スマートセル創生を加速するaipi プロモータ 遺伝子a 立体構造 遺伝子b...
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スマートセル創生を加速するAI基盤技術
株式会社日立製作所 研究開発グループ
関西スマートセルフォーラム2018第3回セミナー
2019/01/30
武田 志津
© Hitachi, Ltd. 2019. All rights reserved.
1.はじめに-持続可能な未来社会に向けて
2.日立のAI技術
3.NEDOスマートセルプロジェクトにおけるAI開発
4.おわりにースマートセルインダストリーに向けて
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Contents
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1.はじめに-持続可能な未来社会に向けて
2.日立のAI技術
3.NEDOスマートセルプロジェクトにおけるAI開発
4.おわりにースマートセルインダストリーに向けて
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Contents
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1-1 地球規模の社会課題の解決に向けて
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持続可能社会と経済発展の両立を目指す
地球規模の社会課題:
SDGs パリ協定(COP21)
課題解決に向けた国際合意
■ESG投資企業価値の評価指標としての
・Environment・Social・Governance
投資家も企業責任を問う
・2030年 世界人口85億人※1
資源不足※2 エネルギー 50%食糧 50%水 30%
・環境課題マイクロプラスチック汚染大気エアロゾル汚染気候変動
・健康/医療課題飢餓新規感染症&パンデミック高齢化
※1 World Population Prospects, The United Nations※2The Perfect Storm Scenario 2009, J. Beddington
SDGs: http://www.un.org/sustainabledevelopment/ COP21: http://www.cop21paris.org/
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http://www.hitachi.co.jp/csr/sdgs/pdf/HitachiSDGsReport_j.pdf
1-2 日立SDGsリポート
日立SDGsリポートを2018年4月に発行 日立はSDGsのすべての目標の達成に対して直接的、間接的に貢献
企業活動全体で貢献する6つの目標 事業戦略で貢献する5つの目標
を策定した
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1-3 2050年・2030年を見据えた日立の決意
日立環境イノベーション2050を策定 研究開発グループ環境方針
Environment Conscious R&D for the Future
未来型環境配慮R&Dをめざして
http://www.hitachi.co.jp/csr/sdgs/pdf/HitachiSDGsReport_j.pdf
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1-4 プラスチック汚染問題に向き合う
ダボス世界経済フォーラム 2016「世界の海を漂うプラスチックの量は2050年までに魚の量を上回る」
英国エレン・マッカーサー財団
G7サミット 2018健康な海洋、海、レジリエントな沿岸地域社会のためのシャルルボワ・ブループリント採択
「海洋プラスチック憲章」自国でのプラスチック規制強化
日本第4次循環基本計画 2018
海岸漂着物処理推進法改正(環境省) 2018「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」
身近な企業運動
プラスチックストロー廃止宣言 2018
・スターバックス ・すかいらーく ・マクドナルド ・IKEA
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1-5 バイオ×デジタルへの期待
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スマートセル創製の加速に向けて
バイオ計測技術の革新:ロボティクスとITによる高速・並列処理
バイオ情報の大量蓄積:従来にないスピードで情報量増大
■バイオ分野の技術革新
ハイスループット実験系
バイオビッグデータ
・ゲノム情報・オミックスデータ・遺伝子型と表現型の関係性・ゲノム編集
バイオ×デジタル
DBTLサイクル ××
合成学習
計測
** AT ** TGC *TT*AGAT *** GC ***AT **** GC ***
設計
スマートセル
従来5-10年を要したスマートセル創製をバイオ×デジタルにより大幅に加速
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1.はじめに-持続可能な未来社会に向けて
2.日立のAI技術
3.NEDOスマートセルプロジェクトにおけるAI開発
4.おわりにースマートセルインダストリーに向けて
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Contents
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2-1 AI技術とは
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AI技術とは:入力xに対して「賢い」出力yを返す y=f(x) を実現する技術の総称
応用範囲はとてつもなく広大
ただし、どんなy=f(x)をつくるべきかはヒトの仕事
1. 人が考えたルールによる実現↓
2. 少数データから一般化 (機械学習)↓
3. ビッグデータを使い、より複雑な(賢い)入出力に対応
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2-2 AI技術活用の課題
11
AI技術を活用するためには、AI向けデータの取得がカギ
現実世界では、単純に y=f(x) だけで解決できる課題は少数
アウトカム: 目的のデータアクション: 制御のデータコンディション: 状態のデータ
課題解決に必要な y=f(x) を効率的に見つける仕掛けが必要
AIが必要とするデータ
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2-3 Hitachi AI Technology/H
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多様な目的に対応し、解決策を自ら発見しシステムを成長させるAI
流通、物流、プラント、金融、交通、製造等の分野に適用
流通 物流 プラント
店員ホットスポットを発見作業・監督の
最適化条件を発見高効率な運転法を発見
Hitachi AI Technology/H
×
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データからの学習により状況に適応し、人が定義した目的を追求
コンディション(状態)
(アクション)制御
LEGO®
ブランコロボットHitachi AI
Technology/
H
特徴1:既存システムに追加で動作(問題特有の知識は不要)
特徴2:達成する目標と入出力はヒトが定義
2-4 Hitachi AI Technology/Hの特徴
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2-5 Hをブランコロボットに適用
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データからの学習により状況に適応し、人が定義した目的を追求
コンディション(状態)
(アクション)制御
LEGO®
ブランコロボットHitachi AI
Technology/
H
LEGO® MINDSTRMS®に接続・モータ×2(足の曲げ伸ばし)
・ジャイロセンサ×1(ボディの傾き)
特徴1:既存システムに追加で動作(問題特有の知識は不要)
特徴2:達成する目標と入出力はヒトが定義
アウトカム:「振れ幅の最大化」アクション: 「足の曲げ指示」コンディション: 「ボディの傾き」・
「膝の状態」
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2-6 ブランコロボット×日立AI
15
https://www.youtube.com/watch?v=q8i6wHCefU4
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2-7 ブランコ漕ぎの実現
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刻々と変わるコンディションに応じて最適なアクションを選択
曲げない
曲げた
伸ばさない
伸ばした
振幅:→
振幅:↑
振幅:↓
t=0 t=1
t=1 t=2
t=2
振幅:→
伸ばさない
伸ばした
最大振幅の達成
アクション
コンディション
アクション
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2-8 データからの最適アクションの学習
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大量の試行結果から、アウトカム・アクション・コンディションの関係を学習
t=0 t=1 t=2 t=N
t=0 t=1 t=2 t=N
試行(1)
試行(2)
達成振幅:ω1
達成振幅:ω2
t=0 t=1 t=2 t=N
試行(3) 達成振幅:ω3
やみくもに漕いだ試行結果
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2-9 データからの最適アクションの学習
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大量の試行結果から、アウトカム・アクション・コンディションの関係を学習
t=0 t=1 t=2 t=N
t=0 t=1 t=2 t=N
試行(1)
試行(2)
達成振幅:ω1
達成振幅:ω2
t=0 t=1 t=2 t=N
試行(3) 達成振幅:ω3
コンディション変化とアウトカムの相関を学習
どのコンディションから、どのコンディションになればアウトカムが向上したか?
やみくもに漕いだ試行結果
アクションとコンディション変化の関係を学習
どのアクションをとると、どういったコンディションの変化があったか?
次の試行にフィードバック
アウトカム
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2-10 跳躍学習技術
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データの組み合わせからアウトカムを最大化する仮説を生成
ヒトが気づかない最適化施策 f(x) を導出
施策・足の最適な曲げタイミング
組み合わせ特徴量生成
アウトカム最大
化仮説探索
自動
解釈
施策
入力データ 最適化施策
大量の
特徴量
アウトカム
=f(x)
アウトカム・ブランコ振れ幅最大化
アクション・足を曲げるタイミング
コンディション・Gyroデータ・足の角度
人工知能
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2-11 バイオ分野応用への期待
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バイオとデジタルの融合 = AI向けデータの取得 × AI技術
AIに必要なデータ・アウトカム: 目標の達成度合いを定量的に比較できるデータ・アクション: 対象システムの外部から与えられ、状態変化を起こしうるデータ・コンディション: 対象システムの状態の変化を定量的に比較できるデータ
アクション
•温度制御:ΔT•振とう制御:Δr•照明制御:Δl•音響制御:Δa
コンディション
•温度:T•培地成分•pH•濁度
培養制御AI
培養(対象システム)
アウトカム物質産生量最大化
ポイント:各々のデータの関係性をヒトが考える必要はない!
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AI技術:入力xに対して「賢い」出力yを返す y=f(x) を実現する技術の総称
–応用範囲は広い、ただしどんなy=f(x)を実現するかはヒトが決定する
AI技術活用にはAI向けデータの取得が必須–アクション(目的のデータ)・アウトカム(制御のデータ)・コンディション(条件のデータ)
–バイオとデジタルの融合 = AI向けデータの取得 × AI技術
2-12 AI技術活用 総括
AI技術を活用するには
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1.はじめに-持続可能な未来社会に向けて
2.日立のAI技術
3.NEDOスマートセルプロジェクトにおけるAI開発
4.おわりにースマートセルインダストリーに向けて
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Contents
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3-1 スマートセル開発の課題
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研究者の知識と経験に依存した属人的設計
時間を要する上に、情報活用の観点で網羅性・包括性に課題
人手による文献収集
実験によるデータ取得
設計
合成計測
熟練研究者の知識と経験
DBTLサイクル
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3-2 スマートセル設計におけるAI技術適用の課題
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設計パラメータの最適化に必要なデータの組み合わせは無数に存在
目的物質
宿主選定
代謝系設計
化合物A
酵素1
酵素2化合物B
化合物C
酵素3
酵素4
酵素・遺伝子選定 全体調整
由来生物選定
酵素1
Pi遺伝子AプロモータA
立体構造 遺伝子B
遺伝子B
スマートセル設計
開始物質(代謝物)
目的物質
コンストラクト構築 ××
余分遺伝子の破壊
アクション(候補)•宿主選定•導入・削除遺伝子•強化・抑制遺伝子•改変方法•培養条件・・・
コンディション(候補)•遺伝子発現量•タンパク質発現量•代謝物量•培養パラメータ、•測定パラメータ・・・
アウトカム•目的物質収量
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3-3 バイオデータの課題
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AIの学習に必要な網羅的なデータの不在
標準データの不在• ある実験結果のデータと、他の実験結果のデータを単純に比較できない• 実は、暗黙的な実験条件の違いが存在し、定量的に比較できない
課題とデータ量のばらつき• 豊富にデータが存在する現象がある一方で、
ほとんどデータがない現象があり、全体を網羅できない。
アノテーションの不足• どのような目的で、どのような実験が行われ、どのように処理されたデータであるか十分に記述されていない
(アウトカム・アクション・コンディションが不明)
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3-4 知識ベース化によるアプローチ
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公開DB・文献からスマートセル開発に必要なデータを知識として整理
文献データバイオデータベース
××*AGAT *** GC ***
Design Build Test
××*AGAT *** GC ***
Design Build Test
××*AGAT *** GC ***
Design Build Test
膨大な設計・合成・計測の試行
各データ・文献情報を「知識」に変換(知識として標準化)
スマートセル設計支援知識ベース
××
学習 (Learn)
合成(Build) 計測(Test)
0
10
20
30
40
10 20 30 40 50 60 70 80
*AGAT *** GC ***
設計(Design)
DBTLに活用
・KEGG・BRENDA・GenBank
・・・
DBT試行をAIが
網羅的に解釈
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3-5 知識ベースを活用したスマートセル開発へ
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AIの自動解釈により短時間のうちに情報を網羅的・包括的に処理“セレンディプ”な設計指針も期待でき、スマートセル創製を加速
DBTLサイクル文献データ
膨大な情報
網羅的データ解析に基づく設計仮説
バイオデータベース
合成
設計
人が思いつかない組合せによる新設計指針
• KEGG• BLENDA• SGD
PubMed
スマートセル設計支援知識ベース
計測
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アカデミア8機関、企業11社
3-6 NEDOスマートセルプロジェクトでの取組み
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DBTLサイクルを加速するスマートセル設計支援AIを開発
京大、神戸大、九大、日立製作所理研(再委託)、阪大(協力)
設計
合成
計測
学習
高生産性微生物創製に資する情報解析システムの開発
AIによる設計知識提示によりスマートセル創製加速
文献情報等の公開データからの知識整理を補完するためのデータ処理・AI基盤技術
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設計仮説提案AI
スマートセル設計知識ベース
3-7 NEDOスマートセル設計支援知識ベース
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バイオとデジタルの融合で、スマートセル創製に特化したAIを開発*
データベース 文献情報
文献・データ解釈AI
H ITACHI Net Bank
スマートセル開発者
実験データ
文献・データの収集
知識ベースサーバ
知識探索
オミクスデータの解釈
遺伝子・表現型相関
代謝系の最適化
適正宿主の選択
長鎖DNA設計
KEGG, BRENDA, SGD, ・・・
PubMed, ・・・質量分析データ,シーケンスデータ,・・
*国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」委託事業にて京都大学、神戸大学、九州大学、理化学研究所(再委託)、大阪大学(協力機関)と推進
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3-9 取組み方針 総括
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スマートセル設計パラメータの最適化に必要なデータの組み合わせは無数に存在
バイオ分野のデータは、標準データの不在・データ量のばらつき・アノテーション不足など、そのままではAI技術で活用しにくい
スマートセル設計支援知識ベース*:公開データ・文献情報を「知識」に変換し(知識として標準化して)スマートセル設計に活用
今後、知識ベースと相乗効果の出せる実験系(ハイスループット実験系)との連携が重要
TESTで得られる実験データも知識に変換することで、DBTLサイクルをさらに効率的に回すことが期待できる。
*国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」委託事業にて京都大学、神戸大学、九州大学、理化学研究所(再委託)、大阪大学(協力機関)と推進
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1.はじめに-持続可能な未来社会に向けて
2.日立のAI技術
3.NEDOスマートセルプロジェクトにおけるAI開発
4.おわりにースマートセルインダストリーに向けて
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Contents
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4-1 スマートセルインダストリーに向けて
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多様な技術・事業を連携させスマートセルを物質生産産業へ発展
IoTプラットフォーム
ファウンドリオートメーション
ラボ情報管理システム プロセスマネジメント
医薬品ヘルスケア
化学工業
エネルギー
農畜水産業
製品
工業生産研究開発
スマートセルDBTLサイクル ××
合成学習
計測
** AT ** TGC *TT*AGAT *** GC ***AT **** GC ***
設計
スケールアップ
プラントエンジニアリング
高効率培養 抽出・精製
ハイスループット計測・評価
知識ベース/
AI基盤
代謝解析/
シミュレーションゲノム編集
長鎖DNA合成
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化学合成天然物質精製
バイオ合成 未来社会
4-2 持続可能な未来社会に繋がるバイオ合成
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化学合成・天然物精製法の置換ー革新的置換産業
化学合成困難な物質を生産ー新産業
革新的置換産業化学合成の一部置換精製から積極的生産• 高収量化• 高効率化• 低コスト化• 環境負荷低減
新産業新たな高機能物質• 化学合成困難な物質の生産
• 革新的高分子/有機物
持続可能な未来社会へ新産業
革新的置換産業
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4-3 バイオ×デジタルにより新産業を支える
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バイオ×デジタル
スマートセルインダストリ
化学工業 農畜水産業エネルギー医療・ヘルスケア
バイオとデジタル&IoTで支えるスマートセルインダストリー
IT OT
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2019/01/30
END
バイオとデジタルの融合によるスマートセル創製プラットフォームの構築
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株式会社日立製作所 研究開発グループ
武田 志津
スマートセル創生を加速するAI基盤技術