーシング事業者の能力を客観的に評価できる指標・認定制度

アウトソーシング事業者が提供する業務プロセスに自社が合わせる代わりに、低価格でアウ

トソーシングできる仕組みアウトソーシング事業者を一覧できる情報サイト

アウトソーシングによる余剰人員を配置転換するために必要な教育・研修への助成金

その他

アウトソーシング利用促進に必要な仕組み(日米比較、2014)

13出所:平成25年度経済産業省アウトソーシングやシェアードサービスの企業による利用の実態調査

Page 14: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

要因分析③ BPOによる効果が出にくい中小サービス業

• 中小サービス業でBPOが遅れる理由として、中サービス業は間接部門が小さく、間接業

務のコスト削減メリットが小さいことが考えられる(一般的に間接部門は社員の数%)。

• BPOベンダー側から見ても、規模のメリットを活かせるだけの一社のロットが無いため、中小企業を顧客とするビジネスモデルになっていない。

• しかし、近年こうした中小サービス業等向けに、クラウド技術と組み合わせ、中小サービス業にも効果の高い新たなBPOが現れているが、「特に中小サービス業ほどあまり知られていない」(経産省によるBPOベンダへのヒアリング)。

• なお、米国では、PEO(Professional Employer Organization)と呼ばれる雇用制度が存在し(次ページ) 、特に中小企業の人事業務のBPOを容易にしている。

中小サービス業におけるBPO利用事例

14

飲食業A社

• 年商約1億円、従業員30名程度。都内居酒屋等3店舗を経営。

• 月額制の記帳代行サービスを活用。

• これまで経営者家族で行っていた仕入れ等の記帳作業等をアウトソーシング。

• BPOベンダは、ユーザから送られてきた伝票・領収書を集計・記帳。クラウドソフトを通じて、ユーザにリアルタイムの記帳情報をフィードバック。

• BPOベンダ内では、クラウドを使った自動化やマルチロケーション(在宅勤務の活用等)により、記帳代行を効率化。月額の低価格サービスを実現。

• ユーザは煩雑な記帳業務を安価にアウトソーシングでき、自社のコア業務への集中が可能に。

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全社員をPEOとの共同雇用にし、企業は従業員の第1雇用主として業務命令権等を行使しつつ、第2雇用主のPEOが雇用関連業務(税納付、保険、給与支払、福利厚生等)を請け負う形態。

①中小企業は、責任関係も含め煩雑な雇用関連業務コストを削減可能。

②PEOが大規模化することで福利厚生が充実し、従業員の待遇が改善。

中小企業を中心に広まり、2012年には920億ドルの市場規模に成長。日本では使用者と従業員(派遣契約の場合、派遣元と従業員)間でしか雇用契約は認められておらず不可能。

企業 PEO

従業員

企業

従業員

指揮命令権

雇用契約

労働提供

給与支払等の雇用業務

PEO契約

一般的な雇用形態

(参考)米国の共同雇用制度(Professional Employer Organization)

PEOによる雇用形態

日本の労働法制における該当規制

①労働契約法;雇用契約は「労働者」と「使用者」間でのみ成立。

第二条第二項2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

各雇用形態

15

②労働者派遣法;

「派遣元」と「労働者」間で雇用契約を結びつつ、他人の指揮命令下で労働者が労働に従事することは可能。第二条一 労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。

派遣先企業

派遣元企業

従業員

派遣契約

派遣労働雇用形態

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ビジネス支援サービス産業の海外展開の現状と可能性

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世界のビジネス支援サービス市場

• アウトソーシングサービス提供ベンダーの世界ランキングでは、その上位の大半を米国企業が占めており、日本のアウトソーシング企業のグローバル競争力は低い。

17

Rank 企業 国

1 ISS デンマーク

2 Accenture 米国

3 Wipro インド

4 CBRE 米国

5 Infosys インド

6 HCL Technologies インド

7 CSC 米国

8 Sodexo フランス

9 NCR 米国

10Johnson Controls - Global WorkPlace

Solutions米国

11 Balanced Performance 米国

12 Aegis Limited インド

13 Capgemini フランス

14 Amdocs 米国

15 Genpact インド

16 Jones Lang LaSalle 米国

17 Colliers International 米国

18 Sutherland Global Services 米国

19 Newmark Grubb Knight Frank 米国

20 TIVIT ブラジル

アウトソーシング世界企業ランキング

33 トランスコスモス 日本

・・・

出所:International Association of Outsourcing Professionals

Page 18: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

日本のBPO企業の海外進出状況

売上高ランキング

提供サービス 海外拠点数 進出地域

1 A社 コンタクトセンター 3拠点タイ、ベトナム、

大連

2 B社 プリントサービス 12拠点香港、上海、シンガポール

3 C社 コンタクトセンター 1拠点 上海

4 D社 情報管理 1拠点 上海

主要な日本のBPO企業の海外拠点数

出所:矢野経済研究所「BPO市場の実態と展望2013」及び各社HPより

企業名 提供サービス 海外拠点数 進出地域例

日本

E社ITソリューショ

ン5拠点

米国、英国等

F社ITソリューション、コンサル

ティング19拠点

米国、中国、台湾、インド、タイ 等

G社 人材サービス 30拠点

米国、カナダ、インド、インドネシア等

D社各種BPO、コンサルティング

136都市アメリカ、EU、アジア各国

米国

IBMITソリューショ

ン170カ国以上 -

アクセンチュアITソリューション、コンサル

ティング

世界56カ国200都市以上

日本と米国の大手BPO提供企業の海外拠点数

• 日本のBPO企業の売上高上位企業の海外拠点数は、多いとは言いがたい。

• 大手IPO・BPO企業の海外拠点数を日米比較してみても、米国の方が多い。

18

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インドのIT・BPOベンダ企業。アウトソーシング企業の売上ランキング(Global Outsourcing 100, 2010)世界第2位の企業。1999年にはインド企業初の米NASDAQへ上場。17ヶ国45都市に拠点(2007年時点)

設立当初より、インドが誇れる世界に通用する企業体になることを目標として掲げる。

①コスト競争力(賃金の安さ)、②優秀なIT人材(米国留学生等)の活用、③言語力(英語)、④質の高いサービスの提供(CMMI等の国際標準で高いレベルの認証)等 を強みとして、主に米国企業のノンコア業務を受託。(日経産業新聞、情報サービス産業白書2012より)

19

(参考)グローバルBPO/ITOベンダー企業例Infosys Limited 社

$0.00

$10,000.00

$20,000.00

$30,000.00

$40,000.00

$50,000.00

$60,000.00

India (INR) Indonesia (IDR)Malaysia (MYR) Singapore (SGD)Hong Kong (HKD) Japan (JPY)United States (USD) Australia (AUD)

IT技術者の年収比較(2013) CMMI( Capability Maturity Model )

○ インドのIT技術者の年収は諸外国と比して低水準 ○ ITサービス(ソフト開発等)の質に関する国際的な認定制度(米国発祥)。

○Infosysは本制度において、 高レベルのレベル5を取得。その他、インドは144企業がレベル5を取得しており、積極的に本制度を活用。

○日本のITベンダでは13企業がレベル5を取得。

Infosys Limited 社

○ 1981年設立、インドバンガロールに本社を有するIT・BPOベンダ。

○売上高:約74億ドル(2013.3月末)

○雇用:約15.7万人

○事業内容:

・アウトソーシング受注、ソフトウェア開発、ビジネスコンサルティングなど

(出展:CMMI Insitute)

Page 20: ビジネス支援サービスの活用...•BPOを利用するとともに、海外業務体制を抜本的に強化。 •海外10ヶ国・地域で生命保険業務を展開。

海外9カ国、36事業所にてサービス提供。2014年第3四半期の海外BtoB売上高は約138億円。

海外現地でのコールセンター業務代行、ECサポート(システム構築、プロモーション、倉庫・配

送管理等)、マーケティング実施。

15年以上のノウハウ、海外企業との提携、他言語や現地商慣習・幅広い業務領域への対応、優れた現地人材が魅力。主に現地日本企業へサービス提供。

(参考)我が国BPOベンダーの海外展開成功例トランスコスモス株式会社

トランスコスモス海外事業

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政策の方向性(案)

ベストプラクティス(BPOによりコア業務へのリソースシフトや、その他のメリットを実現した成功事例)の普及やその他のBPO利用促進策を通じて、経営者におけるBPOへの意識を戦略的なものに変えていく必要があるのではないか。

(1)戦略的BPOの促進

社内の配置転換を円滑に実現するための教育支援や、転職支援等の社外転出への支援が必要ではないか。特に中小企業のBPO利用促進のため、共同雇用といった形態を検討すべきではないか。

(2)人材の流動性の円滑化

アウトソーシング事業者の質を見える化し(アウトソーシング事業者のパフォーマンス(正確性、迅

速さ、実績、財務基盤等)や情報セキュリティ対策等の指標を設定)、第3者機関等が評価する制度などがありえるのではないか。

(3)BPOユーザのアウトソーシングへの不安の解消

現地日本企業の需要に加え、現地海外企業の需要の取り込みも含め、BPO事業者のグローバル化を支援していくべきではないか。

(4)BPO事業者の海外展開支援

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