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Furniture Stationery コクヨグループCSR報告書� 2010 KOKUYO GROUP CSR REPORT

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Page 1: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

Furniture Stationery

コクヨグループCSR報告書�2 0 1 0K O K U Y O G R O U P C S R R E P O R T

慮�

賞�

S

kokuyoCSR 10.3.13 18:03 ページ 1

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01 コクヨグループ CSR報告書 2010

売上高�2,667億円�

コクヨ株式会社の概要(2009年12月31日現在)�

コクヨグループの事業展開�

■コクヨグループとグループを取り巻くステークホルダー�

創 業 �

資 本 金 �

代 表 者 �

本 社 �

連結グループ会社数�

1905年10月2日�

158億円�

代表取締役社長 黒田章裕�

大阪市東成区大今里南6丁目1番1号�

24社�

■売上高比率(連結)�

ステーショナリー�関連事業�57.6%�(1,536億円)�

ファニチャー�関連事業�37.2%�

(991億円)�

店舗関連事業 5.2%�(138億円)�

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

06/3 07/3 07/12 08/12 09/12

5,1474,747

4,949 5,0375,505

(年度)

(人)

■社員数推移(連結)�

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2,667

3,261

2,528

3,395

3,039

06/3 07/3 07/12 08/12 09/12(年度)

(億円)

■売上高推移(連結)�

※2007年度は決算期変更に伴い9ヵ月間の変則決算�

地球環境�

株主�

社員�

顧客・�消費者�

仕入先・�協力企業�

金融機関�

マスメディア�

地域住民�ステーショナリー�

事業�ファニチャー�事業�

店舗事業�

内装・設計設備・�施工事業�

顧客フロント�企業群�

オフィス通販�事業�

海外事業�

 

 コクヨS&T(株)を中核とし、ファイルやノートなどの紙製品、文房具、PC関連用品、知育商材の製造・仕入れ・販売、および、文書管理のソリューション提供をしています。�

ステーショナリー事業�(連結5社)�

 コクヨファニチャー(株)を中核とし、オフィス家具等の製造・仕入れ・販売を行っています。�

ファニチャー事業�(連結4社)�

 大手法人企業へのオフィス空間提案を行うコクヨオフィスシステム(株)と、コクヨマーケティング(株)を中心とした地域別メーカー販社があります。�

顧客フロント企業群�(連結4社/非連結6社)�

 コクヨストアクリエーション(株)による店舗什器の製造・販売、および店舗デザイン、設計、施工を提供しています。�

店舗事業�(連結1社)�

 (株)カウネットとフォーレスト(株)がオフィスで必要とされるあらゆる商品の通信販売を行っています。�

オフィス通販事業�(連結2社)�

 コクヨエンジニアリング&テクノロジー(株)が、レイアウト設計から、間仕切りなどの内装、設備の設計・施工を行っています。�

内装・設計設備・施工事業�(連結1社)�

 コクヨインターナショナル(株)を中核とし、中国、東南アジア、インドなどを拠点に事業を展開しています。�

海外事業�(連結5社)�

<キャンパスツインリングノート(ドット入り罫線)>�

フリーアドレステーブル<ワークリンク>�

店舗什器の給電システム<Eレール>�

kokuyoCSR 10.3.9 4:37 ページ 2

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コクヨグループ CSR報告書 2010 02

ー�

持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。�

 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

表紙店」として創業しました。創業者 黒田善太郎は、面倒で

厄介で誰も目を向けない、人からは「カスの商売」と言われた仕

事に誠心誠意、徹底的に取り組み、やがて新しい価値を生み

出し、コクヨ独自の価値へと昇華させ、世の中に役に立つ事業

へと発展させました。以降、私たちコクヨグループは、この創業

の精神を自らのよりどころとして事業を展開しています。�

 創業者が残した教えは企業理念「商品を通じて世の中の役

に立つ」に凝縮され、それを実現する心構えとして明文化され

た「経営の信條」は、グループ社員全員に浸透しています。�

 創業から105年を経た現在、コクヨグループは経営ビジョン

に「Always Innovating For Your Knowledge」を掲げていま

す。すべての人の「Knowledge Work(知的活動)」に、「ひら

めき(=創造性)」、「はかどり(=効率性)」、「ここちよさ(=

快適性)」という価値を提供することが、事業継続性を維持し、

同時に企業理念の実現であると私たちは考えています。�

 本報告書では、コクヨグループにおけるさまざまなCSRの取

り組みをご紹介しています。これらの取り組み一つひとつに私

たちが受け継いだ企業DNAを反映させることによって、コクヨグ

ループは皆様から信頼される企業グループであり続けます。�

人は無一物でこの世に生を享け�

父母の恵み、恩師の導き、社会のお蔭によって�

心身ともに成長し、�

やがて社会に出て一つの仕事を与えられる。�

それは天より授けられた天職である。�

天職には貴賎の別なく、人が生ある限り�

自らの全力を尽くして全うせねばならぬ。�

天職を全うするためには人の信を得る事が�

最も大切である。�

人に信を得る最善の道は、自ら誠を以て�

実行する事である。�

真心を以て買い、造り、そして売れば�

人おのずから信用し、人に信用を受ければ�

天職はおのずから全うしうる。�

誠心誠意不言実行�

――これが私の経営の信條である。�

経営の信條�

ブランドメッセージ�

経営ビジョン�商品を通じて世の中の役に立つ�

企業理念�

kokuyoCSR 10.3.9 4:37 ページ 3

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03 コクヨグループ CSR報告書 2010

KOKUYOGROUP

CSR Report2010

 本報告書の編集においては、持続可能な社会の実現に

幅広く寄与する企業を目指すコクヨグループが、CSR活動と

して特に注力している「地球温暖化防止」と「環境配慮商

品の推進」について重点的に報告しています。これは、私た

ちが社会的な責任を果たす上において最も重要な事項と考

えるからです。�

 本報告書では特に「低炭素社会の実現」のためにコクヨ

グループとして何ができるかということを強く認識した内容に

しています。トップの考え方を知っていただけるトップ対談を

はじめ、グループ各社が実践していること、それに併い生み

出された商品やサービスについて、現状の数値や将来の目

標などを交えて読み物として掲載しています。またほかにも

コクヨグループが力を入れて取り組んでいるコンプライアンス

の徹底、生物多様性への取り組み、ダイバーシティー推進の

トピックを取り上げています。�

 ステークホルダーの皆さまにお読みいただき、コクヨグルー

プの活動へのご理解を深めていただく一助となれば幸いです。�

お読みいただく皆さまへ�

「コクヨグループCSR報告書2010」に対する�私たちの考え方と編集方針� コクヨグループは、本報告書以外にも冊子やwebサイトなどでステークホルダーの皆さまにCSR関連情報を公開しています。�

グループ案内�コクヨグループの企業活動全般について報告している冊子です。(和文、英文・中文併記)�

アニュアルレポート�コクヨグループの業績と事業概要を報告している冊子です。(英文のみ)�����

・より詳細な情報をwebサイトでも公開しています。�

エコライブオフィス�東京品川にある「エコライブオフィス品川」における取り組みを報告している冊子です。�����

・より詳細な情報をwebサイトでも公開しています。�

結の森�高知県四万十町を舞台に行われている「結の森プロジェクト」について紹介している冊子です。����

・より詳細な情報をwebサイトでも公開しています。�

エコバツマーク�「エコバツマーク」の取り組みについて報告している冊子です。�����

・より詳細な情報をwebサイトでも公開しています。�

コクヨのCSR活動(webサイト)�コクヨグループのCSR活動について報告しています。本報告書に記載していない各工場の環境関連データなども掲載しています。�

コクヨ環境未来(webサイト)�コクヨグループの環境活動について、さまざまな取り組みを紹介しています。�

ユニバーサルデザイン(webサイト)�ステーショナリーのユニバーサルデザインについて、その考え方や商品などを紹介しています。�

http://www.kokuyo.co.jp/ir/

http://www.kokuyo.co.jp/ecology/ecooffice/

http://www.kokuyo.co.jp/ecology/yui/

http://www.kokuyo.co.jp/ecology/ecox/

http://www.kokuyo.co.jp/com/csr/

http://www.kokuyo.co.jp/ecology/

http://www.kokuyo.co.jp/yokoku/ud/

関連情報�

kokuyoCSR 10.3.15 21:11 ページ 4

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コクヨグループ CSR報告書 2010 04

CONTENTS目次�

■報告の対象範囲�【対象期間】�データ項目については、2009年1月から12月までの実績を掲載しています。��活動内容については2009年以前、2010年1月から3月までの活動を含みます。��【対象組織】�原則として、コクヨ(株)と連結対象子会社の24社。�ただし、環境報告に関しては、コクヨ(株)と下記子会社の合計22社を対象としています。�上記以外について、掲載するデータの対象組織範囲が異なる場合は、個別に注釈をつけています。�

<環境報告対象子会社>�コクヨS&T、コクヨファニチャー、コクヨオフィスシステム、カウネット、コクヨマーケティング、コクヨ中国販売、コクヨ九州販売、コクヨエンジニアリング&テクノロジー、コクヨストアクリエーション、コクヨインターナショナル、コクヨビジネスサービス、コクヨサプライロジスティクス、コクヨベトナム、コクヨ工業滋賀、コクヨMVP、コクヨ-IK(タイランド)、KTL、コクヨ(マレーシア)、コクヨロジテム、コクヨファイナンス、コクヨKハート�

※国内外の各拠点のデータはwebサイトに掲載しています。�

�■参考にしたガイドライン�・環境省「環境報告ガイドライン~持続可能な社会を目指して~2007年版」�・GRI「サスティナビリティレポーティングガイドライン」��・環境省「環境会計ガイドライン 2005年版」���※将来予測・計画・目標について�本報告書の記載項目には、コクヨグループの過去と現在の事実だけではなく、発行時点における

将来予測・計画・目標が含まれています。これらは記述した時点で入手できた情報に基づいた仮

定ないし判断であり、諸与件の変化によって、将来の事業活動の結果や事象が本報告書に記

載した予測・計画・目標とは異なったものになる可能性があります。�

ご了承いただきますようお願い申し上げます。�

KOKUYOGROUP

CSR Report2010

1�

2�

3�

4

コクヨグループの概要��

コクヨグループの理念��

お読みいただく皆さまへ�

目次�

エコ社会が変える�オフィスとクルマの未来�~低炭素社会に向けて企業が果たす役割~�日産自動車株式会社 志賀俊之COO × コクヨ株式会社 黒田章裕�

オフィスのCO2削減とエコプロダクツの提供�

物流のCO2削減とエコサービスの提供�

CSRマネジメント�

15�

17�

18�

19�

21� �

環境報告�

23�

25�

27�

� �

29� �

30�

31�

32�

33

�コクヨグループのCSR��

コーポレート・ガバナンス�

リスクマネジメント/BCP(事業継続計画)��

コンプライアンス�

一一クローズアップ一一 �「おかしいな」という気づきを促すコンプライアンスディスカッション�

活発な討議の成果が今、着実にグループ全体へと広がりつつある�

�事業活動と環境とのかかわり�

環境ビジョン/中長期環境行動計画と実績�

生物多様性への取り組み�

一一クローズアップ一一�

4年目を迎えた「結の森」とともに森林の本来の機能について考えていく��

一一クローズアップ一一�かけがえのない自然環境を次世代に引き継ぐために�

商品と人のネットワークを広げていく�

環境管理体制と環境リスク管理�

温暖化防止対策�

有害化学物質対策�

省資源・リサイクル対策�

34�

35�

36� �

社会性報告�

37�

38�

39�

40�

41�

42�

43�

45�

46� �

47�

資料編�

49�

50

環境活動の指標評価�

エコプロダクツの提供�

一一クローズアップ一一�環境配慮はもちろん、使い手のニーズを実現した<針なしステープラー>を開発�

�お客様とともに�

品質保証�

社会のために�

株主への責任�

人材育成�

勤労厚生・労働安全�

ダイバーシティー推進Ⅰ�

ダイバーシティー推進Ⅱ�

一一クローズアップ一一�ITを活用した在宅勤務で、障碍者雇用を推進�

社会に貢献する喜びを感じられる機会の提供を�

コミュニケーション�

�CSR会計��

第三者保証�

5 トップ対談�

9 社員一人ひとりの意識改革で成果をあげつつある�「エコライブオフィス品川」�

11 これまでの「当たり前」を見直す斬新なオフィス提案とともに�大きな進化を遂げた「霞が関ライブオフィス」�

13 CO2排出量を6.1%削減�目指すのは、お客様に選んでいただける物流�

特集� 低炭素社会に向けて�

告いて

ンし

/

/

/

/

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Page 6: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

05 コクヨグループ CSR報告書 2010

企業にとってもはや不可欠な環境経営。その持続力を確保

するためには、商品はもちろん、低炭素社会に向けての企業

活動そのものに楽しみや喜びを見出す工夫が必要です。今

回は電気自動車 日産「リーフ」の市場投入を予定する日産

自動車株式会社の志賀COOを「エコライブオフィス品川」に

お招きし、両社の環境経営と今後について対談を行いました。�

日産自動車株式会社�最高執行責任者(COO)��

志賀 俊之�コクヨ株式会社�代表取締役社長�

黒田 章裕�

エコ社会が変える�オフィスとクルマの未来�~低炭素社会に向けて企業が果たす役割~�

トップ対談�

kokuyoCSR 10.3.13 18:03 ページ 6

Page 7: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 06

環境への取り組みには��「楽しさ」が不可欠�

黒田 本日は弊社の「エコライブオフィス品川」にお越しいただき

まして、ありがとうございます。�

志賀 このオフィスをご案内いただいて感じたのは、社員の皆さん

が積極的に、高いモチベーションで環境負荷削減と向き合ってお

られることです。強制されるのではなく、おそらくは皆さんプライベー

トでも相当環境に気を使いながら暮らしておられるのではないか、

コクヨさんの考え方や価値観と社員の皆さんの生活がうまく一致

しているのではないかという気がしました。�

黒田 大変うれしいご感想をいただきました。実は日本のCO2排

出量を分野別に分類すると、工場等産業分野が減少傾向にある

のに対し、家庭・オフィスの分野では90年比で4割近く増えています。

コクヨは、オフィスという領域に近い企業として、まずは資源を再利

用するなどの環境対応商品のご提供に力を入れていますが、私は、

そこから一歩進んで、オフィスでの働き方や働く人の意識を変えて

いかなければ、目に見えた効果は出てこないと思っています。この「エ

コライブオフィス品川」も、省エネ型で人感センサーによって制御

される照明設備や夜間電力の活用、屋外オフィスの導入などの

新しい試みをしていますが、こうしたオフィスをつくった一番の狙いは、

働く社員に環境意識を高めてもらうことにありました。ここでの実

験成果をコクヨの他のオフィスでも活用し、ひいてはお客様にまで

広げていくことで、私たちなりの形で低炭素社会の実現に貢献し

ていきたいと考えています。�

 働く人の気持ちというのは成果が見えにくい部分ですが、本日、

志賀COOに当社の社員の環境への意欲を感じていただけたとい

うことは、大きな自信になります。�

志賀 私たち自動車メーカーにとっては、環境への取り組みはもは

やオプションではなく企業としての使命です。CO2排出量削減、ク

リーンなエミッション、資源循環、リサイクルといった課題を商品開

発計画の意思決定の柱にしながら、高い目標値を設定して活動し

ています。先進国でも途上国でも、商品を販売する国によってこの

取り組みが変わることはありませんし、海外の生産拠点にも日本と

同じ考え方を貫いています。クルマという商品そのものだけでなく、

それを送り出す企業活動全体の問題として、環境への取り組みを

推進していく。さもなければ、企業として、産業として存続できないと

考えています。��

 それゆえに、働く人の意識というのはとても大事な観点だと思い

ますね。環境に配慮したクルマを売りながら、例えば子どもを塾に

迎えに行った時はアイドリングしっぱなしでは、自分たちの企業活

動の意味がないですからね。参考にさせていただきたいと思いな

がら拝見しておりました。�

黒田 当社も決して最初から今のような状態になったわけではな

く、このオフィスをつくった2008年の夏から秋にかけてはずいぶん

と激しい議論をしました。約1年半が過ぎ、今は社員自ら、「ガーデ

ンワークビズ」といって夏場のガーデンオフィスで働くためのファッ

ションについて考え、ファッションショーをしたり、5階まで階段で上

り降りしたり、そういうエコ行動をポイント化して表彰したり、新しい

アイデアが次 と々出る段階になってきています。そのエネルギーを

ゆっくり大きくしていって、地域へ、社会へと広がっていく。そうした

社員の気持ちが社内を変え、アウトプットとして商品も変えて行く。

そうなればいいなと思います。�

志賀 環境への取り組みには「楽しさ」という要素が不可欠です

ね。クルマはエコでなければなりませんが、同時に楽しいものでな

ければなりません。エコドライブなのにドライブが楽しい、電気自動

車なのに走りが楽しいというように、環境配慮と楽しさが両立しな

ければ長続きしにくい。強制的に、概念的に取り組んで、何か犠

牲を伴った状態では続かないと思います。�

 日産にも、クルマの燃費が携帯電話に表示され、自分のエコド

ライブ成績が登録会員中何位かがわかるといったしくみを作ったり、

エコ運転の達人であるテストドライバーの運転データをコンピュー

タに取り込んで、それによってエンジンを制御するクルマを導入す

るなど、楽しみの要素を環境配慮と組み合わせる試みがあります。

コンマ数リットルの燃費を改善するためには莫大な開発投資が必

要ですが、実はドライバーの意識を変えるだけで燃費は大幅に改

善します。楽しみながら意識改革ができて、それを生活の中に定

着させていくことが大事だと思いますね。�

黒田 まさに同感です。実は当社ではこのオフィスをつくる前の

2008年の年初から、ライフサイクルの各段階で環境配慮が足り

ない自社商品にあえて「エコバツマーク」をつけ、3年間で、すなわち、

2010年中にこれをゼロにして行く取り組みを進めています。期限

を切られるというのは誰にとっても大変な苦痛です。しかし、この取

り組みをお客様が評価してくださいました。企業の姿勢として素晴

らしい、あるいは、自分たちも環境についてもっと突っ込んで考えな�

kokuyoCSR 10.3.13 18:57 ページ 7

Page 8: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

07 コクヨグループ CSR報告書 2010

先進国と途上国の思惑、�そのバランスをとるために�

見えてきた新しいクルマ社会、�オフィスの未来�

いといけない、と。今は社員も協力工場の皆さんも一丸となってエ

コバツマークゼロに向けて努力を続けています。商品を通じてお客

様にも環境についてお考えいただくきっかけを与え、当社社員の

環境に対する意識の改革に拍車がかかったことを、やってみて実

感しました。�

黒田 昨年、日本政府は世界の国々の参加を条件としながらも、

2020年までにCO2排出量を1990年比25%削減するという高い

目標を掲げました。12月にはコペンハーゲンで主要国がCO2削減

目標について話し合う「COP15」も開催されました。低炭素社会

の実現に向けて世界が新たな段階に入ったよう

に思います。��

 実は当社では昨年、国内のCO2排出量が1990

年比で30%ほど削減されました。これは自助努力

もありますが、世界同時不況の影響を受けて生産

量が減ったことが大きく影響しています。今年以降、

再び企業として新たな成長路線を模索するにあた

り、生産量を増やしながらもCO2はできるだけ現在

の水準を維持するようにしていく、という新しい課

題に挑戦しようとしています。�

志賀 「COP15」については、削減目標の合意

には至りませんでしたが、それでも途上国も含めて

各国の代表が一堂に会して、青い地球を次代に残さなければなら

ない、CO2排出量の増加にはブレーキをかけなければならないとい

うコンセンサスが得られたことは大きな前進だったと思います。地

球の気温上昇を産業革命前から2℃以下に抑えるといった内容

がコペンハーゲン合意に盛り込まれたわけですし、あとは各国で議

論しつつ努力していくという流れができたのではないでしょうか。��

黒田 そうですね。これから経済成長によって豊かな生活を手に

しようとしている途上国と、お金だけでは必ずしも幸福になれない

ことを知った先進国。その違いが、今回のCOP15ではっきり見え

たわけですが、国も民族も超えて世界が何かを考えていかないと、

一つの方向に進んでいかないような気がします。私はそのきっかけ

をつくるのが日本の役割だろうと思っています。日本の企業はきわ

めて高効率なものづくりができ、CO2をダイナミックに減らしていく

ことができます。途上国の発展を促しながら低炭素社会を実現す

る、その鍵を日本が握っているように思います。�

志賀 例えば中国はアメリカを抜いて世界最大の自動車市場に

なりましたが、売れているのは燃費の良いコンパクトなガソリン車で

す。一方、先進国では、電気自動車などの普及によってCO2排出

量を今後大幅に減らしていく。つまり先進国の技術によって、途

上国の経済発展に寄与し、生活を豊かにするクルマを提供するこ

とで、CO2排出のバランスをとっていくことが、当面現実的な形で

あろうと思います。途上国のクルマ保有台数は、これから大きく伸

びます。それを増やすなというのでは、先進国の単なるわがままに

なりますからね。�

志賀 クルマが誕生して100年余りになりますが、その技術は化

石燃料を燃やすことで成り立ってきました。しかし、数十年で枯渇

するとも言われている化石燃料に代わる解答を用意しなければ、

次の100年、自動車産業が持続することはできません。地球の気

温上昇を2℃以下に抑えるといった合意や、CO2排出量を2020年

までに25%削減するといった目標を踏まえると、走行中の排出量

はゼロにしなければならない。「ゼロ・エミッション車」である電気自

動車はその解答の一つです。この電気自動車とともに、私たちは

生活をより楽しく豊かにするさまざまな提案をしていきたいと考えて

います。例えば、今までは、排出ガスがあるためにクルマを家の中

kokuyoCSR 10.3.6 10:14 ページ 8

Page 9: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 08

に持ち込むことなど考えられませんでしたが、これからの一戸建て

住宅は、駐車場と家の中の境界がなくなる可能性もあります。車

にオーディオをつけておけば、音楽を楽しみたい時に一つの部屋

のように使えますし、家全体ではなく車の中だけ冷房すれば省エネ

にもなります。車椅子をお使いの方も、今までのようなご不便を感

じずにすむかもしれません。あるいは、これはアイデアレベルですが、

営業活動を担う方がクルマをオフィスの自席のように使うようにな

れば、会社は今のようなビルではなくて、クルマを停める立体駐車

場のようなものになるかもしれません。そうなると、コクヨさんのさま

ざまな商品と電気自動車が「働く」というシーンにおいて補完しあ

う可能性がありますね。�

黒田 クルマやオフィスの概念が大きく変わる。そう考えると楽し

いですね。環境への取り組みにおいて、利益や経済性を秤にかけ

るのはもちろん大切ですが、楽しみという要素を秤にかけていくこと

も大切だと思います。コクヨでも、エコに関するアイデアを駅伝の

タスキのように回して、どこが一番早くゴールするかを競う「エコ伝」

をやろうとか、さまざまな企業が集結したこの品川という地域を一

つのエコタウンととらえ、各社の環境への取り組みについて地域

の子どもたちに知ってもらう発表会を開催してはどうだろうといった

アイデアも出てきています。ようやく社員一人ひとりが興味を持っ

て取り組める段階になってきたかなと感じているところで、そうした

アイデアを増幅し、拡大していくのが経営者の仕事だと考えてい

ます。興味を持ってもらうためには、効果を「見える化」しなければ

ならない。例えばこの品川オフィスではエレベーターを一基止めて

いるのですが、これで削減されたCO2排出量を一般的な乗用車に

よる移動距離に換算して「今月は松山まで来ました」といった理

解ができるようにしています。ちょっとした工夫ですが、見る楽しみ

を用意するからこそ、意識改革も進むのかなと思います。��

志賀 日産では、工場や生産部門は比較的環境意識が高いの

ですが、本社や販売会社は、実のところまだ充分とは言えません。

横浜に新社屋を建てたばかりですが、CASBEE※1の最高レベル

であるSランクを取得するなどハード面ではエコフレンドリーにでき

たものの、中での仕事のしかたなどは、ゴミの分別なども含め、よう

やくチャレンジを開始したという段階です。環境に責任を持つ企業

として、これから社員の意識をますます向上させ、企業戦略とブラ

ンド、そして社員一人ひとりの行動を一致させていかなければなら

ないと思っています。�

黒田 我々の取り組みもまだ緒についたばかりです。「エコライブ

オフィス品川」もようやく目に見える成果が出始めました。また、先

ほどお話したような新しい取り組みを進めながら、低炭素社会の実

現に貢献する提案をしてまいります。本日は大変勉強になりました。

楽しいお話をありがとうございました。�

保存ファイル�<オール紙>�

志賀 「機密書類の分別廃棄は自分でやっています。これだったら分別廃棄が不要になるので、個人的にうれしいですね」�

黒田 「携帯電話からエアコンの操作や充電の予約・確認をすることができるのですね」�

日産<リーフ>�

エコ社会が変えるオフィスとクルマの未来�~低炭素社会に向けて企業が果たす役割~�

※1 国土交通省の主導のもとに開発が進められている建築物総合環境性能評価システム�

kokuyoCSR 10.3.6 10:14 ページ 9

Page 10: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

「エコ+クリエイティブ」の実践空間�

人が行動してこそ、省エネ設備が生きる�

エコ活動を支援する仕組みづくり�

CO2を削減しながら、ものづくりの質とスピードの向

上を目指す“実験オフィス”がオープンして1年。社員

の意識改革が進み、新商品という成果も生まれている。�

コクヨファニチャー株式会社 官公庁TCMタスク�

加藤 晃�コクヨ株式会社 RDIセンター シニアデザイナー�

小林 昭彦�

コクヨファニチャー株式会社 海外営業部�

杉山 由希子�

コクヨ株式会社 RDIセンター デザイナー�

福田 麻衣子�

(写真 左から)�

 2008年11月にオープンしたコクヨ品川オフィス5階の「エコライ

ブオフィス品川」は、コクヨグループの業務スペースを広くお客様に

公開する“ライブオフィス”。その基本コンセプトは、「エコを活力と

して企業の成長をサポートするオフィス」。社員たちが環境に配慮

した働き方を実践することで、コクヨグループの新たな成長力を模

索する実験空間である。��

 コクヨらしいアイデアと工夫で環境に配慮したオフィスワークを

推進するとともに、お客様に提供する商品やサービス、ひいては事

業そのものを環境に配慮された形に変えていく。具体的な目標は、

「オフィスから出るCO2の削減」と「ものづくりの質・スピードの向上」

である。�

 「エコライブオフィス品川」の実質的な初年度となった2009年。

それは、目標の達成に向けて試行錯誤を積み重ねた1年間だった。「特

に社員の意識を高め続けることの大切さを痛感しました」と、RDIセ

ンターのシニアデザイナー小林は言う。「オフィス全体では、CO2排

出量削減の年間目標56トン(リニューアル以前比41.5%)を超え、

59.4トン(同44%)削減を実現しました。ただ、その過程は必ずしも順

調ではありませんでした」。�

 例えば、天井照明と人感センサーを連動させ、無人になったエリア

の照度を低減する新しい照明システムも、当初の想定ほど消費電力

量削減にはつながらなかった。一人でも執務していればセンサーが

検知し、減光しないからだ。「省エネ設備の導入で一定量のCO2排

出削減はできるけれども、設備任せで人が何もしなければ、そこからエ

ネルギー消費量は横這い、あるいは微増していくことを実感しました」。

CO2削減目標達成には、一人ひとりのワーカーによるこまめな消灯

など「日々の行動」の積み重ねこそが必要不可欠だったのである。�

 エコを配慮した行動を定着させる上で重要なのは、何より社員

の「意識づくり」。そこで、エコ配慮の行動指針を明文化する一方、

実際に行った行動をポイント制にして個人のエコ意識を見える化

するシステム「エコスタイルASP」が導入された。「出退勤時は階

段を使う」「ガーデンワークをする」など、30項目に及ぶチェック項目

を設け、オフィスの全社員に毎日入力することを呼びかけた。�

 

 

P

 

社員一人ひとりの意識変革で�成果をあげつつある�「エコライブオフィス品川」�

オフィスのCO2削減と�エコプロダクツの提供�

低炭素社会に向けて�1

人感センサー付きのLED天井照明システム。�

エワが

51.55t6t 7.85t

09 コクヨグループ CSR報告書 2010

kokuyoCSR 10.3.9 23:31 ページ 10

Page 11: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

季節のイベントで「参加意欲」を高める�

「楽しいエコ」を推進するために�

 「毎日入力することで、少しずつエコに対する意識と行動が定着

していきました」と、「エコスタイルASP」の企画と運営を担当した

福田。現在は、より簡単に楽しく参加できる新システム「エコピヨ」

を導入。オフィスの各所に設けたカードリーダーで、即時にエコ活動

の入力ができる仕組みだ。社内で検証し、商品化も目指していく。�

 さらに、社員が継続的にエコ活動への参加意欲を高められるよう、

季節ごとのさまざまなイベントも開催された。例えば屋外の「ガーデ

ンオフィス」での執務は、夏や冬など季節によっては服装や日よけ

アイテムなどの工夫が必要となる。�

「2009年の夏以降、ガーデンワークに適した服装の基準を考えた

“ガーデン・ワークビズ”、季節ごとのガーデン内の自然やガーデン

ワークのために開発したアイテムなどの写真を募集・掲示した“Garden

Photo Contest”を開催し、ガーデンワークを促進しました」と、発案

メンバーの一人コクヨファニチャーの杉山。こうしたイベントを継続的

に企画・開催することで、ガーデンオフィスの利用頻度、利用人数は

確実に増えてきた。�

 エコ意識を見える化するシステムの活用やイベント開催の結果

からも、エコ活動継続のカギを握るのが「みんなで楽しみながら取り

組む」ことであるのは明らかだ。�

 社員が楽しみながらエコ活動を続け、さまざまな場面で「気づき」

を得る。そして、そこからコクヨグループらしい発想の優れた商品を生

み出し、世の中に提供していくことができる。 �

「お客様はもちろん、コクヨグループの社員にも、これまで以上に『エ

コライブオフィス』を体験してもらう機会を提供したい。そのためにも、

我々が推進しているエコ活動について社内外に積極的に発信して

いきたいと考えています」と、小林は、次年度の抱負をそう語っている。�

エコ活動の定着に伴い、新システム「エコピヨ」の運用を開始。IDカードリーダーでガーデンワークをした回数をカウントする。階段踊り場にも設置されており、より手軽に自分のエコ活動が記録できるようになった。�

「エコライブオフィス品川」の入口に掲示されている「Garden Photo Contest」(左)には、社外からの見学者にも四季折々のガーデンワークの工夫を知ってもらう効果も。ガーデンで働きやすいスタイルを提案した「ガーデンワークビズ」に挑戦(上)。�

0

30

60

120

150

旧オフィス�推定値�

目標� (t-CO2/年)�実績�

●CO2削減実績� ●CO2削減量内訳�ー44%�1.省エネ照明�

2.省エネ空調�

3.自然換気�

4.その他�

5.運用による削減�

   計�

26.59t�

15.79t�

1t�

8.17t�

7.85t�

59.4t

51.55t

135t79t 75.6t

50t 51.55t51.55t51.55t6t 7.85t6t 7.85t

CO2排出量t-CO2/年�

CO2排出量の年間目標56トン(-41.5%)削減に対し、59.4トン(-44%)を達成�(期間:2009年1月~12月)�

■「エコライブオフィス品川」CO2削減状況�

注:他フロアの共用部ならびに空調熱源別途�

エコライブオフィス品川から生まれた�

円形テーブル�<WORKLINK(ワークリンク)>�

組織を横断する協創型のものづくり�

 コクヨファニチャーの加藤は、同オフィスにおける商品開発プロセス

の変革について、円形テーブル<ワークリンク>の例を挙げて次のよ

うに語る。�

 「エコライブオフィスは、業務の性質によって『感じとる』『アイデア

を出す』『形にする』『発信する』という4つのゾーンに分かれています。

まず商品の『アイデアを出す』段階では、「モノづくりアイデアコンテス

ト」を実施し、開発部門だけでなくオフィス全体から新商品の芽となる

企画を募りました。さらに『形にする』段階でも「商品化コンテスト」を

実施、プロトタイプの製品についての意見をグループ会社社員、お客

様から集めて最終的な改善に活かしました。このように“全員協創型”

の商品開発サイクルを回すことで、従来1年弱かかっていた商品化を

約7カ月で達成することができました」。��

 2009年10月に発売された<ワークリンク>は、円形テーブルならで

はのスペース効率の良さや、人数の増減にも柔軟に対応できる使い

勝手の良さが評価され、同時に開発したチェアーである<アクティ

ナ>とともに堅調な売れ行きを示している。�

 組織や部門を越えたコミュニケーションを活性化させ、ものづくりの

質とスピードを向上させることは、「エコライブオフィス品川」が継続的

に取り組む活動テーマなのである。�

エコライブオフィス品川で使用されている<ワークリンク>。従来の長方形デスクに比べ一人当たりのデスク占有面積を最大40%削減。�

荷物置きトレーなど、収納機能もついたオフィスチェアー<アクティナ>。�

コクヨグループ CSR報告書 2010 10

kokuyoCSR 10.3.9 4:39 ページ 11

Page 12: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

エコ対応を超えて進化するオフィス�

天井照明を使わないという新発想�

大きく変わったビジネス環境にあって、生産性向上と

環境意識向上を両立するオフィス空間をどう構築す

るか__。「霞が関ライブオフィス」は、そのヒントと

ソリューションを数々提案し続けている。�

コクヨオフィスシステム株式会社 ソリューション本部�ワークスタイルソリューション第2部��

新居 臨�コクヨオフィスシステム株式会社 ソリューション本部�ワークスタイルソリューション第1部��

池田 理恵子�コクヨオフィスシステム株式会社 ソリューション本部�ソリューション開発室�

酒井 宏史�

(写真 左から)�

 大手企業にオフィスの新たなあり方を提案し続けるコクヨオフィ

スシステム(以下KOS)は霞が関ビルディングの18階にある。2009

年9月に実施されたリニューアルのテーマは「Crash the RULE」。

昨今の景況感を踏まえ、オフィスの考え方や常識を根本から見直

そうというメッセージである。�

 「背景には、オフィスを取り巻く状況の変化があります」プロジェク

トリーダーの新居が語る。「環境配慮は、今や企業の使命です。一

方で景気低迷が続いてオフィス関連諸経費も抑えなければなりま

せん。そういう時期にあるべきオフィスの姿を考えようということです」。�

 前回2008年のリニューアルで、この霞が関オフィスは

「RESONANCE FIELD 2.0」と名付けられた。「レゾナンス」は「共

感、共鳴」を意味し、働く人が互いに影響し合い、成長していく空

間としてオフィスをとらえる考え方を反映する。今回の「3.0」への進

化について、ソリューション開発を手がける酒井はこう語る。「2.0も

エコがテーマでしたが、時代的にエコ意識も表面的だったと思いま

す。今はエコと経費削減の意識が合致する時代。そこで2.0での経

験を踏まえ、よりCO2削減に効果を発揮するソリューションを表現し

た場が3.0ということになります」。�

 自由度の小さいテナントビルとしてできるエコ対応とは何か。その

解答がここにはいくつもある。�

 「見学される皆様はまず驚きます」と新居。「既存の天井照明を

使わず、ポール型の<センサー・ライティング・スタンド>がフロアの

照明を担っています。人感センサーによって、人が近づけば点灯し、

離れれば消灯。人間の行動をスイッチとして必要な時だけ照明す

る“ライティング・オン・デマンド”です」。�

 「一般に700ルクスとされるオフィスの明るさは果たして本当にそ

こまで必要か、オフィス全体を均一に照らす照明は本当に必要な

のかといった“気づき”を得ていただけるようです」と酒井。「天井

照明を使わないのは大胆な挑戦です。こうした取り組み全体で一

般的なオフィスより約30%のCO2削減ができると考えますが、効果

については現在、実績値を吸い上げ分析しています」。�

 一方、LED照明<インテリジェント・ワーク・ライティング>には、

業務内容ごとに照明の色温度や照度を変えられる機能が加わった。

例えば、業務時間に応じて、照明の色温度が次第に夕方のような

光の色に変化することで業務終了時間を意識させられ、結果CO2

排出削減と残業抑制意識につながる。ハードの進化は、エコ対応

のみならず業務効率や時間管理などソフト面の質的向上をも実現

しているのだ。時間管理は、3.0の重要なキーワードの一つである。

 

 

 

これまでの「当たり前」を見直す�斬新なオフィス提案とともに�大きな進化を遂げた�「霞が関ライブオフィス」�

オフィスのCO2削減と�エコプロダクツの提供�

低炭素社会に向けて�2

インテリジェント・ワーク・ライティング�ワークスタイルや目的に合わせた、さまざまな照度・色温度設定が可能なLED照明システム<インテリジェント・ワーク・ライティング>。写真はワークステーションタイプ。�

11 コクヨグループ CSR報告書 2010

kokuyoCSR 10.3.9 23:31 ページ 12

Page 13: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

社員の意識を改革する数々の仕掛け� 自然に触れ、人と触れ合うビル内オアシス�の

2

 自身の業務行動を考え利用時間を入力すると、自動的に座席が

割り当てられる「OfficeDARTS」も、ソロワークだけでなくチーム

ワークのスタイルも選択できるようバージョンアップ。また、昼は外

光で照度を確保する「超エコルーム」では、1日の時間の経過と自

然を感じながら仕事ができる。時間とワークスタイル、コミュニケー

ションの効率化は生産性と創造性の向上に直結し、結果として電

力消費低減にもつながる。そこで大切になるのは社員の主体性で

あり、作業効率や環境への影響を意識して行動できるかである。�

 「『離席時はパソコンをスリープモードに』といった基本的な呼

びかけを地道に続けていく。結局、そうした意識づけができなけれ

ばハードも活かされません」と酒井。消費電力の「見える化」シス

テムも、前日分の表示から今日現在のリアルタイム表示となり、オ

フィス中央のモニターでも確認できる。社員の意識向上に向けた

大きな進化の一つである。�

 時代に即して生まれ変わった「RESONANCE FIELD 3.0」だ

が、新居によれば「うまくいっている面もあれば、そうではない面もあ

る」という。「まだ日が浅いですし、そもそも試行錯誤を繰り返す実

験場です。オフィスの明るさなどまだ考えるべき課題もあり、想定外

の問題にも出くわします。お客様からのご意見もいただきながらそ

の答えを模索していきます」。�

 数々の取り組みの中でもお客様の人気が高いのは「ベジガーデ

ン」。社員が野菜などの苗を育てる室内菜園だ。�

 「女性社員のワーク・ライフ・バランスを考えるプロジェクトから生

まれました」発案者の一人、池田が語る。「休憩をとりづらい業務

の女性社員のオン・オフ切り替え、コミュニケーション活性化を目指

して始まりました。野菜の面倒をみることが、ここに来てもらう理由

づけになりますし、世代や職種を超えて、社員同士の自然な会話が

生まれる場になっています」。�

 現在、ベジガーデンのオーナーは社員の3分の1に当たる87名。

2009年8月には、育った野菜を試食する「収穫祭」を開催し、また

12月には大阪府泉南市にあるコクヨグループの障碍者雇用会社「ハ

ートランド」との交流会も実施した。ハートランドが水耕栽培するサ

ラダほうれん草を皆で食べる催しで、一般の光インターネット回線を

使用するフルハイビジョン品質テレビ会議システム「XVDコミュニ

ケーションシステム」が、リアルタイムで霞が関と大阪を結んだ。小

さな野菜の芽とともに、コミュニケーションの芽を大きく育てる空間

として、「ベジガーデン」の可能性に期待が集まっている。���

 低炭素社会の実現に寄与する理想のオフィスのあり方を目指す

「RESONANCE FIELD」の挑戦はなおも続く。�

超エコルームと消費電力の見える化システム�昼間は自然光をふんだんに取り入れ、夜は太陽光発電で照明する「超エコルーム」。反射板を設置し、天井面に光を反射させることで照度を確保している(上)。リアルタイムで更新される、消費電力の見える化システム。オフィス中央にスクリーンが設置されている(左)。�

ベジガーデン�社員のコミュニケーションを活性化させるベジガーデン(上)、「XVDコミュニケーションシステム」を使ったハートランドとの交流会(左)。�

新たなオフィス環境を実現�

<センサー・ライティング・スタンド>�<バッテリーシェアードデスク>�

コスト削減と省エネを両立する提案�

 人感センサーによって点灯・消灯できる床置き式のポール型照明

<センサー・ライティング・スタンド>。オフィスに人が少なくなる時間

帯に無駄な照明をカットでき、既存の天井照明などの設備を交換する

ことが難しいテナントビルで全体照明の代わりとして使える省エネソリ

ューションである。�

 また、<バッテリーシェアードデスク>は、内蔵されたバッテリーで電

力を供給することにより、無線LAN環境で使用するとOAフロア工事

やLANケーブルの必要がなくなり、イニシャルコスト削減とレイアウト自

由度の向上に貢献、夜間電力など採用するビルではさらに効果が期

待できる。また、自分たちでデスクを移動させ充電することで、省エネ

意識向上にも役立つ。��

 「ライトもデスクも、必要な場所に必要なものをというオンデマンド

の考え方です」これらのシステムについて、池田がそう語る。「単なる

環境対応から一歩進んで、オフィスでの働き方、運用のしかたまで考

える。それが3.0の大きな特徴です」。��

 ランニングコスト低減と大幅な省エネ、そして環境意識向上を一挙

に実現するための意義ある提案となっている。�

<センサー・ライティング・スタンド>と<バッテリーシェアードデスク>�(コクヨオフィスシステム社内)。�

<バッテリーシェアードデスク>の充電の様子。�

コクヨグループ CSR報告書 2010 12

kokuyoCSR 10.3.9 23:31 ページ 13

Page 14: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

加速する物流部門のCO2削減�

タスクフォースを組み、ESCO事業者をパートナーに�

現場に負担をかけることなくエコ化を実現�

ステーショナリー事業における物流を担うコクヨサプ

ライロジスティクスが、CO2削減の取り組みを強化し

ている。「お客様に選んでいただける物流」の実現に

向けて、従来の環境配慮型物流構築からさらに一歩

踏み込んだエコ化への挑戦が始まった。�

コクヨサプライロジスティクス株式会社 東日本CSオペレーション部�首都圏IDC 運用課 主任��

藤森 弘行�

CO2排出量を6.1%削減�目指すのは、お客様に�選んでいただける物流�

物流のCO2削減と�エコサービスの提供�

低炭素社会に向けて�3

 ステーショナリー商品の物流業務や、オフィス用品の通販事業

におけるユーザー向け配送業務を担うコクヨサプライロジスティクス。

同社では、2009年11月から順次、配送センターに省エネタイプの

照明器具やエネルギー計測・制御システム等の省エネ設備の導

入と一部地域での自転車配送の採用を開始した。こうした取り組

みにより、配送センターにおいてはCO2排出量を年間約219トン、

従来比で約6.1%を削減できる見込みとなっている。��

 これまでも再利用できる通い箱の利用や、段ボール資材を用い

ない簡易包装など、環境配慮型の物流構築に努めてきたが、社会

全体の環境意識の高まり、省エネ関連法の改正などが今回のさら

なる物流のエコ化推進へとつながった。�

 コクヨサプライロジスティクスの配送センターの一つである首都

圏IDC※1。数万アイテムを扱う5階建ての広大な庫内では、商品を

運ぶためのベルトコンベアが常時動き、作業に適した明るさや室

温も維持しなければならず、消費電力がふくらみがちだ。一方、改

正省エネ法※2により、同社も今後は年平均1%以上のエネルギー

低減努力を求められる対象となった。こうした背景もあり、2009年

2月にエコタスクチームを結成、「配送センターのCO2排出量を何

とか削減できないか」と模索がはじまった。環境対応配送センター

を具現化するためのさまざまなアプローチを検討する中、ESCO事

業※3に行き当たり複数の事業者に相談をもちかけた。「どこも物

流倉庫は前例がないとのことでしたが、最終的に株式会社クリエ

イティブテクノソリューションさんとパートナーシップを組むことにな

りました」と、タスクチームのメンバー首都圏IDC 運用課主任の

藤森。「最も消費電力の高いベルトコンベアは業務上どうしても

変更できないなどという制約の中、現状調査やプランづくりなど念

入りに行い、ようやく実施計画がまとまりました」。�

 協議を重ねた結果、まず取り組みを進めることになったのが照明。

首都圏IDCと茨城配送センターで、これまで使用していた210W水

 

 

高反射板付き蛍光灯。ワット数はこれまでより低いが明るさは従来以上。隣の丸い照明が従来の水銀灯。�

13 コクヨグループ CSR報告書 2010

kokuyoCSR 10.3.13 18:03 ページ 14

Page 15: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

環境意識をさらに高めて新たな挑戦を�

※1 Integrated Distribution Center(統合配送センター)��

※2 エネルギーの使用の合理化に関する法律��

※3 Energy Service Company。企業の利益と地球環境の保全に貢献するビジネスで、ESCO事業者は、企業に省エネルギー効果を保証し、省エネルギーに関する設備・サービスを提供、企業の省エネルギー効果(メリット)の一部を報酬として受取る�

銀灯や40W2灯式蛍光灯を、それぞれ高反射板付き88W、32W蛍

光灯へと変更することになった。首都圏IDCの約800台もの水銀

灯を順次つけかえたところ、消費電力は大きく削減されたのに対し、

明るさはこれまで以上。「見上げればまぶしいぐらいで、品番なども

より読み取りやすくなり、現場でも『これはいい』と好評です」と藤森。

 さらに、首都圏IDC、茨城配送センター、近畿IDCに、クリエイティ

ブテクノソリューション社が提供するエネルギー計測・制御システム

「もっとsave」を導入。照明や空調のエネルギー利用状況を「見え

る化」するとともに、自動制御によって、照明や空調の不必要な付

けっ放しなどを監視し、電気の無駄使い防止につなげる。また、見

学に来られるお客様へエコへの取り組みの「見える化」も行う目的

で、計測結果の液晶表示板をお客様受付窓口上部に取り付け、

ビジュアルに省エネ推進をアピールしている。�

 このほか、コクヨサプライロジスティクスとしてぜひにと望んだのが、

首都圏IDCと近畿IDCに、風力発電と太陽光発電を組み合わせた

ハイブリッド街灯の設置だった。「これは、広く社内外に省エネを推

進して、CO2削減の機運をさらに盛り上げていくためのシンボルとし

ても位置づけています」。�

 「削減効果とともに環境意識の変化に、大きな期待をしています」

と藤森が言うように、今回の取り組みの一つとして設置した液晶表

示板では、電力使用のデマンド値が30分間隔で更新され、エリアご

との電力使用量が一目で分かるようになっている。消費電力の「見

える化」を行うことで、社員はもとより見学にお越しになられたお客

様にも、環境に対する意識を高めていただこうとしたものだ。今後は、

計測結果を分析し、環境に対する取り組みをさらに推進していく考

えだ。�

 「コクヨグループとしてグループ事業貢献はもちろん、『選んでい

ただける物流』を目指し、エコ意識推進のために、これからも着実に

活動を続けていきます」。�

首都圏IDCお客様受付に設置されたエネルギー消費量計測結果の液晶表示板。�

風力発電と太陽光発電を組み合わせたハイブリッド街灯。畜電されたエネルギーは首都圏IDCでは夜間の看板照明(写真1)、近畿IDCでは通用路、緑地帯の照明(写真2)、構内案内図の照明にそれぞれ利用されている。�積算電力量表示パネル(写真3)。�

でい 1 2

3

CO2を排出しない��

自転車配送をスタート�

「超」環境配慮型物流の実現に向けて�

 人々の環境意識の高まりとともに、物流の現場では走行時にCO2

を排出しない自転車による配送が登場。渋滞の多い都市部で徐々

に広がりを見せている。コクヨサプライロジスティクスのCO2削減タ

スクチームのメンバーは、この自転車配送にも着目。オフィス消耗品

購買システム「@office(あっとオフィス)」など、お客様向け商品の

配送に自転車便を活用しようと、自転車便の配送サービスを行って

いる株式会社エコ配社と業務提携を図った。�

 自転車便での配送は業界に先例はなく、予測不能なことも多い。が、

エコ配社側も「自転車配送の先駆者としての自信もありましたし、コク

ヨさんとの提携業務を成功させることで、自転車配送という取り組みを

より一層拡大することができると考えました」と極めて前向きに快諾。

コクヨの荷物用のマニュアルを新たに作成するなど準備を整え、東京

都新宿区、豊島区の一部、大阪市中央区の全域で、2010年1月15

日から、電動アシスト付き自転車で運ぶ、「超」環境配慮型物流が展

開されることになった。この取り組みによるCO2排出量の削減量は年

間約38トンとなる見込みである。��

 開始後は「自転車で届けてくれたんだよね」とお客様が驚きの表

情で、かつ好意的に受け取られていることも多いという。まだまだ想定

外のことや課題も発生するだろうが、一つひとつ確実にクリアしてい

きたいと考えている。�

電動アシスト付き自転車にリヤカーを連結して配達を行う。自転車での配送ということで、女性のドライバーも存在するという。�

コクヨグループ CSR報告書 2010 14

kokuyoCSR 10.3.13 18:04 ページ 15

Page 16: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

15 コクヨグループ CSR報告書 2010

コクヨグループの�CSR

CSRマネジメント�

創業者の考えに基づき、�

グループ全社に共通する�

継続的な活動として�

CSRを推進しています�

基本的な考え方�

 コクヨグループでは、創業者 黒田善太郎が

説いた「カスの商売」の考えと、自らの心構えを

明文化した「経営の信條」、そこから導かれた「商

品を通じて世の中の役に立つ」という企業理念

をコクヨグループのCSR活動の規範としています。�

 規範に基づき、社会における良き企業市民と

して、さまざまなステークホルダーとのより良い関

係を構築するために、2004年、「コクヨグループ

CSR憲章」を制定しました。社会およびグループ

の継続的な発展を期すための基本方針につい

て「お客様」「地域社会」「環境保全」「企業活動」

「人権尊重」の5つのテーマに沿って明らかにし

ており、これに基づいた活動を行っています。また、

ステークホルダーとの関係における社員の日々

の行動指針として「コクヨグループ企業倫理綱領」

を定めています。�

 2009年には「環境」「事業継続」を主要テー

マとして事業戦略とCSR活動の融合を推進しま

した。さらに、「コンプライアンス」をテーマに新た

な企業風土の醸成に努めることで、より一層の

社会的な責任を果たすべく活動を強化しました。�

KOKUYOGROUP

CSR REPORT2010

KOKUYOGROUP

CSR REPORT2010

2009年活動報告�

15 CSRマネジメント�

23 環境報告�

37 社会性報告�

49 資料編�

経営の信條�カスの商売�

企業理念�「商品を通じて世の中の役に立つ」�

コクヨグループ�CSR憲章�

コクヨグループ�企業倫理綱領�

kokuyoCSR 10.3.13 7:42 ページ 16

Page 17: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 16

CSRマネジメント体制� 社長と社員の意見交換�

 内外のステークホルダーと良い関係を構築し、

社会およびグループの持続的発展を追求する

ために、コクヨグループではグループ本社に5つ

の委員会(中央安全衛生委員会、ダイバーシテ

ィー推進委員会、環境委員会、リスク・コンプラ

イアンス委員会、J-SOX委員会)を設置してい

ます※1。�

 これらの委員会では担当役員が委員長となり、

複数の関連部署からメンバーを選出しており、そ

れぞれの専門的見地からCSRにおける重要課

題をグループ全体で組織的に推進・強化してい

くための取り組みを行っています。�

 また各委員会と事業会社の担当者の間の連

携を密にし、活動状況の共有や、リスクの予防、

実績の把握、活動実施の支援などを行うとともに、

グループ社員に対して活動への理解、および参

画を促しています。�※1 組織体制についてはP17「コクヨグループガバナンス体制図」を参照�

 コクヨグループでは、経済・環境・社会の各側

面に配慮した事業活動を継続的に推進するた

めに、現場で働く社員の気づきと自発的な実践

が不可欠であると考えています。小さな気づきを

実践し、工夫しながら継続することこそが企業活

動を進めていく上で大きな強みとなるということを

共有するために、社長と社員が直接対話する機

会を設けています。�

 2009年は、コクヨのCSR活動の重点施策で

ある環境問題について社長と社員の座談会を

行いました。座談会には、グループの各事業会

社から企画・開発・生産・物流・営業を担う社員

が参加し、「コクヨらしいエコについて話そう」を

テーマにそれぞれの取り組みや気づき、実践して

いることや工夫について話し合いました。社員一

人ひとりが意識を持って取り組むことが、企業全

体を変えていくことにつながるということから、

2010年は全社員が楽しく参加できるイベントを

企画、実施していく予定です。�

社長と社員が率直な意見を述べました�

KOKUYOGROUP

CSR REPORT2010

コクヨグループCSR憲章�

コクヨグループは、創業以来の「商品を通じて世の中の役に立つ」という企業目的のもと、誠実な事

業活動を展開し、収益性を高めるとともに、社会から必要とされる企業になります。法令等の遵守は

もとより、企業市民としての社会的責任を果たすことにより、お客様・投資家をはじめ、すべての利害

関係者からの信頼を獲得し、事業の継続性の維持に努めます。

1.お客様の視点に立って「商品・サービス」を企画・開発・提供することで、 �

 お客様の満足や信頼を獲得し、常に社会から必要とされる企業であり続けます。�

2.お客様の進化をリードしながらも、自らも進化することにより、�

 「創造性・効率性・ 快適性」を提供し続ける唯一無二の会社を目指します。�

1.社会の一員であることを自覚し、地域社会との交流、さまざまな社会貢献活動を通じ、�

 豊かな社会を創造することで、地域社会から信頼される「良き企業市民」を目指します。�

1.地球温暖化や森林資源の減少をはじめとする地球環境問題の解決を、緊急課題と認識し、�

 この課題解決に全従業員が英知を結集し、全社を挙げて行動を起こします。�

2.商品の供給者としての責任と資源の消費者としての責任があることを認識し、�

 あらゆる行動に3R(Reduce、Reuse、Recycle)の意識を取り込みます。�

1.公正・透明・自由な競争ならびに適正な取引を行うとともに、�

 政治・行政との健全かつ正常な関係を保ちます。�

2.取引先様との関係は常に公正であり、また信用される企業であるために、�

 互いに協力し合い、成長していくことを目指します。�

3.企業価値を高めることは株主への責務と認識し、社会から信頼される透明かつ健全な�

 企業経営を堅持します。�

1.あらゆる企業活動の場面において、関係するすべての人々の人権を尊重し、�

 差別のない職場環境を目指すとともに児童労働・強制労働を認めません。�

2.従業員一人ひとりの個性を尊重し、自主性と能力を十分に発揮できる環境を実現して�

 従業員満足が日本でもっとも高い企業の1つとなることを目指します。�

お客様�

環境保全�

企業活動�

人権尊重�

地域社会�

kokuyoCSR 10.3.9 4:40 ページ 17

Page 18: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

17 コクヨグループ CSR報告書 2010

コーポレート・ガバナンス体制� 内部統制システム�

コーポレート・�ガバナンス�

CSRマネジメント�

リB

健全で透明性の高い経営を�

実践するために�

コーポレート・ガバナンスの強化と�

内部統制システムの充実を�

図っています�

 コクヨグループは、「透明性、スピード、公平性」

を基本としたコーポレート・ガバナンスを重視し、そ

の体制を整備しています。持ち株会社制のもと、

事業の執行権限と責任を明確化する一方、監

督機能の強化を図り、コーポレート・ガバナンスの

充実に努めています。2004年10月の持ち株会

社制移行時に制定した「コクヨグループガバナ

ンス基本規定」では、分社・持ち株会社制におけ

るコクヨグループの経営の枠組み、基本構造の

定義づけ、および、グループ運営にかかわる基本

的な事項を定めています。�

 また、監査役制度を採用しており、取締役数は

7名、取締役の任期は、経営環境の変化に柔軟

に対応できる経営体制にするために1年としてい

ます。現在、社外取締役は選任しておりませんが、

社外有識者とのアドバイザリー契約により、中立

的・客観的な意見を経営に取り入れる体制を整

えています。監査役は4名(社外監査役2名)で

監査役スタッフとして2名が専従しています。また

顧問契約している弁護士は4名、必要に応じて

アドバイスを受けています。内部監査についても

持ち株会社とグループ内事業会社の連携を一

層強化し、グループ共通のテーマのもとに内部

監査を推進しています。�

 コクヨグループでは2006年5月開催の取締役

会において内部統制システムの基本方針につ

いて決議しています。�

 基本方針では「文書取扱規定」に従った取

締役の業務執行にかかわる情報の保存・管理

に関する体制整備、「コクヨ企業倫理綱領」によ

る倫理的判断基準の制定など、グループの内部

統制の枠組みを定めています。�

 また、金融商品取引法の施行に伴い、財務報

告の信頼性確保に焦点を当てた内部統制の整

備・強化に積極的に取り組むことを目的として、

2009年1月に組織横断的な「J-SOX委員会」を

設置しました。�■コクヨグループガバナンス体制図�

・取締役会(原則毎月1回開催)�

取締役7名で構成される取締役会の議長は社長が務めており、コクヨグルー

プの基本方針その他業務執行に関する重要事項を審議決定します。�

・グループ経営会議(原則毎月2回開催)�

グループ経営会議は、代表取締役の諮問機関として、グループ全体の戦略・

方針に関する事項の審議、グループ本社および事業グループの業務執行

における重要事項の意思決定・報告、経営層間の情報交換・意思疎通を

行うことを目的に開催しています。�

・監査役会(原則毎月1回開催)�

監査役4名で構成される監査役会では、監査に関する重要な事項について

報告を受け、協議または決議を行います。監査役は取締役への勧告、助言を

行うとともに、会計監査人、または経営監査部門、および事業会社の監査役

との連携を密にし、的確な監査を実施しています。�

・経営監査部(内部監査)�

コクヨ株式会社(持ち株会社)および事業会社における経営諸活動につい

て、不正・誤謬の防止に努めるとともに、リスクマネジメント、ガバナンスの有

効性を評価、改善し、経営目標の達成に資する助言・勧告・提案を行います。�グループ各事業会社(業務執行部門)�

持ち株会社�

内部監査�統制�

監査�

代表取締役社長�

選任・解任�

選任・解任・監督�

内部監査組織�

会計監査�

選任・解任�選任・解任�

取 締 役 会�

本社各部門(業務執行部門)�

株  主  総  会�

監 査 役 会�

グループ経営会議�

内部監査�

連携�

連携�

連携�

報告�

報告�指示�

報告�

諮問�

提言�

J-SOX委員会�

リスク・コンプライアンス委員会�

環境委員会�

ダイバーシティー推進委員会�

中央安全衛生委員会�

経 営 監 査 部�

kokuyoCSR 10.3.13 7:43 ページ 18

Page 19: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 18

 コクヨグループでは、2007年から、自然災害に

より工場やオフィス機能に被害が生じた場合を

想定したBCP(事業継続計画)の検討・策定に

取り組んでいます。�

 2009年度は、首都直下型地震をはじめとした

大規模地震対策を策定し、安否確認訓練や帰

宅困難者対策等、総合的な防災訓練を実施す

ることによって実効性を検証しました。�

 また、訓練時に災害用物資の公開や災害物

資交換作業を社員で実施することにより防災意

識向上を図りました。�

1)安否確認システムの構築と訓練の実施�

 大規模な地震発生の際に、コクヨグループ社

員の安否確認を迅速に行う仕組みとして、2006

年から、携帯電話、パソコン、固定電話などの社

員各人が持っている連絡手段の登録・管理によ

る安否確認システムの運用を開始しています。�

 安否確認システムについては、年に4回、シス

テムの利用・行動マニュアルに基づく訓練を実

施しており、応答率の把握と公開、社員への啓

発活動を継続して行っています。今後は休日に

安否確認訓練を実施することも検討しています。�

2)大規模避難訓練の実施�

 平日に直下型地震が発生した場合を想定して、

日ごろから地震対策の強化と訓練の実施を定期

的に行っています。2009年度は、事業所訓練や

対策本部訓練を実施しました。訓練実施を通し

て得た課題を改善し、防災手順書を実践的な内

容に改定しました。�

3)新型インフルエンザ対策�

 2009年4月28日のWHOによるパンデミック・

フェーズの引き上げ、わが国の新型インフルエン

ザ対策本部の立ち上げを受け、当社においても

同日「コクヨグループ新型インフルエンザ対策本

部」を設置し国内外の状況確認や当社における

感染予防策の実施、感染者発生時の対応を行

いました。感染者は重症化の例はなく、いずれも

数日で出勤再開となりました。自宅療養期間が

やや長くなったこともあり、それまでの季節性イン

フルエンザを発症した場合よりも業務への影響

は大きくなりましたが、事業所閉鎖等の大きな問

題には至りませんでした。今回発生した「新型イ

ンフルエンザ」について当面は現状の体制で感

染予防と感染拡大防止を進めていきますが、

H5N1型鳥インフルエンザのヒト-ヒト感染など、

今後起こり得る事象に対応するためBCPの策

定など準備を整えていきます。�

 コクヨファニチャーでは、2007年度からBCP

実施のためのパイロット事業会社として、サプラ

イチェーン・マネジメント(SCM)における重要

業務を対象にリスクの洗い出しや評価、復旧シ

ナリオの策定などの整備などを進めてきました。

2008年度には、オフィス家具・建材の製造・出

荷および顧客対応において、事業継続マネジ

メントシステム(BCMS: Business Continuity

Management System)の実質的な国際規格

である「BS25999※1」の認証を、オフィス家具業

界で初めて取得しました。�

※1 組織が災害、疫病などによる事業中断の影響を最小限に抑え、事業継続上の脅威に対処する能力を明示するための指針です。BSI(英国規格協会)より、2006年11月に行動指針(パート1)、2007年11月に認証規格(パート2)が公表されています。�

BCPの策定と実施�

認証の取得�

具体的な取り組み�

リスクマネジメント/�BCP(事業継続計画)�

CSRマネジメント�

大規模災害や�

新型インフルエンザ発生時の�

事業継続や復旧のために必要な�

対策・手順について、�

計画を立て、準備を進めています�

。� 本社で行われた防災訓練� 災害用備蓄物資の公開� 社員による備蓄物資交換作業�

kokuyoCSR 10.3.13 18:04 ページ 19

Page 20: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

19 コクヨグループ CSR報告書 2010

コンプライアンス徹底の取り組み�

コンプライアンス�

CSRマネジメント�

信頼の回復を目指して、�

当社グループ全社員が�

コンプライアンス活動に全力を挙げて、

徹底的に、取り組んでいきます�

 2008年度に当グループ会社において、複数

の社員による不正行為が発覚しました。また同

年9月に、自治体の備品入札に際して独占禁止

法違反行為が判明しました。�

 2009年度には、航空自衛隊備品入札に関し

て公正取引委員会からの立ち入り調査を受けま

した。�

 このような事態を重大なる経営課題と受け止め、

不正行為を根絶し、コンプライアンスを徹底的に

進めていきます。そのためにも会社の風土・文化

を根こそぎ変えるために、2009年度は当社グルー

プ全社員に対して、社外専門家チームによる「コ

ンプライアンス実態調査」を実施しています。�

 また、コンプライアンス意識の向上と法令等の

順守を維持するための研修を定期的に行ってい

ます。2009年度は、各階層別の必須研修として、

新入社員導入研修および新任管理職研修を実

施しました。階層別研修以外では、模擬事例を

活用した事業会社別のコンプライアンスディスカ

ッション研修や職場でのコミュニケーションを活

性化することにより、リスクに対する意識を高める

活動を推進しました。�

 当社グループ社員一人ひとりが、コンプライア

ンスに真摯に、徹底的に取り組むことで全力を挙

げて信頼の回復に努めます。�

リスク・コンプライアンス委員会�

 コクヨグループのコンプライアンス推進の中核

として「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し

ています。2008年4月から代表取締役社長を委

員長として、クライシス案件への対応のスピードを

上げ、かつ予防対応を強化するためリスク・コン

プライアンス委員会の位置づけを変更しました。

また、事業会社のリスク・コンプライアンス委員会

と連携し、リスクの予防的な対応および発生した

リスクへの迅速な対応を図っています。各事業

会社ごとにリスクの現状をリスクマップとして可視

化し、年度ごとに重点管理リスクを設定して、リス

クの低減のための対応を進めています。�

 2009年度は、コクヨグループが独自で行ってい

るエコバツマークを含む環境関連表示について

の不当表示リスクを取り上げ、グループを挙げて

解消に取り組むとともに、「災害対策本部」「新

型インフルエンザ対策本部」を新たに設置しました。�

コクヨホットライン�

 コンプライアンスや企業倫理に関する情報、

および、職場で発生する可能性があるさまざまな

悩み事に対する相談窓口として、「コクヨホットラ

イン」の運用を行っています。相談窓口は、社員

からの通報をしやすくするため、社内窓口、顧問

弁護士事務所、社外専門窓口と複数設置して

います。職場の問題や悩みは上司や同僚に相

談することを基本としながらも、諸事情から一人で

問題を抱えてしまう社員が出る事態を避ける目的

で活用を図っています。�

 2008年には、「コクヨホットライン」の目的と意

義を従来以上に浸透させるために、①匿名での

相談・通報を受け付ける、②通報者の名前は本

人の了解を得ない限り所属会社に開示しない、

③万一、通報者が不利益を受けた場合には厳

正に処分する、という「コクヨホットライン3原則」

を設けて、イントラネット上への掲載、コンプライア

ンスディスカッション等の機会を通じて、グループ

社員へ周知し、認知度および信頼性向上に努

めています。�

関連情報�P21-22

■リスク・コンプライアンス委員会体制図�

コクヨグループ リスク・コンプライアンス委員会�(委員長:社長、副委員長:担当役員2名)�

  事業会社各社リスク・コンプライアンス委員会�  (委員長:事業会社役員)�

  �

    拠点別災害対策本部�

  コクヨグループ 新型インフルエンザ対策本部�  (本部長:専務、副本部長:担当役員2名)�

    複合拠点対策本部/事業会社担当者�

コクヨグループ 災害対策本部�(本社または品川オフィスに本部を設置)�

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Page 21: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 20

当グループ会社において判明した不祥事について、�

二度とこのような事態を引き起こすことがないよう、再発防止に向けた具体的な対策を進めています。�

(1)法令順守に向けた役職員の意識改革�・コンプライアンス研修を各階層別研修に必須メニュー化 �

・コンプライアンスディスカッションおよび職場内コミュニケーションの活性化�

(2)内部統制機能の強化�・グループ内部監査体制の強化�

・「不正をさせない・しにくい」仕組みづくり�

(3)定期的な人事ローテーション�・リスクの高い部門の抽出�

・業務特性に応じたローテーションのルール化を実施�

(4)内部通報制度の信頼性の強化�・ホットライン3原則の制定�

・研修等を通じた制度の認知度および信頼性向上�

(5)請負工事物件に関する管理システムなどの機能改善�・運用面での原価移動機能の制限、承認フローの強化などの再徹底�

・買掛システムに対する牽制機能付加�

・売上・仕入・支払データのモニタリング実施�

(6)再発防止策の実施状況に対する定期的なモニタリングの実施�・グループ本社および各社のリスク・コンプライアンス委員会での�

モニタリングの実施�

(7)当社グループ全社員に対して、外部専門家による�

「コンプライアンス実態調査」の実施�

●コクヨグループ社員による不正行為に関する再発防止策の� 実施状況について�

●談合再発防止策の実施状況について�

TOPICS

談合との訣別に向けた取り組み� コクヨグループでは、「談合との訣別」に向け、営業社員

一人ひとりにコンプライアンスの浸透を図るべく、次のよう

なさまざまな取り組みを推進しています。�

■「談合訣別宣言カード」の携行�

 官公庁担当の営業社員一人ひとりに順次このカードを

配布して携行することで、談合行為を決して行わないよう、

常に自らの行動を正しています。�

��

■「入札談合防止マニュアル」の整備と� 「専門相談窓口」の設置�

 違反行為をしないためには、まず関係法令・違反行為に

関する正しい理解が必要です。そのため、プロセス別行動

基準、Q&A集を含む独自の「入札談合防止マニュアル」を

整備し、営業社員が自社のマニュアルをいつでも確認でき

るようにしています。また、不明な点があるときは、いつでも

相談できるように、事業会社ごとに専門相談窓口を設置し、

さらに不明な場合はCSR部、社外弁護士への相談を通じ

て判断する体制を構築しています。�

 これにより、営業社員は、日ごろから「入札談合防止マニ

ュアル」を熟読し、営業フェーズごとの上司への「報告・連絡・

相談」の機会に確認することができ、上司も不明な点を自

社の専門相談窓口で確認することができます。�

(1)法令順守・違反を起こさない風土醸成�・「談合訣別宣言カード」の発行�

・グループ各社トップによる違法行為との訣別のメッセージ発信�

・アンケート調査の実施(意識・知識・仕組・行動変化の把握)�

(2)法令・規定に関する正しい理解促進�・プロセス別行動基準マニュアルの作成�

・ケース事例を活用したコンプライアンスディスカッション実施     �

・独占禁止法等に関する研修の実施�

・各社からの相談Q&A情報の蓄積とデータベースによる公開�

(3) 再発を防止するための仕組み構築�・専門相談窓口の設置による事前相談の強化�

・上司への「報連相(報告・連絡・相談)」の仕組み再構築�

・グループ各社による定期的な案件棚卸の仕組み導入�

・オフィス家具製品に関する官需情報の一元管理システムの試験的導入�

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Page 22: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

「おかしいな」という気づきを促すコンプライアンスディスカッション�活発な討議の成果が今、着実にグループ全体へと広がりつつある�コンプライアンス�

クローズアップ�

グループの全社員が�コンプライアンスに対し�常に正しい意識で臨めるように、�地道に取り組み、根づかせていきたい�

課題は、気づきの目を鋭敏にするとともに、�すぐに相談できる環境をつくっていくこと�

 コクヨグループでは、2009年6月「コンプライア

ンスディスカッション」をスタートさせた。コンプラ

イアンス違反の模擬事例を活用し、「自分ならど

うするか」、「今の仕事に当てはめたらどうなるか」

などの観点からグループ討議を展開。他人事と

考えがちなコンプライアンスを身近な課題として

とらえ直そうという、全員参加の研修だ。職場ご

とに順次開催していき、2010年10月には全グル

ープでの実施が完了する計画となっている。�

 開催のきっかけは、コクヨグループ内における

一昨年来の不祥事だった。問題の根を絶つた

めには、即効性のある対症療法的な再発防止

策とともに、息の長い体質改善の取り組みが必

要と考えられた。�

 「他社のケースを参考にさせていただきながら、

社員が積極的に参加できて充実感を得られるよ

うな研修を目指しました」と、コクヨCSR部の飯

田正敏。��

 「不祥事には必ず、もしこの時点で周囲が気づ

いていればというターニングポイントがいくつかあ

ります。おかしいと思った時に、周りに相談する、

あるいは、コクヨホットラインなど複数の相談ルー

トを利用するといった行動をとることができれば、

小さな芽の段階できれいに摘み取ることができま

す。ところが、おかしいと思いながらも慣れに流さ

れてしまうことが往々にしてある。だから、気づきの

目を鋭敏にしておくことがとても大切です。同時に、

おかしいと思った時にすぐに相談できるような職

場環境や会社の風土も培っておかなければなり

ません。コンプライアンスディスカッションは、こうし

た目的に大きく役立ちます」。�

 具体的には、コクヨCSR部が、開催を予定し

ている事業会社のコンプライアンス担当者とと

もに職場の業務内容を踏まえた模擬事例を作

成。当日は職場のリーダークラスが進行役とな

り、5~10人のグループごとに模擬事例を活用

して現状における自分たちの問題点や気づきに

ついて話し合い、意見交換を行う。��

 例えば2009年11月19日には、コクヨファニ

チャー本社オフィスでディスカッションが実施さ

れた。この時、用意されたのは、メーカーとして重

要な“クレーム対応”に関する事例と、コンプラ

イアンスを支える“風土”に関する事例。CSR

部とともに開催を準備したコクヨファニチャー監

査室室長・西崎嗣治は、「身近にも起こり得るこ

ととして実感を持って議論してもらえるように」と

の思いから、事例づくりには特に時間をかけたと

いう。こうした具体的な事例によって、どのグルー

プでも活発な討論が展開された。メインスピー

カーとして解題と説明などを行った飯田は、「法

令順守だけがコンプライアンスではありません。日々

の業務を第三者の目で見て、社会人としての倫

理観に反していないと言い切れることが大切です。

話し合いの中でぜひともそこに気づいてもらいた

い。さらには、この研修を、問題意識を持ち続ける

ための新たな動きへとつなげていってもらいたい

と考えています」と、主催する側からの思いを語る。

 ディスカッションを終えた職場では、「身のまわ

りのいろいろな問題に気づくことができた」「コミ

ュニケーションの大切さを再認識させられた」とい

 

21 コクヨグループ CSR報告書 2010

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各グループのファシリテーターがディスカッションを進めていく。最後にグループごとに出た意見を発表することで、気づきの共有を図る。�

 コンプライアンスディスカッションを1回限りのイベ

ントで終わらせてはならない。そのため、2009年から

毎年10月(コクヨ創業月)を「コミュニケーション強

化月間」と定め、設定されたテーマに基づき職場単

位でディスカッションを実施。そこで出た意見(気づき・

知恵)を「気づきの蓄積DB」に登録し、グループ全

体で共有して、新たな知恵やルール、改善提案など

を生み出していく仕組みを設けることになった。第1

回となった2009年10月の設定テーマは「コンプライ

アンス」。社内イントラネット上に用意された、より具

体的な27のテーマサンプルなどを参考に、各職場

単位でのディスカッションが実施された。��

 強化月間終了後も、“毎月1回は各職場でディス

カッションを行い、「気づきの蓄積DB」に入力してい

こう”というコクヨCSR部の呼びかけに応えて、定期

的な討論の時間を設ける職場もあり、「話してみると、

わかること」“はなわかタイム”として根づきつつある。

コンプライアンスディスカッション、コミュニケーション

強化月間と続けることで、目指すのは、《自走するディ

スカッション》。つまり《ディスカッションにより日々のコ

ミュニケーションが活発となり、「気づき」を出発点と

する課題解決が日常化した状態》だ。その糧となる「気

づきの蓄積DB」の登録件数も、着実に増えている。�

・・�

・�

「気づきの蓄積DB」�

商品開発を担当しているので、クレームのない

商品づくりが日ごろの目標です。今日は模擬事

例にそって、営業、広報、総務といった立場か

ら考えることで、クレームに対する客観的な視

点を養うことができました。何か問題が生じたと

きには、それぞれの立場を超えて率直な話し合

いができる雰囲気を、皆で育てていきたいですね。�

討議を行うグループがさまざまな部署のメンバー

で構成されていたので、普段は聞くことのない

多様な声が聞けたことが新鮮でした。これからも、

機会あるごとに他の部署の人の声にも積極

的に耳を傾け、気づきへの感性を磨いていき

たいと思います。コンプライアンスに対する問

題意識が高められる、有意義な研修でした。�コクヨファニチャー 商品開発部 �

課長 岩室 裕巳�ひろみ�

コクヨファニチャー 商品開発部 �

服部 雅昭�まさあき�

参加してみて期待以上に意義を実感� 研修で感じたことを今後に生かします�

R

った感想が多く聞かれる。また、コクヨS&Tでは、

職場での“はなわかタイム”(右コラム参照)に

より浮き彫りになった事業部全体の弱みをフォロ

ーするため、自発的に研修を行うなど、さっそく各

職場での積極的な活動も生まれつつある。�

 コクヨグループでは、創業者である黒田善太

郎が説いた「経営の信條」や「商品を通じて世

の中の役に立つ」という企業理念を日々の事業

活動の規範としている。これらの活動を通じて、

もう一度社員一人ひとりが企業人としての倫理

観を見つめなおすとともに、おかしいことをおかし

いと感じ取って、すぐに声を上げ是正のための行

動をとることができる。グループの全社員がその

ような健全な倫理観と行動力を持ち続けていけ

るように、コンプライアンスディスカッションを皮切

りとする地道な取り組みが、徐々に広がろうとし

ている。�

2009年から毎年10月を�「コミュニケーション強化月間」に�それ以外の月にも「話してみると、わかること」�“はなわかタイム”を�

・� ・・�

コクヨグループ CSR報告書 2010 22

kokuyoCSR 10.3.13 7:44 ページ 23

Page 24: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

23 コクヨグループ CSR報告書 2010

事業活動と�環境との�かかわり�

環 境 報 告�

 コクヨグループは、ステーショナリー、ファニチャー、

店舗什器の製造・販売を中心に、各事業に付帯

する企画・研究、物流、施工、サービスなどの事業

を行っています。これらの活動によって発生する

環境負荷を「企画・研究開発」から「使用」に至

る流れに沿って定量的に示しています。�

 このうち管理影響が及ぶ「企画・研究開発」「製

造」「販売・サービス」「物流(保管・出荷)」の範

囲に対して、主に環境保全活動を推進しています。�

 また、外部委託している「物流(委託輸送)」に

ついては、改正省エネ法で特定荷主の指定を受

けた事業会社によって環境負荷の把握と省エネ

対策の立案を行い、定期報告書および計画書の

提出義務を履行しています。�

INPUT

OUTPUT

企画・研究開発� 製 造� 販売・サービス� 物

エネルギー�水�

89,256GJ�41千m3

282,384GJ�104千m3

61,180トン�39,459トン�13,623トン�2,990トン�556トン�4,552トン�

�9,567トン�

42,990GJ�2千m3

温室効果ガス�SOx��NOx��排出物�排水�

3,507トン-CO2�0.001トン�0.5トン�462トン�41千m3

エネルギー�水�

温室効果ガス�SOx��NOx��排出物�

11,889トン-CO2�0.07トン�1.45トン�6,119トン�

物質投入量� 紙類� 金属類� 樹脂類� 木質類� その他��容器包装材�

COD��BOD��排水*�*うち、公共用水域への� 排水は�

93kg�20kg�

84千m3�

�71千m3

エネルギー�水�

温室効果ガス�SOx��NOx��排出物�排水�

2,206トン-CO2�0.01トン�4.26トン�159トン�2千m3

エネル水�

温室効SOx�NOx�排出物排水�

工場内の�循環的利用�

水 134m3

kokuyoCSR 10.3.13 7:45 ページ 24

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コクヨグループ CSR報告書 2010 24

指 標�

エネルギー使用量�

水�

物質投入量�

容器包装材�

SOx、NOx

総輸送量�

工場内の循環的利用水�

敷地内の循環的利用資源�

総販売量�

使用済み製品の引き取り�

使用済み製品のリユース�

委託輸送のうち、家具製品輸送と文具製品輸送のデータ(㈱カウネット分を除く)�

事業所内部での循環的利用量�

ファニチャー製品、ステーショナリー製品、店舗部門のデータ�

㈱コクヨロジテムが顧客から回収した使用済み製品の引き取り量�

㈱コクヨロジテムが顧客から回収した使用済み製品のうち、リユースした量�

排出物�

温室効果ガス排出量�

CO2排出量�

排水量�

COD、BOD

水道水、工業用水使用量の合計�

製品を製造するために使用した原材料の量�

製品の包装に使用した包装材の量�

単 位� 算定方法�

GJ

千m3

トン�

トン�

トン-CO2

トン-CO2

トン�

トン�

千m3

kg

トン・km

m3

トン�

万トン�

トン�

トン�

電気、ガス(都市ガス、LPG、天然ガス)、油(ガソリン、軽油、灯油)�電力の単位発熱量は、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則(平成18年4月1日施行)の昼間電力の値を採用�燃料の単位発熱量は、環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルVer.2.4(平成21年3月)」の値を採用。都市ガスの単位発熱量は、環境省「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(試案ver.1.5)の値を過年度より継続して採用�

電気、ガス、油の使用によって発生する二酸化炭素排出量と、車両の輸送に伴って排出されるCH4、N2O量を二酸化炭素に換算した量の合計�物流(委託輸送)の温室効果ガス排出量の計算には、トンキロ法を採用�

国内工場のうち、法律によって水質の測定が義務付けられている工場からの公共用水域への排出量�

㈱コクヨロジテムとコクヨサプライロジスティクス㈱における梱包材などの事業所内部での再利用量�

燃料のCO2排出係数は、09年度より上記の値を採用。都市ガスのCO2排出係数は、環境省「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(試案ver.1.5)」の値を過年度より継続して採用。�

燃料の単位発熱量は、09年度より上記の値を採用。�

Input項目�

Output項目�

その他項目�

車両の走行に伴う排出量と、生産を行っている工場のばい煙発生施設からの排出量の合計�

公共用水域、下水道への排水量の合計�

廃棄物等排出量(排出物)は、事業所から排出した廃棄物量、有価物量の合計�リサイクル量は、廃棄物等排出量(排出物)のうちマテリアルリサイクルもしくはサーマルリサイクルされたものと、有価物量の合計(→33ページ参照)�最終処分量は、廃棄物排出量(排出物)のうち単純焼却もしくは直接埋立された量の合計�(→33ページ参照)�

電気、ガス、油の使用によって発生する二酸化炭素排出量(→31ページ参照)�電力のCO2排出係数は、電気事業連合会公表の2000年の全電源平均(0.378kgCO2/kWh)を採用�燃料のCO2排出係数は、「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルVer.2.4(平成21年3月)」の値を採用。都市ガスのCO2排出係数は、環境省「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(試案ver.1.5)の値を過年度より継続して採用�

物流(保管・出荷)� 物流(委託輸送)�

90GJ�千m3

156,555GJ�26千m3

224,246GJ 21.9万トン�

-CO2�ン�ン�ン�3

エネルギー�水�

温室効果ガス�SOx��NOx��排出物�排水�

6,201トン-CO2�0.001トン�0.32トン�6,767トン�26千m3

エネルギー�

総輸送量� 92Mトン・km

温室効果ガス�SOx��NOx

15,302トン-CO2�0.1トン�105トン�

総販売量�

使用済み製品の引き取り��使用済み製品のリユース��

�974トン�

�31トン�

敷地内の�循環的利用�

資源 176トン�

使 用�

kokuyoCSR 10.3.13 7:45 ページ 25

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25 コクヨグループ CSR報告書 2010

環境ビジョンの見直し�

創業以来、継続してきた「商品を通じて世の中の役に立つ」という企業目的に基づき、地球環境保全を全世界共通の永続的課題と認識し、この課題解決に全従業員が英知を結集し、全社を挙げて行動を起こす。�

1.地球温暖化防止�地球温暖化防止のため、温室効果ガス(CO2排出量)の削減に取り組みます。�

2.省資源・リサイクル�循環型社会の実現に向け、限り有る資源を有効利用し、自らの責任においてReduce・Reuse・Recycleに取り組みます。�

3.エコプロダクツの調達・開発・提供�製品を構成する部材のグリーン調達に取り組み、エコプロダクツの開発・提供を行います。また、環境技術の革新やエコビジネスモデル開発等に取り組み、環境負荷の最小化に努めます。 �

4.法順守と汚染の予防�環境関連法規はもとより、当社が同意した業界等の指針及び自主基準を順守し、環境汚染の予防に努めます。�

5.情報開示・コミュニケーション�積極的に環境情報を開示し、お客様・社外の皆様とのコミュニケーションを図り、環境保全活動に活かします。�

6.環境経営�・環境と経営を同軸とする環境経営に努め、環境負荷 低減目標を設定し、従業員が全員参加で継続的改善に取り組みます。�・目標を達成するための組織体制の維持・改善、人材の育成や評価制度の確立などを通じ、環境保全効果及び経済効果の向上に努めます。�

基本理念�

環境ビジョン�

環境方針�

環境理念�

環境方針�

創業以来、継続してきた「商品を通じて世の中の役に立つ」という企業理念に基づき、持続可能な社会の実現のため、温暖化や資源枯渇、生物多様性保全などの地球環境問題を全世界共通の永続的課題と認識し、コクヨグループが率先し、事業活動に関わる様々な人達の英知を結集することで、この課題解決のため行動を起こす。�

省資源・リサイクル� 循環型社会の進展に向け、限り有る資源を有効利用し、Reduce・Reuse・Recycleに取り組みます。�

エコプロダクツの�調達・開発・提供�

商品ライフサイクル全体での環境負荷低減に向けて、新たな環境技術の開発やグリーン調達に取り組みます。�

生物多様性� 生物多様性に配慮した事業活動を行うことにより、生態系に及ぼす影響の低減とその保全に努めます。�

法順守と汚染の予防�環境関連法規はもとより、当社が同意した業界等の指針及び自主基準を順守し、環境汚染の予防に努めます。�

情報開示・�コミュニケーション�

積極的に環境情報を開示し、お客様・社外の皆様とのコミュニケーションを図り、環境保全活動に活かします。�

環境経営�全従業員が一丸となり、新たなエコビジネスモデルの開発に努めるなど、環境負荷の継続的改善と事業の発展に取り組みます。�

地球温暖化防止� 低炭素社会の実現に向け、温室効果ガス排出量の大幅な削減に取り組みます。�

コクヨグループ環境ビジョン�

Green Initiative 2020 制定予定�(コクヨグループの中長期環境行動計画)�

グループ環境ビジョンの見直し�

 本年、「持続可能な社会」を構築するには、「循

環型社会」、「低炭素社会」、「自然共生社会」

に向けた取り組みを統合した活動を実施していく

必要があるとの国の方針を踏まえ「環境ビジョン」

の見直しを実施しました。堅持すべき「環境理念」

と具体的な活動項目である「環境方針」とで構

成されており、方針は従来の「地球温暖化防止」

「省資源・リサイクル」「エコプロダクツの調達・

開発・提供」「法順守と汚染の予防」「情報開示・

コミュニケーション」「環境経営」に、新たに「生

物多様性」を加え、7つの項目としました。�

 この新たな「環境ビジョン」の見直しを機に次期

の中長期環境行動計画「Green Initiative2020」

を制定します。�

環境ビジョン/ �中長期環境行動�計画と実績�

環 境 報 告�

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Page 27: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 26

■Green Initiative 2010

環境方針�

エコプロダクツの調達・�開発・提供�

情報開示・ �コミュニケーション�

環境経営�

目 標� 実 績�評 価�

地球温暖化防止� 地球温暖化防止� CO2排出量の削減 (1990年度比)� 10.6%削減� 24%削減� 10%削減�○�

輸配送データ精度の向上�輸配送時に発生するCO2排出量の削減��(2006年度比)� システム集計範囲の拡大� 2006年度比4%削減�○�

改善�モーダルシフトの拡大� 前年比 79.4% 拡大�×�

省資源・リサイクル� 排出物の最終処分量の削減�(1997年度比)�

省資源・リサイクル対策� 維持� 83%削減� 64%削減(前倒し達成のため維持管理とする)�○�

排出物総量に対するリサイクル率の向上� 維持� 95.3% 91% (前倒し達成のため維持管理とする)�○�

ゼロエミッションの推進� 維持� 拡大(物流5カ所)� 全事業所への拡大�○�

エコプロダクツの開発� エコバツマーク表示比率の削減� ステーショナリー商品:35%��ファニチャー商品:7%�

ステーショナリー商品:40%��ファニチャー商品:6%� 0%(2011年版総合カタログにおいて)��

新規エコビジネスモデルの事業化・運営�エコビジネスモデルの推進� 結の森マネジメントの実行� 結の森マネジメントプランの実行� ―�○�

製品に含まれる有害化学物質の削減�有害化学物質管理体制の強化�法順守と汚染の予防� RoHS指令対応� 継続� 全調達先がガイドラインに準拠�―�

生産工程で使用する有害化学物質の削減� 維持(トルエン、キシレンフリー化)�トルエン:46kg減��キシレン:34.2kg減� 全材料のトルエンフリー化�

サプライチェーンへのマネジメントシステム導入� ―� ―� 単年度ごとに設定�―�

ホームページの充実�環境情報の開示� 定期更新� 定期更新� 定期更新�○�

業界団体、NPO、地域連携の強化�コミュニケーション� 活動の継続� 活動の継続� 活動の継続�○�

緑化の推進�社会貢献活動� 地域及び地球環境保全活動� 「緑の募金」「生駒の森」「結の森」� 森林保全活動の継続�○�

地域の清掃� 清掃活動の実施� 清掃活動の実施� オフィス・事業所周辺の清掃活動の継続�○�

環境管理体制の維持改善�環境マネジメント� 維持� 統合認証を維持� 統合認証を維持�○�

外部評価の向上(企業の環境経営度調査)�経営と環境の融合� 向上� 111位から84位� 環境経営の継続的改善�○�

2009年度目標と結果�2010年度目標�対策項目�

×�○�

○�

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Page 28: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

植物の種類を同定するとともに高さも計測�

3年前に間伐した地点から生えてきたヒノキの芽�

4年目を迎えた「結の森」とともに�森林の本来の機能について考えていく�

モニタリング調査で実感する�生態系の改善�

「結の森」で目指すこと�

 「コクヨ-四万十・結の森プロジェクト」が、高知

県四万十川流域に広がる森を舞台に活動を開

始して4年目。生態系の維持やCO2の吸収とい

った森林本来の機能をよみがえらせるとともに、

間伐材を利用した商品を販売することで「環境

と経済の好循環」を目指している。また、それは「自

然共生社会」「低炭素社会」「循環型社会」の

実現を目指す活動でもある。①生物多様性に貢

献するモニタリング調査などを実施することで「自

然共生社会」を推進する。②間伐をはじめとする

適正な森林管理を通し「低炭素社会」の形成を

目指す。③間伐材の有効活用を促進することで

「循環型社会」の実現を図る。今後もこれらの

大きな目標に向けて「結の森」の活動を推進し

ていく。�

 2009年9月、「結の森」において第3回目とな

るモニタリング調査を実施した。FSC認証を継続

する上で必要であり、これまでも実施してきた「植

生調査」と「土壌から流れる水の流量調査」、そ

して今回は、川の水質や生態系を計測する「清

 

 

P

クローズアップ�

生物多様性への�取り組み�

環 境 報 告�

自然保護と事業活動の�

両立を目指す取り組みを�

推進しています�

27 コクヨグループ CSR報告書 2010

kokuyoCSR 10.3.13 18:04 ページ 28

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四万十川の水の透明度を測る調査�

川辺で生物を採集し、特定する作業�

高知県大阪事務所の溝渕所長より、黒田社長に手渡された�「CO2吸収証書」�

 コクヨグループは、10年以上前から間伐材を利用

した家具の開発・生産を行ってきたが、間伐材を利

用した家具をより多くの方に知っていただき、お使い

いただくために「結の森」から産出されるFSC森林

認証の間伐材を使用した2種類の会議テーブルを

発売・定番化し総合カタログファニチャー編に掲載

した。FSC認証とは、国際機関である「森林管理協

議会(Forest StewardshipCouncil=FSC)」が、

「森林管理のための10の原則と基準」に基づき、適

正に管理された森林から生まれたと保証する規格で

ありオフィス家具メーカーでこの認証を受けている

のは現在コクヨのみ。天板と脚部をすべて間伐材で

構成し、木肌の質感を生かしたデザインで仕上げた

<FUBI(フウビ)>と天板を一定幅の間伐材とアル

ミフレームを複数連結し、アルミ製脚部と組み合わせ

た独特のデザインで仕上げた<TAKUMA(タクマ)>

をラインアップした。また、お客様の所有する社有林な

どで伐採された間伐材を利用したオーダーメードにも

対応するなど、間伐材利用の促進に力を注いでいる。�

■FUBI� (フウビ)�

■TAKUMA� (タクマ)�

FSC認証ロゴ�

「結の森」のFSC認証間伐材を�使用した家具を定番化�

森林吸収量も年々増加�

流基準調査」に初めて参加。現地の大正町森

林組合、四万十高校の皆さん、筑波大学の学

生さんと多くの方にご協力をいただきながら、生

態系回復の様子を調査した。��

 植生調査は、間伐をした後、森に光が差し込

むことによって、どれくらい森林再生が進んでいる

かを調べるもの。植物の種類・高さや密度、分布

状況などを丁寧に調べていくと、昨年と比べて植

物の種類が57種類から81種類へと増えている

ことが分かった。�

 また四万十川の水質や生態系を調査する清

流基準調査は、四万十高校と地元の方々によっ

て6年前より定期的に行われている。今後「結の

森」の間伐により水質や生態系にどのような変

化があるのか調べるために、コクヨ社員も初めて

この調査に挑んだ。水の透明度をはじめ、水温、

PH値、川に生息する生物などを確認したところ、

昨年度より川の透明度が高くなっていたこと、採

集した生物の多くが綺麗な河川に生息する生

物だったことなどから、四万十川の水質階級は

最高レベルとされる1級と認定された。�

 積極的に間伐を行ってきた「結の森」では、そ

の生態系に改善の兆しが見え始めているが、森

林のモニタリング調査は自然が相手だけに、正

確な結果が出るにはまだ時間がかかる。今後も

現地の方々の協力を得て調査を継続し、森林や

川が再生していく姿を見守っていきたい。�

 「結の森」は、これまでにコクヨ株式会社として

163ヘクタール(平成19年~20年の合計)、事

業会社であるコクヨオフィスシステムとして31ヘク

タールの間伐を行った。間伐を行うことにより、込

み合った森の日当たりや通風が良くなり、残った木々

が健全に育つことからCO2吸収源としての機能

がよみがえり、CO2の吸収量が増えるとされる。�

「結の森」における間伐の成果は、高知県によ

る現地調査、森林の専門家などによる第三者の

CO2吸収専門委員会の審査を経てCO2吸収量

として認証され、コクヨグループで合計2,653トン

の「CO2吸収証書」が高知県から交付された。

この吸収量は昨年の758トンから大幅に増加す

るとともに、高知県が運営する「環境先進企業

との協働の森づくり事業」全体の4割を占める

量である。引き続き地元の方 と々保全活動を進

めるとともに、CO2吸収量や間伐材の有効活用

を促進させることにより、プロジェクトのビジネス

化を図っていく。�

採集した生物�

コクヨグループ CSR報告書 2010 28

kokuyoCSR 10.3.10 0:45 ページ 29

Page 30: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

 2007年に発売した<ReEDEN>シリー

ズは、琵琶湖・淀川水系のヨシを使用した

文具シリーズ。「私たちの手で琵琶湖をエ

デンに還そう」という願いを込めて誕生した

商品は、紙製品から筆記具までその品数を

少しずつ増やすとともに、2009年は発売2

周年を記念した企画展示「リエデンノコバコ」

をギャラリースペースで開催し、今までとは

違ったお客様にも<ReEDEN>のことを

知っていただきました。�

 琵琶湖の環境保全とヨシ産業の育成に

つなげる取り組みを進めたことが高く評価

された「ReEDENプロジェクト」は、環境負

荷の低減に配慮した優れた製品・サービス

を表彰するエコプロダクツ大賞のエコサー

ビス部門において、「エコプロダクツ大賞推

進協議会会長賞(優秀賞)」を受賞しました。�

表彰式の後、�プロジェクトの�仲間で記念撮影�

リエデンノコバコ展�(近江八幡市の古民家で)�

ヨシ筆ペン�

<ReEDEN>� シリーズ�

リエデン�

かけがえのない自然環境を次世代に引き継ぐために�商品と人のネットワークを広げていく�生物多様性への取り組み�

クローズアップ�

 京阪神の水がめである琵琶湖を有し、日本有

数の環境先進県である滋賀県で操業するコクヨ

工業滋賀は、キャンパスノートをはじめとするコク

ヨグループ紙製品の基幹工場。日々の企業活

動の中で、省エネルギー、廃棄物削減などに取り

組むとともに、ヨシの保全と活用に力を注いでいる。

ヨシ原は、水鳥カイツブリの格好のすみか、また

琵琶湖固有種であるニゴロブナもヨシ原を産卵

と生育の場としているが、そのどちらもが近年に

数を減らしている。その原因の一つは、生息地と

なるヨシ原が半世紀前と比べて半減してしまっ

たことにある。ヨシは、その成長過程で窒素やリ

ンを吸い上げて、水質を浄化しているが、その力

を発揮するためには手入れが必要。枯れたヨシ

を刈ることが新しい芽の成長を助けるのだ。生

物多様性に富んだ琵琶湖本来の自然環境を

守っていくために、ヨシの活用に取り組み、広く

地域に普及させることを目的に発足したのが

「ReEDENプロジェクト」。プロジェクトがスタート

して2年、ヨシを使用した文具シリーズは、ヨシパ

ルプを配合したノートや名刺、コピー用紙などの

紙製品だけでなく、ヨシそのままの形を活かした

筆ペンも販売するなど、ヨシ活用の可能性を広

げている。2009年に販売した商品に使用された

ヨシはおよそ28トン。これは、約58万トンの水に

含まれる窒素、また約210万トンの水に含まれる

リンを浄化することができる量と独自に試算して

いる。�

 プロジェクトの活動は、ヨシを活用した商品の

開発・販売だけにとどまらない。ヨシ刈りボラン

ティアへの参加、子どもたちにヨシの大切さを伝

える出前授業などを行うとともに、さらに地域一

体となった活動に発展させていくために、滋賀県

内の企業を中心に21社が集まった「ヨシでびわ

湖を守るネットワーク」を結成した。このネットワー

クの事務局を担う、コクヨ工業滋賀・環境推進グ

ループの太田俊浩は、メンバーに対してヨシ刈り

ボランティアへの参加の呼びかけやメールマガ

ジンの発信をし、ヨシのこと、各社の環境活動な

どを定期的に伝えている。2010年2月に安土町・

西の湖で行われたヨシ刈りボランティアでは、12

社約180人が参加して汗を流した。「これからは、

ヨシの大切さを、滋賀県だけでなく、琵琶湖の水

の恵みを受ける京阪神の人たちにも知ってもら

いたい」。琵琶湖を守る仲間の輪を少しずつ、確

実に広げていくことを目指している。�

リエデン�

内湖と呼ばれる潟湖にはヨシ原が広がっている�

29 コクヨグループ CSR報告書 2010

琵琶湖の環境と生息する生物たちの�すみかを守りたい�

ヨシで琵琶湖を守る�仲間の輪を広げていく�

環環IS

kokuyoCSR 10.3.13 18:04 ページ 30

Page 31: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 30

 2004年に環境マネジメントシステムの登録範

囲を連結対象子会社に拡大し、企画、研究・開発、

製造、販売、サービス、保管・出荷を包括する統

合認証システムとしています。運用においては、

コクヨグループとしての一貫性を維持しつつ、各

社の事業計画に即した環境目標を定めるなど、

事業特性に合った環境管理が推進できるよう、

独自性への配慮を心がけています。登録範囲拡

大による業務量の増加に対応するために、環境

文書・記録管理データベースシステムの「MELON」

を導入、文書管理・閲覧の利便性、効率性、正

確性の向上を図っていますが、データの入力ミス

が散見されることが課題でした。そこで、2009年

は「MELON」の改良を実施。昨年実績と大きく

乖離がある場合や入力項目に不足がある場合

にはミスが分かるようにしました。�

 コクヨグループでは、ISO推進事務局の主導

のもとグループ企業の適用状況の周知を図った

り、内部監査で順守状況をチェックするなど、環

境関連法規制の適正な対応を推進しています。

2009年度は特に省エネ法の改正に伴い、5つの

会社が規制の対象となることが想定されている

ため、その対応に注力しました。その他、「法規制

改正情報」の発信(4月)や、東京と大阪で開催

した「内部監査員フォローアップセミナー」(6月)

などの機会を利用し、対応の徹底を図りました。�

 コクヨグループでは、内部監査を事業会社内

で実施する第一者監査およびISO推進事務局

が主体となり実施する第二者監査の2段階の監

査を実施しています。それに加え、ISO14001の

第三者審査および「CSR報告書」の第三者に

よる保証を受けています。�

 なお、ISO14001の第三者審査、および内部

監査の結果、環境関連法規に対する重大な法

令違反はありませんでした。�

環境監査の実施状況�

環境管理体制と�環境リスク管理�

環 境 報 告�

ISO14001グループ統合認証のもと�

各社の独自性を生かした�

環境経営を志向しています�

グループ統合環境管理体制の�構築と維持�

環境関連法改正への対応と�順守状況�

内部環境監査�

第三者審査(ISO14001定期審査)�

実施年度 2008 2009�

監査対象サイト 108 91�

 ・第一者監査 88 72�

 ・第二者監査 20 19�

指摘事項 109 87�

 ・軽微な不適合 13 5�

 ・注意点 96 82

実施年度 2008(定期) 2009(更新)�

審査対象サイト 21 29�

改善指摘事項 �

 ・軽微な不適合 0 4�

 ・改善の機会 19 42�

ストロングポイント�(特に優れている点) 4  4 �

持ち株会社�

(管轄会社含む)�

コクヨ九州販売㈱�

コクヨ中国販売㈱�

コクヨマーケティング㈱�

コクヨエンジニアリング�

&テクノロジー㈱�

コクヨインター�

ナショナル㈱�

コクヨストア�

クリエーション㈱�

コクヨオフィス�

システム㈱�

㈱カウネット�

コクヨビジネス�

サービス㈱�

コクヨファニチャー㈱�

コクヨS&T㈱�

個別部門�

共通部門�

…� …�

■環境管理体制�

ISO14001グループ統合認証登録活動範囲(登録番号:JQA-EM0368)�オフィス・公共施設・店舗・ホーム用および教育用ステーショナリー、ファニチャー関連製品の企画・開発・設計、製造、調達、販売、サービスおよび関連する工事に伴う施工管理�

代表取締役社長�

環境担当役員�

環境管理統括責任者�

ISO推進事務局�

環境委員会��

内部監査チーム�

㈱コクヨMVP�

㈱コクヨ工業滋賀�

コクヨサプライ�

ロジスティクス㈱�

㈱コクヨロジテム�

(配送拠点含む)�

芝山工場�

三重工場�

環境監査実施状況�

kokuyoCSR 10.3.13 7:45 ページ 31

Page 32: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

31 コクヨグループ CSR報告書 2010

 2009年度のコクヨグループのCO2排出量は、

23,742トンと、前年度に比べ4,746トンの減少と

なりました。試算ではありますが、運用改善で

1,462トン、設備改善で245トン、生産減、統廃合

で3,039トンとなり、実質削減量は運用改善と設

備改善を合わせた1,707トンです。これを考慮す

ると1990年度比では14.2%削減となります。�

 2009年度は国内各工場間での削減活動を

共有化し、横展開の打ち手を実施することで、削

減効果を高めました。結果、前年度に比べ3,195

トンの減少となりました。そのうち2,532トンは生

産減による影響とみなされるため実質削減量は

663トンとなります。�

 昨年、「見える化」システムを導入した芝山工

場では夜間、休日の待機電力の削減、設備の稼

働時間のルール化など運用改善だけで222トン

削減しました。�

 物流(保管・出荷)は前年度に比べ872トンの

減少になりました。�

 コクヨサプライロジスティクスでは省エネタイプ

の照明器具導入や自転車配送などオフィス消耗

品物流におけるCO2削減の取り組みを強化しま

した。�

 オフィスは前年度に比べ679トンの減少になり

ました。�

 「クールビズ」や「ノー残業デー」などの活動

を進めるほかに、「エコライブオフィス品川」

「RESONANCE FIELD 3.0」の二つの環境配

慮型オフィスは、お客様への環境ソリューション

提案にも活用しています。�

 品川オフィスでは、「見える化システム」を活用

し、負荷の高い空調の運転時間の見直しや夜

間電力の削減、エレベーター停止などを実施し、

132トン削減しました。�

�2009年度の総括� 物流における温暖化防止対策�

工場における温暖化防止対策�

関連情報�P9-12

温暖化防止�対策�

CO2排出量�

1990年度比 10.6%削減�(27,915トン-CO2)�

環 境 報 告�

2009年度 目 標�

CO2排出量�

1990年度比 24.0%削減�(23,742トン-CO2)�

2009年度 実 績�

オフィスにおける温暖化防止対策�

関連情報�P13-14

※ 09年度より都市ガスを除く燃料のCO2排出係数は、環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルVer.2.4(平成21年3月)」の値を採用。08年度まで採用していたCO2排出係数用いて算定した09年度のCO2排出量は、23,733トン-CO2です。�

■CO2排出量の推移� ■CO2排出量の排出元別内訳� ■CO2排出量の排出源別内訳�

90 05 06 07 08 09

31,220

23,742

28,780 28,337 29,311 28,488

(年度)�

その他 2%

LPG 8%

ガソリン 7%

都市ガス 8%

工場�11,886�(50%)�

物流�(保管・出荷)�6,196� (26%)�

オフィス�5,660�(24%)�

0

10,000

20,000

30,000(トン-CO2)� (トン-CO2)�

電気�75%

TOPICS

カウネットカタログが�カーボン・オフセット認証を取得� コクヨグループでは、カタログのカーボン・

オフセットの取り組みを行っています。その中

でオフィス用品の通販を行うカウネットでは、

カタログの印刷・製本工程および配送時に

排出されるCO2をオフセットする取り組みにお

いて、環境省が主体となって実施する「カー

ボン・オフセット認証制度」において初めての

認証を取得しました。�

認証ラベルを掲載したカウネットのカタログ�

kokuyoCSR 10.3.13 7:45 ページ 32

Page 33: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 32

生産工程における化学物質削減対策�

有害化学物質対策�

環 境 報 告�

 オフィス空間全体の設計から内装・設備工事

の施工を請負うコクヨエンジニアリング&テクノ

ロジー(以下、KET)は、年間16,000件を超える

現場の施工管理業務を行っていますが、施工

管理業務の可視化と、工事関係者相互のコミュ

ニケーションの円滑化により、施工品質の向上

と信頼性の確保を図る仕組みを構築することが

経営上喫緊の課題でした。�

 そこでKETは、施工図面や工事工程など、さま

ざまな施工情報をサーバーで一元管理し、インター

ネットを通じてお客様から作業員まで、すべての

関係者が現場情報を共有することができる

「GLASS(グラス)」システムを独自に開発しまし

た。このシステムは、携帯で撮影され、アップロー

ドされた施工状況をKETの担当者が随時確認、

リモートで施工管理をするとともに現場指導を行

うことができます。また現場の施工進捗写真・施

工スタッフや設計図面データなどはお客様からも

閲覧・確認が可能で、施工品質の透明性ととも

にリアルタイムでの情報把握による信頼性の獲

得にも貢献しています。�

 一方、GLASSの運用を推進することにより、

これまでは担当者が営業車などで現場移動する

ことで排出されていたCO2の削減効果も見えて

きました。2009年下期の半年間に削減した

CO2は6.8トン※で、これはKET全体の排出量の

2.5%に相当する量です。日本国内の運輸部門

におけるCO2の排出量のうち、半分近くが自家

用乗用車からの排出であることから、このような

地道な取り組みも大切な一歩であると認識して

います。�

 今後とも工事現場における施工品質の維持

向上と環境配慮を両立させた取り組みを進めて

いきます。�

※燃料のCO2排出係数は「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルVer.2.4(平成21年3月)」の値を採用�

TOPICS

「施工現場の見える化」でCO2も削減��

GLASSの画面(イメージ)� KET管理者が現場状況を確認�施工現場の写真を担当者が撮影�

 コクヨファニチャー芝山工場では、使用する塗

料を溶剤系から水系に転換することにより、2009

年のキシレンの取扱量がゼロとなりました。なお、

三重工場ではキシレンは使用していません。�

 PRTR法対象物質の改正を受け、MSDSを再

度取り直し、管理を徹底するとともに対象物質の

抑制に努めています。�

 コクヨグループでは、化学物質の管理体制、デー

タ収集方法などを定めた化学物質等管理規定

によって、法の順守と環境負荷の低減を図って

います。�

 コクヨS&Tでは、RoHS指令対象物質をはじめ

とする有害化学物質の抑制のためにサプライヤー

からの書面確認をするとともに、その結果を検証

するため社内での蛍光X線分析器による有害化

学物質の含有調査・判定を進め、2009年度末

に調査を完了しました。今後は、商品への混入

予防のため、一層の体制強化を進めます。�

 またコクヨファニチャーでは、サプライヤーへの

調査結果に基づくRoHS指令対象物質の調査

結果をデータベース化するなどの活動を継続して

進めています。�

商品開発における化学物質削減対策�

■PRTR法対象化学物質�

※ 除去処理量は、「PRTR対象物質」を場内で焼却、中和、分解、反応処理等により他物質に変化した量。�※ 消費量は、「PRTR対象物質」が反応により他物質に変化したり、製品に含有もしくは同伴されて場外に持ち出される量。�

亜鉛の水溶性化合物�ポリアルキルエーテル�フタル酸ジ-n-ブチル�酢酸ビニル�トルエン�モノエタノ-ルアミン�エチレングリコール�硝酸ニッケル�キシレン�ポリノニルフェニルエーテル�1.3.5-トリメチルベンゼン�クロロベンゼン�モリブデンとその化合物�合計�

1,047.0 �698.1 �523.5 �184.5 �175.8 �117.6 �106.6 �60.5 �21.6 �18.3 �14.4 �10.0 �1.0 �

2,978.9

0.0 �698.1 �0.0 �20.6 �101.5 �111.7 �0.0 �0.0 �21.6 �18.1 �14.3 �9.9 �0.0 �

995.8

2.6 �0.0 �1.1 �4.9 �0.1 �5.9 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �14.6

0.0 �0.0 �8.1 �11.0 �0.2 �0.0 �0.1 �42.4 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �61.8

排出・移動量�

2.6 �698.1 �9.2 �36.5 �101.8 �117.6 �0.1 �42.4 �21.6 �18.1 �14.3 �9.9 �0.0 �

1,072.2

小 計�廃棄物量�水域排出量�大気排出量�取扱量�

540.3 �0.0 �0.0 �0.0 �71.6 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �0.0 �

611.9

除去処理量�

0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0�0.0

リサイクル量�

504.1 �0.0 �

514.3 �148.0 �2.4 �0.0 �

106.5 �18.1 �0.0 �0.2 �0.1 �0.1 �1.0 �

1,294.8

消費量�

1 �307 �270 �102 �227 �16 �43 �232 �63 �309 �224 �93 �346

政令�番号� 化学物質名�

(単位:kg)�

kokuyoCSR 10.3.13 18:05 ページ 33

Page 34: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

33 コクヨグループ CSR報告書 2010

2009年度の総括� 3Rの推進による�ゼロエミッションの強化�

省資源・ �リサイクル対策�

環 境 報 告�

環指「

2009年度 目 標�

2009年度 実 績�

 2009年度のコクヨグループの排出物量は、

13,507トンと、前年度に比べ2,972トンの減少と

なりました。また、2009年度に一般廃棄物の集

計精度を向上(一部サイトでの取り扱い基準の

徹底)したことにより、過年度に遡ってリサイクル

量と最終処分量※1を修正しています。�

 なお、2007年度からリサイクル率※2、最終処

分量ともに目標を超える水準を維持できています。

今後も継続して廃棄物の適正処理とリサイクル

の向上を図ります。�

※1 最終処分量:排出物のうち、単純焼却もしくは直接埋立された量の合計。�

※2 リサイクル率:排出物のうち、マテリアルリサイクルもしくはサーマルリサイクルされたものと、有価物量の合計比率。�

 2009年2月の審査の際にゼロエミッション※3を

達成していなかったことが判明したコクヨMVPの

青谷工場では、ファイルの「貼り不良品」が単純

焼却されていたことが原因でした。その後新たな

処理業者と契約、最終処分場の現地調査を実

施し、確実にリサイクルされていることを確認しま

した。これにより、ゼロエミッションを達成しました。�

 また、コクヨサプライロジスティクス近畿IDCな

ど5つの配送センターでは、一般廃棄物も含めた

排出物全体でのゼロエミッションを達成しました。�

※3 コクヨグループのゼロエミッションの定義:産業廃棄物の最終処分量をゼロにする。�

 商品をお届けした際に、お客様のもとで不要

になった使用済み商品を引き取り、状態に応じて

リサイクル・リユースする取り組みを続けています。�

 コクヨロジテムでは、2009年度にオフィスデス

クや事務用イスなどの使用済み商品974トン分

を引き取り、そのうちの31トンはリユースし、556ト

ンは解体・分別してリサイクルしました。�1.排出物の最終処分量を、1997年度比64%削減�

2.排出物総量に対するリサイクル率を、91%以上に維持�

1.排出物の最終処分量を、1997年度比83%削減�

2.排出物総量に対するリサイクル率95.3%�

使用済み商品の�リユース・リサイクル�

0

5,000

10,000

15,000

20,000

97 06 07 08 09 (年度)�

(トン)�

13,581

17,601 17,557

9,849

3,732

16,216

1,385

16,586

971

15,775

704

リサイクル量� 最終処分量�

■排出物のリサイクル量と最終処分量� ■排出元別の内訳� ■排出物の内訳(カッコ内はリサイクル率)�

プラスチック �1,378トン(82.7%)�

その他�1,712トン(77.8%)�

工場�6,119トン�(45%)�

物流�(保管・出荷)�6,767トン�(50%)�

オフィス �621トン�(5%)�

合計�13,507トン�(95.3%)�

金属�2,393トン(100%)�

紙類�8,024トン�(99.8%)�

16,479

※ 施工現場から排出される廃棄物は含んでいません。�

12,872

635

13,507

イスの解体・分別�

kokuyoCSR 10.3.13 7:46 ページ 34

Page 35: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 34

エコ効率指標による活動評価�

環境活動の�指標評価�

環 境 報 告�

「エコ効率指標」を独自に設定し、�

環境活動の成果を�

自己評価しています�

 コクヨグループでは、財務業績と環境保全効

果を総合的に評価できる指標として、独自の「エ

コ効率指標」を定めています。この指標は「一定

の環境負荷に対する、製品やサービスの社会へ

の提供度合い」を示すもので、次の4項目を対象

にしています。�

1. CO2の排出量�

2. 廃棄物の最終処分量�

3. PRTR法対象化学物質の使用量�

4. 水の使用量�

 各指標は、2000年度を基準にすることで、年

度ごとの進捗状況を把握できます。�

 2009年度は、売上の減少により、各項目とも

数値が悪化しています。また、一般廃棄物のリサ

イクル量の精度向上(取扱基準の徹底)をした

ため、過年度に遡って最終処分量を修正してい

ます。�

統合的な環境負荷の推移を�把握しています�~JEPIXによる評価�

 コクヨグループは、種類の異なる環境負荷について統

合的に把握するために、JEPIXの簡易算出シートによって

一元的に換算し、分析・評価しています。�

 2009年度は、温室効果ガスが大きく改善されています

が生産減による影響が大きいと考えられます。廃棄物につ

いては、ゼロエミを達成した事業所が増えるなどリサイクル

が進み改善傾向が見られます。�

■JEPIXについて�

 JEPIX(環境政策優先度指数日本版)とは、温室効果

ガスや有害大気汚染物質など種類の異なる環境負荷の

量を、環境影響ポイント(EIP)と呼ばれる単一指標として

数値化する手法です。環境影響ポイントは、環境負荷物

質ごとに「環境負荷量」に「日本の環境政策目標と実際

の排出量比率から算出した統合化係数(エコファクター)」

を掛けて、それらを合計することで算出します。�

環境影響ポイント(EIP)=Σ(環境負荷量×エコファクター)�

注:「CSR報告書2010」で開示している当社の環境負荷のうち、JEPIX簡易算出シートにある環境負荷のEIPを算出。JEPIXは日本国内の環境負荷を対象としていますが、一部海外連結子会社の数字も含めてEIPを算出しました。�当年度(売上高/各環境負荷量データ)�

エコ効率指標=―――――――――――――――�基準年度(売上高/各環境負荷量データ)�

■環境影響ポイント�

0

40

80

06 07 08 09

百万(EIP)�

(年度)�

その他�有害大気汚染物質�温室効果ガス�光化学オキシダント�埋立廃棄物�

00 05 06 07 08 09(年度)�

1.00

1.06

1.03

1.11 1.12

1.111.06

1.56

2.32

2.56

2.0

1.5

1.0

0.5

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

2.5

8.68

28.46

1.55 1.51

34.44

44.05

37.17

3.82

4.80

4.33

1.49

1.05

1.010.82

1.02

1.25

化学物質�

水�

売上高(連結)�

CO2

廃棄物�

化学物質�水�

売上高(連結)�

CO2廃棄物�

■エコ効率指標�

kokuyoCSR 10.3.13 7:46 ページ 35

Page 36: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

35 コクヨグループ CSR報告書 2010

2009年の取り組み�

エコプロダクツの提供�

エコバツマーク表示比率�

ステーショナリー商品:35%�ファニチャー商品:10%

環 境 報 告�

2009年度 目 標�

エコバツマーク表示比率�

ステーショナリー商品:40%�ファニチャー商品:6%※1

2009年度 実 績�

 商品のライフサイクルの各段階において環境

配慮が足りない自社商品に総合カタログ上で「エ

コバツマーク」を表記し、それを「ゼロ」にするとい

う取り組みを開始して2年が経過しました。本年

のエコバツマーク表示比率は、ファニチャー商品

は目標通りの進捗でした。ステーショナリー商品

は再生材料の積極的な使用や、パッケージのス

リム化など、一つひとつの商品について仕様変

更を進めていますが、対策実施予定品番に対し

て廃止品番の数が想定以上に多く、その品番

が対策未実施のため目標未達となりました。�

 「エコバツマークゼロ」への取り組み2年目の

2009年は、主に「ゼロ」達成に向けての課題抽

出とその対策に注力しました。その中で「すてる時」

の基準が「リサイクル」しかないことが最大の課

題となっています。現状の「リサイクル」基準で

は評価できない製品群は、たとえば、OAフィルタ

ーなどマテリアルリサイクルできない樹脂製品、

大型カッターなど分別することが危険な製品など

です。こういった製品群には新たな評価方法も

視野にいれる必要を感じています。こういった課

題を一つずつクリアしながら取り組みを推進して

いきます。�

・ファニチャー商品のエコバツ表示比率は、ローパーティション、間仕切り、店舗用什器を除いた総合カタログ掲載品番での比率です。�・2009年12月に発行した『コクヨ総合カタログ ファニチャー編2010』では、カタログ制作時点での実績値を掲載しているため、数字が異なっています。�

TOPICS

梱包材のリユースを開始� 応接イスでの取り組み�

再利用される中包装� 応接イス<アルデオ>�

 応接イス<アルデオ>は、「はこぶ時」の環

境配慮として、ノックダウン設計※2を採用、輸送

時の梱包サイズは従来の約8割になりました。ま

た「つくる時」の工夫として、表地には工業用と

うもろこしを原料としたPLA(ポリ乳酸)25%と

再生ポリエステル75%で構成された張地を使

用するとともに、木質部分にはFSC認証を取得

した木材を100%使用しています。コクヨは、

FSC認証を自ら取得している唯一のオフィス家

具メーカーであり、FSC認証木材とPLAを使用

した既製品の応接家具は、業界初の取り組み

です。�

※2 ノックダウン設計:家具を部品の状態で輸送し、現地で組み立てる方式。保管時や輸送時の効率が良くなる。�

 ファニチャー部門では、エコバツマーク自社環

境配慮基準の見直しで設定された「はこぶ時」

の基準適合に注力し、商品梱包形態の見直し

を図り、輸送効率を向上させる取り組みを行って

います。2009年は、新たな取り組みとして「リター

ナル中包装」の運用を開始しました。これまでは

商品をビニール袋に包んだ上でダンボールに入

れてお客様に届けていたのですが、納品後にビ

ニール袋がゴミになってしまうことから、商品開発

担当、生産管理担当、品質保証担当が一体と

なり、何度も利用できる「リターナル中包装」を

提案。不織布を使った筒状の袋は、配送センタ

ーごとに袋の色を変えたり、工場コードを記入す

るラベルをつけたりと工夫を凝らし、2010年度カ

タログに掲載される応接家具の新製品から順次

実施しています。�

リターナル中包装に付けられるリユースラベル�

 

 

※1 �

つくる時� はこぶ時� つかう時� すてる時�

(ステーショナリー・ファニチャー共通)�4つのライフステージのすべてにおいて、何らかのオリジナル環境マークが該当する商品以外の商品にエコバツマークを表示。�

エコバツ�

ゼロ�

すてる時� つかう時�

つくる時� はこぶ時�

kokuyoCSR 10.3.13 7:46 ページ 36

Page 37: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

環境配慮はもちろん、使い手のニーズを実現した�<針なしステープラー>を開発�エコプロダクツの提供�

クローズアップ�

逆転の発想で、従来の不満を解消し、�新たな価値もプラス�

大きな反響を得たことが、次への糧に�

 2009年12月に発売された<針なしステープ

ラー(2穴タイプ)>。見た目は穴あけパンチに近い。

レバーを下げると切れ込みが入り、U字型の部分

を折り返してもう一方に挟み込むことで針なしで紙

をとじられる。実は、この構造は1穴タイプに限れば

少なくとも百年前には記録があるほど古い。そこに

新しい価値を創り出したのが今回の商品だ。�

 コクヨS&Tで<針なしステープラー>の企画開

発を担った青井は、エコバツマーク削減に取り組

む中で、単に環境に配慮するだけでなく、お客様に

広く長く使っていただいてこそ意味があると考えた。

「気がつくとエコだった、という商品を目指していま

した。実施するのに手間がかかる“疲れるエコ”で

はなく、“簡単で、持続するエコ”を実現したかった

んです」。�

 そんな青井の目にとまったのが、針なしのステー

プラー。針不要は省資源、しかも、ケガもなく廃棄

時の分別もいらない。古くからあり、一定のニーズ

のある商品でもあった。「さらに使い勝手を良くする

ことで、理想的な環境配慮商品になるかもしれない」。�

 まず、インターネットを通じ3万5千人のユーザー

に既存の針なしステープラーへの不満を聞いた。

一番多いのは「とじられる枚数が少ない」という意

見。試作を繰り返し、カット部分を通す縦刃を既存

のI字型からH字型にすることで、2~6枚が主流だ

ったとじ枚数を10枚まで増やした。「とじ力が弱い」

という不満には2カ所でとじるアイデアが浮かぶが、

見栄えが悪いという欠点があった。それには2穴パ

ンチのJIS規格に合わせるという解決策を見出した。

紙とじと穴あけを同時に行うことで、作業効率もア

ップ。「穴があくという弱点を強みに変える逆転の

発想でした。しかも穴あけのゴミもでないんです」。�

 さらに、コクヨにはすべての部分が紙でできた

ファイル<オール紙>シリーズがある。<針なし

ステープラー>でとじられた資料等を受け取った

側がこのファイルと組み合わせて使用すれば、丸

ごと紙ゴミとして廃棄可能なファイリングが実現

できる。コクヨ独自のエコロジーファイリングの提

案にもつながる商品となったのだ。�

 商品化に当たっては各種業界などでもヒアリン

グによるユーザー調査を実施。開発意図には高い

評価をいただけたが、一見しただけでは分かりにく

いことも判明した。企画担当としてプロジェクトに

参加した増田は、店頭用に使い方を案内する動

画を制作し、ホームページにもアップ。環境展示

会「エコプロダクツ2009」に出展するなど周知に

努めた。「ユーザー調査から見えてきたさらなる要

望もあります。今回の技術をコアに、今後もそれら

にお応えする商品の展開を図っていく予定です」。�

 気がつくとエコだった。そんな商品でお客様の

環境配慮を応援したい。エコバツマーク削減の取

り組みの中で芽生えた思いが、これからも新たな

付加価値商品を生み出していく。�

誰でも簡単に取り組める�“持続するエコ”につながる商品を�

コクヨS&T株式会社 クリエイティブプロダクツ事業部��コアテックVU 開発第1グループ リーダー��

青井 宏和�

コクヨS&T株式会社 クリエイティブプロダクツ事業部��コアテックVU 企画グループ�

増田 和之�

ユニバーサルデザイン�手にフィットしやすいハンドル�

本体・ハンドル部分には�再生ABS樹脂を使用しています。�

つくる時�

必要最小限のコンパクトな�パッケージを採用しています。�

はこぶ時�

VOC対策がとられています。�

つかう時�

刃など怪我をする可能性がある�部分以外は分別廃棄ができる設計。�また、このステープラーでとじた�書類も分別する必要がありません。�

すてる時�

コクヨグループ CSR報告書 2010 36

kokuyoCSR 10.3.10 0:45 ページ 37

Page 38: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

37 コクヨグループ CSR報告書 2010

 お客様からのお問い合わせ・ご提案・ご要望に

対応し、お客様に満足していただくためのグルー

プ共通の窓口として、お客様相談室を開設して

います。2009年度のお問い合わせ件数は14万

4,731件で、そのほとんどは専用フリーダイヤルへ

の電話によるお問い合わせであり、最も多いお問

い合わせ内容は「商品をどこで買うことができるか」

という商品販売についてです。�

 お客様相談室では、お問い合わせに対し、「正

確・迅速・親切・丁寧」をモットーにお答えするた

めの対応研修やコミュニケーターの情報共有体

制を整えています。�

 お客様相談室では、お客様の声をお聞きして

ご不明な点にお答えするだけではなく、改善・改

良のご提案を受けて、製品性能の改善、パッケー

ジへの表示、商品説明書への表記など、具体的

な改善策を開発部門へ提案しています。そのため、

お客様の声をより深く詳細に分析できるよう、お

客様の声を一言も漏らさずに記録させていただく

ための専門チームを設けており、お客様相談室

が考えた改善提案は、ステーショナリー、ファニチ

ャーの各開発部門の責任者・担当者間で行わ

れる「提案会議」で検討しています。�

 また、お客様からの貴重な情報はイントラネット

を通じて全グループ社員が共有できるようになっ

ており(右記TOPICS参照)、実際に商品を購入・

使用していただいたお客様の声を、商品の品質

向上や商品パッケージの改善などにつなげるとと

もに、全社を挙げてお客様の声を聞く姿勢を持ち、

一人でも多くのお客様の期待に応えることがで

きるよう努めています。�

お客様への対応・サポート�

お客様の声の反映�

お客様とともに�

社 会 性 報 告 �

品お客様のご質問・ご意見に�

誠実かつ真摯に対応し�

より良い商品・サービスの�

提供を目指しています�

■お問い合わせのジャンル�その他�3,047件�(2%)�

ステーショナリー�89,129件�(62%)�

ファニチャー�52,555件�(36%)�

合計�144,731件�

 お客様相談室に寄せられるお客様から

の貴重な情報・反響・ご意見の内容をグ

ループ全社員で共有するために、イントラネ

ット上でお客様の声を公開しています。これ

までも個人情報を除いたお客様からのご意

見を確認することができる仕組みはありまし

たが、日付・品種・品番などをキーワードとし

て自ら検索して取得しなくてはなりませんで

した。2010年1月より導入した「Voice Clip

ウィークリー」では、コクヨグループの商品や

サービスに対して喜んだり悲しんだりされる

お客様の切実な思いを、日ごろからお客様

と接する営業部門だけでなく、商品開発や

設計、生産、スタッフ部門などすべての職種

の社員が共有することができるよう、お客様

の生の声が一目でわかるように工夫をして

配信しています。�

TOPICS

お客様の声情報�『Voice Clip ウィークリー』�

その他 1.6%�

カタログ・資料請求�11.9%��

■お問い合わせの内容�

商品販売 21.0%��

商品仕様�22.0%�商品修理�

37.7%�

クレーム 0.5%� 提案・要望 0.1%�

ファニチャー�

使用・操作方法�5.2%��

使用・操作方法�17.8%��

商品販売 37.2%��

商品仕様 27.8%�

その他 1.7%�カタログ・資料請求 4.4%�

商品修理 7.4%�

クレーム 2.9%�

提案・要望�0.6%�

ステーショナリー�

kokuyoCSR 10.3.13 7:47 ページ 38

Page 39: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 38

 コクヨグループでは近年、東南アジアや中国な

ど海外における生産比率が高まっています。海

外の生産工場との連携を密にし、生産技術・ノ

ウハウの継承、品質基準の共有・徹底を進め、

企業理念や価値観を共有することで、良品廉価

の商品提供を目指しています。�

1)意識改革による品質改善�

 商品不良などのクレームを削減するため、生産

現場の意識改革を中心とした品質改善策を実

施しました。これは、品質に影響を与える経営資

源である4M(Man=人/Material=材料/

Machine=機械/Method=方法・情報)の「Man

=人」を重視した取り組みです。特に海外では、

コミュニケーションが品質改善につながると認識し、

品質管理の担当者が現場に長期間滞在し、工

場の改善指導、現場参加型の品質会議を毎月

実施するなど意識改革に力を入れました。結果、

受入検査不良率の低下、クレーム件数の削減と

いう改善効果が得られました。�

2)品質コストのテスト導入�

 品質コストは、品質活動に関する投資・費用を、

予防・評価・失敗の3つに分類し、品質に関する

施策を実行するための指標の一部とする考え

方です。2009年度は「失敗コスト」をテスト導入

しました。市場に流出した不良品・クレームを件

数ではなく損失金額として把握することにより、

品質への注意力を強化するとともにクレームの

重大性を明確にし、改善につなげる取り組みを

行っています。�

3)品質基準の継続的見直しと情報共有�

 1万品番を超えるステーショナリー商品を、お

客様に安心して使ってもらえるよう、品質基準の

継続的な見直し・改善を行っています。また、膨

大な品質基準と試験規格を誰でも適宜閲覧、検

索できるデータベースを整え、情報を一元化して

います。こうした品質保証体系、考え方を徹底す

るために、開発・生産管理の担当者を対象に説

明会を開催するなど、「良品廉価」のものづくりを

責任を持って実行していきます。�

1)製品不具合の再発防止�

 2005年6月3日から2009年7月末日に販売した

ダイニングチェアーの一部商品において、使用中

に後脚の接合部が外れる可能性があり、場合に

よっては転倒し怪我をする恐れがあることが判明

し、商品の点検・交換でお客様にご迷惑をかける

ことになりました。この不具合の原因として考えら

れることに、海外の協力工場で製品仕様が変更

されていたということがありました。事態を受け、

特に海外の協力工場で、立ち入り検査、製造ラ

イン検査、完成品の抜き取り検査など品質管理

の強化を行い、工場の再評価を実施するなど再

発防止策を進めています。�

2)システム再構築による情報の整備�

 ファニチャー事業では、商品情報などの情報シ

ステムの再構築を進めており、グループ各社の

個別のクレーム情報を一元管理化しました。より

多くの情報を分析することで、品質向上やクレー

ムの未然防止に役立てています。また、新たにコ

クヨグループになったアクタスブランドの商品に

ついても、ビジネスシーンでの使用が想定される

家具については品質基準をコクヨとすり合わせる

など、グループ内でのシナジー効果を目指してい

ます。�

3)ISO9001運用範囲の拡大�

 品質保証の国際規格ISO9001の登録範囲

を拡大し、収納家具や建材などを生産している芝

山工場を運用範囲に加えました。今後は、スタジ

アムのイスやミュージアムケースなど施工を伴う

公共施設にかかわる業務も登録範囲に含める

予定で、ファニチャー事業全体でISOに準拠した

確実な品質保証体系を構築していきます。�

品質保証に対する考え方�

品質改善の取り組み(ステーショナリー)�

品質改善の取り組み(ファニチャー)�

品質保証�

社 会 性 報 告 �

海外協力工場に対しての技術指導�

「商品を通じて世の中の役に立つ」�

という企業理念のもと、お客様が�

安心・安全に使用することができる�

品質を保証するために、�

品質の維持・向上に努めています�

kokuyoCSR 10.3.13 7:47 ページ 39

Page 40: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

39 コクヨグループ CSR報告書 2010

 社会の一員であることを自覚し、良き企業市民

であり続けるために「商品を通じて世の中の役に

立つ」という企業理念のもと、さまざまな社会貢

献活動を行っています。グループの事業会社各

社がそれぞれ主体的な活動を行っており、2009

年度は、出張授業や工場・ショールームの見学

など合計267件の社会貢献活動を行いました。�

 また、2009年度の新たな活動として、グループ

の販売会社であるコクヨマーケティングでは、異

業種企業、埼玉県内の特別支援学校と共同で「障

碍者インターンシップ協議会」を立ち上げ、夏休

みを利用したインターンシップを実施しました。�

2009年度の総括�

社会のために�

社 会 性 報 告 �

株地域と一体となった環境活動や、�

商品特性を生かした�

教育分野への社会貢献活動に�

取り組んでいます�

■2009年度社会貢献活動の実績�

出張授業 ユニバーサルデザイン 29�

環境 1�

講習会 8�

工場・施設見学 12�

ショールーム見学 150�

自社独自活動 22�

イベント協賛・展示 37�

インターンシップ受け入れ 8�

267

 出張授業では、コクヨグループ社員が講師とし

て学校に出向き、親しみのある「文具」を題材に、

実際の商品に触れながら、ユニバーサルデザイ

ンについて勉強していただいています。次世代を

担う子どもたちに、「使う人の立場に立って、もの

づくりをする」ユニバーサルデザインの姿勢から、

「相手の立場に立って考える」という思いやり、

やさしい心を育んでいきたいという想いで、この

取り組みを始めました。対象は小学5年生から高

校3年生まで、ユニバーサルデザインの基礎知識、

コクヨの考え方、商品の紹介、開発事例の紹介

といった内容をお伝えしています。2009年度から

は、ホームページ上での受け付けも開始し、好評

を得ています。��

  申し込みURL�http://www.kokuyo.co.jp/yokoku/ud/experience/info.html

 東京、大阪にあるショールームを通じて、小中

学生の社会学習を積極的に支援しています。

学習のテーマは、ユニバーサルデザインや環境

対応などであり、ショールームの担当者が、生徒

の年齢に応じて実際の商品や活動の内容を分

かりやすく説明しています。また2009年度は、

2008年秋に新しくオープンしたエコライブオフィ

スの見学も行い、環境配慮の大切さ、企業の工

夫について理解してもらいました。修学旅行で

の来場も多く、来社した中学生からは「商品の

中に、消費者のためのあらゆる工夫が取り入れ

られていることを知り、驚きました」といった感想

が寄せられています。�

TOPICS

ユニバーサルデザイン出張授業� ショールームを活用した�小中学生への社会教育支援�

コクヨ社員による講義�

エコライブオフィスのガーデンを見学する�中学生�

中学生の子どもたちからのお礼状�フ

kokuyoCSR 10.3.13 7:47 ページ 40

Page 41: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 40

 株主や投資家の皆様への正確で適時な情報

開示は、社会から信頼される透明かつ健全な企

業活動を行うための重要な活動であると考えて

います。�

1)IR活動�

 機関投資家、証券アナリストの皆様に対し、投

資判断に必要な情報を公平かつ継続的に開示

することを目的として、年に2回の決算説明会や

個別訪問を通じて当社の状況を説明しています。

2009年2月に実施した決算説明会では、2008年

に新たに開設したエコライブオフィスの見学を組

み込み、注力分野である環境分野への具体的

活動を紹介しました。また、2009年8月に実施し

た中間決算説明会では、より多くの方が参加し

やすいよう、初めて説明会の会場を東京と大阪

の二カ所に設け、フルハイビジョンの映像を一

般光インターネット回線で送ることができる

「meetima XVDコミュニケーションシステム」を

通じての臨場感あふれるリアルタイム中継での

説明を行いました。�

 個人投資家の皆様に対しては、株主優待商

品として当社グループ商品の詰め合わせをお送

りしており、8割を超える方より「満足である」との

ご意見をいただいています。�

2)情報公開�

 各証券取引所の定める「上場有価証券の発

行者の会社情報の適時開示等に関する規則」

等(以下「適時開示規則」)に従い、情報開示を

行っています。また、適時開示規則に該当しない

情報についても、投資家の皆様の理解の一助と

なると判断した情報は適切な方法によりできる限

り積極的かつ公平に開示することを基本方針とし、

当社のホームページにおいて速やかな開示に努

めています。�

 なお、2009年は日興アイ・アール社が実施した

第7回「全上場企業ホームページ充実度ランキ

ング調査」において優良サイトに選定されました。�

  http://www.kokuyo.co.jp/ir/�

 2009年12月末現在の発行株式総数は

128,742,463株、総株主数は27,249名です。�

配当に関する方針・実績�

 さらなる株主重視の経営を目指し、従来の安定

配当に加えて連結業績を考慮し、配当性向20%

以上を目処とした配当を実施しています。年間配

当金は、過去10年以上にわたり1株当たり15円を

維持しており(記念配当、9カ月決算除く)、2009

年度についても年間配当金は1株当たり15円(中

間7円50銭、期末7円50銭)を予定しています。�

 内部留保資金につきましては、経営体質の一

層の強化と将来の企業価値を高めるための投

資に活用していきます。�

 環境対策や雇用、社会貢献などに積極的に取

り組み、社会的責任を果たしている企業に投資す

る「社会的責任投資(SRI)」が注目されている中、

コクヨグループではその取り組みを評価され、欧米

有数のSRIに関するコンサルタント会社であるエテ

ィベル社の「エティベル・サスティナビリティ・インデ

ックス」の構成銘柄に選定されています。また、イ

ギリスFTSE社の「FTSE4Good」にも採用される

など、有力SRIインデックスに組み入れられています。�

経営活動の透明性向上�

SRIインデックス採用状況�

株式と株主の状況�

株主への責任�

社 会 性 報 告 �

企業価値を高めることを�

株主・投資家の皆様への責務と認識し�

透明かつ健全な企業経営を�

堅持するとともに�

正確かつ迅速な情報開示に�

努めています�

■株式分布状況�

自己名義株式�8.1%

個人その他�27.8%

外国法人等�11.5%

金融機関・�証券会社�20.2%

その他の法人�32.4%

128,742,463株�

1,000株未満�2.6%�

100,000株以上�74.2%�

1,000株以上�5,000株未満 9.0%�

5,000株以上�10,000株未満 3.5%�

10,000株以上�50,000株未満 7.5%�

128,742,463株�

〈所有者別〉� 〈所有株数別〉�

50,000株以上�100,000株未満 3.0%�フルハイビジョンによるリアルタイム中継で行われた中間決算説明会�

kokuyoCSR 10.3.13 7:48 ページ 41

Page 42: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

41 コクヨグループ CSR報告書 2010

 コクヨグループでは、社員の職務・役割を明確

にするとともに、一人ひとりの能力と実績を公正

に評価し、処遇や報酬に反映させています。具

体的な人事制度はグループの事業会社がその

特性に合わせて制定、運用していますが、昇格

審査に関しては、すべての事業会社において、年

齢に関係なく、意思のある社員全員に門戸が開

かれています。�

 研修体系は受講必須の研修のほか、会社選

抜型研修、自由選択研修の3種類があります。

必須研修はグループ共通で行っており、新入社

員研修から始まり、年齢に応じて受講する年齢・

年次別研修と、役職に応じて受講する役職別研

修を実施しています。�

 会社選抜型研修としては、グループ各社の次

期経営層を育成する「経営者人材育成プログラ

ム」や、異業種人材との交流を図りながら仕事に

不可欠な知識を習得するための「異業種研修」

があります。また、1年目から3年目までの若手社

員の中期的な実務・育成指導を担当する社員を

対象とする「チューター研修」を実施しています。

このほかに、自ら高めたいと思う能力・知識分野

を選んで受講する自由選択型の研修を用意して、

意欲のある社員を積極的にサポートする教育研

修体系を組んでいます。�

 2006年から、グループ会社間の転職をサポー

トする「グループ内転職市場」の運用を開始しま

した。業界や商品に関する基礎的な知識やグル

ープが推進する業務に対する基本的なスキルを

最大限に生かしながら、新たなステージを模索す

る機会創出をグループとして支援しています。�

 また、離職後の継続的な労働機会を支援する

取り組みとして、定年退職後の再雇用を希望す

る社員に対しては「高年齢者継続雇用制度」を、

早期退職者に対しては「セカンドキャリア支援制

度」を設けています。�

人事制度・評価制度�

研修体系�

キャリア開発支援�

人材育成�

社 会 性 報 告 �

勤労一人ひとりのやる気と�

能力を最大限に引き出すための�

評価制度・人材育成体系を�

構築しています�

■教育研修体系�

+�

必須研修�

役職別��

取締役�

部長�

課長�

主任�

一般�

取締役・執行役員研修��

管理職研修�

新任管理職研修��

一般社員研修��

年齢・年次別���50代�

�����

10年目�

3年目�2年目�1年目��

50代研修�

10年目研修��

若手社員研修��

新入社員研修�

グループ各社内の研修�

各種テスト(ビジネス知識/論理思考)�

通信教育講座/ウェブラーニング�

POWER講演会�

Jクラブ�

チューター研修�

異業種交流研修�

経営者人材育成プログラム�

自由選択研修�会社選抜型研修�

 Jクラブは、自由選択型の研修の一つであり、

就業後や休日に組織を超えて仲間とワークす

るプログラムとして2008年より活動を続けて

います。世代や雇用形態に関わらず誰でも自

由参加できるのが特徴で、2009年は延べ

1,000人以上の社員が参加しました。�

 人生を豊かにするための知識やスキルを学

べる講座として、「ライフプランセミナー」、「疑

問すっきり健康セミナー」、「座禅」、「ワイン

講座」、「着付け講座」、「オフィスでできる簡

単ヨーガ」、「ラグビー体験型研修」などを企

画するとともに、ビジネスに役立つ講座として「戦

略プロフェッショナル」、「商品開発講座」、「会

議の効率化研修」、「職場見学会」、「右脳

をほぐしてやわらかアタマ」などを開催、社内

外の多彩な研修講師が指導しました。今後

も参加者のリクエストを取り入れながら、社員

が楽しんで参加できる研修メニューを企画・開

催する予定です。�

TOPICS

Jクラブ�

ラグビー体験型研修�

商品開発講座�

kokuyoCSR 10.3.13 7:48 ページ 42

Page 43: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 42

 製造・建設・運輸と幅広い業種を抱えるコクヨ

グループでは、それぞれの特性にあった安全衛生

活動を展開し「安心・安全・快適」の確保に努め

ています。各事業場での安全衛生委員会活動

を基礎に、全国安全週間には、5つの工場や7カ

所で開催される建設業の安全大会で「事故・災

害ゼロ化」への取り組みを確認しています。�

 新型インフルエンザ対策では、いち早く衛生備

品の整備、行動・勤怠ルールの策定など事業継

続への対応を行い、大きな混乱もなく推移してい

ます。今後予想される強毒性インフルエンザの

対策も着実に整備を進めています。�

 時間外労働の削減においては、労働組合とも

協調しノー残業デーの全社展開、実施日の増加

だけではなく、「働き方見直しプロジェクト」のよう

な業務効率アップを社員自らの動きとして活動し

たこともあり、前年比40%以上の削減が行われ

ました。今後も「ゆとり創造」を推進していきます。�

 事業推進の要は社員一人ひとりの心身の健

康があってこそという考えのもと、積極的に取り

組んでいます。東西の拠点に健康管理室を配し、

産業医・看護師が社員からの健康相談に対応を

行っています。特定保健指導では、健康保険組

合と連携し半年間にわたる指導を実施し、効果

をあげています。�

 メンタルヘルスにおいては、一般社員教育に

続き、管理職教育を各事業場ごとに展開しており、

専門医を招いての講演会なども開催して予防面

に注力をしています。精神科医の導入効果とし

ては、復職時を中心に社員の支援を行って再発

防止の効果が現れています。�

 コクヨ労働組合では社員(組合員)の「幸せ

の実現」を目指し、社員が活き活きと働ける環境

整備・生活の安定に向けた基盤づくり、社会貢

献に取り組んでいます。2009年春闘では、世界

的な不況の中、従来の労働条件要求のみならず、

「雇用の確保とコクヨグループの再生」を方針と

した提言がなされました。会社としても回答指定

日までに真摯な討議のもと交渉を行いました。�

 コクヨの労使はこれまで培ってきた良好な関

係をベースに、互いの立場や主張を充分理解し

合い、グループ統一の労使協議の場でグループ

全体の事業の効率と効果の最大化について徹

底した議論を尽くしました。これからも、社員が能

力を最大限に発揮できる環境整備と社員が活き

活きと働ける職場づくりを目指し、労使協議を通

じて課題を解決していきます。�

労働安全サポート・過重労働防止� 労働組合との関係�健康管理・メンタルヘルス�

勤労厚生・�労働安全�

社 会 性 報 告 �

安心・安全・快適な職場づくりは�

円滑な事業の推進の要と考え、�

現場と活発な意見交換をしながら�

体制を整えています�

※1 労働災害による死傷者数/延労働時間数×100万�※2 労働損失日数/延労働時間数×1000�※三重工場、芝山工場、コクヨMVP、コクヨ工業滋賀、石見紙工業のデータ �※不休災害を含む統計処理�

損失日数� 度数率※1 強度率※2災害件数�

330 6.18 0.18611

■労働災害に関するデータ�

メンタルヘルス講演会�

建設業指差呼称訓練� 消火訓練� 労使交渉(春闘統一交渉)�

kokuyoCSR 10.3.13 7:48 ページ 43

Page 44: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

43 コクヨグループ CSR報告書 2010

基本的な考え方� 2009年度の具体的な活動�

ダイバーシティー�推進Ⅰ�

社 会 性 報 告 �

企業が成長・発展し続けるために�

不可欠な取り組みとして�

ダイバーシティーを推進しています�

 コクヨグループでは「ダイバーシティー」を「社

員一人ひとりが本来持っている能力を発揮する

ため、さまざまな境遇や価値観を認め合い、多様

な働き方を実現できる環境をつくりあげていくこと」

だと考えています。女性社員や障碍のある社員

に限らず、すべての社員がさまざまな状況で参画

すべき経営課題と位置づけ、2007年8月に設立

した「ダイバーシティー推進委員会」を中心にグ

ループ全体で取り組みを進めています。�

 2009年度は、3拠点を中継で結ぶ「ワーク・ラ

イフ・バランス推進フォーラム」を開催してグルー

プ全体の意識向上を図るとともに、グループ各社

は「次世代育成支援対策推進法」に基づいた

行動計画を告知し、それぞれが独自の活動を開

始するなど着実に歩みを進めています。�

1)働き方見直しプロジェクトの拡大�

 2008年に発足した「働き方見直しプロジェクト」

では、長時間化した働き方を見直し、ワークとライ

フにおいてメリハリある生活を送ることで、ライフ

の時間を自己研さんや人脈づくりなどに活用し、

仕事に還元していく環境をつくることを目指して

います。2008年度はコクヨS&T、コクヨマーケテ

ィングにおいてプロジェクトを実施し、働き方の改

善やコミュニケーションの活性化といった成果が

ありましたが、2009年度はコクヨファニチャー、コ

クヨ九州販売において同様のプロジェクトを発足

させました。�

 プロジェクトでは、会議時間が長い、業務が共

有化できていない、時間に対するコスト意識が低

いなどの具体的な課題に対し、業務や資料のデ

ータベース化、各人の一週間の仕事内容と優先

順位を見える化するボードの作成を行い、業務の

共有化や時間管理意識の向上などの成果が得

られました。このような活動を通して生産性向上、

仕事の質向上を行い、確保したライフの時間を

有効活用させていきます。�

2)女性ワークショップの開催、現場主導の� プロジェクトの立ち上げ�

 女性社員がさまざまなライフイベントに直面し

ても活躍していけるよう、ワークショップなどを通じ

て支援を行っています。2009年は、自分の未来

を素敵にするために今の自分自身や考え方を見

つめなおし、「自分らしい素敵な生きかた」のヒン

トを見つけることを目的としたワークショップを3回

にわたって実施しました。�

 また、コクヨオフィスシステムでは、有志の女性

社員による全社員が理想の姿を描き活き活きと

働き続けられるための意識改革プロジェクト「Spice

☆プロジェクト」を立ち上げました。誰もがやりが

いを持って続けられる風土づくりを目指し、ひねり

を効かせた社員目線の企画で自己研さんを支援

しています。2009年は、朝フレッシュ会、ビジネスメ

イク講座、女性社員の意見交換会、オフィスで野

菜を育てるベジガーデンの運営などを行いました。�

 

 

関連情報�P11-12

コクヨファニチャー働き方�見直しプロジェクト�キックオフ会議�

女性ワークショップ�

■男女別従業員比率�(連結対象 正社員)�

■男女別管理職比率�(連結対象主要事業会社のデータ)�

男性�3,556名�(69.1%)�

女性�1,591名�(30.9%)�

男性�97.4%�

女性 �2.6%�

■ダイバーシティー推進の4つの基本テーマ�

� 制度構築・浸透�

ダイバーシティーに取り組む意義の共有 �

ワーク・ライフ・バランスの実現 �

多様な人材の活躍支援

○ 柔軟な働き方を実現する制度づくり�○ 諸制度の社内浸透�

○ 働きやすい風土の実現に向けた意義の共有�○ 能力を活かす風土の実現に向けた意義の共有�

○ 仕事と私生活の両立ができる環境づくり �○ 生産性高い働き方の実現�

○ ダイバーシティー実現に向けて多様な人材を活かす�○ 女性活躍推進�

kokuyoCSR 10.3.13 7:48 ページ 44

Page 45: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 44

育児・介護と仕事の両立支援�TOPICS、

e

 人生のライフイベントである出産・育児・介護

に対し、仕事と家庭の両立がしやすい環境を整

えるため、制度面の充実を図っています。�

 法を上回る育児休業制度を整えており、子ど

もが1歳の4月末または1歳6カ月に達するまでの

どちらか長い期間まで取得可能です。これは保育

園の入園時に必要な「ならし期間」を考慮して4

月末まで休暇を取得できるようにしたもので、社

員からは「無理なく仕事に復帰することができる」

という声が聞かれます。また短時間勤務制度も

導入しており、個人の状況や業務内容に合わせて、

一日の勤務時間を短くする短時間勤務を選択す

ることができます。また、管理職へワーク・ライフ・

バランスの意義を浸透する一環でコクヨグループ

では管理職向けに研修を実施しています。�

 コクヨグループでは、2009年12月現在、グルー

プ7社が「くるみんマーク」を取得しています。「く

るみんマーク」は、少子化の改善を推進する厚生

労働省が次世代育成支援対策支援法に基づ

いて「子育て支援に積極的な企業・団体」に交

付しているマークです。�

■育児・介護支援を目的とする主な休業制度※�

産前産後�産前産後合わせて14週間�(多胎児妊娠の場合は22週間)�

小学校就学始期まで、1年間に5日まで�

要介護者の家族一人につき、�通算183日まで�

・短日・短時間勤務(介護・育児)�・フレックス勤務�

育児休暇�子供が1歳到達後の4月末まで、�もしくは1歳6ヶ月に達するまでのどちらか�長い期間まで�

子の�看護休暇�

介護休暇�

柔軟な�勤務制度�

※ コクヨ株式会社の制度。コクヨグループ各社はこれを参考に事業特性�  に沿った規定を定めている。�

【取得会社】(2009年12月末現在)�コクヨ株式会社�コクヨS&T株式会社�コクヨファニチャー株式会社�コクヨビジネスサービス株式会社�コクヨマーケティング株式会社�コクヨエンジニアリング&テクノロジー株式会社�株式会社カウネット�

■育児休業取得者数�

年 度�

男�

2005

0

2006

0

2007

4

2008

6

2009

1

女� 16 18 40 23 38

数�育児休業を取得して�

 コクヨグループ各社では、ライフを支えてくれて

いる家族への感謝の気持ちを伝える機会として

家族向けの職場見学会を開催しています。

2009年は、コクヨオフィスシステム、コクヨ RDIセ

ンター、コクヨファニチャーが3社合同で、2008

年11月にオープンした話題のエコライブオフィス

品川を舞台に、家族見学会を開催しました。家

族見学会は、社員の家族にエコライブオフィスを

体験してもらい、環境についての関心を深めると

ともに、家族で楽しんでもらう主旨で行い、390名

の家族が参加しました。�

 今回は、TV会議、DARTSシステム、社長決

裁体験、自分の名刺作成・交換等のコーナーを

設け、子どもたちにオフィスの体験をしてもらうと

ともに、夏休みの宿題の一助となる「エコたぬき

つね」というキャラクターが登場する子ども向け

エコライブオフィスの小冊子を配布し、オフィスと

エコについて関心を深めました。�

異業種「パパ交流会」� 家族向け職場見学会�

エコライブオフィスのガーデンにて役員による太鼓イベント�エコライブオフィスで開催された�「パパ交流会」�

 コクヨグループでは、父親同士が子育ての工

夫や悩みなどを気軽に共有することを目的に、

2008年からパパサロンの開催を始めました。

2009年は、ニフティ株式会社様との共催で異業

種6社による「パパ交流会」を開催しました。こ

のイベントは、異業種でパパ同士のつながりをつ

くる、育児・父親という視点からワーク・ライフ・バ

ランスの重要性を認識する、育児時間を作るた

めの工夫を考えることを狙いとして企画したもの

です。コクヨグループ社員、ニフティ株式会社様

他ワーク・ライフ・バランスに注力している企業の

社員に加え、ニフティ様運営のWEBサイト「パパ

スイッチ」から一般公募したパパを合わせ合計

45名のパパたちの交流が行われました。�

 当日は、父親の子育て支援のNPO法人 ファ

ザーリング・ジャパン代表安藤哲也氏による基

調講演、パネルディスカッション、参加者同士の

グループディスカッションが行われ、参加者からは

「育児に対する姿勢を考え直す機会になった」「他

企業の方と自身の

生き方や家族につ

いて話す機会がな

いので、新鮮な経

験だった」などの感

想がありました。�

子育て支援に積極的な企業・団体�

 育児休業で私が妻

の手伝いをしたのは

主に上二人の子育て

で、一番印象に残っ

ているのが、真ん中の

子どものクリスマス祝

会(幼稚園)への参

加です。妻の産後の

肥立ちが悪く私が参

加したのですが、男親一人での参加は私だけでし

た。正直とても恥ずかしかったのですが、思ってい

た以上に子どもが喜んでくれたのが印象的で、参

加してよかったと心から思った出来事でした。�

コクヨビジネスサービス株式会社�

峰松 崇�

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Page 46: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

45 コクヨグループ CSR報告書 2010

 

障碍者雇用※1�

ダイバーシティー�推進Ⅱ�

社 会 性 報 告 �

障碍や言葉・習慣・考え方の�

違いを認め合い、�

それぞれの能力を最大限に�

発揮することができる�

働き方を推進しています�

サラダほうれん草を育てているハートランド� ベトナム工場におけるノートの生産� セクシャルハラスメント研修�

 コクヨは1949年に発足した大阪府雇用開発協

会の前身である大阪府身体障害者雇用促進協

議会の発足当初から、同協議会理事として障碍

者雇用を促進する活動を積極的に行ってきました。�

 現在は2003年9月に設立したコクヨKハート株

式会社、2006年12月に設立したハートランド株

式会社の2社の特例子会社を中心に、グループ

全体で障碍者が働きやすい環境づくりを促進し

ています。�

 コクヨKハートは主にコクヨグループの印刷業

務や品質検査を請け負っています。2010年1月

には連続無災害2,200日を達成しました。�

 ハートランド株式会社は、知的・精神障碍者が

主役となってはたらくことができる場として農業が

最適であるということから、水耕栽培による野菜の

生産・販売を行っています。ハートランドは、障碍者

雇用の職域拡大のために農業に着目したこと、知

的・精神障碍者の雇用率が高いことなどが評価さ

れ、「大阪府ハートフル企業大賞」を受賞しました。�

 2009年12月1日現在、コクヨグループの障碍

者雇用率※2は2.01%です。�

※1 コクヨグループでは「障がいがあることは困難ではあるが害ではない」という基本的な考えに基づき、「障害者」ではなく「障碍者」という表記を用いています。�

※2 コクヨ株式会社と国内連結子会社の正社員および常用雇用のパート・アルバイト社員数の合計に対する割合。�

 事業をグローバルに展開していくためには、国籍・

年齢・性別などに関係なく、優秀な人材を確保・育

成し、適所に配置していくことが必要だと考え、新

たな戦力となる人材の確保・育成に努めています。�

 2009年12月末現在のコクヨグループの海外

拠点は、営業拠点として、中国国内に16カ所、タイ、

マレーシア、インド、アメリカ、ヨーロッパに各1カ所

あります。またステーショナリーやファニチャー部

門の生産拠点として、タイ、ベトナム、マレーシア

に工場があります。海外で働く社員の9割以上が

現地採用であり、その中から役員も生まれています。�

 海外拠点の中で特に、中国で本格的な事業

展開を行っており、オフィス空間を構築する国誉

貿易(上海)有限公司と、オフィス用品通販を行

う国誉商業(上海)は、100名以上の社員を抱え

る主力現地法人です。�

 また、生産拠点であるタイ、ベトナム、マレーシ

アの各工場では、各担当ラインにおけるOJT研

修や、日本国内の工場への見学などを通じて、コ

クヨグループの価値観の共有、創業の精神、経

営理念の伝承、技術、モチベーションの向上を

図っています。�

 なお、現地での社員採用に当たっては、各国

の身分証明書にあたる書類やICカードのコピー

を必須提出物としており、児童労働、強制労働は

ありません。�

 コクヨグループでは、あらゆる差別のない企業、

社会の実現に向け、人権尊重の大切さやCSR・

コンプライアンスについて、階層別人権啓発研

修を行い、人権意識の向上に努めています。さら

に、「セクシャルハラスメント」や「職場の人間関係」

に関する通報・カウンセリングのための窓口とし

て『コクヨホットライン』が設けられており、いつで

も相談を受け付けられる体制を整えています。�

 また、大阪市企業人権推進協議会の会員企

業として、地域での人権啓発活動へも積極的に

参画しています。�

 2009年度の社内人権啓発研修は、啓発ビデ

オを使い「セクシャルハラスメント研修」「パワー・

ハラスメント研修」を、延べ21講座開催しました。

また、「ダイバーシティーマネジメント研修」13講座、

「メンタルヘルス管理職講座」13講座開催する

など人権意識の向上に努めています。�

海外における現地社員の雇用・育成�

人権啓発活動の推進�

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Page 47: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

「第10回テレワーク推進賞�奨励賞」を受賞�

2009年度、コクヨKハートの在宅勤務での

障碍者雇用の取り組みが、<1.通勤困難

な重度障碍者を支援している 2.規模は小

さいが、今後の拡大が期待できる>と評価

され、「第10回テレワーク推進賞 奨励賞」

を受賞しました。「テレワーク推進賞」とは、

平成12年から社団法人日本テレワーク協

会が主催し、ITを活用した場所や時間にと

らわれない柔軟な働き方であるテレワーク

を活用し、ワークスタイル変革への先進的

取り組みを行っている企業や団体等を表

彰する制度です。�

コクヨグループは

今後も障碍者

雇用の促進と普

及を目指し、取り

組みを進めます。�

ITを活用した在宅勤務で、障碍者雇用を推進�社会に貢献する喜びを感じられる機会の提供を�障碍者雇用�

クローズアップ�

障碍者の就労が�特別なことでなくなるよう�テレワーク事業の拡大を目指す�

コクヨKハート株式会社�

(後列左から)�

代表取締役社長�黒田 英彦�

中尾 公一�

時枝 民生�

(前列左から)�

伊藤 剛�

野 茂樹�

ごう�

 オフィスの新設やリニューアルをお手伝いする

コクヨエンジニアリング&テクノロジー(以下KET)

では、依頼翌日にオフィスレイアウト案を提案する

というサービスを行っている。コクヨグループの特

例子会社コクヨKハートの社員である伊藤と

野は、提案のためのレイアウト設計を在宅勤務

により担っている。�

 二人は病気や事故で、左手以外は自由に動

かせないハンデを持つが、職業訓練によりCAD

操作をマスターし、技術を生かせる職場を探して

いた。一方、図面等の作成で新しい仲間を求め

ていたKETは障害者雇用促進法の影響もあり

コクヨKハートと協業を図ることに。こうして2007

年3月に伊藤が入社。通勤の問題やリラックスし

た環境で仕事ができるようにと在宅勤務となり、

2009年2月には 野が加わった。��

 「お客様のご要望を満たした上で+αの価値を

盛り込むのにいつも苦労します。一度、自分がレ

イアウトしたオフィスを見せていただいたことがあり、

感動しました」と、伊藤。 野も「お客様に喜ん

でもらうことが一番の励みです。現状に満足せず

2倍、3倍の仕事ができるようになりたい」と、やり

がいを感じている。�

 在宅勤務ならではのコミュニケーション不足や

働き過ぎを防ぐために、会社ではITを活用したサ

ポート体制を整えている。二人も分からないこと

はすぐに質問するなど、スキル習得の姿勢は入

社以来変わらない。�

 距離を感じさせない熱心な様子にコクヨK

ハートの中尾は「二人には働く意味について改

めて学ばされています」。KET空間創造推進部

の濱名敦司は「建築やデザインの知識がない

状態から始めて、今では厳しい納期や複雑なレ

イアウト要件にも見事に対応してくれます」と、成

長を語る。�

 2009年7月には幕張メッセで開催された「第1

回アジア太平洋ヘルスプロモーション健康教育

学会」で、在宅勤務の事例が取り上げられた。

伊藤はこの学会にも参加。一人の社会人として

会社と社会に貢献できる喜びを語り、「障碍者

の就労が当たり前になるよう、今後もテレワーク

事業の拡大に貢献したいです」と思いを伝えた。�

 採用時から二人を見てきたコクヨKハート時枝

前社長が「働くことは障碍がある方にとって最良

最善のリハビリ」と語る通り、重度の障碍でも勤

務可能なテレワーク事業の意義は大きい。コク

ヨKハートでは新たな業務の開拓に奔走中だ。

黒田英彦社長は、「重度の障碍がある方の就

労の機会を拡大し、今以上の社会貢献につな

げていきたい」と意欲を高めている。�

コクヨグループ CSR報告書 2010 46

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Page 48: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

47 コクヨグループ CSR報告書 2010

九州ライブオフィスを開設�~地元産間伐材を活用し、次世代のワークスタイルを提案~�

富山ライトレールに�アクタス車両ラッピング�~電車の楽しさを演出~�

コミュニケーション�

社 会 性 報 告 �

注力する事業活動とその考え方を�

多くの方に積極的にお伝えし、�

コクヨグループについての理解を�

深めていただきたいと考えています�

(企業名、団体名等敬称略)�

九州産の間伐材を使用した家具� 電車に乗車される方に笑顔を届けるラッピング車両� コクヨの樹花であるタイサンボク(撮影:山東智紀様)�

「智の木協会」への参加�~産官学連携組織からCSR活動を発信~�

 九州地域の新たな拠点として「九州ライブオ

フィス」を2009年10月に開設しました。「九州ラ

イブオフィス」のエントランスエリアは、九州の火

山灰を使用した自然素材の塗り壁材や、廃床材

を使用して作られた床材、琵琶湖のヨシを原料に

した和紙を用いたガラスシートなど環境に配慮し

た素材を多く使用しています。また、オフィスエリ

アにはLED照明や九州産の間伐材を使用した

デスクやテーブル、振動による発電で床が点灯

する「発電床」など環境に配慮した設備を多く使

用するとともに、フリーアドレスオフィスにおけるワ

ーカーの座席を効率的に選択する「OffifeDARTS

Ⅱ」を導入するなど、ワーカーの生産性や創造性

を向上させる次世代のワークスタイルを取り入れ

ています。�

 家庭で使われるインテリア家具の販売を行う

コクヨグループのアクタスは、富山の町を走る「富

山ライトレール(ポートラム:路面電車)」に車両

ラッピングのデザイン協力を行いました。これは富

山ライトレールの三周年を記念した事業で、世界

中の子どもたちが描いた絵を活用し、子供地球

基金やアクタスが連携して「花」と「笑顔」の絵

を車両に装飾しました。�

 アクタスがプロデュースした内装は、子どもたち

が楽しめる子ども部屋をイメージし、遊び心のある

車内を演出。子どもたちが電車を積極的に利用

したり、アクタスが開催するアートワークショップ等

の関連イベントを通して主体的行動を起こすこと

で、自分たちの行動で世界を変えられるということ

をメッセージとして発信しています。�

 コクヨグループは、樹木を通じて「こころ豊かな

社会作り」へ貢献するという目的のもと大阪大

学の先生方の発起により設立された産官学連

携組織である「智の木協会」の設立主旨に賛同

し、発起団体として参加しています。�

 植物や植育に関する研究会・シンポジウム・

ワークショップ・セミナー・教室などの開催や公園・

学校への協会認定樹花(智の木)の寄付、植樹、

植栽の支援といった活動を行う予定です。�

 なお、コクヨの樹花は20m近くにまで成長し、

樹形が大きな山のように見えることから名づけら

れたタイサンボクです。初夏になると白い花を咲

かせ、ほのかな香りを漂わせます。「壮麗」の花言

葉にふさわしい気品ある姿で愛され続けてきました。�

 私たちコクヨも、タイサンボクのように多くの方

たちに親しまれながら、大きく育ちたいと願ってい

ます。�

  http://www.chinoki.jp/index.html�

 

 

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Page 49: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 48

エコプロダクツ2009に出展�~コクヨグループは11回目の出展~�

四川大地震被災地の子供たち�支援・交流プロジェクトに参加�~文房具を通じて現地での交流を~�

皆で記念写真を撮影�

コクヨのブースでは「針なしステープラー」が好評�

コクヨグループの表彰�

ReEDENが「第6回エコプロダクツ大賞」推進協議会会長賞(優秀賞)を受賞�コクヨ工業滋賀の「ReEDENプロジェクト」、琵琶湖

のヨシを活用した文具シリーズの開発・販売やヨシ刈

りへの参加、出前授業、企業・団体とのネットワークづ

くりといった活動が評価されました。�

関連情報� P29

関連情報� P36

リ エ デ ン �

 国際協力基金が主催、四川省人民対外友好

協会が協力して行われた「四川大地震被災地の

子供たち支援・交流プロジェクト」に参加しました。

コクヨグループの社員が現地に赴いて文房具を寄

付するとともに、中国

語の手話を使って挨

拶するなどの交流を

行いました。�

 国内最大の環境配慮商品・サービスの展示会

である「エコプロダクツ2009」に出展しました。今

回で11回目となる取り組みに、コクヨは第1回から

出展しています。2009年のコクヨブースでは金属

針の不要な<針なしステープラー>をはじめ、オー

ル紙シリーズのファイル用品などを展示しました。�

関連情報� P46

Kハートが「第10回テレワーク推進賞」奨励賞を受賞�コクヨグループの特例子会社として障碍者雇用を担う

Kハートは、通勤困難な重度障碍の社員が、家具レイ

アウト設計を在宅勤務で実施していることが評価され

ました。�

ハートランドが「大阪府ハートフル企業大賞」を受賞�コクヨグループの特例子会社として障碍者雇用を担う

ハートランドは、障碍者

雇用の職域拡大のため

に農業に着目、知的障

碍者や精神障碍者の雇

用率が高いことなどが評

価されました。�大阪府橋下知事から賞状を授与�AGATA/D

AGATA/Dがドイツの「Universal DesignAward09」を受賞�オフィスチェアー<AGATA/D>は、複雑な操作を極力

少なくし、できるだけ多くの人に使いやすさと快適性を

提供する製品で

あると高く評価さ

れました。�

アルファペット�

4商品がキッズデザイン賞を受賞�コクヨS&Tの<学校プリント用ガバットファイル>、<コ

クヨのえほんワーククリエイトシリーズ『アルファペット』>、

コクヨファニチャーの学校

用家具<ミュートス・リズマ

ットシリーズ>、アクタスの

<えほんシリーズななめテー

ブル>が「第3回キッズデザ

イン賞」において商品デザ

イン部門賞を受賞しました。�

15分単位で利用できる時間貸し�レンタルスペース<DESK@>�

4商品、1サービスがグッドデザイン賞を受賞�コクヨファニチャーのオフィスチェアー<Avein>、

<FOSTER CARINO>、<AMOS>、<IRMA>と

コクヨオフィスシステム

のビジネスレンタルス

ペース<DESK@>が

2009年度グッドデザイ

ン賞を受賞しました。�

大阪中央公会堂前のケヤキ並木�

(財)黒田緑化事業団が大阪府、大阪市から感謝状�

「水都大阪2009」の中心となる中之島公園の

再整備事業として植栽を寄贈したことなどに対

し、大阪府、大阪市

から感謝状が送られ

ました。�

カウネットの「カウモール」が「楽天ショップ・オブ・イヤー2009」で新人賞�

カウネットの個人向けショッピングサイト「カウモー

ル」が、2008年12月以降に楽天市場に出店した

約7,000店の中から選ばれました。�

  http://www.kaumall.com/

@Tovasが「ASP・Saas・ICTアウトソーシングアワード2009」の総合グランプリ、「JAPAN SHOP SYSTEM AWARDS 2009」優秀賞を受賞�コクヨS&Tの企業向け情報トレーサビリティサービス

@Tovasは、国内でのライセンス

数やその伸び率、技術力の高さ

などに加え、社会や環境への貢

献度、セキュリティへの配慮など

が評価されました。�

  http://www.attovas.com/�

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Page 50: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

49 コクヨグループ CSR報告書 2010

 コクヨグループではCSR活動の行動指針であ

る「コクヨグループCSR憲章」の5つの項目(お客様、

地域社会、環境保全、企業活動、人権尊重)に関

連して発生した費用について、2004年度より「CSR

会計」として集計・公開しています。集計に際して

は1998年より集計している「環境会計」と同様に

差額コスト※1のみを計上するよう努めています。�

 CSR会計については以前より「集計精度の向上」

「集計方法の改善」「効果の算定」といった課題

を挙げていましたが、事業会社ごとの自主的な活

動の増加により各課題の改善はより重要性を増

してきました。�

 今後は単に結果としての数値を公表するだけで

なく、グループ経営における情報の一つとして活

用できるよう努力していきます。�

お客様�

コクヨの責任�

活動コスト�

活動コストの�主な内訳�

関連ページ�

地域社会� 環境保全� 企業活動� 人権尊重�

お客様の視点に立って「商品・サービス」を�提供すること�

豊かな地域社会を�創造すること�

地球環境問題解決の�ために努力すること� 公正な企業活動を行うこと�

企業活動の場面において�人権を尊重すること�

319,445千円� 28,389千円� 440,010千円� 154,922千円� 65,487千円�

お客様満足の向上�

261,619�

お客様情報の適切な管理�

1,622�

お客様の進化をリード�

47,557�

マネジメント体制構築�

8,647

社会貢献�

14,044�

地域社会活性化�

5,698�

マネジメント体制構築�

8,647

(単位:千円)�(単位:千円)�

公害防止�

67,945�

温暖化防止�

▲17,178�

省資源・リサイクル�

98,653�

エコプロダクツの調達・提供�

39,529�

環境技術の調査研究�

128,026�

環境コミュニケーション�

33,178�

マネジメント体制構築�

89,857�

(単位:千円)�

コンプライアンス維持�

15,017�

株主との対話�

75,400�

マネジメント体制構築�

64,505

(単位:千円)�

機会均等、人材育成�

35,224�

労働安全衛生�

12,970�

マネジメント体制構築�

17,293

(単位:千円)�

P37 P39 P23-36 P15-22、40 P41-46

※1 差額コスト…CSR目的以外のコストをできる限り控除したコスト。コクヨグループが意識してCSR活動に取り組みために追加的に発生したと判断されるコストのみを、通常コストの「差額コスト」として計上しています。�

CSR会計�資 料 編�

コクヨ(株)及び連結対象子会社19社�コクヨS&T、コクヨファニチャー、コクヨストアクリエーション、コクヨビジネスサービス、コクヨ工業滋賀、コクヨMVP、コクヨロジテム、コクヨサプライロジスティクス、コクヨオフィスシステム、コクヨマーケティング、コクヨエンジニアリング&テクノロジー、カウネット、コクヨ中国販売、コクヨ九州販売、コクヨインターナショナル、コクヨIK(タイランド)、コクヨマレーシア、コクヨベトナム、コクヨKハート��2009年1月1日~2009年12月31日��「コクヨグループCSR憲章」に定められた事項を実行するための費用を計上しています。費用は人件費、経費、減価償却費の合計。経費節減額、有価物収入は費用から差し引いて表示しています。「マネジメント体制構築コスト」は本社関連費用の概算値を按分しています。�なお、各項目の活動コストの算出精度は、経営資源配分の実際を映し出すには至っておりません。��環境省「環境会計ガイドライン2005年度版」�

集計対象�組織�

集計対象�期間�

算定方法�

参考�ガイドライン�

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Page 51: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

コクヨグループ CSR報告書 2010 50

 コクヨグループは、「地球温暖化防止」と「環境配慮商品の推進」を社会的な

責任を果たす上において最も重要な事項と考え、2009年度においては、2008年

度にオープンしたエコライブオフィス品川で新たに環境配慮商品の開発を行うなど、

本業を通じてのCSR活動の取り組みを拡大しています。今回のCSR報告書の構

成にあたっては、「低炭素社会の実現」をキーワードに検討されたことが編集方針

に記載されており、ステークホルダーの高い関心への配慮がうかがえます。�

 本年度は、前年度に国内及び海外の各事業所や関係会社における環境パフォ

ーマンス指標のデータ集計に関する内部統制の運用状況に改善の余地があるこ

とを指摘していましたので、これらの点にとくに重点を置いた保証手続を実施しました。�

 グループ内基幹システムの機能を強化したこともあり、前年度に散見されたエネ

ルギー使用量、廃棄物排出量・リサイクル量、水使用量・排水量などの各指標の

集計漏れは減少し、一定の改善が見られました。一方、二酸化炭素排出量の計

算にあたってグループで定めた算定方法と異なる排出係数を使用していたことや、

廃棄物の集計にあたってグループで定めた分類基準と異なる分類を実施してい

たことなど、サイト単位では集計誤りが散見されました。�

 これらの状況に関しては、必要な修正がなされたうえで適切に開示され、改善を

要する課題については、改善に向けた検討が始められています。なお、マテリアル

フロー項目の算定方法が一覧表で開示され、読者への理解の向上が図られてい

ますが、実際の算定にあたっては、グループとしてさらなる算定方法の統一の徹底

が望まれます。�

 最後に、2008年度に不正行為や独占禁止法違反行為があったことに続き、

2009年度は航空自衛隊備品入札に関して公正取引委員会の立ち入り検査があ

りました。コンプライアンスに関する記載にもあるとおり、グループ全体でコンプライ

アンス意識の向上と法令等の順守等を図ることで、今後さらに社会的責任を果た

していただきたいと考えます。�

 KPMGあずさサステナビリティ株式会社�

マネジャー 大野 芳隆�

コに差 第三者保証�

報告書�

保証業務の様子�

環境報告審査・登録マークは、当該「コクヨグループCSR報告書2010」に記載された環境情報の信頼性に関して、サステナビリティ情報審査協会(http://www.j-sus.org/)の定めた環境報告審査・登録マーク付与基準を満たしていることを示すものである。�

kokuyoCSR 10.3.13 8:13 ページ 51

Page 52: コクヨグループCSR報告書 2010コクヨグループ CSR報告書 2010 02ー 持続可能な社会の実現に幅広く寄与する企業を目指します。 コクヨ株式会社は、1905年、和帳の表紙を製造する「黒田

発 行�

お問い合わせ先�

コクヨビジネスサービス株式会社 広報部�TEL:06-6976-1277 FAX:06-6976-1253

コクヨ株式会社�〒537-8686 大阪市東成区大今里南6丁目1番1号�

Cert no. SGS-COC-004478

コクヨは2008年度から、ダイバーシティー推進に力を入れています。

表紙にはそれぞれの仕事に取り組む多様な社員の表情を写真で掲

載しています。また、表紙下部のラインは、同じく2008年度から取り

組んでいる「エコバツマーク」(環境配慮が足りない商品に表示す

るマーク)について、2009年の全自社ブランド商品に対する表示割

合を、ステーショナリー、ファニチャーの両商品群ごとに示しています。�

表紙について�

カラーユニバーサルデザイン ��色覚の個人差を問わず、多くの方に見やすい

表示を心がけました。モニターによる検証など

のチェックを経て、カラーユニバーサルデザイ

ン機構(CUDO)から認証を取得しています。�

印刷サービスのグリーン購入�グリーン購入ネットワーク(GPN)が定める「オ

フセット印刷サービス」発注ガイドラインに基づ

いて印刷サービスのグリーン購入に取り組ん

でいます。�

水無し印刷�水を使用せずに印刷する「水無し印刷」を採

用することで、揮発性溶剤を使用せず、刷版

工程における廃液も出ません。�

FSC認証用紙の使用��森林管理協議会(FSC)の基準に沿った、「適

切に管理された森林からの木材(認証材)」

を原料とした森林認証紙を使用しています。�

■用紙での配慮� ■印刷での配慮� ■色覚ユニバーサルデザインへの配慮�

「コクヨグループCSR報告書2009」が�「第13回環境コミュニケーション大賞」�環境報告書部門環境報告優秀賞を受賞�

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2010-040

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