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ミャンマー自動車産業の政策と展望 ~ラストフロンティアの夜明け 鹿児島県立短期大学 講師 山本 20135

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Page 1: ミャンマー自動車産業の政策と展望 ~ラストフロン …shioji/resource/Yamamoto.pdf目次 • はじめに~ミャンマーとアセアン自動車市場 • ミャンマーの自動車政策

ミャンマー自動車産業の政策と展望

~ラストフロンティアの夜明け

鹿児島県立短期大学講師 山本 肇

2013年5月

Page 2: ミャンマー自動車産業の政策と展望 ~ラストフロン …shioji/resource/Yamamoto.pdf目次 • はじめに~ミャンマーとアセアン自動車市場 • ミャンマーの自動車政策

目次

• はじめに~ミャンマーとアセアン自動車市場

• ミャンマーの自動車政策

• 今後の自動車産業の展望

• まとめ~課題

2

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3

CLMの自動車市場概要(2012)

5

110

0

50

100

150

千台

生産 販売

ミャンマー

人口 :5913万人一人当たりGDP :702ドル一般ワーカー賃金 :53USドル/月

カンボジア

29

0

50

100

150

千台

生産 販売

人口 :626万人一人当たりGDP :984ドル一般ワーカー賃金 :132USドル/月

34

0

50

100

150

千台

生産 販売

ラオス

ミャンマーで、保有台数が千人当たり7台と、普及水準はアジアで最低水準。

CLM市場は日本、韓国から輸入された中古車主体であるが、将来的には中古車輸入規制が強化され、周辺国からのCBUが増える可能性あり

注:販売の大半は日本を中心とした中古車輸入

人口 :1340万人一人当たりGDP :814ドル一般ワーカー賃金 :74USドル/月

出所:経済統計はJETRO資料、自動車統計はAMEICC自動車WG資料等

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1,066 1,116

0

1,000

2,000

3,000

千台

生産 販売

2,454

1,436

0

1,000

2,000

3,000

千台

生産 販売

4Source: ASEAN Automotive Federation

タイ

マレーシア

74 80

0

500

1,000

千台

生産 販売

ベトナム

75157

0

500

1,000

千台

生産 販売

フィリピン

主要アセアン諸国の自動車市場(2012)

570 628

0

1,000

2,000

3,000

千台

生産 販売

インドネシア

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ミャンマーの自動車市場の構造

国内生産車

新車輸入

中古車輸入

(2012年:11万台)

乗用車は個人のみ輸入可、商用のみ輸入・販売可

国営会社と民間会社のKD組立

日本からの輸入約9割(うちトヨタ7割)

自動車保有台数:25~30万台(1000人に5台)

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マレーシアは、1世帯(四人)当たりに1台普及し、成熟段階。タイは10人当たり一台でそれに続く。

インドネシアは、20人当たりに1台普及し、今後数年以内に本格的なモータリゼーションが開始するが、ベトナム、ミャンマー等のASEAN後発国は2020年以降。

アセアン諸国の自動車普及密度(1台保有当たりの人数)

6

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

220

240

260

280

300

2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000

自動

車普

及密度(

X人に

1台普及

)

一人当たりGDP(US $, 購買力平価ベース)

Vietnam

Thailand

Malaysia

Taiwan

Indonesia

India

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目次

• はじめに~ミャンマーとアセアン自動車市場

• ミャンマーの自動車政策

• 今後の自動車産業の展望

• まとめ~課題

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Page 8: ミャンマー自動車産業の政策と展望 ~ラストフロン …shioji/resource/Yamamoto.pdf目次 • はじめに~ミャンマーとアセアン自動車市場 • ミャンマーの自動車政策

1988年以前:社会主義化の統制経済と輸入代替

日緬戦後賠償での技術移転により商用車を中心に国産化の試み

1988~98年:市場開放の試み

外資開放政策により完成車輸入の一部自由化

1998~2011年9月:経済危機と規制強化

外貨不足の顕在化により、完成車輸入を厳しく制限

2011年9月~:経済開放と完成車輸入の解禁

個人による中古車輸入の解禁とスクラップインセンティブ

ミャンマーの自動車政策

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1988年以前:社会主義化の統制経済と輸入代替

• 1962年に始まった対ミャンマー戦後賠償の一環として、工業省傘下企業MYANMARAutomobile and Diesel Engine Industries(MADI)」が設立され、日野トラック、マツダの自動車の技術供与を受け生産

• 当時の自動車製造会社は国有会社(日野とマツダからの技術提携)のみ。• 古い型や設備を日本からもってきて、プレス、鋳造から鍛造まで現地化し、「部品の80%は国産化を達成」(工業省側の説明)

日野プロジェクト マツダプロジェクト

時期 1962~1988 1973~1988

生産車種 商用トラック(TH10型ベース)、バス

ジープ型トラックとR360ベースの小型トラック

経緯 日野が1950年に開発したTH10型ベースのトラックのKD部品を供給し、MADIで生産。

B360国内販売終了後の1973年にマツダの生産設備の委譲を受け、B360/K360の現地生産に着手

出所:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%BBB360#.E3.83.9F.E3.83.A3.E3.83.B3.E3.83.9E.E3.83.BC.E3.81.A7.E3.81.AE.E7.8F.BE.E5.9C.B0.E7.94.9F.E7.94.A3等

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1988~98年:市場開放の試み

• 1988年以降、海外の技術提携が終了、KD部品の輸入も停止され、MADIでのトラック、バス、乗用車の製造中止。

• 1988年の選挙・軍政移行後、軍事政権は市場開放を試み、新車の輸入を一部自由化

• 個人使用、販売のための完成車輸入可。

• 但し、2000㏄以上の乗用車は輸入不可(1991年11月以降) 。

• 右ハンドル車輸入:1993年4月より左ハンドル車のみ輸入可、1996年5月に再び右ハンドル車は輸入可(但し、下記のように車齢に制限)

Bus, Trucks, Construction Vehicles -7 years lifePick-up, Taxi, Mini-bus -5 years lifePassenger saloons, vans -3 years life

• 中古車輸入大手のSakura Autoは当時300~400台/月輸入

• 製造については、ミャンマー工業省との合弁ないしミャンマー民間資本のみ認可。

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1998~2011年9月:経済危機と輸入規制強化

• 完成車輸入は厳しく制限され、1999年4月以降はTC(Trade Policy Council)の許可を得た車以外の輸入禁止。

• 国軍系企業のUMT Economic Holding Company Limitedが独占的に完成車を輸入販売し、Crown、Mark2を20万~30万ドルの超高値で供給

• 完成車輸入量は激減し、2000~2011年まで年間1000/台で推移。

• TC許可の対象車種商業省が認定した特定プロジェクト向け、投資委員会(MIC)からの承認を受けた車建設プロジェクト向け商用車や特殊車両の輸入トラック、ダンプトラック、クレーン等の民間企業の輸入

• 2008年以降、商用車の輸入を一部自由化2008年11月:6トン以上のトラックの輸入許可2009年12月:トラック、バスの新車は左ハンドルのみ輸入可

トラックやプロジェクト向けの特殊車の輸入は関連省庁の承認不要。

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1998~2011年9月:外資との合弁で自動車生産の試み

• 軍事政権は、開放政策の一環として自動車製造での外資(スズキ、中国、インド)との合弁・技術提携を促進。

• 1998年、第二工業省傘下のMADI社とスズキ、豊田通商との合弁で、Myanmar SuzukiMotor社を設立し、1999年からワゴンRとキャリーの生産開始。

• 製造会社に対して、外貨割当てが厳しく、許可された台数分のKD部品を輸入、組立・供給するものの、2010年に製造停止、会社解散。

• この他に、印タタが2009年3月にMagweで大型トラック工場建設に合意したが、生産開始は2011年に大幅に遅れる。

Myanmar Suzuki Motor

出資 スズキ(途中、豊田通商から株買取)70%、第二工業省(途中、ミャンマー民間資本SPAから株買収)30%

生産時期 1999~2010年5月(10年間の契約)

生産車種 四輪(キャリー、ワゴンR)、二輪

生産台数(累計) 四輪 6000台、二輪 1万1千台

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2011年9月~:経済開放と完成車輸入の解禁

• 2011年9月、政府はスクラップポリシーを発表し、中古車の完成車輸入を解禁。(20年以上の中古車をスクラップすると、1996年以降登録の中古車の個人での輸入可)• 2000㏄以下の乗用車の輸入登録税の引き下げで、小型車の輸入促進。• 2012年5月、2007年以降登録の車であれば、個人での完成車輸入可• 右ハンドル輸入も認められ、人気の高い日本の中古車の輸入急増(輸入車の9割日本製)。

1st Driver: Small Car and Eco Car

Policy

3rd Driver : Market Integration of ASEAN and FTA

2nd Driver: Stricter Energy and Fuel

Regulation

ミャンマーの中古車輸入解禁の背景

経済自由化・外資開放政策の推進、完成車輸入利権にメス

2016年の総選挙にむけての人気取り政策

2014年のアセアン議長国に向けて街の景観・交通・環境の改善

1.新しい中古車への代替え促進と販売増 20~40年の「超中古車」が15年以内以下の「新中古車」にとって替わる2.新規保有、増車促進による保有・販売増 個人での完成車輸入自由化、輸入登録税を引き下げで、輸入拡大3.中古車流通業者等の自動車ビジネスの発展:一時、200社以上の輸入業者参入

自動車市場への影響

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No. 時期 輸入許可の措置

1 2011年9月19日登録から20~40年の中古車をスクラップした車保有者に対して、1996~2007年販売モデルの中古車の輸入を許可。但し、FOB価格は5000ドル以下。

2 2011年9月29日ミャンマーの銀行に10万米ドルの預金のある会社(ミャンマー100%資本)に対して、自動車販売センターの開設、一回の輸入につき50台まで輸入を許可。車齢は2007年以上。

3 2011年11月29日

外貨を稼ぎ、ミャンマーに口座をもつ会社(ミャンマー100%資本)ないし個人に対して、完成車輸入を許可。輸出-輸入グループ、ホテルとツア―会社、船員、海外出稼ぎ労働者、政府関連研究者、大使館職員、企業家に対して割当てにより許可。

4 2012年2月24日 全ての市民に対して、3トン以上の左ハンドル商用車及び15人以上のバスの輸入を許可。

5 2012年4月2日自動車輸入登録税を、一律100%からエンジン排気量により50~120%に変更、商用車、トラック・バスは5%。

6 2012年5月7日 ミャンマーの銀行で外貨口座をもつ市民に対して、2007~12年のモデルの輸入を許可。

7 2012年5月7日 タクシーサービスを営業する市民に対して、最低50台以上のタクシーの輸入を許可。

8 2012年6月1日 ミャンマーの銀行で外貨口座をもつ市民に対して、3トン以下の商用車を許可。

9 2012年7月1日ミャンマーの銀行で外貨口座をもつ市民に対して、2000㏄以下のタクシンの輸入を許可:輸入関税3%、商業税(Commercial Tax)25%、輸入登録税0%=合計28%

2011年9月:完成車輸入の解禁

出所: Myanmar Engineering Society

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輸入登録税の概要

出所: Myanmar Engineering Society

Sr

No

カテゴリー一般輸入(対FOB価格)

古い車から新しい車への代替え許可有

古い車から新しいタクシーへの代替え許可有

タクシー用途のための輸入

政府、NGO、合弁会社の輸入

救急車 葬儀車

30 ~40 年 20~30年 タクシー その他

1 乗用車≤ 1350 cc

1350 ~ 2000 cc2000 ~ 5000 cc

≥ 5000 cc

50 % 80 %

100 %120 %

30% ( 輸入登録税

40%軽減)

20%( 輸入登録税60%軽減)

10%( 輸入登録税80%軽減)

25 %( 輸入登録税50%軽減)

25%( 輸入登録税50%軽減)

35% ( 輸入登録税50%軽減)

5%( 輸入登録税90%軽減)

0% (輸入登録税無税)

2 トラックとバス 5 % 3 % 2 % - - - -

Note: (a) FOB価格はCIF価格の0.83333で計算(b) CIF価格は関税局により事前に決定:生産年式による(c) 2012年6月16日に発表

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輸入登録税、関税、商業税の概要(CBU、CKDの場合)

出所: Myanmar Engineering Society資料を元に筆者修正

スライドのみ

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PC 2000 cc以下

PC <2000 cc (非国民車)

MPV <1500cc

PC価格 600,000Peso 未満の場合2%600,000Peso 以上~1,100,000 Pesoの場合6000,000Pesoを上回る金額に20%

ミャンマーと他アセアン諸国との関税・奢侈税比較

ベトナム:9人乗り以下PC(新車)

国産エコカー(1300㏄以下のみ17%)他25-30%

出所:各国政府資料

2000㏄以下

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ミャンマー及び他アセアン諸国の中古車、新車輸入政策の比較

出所: 各国政府資料、京大2013年5月現地調査結果

中古車 新車

乗用車 商用車 乗用車 商用車

ミャンマー○

(緬資本、個人のみ)

○(緬資本、個人のみ、バス

RH禁止)△

(緬個人のみ)

○(緬資本、個人、バス

RH禁止)

タイ × × ○ ○

インドネシア × × ○ ○

マレーシア△

(APによる輸入)△

(APによる輸入) ○ ○

ベトナム△

(5年以下の中古車)△

(5年以下の中古車) ○ ○

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ミャンマー工業省の組織図

出所:工業省ホームページ

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重工業公社No.1傘下の工場

農業用ポンプ

農業用トラクター

22馬力

ディーゼル

コンバイン

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工業省製造モデル( 1964 - 2012 )

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ミャンマーの自動車生産の現状

出所:工業省統計

ミャンマーの自動車生産の推移 ミャンマーの主な自動車生産会社

会社 車種 生産能力 場所

Super Seven Star Co.,Ltd

中国製商用車・バン、他に起亜販売

日産10台(稼働率1割以下?)

ヤンゴン

Suzuki Myanmar Motor

キャリー 月間100台(2013年5月開始)

ヤンゴン

Tata Motors 大型トラック

マグウェイ

• 2011年9月まで、ミャンマーでは、外資による自動車生産は工業省との合弁のみ。• ローカルの民間資本は、完成車輸入が認められてなかったために、中国、韓国等からKD部品を調達し、「組立」・販売:一時200社以上の小規模「組立メーカー」乱立

• 2011年9月以降、「組立メーカー」は淘汰され、その多くが中古車輸入業者に転換。• 2013年以降、外資100%での生産会社設立が認められるようになる(2013年2月、スズキ自動車、初の外資100%会社設立)

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工業省と奇端(Chery)との協力

• ミャンマー工業省が「チェリーQQ(800㏄)」の完成車と部品を独占的に輸入(エンブレムは工業省で販売)

• ただし、品質の問題から市場での人気は低く、主にタクシー向けに販売(2013年5月に訪問した旧第二工業省のショールームに多くの在庫有り)

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自動車生産関連政策

出所:工業省

部品

フレーム メインフレームクロスメンバーサスペンション

キャブ・ボデー ボデー&キャブ組立バンパーフロントシェルフェンダー床キャビンバックカバールーフ後部ドアトランク組立(サイドプレート含む)燃料タンクスペアタンクコンテーナーボックス組立ボンネット

• ミャンマー政府は、KD生産を奨励しており、現地生産の認可を取得する上で、特に国産化義務はなし。

• 下記のボデー部品・フレームの国産化を奨励。• 国産化等の一定の条件を満たせば、MICからKD部品関税の免税措置、法人税減免などの特典を受けられる?

ミャンマーの主な国産化奨励部品

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目次

• はじめに~ミャンマーとアセアン自動車市場

• ミャンマーの自動車政策

• 今後の自動車産業の展望

• まとめ~課題

25

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83%

70% 70%

60%

0

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

CLMV諸国の乗用車CBU CEPT引下げスケ

ジュール(<2000cc)

26

残された時間は少ない~2018年までに関税ゼロに引下げ

輸入関税引下げにより新車価格低下

既にゼロに引き下げ

2018年末までにゼロ引下げ

最新案

域内からのCBU輸入増大により、域内での市場拡大

出所:各国政府資料

先行加入国

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今後の自動車産業の方向性

• 中古車輸入政策の方向性ミャンマーの中古車輸入は、新しい中古車がある程度普及した後に(3~4年後?)、段階的に規制される可能性が高い(他のアセアン諸国の例)

• 日系メーカーの国内生産進出の可能性国内でのKD生産は、2018年以降は税的なメリットがなくなり、量産効果がないために、進出するメーカーは限定される見込み。

• ミャンマーでの新しい自動車産業発展の可能性

産業 概要 場所

労働集約的な部品の製造・加工 労賃が高騰するタイの分工場として一部工程を移管し、生産・供給

タイとの国境(メーサイ等)

中古車再輸出拠点 左ハンドルを右ハンドルに変換し、中近東・アフリカなどへの再輸出拠点

ティラワ港周辺

タイ連結型自動車クラスターの発展

ダウェイ港周辺のインフラ、産業が整備されれば、タイ東部(ラヨン) ミャンマー南部(ダウェイ)を結ぶ泰緬自動車クラスターの発展の可能性有り

ダウェイ港周辺

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タイの補完的な生産拠点としての位置づけの可能性

ミャンマーの自動車産業の将来的な可能性

ミャンマー側国境からの道路インフラの未整備

発電能力の不足

ダウェイ等の低人口密度地域での労働力の確保

課題

ダウェイ-タイ東部(ラヨン)自動車クラスター

Thilawa 港中古車輸入・再輸出拠点

タイの分工場として生産工程を移管し、タイに再輸出

西へ輸出

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連絡先(バンコク)山本肇 (Hajime Yamamoto) [email protected]. Asia, Co., Ltd. Level 41, United Center, 323 Silom Road, BangrakBangkok 10500 Tel. 0-2231-1581 Fax. 0-2231-1581Mobile. (+66) 899392177