テクニカル分析徹底マスター講座(第6回)1...
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テクニカル分析徹底マスター講座(第6回)
~ オシレータ系指標を理解する(2) ~
インベストメントテクノロジーズ(株)
代表取締役 野川 徹
■□■ TRADER WIZARD FOR FUTURES & FOREX ━━━━トレードウィザード FOR フューチャーズ&フォレックス運営会社:インベストメントテクノロジーズ 株式会社
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<テクニカル分析入門>
1.テクニカル分析とは何か
必ず全体像を理解してから細部を理解する(逆は全く駄目)
ファンダメンタル(需給、業績)分析との違いテクニカル分析とは計器飛行見えない相場が見えてくるテクニカル分析以前(かつて情報は全てだった)開発者の考え方を理解する
2.テクニカル分析で使用する要素
①価格 9割以上がこれになる=損益は値動きで発生するから OHLCを加工したもの
②出来高
③時間・日柄
④取組高 先物市場のみ
⑤信用残高 株式のみ
⑥手口情報 外人買い、カテゴリー別取組高、COT
⑦売買内訳 新規売、新規買、転売、買戻=国内商品先物のみ
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3.テクニカル分析の目的別・種類別分類
<トレンドフォロー系> トレンドを定義するための指標移動平均ボリンジャーバンドエンベロープMACD(Moving Average Convergence Divergence)HLバンドスイングHLカギ足モメンタムORB(Opening Range Breakout)
<オシレータ系> 転換点を見出すための指標乖離率ROC(Rate of Change=変化率)ストキャスティックスRSI(Relative Strength Index=相対力指数)ボラティリティー(標準偏差)ボラティリティー(ATR)
<内部エネルギー系> 値動き以外を用いた指標(過熱状態を見出すための指標)出来高移動平均出来高%
<パターン系、その他> 値動きや指標のパターンにより転換点やブレイクアウトポイントを見出そうとするもの酒田五法トムデマークの開発した指標エリオットウェーブ(フィボナッチ=38.2%、50%、61.8%=5:8) 1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233
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4.テクニカル分析の歴史
<国産テクニカル分析> ほとんどがトレンドフォロー系
①とめ足(星足)
②ローソク足
③パターン → 酒田五法(本間宗久=江戸時代後期の米相場で活躍)
④カギ足 → 柴田罫線(カギ足パターンの最適化)
⑤新値足
⑥練行足 → 日本版P&F
⑦コマ足 → 日本版移動平均
⑧一目均衡表
<外国産テクニカル分析>
テクニカル分析の西洋化
第一次 : 移動平均 → グランビルの法則 トレンドの概念
第二次 : RSI(相対力指数) ワイルダー オシレータの概念
第三次 : ボリンジャーバンド バンドの概念
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<オシレータ系指標のマスター (2)>
1. ストキャスティックス(英語:Stochastic Oscillator)
①開発者
米国のチャート分析家ジョージ・レーン(George Lane)によって1950年代に考案されたテクニカル指標
②定義
%K – %K={ (C-Lx)÷(Hx-Lx) }×100%
– C:当日終値
– Lx:過去x日間の最安値。xとしては、5, 9, 14 などが使用されることが多い。
– Hx:過去x日間の最高値
%D =Slow%K– %D=%Kのy日単純移動平均。
– yとしては3が使われることが多い。
Slow%D – Slow%D=%Dのz日単純移動平均。
– zとしては3が使われることが多い。
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③使用目的
20%以下で売られ過ぎ、80%以上で買われ過ぎという逆張り的見方をする人もいるが、これは全く賛成できない
計算式の意味を理解すれば、順張り指標であることは明白
一般的には、KがDを上抜くと買い、下抜くと売りと言われているが、ダマシが頻発するので、これだけでは使えない
指標の水準変化で判断する方が良いと思う(例:50より上で買い、下で売り)
④何故機能するか
直近n日間のレンジにおける相対的な終値の位置を示しているので、指標の値が高い時は、買い方が有利であり、
指標の値が低いときは、売り方が有利である。
エネルギーの観点から優劣は明白。
⑤何本が妥当か
一般的には5~9本と言われている
⑥長所
比較的感応度が高い
一般的なトレンドフォロー系指標同様、良好なトレンドが継続すれば、(判断方法によっては)乗り続けることが可能
⑦短所
保合い相場ではダマシの連続となる(全ての順張り系指標の弱点)
⑧モードの認識(オシレータ全般)
サイクリックモードとトレンディングモード
サイクリックモードでは、中間線(50)を頻繁に交差する(10営業日以内が大半)
交差してから10営業日以上経過した場合、トレンディングモードに入った可能性大
モードの活用法について考える
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ストキャスティックスの利用例紹介 (出典=225ラボのプロトタイプより)
225ラボ = http://225labo.com/
<225先物、5分足の売買 >
■ 「新規建て」ストラテジー解説■
ストキャスティックスには%K,%D,Slow%Dの3ラインがあり、本来の使い方はこの3ラインが25以下に下がった後にそれを超えてきたら「買い」(売りはこの逆)というものや、3 つのラインのクロスを見て売買を判断するものである。
ストキャスは動きが早く遅延性が低いのが特徴だがそれ故にダマシも多い。
Pokopen-STDでは用いるのは%D1本だけであり、%Dの位置をエリア分けしてエリアの移動でサインを判断する。
エリア1→エリア2で「買い」エリア2→エリア3でも「買い」エリア3→エリア4でも「買い」
エリア4→エリア3で「売り」エリア3→エリア2でも「売 り」エリア2→エリア1でも「売り」
例エリア3→エリア3→エリア1で「売り」 など
この使い方の方が教科書どおりの方法よりもよっぽどダマシが少なく正しいサインを出してくれる確率が高い。このファイルでは逆張りで高く なったら「売り」低くなったら「買い」をするために以下のように動作させている
始値から10日HL値幅平均の50%以上上がった後に、期間設定45 の%D(6)の位置するエリアが下がったら売り始値から10日HL値幅平均の50%以上下落後に、期間設定45の%D(6)の位置するエリアが上がったら買い
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売りエントリーのイメージ図
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買いエントリーのイメージ図
■「手仕舞い」のアルゴリズム解説■ ■ ■ ■ ■ ■
※手仕舞いは5分足の終値で利食い・損切りなどを判断します
値幅で利食い 過去○日間の平均HL値幅を自動算出しその○○%で利食い値幅で損切り 過去○日間の平均HL値幅を自動算出しその○○%で損切りMA-Stopで利食い MA-Stopの解説をご覧ください
・・・・・上記利食い損切りにかからない場合は「手仕舞い時間」で設定された時間にExitします(デフォルトでは15:05)
【MA-Stopの使い方】■想定ケース1:含み益が拡大していった場合にトレーリングストップのように利益を確保しつつ更に大きな利食いのチャ ンスを逃さずに利食いす
る事を狙う。■想定ケース2:含み益が拡大していき、その後に値動きの反転があった場合にもそれにすばやく対処してExit指示を出させる。■具体例:設定条件として5分足、MAは期間を25とし、「50円以上の含み益が発生した場合」にMA-Stopが「ON」とな る。
↓下図において10:00以降にMAが四本値とクロスしているがこの場面では含み益が発生していないので何 もしない。
↓その後MAX100円ほどの含み益になっていたが、14:30頃に四本値の終値がMAを上回ったのでExitさせる。
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■バックテスト表・損益グラフ■ ■ ■ ■ ■ ■
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2. RSI(Relative Strength Index)=相対力指数
①開発者
J. Welles Wilder, Jr.。 1978年に「New Concepts in Technical Trading Systems」 に発表。
②定義
サイコロジカルラインの考え方がベースになっている
サイコロジカルライン = 過去n日で前日比で終値が上昇した日数 ÷ n × 100%
過去12日間のうちで上昇した日数の比率から、 市場での、買われ過ぎ、売られ過ぎの状態を見る指標として用いられる。
Psychological(「心理的な」)という名前の通り、 投資家心理を数値化した指標である。
ただし前日比変わらずの日は、前日がプラスであればプラスの日に加える(逆に前日がマイナスであればマイナスの日に加える)一般的には75%以上(9勝3敗)で買われ過ぎ、25%以下(3勝9敗)で売られ過ぎと判断する。主に逆張りの指標として用いられる。
サイコロジカルラインの考え方に上昇幅、下落幅を組み入れた手法がRSIである。
RSIの計算方法
RSIの計算方法は何通りかある。
値上がり幅、値下がり幅の計算には通常は前日の終値と当日の終値を使用する。
<Aパターン>RSI=N日間の値上がり幅平均÷(N日間の値上がり幅平均+N日間の値下がり 幅平均)×100
<Bパターン>
1日目RSI=N日間の値上がり幅平均÷(N日間の値上がり幅平均+N日間の値下がり 幅平均)×1002日目以降 (A=1日目のN日間の値上がり幅 平均 B=1日目のN日間の値下がり幅平均)RSI=(A×(N-1)+当日の値上がり幅)÷((A×(N-1)+当日の値 上がり幅)÷N+(B×(N-1)+当日の値下がり幅)÷N)
*ワイルダーはN=14日を使用することを推奨している
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③使用目的
30%以下で売られ過ぎ、70%以上で買われ過ぎという逆張り的見方をするのが一般的
ダイバージェンス(逆行現象)を加味して判断する方が天底を捉える可能性が高い
50より上でアップトレンド、下でダウントレンドと判断することも可能
④何故機能するか
相場がある一定のサイクルで動いている場合は、計算式のコンセプトから、転換点を捉える可能性が高くなる
ダイバージェンスは値幅の変化率の鈍化を示す(速度と加速度の関係に似ている)
⑤何本が妥当か
14本(が一般的)
⑥長所
普通の値動き(サイクル)の相場では非常にうまく機能する
転換点を捉える指標として使える
⑦短所
強いトレンドが出た相場ではダマシの連続となる(全ての逆張りオシレータ系指標の弱点)
他のオシレータに比べて感応度が鈍い
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スイングトレード戦略のパフォーマンス(株式)
上記最大DDは実現損益ベース未実現損益ベースでの最大DDは21.3%
ストラテジー: L_Swingテスト期間: 2000/01/04~2010/03/24年次銘柄グループA: 全銘柄銘柄グループB: 全銘柄============= 全体 ==============1616(勝):1085(負)= 勝率:59.8%平均利益=5.35%平均損失=-4.37%ペイオフレシオ=1.23期待値=1.45%平均保有日数=1.46日
*RSIをトレンド認識の一部に用いている
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3. 条件定義の仕方
□ が □ に対し(どのように)(%、円)
<例>
■ 本日終値が移動平均に対し3%以上■ 本日始値が本日終値より上■ 終値が20日Hバンドを上抜く
上記のように複数の条件定義をANDとORで組み合わせていくことで、売買システムが完成する
上抜く
より上
以上
同じ
以下
より下
下抜く
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『先物市場のテクニカル分析』 ジョン J.マーフィー 著 (きんざい)*テクニカル分析を理解するためのバイブルですので、購入して何度も熟読することを勧めます。
当セミナーは、基本的にこの書籍の内容に沿って進みます。
『マーケットの魔術師』 『新マーケットの魔術師』 ジャック・シュワッガー(パンローリング)*相場の本質を理解するためのバイブルです。偉大なトレーダー達の思考が理解できます。必読!
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』 カーティス・フェイス(徳間書店)*トレンドフォローを理解するには最適の書籍。
マネーマネジメント、ポートフォリオ管理は非常に参考になる。
『システムデイトレード』 マレー・ルジェーロ(パンローリング)*ORB(Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
『ロジカルトレーダー』 マーク・B・フィッシャー(パンローリング)*ORB (Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
その他お勧めの書籍は下記を参照下さい。http://www.investechno.com/html/sp_c/menu_book.htm
*当セミナーで使用したチャートソフト(EdgeTrader)は、1ヶ月間無料で試用できます。(月額利用料=2800円+消費税、 下記HPからダウンロードして下さい)。
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