人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザインの教科書」講義1デザイン...

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未来創造志塾 16期第1回(2017.3.6) ワクワク系「顧客ロイヤリティ・マーケティング」 第1回 参考テキスト:小阪裕司著「価値創造の思考法」 博報堂行動デザイン研究所著「行動デザインの教科書」 人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザインの教科書」講義1デザイン思考とは何か? デザイン思考 参考資料① デザイン思考5つのステップ(12枚) 参考資料② デザイン思考(12枚) ――――――――――――――――――――――――――――――― デザイン思考の戦略とは 常に顧客の体験・顧客の先の顧客に及ぶ、顧客のための体験を最重要視した商品とサービスづくり。 優れたデザインは、プロダクト(生産されるモノ)よりも、むしろ一層望ましく且つ、好ましい顧客の体験的価値創造に意味を見出すこと。 ビジネスの意義も、顧客に対するプロダクトであるより、顧客に新しい価値ある体験を提供する為に、サービスを デザインする環境領域の全体がビジネスになり得る必然的条件につき学習し、体系化に努めなくてはならない。 「モノ」より「コト」こそが、事実以上の価値を伝える出逢いの「場」である事を、更に強く信じられる人間がビジネス の勝利者となる。 デザイン思考が、何故これほど魅力的に映るのであろうか。その理由は、このデザイン思考の基盤には、豊かな 思想性が読み解ける点と、更に言えば明確な戦略的土壌も窺えるからである。 人の心と行動がビジネスの結果を生み出す!(心行動現象) 商品情報は心が動かない! 買いたい!と思わないと絶対に買わない。・・・お客さんが頭の中で「価値」と認識したものだけが価値 感性情報「動機付け意思決定行動」売上 究極の質問「どうして、私がいま、あなたから、この商品を買わなければならないのか?」 グループワーク:アイデア出し =「価値要素採掘マップ」別紙 顧客の旅 「デザインマップ」 (1/6)

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Page 1: 人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザインの教科書」講義1デザイン … · ⑴ 常に顧客の体験・顧客の先の顧客に及ぶ、顧客のための体験を最重要視した商品とサービスづくり。

未来創造志塾 16期第1回(2017.3.6)

ワクワク系「顧客ロイヤリティ・マーケティング」 第1回

参考テキスト:小阪裕司著「価値創造の思考法」 博報堂行動デザイン研究所著「行動デザインの教科書」

人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザインの教科書」講義1デザイン思考とは何か?

デザイン思考

参考資料① デザイン思考5つのステップ(12枚)

参考資料② デザイン思考(12枚)

―――――――――――――――――――――――――――――――

デザイン思考の戦略とは

⑴ 常に顧客の体験・顧客の先の顧客に及ぶ、顧客のための体験を最重要視した商品とサービスづくり。

⑵ 優れたデザインは、プロダクト(生産されるモノ)よりも、むしろ一層望ましく且つ、好ましい顧客の体験的価値の

創造に意味を見出すこと。

⑶ ビジネスの意義も、顧客に対するプロダクトであるより、顧客に新しい価値ある体験を提供する為に、サービスを

デザインする環境領域の全体がビジネスになり得る必然的条件につき学習し、体系化に努めなくてはならない。

⑷ 「モノ」より「コト」こそが、事実以上の価値を伝える出逢いの「場」である事を、更に強く信じられる人間がビジネス

の勝利者となる。

⑸ デザイン思考が、何故これほど魅力的に映るのであろうか。その理由は、このデザイン思考の基盤には、豊かな

思想性が読み解ける点と、更に言えば明確な戦略的土壌も窺えるからである。

人の心と行動がビジネスの結果を生み出す!(心→行動→現象)

商品情報は心が動かない!

買いたい!と思わないと絶対に買わない。・・・お客さんが頭の中で「価値」と認識したものだけが価値

感性情報→「動機付け→意思決定→行動」→売上

究極の質問「どうして、私がいま、あなたから、この商品を買わなければならないのか?」

グループワーク:アイデア出し

=「価値要素採掘マップ」別紙

顧客の旅 「デザインマップ」

(1/6)

Page 2: 人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザインの教科書」講義1デザイン … · ⑴ 常に顧客の体験・顧客の先の顧客に及ぶ、顧客のための体験を最重要視した商品とサービスづくり。

デザイン思考が世界を変える!(イノベーションを導く新しい考え方)

IDEO ティム・ブラウン

キーワード:人間中心・物語・視覚化(マインドマップ)・関連性・統合思考(非直線性・複雑系)・顧客の旅・ハイタッチ

CS顧客満足経営、時代の変化 …違いは何か? (WS 考えてみよう~!)

学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)Pセンゲ

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『未来を予見する5つの法則』(田坂広志)

「不連続」「非線形」「加速度」の3つが、未来予測を困難にしている。

「定量的」「具体的」な予測はできないが、「方向的」「大局的」な予測はできる。

→世界の変化、発展、進化の根底にある「法則」を洞察する。

→そのためには、世界の本質を洞察する「哲学」を学ぶ。

弁証法の「5つの法則」

①螺旋的プロセス

・世界はあたかも螺旋階段を登るように発展する

・「進歩・発展」と「復活・復古」が同時に起こる

②否定の否定(現在の動きは、必ず将来、反転する)

・トレンドのリバウンド

・第一の否定→対面での情報サービスの競争を否定し、低価格の取引サービスの競争に徹する

・第二の否定→価格競争から、高度な情報・知識サービスを競い合う付加価値競争へ

・言葉で表せる知識‥誰でも手に入る → 言葉で表せない智恵

・「ドッグイヤー」(1年=7年分)から「マウスイヤー」(1年=18年分)へ

オールドミドルマン→ニューミドルマン(購買代理・購買支援)→コンシェルジェ(顧客中心の新

たなビジネスモデル)へ発展

③量から質への転化(量が一定水準を超えると質が劇的に変化する)

・情報伝達コストの低下(量的変化)→ニューミドルマンへの進化(質的変化)

・量が一定の水準を超えたか否か(例=コーヒー)

目安は、「キーワード」が忘れられたかどうか(例)電話、インターネット、eメール・・

④対立物の相互浸透(対立し競っているもの同士は互いに似てくる)

・弁証法においては、「古いものと新しいもの」、「否定するものと否定されるもの」、といった

対立し、競っているように見える2つのものが互いに相手を包み込んでいき、結果として両者が融

合し、統合されていく (例)リアルとネット、証券と銀行、営利と非営利(CSR、社会企業家)

⑤矛盾の止揚(矛盾とは世界発展の原動力)

・止揚とはアウフヘーベン。両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高次元

へのものへ昇華していくこと

・矛盾のマネジメント

→マネジメントがどちらかに偏ったとき、反対側に振り子を振り、全体のバランスを取ること

→社会のリーダーたる人物に求められるのは、目の前の矛盾から逃げることではなく、その矛盾と

格闘しつづけること。

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価値創造の思考法 第1回 顧客ロイヤリティ戦略

参考テキスト(出典)小阪裕司著 価値創造の思考法 東洋経済新報社 2012年11月初版

KSF 中小企業の3つの戦略

1.ランチェスター戦略

2.パレートの法則

3.コラボレーション戦略(顧客参画)

ビジネスで大事なもの

コンセプト「物語」「デザイン」・・・気仙沼ニッティング。糀屋本店(カンブリア宮殿放送)

気仙沼ニッティングが目指すものとは?

「誇り」をもって仕事をしていきたい。

だれかに、よろこばれることが実感できるような仕事を、編んでいきたいと考えています。

「うれしさ」を伝えていきたい。

編むことのうれしさが、着てくださる人に伝わって、何年も何代にも渡って愛されていくようなニット。そんな商品をデ

ザインし、つくり、お届けしていきます。

気仙沼の「稼げる会社」になりたい。

被災地であることが忘れられても、

しっかりと暮らしの糧を得られる会社になりたい。

その経営の基盤を気仙沼につくっていこうと考えています。

世界中のひとがお客さまに。

日本だけでなく、世界中のひとに求められるものをつくっていく。

東北の気仙沼(Kesennuma)という地名が、

素敵で高品質なニット商品を生み育てる場所として、

世界に知られていきますように。

編み手を筆頭とした社員はもとより、株主を含めたステークホルダーの誇り。美しくて高品質、世に残る商品

がもたらす満足感。収益性の確保による事業の永続性。そしてグローバルブランディングへの挑戦である。

東日本大震災からの復興支援という視点もある。21世紀型のビジネスのヒントになる!

糀屋本店

それぞれの商品についてくるレシピ付きの無料パンフ。

「失くしてしまった」や「買う前に見ておきたい」との声にお答え

して以下に公開しています。

PDF ファイルはダウンロードする事も、ご自宅のプリンタで印

刷する事も可能です。ご自宅での印刷やデータでも OK。

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新しい消費社会

着眼点=「モノ」から「ひと」

…生活必需品から「心を豊かにする商品」―――こだわり・社会貢献・精神的な充足感

新しい思考ツールとその活用方法

思考ツール1 「価値要素探索マップ」

思考ツール2 「顧客の旅デザインマップ」

思考ツール3 「複雑系の社会システム」

主婦向け雑誌「Mart」

大ヒット商品「ル・クルーゼ」

・・・この鍋が暮らしの中にあることで、ハッピーになれる!

「胃袋」ではなく、「頭」で食べる時代(29p)

・・・質の変化 2005年以降を「第4の消費」=私有主義からシェア志向へ

1. 個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ

2. 私有主義からシェア志向へ

3. ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ

4. 欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散)

5. 「物からサービスへ」の本格化、人への重視

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何を価値と感じるか?

物の豊かさ<心の豊かさ

社会をシステムとしてとらえる!(48p)・・・「システム思考」(238p)

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経営のヒント184 商売繁盛のヒント③ 人生最後の紅茶

人生最後の紅茶をどんなカップで飲みたいか?

前から読んでいた本の内容ですが、商売繁盛のヒントですから、ご紹介します。

参考著書「招客招福の法則」小坂裕司 日経ビジネス人文庫より

私があなたに1客8千円の高級カップを売りたいとしよう。

そこであなたに「紅茶カップ買いませんか?いい品なんですが」と言う。

おそらくあなたは見向きもしないだろう。

しかしこう問い掛けられたらどうだろう。

「『もし、人生最後の紅茶をどんなカップで飲みたいか?』

と聞かれたら、あなたはどんな器で飲みたいですか」

実際にあるお茶店の数百人の得意先は店主から、DMを通じてこう問われた。

文面はこう続いていく。

「皆さまは、『もし、人生最後の紅茶を飲むとしたら、この器で飲んでみたい!』という器を持っていらっしゃ

いますか。私は持っています。」

店主の持っている器とは、ここで売ろうとしている器だ。

もちろん「人生最後の日」用に開発された器ではない。

しかしさらにDMは続き、この器がいかにそれにふさわしいかが語られたていく。

お客さんの反応はというと、仕入れた60客全部がほどなく完売した。

これほど単価の高いものを、こうして計画して販売できたことはこの店にとっても初めてのことだった。

このエピソードの鍵の一つは、このように需要は創り出せるということだ。

もし彼がお客さんにこう問いかけなかったら、お客さんは一生に一度もこんなことは考えなかっただろう。

結果、彼の店でこの器を買うこともない。

彼が問いかけたからこそ、需要が生まれ、買ったのだ。

こうして問いかけることで、売り上げはつくりだすことができるのだ。

もう一つの鍵は、この問いかけは、彼自身が思いついたものということだ。

メーカーや卸会社が思いついたものではない。

このことは、たとえ隣の店が同じものを売っていても、違う売り方があることを物語っている。

あなたもお客さんに自分ならではの問いかけをしてみてはいかがだろう。

<経営のヒント>

顧客の心の中に答えがあります。

質問することによって、今まで全く考えもしなかった答えが生まれます。

私にとっては、13年前のソニー生命のリクルーターからの質問「細川さんの夢は何ですか?」でした。

その瞬間から、私の歴史が変わってきたのです。

21世紀のマーケティングは、「未来」的差別化戦略です。

「過去」とどんな差別化をするのか?

過去とは異なる未来をいかに創造するのか?

その為の正しい「問い掛け」が重要な時代になってきたのです。

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経営のヒント183 商売繁盛のヒント②

とらえ方ひとつで「処分品」が輝く!

前から読んでいた本の内容ですが、商売繁盛のヒントですから、ご紹介します。

参考著書「招客招福の法則」小坂裕司 日経ビジネス人文庫より

今回は「処分品」についてお話したい。

私もかつて、店頭に立っていたころ、セール終盤の処分品にしばしば頭を悩ませた。

相当の値引きになっているのだが、なかなか完売しない。

そんな時にはもう打つ手がなくて、捨て値で処分したものだ。

「処分品」とはいわゆる売れ残った商品だ。

値引きし続けても売れないがゆえに最後には「処分品」と名付けられることになるが、

本当にその商品はそれほど売れない商品だったのだろうか。

ある雑貨店でのこと。

この店に売れ残りのハンカチがあった。

店主は捨て値して処分する代わりに、このハンカチが黄色であったことからPOPにこう書いた。

「幸せの黄色いハンカチ。金運はもちろん宝くじもこのハンカチに包んで西の方角に置いて下さい」

すると即完売した。

同じノリで、売れ残った猫の顔をデザインしたお手玉に「福招き猫」と名付け、

POPに「この猫を買った人が次々幸福に! 幸せを呼ぶニャ~ン」

などと書いた。

すると完売のうえ追加発注するほど売れた!

さらには売れ残りのクマのぬいぐるみに「超かわいくないクマ!でも性格はいいやつです」

とPOPを書いた。すると即完売した。

幸せを呼ぶなどのメッセージはもちろん洒落だ。

その洒落で、これらの商品がPOP一枚に即完売した背景には、これらが衝動買いできる価格帯のもので

あることもある。

しかしここで考えたいことは、これらの商品は売れ残りだったが、捨て値処分以外の方法で完売することが

できたという事実だ。

そう考えてみると、「処分品」というのはその商品に対する売り手の勝手な捉え方ではないか?

それは「安さ」を訴求するだけではお客さんが買おうと思わなかった商品だ、ということかもしれない。

<経営のヒント>

顧客にとっては、いろいろな価値があるのです。

まずその商品自体がもっている基本的価値。

つぎにそれを使うことによって顧客が便益を得る機能的価値。

最後に顧客の心に伝わる情緒的価値。

もう物質的満足だけでは、売れないのです。

顧客の価値観を変えることです。

一枚のPOPによって・・・・その商品の奥にある物語が人は魅力を感じるのです。