エレキベース初心者からの弾き方ガイド1-21...

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1-21 エレキベース初心者からの弾き方ガイド エレキベースは、ギターやボーカルに比べると地味だと思われがちですが 実際はそんなことはありません。 ベースは、バンドの低音を支える屋台骨となる大事なパートです。 さらにスケールを憶えれば、ソロを弾くことも夢ではありません。 チョッパーやスラップのテクニックを憶えれば、一気にステージの主役になることでしょう。 そんなエレキベースを始めてみたい。 けれども、最初はどうすればよいのかわからない。 そのとっかかりが分からずに諦めてしまう人もいるかもしれません。 そんな人たちのために、初めて使うエレキベースの選び方や種類、値段など まず最初にベースを手に入れるための知識からお教えします。 また、弾き方の基礎はもとより、構え方やネックの握り方など、 基本的すぎてあまり教えてもらえることの少ないちょっとした盲点まで説明していきます。 さらには、アンプを使った音作りや、メンテナンスのほか より自分の理想に近い形にするための改造法など、一歩進んだ内容についてもお話していきます。 バンドのグルーブ感は、ベースが作り出すものです。 縁の下の力持ちのように低音とリズムを支え、 ちょっとしたラインどりでリズムとグルーブを作り出したり、派手なソロを弾くことも可能です。 そんな奥深いエレキベースの世界を、是非とも体験してみてください。 SUWA MUSIC POWERS

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Page 1: エレキベース初心者からの弾き方ガイド1-21 エレキベース初心者からの弾き方ガイド エレキベースは、ギターやボーカルに比べると地味だと思われがちですが

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エレキベース初心者からの弾き方ガイド

エレキベースは、ギターやボーカルに比べると地味だと思われがちですが

実際はそんなことはありません。

ベースは、バンドの低音を支える屋台骨となる大事なパートです。

さらにスケールを憶えれば、ソロを弾くことも夢ではありません。

チョッパーやスラップのテクニックを憶えれば、一気にステージの主役になることでしょう。

そんなエレキベースを始めてみたい。

けれども、最初はどうすればよいのかわからない。

そのとっかかりが分からずに諦めてしまう人もいるかもしれません。

そんな人たちのために、初めて使うエレキベースの選び方や種類、値段など

まず最初にベースを手に入れるための知識からお教えします。

また、弾き方の基礎はもとより、構え方やネックの握り方など、

基本的すぎてあまり教えてもらえることの少ないちょっとした盲点まで説明していきます。

さらには、アンプを使った音作りや、メンテナンスのほか

より自分の理想に近い形にするための改造法など、一歩進んだ内容についてもお話していきます。

バンドのグルーブ感は、ベースが作り出すものです。

縁の下の力持ちのように低音とリズムを支え、

ちょっとしたラインどりでリズムとグルーブを作り出したり、派手なソロを弾くことも可能です。

そんな奥深いエレキベースの世界を、是非とも体験してみてください。

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◆選び方◆

「これからエレキベースを始めよう」という人が最初にぶつかる問題が、ベース選びの基準ですね。いざ「エレキ

ベースを買おう」と思っても、一体どんな種類 のものを買えば良いのか、選び方が分からない。そんな初心者の方

は多いと思います。この項では、そんな人たちの悩みを解決するために、初心者におすすめの エレキベースの選

び方を紹介していきます。

種類

「これからエレキベースを始めたい」と思う人は当然「まずはエレキベースを手に入れよう」と考えるでしょう。

だけれども、いざエレキベースを買おうと思っても、一体どんな種類のものを選べば良いのか分からない。

そんな人は多いと思います。

ここでは、そんな人たちの悩みを解決するために初心者におすすめのエレキベースを紹介していきましょう。

まず最初にエレキベースには、様々な種類があります。そのいくつかを大まかに分類したものを紹介しましょう。

上の図にあるのは、最もスタンダードなタイプです。フェンダー社のプレシジョンベースやジャズベースなどが代表

的な形です。大多数の人が、エレキベースというとこのような形を思い浮かべるでしょう。

演奏性も優れていますので、初心者でも無理なく扱えます。まずはこの形からスタートすれば間違いはないでしょ

う。

こちらはアイバニーズやワーウィックなど、伝統的な形にとらわれない革新的なメーカーに多い、モダンなタイプの

エレキベースです。ハードウェアやピックアップなどに、新しい技術を用いていることが多いです。またボディーが小

さめで、ネックも薄くて握り易い物が多いのも特徴です。非常に弾きやすいので、初心者でも安心して扱えます。

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標準のエレキベースは、弦の長さが 860mm となっていますが、それよりも短い 820mm 前後という「ショートスケー

ル」という種類があります。

図はムスタング・タイプと呼ばれる種類で、短め・細めのネックシェイプと、小ぶりなボディーが特徴です。

体格の小さい女性や、手の小さい人にはこういった種類もおすすめです。

ベース弦は、必ずしも 4本だとは限りません。

図のように、5~6本の弦を持つ「多弦ベース」という種類もあります。

ただしこれは、上級モデルとなります。ほとんどの初心者用教本などは、4弦ベースを基準に説明されています。

そういったことからも、初心者にはあまりおすすめできません。

「どうしても普通のベースよりも低い音が弾きたい」というときだけこの種類のベースを選ぶようにしましょう。

ベースの外見から大まかに分けるとこれらの形があります。その他にも「フレットレスベース」など、様々な形があり

ますが、総じて上級者向けとなる場合が多いです。

最初の一台で失敗したくない場合は、スタンダードな形に近い種類のベースをおすすめします。

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ジャズベースとプレシジョンベース

スタンダードなエレキベースのなかで、最も普及しているのが「ジャズベース」と「プレシジョンベース」です。

ほとんどの人が、エレキベースと言うとこのどちらかの形を思い浮かべるでしょう。

「ジャズベース」と「プレシジョンベース」という名前を知っていても具体的にどこが違うのかはわからない人も多い

でしょう。

今回は、エレキベースの代名詞とも言えるこの2つのベースについてより詳しく説明していきましょう。

まず、図の上側にあるのが「ジャズベース」です。下側が「プレシジョンベース」です。

どちらも、アメリカのフェンダー社がオリジナルを作りました。

「ジャズベース」はエレキベースの基本中の基本だと考えて良いでしょう。どんなジャンルの楽曲にも対応すること

ができます。ボディに入ったコンター加工(えぐりこみ)など、弾きやすさも考えられています。

ピックアップは、ネック側とブリッジ側の 2箇所にあります。これによって、多彩な音を作ることができます。

ネックも、プレシジョンベースに比べると細いシェイプが多いです。

それらの点からも、初心者でも扱い易いモデルだと言えます。

「プレシジョンベース」は、フェンダー社が作った世界で最初のエレキベースだと言われています。

最初期のプレシジョンベースは、ピックガードとヘッドの形状が異なります。

しかしそれ以外の部分では、大きな変更はありません。

ジャズベースに比べると、より太い低音が特徴です。

また、このベースを弾く人はピック弾きを好む人が多いです。

イメージ先行の例もありますが、ボディの形状と出てくる音からピック弾きに向いていると思う人が多いのでしょう。

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ジャズベース同様、プレシジョンベースも多用なジャンルに対応できますがロックやパンクなどで活躍している人が

使用するイメージが強いです。

ジャズベースに比べるとネックが若干太いので手の小さい人には少し不利かもしれません。

また、ピックアップがブリッジ側にしかないので、音作りの幅が狭いです。モデルによっては、ネック側にもピック

アップが乗っているものもあります。

プレシジョンベースを選ぶときはできるだけ2ヶ所にピックアップがあるモデルを選んだほうが無難です。

このように、それぞれのモデルには個性があります。

どちらの方が自分の求める音が出せるのか、より演奏し易いかなどそれぞれの好みに合わせて選択しましょう。

また、外観はここに紹介したものとほぼ同じでもメーカーやモデルによって、それぞれ少しずつ異なる点もあります。

実際に買う前に、一度試奏してみることを強くおすすめします。

◆弾き方◆

この項では、実際にエレキベースを演奏するために一番の基礎となる部分を説明していきます。最低限知っておく

べきエレキベースの各部名称やパーツの名前。 簡単な楽譜の読み方とタブ譜の読み方について。ピックや指を

使った弾き方。少しだけ上級向けの、スラップベースの弾き方やアドリブなどにも使えるスケール の初歩について

も簡単に分かり易く説明します。

基礎からはじめる

これまでの説明で、無事にエレキベースを選ぶことができたでしょうか?お気に入りの一台が手に入ったら、あと

は実際に弾くだけですね。ここからは、実際にエレキベースを演奏するための基礎を説明します。

まずは、一番の基礎となる部分です。最低限知っておくべきエレキベースの各部名称を説明します。

これが分からなければ後の説明も理解できません。細かいことはさておき、名前と役割は憶えておきましょう。

下の図を参考にして、ひとつずつ説明してきます。

まず、エレキベースは「ヘッド」「ネック」「ボディ」の3つに分かれています。

「ヘッド」にあるのは、「ペグ」と「トラスロッド」です。

「ペグ」は、弦を巻きつける部分です。横に出ているつまみを回して、チューニングをあわせます。

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「トラスロッド」は、ネックの反りを調整するものです。普段は使わないので、カバーが付いているものもあります。

またロッドを回す部分は、ヘッドではなくネックの付け根にある場合もあります。

ヘッドに直接繋がっているのが「ネック」です。ネックには「ナット」と「フレット」がついています。

「ナット」は、各弦を固定するのと同時に 0 フレット(開放弦)の役割もあります。弦を「フレット」に押さえつけることで、

任意の音を出すことができます。フレットの間には「ボジションマーク」があり、指を置く場所の目安になります。

「ボディ」には様々な部品が乗っています「ピックアップ」で弾いた弦の音をひろいます。マイクのようなものだと考え

れば良いでしょう。

「ブリッジ」では弦を固定します。オクターブチューニングや、弦高の調整もブリッジで行います。

ボディ下側にあるコントロール類で、ボリュームやトーンの調整をします。1ボリューム2トーンの場合や、2ボリュー

ム3トーンなどモデルによって配置はさまざまです。

ピックアップが2つある場合は、MIX具合をバランサーで調節します。スイッチ式で選択するモデルもあります。

「ピックガード」は、演奏時にボディに傷がつくのを防いだり各種パーツを固定するために使用されます。

ボディの先端と尻尾の部分には「ストラップ・ピン」があります。ここにストラップを通すことで、立って演奏することが

できます。

「ジャック」にシールド・ケーブルを挿して、アンプと繋ぎます。ジャックは、モデルによってボディ下部にある場合も

あります。

他にも、モデルによって細々とした部品はあります。ひとまずは、今回説明した基礎的なものだけ分かっていれば

良いでしょう。では、次回からはいよいよ実際にエレキベースに触れていきましょう。

弾き方の基本

それでは、いよいよ実際にエレキベースを手にとってみましょう。

まずは、エレキベースの一番の基本であるピッキングのについて説明します。

エレキベースのピッキングは、大きく分けて「ピック弾き」「指弾き」「スラッピング」

の 3 種類の弾き方があります。

今回は、基本的なピックと指を使った弾き方について説明します。

まず、ピックの持ち方です。

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写真にあるように、人差し指を自然な形で軽く曲げます。

表から、その人差し指と十字になるように親指を添えます。

ベースの場合、ピックの先端は 5mm~8mm程度出るようにします。

次は、指で弾く場合です。

写真は、指弾きの基本である「ツーフィンガー」でのピッキングです。

親指をピックアップの端やフィンガーレストに乗せて固定します。

弦に触れてミュートを行いながら固定すると、一石二鳥です。

人挿し指と中指を使って、指の腹で弦を弾きます。

手のひらから力を抜いて、軽く丸めて空間ができるようにします。

ピック弾きは、輪郭がはっきりした固めの音がでます。

16 分音符など、スピードのあるフレーズにも向いています。

指弾きは、柔らかくて丸みのある、ベースらしい音が出ます。

どちらが優れているというわけではなく、それぞれに良さがあります。

最初はどちらか一方の弾き方に特化して練習しても良いでしょう。

最終的には、どちらでも同じように演奏できるようになるのが理想です。

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楽譜を読んでみよう

皆さんが手にするバンドの楽譜には、5線譜の下にタブ譜というものがあります。

簡単な記号で書くことで、ドレミの音符が読めなくても

すぐに演奏ができるようになっています。

とは言っても、楽譜を読むための基本的な約束事は覚えておく必要があります。

今回は、楽譜を読むために最低限知っておくべき事柄を説明します。

最初は、楽譜でも一番先頭に書かれている音部記号(クレフ)です。

ト音記号とヘ音記号の2つがあります。

ベースのパートには、普通右側のヘ音記号が使われます。

クレフの横にあるのが、♭(フラット)や♯(シャープ)などの調合です。

♭がついている線上の音は全て半音下げて演奏します。

♯は逆に半音上げます。

♭や♯の調合が2個や3個以上ある場合もあります。

楽譜の途中にある場合は、臨時記号と言います。

その場合は、その小節内でのみ有効となります。

タブ譜をメインで見る場合は、必要の無い記号ですが

この機会に憶えておきましょう。

クレフの横には、もうひとつ記号がります。

これは、拍子(ビート)を表しています。

読んでそのまま、4分の 4や、8 分の 3 などの拍子が分数で表示されます。

4分の 4拍子の時は、省略記号として"C"の文字で表されてことが多いです。

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楽譜を読む上で重要なのが、音符と休符の長さです。

上の図が、それぞれの長さの説明です。

おたまじゃくしに棒のついていない『全音符』はひと小節分伸ばします。

4分の 4拍子なら、4拍分です。

4分音符が一拍分となります。

この音符を基準に長さを考えると分かり易いでしょう。

一番下の繰り返し例は、

A-B-C-D-A-B-E-F-B-G の順で演奏します。

ひとまずこれらの約束事が理解できれば、バンドの楽譜を読むことは可能です。

楽譜には、この他にも細かい記号はたくさんあります。

それらについては、折に触れて説明していきましょう。

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タブ譜(TAB譜)の読み方

エレキベースや、エレキギターの楽譜を見ると

5線譜の下に「TAB」と書かれたものがあります。

これは「タブラチュア」と言うものです。

一般には略して「TAB譜(タブ譜)」と呼ばれます。

タブ譜は、簡単な記号で表記されています。

これによって、音符が読めなくても弦楽器が演奏できるようになっています。

将来的には、しっかりと音符が読めることになるのが理想です。

しかし、その前にタブ譜さえあれば、楽曲を演奏することができます。

まずは、好きな曲を楽しく始めることができれば、上達も早いですよね。

TAB譜は、横の線がベースの各弦に対応しています。

上から 1 弦~4弦という配置になります。

その上に書いてある数字が、おさえるフレットになります。

各音を弾く長さは、数字の上にある棒や、丸の囲みで判断します。

長さの表示は、前に説明した音符の長さと同じです。

このように、タブ譜があれば簡単に楽譜を読むことができます。

まずは、いろいろな楽曲をコピーして、どんどん演奏技術を向上させましょう。

ある程度慣れてきたら、5線譜の音符の方も見るようにしましょう。

タブ譜はあくまでも補助的なものとして、音符でメロディーを憶えるのが理想です。

そうやっているうちに、最終的に音符を見るだけで

おさえるべきフレットが頭に浮かんでくる状態が理想です。

もちろんそうなるまでには多くの時間が必要になります。

あわてずに、少しずつ進めていけば良いのです。

まずはタブ譜を使って、好きな音楽を楽しく練習しましょう。

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練習法

楽譜の読み方とピッキングのやり方が分かったら、早速練習を始めましょう。

まずは、開放弦を使ってピッキングする練習法です。

エレキベースの練習時には、できるだけメトロノームを使いましょう。

ベース奏者に最も求められるのは、リズムの正確性です。

普段からメトロノームを使い、リズム感も同時に鍛えるのが効率の良い練習法です。

始めは、ゆっくりめのテンポで始めます。

慣れてきたら少しずつテンポを速くしてみましょう。

もっと慣れてきたら、すごくゆっくりのテンポを弾いてみましょう。

実は、正確なリズムをキープするという点では、ゆっくりと弾く方が難しいのです。

ある程度リズムに乗ってピッキングできるようになったら、

今度は上の楽譜のように、少しリズムに変化をつけてみましょう。

これもいろいろとテンポを変えて楽しんでみましょう。

開放弦が弾けるようになったら、今度はメロディーを弾いてみましょう。

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左手の押さえ方は写真のとおりです。

手首を前の方に出して、やわらかく指を立てるように押さえます。

指をピーンと伸ばしてしまうと、スムーズに動かすことができなくなります。

変な癖がついてしまわないように、最初は意識して自然にやわらかく

フレットを押さえるようにしましょう。

また写真では、人差し指は少し寝かせ気味になっているのが分かると思います。

人差し指の、フレットを押さえない部分で隣の弦に触れることによって

弦ミュートを行っています。

最初のうちは、指がつりそうになるほど辛いと思います。

まずは、無理せずに、徐々にしっかりとミュートできるようになりましょう。

これを踏まえて、次回はメロディー弾きに挑戦です!!

ドレミ・・・を弾いてみよう

エレキベースの基本的な構え方が分かったところで、

ここからは、いよいよ実際に弾いていきましょう。

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前記の楽譜は、一番単純なメロディーの「ドレミファソラシド」です。

簡単な楽譜の読み方については、これまでに説明しましたね。

これをピックでも指弾きでも、どちらでも好きな方で弾いてみましょう。

楽譜の下に書いてある「人」や「薬」などの文字は

どの指でフレットを押さえるべきかという指示です。

と言っても、絶対にこの通りに押さえる必要はありません。

あくまでも参考程度に、自分の押さえやすい形で弾きましょう。

エレキベースは、ギターに比べるとフレットの間隔が広いです。

最初は上手く指が広がらないかもしれません。

こつこつと練習と指間接の柔軟体操を続けて、

スムーズに「ドレミファソラシド」が弾けるようになりましょう。

今回挑戦する楽譜は、単純な「ドレミファソラシド」です。

上の演奏令のように、メトロノームを使用して練習をすると

リズム感も同時に養うことができて効率的です。

ある程度慣れてきたら、テンポを上げてみても良いでしょう。

同じ内容でも少しずつニュアンスを変えて演奏しても良いでしょう。

楽譜はひとつでも、練習のやり方はいくつもあり、自由です。

いろいろと試してみましょう。

上達法

どんな楽器においてもそうですが、楽して簡単に手っ取り早く上達する方法なんてものはありません。

しかし、ただ闇雲に努力すれば良いということでもありません。

効率よく、確実に身になる練習を続ければ余計な時間をかけずに上達することができます。

最短距離で上手くなるための上達法は、

最初にきちんとしたフォームを身につけることです。

間違ったフォームで慣れてしまうと、スムーズに弾けなかったり

矯正に余計な時間がかかってしまいます。

ピックの弾き方や、フレットの押さえ方などは以前に紹介しましたね。

その他に意外とおろそかになりがちなのがネックの握り方とベースを持つ位置の高さです。

ネックの握り方は2種類あります。

ひとつめが、親指をネックの裏に添える形です。

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エレキベースでは、こちらの形で握る場合が多いです。

親指を支点にして、他の指とネックを挟み込むようにします。

4本の指が広げやすく、動かしやすい握り方です。

ストラップを長くして、ベースの位置を下げると、少し弾きにくくなります。

もうひとつが、親指を 4弦側から出して、ネックを握りこむ形です。

ベースではあまりしませんが、チョーキングをするときに力が入れやすいです。

手のひら全体でネックを軽く握りこみ、

手のひらと指で指板を挟み込むようにしてフレットをおさえます。

この握りだと、4弦のミュートがやりやすいです。

また、ベースを低く構えてもしっかりと握れます。

弦ミュートがやりにくいピック弾きと併用されることが多いです。

どちらの握り方が良い、ということではありません。

状況に合わせて弾きやすい方を使えるようにすることが、上達への近道です。

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エレキベースを立って弾くときは、構えるベースの位置が重要になります。

下の図の一番左が標準的な高さです。

ベースの中心線がおへその位置になるように構えます。

ピックで弾いたり、パンクやヘヴィ系の音楽を演奏する時には

もっと大胆に下げることもあります。

当然、下げすぎると弾きにくくなってしまいます。

逆に、ジャズやテクニカルな演奏では、もっと高くすることもあります。

しかし、高くすれば弾きやすくなるかというと、そうでもありません。

位置が高すぎると、上半身が窮屈になり、逆に弾き辛くなってしまうこともあります。

ベースを弾くときの見た目も大事ですが、

それよりも、自分が一番弾きやすいポジション見つけることが重要です。

また、一度決めた位置でも、ベースを弾く技術の向上や演奏する楽曲によって

最適な位置は変化することもあります。

おりに触れて構えるポジションをいろいろと試してみるようにしましょう。

ひとつのことに拘らず、常に最適の状態を求めて試行錯誤するのも

上達法の一つです。

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スラップベース

エレキベースを始める人の多くが憧れるのが、スラップベースですね。

おそらくこの文章を読んでいる人も、

いつかはスラップベースに挑戦したいと思っているでしょう。

実際にスラップが弾けるようになるには、まだまだ長い時間が必要になるでしょう。

それでも、弾き方くらいは分かっていても損はありません。

ひと昔前までは"チョッパー奏法"とも呼ばれていたスラップベースには

"サムピング"と"プル"の2つの動きがあります。

サムピングの構え方の基本はまず、

右手で「バキューン」とピストルを打つような真似をします。

人差し指は、実際に弾くときは引っ込めますが、

その人差し指を軸にして、やわらかく手首を回転させます。

その上で、親指の一番硬い部分を弦に叩きつけます。

叩く位置は、指板の 12 フレット以降と言われていますが、

叩く位置によって、出てくる音も違ってきます。

いろいろと試して、自分が一番弾き易くて好きな音が出るポイントを見つけましょう。

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スラッピング時は、右手でミュートをすることが難しくなります。

左手でしっかりと弦ミュートができるようにしなければいけません。

まずは開放弦を使って、的確にヒットできるように練習しましょう。

次は、スラッピングのもうひとつの動き"プル"です。

サムピング時に軽く握った状態の人差し指をつかって

弦を引っ張り上げる奏法です。

サムピングを戻すときの回転力を使って、弦を引っ張ります。

あまり深く指をもぐらせると、引っかかってしまいます

自然に軽い動きでできるようになりましょう。

サムピングは3、4弦。プルは1、2弦を行うのが一般的です。

2つの動きを組み合わせて、オクターブなどを演奏するのが

スラッピング・フレーズの常套手段だと覚えて起きましょう。

まずは、開放弦を使った練習から始めましょう。

最初は、サムピングの開放弦だけ、プルの開放弦だけと

分けて練習した方がやり易いでしょう。

慣れてきたら、その両方を組み合わせたフレーズも弾いてみましょう。

ある程度弾けるようになったら、メトロノームを一緒に使って

スラッピングでもしっかりとリズムキープができるようにしましょう。

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コード

今回は、楽器を演奏する上で避けては通れない「コード」についてです。

と言っても、詳しく説明するとなると、それだけで何ヶ月もかかってしまいますし

あまり最初から理論ばかり学習しても楽しくありませんね。

そこで今回は、コードの初歩的な部分にとどめておきましょう。

勉強は、もう少しベースが弾けるようになってからでも遅くはありません。

慌てずに、楽しいことから始めればよいのです。

まずはコードの読み方を知っておきましょう。

一般的にコードは上の図のように書かれています。

一番大きな文字で書かれているのが、コードの音名です。これを「ルート音」とも言います。

その後ろに"m"の文字が付いている場合は、そのコードが、マイナー・コードだということを表しています。

音名の後ろに、7や9など、いろいろと書いてある数字は、コードの構成音に付け足すテンション・ノートです。

まだ始めたばかりの初心者のうちは「そういうものがある」と頭に入れておく程度で良いでしょう。

この中で、ベーシストが一番注目すべき部分は音名です。

この音名がすなわち、ルート音となります。ルート音は、コードの一番低い音。土台となる音です。

ベースは、バンドの低音を支える楽器です。基本的に「ルート音さえおさえておけば問題ない」と言っても過言では

ありません。

現に、プロのバンドが作る楽曲でも、ベースはルート音だけ、という曲はたくさんあります。

ルート音を追うだけであれば、メジャーもマイナーも、テンション・ノートも関係ありません。

始めて見た楽譜でも、コードだけ見て音名(ルート音)だけ拾って演奏することも可能です。

バンド内には、ギターやキーボードなどもいますよね。その他のコードを構成する音や高音部は、他の楽器が担当

してくれます。たとえば次のようなコード進行を演奏してみましょう。

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ルート音だけでも、リズムを少し工夫するだけで

抜群のノリを作り出すことだってできます。

まずはコードを見て、ルート音でグルーブを作ることから始めると

スムーズにベースラインを作ることができます。

次回はコードにからめて、ベースラインにもう少しだけ動きをつける

ごく簡単な「スケール」について説明します。

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スケール

ある程度ベースが弾けるようになると「ルート音だけではつまらない」と感じることもあるでしょう。

本当は低音をしっかりリズムキープすることが最も重要なのですがアドリブを入れたり、ベースラインを工夫するこ

とでより豊かなグルーブ感を作り出すことができます。

そこで必要になってくるのが"スケール"の知識です。

"スケール"の詳しい説明は、ここではまだ知らないでも良いでしょう。

とにかくこのスケールを使えば、アドリブなども簡単に弾けるようになります。

スケールと言っても、コードごとにたくさんの種類があります。

いきなりそれら全てを憶えることは不可能です。

そこで今回は、コードを構成する基本的な3つの音ルート、3rd、5thの音だけを使ったスケールを紹介します。

まずは、下の図を見てください。Cメジャーのコードスケールです。

ルートから3rd、5thを経由して、1オクターブ上のルートに繋がります。

このスケール上の音をどのように組み合わせても、フレーズとして成立します。

さらに、ルートの位置を基準にして、フレット上を横に移動するだけで他のコード・スケールとして使用することがで

きます。

例えば、3弦2フレットから始まるCメジャーのスケールを横に2フレット移動して4フレットから始めれば、Dメジャー

のスケールになります。

前回覚えた、3弦、4弦上のルート音の場所に移動すれば良いわけです。

今回のスケールは、基本の構成音だけを使用していますのでメジャー系のコードを使用するほぼ全ての場面で使

うことができます。

もちろん、本格的にやるのであれば、もっと細かい約束事や追加で必要な音などもありますが、それはもっと後に

なってかれで良いでしょう。

まずはこの3音だけ憶えて、自由にラインを上下する感覚を楽しみましょう。

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次は、マイナー系のスケールです。

メジャースケールの3rd音が半音(1フレット)下がっただけですね。

これならば憶えるのも簡単だと思います。

これも、マイナー系のスケール上で自由に使うことができます。

何度も言いますが、ベースの基本はルート音です。

これを忘れて構成してしまうと、他のバンドメンバーからあからさまに嫌な顔をされてしまうので気をつけましょう。

この3音のスケールに慣れてきたら、もう少し複雑なスケールに挑戦しても良いでしょう。

それをマスターしてしまえば、アドリブ・ベース・ソロも夢ではありません。

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