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会期 201693日(土) ~4日(日) 会場 慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎 (神奈川県横浜市港北区日吉四丁目1番1号) 勝川史憲 (慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター) 会長 プログラム・抄録集

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会 期 2016年9月3日(土)~4日(日)

会 場 慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎(神奈川県横浜市港北区日吉四丁目1番1号)

勝川史憲(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)会 長

プログラム・抄録集

3

第35回日本臨床運動療法学会学術集会

総合テーマ:運動・身体活動の臨床を考える

会期: 2016 年 9月 3日(土)〜 4日(日)

会場: 慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎 (神奈川県横浜市港北区日吉四丁目 1番 1号)

会 長勝川 史憲慶應義塾大学

スポーツ医学研究センター

第 35回日本臨床運動療法学会学術集会運営事務局

株式会社コンパス〒113-0033東京都文京区本郷三丁目3番 11号 NCKビル 5階TEL03-5840-6131 FAX03-5840-6130E-mail:[email protected]

4

 第 35回日本臨床運動療法学会学術集会を、2016 年 9月3日 ( 土 )、4日 (日 ) に、横浜市港北区の

慶應義塾大学日吉キャンパスにて開催させていただくことになりました。

 本学会は、疾病の予防・治療法としての運動療法に関する基礎・臨床研究を推進し、わが国において

運動療法の広範な普及と質の向上を図り、国民の健康増進・健康長寿に寄与することをめざす学術団体

です。研究会の時から数えると35回目となる歴史ある学会の年次学術集会を開催させていただくことを

大変光栄に存じます。

 代謝疾患、呼吸・循環器疾患、整形外科的疾患、認知症・うつ病、癌など種々の疾患のコントロール

やとくに予防において、運動・身体活動や身体不活動の減少が重要な役割を果たすことは広く知られてい

ます。それぞれの専門学会の運動療法のセッションでは、熱心な発表や討論が行われていますが、ひろ

く身体活動や運動療法の種々の課題について、とくに臨床に携わる者が一堂に会して議論をする場として、

本学会の重要性はますます大きくなっています。

 昨年は「ウェアラブル元年」と呼ばれ、個人の身体活動パターンの詳細な情報が、長期間にわたり蓄

積され、他の健康関連の情報と突き合わせた解析が今後急速に進行すると予想されます。そこで今回は

メインテーマを「運動・身体活動の臨床を考える」とし、医療機関で指示する以外の身体活動も視野に

入れ、シンポジウム、パネルディスカッションなど多彩な企画を準備しております。

 本学術集会はまた、学術的観点のみならず、運動療法・身体活動を広く普及させる観点からも社会的

に重要な意義を持ち、医師、理学療法士、健康運動指導士、グループフィットネスインストラクターほか

の運動指導者、看護師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、保健師、研究者、体育関係者、行政関

係者など、幅広い職種にわたる情報交換と交流の場としての役割も大きいと存じます。ハンズオンや教育

講演など豊富なプログラムもご用意いたします。

 多数の皆さまにご参加いただき、運動療法の種々の側面について最新の研究成果をご発表、ご聴講い

ただくとともに、幅広くかつ親密な交流の場として、本学術集会を大いに盛り上げていただければ幸いに

存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

2016 年 8月

第 35回日本臨床運動療法学会学術集会

会長 勝川史憲

「第35回日本臨床運動療法学会学術集会」の開催にあたって

日吉記念館

第8校舎矢上キャンパスへ

体育館柔・剣道場

藤山記念館

購買施設棟(大学生協)

矢上キャンパスへ

第3校舎

第6校舎第4校舎B棟

福沢諭吉像

警備室

東口

陸上競技場

至横浜至渋谷 東急日吉駅

第1校舎(高校)

高校グラウンド

日吉会堂(高校)

横浜市営地下鉄日吉駅出入口

保健管理センター

館会生塾

第4

舎校

A棟 館

書図吉日

第2

舎校

第7

舎校

協生館

Nスポーツ棟(体育研究所・卓球場)

木並杏銀

スポーツ医学研究センター

ハンズオン会場

生協食堂(1F)

独立館

棟堂食

来往舎

メイン会場

5

会場へのアクセス

水道橋秋葉原

東京

新橋

御成門駅

国立競技場あざみ野

日吉

相模大野

中央林間

大和中山

菊名

横浜

二俣川湘南台

渋谷

目黒

五反田

京急蒲田

羽田空港

赤羽橋大門駅

浜松町

田町品川

三田

信濃町新宿

浜横新

都営三田線都営三田線

東急東横線東急東横線

小田急線小田急線

JR横浜線

JR横浜線相鉄線

相鉄線小田急江ノ島線小田急江ノ島線

相鉄いずみ野線相鉄いずみ野線

横浜市営地下鉄線横浜市営地下鉄線

東急田園都市線東急田園都市線

東急目黒線東急目黒線

京浜急行線京浜急行線

JR東海道線JR東海道線

JR新幹線JR新幹線

JR在来線JR在来線私鉄私鉄地下鉄地下鉄バスバス

JR山手線JR山手線

都営大江戸線

都営大江戸線

都営浅草線都営浅草線

慶應義塾大学日吉キャンパス〒 223-8521 神奈川県横浜市港北区日吉 4-1-1

日吉記念館

第8校舎矢上キャンパスへ

体育館柔・剣道場

藤山記念館

購買施設棟(大学生協)

矢上キャンパスへ

第3校舎

第6校舎第4校舎B棟

福沢諭吉像

警備室

東口

陸上競技場

至横浜至渋谷 東急日吉駅

第1校舎(高校)

高校グラウンド

日吉会堂(高校)

横浜市営地下鉄日吉駅出入口

保健管理センター

館会生塾

第4

舎校

A棟 館

書図吉日

第2

舎校

第7

舎校

協生館

Nスポーツ棟(体育研究所・卓球場)

木並杏銀

スポーツ医学研究センター

ハンズオン会場

生協食堂(1F)

独立館

棟堂食

来往舎

メイン会場

■東急東横線 /目黒線「日吉駅」より徒歩 1分■横浜市営地下鉄グリーンライン「日吉駅」より徒歩 1分

※渋谷〜日吉:25分(急行約 20分) ※横浜〜日吉:20分(急行約 15分) ※新横浜〜菊名〜日吉:20分 ※東急東横線の特急は日吉駅に停車しません (「通勤特急」は停車します)。

6

懇親会会場

生協食堂

ファカルティラウンジ

ランチョン控室

歓談コーナースライド受付

106(スタジオ)

1F1F

第1会場シンポジウムスペース付

2F2F

入口

イベントテラス

記 名コーナー 受 付

資材倉庫

第2会場大会議室

クローク運営本部

中会議室 ホワイエ

ギャラリー

小会議室

ブリ

展示コーナー

単位登録認定受付

第3会場スライド受付

ハンズオン会場

来往舎

D205

D204

吹抜け

D206

D203

D201

D202

中庭

コミュニケーションガーデン

会場案内図

第 1 会場(来往舎 1F)

第 2、第 3 会場(来往舎 2F)

ハンズオン会場(独立館 2F)

昼食はこちらでおとりください。3日は1Fがご利用になれます。

7

開会挨拶10:00~11:30

シンポジウム(1)(90分)

代謝性疾患としてのサルコペニア

座   長: 中島 敏明座長・演者: 石井 好二郎演   者: 荒井 秀典 沖田 孝一

12:00~12:40ランチョンセミナー(40分)Building a bridge of trust: Applying the EIM Solution Linking Healthcare Systems and Community Resources

座長: 佐藤 真治演者: Mark Stoutenberg共催: ミヨシ油脂株式会社

16:10~18:00

シンポジウム(3)(110分)

生活習慣病の運動療法

座長・演者: 中田 由夫 曽根 博仁演   者: 前田 清司 宮下 政司

13:20~13:50会長講演(30分)

座長: 木村 穣演者: 勝川 史憲

12:50~13:10総会(20分)

14:00~16:00

シンポジウム(2)(120分)

運動療法に関わる医療現場・

メディカルスタッフ・学会の連携

座   長: 木村 穣座長・演者: 永富 良一演   者: 宮地 元彦 笹井 浩行 田中 喜代次 佐藤 真治 野崎 真道 長濱 隆史

17:00~18:00

教育講演(6)(60分)

生体インピーダンス法による除脂肪組織・骨格筋の評価

座長: 藤本 繁夫演者: 山田 陽介

16:00~17:00

教育講演(5)(60分)

軽度認知障害の早期発見と運動効果に関する最新

のエビデンス

座長: 朽木 勤演者: 土井 剛彦

15:00~16:00

教育講演(4)(60分)

非専門家のための運動療法の基礎知識

座長: 下光 輝一演者: 村瀬 訓生

14:00~15:00

教育講演(3)(60分)

サプリメントの摂取状況と問題点

座長: 髙波 嘉一演者: 佐藤 陽子

11:00~12:00

教育講演(2)(60分)

エネルギー消費量・身体活動量の評価法:原理とその応用

座長: 川久保 清演者: 田中 茂穂

10:00~11:00

教育講演(1)(60分)

高強度インターバルトレーニングの長所・短所

座長: 有田 幹雄演者: 松尾 知明

17:00~18:00

一般演題(6)(60分)

心臓リハビリテーション(2)

座長: 木庭 新治

16:00~17:00

一般演題(5)(60分)

動脈硬化・心臓リハビリテーション(1)

座長: 白石 裕一

15:00~16:00

一般演題(4)(60分)

サルコペニア・フレイル

座長: 磯 良崇

14:00~15:00

一般演題(3)(60分)

高齢者

座長:沖田 孝一

11:00~12:00

一般演題(2)(60分)

内部障害と運動療法

座長: 上月 正博

10:00~11:00

一般演題(1)(60分)

糖尿病・肥満

座長: 細井 雅之

9:20~9:50

評議員会(30分)

11:00~12:00

ハンズオン(1)(60分)

コメディカルのためのBLS講習会1

講師: 勝田 孝信

12:50~13:50

ハンズオン(1)(60分)「非会員」

コメディカルのためのBLS講習会2

講師: 勝田 孝信

16:00~17:00

ハンズオン(1)(60分)

コメディカルのためのBLS講習会3

講師: 勝田 孝信

18:00~20:00

懇親会

第1会場 シンポジウムスペース 第3会場 中会議室第2会場 大会議室 ハンズオン会場 独立館D201 懇親会場 ファカルティラウンジ

第35回日本臨床運動療法学会学術集会 2016年9月3日(土) 日程表

8

閉会挨拶

13:20~14:50

シンポジウム(5)(90分)

健康運動における運動療法開始前のメディカルチェック基準

座   長: 勝川 史憲座長・演者: 牧田 茂

演   者: 田村 好史 冨山 博史 渡會 公治

12:25~13:05ランチョンセミナー(40分)

JINS MEMEによる眼電位の計測と応用事例

座長: 橋本 健史演者: 上間 裕二共催: 株式会社ジェイアイエヌ

11:00~12:10

パネルディスカッション(1)(70分)

介護者の運動療法

座長: 坂本 静男 朽木 勤演者: 宮地 秀行 中原 雄一 伊藤 三千雄

9:20~10:50

シンポジウム(4)(90分)

超高齢心不全患者に対する運動療法・疾病管理・生活支援をどう行うか?

座長・演者: 後藤 葉一 山田 純生演   者: 和泉 徹 眞芽 みゆき

第1会場 シンポジウムスペース 第3会場 中会議室第2会場 大会議室 ハンズオン会場 独立館D201

13:20~14:20パネルディスカッション(2)

(60分)

ウェアラブル端末と運動・身体活動

座長・演者: 木村 穣演   者: 橋本 健史 長谷川 純子

11:10~12:10

Colloquium(60分)運動処方におけるCPXと運動負荷試験の役割

座長: 勝木 達夫演者: 木下 訓光 庄野 菜穂子

10:10~11:10

教育講演(8)(60分)

オーラルフレイルの概念とその評価

座長: 小山 照幸演者: 平野 浩彦

9:10~10:10

教育講演(7)(60分)

リハビリテーションと栄養管理

座長: 大宮 一人演者: 若林 秀隆

13:20~14:35

一般演題(8)(70分)

地域・運動継続

座長: 齋藤 義信

10:55~12:10

一般演題(7)(70分)

身体活動パターン

座長: 小熊 祐子

9:20~10:50

CEPAセッション(90分)

(1)運動振動をレベルアップするためのTips

座長: 黒瀬 誠司演者: 大西 朋 長坂 裕子

(2)症例検討座長: 佐藤 真治演者: 佐久間 貞典

13:00~14:00

ハンズオン(3)(60分)

運動指導者のための「ピラティス」紹介セッション

講師: 橋本 佳子

10:40~11:50

ハンズオン(2)(70分)

運動指導者のための「ジャイロトニック,ジャイロキネシス」

紹介セッション

講師: 山﨑 悦子

9:20~10:20

ハンズオン(1)(60分)

コメディカルのためのBLS講習会4

講師: 勝田 孝信

第35回日本臨床運動療法学会学術集会 2016年9月4日(日) 日程表

9

参加者の皆さまへ

1.参加登録 学会当日、総合受付(来往舎 1F)にてご登録ください。 お渡しする名札に所属、氏名を記入し、胸元等に付けてご入場ください。<受付日時> 9月 3日 ( 土 )9:00 〜 18:00( 慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎 ) 9月 4日 ( 日 )9:00 〜 15:00( 慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎 )<参加費> (単位:円)

事前受付 事前受付当日受付

( 銀行振込 ) (カード決済 )

会員医師 8,000  8,400  10,000 

非医師 6,000  6,300  8,000 

非会員 10,000  10,500  12,000 

学生 2,000  2,100  2,000 

懇親会参加費 3,000  3,000  3,000 ※学生には社会人学生は除きます。学生証の掲示が必要です。※参加費には、ハンズオン参加費が含まれます。

※【学会員で当日受付をされる方へ】学術集会に参加していただく際、ホームページ内「参加者の皆さまへ」(http://jacetp2016.org/registration-2)の「1.参加登録」から証明書(pdf)をダウンロードして、学術集会当日に、会員番号、氏名を記載の上、必ず御持参ください。※会員用参加費での参加受付時に、会員証明として使用させていただきます。参加会員証明書の持参がない場合、非会員参加費を徴収させていただく場合がございますので、あらかじめご了承ください。

2.ハンズオンへのご参加について参加登録とは別にご登録が必要です。ホームページにあります「参加者の皆さまへ」(http://jacetp2016.org/registration-2)の「2. ハンズオンへのご参加について」より「ハンズオン参加申込書」をダウンロードして、必要事項を入力の上、メールにて事務局宛([email protected])にお送りください。※各回ともお申込先着順で定員になり次第、締切とさせていただきます。※当日受付:キャンセルなどがあった場合にはご参加いただけます。 ※参加にあたっては、軽運動ができる服装でお越しください。

3.プログラム・抄録集会員の方には、 事前に電子抄録集をご案内いたします。ダウンロードして、当日必ずご持参ください。

10

4.単位取得について本学術集会では各種単位を取得することができます。ホームページにあります「資格更新単位について」(http://jacetp2016.org/outline)をご確認ください。

5.懇親会参加について9月 3日(土)18:00〜 20:00 ファカルティラウンジ(来往舎 1F) ※大会参加費とは別に懇親会参加費として 3,000 円を頂戴いたします。

6.新入会員の受付・年会費徴集について当日学会事務局において、新入会員のご案内をいたします。年会費は単年度で 5,000 円です。

7.呼び出し、伝言会場内でのスライドおよび館内放送での呼び出しは行いません。総合受付前のホワイトボードをご利用ください。

8.クローク会場内の指定のクロークに荷物をお預けください。9月 3日 ( 土 ) 9:00 〜 18:00 ( 慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎 2F)9 月 4日 ( 日 ) 9:00 〜 15:00 ( 慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎 2F)

9.医療機器展示会場来往舎 2F「ギャラリースペース」

10.託児施設、ドリンク・インターネットコーナー用意はございません。ドリンクは生協食堂横の自動販売機をご利用ください。

11.その他学会場は全館禁煙です。ノーネクタイ等のクールビズでお越しください。座位活動を短時間でも中断すると、リスクが減少することが報告されています。セッション中、演者交代などの時間は、起立してその場を動き回るなどして有効に活用してください。

12.関連行事◆評議員会9 月 3日 ( 土 )9:20 〜 9:50 会場:第 3会場(中会議室) 評議員の皆さまはご出席くださいますようお願い申し上げます。◆総会9 月 3日 ( 土 )12:50 〜 13:10 会場:第1会場(シンポジウムスペース) 会員の皆さまは出席くださいますようお願い申し上げます。◆懇親会9 月 3日 ( 土 )18:00 〜 20:00 会場:慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎ファカルティラウンジ 参加費:3,000 円 

11

演者・座長の方へ

1.発表・討論、進行について・一般演題は 1題 15分(発表 10〜 12分、討論 3分)です。時間厳守でお願いいたします。・座長の方は 1F総合受付にて受付を済ませたのち、ご担当のセッション開始 15分前までに次座長 席にご着席ください。・進行は座長の責任において行ってください。・討論においては簡潔にご発言ください。

2.発表用機材について発表はすべて PCプレゼンテーションでお願いいたします。

Windows の場合:発表用データを格納したUSB メモリを持参して会場の PCをご利用いただくか、ご自身の PCをお持ち込みください。セッションの進行を円滑にするため、会場PCの利用を推奨いたします。ただし、発表用データに動画が含まれている場合は、確実な再生のためにも、ご自身の PCをお持ち込みいただきますようお願いいたします。

Macintosh の場合:必ずご自身の PCをお持ち込みください。Macintosh で作成された発表用データをUSB メモリにてご持参いただいても、会場では対応いたしかねますのでご注意ください。

※ PCをお持ち込みになる際の注意点・会場にご用意する映像用のケーブルコネクタはminiD-sub15 ピンです。Macintosh や一部の Windows 機では、変換用のアダプターが別途必要となる場合がありますので、必ずご自身でご用 意ください。

・PC 本体の ACアダプターも必ずご用意ください。・スクリーンセーバーや省電力設定など、PCプレゼンテーションの妨げとなる設定を解除してから お持ち込みください。

3.スライド受付について第 1会場および第 2会場(第 3会場兼用)の入り口にスライド受付を設置します。 ・会場の PCをご利用いただく方は、発表の 30分前までにスライド受付にお越しいただき、デー タの動作確認および登録(会場 PCへのデータコピー)を行ってください。スタッフがお手伝 いいたします。 ※動作確認および登録用の PCは各会場に 1台のみご用意しております。セッションの開始直前 などは混み合うことが予想されますので、余裕をもってお越しいただきますようお願い申し上 げます。 ・ご自身の PCをお持ち込みになる方は、会場内の次演者席にて待機いただき、前演者の口演終 了後、演台にて PCを設置してください。スタッフがお手伝いいたします。

mini D-sub15 ピン

12

4.座長の方へのお願い演者交代などの時間は、参加者に起立を指示されるなど、座位活動の減少にご配慮ください。

プログラム

14

会長講演 9 月 3 日(土) 13:20 〜 13:50 第1会場(シンポジウムスペース)

「運動・身体活動の臨床を考える」

座長: 木村 穣(関西医科大学健康科学科健康科学センター)

演者: 勝川史憲(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

教育講演(1) 9 月 3 日(土) 10:00 〜 11:00 第2会場(大会議室)

「高強度インターバルトレーニングの長所・短所」

座長: 有田幹雄(角谷リハビリテーション病院)

演者: ◯松尾知明(労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所) 蘇 リナ(労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所)、大須賀洋祐(独立行政法人日本学術振興会)

教育講演(2) 9 月 3 日(土) 11:00 〜 12:00 第2会場(大会議室)

「エネルギー消費量・身体活動量の評価法:原理とその応用」

座長: 川久保清(共立女子大学家政学部食物栄養学科)

演者: 田中茂穂(国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部)

教育講演(3) 9 月 3 日(土) 14:00 〜 15:00 第2会場(大会議室)

「サプリメントの摂取状況と問題点」

座長: 髙波嘉一(大妻女子大学家政学部食物学科)

演者: 佐藤陽子(国立健康・栄養研究所情報センター)

教育講演(4) 9 月 3 日(土) 15:00 〜 16:00 第2会場(大会議室)

「非専門家のための運動療法の基礎知識」

座長: 下光輝一(公益財団法人健康・体力づくり事業財団)

演者: 村瀬訓生(東京医科大学健康増進スポーツ医学分野)

教育講演(5) 9 月 3 日(土) 16:00 〜 17:00 第2会場(大会議室)

「軽度認知障害の早期発見と運動効果に関する最新のエビデンス」

座長: 朽木 勤(公益財団法人明治安田厚生事業団)

演者: 土井剛彦(国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター)

教育講演(6) 9月 3 日(土) 17:00 〜 18:00 第2会場(大会議室)

「生体インピーダンス法による除脂肪組織・骨格筋の評価」

座長: 藤本繁夫(相愛大学人間発達学部発達栄養学科)

演者: 山田陽介(国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部)

15

教育講演(7) 9月 4 日 ( 日 ) 9:10 〜 10:10 第2会場(大会議室)

「リハビリテーションと栄養管理」

座長: 大宮一人(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院循環器内科)

演者: 若林秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科)

教育講演(8) 9月 4 日 ( 日 ) 10:10 〜 11:10 第2会場(大会議室)

「オーラルフレイルの概念とその評価」

座長: 小山照幸(東京都健康長寿医療センターリハビリテーション科)

演者: 平野浩彦(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科)

16

シンポジウム(1) 9月 3 日(土) 10:00 〜 11:30 第1会場(シンポジウムスペース)

「代謝性疾患としてのサルコペニア」

座長: 石井好二郎(同志社大学スポーツ健康科学部) 中島敏明(獨協医科大学ハートセンター)

S1-1: サルコペニア肥満の虚像と実像 石井好二郎(同志社大学スポーツ健康科学部)

S1-2:サルコペニア肥満の病態と意義 荒井秀典(国立長寿医療研究センター老年学・社会科学センター)

S1-3:糖代謝異常にみられる運動耐容能低下と骨格筋障害について ◯沖田孝一(北翔大学大学院生涯スポーツ研究科生涯スポーツ学部スポーツ教育学科) 高田真吾(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)、高橋将成(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)、平林 鑑(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)、横田 卓(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)、絹川真太郎(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)

シンポジウム(2) 9月 3 日(土) 14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)

「運動療法に関わる医療現場・メディカルスタッフ・学会の連携」

座長: 永富良一(東北大学大学院医工学研究科) 木村 穣(関西医科大学健康科学科健康科学センター)

S2-1: 運動のベネフィットとリスク 永富良一(東北大学大学院医工学研究科)

S2-2: 我が国の身体活動・運動の現状と課題 宮地元彦(国立健康・栄養研究所健康増進研究部)

S2-3: 健幸華齢(successfulaging)のためのエクササイズの意義 ◯笹井浩行(筑波大学医学医療系) 田中喜代次(筑波大学体育系スポーツ医学)

S2-4: 運動療法の普及を目指す日米の今、そしてこれから─ ExerciseIsMedicine を中心に 佐藤真治(大阪産業大学人間環境学部スポーツ健康学科)

S2-5: 42 条施設ならびに健康運動指導士が抱える問題と課題 野崎真道(千葉中央メディカルセンター健康スポーツセンター)

S2-6: 運動、運動療法の普及について 長濱隆史(医療法人社団健生会長浜医院,日本運動療法推進機構)

17

シンポジウム(3) 9月 3 日(土) 16:10 〜 18:00 第1会場(シンポジウムスペース)

「生活習慣病の運動療法」

座長: 中田由夫(筑波大学医学医療系)

曽根博仁(新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科)

S3-1: 肥満に対する運動療法のエビデンス 中田由夫(筑波大学医学医療系)

S3-2: 糖尿病・脂質異常を中心とした生活習慣病に対する運動の効果 曽根博仁(新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科)

S3-3: 運動療法による動脈硬化の改善 前田清司(筑波大学体育系スポーツ医学)

S3-4: 運動療法による脂質代謝の改善 宮下政司(早稲田大学スポーツ科学学術院)

シンポジウム(4) 9月 4 日 ( 日 ) 9:20 〜 10:50 第1会場(シンポジウムスペース)

「超高齢心不全患者に対する運動療法・疾病管理・生活支援をどう行うか?」

座長: 後藤葉一(国立循環器病研究センター心臓血管内科循環器病リハビリテーション部) 山田純生(名古屋大学大学院医学系研究科)

S4-1: 超高齢心不全患者の運動認容能改善と疾病管理における外来心臓リハビリの役割 後藤葉一(国立循環器病研究センター心臓血管内科循環器病リハビリテーション部)

S4-2: 高齢心不全患者の身体活動能力を規定する因子 -心不全フレイル 山田純生(名古屋大学大学院医学系研究科)

S4-3: 超高齢者心不全診療へのひとつの答え、独歩退院リハビリ◯和泉 徹(医療法人社団恒仁会新潟南病院) 阿部 暁(医療法人社団恒仁会新潟南病院内科)、上原彰史(医療法人社団恒仁会新潟南病院内科)、大石香奈子(医療法人社団恒仁会新潟南病院内科)、渡部 裕(医療法人社団恒仁会新潟南病院内科)、小幡裕明(医療法人社団恒仁会新潟南病院リハビリ科)

S4-4: 超高齢心不全患者の再入院予防と生活指導 眞茅みゆき(北里大学看護学部看護システム学)

シンポジウム(5) 9月 4 日 ( 日 ) 13:20 〜 14:50 第1会場(シンポジウムスペース)

「健康運動における運動療法開始前のメディカルチェック基準」

座長: 牧田 茂(埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科) 勝川史憲(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

S5-1: メディカルチェックの背景と問題点 牧田 茂(埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科)

S5-2: 糖尿病患者における運動適応基準 田村好史(順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座)

S5-3: GeneralCardiologistと運動療法 冨山博史(東京医科大学医学部循環器内科)

S5-4: 健康運動の対象者に対する整形外科的メディカルチェック 渡會公治(帝京平成大学大学院健康科学研究科)

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Colloquium 9月 4 日 ( 日 ) 11:10 〜 12:10 第2会場(大会議室)

「運動処方におけるCPXと運動負荷試験の役割」

座長: 勝木達夫(やわたメディカルセンター循環器内科)

演者: 木下訓光(法政大学スポーツ健康学部) 庄野菜穂子(ライフスタイル医科学研究所,西九州大学健康福祉学部大学院)

ハンズオン(1) 9月 3 日(土) 11:00 〜 12:00、12:50 〜 13:50、16:00 〜 17:00、9月 4 日 ( 日 ) 9:20 〜 10:20 ※各回定員 40 名 独立館 D201

「コメディカルのためのBLS( 救命救急 )講習会」

講師: 勝田孝信(慶應義塾大学病院看護部)

ハンズオン(3) 9月 4 日 ( 日 ) 13:00 〜 14:00 独立館 D201 ※定員 40 名

「運動指導者のための「ピラティス」紹介セッション」

講師: 橋本佳子(ボディワークス)

ハンズオン(2) 9月 4 日 ( 日 ) 10:40 〜 11:50 独立館 D201 ※定員 40 名

「運動指導者のための「ジャイロトニック、ジャイロキネシス」紹介セッション」

講師:山﨑悦子(ホワイトクラウド TOKYO)

パネルディスカッション(1) 9月 4 日 ( 日 ) 11:00 〜 12:10 第1会場(シンポジウムスペース)

「介護者の運動療法」

座長: 坂本静男(早稲田大学スポーツ科学学術院) 朽木 勤(公益財団法人明治安田厚生事業団)

P1-1: スポーツを活用した障害者とその家族支援 宮地秀行(障害者スポーツ文化センター横浜ラポールスポーツ課)

P1-2: 介護を行っている勤労者の実態〜精神的健康度と身体活動量について〜 中原雄一(福岡県立大学人間社会学部)

P1-3: 在宅患者とその家族における短時間通所リハビリテーションの効果 伊藤三千雄(医療法人社団朋和会西広島リハビリテーション病院健康開発センターウイル)

パネルディスカッション(2) 9月 4 日 ( 日 ) 13:20 〜 14:20 第2会場(大会議室)

「ウェアラブル端末と運動・身体活動」

座長 : 木村 穣(関西医科大学健康科学科健康科学センター)

P2-1: ウェアラブル生体センサーによる活動量、睡眠評価による新たな健康評価の試み ◯木村 穣(関西医科大学健康科学科健康科学センター) 川口紗苗(関西医科大学健康科学科健康科学センター)、日高なぎさ(関西医科大学健康科学科健康科学センター)

P2-2: 運動処方としてのウォーキングーウェアラブルセンサーを使用した危険歩行パターンの認識 ◯橋本健史(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター) 木畑実麻(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)、勝川史憲(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

P2-3: 腕時計型脈拍計測機器による身体活動の職域比較評価 ◯長谷川純子(セイコーエプソン株式会社日野事業所) 礒村政一(セイコーエプソン株式会社ウェアラブル機器事業部WP 企画設計部)、勝川史憲(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

19

ランチョンセミナー1 9月 3 日(土) 12:00 〜 12:40 第1会場(シンポジウムスペース)

共催:ミヨシ油脂株式会社

「Buildingabridgeoftrust:ApplyingtheEIMSolutionLinkingHealthcareSystemsandCommunityResources」

座長: 佐藤真治(大阪産業大学人間環境学部スポーツ健康学科)

演者: MarkStoutenberg(UniversityofMiamiMillerSchoolofMedicine)

ランチョンセミナー2 9月4日 ( 日 ) 12:25 〜 13:05 第1会場(シンポジウムスペース)

共催:株式会社ジェイアイエヌ

「JINSMEMEによる眼電位の計測と応用事例」

座長: 橋本健史(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

演者: 上間裕二(株式会社ジェイアイエヌJINSMEMEグループ)

CEPA セッション 9月4日 ( 日 ) 9:20 〜 10:50 第3会場(中会議室)

(1)運動指導をレベルアップするためのTips

座長:黒瀬聖司(医仁会武田総合病院疾病予防センター)

1)心拍数を用いない運動強度の設定法 演者:大西 朋(帝京大学スポーツ医科学センター)

2)運動指導に必要なフィジカルアセスメント 演者:長阪裕子(浦和大学総合福祉学部)

(2)症例検討 「高齢、重複障害(MMD)に対する診診連携による治療アプローチの1例」   〜クリニックにおける心臓リハビリテーション指導士(健康運動指導士)の役割と実際〜

座長: 佐藤真治(大阪産業大学人間環境学部スポーツ健康学科)

演者: 佐久間貞典(ひろさか内科クリニック運動習慣支援室)

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一般演題(1) 9 月 3 日(土) 10:00 〜 11:00 第3会場(中会議室)

糖尿病・肥満

座長: 細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科)

O-1: 肥満患者における心理的特性と運動耐容能変化との関連 ◯上西祐輝 1)、藤井 彩1)、宮内拓史 1)、佐藤 豪 2)、木村 穣1) 1)関西医科大学健康科学センター、2)同志社大学心理学部

O-2: 自律神経機能から見た減量効果 ◯玉ノ井厚子、家村眞理子、宮内拓史、高尾奈那、木村 穣 関西医科大学健康科学センター

O-3: 2型糖尿病腎症患者でのレジスタンス運動の有効性 ◯細井雅之、薬師寺洋介、栗原琴美、玉井杏奈、吉田陽子、武内真有、岡田めぐみ、生野淑子、 小原正也、上野宏樹、山上啓子、福本まりこ 大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科

O-4: 2 型糖尿病患者においてインスリン感受性低下が運動中の血圧を上昇させる ◯山下 亮1)、原田栄作 1),2)、水野雄二 2)、髙橋修一朗1) 1)熊本健康・体力づくりセンター、2)熊本機能病院循環器内科

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一般演題(2) 9 月 3 日(土) 11:00 〜 12:00 第3会場(中会議室)

内部障害と運動療法

座長:上月正博(東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻機能医科学講座内部障害学分野)

O-5: 肝硬変における有酸素運動が運動耐用能、糖脂質代謝に与える影響 ◯水田敏彦、井手康史、西田裕一郎 伊万里有田共立病院内科

O-6: EIHを示すCOPD患者への段階的な継続的運動介入の試み —運動機能と注意・認知機能への影響—◯小林 茂1),3)、吉川貴仁 2)、鴨井 博 2)、平田一人 3)、藤本繁夫 4) 1)宝塚医療大学保健医療学部理学療法学科、2)大阪市立大学大学院医学研究科運動生体医学分野、

3)大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野、4)相愛大学人間発達学部発達栄養科

O-7: 維持透析患者に対する心臓リハビリテーション —これまでの取り組みと今後の課題— ◯柳田優子1)、福井政慶 1)、田矢京子1)、中田晃子1)、村上信吾1)、味田将佳 1)、作間美知子1)、 種村佳代 1)、野畠理恵 1)、中山絵美子1)、塚田 毅 1)、木村 穣 2) 1)医療法人七ふく会ふくいクリニック、2)関西医科大学健康科学センター

O-8: 健康運動指導士による透析中運動療法の管理・運営 〜心肺運動負荷試験による筋力トレーニング効果〜 ◯森 敏彦1)、森山善文 1)、白木涼太 1)、後藤陽華 2)、川越由美枝 2)、春日弘毅 2) 1)医療法人偕行会名古屋共立病院ウェルネスセンター、2)医療法人偕行会セントラルクリニック

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一般演題(3) 9 月 3 日(土) 14:00 〜 15:00 第3会場(中会議室)

高齢者

座長:沖田孝一(北翔大学大学院生涯スポーツ研究科生涯スポーツ学部スポーツ教育学科)

O-9: 高齢者運動療法継続者の運動効果の特徴 ◯滝川瑠美1)、大西朋世1)、大槻拓巳1)、春日靖洋 2)、坂口秀人 3)、木村 穣 4) 1)医療法人仁心会宇治川病院運動療法室、2)同検査室、3)同外科、4)関西医科大学健康科学センター

O-10: 回復期心臓リハビリテーションに参加した80歳以上患者の臨床像と中途脱落理由:75-79 歳患者との比較 ◯渡慶次竜生、伊達 歩、三浦弘之、熊坂礼音、荒川鉄雄、中西道郎、中尾一泰、長谷川拓也、 福井重文、簗瀬正伸、野口暉夫、後藤葉一 国立循環器病研究センター循環器病リハビリテーション部

O-11: 施設入所高齢者を対象とした身体活動レベルの推定における3軸加速度計の妥当性 ◯西田優紀 1)、中江悟司1)、山田陽介1)、近藤衣美 1)、山口美輪 1)、白𡈽 裕之 2)、平野浩彦 3)、佐々木敏 4)、田中茂穂 1)、勝川史憲 5) 1)国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部、2)介護老人保健施設シルバーピア加賀、3)東京都健康長寿医療

センター研究所、4)東京大学大学院医学系研究科、5)慶應義塾大学スポーツ医学研究センター

O-12: 高齢者の運動効果を評価する体成分指標の有用性 ◯沢田秀司1),2)、西村耕治1)、三木貴弘 3)、碇谷正人 1)、菅尾祐助1),4)、東川麻奈美 1)、 木村美穂 1)、内野礼子1)、金 玉蓮 1)、秋田直子1)、坂本光貴1)、正田隆信 1)、橋口優子1)、中村幸之進 1)、鈴木 慶1) 1)医療法人社団新緑会鈴木慶やすらぎクリニック、2)早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構ライフサポート

イノベーション研究所、3)医療法人札幌丸山整形外科リハビリテーション科、4)株式会社 S.A.T.C.

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一般演題(4) 9 月 3 日(土) 15:00 〜 16:00 第3会場(中会議室)

サルコペニア・フレイル

座長:磯 良崇(昭和大学藤が丘リハビリテーション病院循環器内科)

O-13: 運動外来(運動器と筋肉量低下予防プロジェクト)の試み ◯馬場美佳子、森本友紀恵、吉村弘子、渡邊祐子、野川深雪、藤井仁美、宮川高一 多摩センタークリニックみらい/クリニックみらい国立

O-15: 肥満者のサルコペニア評価を目的とした簡易的運動機能測定は付加的な 心血管疾患リスク評価となり得るか? ◯熊谷 礼 1)、沖田孝一2)、田尾賢吾1)、森田憲輝 3) 1)北翔大学大学院生涯スポーツ学研究科、2)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科、3)北海道教

育大学スポーツ教育課程

O-16: 重症肥満症におけるサルコペニアの関連因子と減量治療反応性への影響 ◯田所梨枝 1)、礒良 崇 2)、玉木大輔 3)、大塚史子1)、長坂昌一郎1)、三邊武幸 2) 1)昭和大学藤が丘病院糖尿病・代謝・内分泌内科、2)昭和大学スポーツ運動科学研究所、3)昭和大学

藤が丘病院栄養科

O-14: 糖尿病教育入院患者のサルコペニア合併率と運動介入による体組成及び体力要素の変化◯草葉怜奈 1)、黒瀬聖司1)、今井 優 2)、濵田友里 1)、荻野沙也加 1)、七澤智子1)、吉田志織 1)、東 信之 3)、桝田 出 4) 1)医仁会武田総合病院疾病予防センター、2)康生会クリニック健康運動指導科、3)医仁会武田総合病院

糖尿病センター、4)武田病院グループ予防医学・EBMセンター

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一般演題(5) 9 月 3 日(土) 16:00 〜 17:00 第3会場(中会議室)

動脈硬化・心臓リハビリテーション(1)

座長:白石裕一(京都府立医科大学循環器内科)

O-17: 疾病予防施設参加者のEPA/AAに関する検討 ◯大宮一人、小徳のぞみ、鈴木規雄、御手洗敬信、高井 学、中野恵美、松田央郎 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院循環器内科

O-18: トレッドミルによる歩行運動療法で下肢動脈血栓閉塞が顕著に改善した高齢女性の経験◯樋田あゆみ1)、内田龍制 2)、牧田 茂 2) 1)埼玉医科大学国際医療センターリハビリテーションセンター、2)埼玉医科大学国際医療センター心臓リハ

ビリテーション科

O-19: 運動頻度の違いが動脈硬化(PWV)・血圧に与える影響 ◯足立佳世、森山善文、森 敏彦 偕行会ウェルネスセンター

O-20:長期個室管理と心拍反応著明亢進のため運動様式に難渋した巨細胞性劇症型心筋炎の一例 ◯山本壱弥 1)、福井教之 1)、鈴木裕二 1)、北垣和史 1)、柳 英利1)、柴田 敦 2)、中尾一泰 2)、 熊坂礼音 2)、荒川鉄雄 2)、福井重文 2)、中西道郎1),2)、簗瀬正伸 2)、神﨑秀明 2)、 安斉俊久 2)、後藤葉一1),2) 1)国立循環器病研究センター心血管リハビリテーション科、2)国立循環器病研究センター心臓血管内科

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一般演題(6) 9 月 3 日(土) 17:00 〜 18:00 第3会場(中会議室)

心臓リハビリテーション(2)

座長:木庭新治(昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門)

O-21: PCI 後高齢患者に対する維持期運動療法を地域密着型クラブで実施し効果が認められた1症例◯今村貴幸1)、冨田エミ2)、坂本律子3)、仲村太一 4)、村瀬訓生 5)、伊東春樹 6)、牧田 茂 7)1)常葉大学、2)順天堂大学、3)NPO 法人ジャパンハートクラブ、4)東京山手メディカルセンター、5)東京医

科大学、6)榊原記念病院、7)埼玉医科大学国際医療センター

O-22:心臓リハビリにおけるノルディックポールを使用した登山の運動強度の検討 ◯住吉良太 1)、阿部 史1)、須藤拓也 2)、工藤真斗 2)、川村圭央 2)、岡本祐一郎 2)、川初清典 2)、大堀克彦 3)、堀田大介 3)、大堀克己 4) 1)社会医療法人北海道循環器病院理学療法科、2)社会医療法人北海道循環器病院心臓リハビリセンター、

3)社会医療法人北海道循環器病院循環器内科、4)社会医療法人北海道循環器病院心臓血管外科

O-23:心臓病のスポーツリハビリテーションへのクロスカントリースキーの導入と実践 ◯須藤拓也 1)、工藤真斗1)、岡本祐一郎1)、阿部 史 2)、川初清典1)、大堀克彦 3)、堀田大介 3)、大堀克己 4) 1)社会医療法人北海道循環器病院心臓リハビリセンター、2)社会医療法人北海道循環器病院理学療法科、

3)社会医療法人北海道循環器病院循環器内科、4)社会医療法人北海道循環器病院心臓血管外科

O-24: 心臓病のスポーツリハビリテーションにおける“パークゴルフ ”の有用性 ◯工藤真斗1)、須藤拓也 1)、岡本祐一郎1)、川初清典1)、阿部 史 2)、大堀克彦 3)、堀田大介 3)、大堀克己 4) 1)社会医療法人北海道循環器病院心臓リハビリセンター、2)社会医療法人北海道循環器病院理学療法科、

3)社会医療法人北海道循環器病院循環器内科、4)社会医療法人北海道循環器病院心臓血管外科

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一般演題(7) 9 月 4 日(日) 10:55 〜 12:10 第3会場(中会議室)

身体活動パターン

座長:小熊祐子(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

O-25:日内活動パターンの類型化と体組成指標への影響の分析 ◯野村俊一1),2)、渡辺美智子3)、小熊祐子3),4) 1)東京工業大学大学院情報理工学院、2)慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、

3)慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科、4)慶應義塾大学スポーツ医学研究センター

O-26:糖尿病患者における歩行強度計を用いた身体活動量と時間軸からみた歩数と生活背景の 関係についての検討 ◯小池日登美、福田 麗、村尾 絢、堀澤栞里、藤巻陽子、植木彬夫、高村 宏 高村内科クリニック

O-27: 活動量、睡眠時間の変動から見た肥満患者の動脈硬化危険因子の検討 ―ウェアラブル生体センサーによる検討― ◯川口紗苗、宮内拓史、高尾奈那、山下素永、那須加奈子、大南博和、吉内佐和子、 藤井 彩、木村 穣 関西医科大学附属枚方病院健康科学センター

O-28:生体ログデータに基づく活動強度パターンの分類と可視化 ◯山田知明、加藤梨理、小熊祐子、渡辺美智子 慶應義塾大学健康マネジメント研究科

O-29:活動量データからの潜在的歩数増加パターンの抽出と歩数の目標値設定への試み ◯大橋洸太郎1)、小熊祐子2)、加藤梨里 3)、渡辺美智子3) 1)立教大学社会情報教育研究センター・慶應義塾大学システムデザインマネジメント研究所、2)慶應義塾大

学大学院健康マネジメント研究科・スポーツ医学研究センター、3)慶應義塾大学大学院健康マネジメント研

究科

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一般演題(8) 9月4日(日) 13:20 ~14:35 第3会場(中会議室)

地域・運動継続

座長:齋藤 義信(慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科・ スポーツ医学研究センター)

O-30: 宿泊型新保健指導(Smart Life Stay)における運動実施の行動変容について ◯小熊 祐子1)、松下 まどか2)、村本 あき子2)、野村 恵里 2)、矢部 大介 3)、佐野 喜子 4)、八谷 寛 5)、 荒川 雅志 6)、樺山 舞 7)、津下 一代 2) 1) 慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター、2) あいち健康の森 健康科学総合センター、3) 関西電力医学研

究所 糖尿病・内分泌研究部、4) 神奈川県立保健福祉大学大学院、5) 藤田保健衛生大学 医学部、6) 琉球大学

観光産業科学部 観光科学科、7) 大阪大学大学院 医学系研究科

O-31: 健康増進施設利用者の運動中断率抑制を目指した取り組み ◯大久保 徳人、松儀 怜、勝木 達夫、後藤 伸介、勝木 保夫 公益財団法人 北陸体力科学研究所

O-32: 地域リハビリテーション活動支援事業での地域づくり ─平成 28 年 4月からの和歌山県和歌山市での活動─ ◯池田 一樹 1)、龍神 正導 2) 1) 医療法人スミヤ 角谷リハビリテーション病院、2) 医療法人真正会 龍神整形外科

O-33: 住民主体の介護予防の促進 ─リハビリテーション専門職と協働した取り組み─ ◯田村 隆明1)、有田 幹雄 2)、林 京平3) 1) 和歌山県紀の川市 保健福祉部 高齢介護課、2) 和歌山県立医科大学、3) 社会医療法人三車会 貴志川リハ

ビリテーション病院

O-34: 地域介入における身体活動量の変化と社会参加の関係 ◯嶋田 愛、佐藤 真治、大槻 伸吾 大阪産業大学

会 長 講 演教育講演(1)教育講演(2)教育講演(3)教育講演(4)教育講演(5)教育講演(6)教育講演(7)教育講演(8)

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慶応義塾大学スポーツ医学研究センター

 本会長講演では,今回の学術集会の構成にからめて,運動療法の未来予測を試みる.理事・評議員の先生方からご提案いただいた企画

テーマや,一般演題の傾向から伺われる問題意識の所在と,今後,確実に起こる社会変化から,運動療法の未来予測を行い本学術集会全

体のまとめとしたい.

 確実なのは,今後15年間,後期高齢者が増加し,生産年齢と小児人口はずっと減少し続けること.数十万人規模の難民でも社会の混乱

をまねくので,人口構成が大きく変わるような移民が可能なはずはなく,この変化は確実に到来する.

 一方,医療の高度先進化により,総量が決められる医療費に占める食事や運動療法の割合は不変または減少するだろう.医療の範疇の

運動療法は,心臓リハビリテーションなど従来の分野に加え,生活習慣病では合併症の重症化予防,COPD・慢性肝炎・CKDなど今まで積

極的な運動療法の対象とされなかった疾患に関心が集まりつつある.基幹病院で運動療法の場が確保されれば,様々の分野で運動への

認識が進むだろう.

 これに対し,生活習慣病予防は,特定保健指導,データヘルス計画など職域で推進する政策が打ち出されている.生活習慣病は当初は

無症状で数十%が未受療者となるので,生活習慣病予防が医療機関から職域に移行する趨勢は妥当といえる.今後,保健指導の効果・継

続性の検証と,指導者の知識・技能など専門性の向上が課題である.予防の対象となる若年成人は数が少なく,時間的,経済的余裕に乏し

い.しかし,その希少性が重要とされる局面をうまく利用すれば,運動・身体活動の推進が可能かもしれない.また,本学術集会では触れら

れていないが,小児の身体活動(食育とともに大切),妊娠糖尿病妊婦(糖尿病1次予防のターゲット)対策は,未来を支える人材の健康に

関わる問題として優先度が高いと思う.

 高齢者では,今回の学術集会では,予防については地域の対策,有疾患者においても,疾患のみならず虚弱や認知機能低下を予防する

運動の重要性,さらには,介護する者のサポート手段としての運動療法がテーマとなった.

 病態に目を転じると,高齢者の骨格筋組織の変化は,筋力低下の一因になると同時に,エネルギー消費量や耐糖能にも影響を及ぼす

可能性が高い.高齢者の脆弱性と,代謝異常,エネルギー消費量の低下,さらにこれに伴うエネルギー摂取量の減少で生じる栄養素不足

は,互いに関連しているかもしれない.我が国の食事療法は,糖尿病などの生活習慣病で体重1kgあたり25〜30kcalという過小なエネ

ルギー摂取量が処方されている.これは,食事療法の遵守をかえって困難にする可能性があるだけでなく,生活習慣病が問題となる中年

者と,脆弱性が問題となる高齢者の食事療法の分断をもたらし混乱の原因となっている.様々な対象のエネルギー必要量を明らかにする

ことで,食事療法においても中年から高齢者を連続的に理解でき,運動療法と合わせた病態の改善に寄与するだろう.

 運動・身体活動の実施では,ウェアラブル端末の進歩が今後大きな影響をもたらすと予想する.活動量計で身体活動を評価した近年の

研究では,従来の運動処方の頻度や時間の条件に当てはまらない多様な身体活動の有効性が認められる.ウァラブル端末からは,身体

活動の総量だけでなく,日内・週内の分布など身体活動パターンの長期間の情報が集積される.フィードバックの方法を工夫すれば,FITT

(頻度,強度,時間,種類)プリンシプルで指示する従来の運動処方と異なるアプローチで,個人や集団(職域)の活動量増加が可能かもし

れない.

 すべての人に情報を届けることは難しく,啓蒙や教育は常に重要だと日々実感する.しかし一方で,教育や啓蒙に乗らない人では,マー

ケティングによって活動量を増やすことも考慮する価値がある.本人が楽しいと感じる物事には,ひとは喜んで時間やお金,労力を費やす.

それならば,旅に出て気づきを得させる(ヘルスツーリズム)のも一つの方法であるし,本人が楽しいと感じるアクティブレジャー(身体活動

を伴う余暇活動)に参加すれば,無意識のうちに身体活動量は上がる.こうした健康や運動と無関係と考えられていた分野も,質を担保さ

せる仕組み作りができれば,従来の健康運動に関心のない層に行動変容をもたらし,広義の健康運動として成立する可能性がある.

 学術集会の演題から,医療の枠組みの中と外で起こっている変化を見ると,異なる職種の連携の必要性が痛感される.個々の対象者の

状況を明確にしたうえで,運動療法を始める際のメディカルチェックからその後の運動・身体活動の進め方について,医療機関,職域,地

域,企業の多職種の連携を進めることが,運動療法の未来に重要と感じている.

勝川史憲

運動・身体活動の臨床を考える

会長講演 9 月 3 日(土)13:20 〜 13:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

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1)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所

2)独立行政法人日本学術振興会

有所見者などの体力低位者を対象に「高強度インターバル運動」を適用させる研究報告が増えている。高強度イン

ターバル運動は2つのタイプに分けられる。有酸素系(high-intensity intervalaerobictraining:HIAT)とスプリン

ト系(sprint interval training:SIT)である。HIATは、高負荷(VO2peak時負荷量の80%など)での数分間の自転車

漕ぎ運動やランニング運動を、低~中負荷での運動を挿んで数回繰り返すものであり、SITは、負荷をかなり高く設定

(all-out時負荷量など)した上で、高回転での15〜30秒間の自転車漕ぎ運動を、休息期を挿んで数回繰り返すもの

である。HIATやSITの主な利点は、一定の効果を確保しつつ、運動の所要時間を短縮できる点にある。疾患者がおこ

なうトレーニングとしてはSITよりHIATが適しているとされる。HIATのプロトコルとしては4×4-minプロトコルが著

名であり、研究報告も多い。しかし、4×4-minHIATは所要時間が比較的長いため、体力低位者にはかなりきつい

運動となる。それに対し、その他の研究で用いられているHIATプロトコル(10×1-min、5×2-min、3×3-min)

は、運動量と運動時間を少なくし、実践者への負担が軽減されている。我々は3×3-minHIATを推奨している。この

プロトコルの特徴は、体力低位者でも、長期間、日常的に取り組める点である。運動非習慣者を対象に、3×3-min

HIATと45分間の中強度持続性運動(MICT,所要時間と運動量がHIATの2倍程)とを比較する実験をおこなった結

果、HIAT群のVO2peakの増加がMICT群を上回り、心臓や自律神経機能に及ぼす影響もHIAT群が大きい傾向が見

られた。最近では、メタボリックシンドローム該当者や高齢者を対象に、3×3-minHIATを適用する実験をおこなっ

ている。講演ではそれらの研究内容と共に、HIATの利点やその課題に関する筆者らの見解を紹介したい。

◯松尾知明1)、蘇 リナ1)、大須賀洋祐2)

高強度インターバルトレーニングの長所・短所

教育講演(1) 9 月 3 日 ( 土 )10:00 〜 11:00 第2会場(大会議室)座長:有田 幹雄(角谷リハビリテーション病院)

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国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部

エネルギー消費量は、様々な活動の強度やエネルギー必要量を知る上での指標となる。個別の活動時におけるエ

ネルギー消費量を知るための最も正確な方法は、呼気分析による間接熱量測定であり、呼吸商から基質利用も評価

できる。ただし、測定前の食事の組成やエネルギーバランスの影響を強く受けるため、基質利用を検討したい場合

は、測定条件を厳密にコントロールする必要がある。活動強度の指標としては、一般にメッツが用いられる。メッツは

座位安静時に対する活動時の酸素摂取量あるいはエネルギー消費量の比であるが、座位安静時の値として3.5mL/

kg/分を利用するか個人の測定値にするかなどによって値が異なる。個人間差についての配慮も必要である。

現時点で一日当たりの総エネルギー消費量を求める最も正確な方法は、二重標識水(doubly labeledwater :

DLW)法である。対象者の負担が比較的少なく2週間程度の平均の総エネルギー消費量が得られるが、5%程度以

上の誤差は覚悟する必要がある。また、コストがかかり、分析可能な施設が少ないという問題もある。それに対して、

いわゆる活動量計は最近進歩しており、日常生活の身体活動を知る方法として期待できる。身体活動によるエネル

ギーは総エネルギー消費量の3割程度であるが、最も変動が大きく推定が難しい。活動量計は、一般に加速度情報

などから身体活動量、ひいては総エネルギー消費量を推定する。DLW法と違って、経時的な変化を追跡することが

でき、例えば「どのような強度の活動が多かったか?」「どの時間帯に動いていたか?」といった情報を得ることがで

きる。最近は、座位行動時間やその中断(break)などが注目されており、姿勢や動作の種類を判別する方法の開発

が進みつつある。ただし現時点では、加速度センサーや強度を推定するアルゴリズムなどが活動量計によって大き

く異なり、総エネルギー消費量については平均500kcal/日程度の機種間差もありうるため、機種の選定や得られた

データの解釈には注意を要する。

田中茂穂

エネルギー消費量・身体活動量の評価法:原理とその応用

教育講演(2) 9 月 3 日 ( 土 )11:00 〜 12:00 第2会場(大会議室)座長:川久保 清(共立女子大学 家政学部 食物栄養学科)

34

国立健康・栄養研究所情報センター

サプリメントの利用が広がっている。サプリメントとは、特定成分が濃縮された錠剤・カプセルの製品を指し、日本で

は食品のカテゴリーで流通しているものが該当する。その形態から、特定成分が効率的に摂取できる一方、通常の

食品からよりもはるかに多量の成分を容易に摂取できてしまう。したがって、たんぱく質やビタミン・ミネラルなどの

栄養素であっても、継続的な過剰摂取による健康障害が生じる可能性が危惧される。本講演では、消費者を指導す

るために専門職が把握すべき、サプリメントの実態と摂取状況、その問題点について紹介したい。

 日本国内において、何らかの「からだによい」とする機能表示ができる食品は、保健機能食品(特定保健用食品、

栄養機能食品、機能性表示食品)に限られる。それ以外の一般食品(いわゆる健康食品)には機能表示ができない

ため、体験談などにより機能等が暗示されている。市場に出回るサプリメントの大部分はこのようないわゆる健康食

品と想定される。サプリメントはあくまで食品の一つであり、医薬品のような徹底した品質管理がなされていない。ま

た、含有成分もビタミン・ミネラル等の栄養素から、安全性が未検証の天然・自然を標榜したハーブまで多種多様で

ある。

 サプリメントの利用率は、高齢、女性、都市部、健康に気を付けている人で高いことが報告されている。一方で小児

や妊婦による利用も見受けられ、若年女性ではダイエット関連製品による健康被害が多いなど、性・年齢によって特

徴が異なる。医療関係者に伝えずに病気の予防や治療効果を期待して利用している人も見受けられる。

 サプリメントによる健康被害を防止するためには、消費者が食品の機能表示制度を正しく理解し、製品の利用によ

る利点と欠点の両方を認識し、適切な製品選択と活用ができる環境が求められている。そのためには専門職が繰り

返し情報提供をしていく取り組みが必要である。

佐藤陽子

サプリメントの摂取状況と問題点

教育講演(3) 9 月 3 日 ( 土 )14:00 〜 15:00 第2会場(大会議室)座長:髙波 嘉一(大妻女子大学 家政学部 食物学科)

35

東京医科大学健康増進スポーツ医学分野

糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病に対する運動療法には多くのエビデンスが蓄積されており、各種診

療ガイドラインにおいて初期治療として積極的に実施することが推奨されている。また、特定健康診査・特定保健指

導が開始されてからは、医師や運動指導専門家のみならず、栄養士、保健師、薬剤師などの運動指導が専門ではな

い職種の人が運動指導に関わる機会も増えている。運動療法は、適応のある対象者に対して適切な方法で実施す

れば効果的である一方で、禁忌である対象者に対して実施すると十分な効果が得られないばかりか、障害を発生す

る危険性もある。

糖尿病では、空腹時血糖値が250mg/dl以上または尿中ケトン体が中等度以上陽性の場合など、コントロールが不

良の場合には運動療法は禁止または制限される。また、高血圧では収縮期血圧180mmHg未満かつ/または拡張

期血圧110mmHg未満で心血管病のない場合に運動療法の対象となり、収縮期血圧180mmHg以上かつ/また

は拡張期血圧110mmHg以上の場合には降圧後に運動療法を実施することとなっている。その他にも腎不全、肺

疾患、骨・関節疾患などを有する場合にも運動療法に実施には注意が必要となってくる。このため運動療法を開始

する前には、自覚症状や既往歴などの問診や質問紙によるチェックを実施し、必要に応じて専門家によるメディカル

チェックを行うことが必要となる。このように、運動療法は場合によっては制限や禁止されることもあるため、運動指

導に携わる場合には、運動療法の禁忌、適応や注意事項に関して十分に理解する必要があるが、同時に殆どの人に

とって、運動は安全に実施することが可能であることも認識する必要がある。

本講演では、運動療法を専門としない人を主な対象として、今後の運動指導に自信を持って望めるようになることを

目的とする。運動療法の禁忌および適応、各種ガイドラインにおける運動療法の位置づけ、運動開始前のメディカル

チェック、有酸素運動やレジスタンス運動の効果、運動強度とエネルギー消費量の関係などを概説する。

村瀬訓生

非専門家のための運動療法の基礎知識

教育講演(4) 9 月 3 日 ( 土 )15:00 〜 16:00 第2会場(大会議室)座長:下光 輝一(公益財団法人 健康・体力づくり事業財団)

36

国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター

認知症は加齢に伴い有病率が上昇し、わが国をはじめとする世界における高齢者の増加に伴い、患者数が急

増している。認知症に対する根治療法が求められる中、予防ないし発症遅延を目指したプログラム開発も重要

な課題である。認知症に対する予防ないし発症遅延は、出来るだけ早期から取り組むべきと考えられるが、軽

度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)に対する取り組みを優先的に実施する必要がある。MCIは認

知症の前駆段階で、認知症ではないが客観的認知機能低下がみられる状態とされ、地域在住高齢者において

は10〜20%程度存在していると報告されている。MCIを有する者は認知症への移行リスクが高い反面、ある

一定の割合で認知機能が正常域へ移行することが確認されており、注目すべき対象層として捉えられている。

MCIを改善させる方法として有用性が高いと考えられているものの一つに、運動の実施があげられる。身体活動量

低下や身体機能低下が認知症の発症リスクとなることが示され、身体活動量を高く保つことが認知機能向上や脳

萎縮を抑制することに関連していると報告されている。さらに、健常高齢者を対象にした効果検証研究によって運動

が認知機能向上に寄与することも報告された。一方、MCIに対する運動の効果に関してエビデンスの蓄積は十分と

は言い難いが、有酸素運動の実施や同時課題(dual-task)による運動の実施などの効果が確認されている。運動に

よる介入は、特別な機器を必要とせず、比較的コストも低いため、地域において実践しやすいプログラムの一つであ

り、認知症予防ないし発症遅延を目指して積極的に実施する必要があると考えられる。また、認知症予防を考える上

では身体活動だけでなく、知的活動や社会活動などの活動を含むライフスタイル自体への包括的な取り組みが今

後必要であると考えられる。

土井剛彦

軽度認知障害の早期発見と運動効果に関する最新のエビデンス

教育講演(5) 9 月 3 日 ( 土 )16:00 〜 17:00 第2会場(大会議室)座長:朽木 勤(公益財団法人 明治安田厚生事業団)

37

国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部

ヒトの生涯において、一般的には筋力は20〜40代でピークに到達し、その後は加齢とともに筋力は低下する。様々

な計測法による骨格筋量(skeletalmusclemass;SMM)の加齢変化について系統的レビューを行った研究では、若

齢成人(18〜45歳)と高齢者(65歳以上)を比較した場合、SMMは、1年に男性で平均的には0.47%、女性で0.37%

程度しか低下しない。筋量の低下はある年齢(i.e.50-65歳)以上で低下率が高い可能性もあるが、65歳以上の高齢

者の5〜12.2年の縦断研究の結果でもおおよそ0.5〜1%程度である。すなわち、筋力の低下に比べて、骨格筋量や

除脂肪量の加齢変化はなだらかであり、除脂肪量や骨格筋量を計測するだけでは高齢者の身体機能や栄養状態を

精確に評価するには問題がある。部位別生体電気インピーダンス分光法(S-BIS)は、臨床現場で利活用でき、さらに

除脂肪組織の組織内組成を評価できる極めてユニークなツールである。筋細胞膜はリン脂質二重層で構成されて

おり、交流電流回路上ではキャパシタ(コンデンサ,capacitor)として働き、低周波数の交流電流は細胞内に透過で

きず、主に細胞外液区画のみを通過する。一方、高周波数の交流電流は細胞内区画も透過する。S-BISはこのような

細胞膜の電気特性を評価しながら、除脂肪組織を評価する。本講演ではS-BISの長所と短所に関する最新の知見を

紹介する。

山田陽介

生体インピーダンス法による除脂肪組織・骨格筋の評価

教育講演(6) 9月 3 日 ( 土 )17:00 〜 18:00 第2会場(大会議室)座長:藤本 繁夫(相愛大学 人間発達学部 発達栄養学科)

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横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科

リハビリテーション(以下、リハ)栄養とは、栄養状態も含めて国際生活機能分類で評価を行ったうえで、障害者や高

齢者の機能、活動、参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである。リハ施設に入院している高齢者の約

半数に低栄養やサルコペニアを認め、低栄養やサルコペニアを認めるとリハの予後が悪い。そのため、低栄養やサ

ルコペニアの評価と対応は重要である。

サルコペニアは進行性、全身性に認める筋肉量減少と筋力低下であり、身体機能障害、QOL低下、死のリスクを伴

う。日本では超高齢化の進行とともに、サルコペニアの高齢者、障害者が増加している。また、サルコペニアと低栄養

は、フレイルの中核要因である。つまり、低栄養やサルコペニア対策は、フレイル高齢者の障害予防にも重要である。

サルコペニアの原因は、原発性である加齢と、二次性である活動(廃用、安静臥床、絶食)、栄養(飢餓、不適切な栄養

管理)、疾患(侵襲、悪液質、神経筋疾患)の4つに分類される。障害者のサルコペニアでは、すべての原因を認めるこ

とが多い。

サルコペニアの治療は原因によって異なり、リハ栄養の考え方が有用である。加齢が原因の場合、レジスタンスト

レーニングと分岐鎖アミノ酸を含む栄養剤摂取の併用が最も効果的である。活動が原因の場合、不要な閉じこもり

や安静臥床を避けて、外出機会を作ることや早期離床を行い、全身の筋肉量を減少させないことが予防、治療であ

る。栄養が原因の場合、1日エネルギー必要量=1日エネルギー消費量+エネルギー蓄積量(1日200〜750kcal)と

した攻めの栄養管理で体重を増加させることが治療となる。低栄養で体重減少を認める場合、筋肉量増加目的のレ

ジスタンストレーニングや、持久性改善目的の持久性トレーニングは禁忌である。疾患が原因の場合、原疾患の治療

と適切な栄養療法、運動療法を併用する。栄養ケアなくしてリハなし、栄養はリハのバイタルサインである。

若林秀隆

リハビリテーションと栄養管理

教育講演(7) 9月 4 日 ( 日 )9:10 〜 10:10 第2会場(大会議室)座長:大宮 一人(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 循環器内科)

39

東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科

日本は皆保険などの公的医療サービスの充実に伴い、世界に冠たる長寿国となった。そこでさらなる視点として、

平均寿命だけでなく「健康寿命」の延伸が重要視されており、高齢期では疾患予防と併せ「危険な老化の早期発

見・早期対処」が重要視され、介護予防サービスが整備された。近年、さらにその上流の概念としてフレイル(虚

弱:Frailty)が注目され、厚労省も「加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能など)が低下し、生活機能

障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態」と定義し、総合的なフレイル対策が検討されている。

口腔に目を転じると、8020運動達成者が5割に近づこうとしており、高齢者の咀嚼(口腔)機能をより向上さ

せるためには、歯数維持を中心とした口腔疾患予だけでなく、口腔においても「危険な老化の早期発見・早期

対処」の視点が求められている。平成25年度厚生労働省事業「食(栄養)および口腔機能に着目した加齢症

候群の概念の確立と介護予防(虚弱化予防)から要介護状態に至る口腔ケアの包括的対策の構築に関する

研究」報告書にて「オーラルフレイル」が提言された。オーラルフレイル概念図作成過程において、これまでの

日本の大規模臨床研究をシステマティックレビューという形でまとめ、同時にまだ研究として未着手の分野

の同定も並行して行った。平成27年、日本歯科医師会は以上の提言を受け、8020運動に加え健康長寿をサ

ポートするべく「オーラル・フレイルの予防」という新たな考え方を示しその情報発信をHP上で行っている。

当日はオーラルフレイルの概念、さらには口腔機能を主眼としたオーラルフレイルの評価法に関して概説させて頂く。

平野浩彦

オーラルフレイルの概念とその評価

教育講演(8) 9月 4 日 ( 日 )10:10 〜 11:10 第2会場(大会議室)座長:小山 照幸(東京都健康長寿医療センター リハビリテーション科)

シンポジウム(1)「代謝性疾患としてのサルコペニア」

座長: 石井 好二郎(同志社大学 スポーツ健康科学部)

中島 敏明(獨協医科大学 ハートセンター)

サルコペニアはRosenberg(1989)により「加齢による骨格筋量の減少」として提唱された。現在では身体機能(歩行

速度)および筋力の低下を含むことが推奨されている。しかし、サルコペニアは運動器の問題だけでなく、代謝性疾

患とも関連が見られる。本シンポジウムでは、サルコペニアの定義や診断基準、早期発見のための方法、運動による

骨格筋の代謝改善などから、一次予防から三次予防までの運動療法の可能性について議論する。

ねらい

43

同志社大学スポーツ健康科学部

サルコペニア肥満は1996年にUCLA医学部教授のHeberらによって提唱された。Heberらは306名の肥満者

の中で生体インピーダンス法による骨格筋量が少ない集団をサルコペニア肥満として定義している。現在,サ

ルコペニアの診断基準では,四肢骨格筋量(AMM:appendicularmusclemass)を身長の二乗で除した骨格

筋指数(SMI: skeletalmusclemass index)=AMM(kg)/身長(m)2が骨格筋量の評価に用いられており,SMI

の低下に身体機能(歩行速度)および筋力の低下を含んだ状態をサルコペニアと定義している。したがって,サ

ルコペニア肥満提唱者のHeberらの述べるサルコペニア肥満者は,現在ではサルコペニアでは可能性もある。

 わが国において,肥満は「脂肪組織が過剰に蓄積した状態で,BMI(body mas s i ndex) 25kg/

m 2 以上のもの」と定義されている。一方,サルコペニア肥満における肥満の判定には BM I,

体脂肪率,体脂肪量,ウエスト周囲長,内臓脂肪などが用いられており統一されてはいない。

 サルコペニア肥満とは肥満とサルコペニアの両者を兼ね備えた状態であると理解されている。しかしながら,サル

コペニア肥満の定義や診断基準は未だ定まっていない。サルコペニア肥満に関する先行研究は,肥満とサルコペニ

アの判定基準の種類,基準値,ならびに組み合わせが様々であることを認識しなければならない。また,サルコペニ

ア対象者のほとんどは低体重であり,肥満とは認識されにくい。したがって,サルコペニア肥満は「サルコペニアand

肥満」とは違った新たな概念が必要であるかもしれない。

石井好二郎

サルコペニア肥満の虚像と実像

S1-1

シンポジウム(1) 9月 3 日 ( 土 )10:00 〜 11:30 第1会場(シンポジウムスペース)座長:石井 好二郎(同志社大学 スポーツ健康科学部)、中島 敏明(獨協医科大学 ハートセンター)

44

国立長寿医療研究センター

加齢とともに身体組成や代謝に変化が認められる。20歳から70歳にかけて除脂肪体重が約40%減少

するが、この変化は主として筋肉量の減少によりもたらされる。一方で、脂肪量は年齢とともに増加する。

また、脂肪は加齢とともに脂肪組織だけではなく、筋肉や肝臓においても蓄積する。筋肉、脂肪組織、肝

臓はいずれもインスリンの標的臓器であり、これらの臓器における脂肪蓄積はインスリン抵抗性に影響

を及ぼし、加齢とともに糖尿病や高血圧の頻度が増加することになる。同時に加齢は重要な心血管疾患

の危険因子であることから、これらの臓器への脂肪蓄積とともに心血管疾患の合併頻度は高くなる。脳卒

中を含む心血管疾患の合併により、高齢者のADL、QOLは著明に低下し、要介護にも繋がるため、中年期

から前期高齢期にかけての肥満の是正によるメタボリックシンドロームの克服はきわめて重要である。

 肥満にサルコペニアが合併する病態はサルコペニア肥満と呼ばれ、転倒リスクの高いサルコペニアに比べ、さら

にそのリスクが高くなる。サルコペニア肥満の原因として、中年期からの肥満、メタボリックシンドロームに対する対

策が十分でない状況で、身体活動性が向上しないまま、食事療法を継続する結果、肥満が是正されずに筋肉量が減

少することが考えられる。肥満を伴わないサルコペニアの場合には低栄養を伴うことが多く、高タンパク食を推奨す

るが、サルコペニア肥満においてはむしろ栄養の偏りのほうが問題のことが多く、高タンパク食に加え、総カロリーへ

の配慮も必要となる。そのため管理栄養士や運動指導士または理学療法士を加えた多職種連携により介入すること

が望ましい。すなわち、サルコペニア肥満に対しては、適切な食事療法に加え、有酸素運動とレジスタンストレーニン

グによる運動療法を行うことが望ましい。

荒井秀典

サルコペニア肥満の病態と意義

S1-2

シンポジウム(1) 9月 3 日 ( 土 )10:00 〜 11:30 第1会場(シンポジウムスペース)座長:石井 好二郎(同志社大学 スポーツ健康科学部)、中島 敏明(獨協医科大学 ハートセンター)

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1)北翔大学大学院生涯スポーツ研究科生涯スポーツ学部スポーツ教育学科

2)北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学

運動を掌る骨格筋は、人体最大の器官であり、糖代謝において極めて重要な役割を果たしている。有酸

素運動、レジスタンス運動に関わらず、骨格筋のトレーニングにより糖代謝が改善されることはよく知ら

れている。一方、インスリン抵抗性を示す患者および2型糖尿病患者では運動耐容能が低下しており、そ

の程度が心血管リスク、生命予後の独立した予測因子になることが報告されている。しかしながら、長期

に経過して合併症を併発すれば、複合的に運動耐容能に悪影響を及ぼすのは当然であるが、インスリン

抵抗性そのものが骨格筋機能や運動耐容能を低下させるメカニズムについては未だ明らかではない。

 我々は、インスリン抵抗性を有するメタボリック症候群患者において、運動耐容能、骨格筋内エネルギー代謝、筋

細胞内脂肪および酸化ストレスを測定し、患者群では運動耐容能の低下、骨格筋内エネルギー代謝の障害、筋細胞

内脂肪の蓄積がみられ、それらが相互に関連していること、さらに全身性の酸化ストレスがこれらの病態に密接に関

連していることを明らかにした。また、基礎研究および臨床研究において糖代謝異常に伴って起こる骨格筋の障害

や酸化ストレスの亢進が、Nox活性阻害剤・アポサイニン、ピオグリタゾン、アンギオテンシン受容体拮抗薬などによ

り改善することも明らかにした。現在の糖尿病治療は、血糖降下と併存する血圧、脂質の管理が主軸であり、進歩は

著しいようにみえる。しかしながら、この40年以上にわたり糖尿病患者の平均寿命は一般者に比較して男性で約-10

年、女性で約-13年であり、一向に差が縮まる様相はみられない。今回は、骨格筋の障害に焦点をあて、視点を変えた

糖代謝異常への対策・治療についてレビューする。

◯沖田孝一1)、高田真吾2)、高橋将成2)、平林 鑑2)、横田 卓2)、絹川真太郎2)

糖代謝異常にみられる運動耐容能低下と骨格筋障害について

S1-3

シンポジウム(1) 9月 3 日 ( 土 )10:00 〜 11:30 第1会場(シンポジウムスペース)座長:石井 好二郎(同志社大学 スポーツ健康科学部)、中島 敏明(獨協医科大学 ハートセンター)

シンポジウム(2)「運動療法に関わる医療現場・メディカルスタッフ・学会

の連携」

座長: 永富 良一 (東北大学大学院 医工学研究科)

木村 穣 (関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

健康増進から疾患の予防,治療にいたるまで,身体活動,運動の有効性が示されており,わが国ではこうした身体活

動,運動療法を,多くの医療現場,運動指導者,研究者が担っている.

 医療機関で医師が運動を指示する運動療法の有効性は高いが,長期の継続が難しい場合も多い.また,医療機

関では,肥満・代謝疾患,循環器,呼吸器疾患,ロコモーティブシンドロームなどの重複障害に対する運動療法の

ニーズが高く,病態に合わせた対応と,指導内容,ガイドラインの周知が必要となっている.

 一方,運動,身体活動の予防的側面に目を向けると,医療機関でも予防のための運動の重要性が高まっており,ま

た,医療機関の枠組みを離れた一般社会では,食事や睡眠,ストレス,マネジメント等,運動以外の生活習慣全般の

啓発,教育の中で,運動は重要な位置を占める.

 本シンポジウムは,運動・身体活動をこうした広いスペクトラムの中でとらえ,運動・身体活動の普及のための医療

現場,運動指導者,学会の連携のあり方について検討を行なうことを目的とする.各演者は,研究者,運動指導者,臨

床家それぞれの立場から,運動のベネフィットとリスク(演者:永富良一),我が国の身体活動・運動の現状と課題(演

者:宮地元彦),健幸華齢(successfulaging)のためのエクササイズの意義(演者:笹井浩行),運動療法の普及を目

指す日米の今,そしてこれから:ExeiciseIsMedicineを中心に(演者:佐藤真治),42条施設ならびに健康運動指導

士が抱える問題と課題(演者:野崎真道),運動,運動療法の普及について(演者:長濱隆史)講演する.これにより,

本学会に参加する多様な職種の聴衆が,運動療法,身体活動における医療現場,運動指導者,学会の望ましい連携

のあり方について考える機会とする.

ねらい

49

東北大学大学院医工学研究科

新しい医療機器が治療機器として我が国における保険医療体制の中で使用できされるためには、ベネ

フィットがリスクを上回ることが臨床試験を経て示されることが最低の条件である。身体活動の増加や不

活動時間の減少は循環器疾患のリスクを軽減する豊富な裏付けがある。糖尿病、高血圧や脂質異常症

がある患者の二次予防においてもリスクの軽減に有用である。しかしリスクの軽減は、医療機器や薬剤や

手術のように対象とした全て、あるいはほとんどの人にその効果が現れることを保証するものではない。

 運動の個別指導により、筋力・筋持久力・全身持久力・巧緻性などの体力要素を変化させることは可能である。

ただし医療として認められるには、それが疾病の予後に寄与していることを示す必要がある。高血圧や脂質異常

症の薬物療法と同程度の予後改善効果を示すことが必要であろう。また、仮にそでができたとしても適応のガイ

ドライン、運動の要件、運動にともなうリスク(副作用)のガイドラインを示すことが必要である。このように運動を

医学的な治療手段とするためにはリスク・ベネフィットの評価を明確にするとともに、個別化するためのアルゴリ

ズムを確立し、その明確な根拠を示すことが必要である。PMDAを頷かせるガイドライン確立は可能であろうか?

 このように考えると、我が国では少なくとも運動や身体活動は個人の自発的意思に基づく健康行動として教育

や公衆衛生の枠組の中で促され、「患者」になる前の取り組みとして位置づけられる方が妥当のように思える。もち

ろん「患者」であっても二次予防・三次予防に運動が有用である場合は少なくない。ただしその場合でも医療行為

として運動を定義するよりは、患者教育というより公衆衛生・健康福祉に近い取り組みが妥当のように考えられる。

 いずれの取り組みを選択するにしても医学教育の中に運動・食事を含めた生活習慣の科学が取り入れられること

が重要である。

永富良一

運動のベネフィットとリスク

S2-1

シンポジウム(2) 9月 3 日 ( 土 )14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:永富 良一(東北大学大学院 医工学研究科)、木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

50

国立健康・栄養研究所健康増進研究部

我が国では、健康づくりのための身体活動・運動に関する事項は厚生労働省が、体育・スポーツに関

しては文部科学省が担ってきた。さらにスポーツ庁が、文部科学省の外局として2015年10月1日に設

置され、スポーツの振興その他のスポーツに関する施策の総合的な推進を担うこととなり、身体活動、

運動、スポーツ、体育(以下身体活動・スポーツ)を取り巻く我が国の環境は転換期を迎えつつある。

 国民の身体活動ならびにスポーツの現状は、これまで二つの国の調査により把握されてきた。一つは厚

生労働省が実施する国民健康・栄養調査である。本調査の中で身体活動の指標とそして1日の歩行数(歩

数)、運動習慣者の割合として30分、週2日以上の運動を1年以上継続する者の割合を把握してきた。もう一

つは、文部科学省が実施してきた体力・運動能力調査である。ここでは、各種体力に加え、運動・スポーツの

実施状況を把握している。ともに長期にわたり実施されている調査であり、我が国の進退活動スポーツの

現状を把握する上で貴重な資料であり、身体活動・スポーツに関係する専門家にとって貴重な資料である。

 ここでは、これらの調査から示される我が国の身体活動・スポーツの現状を紹介し、その課題と対策について討論

したい。

宮地元彦

我が国の身体活動・運動の現状と課題

S2-2

シンポジウム(2) 9月 3 日 ( 土 )14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:永富 良一(東北大学大学院 医工学研究科)、木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

51

1)筑波大学医学医療系

2)筑波大学体育系スポーツ医学

 医療現場における運動療法(exercise ismedicine)の概念は、急性期心筋梗塞や脳梗塞の患者に向けた退院ま

での数日間のリハビリテーション、慢性維持期CKDに向けたベッド上での身体動作などに最も該当する。

 一方で,予防医学や健康増進分野における運動の効果もきわめて重要である。行政や健康指導専門家は、国民が

医療機関に安直に押し寄せることを抑える、防波堤の役割(1次予防)を担うべきである。本来、社会の長命化に伴

い防波堤を高くしなければならないのに、むしろ低くなっている逆行現象を食い止めなければならない。

 国民の健康長寿・健幸華齢(successfulaging)のためには、医療の質(precisionmedicine)、ストレス回避、食育・

栄養、体育・運動が重要だと考える。食事や運動の効果を引き出すには生活環境が肝要であり、今後は生活習慣病

予防から生活環境改善に啓発ギアをチェンジしていかねばならない。生活環境改善には、年齢を考慮した上での倫

理的に良質な医療提供や内服薬投与の再考、身体的のみならず精神的・社会的フレイル状態に対するサポート体

制の整備、低栄養や低血糖による早世予防(転倒骨折・交通事故の防止)対策などが含まれる。

 たとえば、心原性脳塞栓症は、遺伝的素因または生理的老化因子としての不整脈(心房細動など)、心臓弁膜症、

多血症などに加え、気象状態(高温多湿)、過度の肉体労働やスポーツによる脱水、水分・塩分不足状態でのサウナ

入浴、内服薬の中断などが重なると誘発しやすい。したがって、オーダーメイドの総合的かつ柔軟な対策が常に必要

である。

 一方、安直な測定や評価による偽陽性患者の創出は避けねばならない。サルコペニアは、病的老化と異なり、皮膚

が薄くなり、しわが増え、毛髪が減るように、筋肉が少なくなるという加齢性の現象、つまり生理的老化の側面を持っ

ている。生理的老化には個人差があり、病的老化との区別は難しい。個人差が著しい中で、その程度が平均よりも大

きいというだけで病気と見なして良いのだろうか。対象者側に寄り添った上で、測定・評価の精度向上と、具体的な

解決策の提案に取り組まなければならない。メタボリックシンドローム、脂質異常症、糖尿病、肥満症、高血圧症など

についても、「誤判定≒メディカルハラスメント」となる可能性を、研究者や医師、医療従事者は留意すべきである。

 健康分野の研究者や健康づくり指導者は、国民の健康長寿・健幸華齢に向けた真摯なメッセ―ジを出しながら、

実践面でも国民をリードしていかねばならない。

◯笹井浩行1)、田中喜代次2)

健幸華齢(successful aging)のためのエクササイズの意義

S2-3

シンポジウム(2) 9月 3 日 ( 土 )14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:永富 良一(東北大学大学院 医工学研究科)、木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

52

大阪産業大学人間環境学部スポーツ健康学科

有疾患者に対する運動療法が有効であることは言うまでもない。しかし、その理解や普及は遅々として進まな

い。このシンポジウムでは、アメリカスポーツ医学会(ACSM)が近年積極的に展開している運動療法普及プロ

ジェクトExercise IsMedicine(EIM)を映し鏡にして、これから日本の運動療法が進むべき道筋を考究したい。

【米国のEIMとは?】

2007年、ACSMは運動療法の普及とPhysical Inactivityの世界的撲滅を目指してEIMプロジェクトをスタートさせ

た。現在、40を超える国と地域がそのプログラムに参加し、国内にEIMNationalCenterを設置している。具体的な

行動目標は、①モデル校医学部におけるスポーツ医学のカリキュラム化、②クリニック向けの簡便な身体活動アセ

スメントツールの開発、③運動指導専門家と医師のネットワーク化による協働、⑤身体活動・運動と健康に関する啓

蒙活動、④EIM国際ネットワークの構築である。このうち、注目すべきは①と③であろう。すなわち、我が国と同様に米

国でも、運動療法の普及を妨げている大きな要因が「医師の不理解」と「医師と運動専門家の連携不足」であること

が透けて見える。ここでは、この二つの課題にEIMがどのように取り組み、どこまで成果を上げているかを紹介する。

【日本の運動療法はどう進むべきか?】

「一体、日本で運動療法を統括しているのは、どこの誰なのだ?」と、外国の研究者から尋ねられることがある(答えに

窮してしまう)。確かに、日本における運動療法の普及・促進に関する機能(学会・組織)は分散している。そこには利

点も欠点もあるが、「運動療法を普及させよう=社会を変えよう」という大きな課題の前には共通のプラットフォーム

の構築が必要となる。ここでは、そのプラットフォーム構築も含め、運動療法普及までのロードマップの一例を示し、

ゴール到達のシミュレーションを試みる。

佐藤真治

運 動 療 法 の 普 及 を 目 指 す 日 米 の 今、 そ し て こ れ か ら —Exercise Is Medicine を中心に

S2-4

シンポジウム(2) 9月 3 日 ( 土 )14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:永富 良一(東北大学大学院 医工学研究科)、木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

53

千葉中央メディカルセンター健康スポーツセンター

我が国では糖尿病約316万人、高血圧性疾患約1,011万人、高脂血症約206万人、心疾患約173万人と生活習慣病

患者数が年々増加の一途を辿り、また65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合は25.0%になり、高齢化と生

活習慣病患者の増加は避けようのない喫緊の問題となってきています。医療保険制度、介護保険制度が危急し脆弱

な今日、生活習慣病患者に対する運動療法、生活指導、行動変容は個人的にも社会的にもより必然性の高いものと

なってきています。

運動、生活活動を含む身体活動量の増加は、代謝性疾患や心疾患、運動器疾患といった生活習慣病の発症リスクを

抑え、これらの疾患の重症化、合併症予防に効果があると認められています。医療現場において疾病の1次予防およ

び2次予防のための運動療法の必要性は年々高まっており、健康運動指導士をはじめとする運動指導者の活躍が

期待されていますが、医療施設に従事する健康運動指導士は約1,000名と全体のわずか7%に過ぎません。

 医療現場における運動療法を実施する施設に医療法42条施設(42条施設)があります。42条施設は医療の監視

下において、生活習慣病その他の疾病に罹っている者、高齢者その他の疾病予防の必要性が高い者に対して適切

な保健指導及び運動指導を実施するため、厚生労働省が規定した運動療法施設です。他の運動施設とは異なり、医

師や看護師など医療従事者と運動指導者が連携を図り、安全かつ効果的な運動療法を提供できる42条施設の増

加が運動療法のさらなる普及に繋がると考えられます。

 しかし42条施設ならびに運動指導者は、潜在的な運動療法対象患者に対する運動療法の喚起、対象者の状態、

特徴に応じた運動指導ならびにリスク管理などの課題を抱えています。この講演では、生活習慣病患者に対応する

42条施設の取り組みと現状、課題などについて述べさせて頂く事で、今後の医療現場における運動療法の展開、普

及の一助となれば幸いです。

野崎真道

42 条施設ならびに健康運動指導士が抱える問題と課題

S2-5

シンポジウム(2) 9月 3 日 ( 土 )14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:永富 良一(東北大学大学院 医工学研究科)、木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

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医療法人社団健生会長浜医院,日本運動療法推進機構

運動、運動療法の対象者に対して包括的アプローチが必要である。運動療法のエビデンスは本学会でもその有効性

並びに重要性が発表されている

1)健康づくり,疾病予防,疾病治療にわたる広い範囲が対象

健康づくりと隣接する,疾病予防、疾病治療・管理,リハビリ等で2次(医療系)〜3次予防にアプローチする組織が

必要ではないか。その仕分けを誰が、どのようにし、そして誰がどこで何を提供するかが不詳であると考える。今般日

本医師会健康スポーツ医学委員会に所属し、27年度は「国民が運動・スポーツを通じて健康寿命を延ばすための

仕組みづくり」を川久保委員長のもと答申がまとめられた。

かかりつけ医機能として身体活動、運動、運動療法に対する接点で日医健康スポーツ医の立ち位置があり、専門性

のある仕事として健康寿命の延伸に係わるあらゆる現場でその知識、ライセンスが生かされることが必要である。同

時期に指導内容が内科系に整形外科系が加わり指導の幅が広がる。私たちは主に医)42条疾病予防運動施設等

を中心に場を提供しているが、今後どのような場でメニューを提供するかの検討も必要であろう。特保の範囲で時に

運動療法として実施されている。

2)運動指導者について

対象者、メニューによりリスクを抱えながらの現場であり,運動指導者,医師がいずれかが主体となるか、その立ち位

置で明確とする必要があり、その連携が必須である。健康運動指導士等のスキルアップ,新たな制度,資格の必要性

もある。多くのライセンスが目的に沿って国民に周知、社会的認知が必要である。又種々の指導内容、ガイドライン

の周知も必要であろう。

長濱隆史

運動、運動療法の普及について

S2-6

シンポジウム(2) 9月 3 日 ( 土 )14:00 〜 16:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:永富 良一(東北大学大学院 医工学研究科)、木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

シンポジウム(3)「生活習慣病の運動療法」

座長: 中田 由夫 (筑波大学 医学医療系)

曽根 博仁 (新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科)

運動実践が生活習慣病の予防や改善につながることを、ヒト集団を対象に明らかにすることは、疫学の範疇に含ま

れ、観察研究や介入研究によって、様々なエビデンスが創出されている。これらのエビデンスの集積により、糖尿病、

脳卒中、心臓血管疾患、がんなど、さまざまな疾病予防のガイドラインで、運動実践が推奨されるようになった。しか

しながら、当該分野におけるエビデンスの多くは観察研究によるものであり、介入研究によるエビデンスの蓄積は必

ずしも十分ではない。日本人を対象としたエビデンスに限ると、その数はさらに少なくなる。本シンポジウムの目的の

ひとつは、国内外の生活習慣病に対する運動療法のエビデンスを整理することである。

疫学研究の特徴は、運動⇒疾病予防の因果関係を、直接的に証明できることである。しかしながら、なぜ運動⇒疾病

予防につながるのか、というメカニズムについては明らかにすることができない。運動療法の重要性を患者に伝える

上では、そのメカニズムについても明らかになっていることが望ましい。この点についての知見を紹介することが、本

シンポジウムのもうひとつの目的である。

本シンポジウム演者とタイトルは下記のとおりである。

中田由夫(筑波大学):肥満に対する運動療法のエビデンス

曽根博仁(新潟大学):糖尿病・脂質異常症に対する運動療法のエビデンス

前田清司(筑波大学):運動療法による動脈硬化の改善

宮下政司(早稲田大学):運動療法による脂質代謝の改善

本シンポジウムを通じて、生活習慣病に対する運動療法のエビデンスを整理し、足りないエビデンスがあれば、それ

をどのように創出していけばよいか、という視点で議論したい。

ねらい

57

筑波大学医学医療系

肥満は世界的な健康関心事のひとつであり、肥満者に対する減量介入研究は数多く報告されている。代表的なラン

ダム化比較試験(RCT)としては、米国のDiabetesPreventionProgram(DPP)やLookAHEADstudyが挙げられる。

DPPは前糖尿病の肥満者3,234人を2.8年間追跡しており、LookAHEADstudyは糖尿病の肥満者5,145人を平均

9.6年間追跡している。これほど大型で長期的な介入研究は多くないが、2015年8月の検索結果では、肥満と運動に

関するRCTは1,654件確認されている(Nakataetal.,2015)。しかしながら、この中で日本の研究は28件であり、さら

に内容を確認すると、肥満と運動に関するRCTとして認められたのはわずか10件であった。RCTではない介入研究

については、より多くの報告があるが、RCTでなければ因果関係の直接的な証明には至らない。我々は、肥満者に対

するRCTを積極的に実施してきている(Nakataetal.,2011,2014)。倫理的な問題がなければ、より積極的にRCT

が実施され、日本発のエビデンスが発信されることが期待される。今後の課題として挙げられるのは、対照群の設定

である。通常の臨床試験では、標準治療群が対照群として扱われ、新しい治療法が介入群となり、両者を比較するこ

とによって、より良い治療法が提案される。一方、運動療法の分野においては、標準治療にあたるプログラムがない、

あるいは共通認識が得られていない。今後、日本発のエビデンスの発信を推進するためには、標準治療にあたるプ

ログラムを確立し、その有効性を「何もしない」対照群と比較し、その効果を示すところから始める必要がある。その

標準治療群と新しい運動療法群を比較することで、より有効性の高い運動療法のエビデンスを発信することができ

るのではないかと考える。

中田由夫

肥満に対する運動療法のエビデンス

S3-1

シンポジウム(3) 9月 3 日 ( 土 )16:10 〜 18:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:中田 由夫(筑波大学 医学医療系)、曽根 博仁(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科)

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新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科

生活習慣病の予防治療において運動療法は重要であるが、専門スタッフや指導設備を備えた医療施設は少なく、そ

の実施体制は極めて貧弱である。しかし最近の臨床疫学的エビデンスは、適切かつ十分に行われれば、運動療法は

極めて大きな効果を持つことを示唆している。

1.2型糖尿病患者における身体活動量と合併症・寿命との関係

我々のコホート研究(Diabetologia56:1021)において、運動量により対象者1702人を3分位に分けて検討したとこ

ろ、運動量が最も多かった3分位の患者では、最少3分位の患者と比較して、脳卒中と全原因死亡のリスクがいずれ

も半減していた。メタアナリシス(DiabetesCare36:471)においても、各研究で身体活動が最も少ない群(ほとんど

が1日運動時間30分未満)を基準としたときの、最も多い群(多くが1日運動時間30分以上)の心血管疾患または

全死亡のリスクは、それぞれ約30%、約40%有意に減少していた。

2.善玉(HDL)コレステロールを増やすのに適した運動法

運動はHDLコレステロールを増加させるが、そのために適切な運動条件を検討するためにメタアナリシス(Arch

InternMed167:999)を行った。その結果、週120分以上の有酸素運動が必要で、上昇度は、運動強度や頻度でな

く一回の運動時間に比例することが明らかになった。

3.心肺フィットネス(CRF)と動脈硬化疾患との関連

CRFと動脈硬化疾患との関連をメタアナリシス(JAMA301:2024)で検討したところ、CRFは血圧や血清脂質などの

他因子とは独立した動脈硬化疾患のリスク因子であり、1MET上昇毎に17%のリスク減少がみられ、動脈硬化疾患

予防のためには、50歳男性で8METsのCRFが必要であることが明らかになった。

結論

運動療法は生活習慣病抑制を通じた健康寿命延伸に大きな効果を有する。今後、臨床疫学研究がさらに充実し、そ

のエビデンスに基づく科学的運動処方とその実行をサポートする社会システムが整備されれば、運動療法は国民の

健康長寿に大きく寄与するはずである。

曽根博仁

糖尿病・脂質異常を中心とした生活習慣病に対する運動の効果

S3-2

シンポジウム(3) 9月 3 日 ( 土 )16:10 〜 18:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:中田 由夫(筑波大学 医学医療系)、曽根 博仁(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科)

59

筑波大学体育系スポーツ医学

加齢に伴って大動脈などの中心動脈の硬化度は増大する。また、運動不足や過食などの生活習慣も、動脈の硬化度

を増大させる。動脈硬化度の増大は、心血管疾患の独立した危険因子になることから、動脈硬化度の増大を抑制・

改善することは重要な課題であると考えられる。身体活動量の増加や定期的な有酸素性運動(ウォーキングやジョ

ギングなど)には動脈硬化度を低下させる効果がある。定期的な有酸素性運動が動脈硬化度を低下させる効果は、

若年者から高齢者に至るまでどの年代でも明らかにされており、高齢者では比較的低強度の有酸素性運動であって

もその効果が認められることが示されている。また、肥満者では、非肥満者に比べて、動脈硬化度が増大しているが、

運動療法により動脈硬化度は低下することが明らかになっている。このように、動脈硬化度が増大している高齢者や

肥満者であっても、運動の実践により、動脈硬化度は改善する。近年になり、定期的な有酸素性運動が動脈硬化度を

低下させるメカニズムの一部が明らかになってきた。血管内皮細胞が産生するエンドセリン-1や一酸化窒素(NO)

は、有酸素性運動による動脈硬化度低下のメカニズムに関与している可能性が示されている。また、定期的な有酸

素性運動による動脈硬化度の低下には、エンドセリン-1やNO以外のメカニズムも関与している可能性が示唆され

ている。本シンポジウムでは、運動療法(定期的な運動)が動脈硬化度に及ぼす影響と有酸素性運動が動脈硬化度

を低下させるメカニズムについての知見を紹介する。

前田清司

運動療法による動脈硬化の改善

S3-3

シンポジウム(3) 9月 3 日 ( 土 )16:10 〜 18:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:中田 由夫(筑波大学 医学医療系)、曽根 博仁(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科)

60

早稲田大学スポーツ科学学術院

習慣的な身体活動(運動・スポーツと生活活動の両方を含む)は、脂質代謝の改善に有効的であると多くの観察

研究より報告されてきた。また、介入研究からもその効果が実証されてきている。よって、脂質異常症の予防や

改善のために、食生活の改善とともに習慣的な身体活動の実施が推奨されている。しかし、身体活動の重要性

が認知されてきた一方で、わが国における身体活動の実施率は低く(約3割)、多くの者が身体活動指針に沿っ

た活動を実施していないことが調査で示されている(厚生労働省2012)。また、身体活動の実施率改善の前提

には、習慣的に身体活動を実施していない人が自らの意思で実施するようになるための導きが必要である。

本シンポジウムでは、運動介入が脂質代謝へ及ぼす影響を検討している研究成果を整理した上で、どのような様

式・時間・強度・頻度が脂質異常症に対し予防・改善の効果を示しているかを概説する。また、運動が脂質代謝の改

善に対し、どのような作用機序を介して寄与しているかを説明したい。さらに、近年、「運動」以外の様々な身体活動

も代謝性疾患の予防や改善に重要であることが明らかになってきている。よって、身体活動の中の「生活活動」に着

目し、中性脂肪(特に食後)を下げるための生活活動の有用性を検討した最近のわれわれの研究成果を紹介するこ

とで、国民の身体活動の実施率改善へ役立つ情報を発信したい。

宮下政司

運動療法による脂質代謝の改善

S3-4

シンポジウム(3) 9月 3 日 ( 土 )16:10 〜 18:00 第1会場(シンポジウムスペース)座長:中田 由夫(筑波大学 医学医療系)、曽根 博仁(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科)

シンポジウム(4)「超高齢心不全患者に対する運動療法・疾病管理・生活支

援をどう行うか?」

座長: 後藤 葉一 (国立循環器病研究センター 心臓血管内科 循環器病リハビリテーション部)

山田 純生 (名古屋大学大学院 医学系研究科)

わが国では近年、超高齢(80歳以上)の心不全患者が急増し、社会的・医療経済的に大きな問題となり、また退院後

の疾病管理や生活支援の確保の点でも臨床現場で大きな課題となっている。超高齢心不全患者の運動耐容能と

QOLを維持し、再入院を防止し、要介護化・寝たきり化を予防するには、運動療法・疾病管理・生活支援が必要であ

るが、エビデンスやガイドラインが存在しない現状でこれらを実践することは容易ではない。キーとなるポイントは、

各職種スタッフが超高齢心不全診療に関する自らのスキルアップを図ること、院内での多職種連携を進め患者情報

や治療方針を共有すること、入院診療施設と退院後の医療および介護支援システムとの連携・連絡体制の確立など

であろう。

本シンポジウムでは、超高齢心不全患者のフレイル・サルコペニアと身体活動能力低下との関連(演者:山田純生)、

入院した超高齢心不全患者の身体活動能力改善方策としての心臓リハビリの役割(演者:和泉徹)、超高齢心不全患

者の再入院予防と生活指導(演者:眞茅みゆき)、超高齢心不全患者の運動耐容能改善と疾病管理における外来心

臓リハビリの役割(演者:後藤葉一)について各演者が概説し、その後に総合討論をおこなう。

ねらい

63

国立循環器病研究センター心臓血管内科循環器病リハビリテーション部

 超高齢社会においては、心疾患患者は急性期治療終了後も、慢性心不全・心房細動・無症候性心筋虚血など

の慢性心疾患(chronic cardiac comorbidities)に加え、フレイル・整形外科疾患・呼吸器疾患・慢性腎臓病・貧

血・糖尿病・脳血管疾患・認知症などの心外性慢性併存疾患(chronicnon-cardiaccomorbidities)を有してい

ると予測される。このような慢性多疾患保有患者に対して、退院後の長期管理を1人のかかりつけ医のみが行

うことは困難であり、多職種チームによる包括的疾病管理が必要である。ただし、単に病状をモニターして病状

悪化時に対処するという「受動的な監視プログラム」ではなく、監視下および在宅運動療法導入により運動耐容

能を高め、積極的な患者教育・食事指導・生活指導により患者のセルフケア能力を高め、最終的に人生の終末

期に至るまでフレイル・要介護化と再入院を防止してQOL向上を図る「積極的・能動的な介入」が必要である。

 この点で、退院後の外来心臓リハビリテーションは、多職種チームが患者教育と運動療法により患者のセルフ

ケアと心疾患病態に介入する包括的プログラムであり、安静時のみならず運動中の身体徴候や心電図も監視す

ることが可能で、安全性と有効性のエビデンスが確立され、保険診療で承認されている優れたシステムである。

 超高齢社会の外来心臓リハビリテーションにおいて今後解決すべき課題として、外来心臓リハビリプログラムへ

の疾病管理要素の組み込み(心不全看護師配置、診療報酬施設基準)、超高齢フレイル患者に対する最適運動メ

ニュー確立、通院困難な超高齢者への対応(送迎・訪問・遠隔モニター)、栄養チーム・緩和ケアチームとの連携、介護

保険制度との連携、実施施設の大幅増加である。

後藤葉一

超高齢心不全患者の運動耐容能改善と疾病管理における外来心臓リハビリの役割

S4-1

シンポジウム(4) 9月 4 日 ( 日 )9:20 〜 10:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:後藤 葉一(国立循環器病研究センター 心臓血管内科 循環器病リハビリテーション部)、山田 純生(名古屋大学大学院 医学系研究科)

64

名古屋大学大学院医学系研究科

高齢心不全患者は、病態進行による心血管系の機能低下や呼吸調節異常のみでなく、骨格筋や認知機能まで全身

性に病態が波及し、複雑な臨床像を呈する。後期高齢心不全患者ではそれらの症状は特に顕著となるが、過剰な心

負荷を与えないことを治療の基本とした時代が長く、加えてGOM(GuidelineOrientedMedication)が十分普及して

いなかったこともあり、“心不全患者が最後に寝たきりになる”ことは、むしろ当たり前のように認識されてきた。心不

全発症当初は日常生活を過ごす身体機能は維持されているはずであるが、そこから寝たきりに向かうプロセスには

関心が払われていなかったのである。

心不全フレイルは心不全患者の身体機能低下のプロセスを管理する指標となるものであり、その背景に病態が存

在することを考えると、治療の効果判定指標ともなるものである。心不全フレイルが新たな予後指標として関心が高

まっている背景には、高齢心不全患者の増加に伴い、社会が運動耐容能など従来の予後指標の代替指標として価

値を見出していることに他ならない。

しかしながら、心不全に伴うフレイルは、その出現機序や診断基準を含め、十分な理解が得られているとは言い難

い。講演では、用語ばかりが流布している感がある心不全患者におけるフレイルについて、その内在する課題を明確

にすると同時に、我々が始めた大規模多施設共同研究を含め、将来の研究動向について言及したいと思う。

山田純生

高齢心不全患者の身体活動能力を規定する因子 - 心不全フレイル

S4-2

シンポジウム(4) 9月 4 日 ( 日 )9:20 〜 10:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:後藤 葉一(国立循環器病研究センター 心臓血管内科 循環器病リハビリテーション部)、山田 純生(名古屋大学大学院 医学系研究科)

65

医療法人社団恒仁会新潟南病院

多くの市中病院が超高齢者心不全患者による医療負担増加に悩まされている。当院が平成27年に経験した80歳以

上のうっ血性心不全患者87例を後ろ向きにみてみた。平均年齢89.8歳、男女比39:48の患者で平均在院日数36.6

日であった。退院時病像をみると、39%が院内死亡、28%は介護搬送、そして歩行退院者が33%であった。即ち、終末

医療、介護医療、それに介護・生活支援医療の三つの回答を心不全診療は用意せねばならない。院内死亡は低血圧

や心房細動と、介護搬送は発症前ADL状態と密接に関係している。この二つの病態への適切対応の後、はじめて介

護・生活支援、すなわち歩行退院をめざす心不全診療が可能となる。さらにこの独歩退院候補者も決して一様では

ない。社会的/精神・心理的フレイル者を含んでおり、身体的フレイル者は候補の80%程度に限られる。しかもフレ

イルは応分に進行しており、可逆性も薄い。超高齢心不全診療への理解度が深まれば深まるほど独歩支援への高度

なスキルが必須となる。我々は2013年4月以来、“高齢者の独歩退院をめざす病院づくり:DOPPO(DischargeOf

elderlyPatientsfromHosPitalOnthebasisoftheirindependentgait)プロジェクトに取り組んできた。SPPBが12

点未満の身体的フレイル入院患者である。過去三年間で124例に成功した。平均年齢81.7歳、男女比58:66、SPPB

平均7.1点の患者群である。ゴールに達するまでのリハビリ期間は平均34.5日、リハビリ量は平均93.3単位である。

DOPPOリハビリの結果、SPPBは7.1から9.3点へ、10m努力歩行速度は0.83から1.00m/秒へと改善した。6分間

努力歩行は66%で可能となり、45%が300m以上もの独立歩行ができた。その84%が元居た住処に戻り、SPPB9

点以上のものは一年予後も良好であった。しかしDOPPOリハビリの技術的課題も明らかになりつつある。ひとつは

立ち上がり、もうひとつは歩容是正である。これらが何とか解決出来れば、超高齢心不全患者といえども独歩退院が

可能となり、セルフケアによる重症化・再発予防成績がもっと向上する。

◯和泉 徹、阿部 暁、上原彰史、大石香奈子、渡部 裕、小幡裕明

超高齢者心不全診療へのひとつの答え、独歩退院リハビリ

S4-3

シンポジウム(4) 9月 4 日 ( 日 )9:20 〜 10:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:後藤 葉一(国立循環器病研究センター 心臓血管内科 循環器病リハビリテーション部)、山田 純生(名古屋大学大学院 医学系研究科)

66

北里大学看護学部看護システム学

社会の高齢化と循環器急性期治療の進歩により、心不全患者は今後増加することが見込まれているが、とりわけ、

超高齢患者の増加が心不全医療の重要な課題である。心不全の薬物、非薬物治療は、近年急速な進歩を遂げ、エビ

デンスに基づいた治療法が確立されてきたが、慢性心不全患者の多くは再入院を繰り返すため、心臓救急の現場

では、再入院予防への対策が急務となっている。再入院の要因には、基礎疾患や合併疾患の増悪といった医学的要

因に加え、薬物アドヒアランスの低下や独居といった社会的要因、抑うつ、不安などの心理的要因も重要であり、超

高齢患者ほど、このような要因を多数有し、治療や管理に難渋する。欧米では、1990年代から、多職種がチームを組

み、患者教育・治療アドヒアランスの向上・病状モニタリングなどで構成される疾病管理が、死亡率、再入院率や生活

の質(QOL)に効果を示すことが数多く報告されている。疾病管理プログラムの核は患者教育であり、治療アドヒアラ

ンスの向上や適切なセルフモニタリングによる再入院の回避などが期待される結果であるが、超高齢患者では、生

活機能および認知機能の低下、独居、老々介護など生活環境の特性から、従来の患者教育とは異なるアプローチが

求められる。本発表では、増悪による再入院回避のために、超高齢心不全患者の特性を踏まえながらどのような効果

的支援方法が求められるか議論したい。

眞茅みゆき

超高齢心不全患者の再入院予防と生活指導

S4-4

シンポジウム(4) 9月 4 日 ( 日 )9:20 〜 10:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:後藤 葉一(国立循環器病研究センター 心臓血管内科 循環器病リハビリテーション部)、山田 純生(名古屋大学大学院 医学系研究科)

シンポジウム(5)「健康運動における運動療法開始前のメディカルチェック

基準」

座長: 牧田 茂 (埼玉医科大学 国際医療センター 心臓リハビリテーション科)

勝川 史憲 (慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)

69

埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科

運動を実施する前に行うメディカルチェックでは、潜在的な疾患を事前に把握し、実施する際に支障をきたすか、ま

た支障をきたすとすればどこまで活動が許されるのか判断する資料を提供してくれる。このように、運動のためのメ

ディカルチェックの最大の目的は、運動参加における安全性の確保にある。運動・スポーツにおける内科領域の障害

は数多く知られているが、最も重篤なものは突然死である。原因として一番多いのは、中高年を中心に引き起こされ

る急性心筋梗塞を代表とする急性冠症候群である。たとえば、心疾患患者の外来運動療法中における心停止の割

合は、6万患者・時間当たり1件と報告されている。一方、健常者の運動時の心停止の割合は、56万患者・時間当たり

1件とかなり少ない。また心血管疾患のみならず全身状態のチェック(コンディショニングチェック)も運動を安全に

効果的に行う上で大切である。

しかし、生活習慣病の1次予防ならびに軽症者に対して、どの程度のメディカルチェックをすべきか、また異常値の扱

いをどうすべきかについては統一見解がなされていない。

本シンポジウムでは、オーバービューとしてメディカルチェックの背景とその内容ならびに問題点について述べたい

と思う。

牧田 茂

メディカルチェックの背景と問題点

S5-1

シンポジウム(5) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター 心臓リハビリテーション科)、勝川 史憲(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)

70

順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座

糖尿病患者における運動・身体活動のガイドラインは、一般の方を対象としたガイドラインと目指す身体活動量や

強度の目標が大きく乖離しているというわけではない。しかしながら、糖尿病患者においては心血管イベントリスク

が非疾患者に比較して高いこともあり、運動の可否についてはある程度慎重になる必要がある。また、罹病期間が長

い場合には、神経障害により無痛性の心筋虚血を来している可能性も考慮する必要があるであろう。そのため、ハイ

リスクの患者であるほど事前に何らかのスクリーニングをしていた方が良いように思える。しかし、スクリーニングに

より予後が改善するか、という明確な証拠は十分では無く、運動におけるリスク回避に向けてどの患者に対してどの

程度のスクリーニングを行うか、その線引きについて議論が続いている。当日は現在のエビデンスに基づいた糖尿

病患者における運動適応基準や、今後必要となるエビデンスや指針、糖尿病患者における運動時の注意点などに

ついて述べさせて頂きたい。

田村好史

糖尿病患者における運動適応基準

S5-2

シンポジウム(5) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター 心臓リハビリテーション科)、勝川 史憲(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)

71

東京医科大学医学部循環器内科

 運動療法の有用性は、心血管疾患発症危険因子(肥満、血圧異常、糖・脂質代謝異常など)の改善・増悪予防、循

環器疾患一次予防、循環器疾患二次予防に有用であることは周知の事項である。さらに、運動は古典的危険因子の

改善だけでなく、炎症や酸化ストレスなど血管障害の直接因子も軽減することが知られている。

 医療の高度先進化に伴い循環内科外来も不整脈など特殊専門外来と一般循環器専門外来に大別されることが

多くなってきた。一般循環器専門外来では冠動脈疾患、心不全を診療する機会が多いが、こうした疾患の二次予防、

また、合併する危険因子改善のため運動療法を考慮する機会も多い。また、患者さん自身の健康意識も高まってお

り、運動療法について質問を受ける機会も増加している。

 運動療法を検討するにあたっては、個々の症例で運動療法可否の確認がなされる。高齢化社会に伴い、整形外科

疾患・眼科疾患を合併する症例も多く、特に整形外科との運動実施可能な運動内容の確認は重要である。しかし、循

環器内科医・整形外科医の間で実施可能な運動内容を確認する効率的な方法は確立されていない。一方、患者さ

んの生活背景の確認も重要である。就労されている方では、運動を実施できる時間帯、その時間帯で実施可能な運

動内容および実施場所を確認する必要がある。また、高齢者では運動を実施できる公的施設の確認も重要となって

くる。いずれにしても運動療法開始前のメデイカルチェックでは、個々の症例の運動実施環境から可能な運動内容を

確認して評価することも重要と考えられる。

冨山博史

General Cardiologist と運動療法

S5-3

シンポジウム(5) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター 心臓リハビリテーション科)、勝川 史憲(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)

72

帝京平成大学大学院健康科学研究科

健康のために行う運動、スポーツで身体を痛めるのは本末転倒である。軽度なスポーツ、ウオーキングでもひざの痛

み、腰の痛みなどを引き起こすことがある。これらの運動器の痛みに対し、原因と要因を取り除くことが治療にも予防

にも必要なことになる。

メディカルチェックにおいて、まず対象は何歳か、行おうとするスポーツはどんなものを想定しているのか、運動の目

的は体力維持、向上、健康増進なのか、病気のコントロールなのかを知ることが必要となる。

運動する人として、運動に見合う体力、筋力、技術、精神的な準備ができているかを調べる。運動習慣、スポーツ歴を

聞き、日常生活の中に身体を動かすことがあるか否か、過去のスポーツ歴とともに外傷、障害歴を聞き、現在の身体

に影響はないかチェックする。運動強度が上がっていくと再燃することはないのかチェックする。

膝や股関節などの大きな関節の可動域を調べ、十分な筋力があるか、持久力があるか、柔軟性があるかチェックす

る。これらの体力評価を簡便に行うには中高年の場合ロコチェック、ロコモ度テストをするとよい。25項目の質問紙と

片足立ち高さ、最大二歩長から評価する。身体の動きのチェックには子どもロコモの片足立ち時間、和式トイレのよう

にしゃがめるか、手を肩より上に挙げてスクワットできるか、立位体前屈で指が床に着けられるかなどを行うとよい。

すでに運動を行っている人たちでは、使いすぎ症候群のチェックが必要である。使いすぎ症候群とは関節、筋腱など

に生ずる有痛性の過労障害である。骨に起これば疲労骨折で初期、中期、末期の病期分類がなされている。早期に

発見するだけでなく、予兆を見つけ未病のうちに対処することができる。好発部位の圧痛と関係する関節、筋の短縮

を評価する。

これらを教育して本人が定期的に行うセルフチェックとするとよい。

渡曾公治

健康運動の対象者に対する整形外科的メディカルチェック

S5-4

シンポジウム(5) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:50 第1会場(シンポジウムスペース)座長:牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター 心臓リハビリテーション科)、勝川 史憲(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)

パネルディスカッション(1)「介護者の運動療法」

座長: 坂本 静男 (早稲田大学 スポーツ科学学術院)

朽木 勤 (公益財団法人 明治安田厚生事業団)

運動療法の機会は、リハビリテーションの段階から急性期や回復期には医療機関で行われるものの、その後にくる

維持期(生活期)では自宅や施設を利用して行い多くの時間が家族等に委ねられる。日常生活における近親者によ

る世話は大きな負担となり、老老介護や介護ストレス、最近では介護殺人などの社会的な問題となっている。介護者

が心身ともに健康でなければならないにもかかわらず、運動療法はこれまで介護を必要とする側に立って考えられ

てきた。介護者の健康維持向上という視点で運動を捉えることは、介護を受ける側の運動療法を効果的に遂行する

ことに対しても有効であるものと考えられる。

 そこで、本パネルディスカッション1では「介護者の運動療法」をテーマとして、3人のパネリストに登場していただ

く。中原雄一先生には、介護をする側の健康状況についてその課題を示していただく。伊藤三千雄先生には医療機

関併設の運動施設での在宅患者とその家族を対象としたトレーニング、宮地秀行先生には障害者の家族を対象とし

たスポーツレクリエーションの実績を示していただく。ともに施設利用時に介護者は付き添いとしてだけでなく、自ら

の健康づくりにも取り組むことができるプログラムを工夫して成果をあげている。

 パネリストはいずれも健康運動指導士である。運動・スポーツの持つ楽しさやコミュニケーション効果などの利点

を活用し、患者や障害者だけでなくその世話をする介護者をも対象とした運動療法について考える。

ねらい

75

障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール スポーツ課

障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」では、隣接する横浜市総合リハビリテーションセンターと連携し、生活

期の障害者を対象とした「リハビリテーション・スポーツ事業」を展開している。これは、スポーツの特性を活かして

身体的な機能・体力の維持・向上を図るとともに、スポーツ技術の獲得過程を通じて意欲や自信を高め、さらに仲間

とのコミュニケーション機会を増やし、新たな価値観や居場所を創る過程である。

さて、障害者の社会参加支援を考える上では「家族の支援」もまた重要な課題である。特に「高次脳機能障害」など、

見た目にわかりにくい障害では、当事者に病識がない場合も多く、むしろ家族の側が孤立感を深め、精神的に疲弊し

ていることが少なくない。

我々はこうした家族もプログラムの対象として捉え、積極的に支援を行ってきた。適度に体を動かす爽快感、想いを

共感できる仲間の存在、継続的な活動の場、といった要素が少しずつ心をほぐし、笑顔を取り戻している。

ここでは、20年近くに渡って支援してきた高次脳機能障害者とその家族のレクリエーションサークルの様々なエピ

ソードを紹介しながら、高齢者や障害者を支える家族(介護者)支援の必要性やそのあり方について提言したい。

宮地 秀行

スポーツを活用した障害者とその家族支援

P1-1

パネルディスカッション(1) 9月 4日 ( 日 )11:00 ~ 12:10 第1会場(シンポジウムスペース)座長:坂本 静男(早稲田大学 スポーツ科学学術院)、朽木 勤(公益財団法人 明治安田厚生事業団)

76

福岡県立大学人間社会学部

わが国では、高齢化の進行に伴い高齢者の要支援・要介護者数も急速に上昇しており、平成13年度は287.7万

人だったが平成24年度には545.7万人になっており、この11年間に258万人増加している。一方、要支援・要介

護者の増加に伴い介護を担う者も増えることが予想される。厚生労働省の国民生活基礎調査(平成25年)による

と、介護をしている者の7割以上が親族で、同居している親族のうち3割以上が60歳未満であることが示されて

おり、働いている者においても介護を担っていることが予想される。実際、総務省の職業構造基本調査(平成24

年)によると、介護をしている者のうち有業者は291万人とされており、今後増加の一途が予想される。介護は精

神的も身体的にも負担が大きいが、仕事を伴いながらの介護は、介護離職が社会問題になっている現状に鑑み

ても、心身の負担がさらに増す可能性が考えられる。そこで、勤労者約1万人を対象に、精神的健康度と身体活

動量を介護の有無別ならびに性差について質問紙による調査を行った。その結果、介護者は非介護者と比べ精

神的健康度が低く、介護を含む自宅での身体活動量および総身体活動量が多いことが明らかになった。特に、

女性介護者は、介護を含む自宅での身体活動量が著しく多いと、精神的健康度が悪化することが示唆された。

これまで、運動を介した介護の研究というと、介護予防といった介護をされる側に焦点をあてた研究が中心で、介護

をする側の研究では、介護職員の腰痛予防等といった身体的側面から検討したものが多かった。しかし、介護をする

者の健康は、身体的側面だけでなく精神的側面においても問題になっている。近年、精神的健康に対して運動実施

が効果的であることが多くの研究で報告されていることから、介護をする者の精神的健康の改善を図るための運動

プログラムの開発等に期待したい。

中原雄一

介護を行っている勤労者の実態 〜精神的健康度と身体活動量について〜

P1-2

パネルディスカッション(1) 9月 4 日 ( 日 )11:00 〜 12:10 第1会場(シンポジウムスペース)座長:坂本 静男(早稲田大学 スポーツ科学学術院)、朽木 勤(公益財団法人 明治安田厚生事業団)

77

医療法人社団朋和会西広島リハビリテーション病院健康開発センターウイル

病院や診療所における生活期リハビリテーションは、従来「外来リハビリテーション」として提供されてきたが、2009

年の介護報酬改定において、リハビリテーション特化型(1〜2時間)の「短時間通所リハビリテーション」が新設され

た。また「みなし指定」として医療機関でも提供が可能となった。

西広島リハビリテーション病院(以下、当院)は2009年より従来の外来リハビリテーションに加え、短時間通所リハビ

リテーションを開設した。当院のプログラムの特徴は、①運動する意欲を引き出すためフィットネスジムのスペース

を使用する、②健康運動指導士がマンツーマンで自主トレーニングの指導を行うため、自主トレーニングの定着率

が高い、③家族利用(主介護者のフィットネスジム利用システム)を推奨していること、などが挙げられる。

プログラムの効果として、利用者においては継続的な個別リハビリテーションの介入と自主トレーニングの定着、集

団体操参加による身体機能の改善や主体性の向上がみられた。家族(主介護者)については、利用者と一緒に運動

を行うことで利用者の状態をより理解することに繋がった。さらに、健康やリハビリテーション、運動に対する意識の

向上も認められた。また、運動によるストレス軽減、家族同士で介護の悩みや不安を話し合うコミュニティとしても機

能しており、精神面でも良い影響を与えている。その結果、家族の介護負担感の軽減もみられた。

これらのことから、当院の短時間通所リハビリテーションは、在宅患者および家族のコミュニティとなっている。在宅

患者には家族の理解や支援が必須である。そのため、患者だけでなく主介護者などを含めた家族単位で健康やリハ

ビリテーションについて考えることが重要である。さらに、患者と家族の双方向からの効果が家族全体におけるQOL

の向上に繋がると考える。

伊藤三千雄

在宅患者とその家族における短時間通所リハビリテーションの効果

P1-3

パネルディスカッション(1) 9月 4 日 ( 日 )11:00 〜 12:10 第1会場(シンポジウムスペース)座長:坂本 静男(早稲田大学 スポーツ科学学術院)、朽木 勤(公益財団法人 明治安田厚生事業団)

パネルディスカッション(2)「ウェアラブル端末と運動・身体活動」

座長 : 木村 穣 (関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

ウェアラブル端末の近年の急激な進歩は,運動・身体活動の研究・臨床に大きな変化をもたらす可能性がある.本

セッションは,さまざまな適応事例からウェアラブル端末の可能性を探ることを目的とした.

ねらい

81

関西医科大学健康科学科健康科学センター

 ウェアラブルセンサーは近年急速に進化し、現在はリストバント型センサーが主流になっている。リストバンド型

になることで常時装着が可能となり日中の活動のみならず、安静時や睡眠時の評価も可能となり、さらに長期間の連

続記録が可能となってきた。

一方、身体活動は生体の感情や気分によって影響を受けることもわかっている。したがって身体活動の連続記録を

解析することにより、生体の感情や気分を評価することも可能と考えられている。そこで我々は、生体の長期連続身

体活動記録より、個人の感情、気分の評価、変化が可能かどうかを検証している。

 現在までウェアラブル生体活動センサーとして日立システムズ社製ライフログ解析サービスを用い、身体活動の

日中の日内変動および週内変動および睡眠パターンとの関係につき検討し興味ある知見を得ている。

 また身体活動の変動は動脈硬化危険因子とも関連する結果を得ており、長期連続身体活動の評価は、生活習慣

病の予防、改善にも有用ある可能性が示唆された。今後さらなるウェアラブルデバイスの進化とともに新たな健康評

価が可能になると考えられる。

◯木村 穣、川口紗苗、日高なぎさ

ウェアラブル生体センサーによる活動量、睡眠評価による新たな健康評価の試み

P2-1

パネルディスカッション(2) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:20 第2会場(大会議室)座長:木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

82

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター

【目的】ウォーキングによって足底腱膜炎などの下肢の障害が起こると、その中止を余儀なくされ運動処方が十分に

行えない。近年、下肢障害を引き起こす危険歩行パターンが報告されてきている。この歩行パターンを簡便に判定す

ることができればそれを早期に修正することで、ウォーキングを安全に処方することができる。本研究の目的は、メガ

ネ型ウェラブルセンサーを用いて、この危険歩行パターンを判定することができるかどうかを調べることである。

【方法】まず、片側性の足関節不安定症をもつ10名(女性、19−23歳)を対象とした。被験者に6軸加速度・角

速度計を内蔵したメガネ型ウェラブルセンサーJINSMEME(ジェイアイエヌ,Tokyo,Japan)を装着させた。下肢に

はマーカーを貼付して、3次元動態解析装置ProReflex(Qualisys,Gothenburg,Sweden)を使用して足部の動きを

計測した。トレッドミル上を裸足で歩行させ、健常側と患側の歩行動態の違いを両データによって比較した。次にボ

ランティア114名(男性63例、女性51例、年齢は25—65、平均44.6歳)を対象として、JINSMEMEを装

着して20m歩行をさせてその解析をし、異常歩行の有無を調べた。

【結果】ProReflexのデータでは、足関節不安定症の患側では、踵接地直前における足関節の内返しと、その直後

の外返しが観察された。JINSMEMEのデータでは、患側では、踵接地時の垂直方向加速度が小さくなっていた。

114名中22名で同様の傾向がみられた。

【結論】本センサーによって、足関節不安定症に特徴的な歩行時の足関節動態を簡単に認識できる可能性がある。

モーションキャプチャーの大規模な測定装置を用いずとも簡便な方法で、慢性足関節不安定症を診断し、その歩行

動態を矯正して安全なウォーキングを行える可能性がある。

◯橋本健史、木畑実麻、勝川史憲

運動処方としてのウォーキング—ウェラブルセンサーを使用した危険歩行パターンの認識

P2-2

パネルディスカッション(2) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:20 第2会場(大会議室)座長:木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

83

1)セイコーエプソン株式会社日野事業所

2)セイコーエプソン株式会社ウェアラブル機器事業部WP企画設計部

3)慶應義塾大学スポーツ医学研究センター

データヘルス計画の一環として、腕時計型の脈拍計測機器を用いて、職種の異なる2つの地域(都市部と地方部)

の身体活動の評価を行った。

本講演では、身体活動量と健診データとの関連について、職域間で比較分析を行い特徴的な傾向について報告す

る。さらに、曜日・時間帯別の活動量分布を、クラスター分析により類型化し、通勤・仕事の形態に応じた活動パター

ンの特徴を明らかにすると共に、それらの特徴に応じた活動量を増やす方策検討の可能性を示す。

◯長谷川純子1)、礒村政一2)、勝川史憲3)

腕時計型脈拍計測機器による身体活動の職域比較評価

P2-3

パネルディスカッション(2) 9月 4 日 ( 日 )13:20 〜 14:20 第2会場(大会議室)座長:木村 穣(関西医科大学 健康科学科 健康科学センター)

Colloquium「運動処方におけるCPXと運動負荷試験の役割」

座長: 勝木 達夫 (やわたメディカルセンター 循環器内科)

本セッションは,健康増進や疾患の予防・治療を目的とした運動処方におけるCPX(呼気ガス分析を伴う運動負荷

試験)や運動負荷試験の意義・適応について検討する場として企画した.

 心不全や虚血性心疾患,肺疾患の評価・運動療法においてCPXの臨床的な有用性は明らかである.一方で,多く

の生活習慣病の診療指針では運動療法にATの記載はなく,また,すべての運動施設でCPXや運動負荷試験を行う

ことも実際的ではない.

 AT以上の強度で運動すれば即危険なのか,そもそもATやVTという指標の精度はどのようなものか,などの疑問

を明らかにした上で,もし運動の有効性や継続性を増すことが可能なら,ATを超える強度の運動をうまく折り込むオ

プションも考慮すべきではないか,というのが問題意識としてあった.

 Colloquiumという形式はアメリカスポーツ医学会では目にするが,日本の学会ではあまり取り入れられていない.

本セッションでは,運動処方の現場に携わる庄野先生,木下先生の2名の演者の明解なプレゼンテーションと座長

の勝木先生の柔軟なかじ取りによって,健康増進や疾患の予防・治療を目的とした運動処方におけるCPXや運動負

荷試験の意義と,特に適応について認識を深める場となることを期待している.

ねらい

一般演題(1)一般演題(2)一般演題(3)一般演題(4)一般演題(5)一般演題(6)一般演題(7)一般演題(8)

89

肥満患者における心理的特性と運動耐容能変化との関連

1)関西医科大学健康科学センター

2)同志社大学心理学部

【目的】肥満患者における減量プログラム介入前の心理的特性と介入前後の運動耐容能変化との関連について検討することを目的とした。【方法】約6カ月の減量プログラムを完遂し,その前後に運動負荷試験と質問紙調査を実施した肥満患者116名(男性30名,女性86名;平均年齢40.60歳)を対象とした。運動耐容能の指標として,peakVO2とATVO2を算出した。心理的特性の指標としてTEGとNEO-FFIを用いた。【結果】介入前におけるTEGおよびNEO-FFIの各領域得点を独立変数とし,介入前後におけるpeakVO2およびATVO2の変化量(⊿peakVO2;⊿ATVO2)を従属変数とする重回帰分析(強制投入法)を男女別に行った。その結果,男性の⊿peakVO2に対して,神経症傾向と外向性の有意な負の標準回帰係数が示され,一方で開放性の有意傾向での正の標準回帰係数が示された(Table1)。TEGについては,有意な関係は示されなかった。【考察】男性の肥満患者では,ストレスを回避するために失敗経験を繰り返さないよう慎重に行動する傾向が強いほど,日常生活での活動が制限されやすく,その結果,介入による運動耐容能の向上効果が十分に得られない可能性が示唆された。

O-1

◯上西祐輝1)、藤井 彩1)、宮内拓史1)、佐藤 豪2)、木村 穣1)

自律神経機能から見た減量効果

関西医科大学健康科学センター

目的 肥満患者の自律神経機能を安静座位および立位負荷時の心拍数周波数解析から評価した。方法 対象は当院肥満外来受診者のうちBMI30以上、心疾患、重症糖尿病および自律神経機能に影響を及ぼす薬剤を服用していない50名。自律神経機能評価として自律神経活動CVRR(R-R間隔変動係数)、交感神経活動指標L/H(0.04-0.15HZ低周波成分(LF)/0.15-0.40Hz高周波成分(HF)を用いた。年齢、BMI、DEXA法(二重X線吸収測定法)体組成、臍部CTによる内臓・皮下脂肪面積、PWV(脈波伝播速度)、心肺運動負荷試験によるAT(嫌気性代謝閾値)・peakVO2(最高酸素摂取量)、インスリン抵抗性指標HOMA-Rと比較検討した。周波数解析には「起立名人」(クロスウェル社)を用い、安静座位3分後に起立負荷施行、立位保持3分間施行し、安静座位1分・立位保持後1分(立位後)のデーターを用いた。結果 男性15例、女性36例、平均年齢46.2±14.7才、BMI37.4±6.2、内臓脂肪面積180.4±66.5、HOMA-R3.7±2.3であった。L/H立位後は皮下脂肪と有意な関係(r=0.30)、HOMA-Rと正の傾向(r=0.25)を認めた。CVRRは年齢(r=-0.29)、内臓脂肪面積(r=-0.32)、PWV(r=-0.34)と有意な負の関係を認めた。またCVRRの立位負荷の変化量は、年齢(r=-0.42)、内臓脂肪(r=-0.50)、PWV(r=-0.40)、peakVO2(r=-0.28)と有意な負の関係を認めた。総括 肥満患者の心拍数周波数解析から求められる自律神経指標は、動脈硬化危険因子と有意な関係を認め、安静時より立位負荷にてより明確になる可能性が示唆された。以上より起立負荷による自律神経機能評価は、肥満患者の危険因子指標として有用と考えられた。

O-2

◯玉ノ井厚子、家村眞理子、宮内拓史、高尾奈那、木村 穣

一般演題(1) 9 月 3 日 ( 土 )10:00 〜 11:00 第3会場(中会議室)糖尿病・肥満

座長:細井 雅之(大阪市立総合医療センター 糖尿病内分泌センター 糖尿病内科)

90

2型糖尿病腎症患者でのレジスタンス運動の有効性

大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科

今年度から、糖尿病透析予防指導管理料の一環として腎不全期〔推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分未満〕の患者に対し、専任の医師が運動の種類・頻度・強度・時間・留意点を指導すれば100点が加算されることになった。一方、レジスタンス運動は有酸素運動に比べて虚血性心疾患を来しにくく、心筋の酸素供給量を増加させると報告されているが、糖尿病腎症への影響についての報告はなかったので、今回検討した。【対象】腎症を有する2型糖尿病の外来患者105例に中等度のレジスタンス運動1日1回30分をできるだけ毎日行うよう指導し、週3回のレジスタンス運動ができた患者(運動群)とできなかった患者(非運動群)における平均63日間の運動効果を評価した。【結果】運動群において有意に体重が減少し(P=0.049)握力(P=0.003)、片足立ち時間(P=0.02)が改善していた。一方、運動群ではHbA1c値、血圧、尿アルブミン、eGFRについては、変化が認められなかった。【結論】糖尿病腎症に対してもレジスタンス運動は安全に実施でき、特に筋力保持効果が認められた。

O-3

◯細井雅之、薬師寺洋介、栗原琴美、玉井杏奈、吉田陽子、武内真有、岡田めぐみ、生野淑子、小原正也、上野宏樹、山上啓子、福本まりこ

2型糖尿病患者においてインスリン感受性低下が運動中の血圧を上昇させる

1)熊本健康・体力づくりセンター

2)熊本機能病院循環器内科

【背景】インスリン感受性低下は、交感神経系、レニン・アンジオテンシン系やNa再吸収の亢進により血圧上昇を引き起こすことが報告されている(ShimamotoK,etal.1994;MiyazakiY,etal.1998)。そのため、我々はインスリン初期分泌能が低下している2型糖尿病患者においても、インスリン感受性低下の有無により運動中の血圧や心拍数の変動に差異が生じると考えるが、未だ明らかにされていない。【目的】本研究では、インスリン初期分泌能低下を基盤とした2型糖尿病患者において、インスリン感受性低下の有無が運動中の血圧、心拍数(HR)およびDoubleProduct(DP)に与える影響を検討する。【方法】対象は2型糖尿病患者18名(年齢59±8歳)で、インスリン感受性(Matsuda index:ISI)≦2.5の群:L群(男性5名、女性3名)とISI>2.5の群:H群(男性6名、女性4名)に分けた。心疾患、脳血管疾患、心房細動およびβ遮断薬服用症例は除外した。運動中の血圧変動は、1分間に5〜10wattsずつ増加するramp負荷法を用いて、1分ごとに収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、HR、DP(SBP×HR)の数値を確認し、これらの変動をみた。2群間の比較には、二元配置の分散分析を用いた。対象者には、各指標の評価の意義やリスクを説明するとともに個人情報保護について文書と口頭で伝え同意を得た。【結果】2群において、DBP、HR、DPには交互作用や主効果は認められなかった。SBPにおいては、交互作用は認められなかったが、主効果が確認されたため、2群間で比較した。その結果、L群に比べH群では、運動負荷中の有意なSBPの増加が認められた。【結論】2型糖尿病患者において、インスリン感受性低下を有すると運動中のSBPが増加することが考えられる。

O-4

◯山下 亮1)、原田栄作1)2)、水野雄二2)、髙橋修一朗1)

91

肝硬変における有酸素運動が運動耐用能、糖脂質代謝に与える影響

伊万里有田共立病院内科

【目的】我々は慢性肝疾患からの発癌には負荷後高血糖が関与し、その危険因子は肝臓の脂肪化であること、食事運動療法によりAFPが低下すること、サルコペニアが肝癌再発に影響することを報告し、発癌抑制には運動による糖脂質代謝改善が必要であることを示唆してきた。今回代償性肝硬変患者に対し、BCAA投与下に有酸素運動を行い、運動耐用能および糖脂質代謝の変化を検討した。【方法】対象は肝癌合併のない代償性肝硬変6例。51-68歳で全例女性。運動療法はBCAA内服下に、乳酸閾値(LT)から推計した無酸素性作業閾値(AT)を指標とした運動強度(METs)で週140分のステップ台昇降運動を12ヶ月間家庭で行った。1ヶ月毎にインストラクターによる運動指導を行い、3ヶ月毎にLT測定しMETsを補正した。評価項目は、体重、体脂肪率、LT(METs)、内臓脂肪面積(VFA)、肝脂肪化(L/S)、多裂筋脂肪化(IMAC)、HRQOL (SF-8)、日常活動量(PAL)、肝機能、アンモニア、BTR、HbA1c、glycatedalbumin(GA)、CLD-HbA1c(0.5×(HbA1c+GA/3))、HOMA-IRを3ヶ月毎に測定した。【成績】体重、体脂肪率、VFA、L/S、IMAC、HRQOL、PAL、肝機能、アンモニア、BTRに有意な変化は認めなかった。ATは介入前3.8 (3.5-3.9)METs、介入後5.3 (4.8-5.8)METsと有意に改善した。GAに有意な低下、CLD-HbA1cに低下傾向を認め、これらの変化は介入前中性脂肪と関連していた。【考察】肝硬変においてBCAA補充下に行う適切な運動は肝機能に影響を与えず、体組成の有意な変化がなくても運動耐用能および糖代謝の改善が得られる。【結語】肝硬変の発癌予防のためには、適切な運動療法(肝臓リハビリテーション)が重要である。

O-5

◯水田敏彦、井手康史、西田裕一郎

E I Hを示 すC O P D 患 者 へ の 段 階的な継続的運動介入の試み —運動機能と注意・認知機能への影響—

1)宝塚医療大学保健医療学部理学療法学科

2)大阪市立大学大学院医学研究科運動生体医学分野

3)大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野

4)相愛大学人間発達学部発達栄養科

【はじめに】COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者は活動時の呼吸

困難感が出現するため、運動機能や日常生活における活動

性が低下する悪循環に陥る。一方、同患者に比較的多く注

意・認知機能障害が認められることが報告され、その要因の

一つとして、我々は運動誘発性低酸素血症(EIH)と活動性

の低下が関与していることを報告してきた。本研究ではEIH

を認めるCOPD患者に段階的な運動療法を継続的に介入

し、運動機能と注意・認知機能の関連性について検討する。

【方法】過去3年間に呼吸リハビリテーションを実施した安定

期のCOPD患者の内、EIHを認め段階的に運動療法を継続

して実施した65歳以上の同患者5名を対象とした。2ヶ月間

の運動療法介入を3期とし、各期の前後に評価をした。介入

1期は呼吸体操や軽い運動療法、介入2期は有酸素トレー

ニング、介入3期は下肢・体幹筋力トレーニングを実施した。

また、介入各期の間には12ヶ月以上の観察期を設けた。

なお、対象者にはヘルシンキ宣言に基づき、事前に口

頭と文面にて説明と同意を得て実施し、プライバシーに

関する守秘義務を遵守し、匿名性の保持に配慮した。

【結果】平均2年4ヵ月後に呼吸機能やEIHには変化が

なかったが、6分間歩行テスト(6MWT)では96.4±

44.4 m段階的に、身辺動作と移動動作としてのADL

は移動動作が2.8±1.5/15点有意(P<0.05)に改善

した。また、注意・認知機能においてMini-Mental State

Examination(MMSE)は2.8±0.4点、TrailMakingTest

(TMT)が31.2±22.3秒有意〈P<0.05〉に改善した。

さらに、3期介入後ではTMTとADL間、6MWTとADL移

動動作間においてそれぞれ相関(P<0.05)を示した。

【考察】EIHを認めるCOPD患者に対して、2年以上段階的に

運動療法を継続して介入することにより、運動機能と注意・

認知機能が改善した。段階的な運動療法を継続することが

両機能の維持・向上に重要と考えられた。さらに、その相互

作用によって日常生活の活動性を改善させることにつなが

り、同患者への予後にも影響するものと考えられた。

O-6

◯小林 茂1)3)、吉川貴仁2)、鴨井 博2)、平田一人3)、藤本繁夫4)

一般演題(2) 9 月 3 日 ( 土 )11:00 〜 12:00 第3会場(中会議室)内部障害と運動療法

座長:上月 正博(東北大学大学院 医学系研究科 障害科学専攻 機能医科学講座 内部障害学分野)

92

維持透析患者に対する心臓リハビリテーション —これまでの取り組みと今後の課題—

1)医療法人七ふく会ふくいクリニック

2)関西医科大学健康科学センター

[目的]維持透析患者の運動耐容能は、心不全患者やCOPD患者と同等に低下しているとされる。また、運動耐容能が低下している透析患者ほど生命予後が不良であることが報告されている。当クリニックでは透析患者の健康長寿を目指し、2013年より心臓リハビリテーション(心リハ)を開始した。一方、透析クリニックにおける心リハ実施の報告は少ない。当院での心リハプログラムについて報告し、今後の課題について検討する。[対象]2013年10月〜2016年6月まで心リハを実施した維持透析患者12名のうち5か月間継続できた11名(年齢56.5歳、糖尿病10名、非糖尿病1名、男性7名、女性4名)とした。疾患の内訳は、狭心症3例、開心術後1例、慢性心不全6例、下肢閉塞性動脈硬化症1例であった。[方法]心リハ開始前に運動負荷試験を実施し、作成した運動処方に基づき約5か月間心リハを施行した。有酸素運動を中心としたプログラムにレジスタンストレーニングを導入した。[考察]当クリニックでは、患者のQOLを重視し、透析日、非透析日いずれかの運動施行日を設定している。運動中の血圧監視等を積極的に行い、現在まで重大な事故なく安全に運動を実施する事ができている。維持透析患者は潜在的心不全状態であり心血管病変の罹患率が高いだけではなく運動耐容能が低下している。これらの予防、改善を図る上で心リハは有効であり、今後は心肺運動負荷試験(CPX)や筋力、QOLなどの総合的な評価を実施する事が課題である。

O-7

◯柳田優子1)、福井政慶1)、田矢京子1)、中田晃子1)、村上信吾1)、味田将佳1)、作間美知子1)、種村佳代1)、野畠理恵1)、中山絵美子1)、塚田 毅1)、木村 穣2)

健康運動指導士による透析中運動療法の管理・運営 〜心肺運動負荷試験による筋力トレーニング効果〜

1)医療法人偕行会名古屋共立病院ウェルネスセンター

2)医療法人偕行会セントラルクリニック

【目的】透析患者の運動耐容能は健常者の60%と言われており、運動療法の重要性が注目されている。しかし外来透析施設において運動専門職種が常駐している施設は少なく、看護師や臨床工学技士などの施設スタッフが運動療法を管理・運営せざるを得ない状況が想定される。そこで健康運動指導士(TR)が透析中運動療法の管理・運営を行っている当法人の取り組みを提示し、運動療法効果について報告する。【方法】当法人は19の外来透析施設においてTRが各施設を定期的に巡回し、体力評価・運動指導・施設スタッフ教育を行う。運動は週3回透析中にエラスティックチューブを用いた下肢筋力トレーニングを主とした運動を計30分実施する。今回は運動開始前及び6ヶ月後に心肺運動負荷試験(CPX)が可能であった12例(平均年齢67.9±9.1歳、男性2女性10、平均透析歴112.6±94.5ヶ月)を対象に、CPX指標による運動耐容能、及び各体力評価項目の変化について調査した。【結果】膝伸展筋力39.6→43.5kgf/kg(p=0.07)、握力20.1→21.0kg(n.s)、10m最大歩行時間6.73→6.16秒(p<0.05)、片脚立位44.69→59.68秒(n.s)、ATVO2実測値483.9→527.9ml/min(p<0.05)、PeakVO2実測値699.5→757.5ml/min(p=0.07)であった。【まとめ】外来透析施設での運動療法は、TRや理学療法士(PT)の常駐が困難である為施設スタッフを中心に運営せざるを得ず、体力評価・運動指導・効果把握に難色を示している意見も聞かれている。当法人では、TR・PTが月1〜2回程度の部分的介入を行った結果、筋力・歩行能力・運動耐容能に改善が得られた。運動専門職種の常駐が困難な場合は、TR・PTが部分的に介入することで、効果的な運動療法の実施が可能になると考えられる。

O-8

◯森 敏彦1)、森山善文1)、白木涼太1)、後藤陽華2)、川越由美枝2)、春日弘毅2)

93

高齢者運動療法継続者の運動効果の特徴

1)医療法人仁心会宇治川病院運動療法室

2)同検査室

3)同外科

4)関西医科大学健康科学センター

【目的】高齢化社会に伴い、運動療法の目的が疾患の治療、再発予防などと合わせて健康寿命を延ばすことも重要になると考えられる。そこで今回は当院運動療法室にて運動療法を継続している75歳以上の対象の体力を調査した。また、60〜65歳の運動療法継続者とも比較検討した。【方法】対象は生活習慣病治療/予防のため運動療法を1年以上継続中の75歳以上35例を高齢者群とし、平均年齢78.1±2.8歳、男性9例、女性26例であった。比較する60〜65歳55例を中年群とし平均年齢64.2±1.3歳、男性9例、女性46例であった。運動療法は心肺運動負荷試験で求めたAT強度での有酸素運動、レジスタンストレーニング、前後のストレッチ体操で構成されたものであった。【結果】体重、体脂肪率において高齢者群が有意に低く(p<0.05)ATVo2、PeakVo2も有意に低かった。(p<0.05)柔軟性、握力、敏捷性、バランスも有意に低かった。(p<0.05)この結果をもとに高齢者群を10年以上継続している長期継続群(14例)とそれ以外の継続群(21例)の2郡にさらに分け中年群と合わせて検討を続けた。体重、体脂肪率において長期継続群と中年群の有意な差は消失し、ATVo2においても有意差は消失したが、PeakVo2は有意な差が認められた。(p<0.05)柔軟性において有意差は消失したがその他の握力、敏捷性、バランスでの有意差は認められた。(p<0.05)【考察】75歳以上の高齢者であっても、10年以上運動を継続している長期継続群は、加齢と共に減少する体重、体脂肪率を維持した。同様にATVo2も維持できたがPeakVo2は低下を認めた。peakVO2の維持の必要性、意義については今後の検討が必要である。

O-9

◯滝川瑠美1)、大槻拓巳1)、大西朋世1)、春日靖洋2)、坂口秀人3)、木村 穣4)

回復期心臓リハビリテーションに参加した80歳以上患者の臨床像と中途脱落理由:75-79歳患者との比較

国立循環器病研究センター循環器病リハビリテーション部

目的:回復期心臓リハビリテーション(CR)3か月プログラムにエントリーした80歳以上の超高齢心疾患患者の臨床像とCR中途脱落理由を、75~79歳の高齢患者との比較により明らかにする。また、超高齢心疾患患者の医学的CR脱落の予測因子を明らかにする。方法:回復期CRにエントリーした高齢心疾患患者連続850例を、75-79歳の中期高齢群(n=535)と80歳以上の超高齢群(n=315 )に分け、臨床的指標、3か月CR脱落率、脱落理由を比較した。更に医学的理由によるCR脱落の予測因子を明らかにするため、超高齢群315名のうち3か月CR完了群(n=113 )と医学的理由による脱落群(n=63)に分類しロジスティック回帰分析を行った。結果:超高齢群は中期群に比べCR開始時最高酸素摂取量(PVO2)が有意に低値(p<0.05)であったが、%predictPVO2やLVEFは有意差なし。CR脱落率は中期群54%に対し超高齢群は64%と高率(p<0.01)であった。脱落理由の内訳は、心疾患/非心疾患/社会的理由が10/19/58%vs8/23/55%で有意差なし。両群とも脱落の半数以上は社会的理由で、その内訳は超高齢群で送迎困難が有意に多かった(8%vs29%,p<0.01)。心疾患による脱落理由のうち、心不全は47%vs70%(p=0.15)と超高齢群で多い傾向にあった。多重ロジスティック解析の結果、超高齢群における医学的理由によるCR脱落の独立予測因子は開始時PVO2、ヘモグロビン値(Hb)、心房細動(Af )であった。なおCR後のPVO2は両群とも増加したが、増加率は超高齢群の方が低かった(+10%vs+6%,p<0.05)。結語:超高齢者のCR脱落率は中期高齢者より高いが、CR完了者ではPVO2の有意な増加を認める。脱落理由の過半数は社会的理由であり、心疾患は1割以下である。医学的理由によるCR脱落の予測因子として、開始時PVO2、Hb、Afが挙げられる。

O-10

◯渡慶次竜生、伊達 歩、三浦弘之、熊坂礼音、荒川鉄雄、中西道郎、中尾一泰、長谷川拓也、福井重文、簗瀬正伸、野口暉夫、後藤葉一

一般演題(3) 9 月 3 日 ( 土 )14:00 〜 15:00 第3会場(中会議室)高齢者

座長:沖田 孝一(北翔大学大学院 生涯スポーツ研究科 生涯スポーツ学部 スポーツ教育学科)

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施設入所高齢者を対象とした身体活動レベルの推定における3軸加速度計の妥当性

1)国立健康・栄養研究所基礎栄養研究部

2)介護老人保健施設シルバーピア加賀

3)東京都健康長寿医療センター研究所

4)東京大学大学院医学系研究科

5)慶應義塾大学スポーツ医学研究センター

【背景・目的】

エネルギー摂取量の決定には,身体活動レベル(PAL)の推

定が必要であるが,施設入所高齢者のPALに関する研究は

ほとんどなく,3軸加速度計のような簡易デバイスによる推定

の妥当性も明らかではない.本研究では,二重標識水(DLW)

法により施設入所高齢者のPALの特徴を明らかにした上

で,PALの推定における3軸加速度計の妥当性を検討した.

【方法】

介護老人保健施設に入所する高齢者男女18名(年齢84±7歳,

BMI19.9±2.1kg/m2)を対象とした.PALDLWの算出には,DLW

法により算出した一日あたりの総エネルギー消費量(TEE)と,呼気

ガス分析装置(QuarkRMR,COSMED社)により測定した基礎代謝

量(BMR)を用いた.また,DLW法と同期間に対象者に2種類の3

軸加速度計ActivestyleProHJA-750C(オムロン)およびアクティ

マーカー(パナソニック)を装着させ,それぞれのPALaccを計測し

た.統計解析では,Pearsonの相関係数を用いてPALDLWとPALacc

の関連性を検討し,Bland-Altmanplot法によりPALaccの系統誤

差の有無を確認した.なお,有意水準は全て0.05%未満とした.

【結果】

TEEとBMRはそれぞれ1151±186kcal/day,867±92kcal/

dayであり,PALDLWは1.33±0.14であった.Active stylePro

によるPALaccは1.33±0.06であり,PALDLWとの間に有

意な正の相関(r=0 .57,p<0 .05)を認め,平均値に有意差

はみられなかった.アクティマーカーによるPALaccは1.25

±0.11であり,PALDLWとの間に有意な正の相関(r=0.62,

p<0.05)を認めたが,平均値の過小評価もみられた(p<0.05).

【考察】

施設入所高齢者では,身体的,環境的要因により活動範囲

が制限されるため,先行研究で対象としているような,自立

した高齢者と比較してPALが低値を示す傾向がある.また,

PALDLWと比較してActive styleProによるPALaccの平均値に

有意差は認められなかったが,アクティマーカーによるPALacc

は過小評価された.以上のことから,3軸加速度計のアルゴリ

ズムの違いにより推定の妥当性が異なることが示唆された.

【結論】

本研究で対象とした施設入所高齢者のPALDLWは1.33と低値を示

したが,3軸加速度計によっても推定できる可能性が示唆された.

O-11

◯西田優紀1)、中江悟司1)、山田陽介1)、近藤衣美1)、山口美輪1)、白𡈽 裕之2)、平野浩彦3)、佐々木敏4)、田中茂穂1)、勝川史憲5)

高齢者の運動効果を評価する体成分指標の有用性

1)医療法人社団新緑会鈴木慶やすらぎクリニック

2)早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構ライフサポートイノベーション研究所

3)医療法人札幌丸山整形外科リハビリテーション科

4)株式会社S.A.T.C.

【目的】維持期・生活期のリハビリテーション(以下、リハ)に取り組む高齢者を対象とした定期的な体力測定の実施は、身体的特徴の現状や変遷の把握を可能とすることから、運動指導の現場においては重要である。その際、身体機能の評価と併せて体成分評価を行うことは有用であり、生体電気インピーダンス法(以下、BIA法)は低い侵襲度で行える方法である。BIA法によって求められる細胞外水分比(ECW/TBW)、位相角(Phaseangle;PhA)、体細胞量などの体成分指標は、栄養状態や筋肉の状態を評価するとされるが、運動指導の現場における体力指標との関連についての知見は少ない。本研究では、ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)やサルコペニアの判定因子を中心とした体力指標と、BIA法によって得られる体成分指標との関連性を検討する。【方法】維持期・生活期リハに取り組む高齢者を対象として体力測定会の実施を公示し、自由意思による参加者を募った。65歳以上の男女70名ほどを対象に、通常歩行速度、2ステップテスト、立ち上がりテスト、握力、長座体前屈、開眼片脚立ち、ファンクショナルリーチ、ロコモ25、体成分などの測定・評価を行い、さらにAWGS(Asianworkinggroupforsarcopenia)によるアルゴリズムを用いたサルコペニアの判定や、ロコモ度の判定を行った。体成分測定はBIA法で行い、InBody社製のInBody770を使用した。尚、参加に際しては測定内容や個人情報の取扱いに関してインフォームドコンセントを取り、参加者全員から同意書への署名を得た。また、結果は個人情報が匿名化されたデータとし、統計解析を行った。【結果】ECW/TBW、PhA、体細胞量などのBIA法による体成分指標は、各体力測定項目の結果と有意な相関を示すなど、体力指標との関連が認められた。【結論】高齢者において体力指標と関連する体成分指標の評価を行うことは、ロコモやサルコペニアといったいわゆる老年症候群の予防を目的とした運動効果を評価する際に有益である。

O-12

◯沢田秀司1)2)、西村耕治1)、三木貴弘3)、碇谷正人1)、菅尾祐助1)4)、東川麻奈美1)、木村美穂1)、内野礼子1)、金 玉蓮1)、秋田直子1)、坂本光貴1)、正田隆信1)、橋口優子1)、中村幸之進1)、鈴木 慶1)

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運動外来(運動器と筋肉量低下予防プロジェクト)の試み

多摩センタークリニックみらい/クリニックみらい国立

当院では2施設で通院患者対象にストレッチ、筋力トレーニング、有酸素運動、高齢者向き椅子体操等の集団体操教室や個別指導を行っており、72名の患者が登録している2014年7月より、内科診療と運動指導をタイアップさせた6ヵ月間の運動外来(運動器と筋肉量低下予防プロジェクト)を開始。第1期のテーマは「10歳若返り」、第2期は「貯筋」、現在は「フレイル予防」として継続している。開始時、3ヵ月後、6ヵ月後に体組成の計測と体力テスト(片足開眼立ちテスト、ファンクショナルリーチ、握力チェック)を実施。6か月間それぞれ集団監視型、個別監視型、個別非監視型にて運動を実施。各ピリオドで医師による結果の評価を行い、健康運動指導士と面談で運動プログラムの作成や修正を随時実施。6か月終了時には修了証書を作成し、結果の総評を行っている。現在までに16名が参加。うち6か月修了3名、現在進行中4名、脱落2名、中断1名、6か月終了後継続6名。6か月終了時では、BMI、脚点、体内年齢では有意な改善は見られなかった。体力テスト結果でも有意差は見られなかったが改善傾向だった。1年継続者でも有意な改善は見られなかったが、悪化は無かった。また、運動教室参加者に「フレイルアンケート」(日本老年医学会【フレイルの評価表】から一部改編)を実施。サルコペニアやロコモティブシンドロームに比し、フレイルの認知度は低かった。また、「外出の減少」や「歩行速度の低下」は無い、と答える者が多い一方で、「疲れやすい」「重いものが持てない」「体重が減った」は約半数で有りと回答していた。もの忘れの自覚については7割があると回答していた。今後も継続して、運動に消極的な群や前熟考期群も参加しやすい環境作りやプログラムの改訂を行い、フレイルに対する認知度を向上させ、早期から運動への参加を促しつつフレイル予防に役立てていくことができるのではないかと考える。

O-13

◯馬場美佳子、森本友紀恵、吉村弘子、渡邊祐子、野川深雪、藤井仁美、宮川高一

糖尿病教育入院患者のサルコペニア合併率と運動介入による体組成及び体力要素の変化

1)医仁会武田総合病院疾病予防センター

2)康生会クリニック健康運動指導科

3)医仁会武田総合病院糖尿病センター

4)武田病院グループ予防医学・EBMセンター

【はじめに】サルコペニアの成因は、筋タンパク合成刺激の減少および筋タンパク分解刺激の増加に関係する。筋タンパク分解刺激の阻害要因の一つにインスリンが挙げられ、インスリン抵抗性が上昇している2型糖尿病者においては、サルコペニアの進行が顕著である。しかし現在のところ、糖尿病(DM)教育入院患者のサルコペニア合併率と運動介入による体組成と体力要素の変化については明らかになっていない。そこで本研究は、DM教育入院患者のサルコペニア合併率と運動介入による体組成と体力要素の変化について検討した。【方法】DM教育入院中に約2週間の運動療法を行った連続119名(平均年齢:62.0±14.4歳、男/女:61/58、HbA1c:10.2±2.2%)を対象者とした。1型DM、介入前後で体組成と体力評価が出来ていない例は除外した。運動療法はストレッチ、筋力トレーニング2種目10回、有酸素運動30~40分、週5回行った。運動介入前と退院時にインピーダンス法にて体組成を測定し、骨格筋指数(SMI=四肢骨格筋量/身長(_)2)を算出した。体力要素は握力、10_歩行速度、10回椅子立ち上がり時間を測定した。アジア基準(AWGS)を基にサルコペニア群(S群)と正常群(N群)に分類し、比較した。【結果】S群は24名(20.2%)であった。介入前のS群の体重、BMI、体脂肪率、脂肪量、除脂肪量、SMI、握力はN群よりも有意に低値を示し、10_歩行速度は有意に低速を示した。運動介入前後において、両群ともに除脂肪量やSMIが維持され、体重、体脂肪率、脂肪量が有意に減少した。また、両群ともに10_歩行速度、10回椅子立ち上がり時間が有意に改善した。退院時において、S群のインスリン使用率はN群よりも有意に高値を示した。【結論】DM教育入院患者に合併するサルコペニアは20.2%であった。サルコペニアの有無に関わらず、運動介入によって除脂肪量が維持され、歩行速度や下肢筋力が改善することが示唆された。

O-14

◯草葉怜奈1)、黒瀬聖司1)、今井 優2)、濵田友里1)、荻野沙也加1)、七澤智子1)、吉田志織1)、東 信之3)、桝田 出4)

一般演題(4) 9 月 3 日 ( 土 )15:00 〜 16:00 第3会場(中会議室)サルコペニア・フレイル

座長:磯 良崇(昭和大学 藤が丘リハビリテーション病院 循環器内科)

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肥満者のサルコペニア評価を目的とした簡易的運動機能測定は付加的な心血管疾患リスク評価となり得るか?

1)北翔大学大学院生涯スポーツ学研究科

2)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科

3)北海道教育大学スポーツ教育課程

背景:サルコペニアとは加齢に伴う筋量の減少と筋力や運動機能の低下を示す概念であり(RosenbergIH. JNutr1997)、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の悪化など健康寿命に大きな影響を与える。近年では、肥満とサルコペニアが併存すると更なるメタボリック症候群のリスクを高めることや心血管疾患の発症増加に関連する可能性が話題となっており(SchragerMA. J Appl Physiol2007)、サルコペニアが肥満と独立した心血管疾患発症リスクとなっている可能性が示唆されている。サルコペニアの評価には、骨格筋量および機能を示す様々な指標が用いられてきている。目的:今回我々は、北海道住民において、肥満と独立した心血管疾患リスクを反映する簡易的な運動機能指標を検討することを目的とした。方法:過体重を有する中高年女性202名(35-80才)を対象とし、身体計測、血液生化学的検査および運動機能指標(大腿筋厚、最大酸素摂取量、膝伸展筋力、握力、上体起こし、長座体前屈、閉眼片足立ち、全身反応時間)の測定を行った。信頼性の高い指標である高感度C反応性蛋白(CRP)、HDLコレステロール、インスリン抵抗性(HOMAIR)と各運動機能指標の単相関を調べ、有意であった指標に対して体格指数との独立性を検討した。結果:単相関では、高感度CRPに対し上体起こし(p=0.0055)、閉眼片足立ち(p=0.0039)、長座体前屈(p=0.0391)が、HDLに対し閉眼片足立ち(p=0.0222)、長座体前屈が(p=0.0009)、HOMAIRに対し長座体前屈のみ(p=0.0033)が有意に関連していた。しかしながら、いずれの指標も体格指数に対する独立性を示さなかった。結論:簡易的な運動機能指標の測定は、肥満と独立した心血管疾患リスク評価とはならないことが示唆された。

O-15

◯熊谷 礼1)、沖田孝一2)、田尾賢吾1)、森田憲輝3)

重症肥満症におけるサルコペニアの関連因子と減量治療反応性への影響

1)昭和大学藤が丘病院糖尿病・代謝・内分泌内科

2)昭和大学スポーツ運動科学研究所

3)昭和大学藤が丘病院栄養科

近年サルコペニアが注目されている。肥満症加療目的で入院した患者を、骨格筋指数によりサルコペニア肥満と非サルコペニア肥満に分け、骨格筋指数に影響する背景因子と減量効果に対する影響について検討した。対象は、2011年10月〜2015年10月に肥満症加療目的で入院した患者のうち生体電気インピーダンス法を施行した20人。男性5人女性15人、平均年齢59.6歳、平均BMI38.0kg/m2、平均食事療法は標準体重あたり23.9kcal/日、運動療法は理学療法士の指導のもと個別にストレッチング、有酸素運動を行った。平均入院期間は61日、糖尿病合併が15人、脂質異常症合併が16人、高血圧合併が17人だった。独居で生活している人が6人だった。生体インピーダンス法で測定した四肢筋量(水分量)から計測される骨格筋指数が男性7.0kg/m2、女性5.7kg/m2未満をサルコペニア肥満とし、サルコペニア肥満と非サルコペニア肥満に二分し、背景を比較した。サルコペニア肥満の方が非サルコペニア肥満に比べて、BMIが低く(p=0.0004)、独居が多く(p=0.03)、体脂肪率が低く(p=0.006)、年齢が高い傾向があった(p=0.05)。また、対象患者のうち、サルコペニア肥満7人と非サルコペニア肥満4人の計11人に腹部CTでの内臓脂肪面積、皮下脂肪面積を測定してため比較すると、内臓脂肪面積には差がなかったが皮下脂肪面積はサルコペニア肥満で有意に小さかった(p=0.0001)。入院一日当たりのBMIの減少はサルコペニア肥満で小さかった(p=0.02)。サルコペニア肥満は肥満度がそれほど高くない人に多く、また独居等の社会的背景が関係する可能性が示唆された。サルコペニア肥満は、体脂肪率がそれほど高くないが内臓脂肪/皮下脂肪の比率が高い人に多い可能性があり、入院加療によっても体重が減少しにくかった。

O-16

◯田所梨枝1)、礒良 崇2)、玉木大輔3)、大塚史子1)、長坂昌一郎1)、三邊武幸2)

97

疾病予防施設参加者のEPA/AAに関する検討

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院循環器内科

【背景】わが国は動脈硬化性疾患、特に虚血性心疾患の死亡率が世界でも最低レベルである。その理由の一つに魚を多く食べる和食の恩恵があると考える。しかし近年、わが国における魚の摂取量が年々低下し、ついには肉類の摂取量と逆転したとの報告がされている。また最近では、多価不飽和脂肪酸のうちn-3系のエイコサペンタエン酸(EPA)と、n-6系のアラキドン酸(AA)との比であるEPA/AAが抗動脈硬化の指標として注目されている。【目的】生活習慣病を保有するか、あるいはその予防のために疾病予防施設にて運動中の対象者のEPA/AAの調査及び関連する背景因子について検討すること。【方法】疾病予防施設にて定期的に運動を行い、生活習慣病の管理を行っている対象者104名(女性74%、平均64.4歳)につき、EPA/AA、LDLコレステロール、HDLコレステロール等を測定した。また、BMIや年齢等の背景因子との関連を検討した。なお、対象者のプライバシーの保護、匿名性については十分な配慮を行った。【結果】EPA製剤、EPA含有サプリメントを内服していない症例のEPA/AAは平均0.36であり、日本人が健康な生活が送るための理想値0.6には及ばなかった。魚を主菜として週3回以上食べると答えた人はそれ未満の人よりEPA/AAが高値であった(0.20vs0.53)。EPA/AAと年齢の間に粗な正相関(r=0.36,p<0.01)を認めた。同時期に頚動脈エコーが施行可能であった症例における検討ではプラークスコアとEPA/AA間に有意な相関を認めなかった。【結語】海に近い地区、さらに疾病予防施設に通い健康志向の高い対象者においても魚の摂取量は少なく、日本全体の傾向と考えられた。運動療法とn-3系脂肪酸摂取との相互作用も報告されており、今後は魚からのn-3系摂取を増やすような何らかの取り組みが必要と考える。

O-17

◯大宮一人、小徳のぞみ、鈴木規雄、御手洗敬信、高井 学、中野恵美、松田央郎

トレッドミルによる歩行運動療法で下肢動脈血栓閉塞が顕著に改善した高齢女性の経験

1)埼玉医科大学国際医療センターリハビリテーションセンター

2)埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科

【はじめに】閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して行われる運動療法は、側副血行路の増加や血管内皮機能、骨格筋代謝能の改善を目的としている。今回われわれは、慢性動脈血栓閉塞が運動療法で顕著に改善した症例を経験したので報告する。【症例】74歳女性。診断:Af、慢性下肢動脈閉塞、右腎梗塞。経過:急性下肢動脈閉塞にて3度の入院を経験し、下肢動脈閉塞(両下肢とも膝窩動脈から下腿3分枝にかけて血栓閉塞)に対してバイパス術の検討をされたが本人は拒否し、内服治療(NOAC)にて経過観察中であった。最終退院半年後、本人の希望で運動療法を導入した。心エコー:LVDd/LVDs=45/31mm、EF=56%、LAD=39mm、心房内血栓なし。血液検査:BNP216pg/ml、BUN/Cr=27.7/1.38mg/dl、Hb13.5g/dl。【運動療法】ICD・ACDともに10mで自宅での生活も跛行のため外出できず、ABIは右測定不能/左0.55であった。以後、週3回外来監視型運動療法を開始し、ASOの運動療法のガイドラインに従い、トレッドミル歩行を1回3セット、徐々に傾斜を増加していった。在宅では、痛みに応じて間欠的な歩行運動を継続した。3ヵ月後、ICD110m、ACD310mとなり、ABIは右0.48/左0.64と改善した。下肢動脈エコーの結果は、両下肢とも膝窩動脈に血栓が残存するものの、右前脛骨動脈と腓骨動脈に血流再開を認め、左3分枝とも血流を認め、動脈血栓閉塞そのものが顕著に改善した。【考察】ASOの運動療法においては、動脈硬化による狭窄・閉塞の状態は変わらず、歩行距離の延長する症例を経験するが、動脈血栓閉塞そのものに対しての効果は知られていない。今回、運動療法において歩行距離だけでなく、閉塞そのものが顕著に改善したことは、間欠性跛行を有する動脈血栓閉塞に対しても運動療法の有効性が示唆された。

O-18

◯樋田あゆみ1)、内田龍制2)、牧田 茂2)

一般演題(5) 9 月 3 日 ( 土 )16:00 〜 17:00 第3会場(中会議室)動脈硬化・心臓リハビリテーション (1)

座長:白石 裕一(京都府立医科大学 循環器内科)

98

運動頻度の違いが動脈硬化(PWV)・血圧に与える影響

偕行会ウェルネスセンター

【目的】 動脈硬化を初めとする生活習慣病の予防に最も適した運動頻度は週3回以上が推奨されているが、厚生労働省の身体状況調査によると週3回以上の運動実施の割合は約30%と報告されている。そこで本研究は運動頻度の違いが動脈硬化(PWV)・安静時及び運動時血圧に対してどのような影響を与えるか検討した。【対象・方法】 対象は、当センターの利用者で運動療法を半年以上継続した80名とした。このうち、週3回以上の運動を実施した高頻度群と週3回未満の低頻度群に分類した。 評価方法は、脈波伝播速度(PWV)、安静時血圧、運動時血圧について運動療法開始前と半年後の比較を行った。運動時血圧は心肺運動負荷試験によるAT時の血圧を用いた。【結果】  高 頻 度 群 で は 、P W V( 左 右 平 均 値 )1640.4→1528.3m/sec(p<0.05)、安静時収縮期血圧150.9→141.7mmHg(p<0.05)、安静時拡張期血圧89.2→83.0mmHg(p<0.05)、運動時収縮期血圧180.8→172.0mmHg(p=0.064)、運動時拡張期血圧96.5→89.0mmHg(p<0.01)と改善が見られた。 低頻度群では、PWVでは有意な改善が見られなかったが、運動時収縮期血圧172.4→163.0mmHg(p<0.01)、運動時拡張期血圧95.8→90.0mmHg(p<0.01)で有意な改善が見られた。【まとめ】本結果より、高頻度群のみPWVで有意な改善が見られたため、動脈硬化の改善に有効な運動頻度は、推奨されている週3回以上であることが確認出来た。週1〜2回の運動では運動時血圧で改善が見られた。運動時の過剰な血圧反応は心血管疾患リスクと関連性があると報告されている。今回、週1〜2回の運動では動脈硬化に関する効果は不十分であったが、運動時の血圧低下により心血管疾患のリスク減少につながる可能性があると考えられた。

O-19

◯足立佳世、森山善文、森 敏彦

長期個室管理と心拍反応著明亢進のため運動様式に難渋した巨細胞性劇症型心筋炎の一例

1)国立循環器病研究センター心血管リハビリテーション科

2)国立循環器病研究センター心臓血管内科

【背景・目的】巨細胞性心筋炎は致死率が高い難治性心筋症であり,甲状腺機能亢進症等の免疫異常を呈する全身疾患に伴い発症することがある。免疫抑制剤による早期治療が著効する場合があるが,予後不良の難治性心不全患者で,これまで運動療法の報告は極めて少ない。免疫抑制剤治療によるステロイドミオパチーと長期間の個室管理に伴う高度デコンディショニングに加え,回復期心臓リハビリテーション(心リハ)では,甲状腺機能亢進症による心拍数(HR)の著明上昇から運動様式に難渋した巨細胞性劇症型心筋炎の症例を経験したので報告する。【症例】感冒症状を契機に急性非代償性心不全で入院した50歳の女性。入院時は左室駆出率20%,BNP4020pg/mlの重症心不全であり,IABP・静注強心薬で治療開始した(NYHAⅣ,PeakCK1467U/L)。IABP抜去後の第8病日にCCUから心リハ開始。以後,高用量のステロイド治療による感染予防のため73病日個室管理。ステロイドミオパチーによる高度デコンディショニングを呈し,レジスタンストレーニング(RT)を担当看護師と協力しながら1日2回(午前・午後)に分割し毎日実施したが,室内歩行可能となるまで37病日を要した。第72病日に隔離解除され,第74病日に回復期心リハへ移行。開始時6分間歩行テスト(6MWT)は371mでHR91bpm→198bpmまで上昇。高度デコンディショニング・高度筋萎縮に加え,洞調律であったが,歩行時のHR著明上昇から運動様式は自転車エルゴメータと空圧式マシーンによるRTで心リハを開始。回復期心リハ6週間後(第118病日)に実施した運動機能評価は,下肢筋力16.5(%予測値55.0%)→20.9kg(+27.1%),下肢筋肉量11.2→13.9kg(+23.7%),6MWT371→476m(+105m)と良好に改善した。【結語】ステロイドミオパチーを呈する難治性心不全に対して,急性期は病棟で看護師と協力しながらRTを継続し,回復期は心リハ室でデコンディショニングとHR応答を考慮した運動様式を考慮し,運動耐容能に改善に成功した。

O-20

◯山本壱弥1)、福井教之1)、鈴木裕二1)、北垣和史1)、柳 英利1)、柴田 敦2)、中尾一泰2)、熊坂礼音2)、荒川鉄雄2)、福井重文2)、中西道郎1)2)、簗瀬正伸2)、神﨑秀明2)、安斉俊久2)、後藤葉一1)2)

99

PCI後高齢患者に対する維持期運動療法を地域密着型クラブで実施し効果が認められた1症例

1)常葉大学

2)順天堂大学

3)NPO法人ジャパンハートクラブ

4)東京山手メディカルセンター

5)東京医科大学

6)榊原記念病院

7)埼玉医科大学国際医療センター

【はじめに】冠動脈疾患の運動療法は、QOL改善や生命予後の延長に貢献することが判明しているが、保険診療終了後に患者が運動療法継続を希望しても、受け入れ施設がないことで中断することがある。ジャパンハートクラブ(JHC)では、回復期運動療法実施後の患者を受け入れ、MedEXクラブで生涯にわたり安全で質の高い運動療法を継続できるシステムを全国展開している。今回、維持期運動療法を医療機関と連携し、安全に施行できた症例を報告する。【症例】73歳、男性。2014年7月前壁中隔心筋梗塞に対し♯7にPCIを施行し、さらに同月残存病変に対し♯4及び♯3にPCIを施行した。【運動療法-1】2014年11月にCPX実施後、サイクルエルゴメータによりAT強度(25W)で30分、週3回の心臓リハビリテーション(心リハ)を約3ヶ月間大学病院にて実施した。【運動療法-2】回復期心リハ終了後、かかりつけ医より紹介され、2015年2月よりMedEXクラブに参加した。運動療法は、運動処方をもとにして、心臓リハビリテーション指導士の資格を持ったスタッフが指導を行った。体調チェック及び血圧測定後、ストレッチングを実施しトレッドミルを用いたウォーキングエクササイズ、セラバンド及び自重を用いたレジスタンスエクササイズを計約60分間、週に1回実施した。【結果】2015年12月に行ったCPXにおいて負荷中異常を認めず、心リハ開始前と比較しPeakVO2は11.4ml/kg/min→17.2ml/kg/min、AT値は9.6ml/kg/min→10.1ml/kg/minへと改善した。更に、留置ステントの開存を確認し他の冠動脈に狭窄は認められなかった。【まとめ】PCI後にかかりつけ医と連携して、適切な運動処方に則って維持期心リハを安全に効果的に実施できた。

O-21

◯今村貴幸1)、冨田エミ2)、坂本律子3)、仲村太一4)、村瀬訓生5)、伊東春樹6)、牧田 茂7)

心臓リハビリにおけるノルディックポールを使用した登山の運動強度の検討

1)社会医療法人北海道循環器病院理学療法科

2)社会医療法人北海道循環器病院心臓リハビリセンター

3)社会医療法人北海道循環器病院循環器内科

4)社会医療法人北海道循環器病院心臓血管外科

【背景】当院では維持期心疾患患者を対象に二次予防を目的とした,心臓リハビリテーションに力をいれている.室内の運動療法にスポーツを加え,更に札幌の自然環境を活かした登山やノルディックウォーキングなど,多数の野外プログラムを行い,この独自の取り組みを「札幌モデル」として展開している.本研究では,ノルディックポール(以下:ポール)を使用した登山に焦点を当て,心拍数応答から非使用群と比較して運動強度を検討した.【対象と方法】対象はプログラムに参加希望した維持期心疾患患者11名とし,ポール使用群(男性3名・女性4名,平均年齢69.0±5.5歳)とポール非使用群(男性3名・女性1名,平均年齢64.5±10.5歳)の2群に分けて調査をした.運動強度はホルター心電図の解析記録から心拍数を5分ごとに抽出し,心肺運動負荷試験の結果から得られた最大心拍予備能(%HRR)の何%に相当するかを算出した.差の検定にはマン・ホイットニー検定を用い,危険率は5%未満を有意として分析した.【倫理的配慮】対象者にはヘルシンキ宣言に則る配慮をし,研究の目的と方法,個人情報保護の説明を行い,研究参加・結果公表の同意を得た.【結果】ポール非使用群では登りが平均50 .9±13.9%,下りが平均31.1±14.4%であった.ポール使用群では登りが平均47.5±7.9%,下りが平均44.2±13.7%であった.2群間での登りと下りの平均値には有意差は認められなかったが,下りの2地点においてポール非使用群が使用群に比べて有意に少ない値を認めた(p<0 .05).【考察】ポールを使用することで,登りは下肢の筋群にかかる負担が小規模の上肢筋にも分散され,心拍数上昇が少なかったと考える.下りはポールを使用することで,上肢筋の活動が増え心拍数の上昇が生じたと考える.登山ではポールを使用することで,安定した強度で実施できることが示唆された.

O-22

◯住吉良太1)、阿部 史1)、須藤拓也2)、工藤真斗2)、川村圭央2)、岡本祐一郎2)、川初清典2)、大堀克彦3)、堀田大介3)、大堀克己4)

一般演題(6) 9 月 3 日 ( 土 )17:00 〜 18:00 第3会場(中会議室)心臓リハビリテーション (2)

座長:木庭 新治(昭和大学医学部 内科学講座 循環器内科学部門)

100

心臓病のスポーツリハビリテーションへのクロスカントリースキーの導入と実践

1)社会医療法人北海道循環器病院心臓リハビリセンター

2)社会医療法人北海道循環器病院理学療法科

3)社会医療法人北海道循環器病院循環器内科

4)社会医療法人北海道循環器病院心臓血管外科

背景と目的:当院では屋内・野外双方でのスポーツを取り入れた心臓リハビリテーションを行なっているが、冬季にはクロスカントリースキーを野外プログラムとして実施している。本研究は、心臓病患者が実施するクロスカントリースキーの安全性と負荷強度を検討すると共に心身への効果を明らかにし、心臓リハビリテーションとしての有効性を調査することを目的とした。方法:クロスカントリースキーは札幌市中でスキー場や公園にコースが敷設される1~3月の期間に原則として毎週土曜日に実施した。対象は屋内・野外で心臓リハビリテーションに参加している維持期患者110名。プログラム立案とスキー指導は専任の運動指導士が担当、患者監視・心拍数などの計測は帯同の医師と専任のPTが担当、シーズン当初には基本滑走の技術指導、中盤以降には林間コースにて起伏変化への技術習得や森林・景観を観察するプログラムとした。負荷強度はシーズン当初ではテレメータECGを装着する患者とそれ以外は検脈を行い、林間コースでは検脈を行った。また、心理的プロフィール検査としてPOMSを用いた心理的計測をプログラムの前後に行った。倫理的配慮:本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、個人情報の保護、およびデータの公表の同意では書面を以って確認を得た。結果と考察:1994年から2016年までの22年間にクロスカントリースキーの実施回数は計140回、延参加者1107名、1661患者・時間となった。手頸部の転倒骨折を1例経験したが、心臓・循環系イベントの発生はなく、安全な実践が継続されている。過去5年間のスキー走行中の負荷強度は最高心拍数112.7±22.3bpm、自覚的運動強度11.8±1.3でありノルディックウォーキングや軽登山などの夏季野外プログラムと同様に有効な強度で運動されていた。また、POMSでは疲労感と良好な気分変化が得られ心身両面の効果が評価された。

O-23

◯須藤拓也1)、工藤真斗1)、岡本祐一郎1)、阿部 史2)、川初清典1)、大堀克彦3)、堀田大介3)、大堀克己4)

心臓病のスポーツリハビリテーションにおける“パークゴルフ”の有用性

1)社会医療法人北海道循環器病院心臓リハビリセンター

2)社会医療法人北海道循環器病院理学療法科

3)社会医療法人北海道循環器病院循環器内科

4)社会医療法人北海道循環器病院心臓血管外科

【はじめに】当院では心臓病の維持期患者を対象にスポーツを取り入れたリハビリテーションを実施しており、屋内外で軽スポーツを指導している。スポーツプログラム充実の一環として、北海道発祥で中年から高齢者に愛好されている“パークゴルフ(PG)”を導入して6年間経過した。【目的】PGは患者の身体的効果に加えて、精神・心理・社会性の効果も高いと考え、本研究ではそれらの実践的効果を明らかにすることを目的とした。【方法】PGを2011年に導入して以来、定期的に23回指導し、参加した患者男性36名、女性10名を対象とし、ゲーム中の心拍数予備能と血圧、自覚的運動強度(Borg指数)を測定した。また、精神・心理・社会性の効果を検討するため、日本語版POMS短縮版(POMS)と事後の充足感を見る独自のアンケート調査を行った。統計処理はT検定を用いて危険率5%未満を有意とした。【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、特に個人情報の保護、およびデータ公表の同意では書面を以って確認を得た。【結果・考察】ゲーム中の最高心拍数は予備能の45.4±30.3%相当、収縮期血圧は130.2±15.3mmHg、Borg指数は10.9±1.5であり、心疾患患者の運動強度はATレベルが推奨されるが、それよりも低い値であったことから、回復期や高齢の患者にも安全にプレー出来ると考えられた。POMSでは全ての項目で改善か改善傾向を示し、冠危険因子とされる抑うつ性、不安、怒りの要素が他スポーツ時よりも高い有意性を以って改善を示した。事後の充足感を見たアンケート調査では、「仲間とのプレー」や「楽しい時間をもてたこと」に喜びを感じた患者が多く、これらは社会性が高まったとして評価された。以上の結果から、維持期心疾患患者へのPG指導は、心身総合的な面を強くする実効果をもたらすと考えられた。また、本研究はQOL向上にアプローチする具体的な実践例に位置付けられると考えられた。

O-24

◯工藤真斗1)、須藤拓也1)、岡本祐一郎1)、川初清典1)、阿部 史2)、大堀克彦3)、堀田大介3)、大堀克己4)

101

日内活動パターンの類型化と体組成指標への影響の分析

1)東京工業大学大学院情報理工学院

2)慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科

3)慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科

4)慶應義塾大学スポーツ医学研究センター

昨今のウェアラブルデバイスの発展により,活動量計の計測記録についてネットワークを通じてデータベースへと蓄積し,利用者の健康指導や目標管理へと繋げる新たな健康管理の試みが進められている.本研究では,新たな健康管理情報の提供の一環として,1時間単位で集計された活動量計による歩行量データに基づいて,利用者の各日の日内活動を数種類の活動パターンへと類型化する手法を提案する.類型化手法として,本研究では機械学習分野において文書クラスタリングなどに利用されているトピックモデル(LatentDirichletAllocation)を用いる.トピックモデルとは,多数の文書の集団に対して,各文書を単語別出現頻度で表現し,複数の文章に共通して表れる単語群(トピック)により文書を分類する手法である.ここでは,時間帯別歩行数を単語出現頻度の代わりとして,トピックモデルにより複数の利用者・計測日に共通する日内活動パターンを抽出する.上記によって類型化された日内活動パターンに基づいて,各利用者の日内活動パターンの構成割合およびパターン別の日平均歩行量を集計し,その男女別・曜日別の分布について議論する.さらに,日内活動パターン別歩行量と体組成指標との関係について回帰モデルによる分析を行い,歩行量増加による体組成指標の改善効果について日内活動パターン間で統計的に有意な差異があることを示す.

O-25

◯野村俊一1)2)、渡辺美智子3)、小熊祐子3)4)

糖尿病患者における歩行強度計を用いた身体活動量と時間軸からみた歩数と生活背景の関係についての検討

高村内科クリニック

【目的】ウォーキングは比較的活発な身体活動であり、運

動療法として頻繁に取り入れられているが、歩行時の歩

数・運動強度を明確に把握し実行している者は少ない。そ

こで、歩行強度計を用いて1日の総歩数と歩行時の運動

強度を測定し、身体活動量の見える化について検討した。

【対象と方法】当院通院中の2型糖尿病患者26名(男性13

名、女性13名、平均年齢63.7±10.6歳、平均HbA1c6.8

±0.8%、平均BMI25.4±3.0)を対象に、テルモ社製歩行

強度計メディウォークを用いて1日の総歩数と3Mets以

上の中強度活動を行った時間を1か月間測定した(2015

〜2016年)。運動目標値は「健康日本21」に従い、1日平

均歩数目標値(以下歩数目標)は成人男性9000歩・女性

8500歩、65歳以上の高齢男性7000歩、高齢女性6000

歩とし、中強度活動時間目標値は3Mets以上の中強度

活動を30分以上行う日が週2日以上とした。測定結果

からA:達成、B:歩数未達成・強度達成、C:歩数達成・強度

未達成、D:両未達成とした。また、時間軸での歩数から、

それぞれの生活背景と歩数の関係について検討した。

【結果・考察】A群7名、C群名、D群14名であった。そ

れぞれの平均年齢(61.7±13.3、69.4±2.8、62.8

±10 .7歳) ・HbA1c (6 . 6±0 .5 、6 . 4±0 .5 、7 . 2±

1.2%)・BMI(26.5±2.6、23.9±3.2、26.5±2.6)で

有意差はみられなかった。各群の1日平均歩数・活

動時間(分)それぞれ、A群10551.1±684.4、35.8

±2.8分、C群7898.1±865.7、16.2±3.6分、D群

5030.9±536.9歩、9.5±2.2分であった。P<0.0001)

各時間帯での平均歩数をみた場合、A群が6時に

起床し22時には就寝しており、平均1000歩/時が

2時間、平均600〜800歩 /時が5時間であった。

C 群は 7時に起床し2 3時に就寝、平均 1 0 0 0 歩

/時が 1時間、平均6 0 0〜 8 0 0歩 /時が 4時間で

あった。D群は深夜まで活動している者もおり、

1 5時と1 6時は平均4 0 0歩 /時であったが、それ

以外の活動時間帯は200〜300歩/時であった。

時間軸からみることで個々の生活パターンを知ることがで

き、テーラーメイドの運動指導に活用できる可能性が示唆

された。

O-26

◯小池日登美、福田 麗、村尾 絢、堀澤栞里、藤巻陽子、植木彬夫、高村 宏

一般演題(7) 9 月 4 日 ( 土 )10:55 〜 12:10 第3会場(中会議室)身体活動パターン

座長:小熊 祐子(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)

102

活動量、睡眠時間の変動から見た肥満患者の動脈硬化危険因子の検討 ―ウェアラブル生体センサーによる検討―

関西医科大学附属枚方病院健康科学センター

目的:リストバンド型ウェアラブル生体センサーによる長期連続観察により、生体活動、睡眠時間の変動と動脈硬化危険因子の関連を検討した。方法:対象は当院肥満外来受診患者14名(男性:4名、女性10名)とした。ウェアラブル生体センサーシステムとして日立システムズ社製ライフログ解析サービスを用いた。活動量及び睡眠時間の歪度と尖度を変動値とし、腹部CTによる内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、DEXA測定による体組成、呼気ガス分析心肺運動負荷試験による運動耐容能、生化学諸指標と比較した。結果:平均年齢41.5±12.7歳、平均BMI37.6±8.0、平均歩数4140.0±2603.4歩、平均記録期間11.5±3.1日、平均睡眠時間7.1±1.6時間であった。歩数の歪度はHAMA-Rと有意な正の相関を認めた(r=0.73、p<0.01)。歩数の尖度においてもHAMA-Rと有意な正の相関を認めた。(r=0.93、p<0.01)。睡眠時間の歪度はγ-GTPと有意な正の相関を認めた。(r=0.57、p<0.05)。睡眠時間の尖度はGLUと正の相関を認めた。(r=0.62、p<0.05)。またA1cとも正の相関を認めた。(r=0.74、p<0.01)。考察:ウェアラブル生体センサーによる生活習慣の長期連続観察の結果、生活習慣の変動や不規則は動脈硬化の危険因子となる可能性があると考えられた。

O-27

◯川口紗苗、宮内拓史、高尾奈那、山下素永、那須加奈子、大南博和、吉内佐和子、藤井 彩、木村 穣

生体ログデータに基づく活動強度パターンの分類と可視化

慶應義塾大学健康マネジメント研究科

近年、ウェアラブルデバイスの普及によって個人の運動情報が収集しやすい環境となり、Owenら(2012)などにより活動パターンの可視化も行われている。岡ら(2013)は座位行動が健康アウトカムに影響を与えることから、今後は加速度計による座位行動指標をもとに国民の座位行動分布の把握が重要だと指摘している。本研究では、活動量計を用いて集団としての活動パターンの特徴抽出を目的とした。新潟県長岡市と株式会社タニタヘルスリンクの協力のもと、活動量計(使用機器:株式会社タニタ、AM-150)で得られた10代〜80代の男女1044名のデータをもとに分析を行った。活動量計の計測項目のうち、総消費エネルギー量と活動エネルギー量を使い下記の式で算出された値を本研究における活動強度とした。活動強度=総消費エネルギー量/(総消費エネルギー量−活動エネルギー量)24時間ごとの時間帯別の活動強度を週単位にまとめなおし、7曜日×24時間の168の変数を持つデータセットを作成した。作成したデータをもとに因子分析を行った結果、活動強度パターンを規定する因子として、いくつかの特徴的な因子構造軸が明らかになった。例として、平日の朝の活動有無が特徴的な因子などが抽出され、曜日・時間帯ごとの因子負荷量の値を用いて各活動パターンの可視化を行った。集団としての活動強度パターンの規定因子が明らかになったことにより、今後、ポピュレーションアプローチとして運動介入などを行う際の活用が期待される。本研究は独立行政法人情報通信研究機構の採択課題「課題A ソーシャル・ビッグデータ利活用アプリケーションの研究開発」における「ヘルスリテラシー向上のための生体ログデータ分析に基づく健康情報フィードバック」プロジェクトの支援を受けたものである。参考:NevilleOwen,GenevieveNHealyetal.TooMuchSitting:ThePopulation-HealthScienceofSedentaryBehavior.ExerciseandSportSciencesReviews.2010.38(3),105-113.岡浩一朗,杉山岳巳,井上茂,他.座位行動の科学—行動疫学の枠組みの応用—.日本健康教育学会誌.2013.21(2),142-153

O-28

◯山田知明、加藤梨里、小熊祐子、渡辺美智子

103

活動量データからの潜在的歩数増加パターンの抽出と歩数の目標値設定への試み

1)立教大学社会情報教育研究センター・慶應義塾大学システムデザインマネジメント研究所

2)慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科・スポーツ医学研究センター

3)慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科

本研究は独立行政法人情報通信研究機構(NationalInstitute of Information andCommunicationsTechnology,NICT)の採択課題「課題A ソーシャル・ビッグデータ利活用アプリケーションの研究開発」における「ヘルスリテラシー向上のための生体ログデータ分析に基づく健康情報フィードバック」プロジェクトの支援を受けたものである。本研究では本人の運動習慣の定着を目指すため,全国の協力者が活動量計を用いて計測した日々の歩数と,体重や内臓脂肪,基礎代謝量といった体組成指標との相関関係を統計的に検討し,性別,年代に合ったペースで無理のない,段階的な歩数の目標値を提示しようと考えた。方法としては,全国の都道府県に在住する20代から80代の協力者,男女1592名(男性976名,女性616名)を分析対象として,まず混合成長曲線モデル(GrowthMixtureModel,GMM)を用い,歩数の増加パターンについて性別・年代別にいくつかの群に分類した。続いて提案する歩数の目標値の安全性と利便性を考慮し,1日1万歩を1つの目安として,GMMの結果から無理のない歩数の目標値を設定した。さらに,目標値に基づく群間の体組成との関連を確認するために共分散分析を行い,この群の違いによる個人間レベルでの体組成指標の統計的有意差を確認した。最後に,地域データへのフィードバック方法として,データ提供のあった長岡市のデータを例に,作成した全国データの歩数の目標値を元に長岡の協力者を4群に分類し,全国データと比較したフィードバックを作成した。

O-29

◯大橋洸太郎1)、小熊祐子2)、加藤梨里3)、渡辺美智子3)

104

宿泊型新保健指導(Smart Life Stay)における運動実施の行動変容について

1) 慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター

2) あいち健康の森 健康科学総合センター

3) 関西電力医学研究所 糖尿病・内分泌研究部

4) 神奈川県立保健福祉大学大学院

5) 藤田保健衛生大学 医学部

6) 琉球大学 観光産業科学部 観光科学科

7) 大阪大学大学院 医学系研究科

背景:宿泊型新保健指導 (Smart Life Stay; SLS)プログラム(以下、本プログラム)は、健康行動理論に基づき、地域観光資源を活用し旅の楽しみを盛り込んだ体験重視型の新たな保健指導プログラムである。本検討では、SLSプログラム研究班による実証事業およびその後23機関で実施した試行事業において、身体活動・運動とその関連因子に着目してその変化を検討した。 方法:試行対象機関は、2015年2月に厚生労働省が募集、経験や実現可能性を考慮し最終的に選定された23機関(7市町村、6企業、5医療機関、5保健指導機関)。対象者はprediabetesまたは糖尿病で、宿泊施設における体験学習や専門職種による個別カウンセリングを通じ、生活習慣改善の必要性を学び、実現可能な行動目標を設定した。宿泊プログラム終了後、特定健診保健指導に準じて継続的な支援を受けた。本検討では、運動実施の自信度(0-100%)、行動変容ステージ、1日1時間以上の身体活動実施の有無、運動実施状況(1日の時間*週の頻度の合計時間を計算)について、宿泊前の値および宿泊プログラム実施直後、3か月後、6か月後の経時変化を検討した。 結果:対象者は合計812名(年齢:54.9±10.4歳; mean±SD、BMI: 25.9±4.1 kg/m2、男性70.1%)。宿泊前の運動自信度は58.6±25.4%、行動変容ステージ:無関心期1.7、関心期46.8、準備期12.7、実行期10.5、維持期28.3%、身体活動実施者は32.4%、運動実施合計時間は0分/週(0-120, median(25-75%tile))、運動未実施者が64%であった。これら項目は実施直後に有意に増加、その後やや低下するものの前値に比し高いままであった。 考察:本プログラムによる運動面の効果が期待できる。より長期的検討・客観的評価も含めた検討が必要である。

O-30

◯小熊 祐子1)、松下 まどか2)、村本 あき子2)、野村 恵里2)、矢部 大介3)、佐野 喜子4)、八谷 寛5)、荒川 雅志6)、樺山 舞7)、津下 一代2)

健康増進施設利用者の運動中断率抑制を目指した取り組み

公益財団法人 北陸体力科学研究所

【目的】 各種疾病予防および維持・改善のためには運動習慣の定着が重要である。 今回、特に新規入会者の運動中断率(入会後6ヶ月間)抑制を目的とした取り組みを実施し、その効果を検証したので以下に報告する。【方法】 2014年度に当健康増進施設に入会した計244名(男性133名、女性111名、平均年齢53.6±17.2歳)を対象に、施設入会から6ヶ月間の施設利用状況から運動中断率を調査した。【具体的支援内容例】 1.新規入会者専用シートによる継続的管理:対象者の施設利用希望内容、身体・疾病状況、施設利用状況、コミュニケーション内容等を一覧にしたシートを作成し、職員で情報共有しながら入会時から6ヶ月間の利用状況および支援内容確認を密に行った。2.定期的な評価・指導による効果検証および目標設定:入会時および3ヵ月後に体成分測定や利用状況・体調等の聞き取り等を実施し、運動内容の確認や食事指導等の個別支援を行った。3.ポイントカード導入による施設利用促進:計20回分のポイントカードを作成し、施設職員がスタンプを押すシステムを構築したことで、施設職員と定期的に接しやすい環境を設け、運動状況確認や体調把握等を実施した。また、ポイント毎に健康情報発信や健康食品提供などのインセンティブを設定し、動機付けを行った。上記の取り組みなどにより、特に入会から3ヶ月間の支援を積極的に実施した。【結果】 2014年度の運動中断率は19.3%(47名/244名)であった。【考察】 先行研究では一般運動施設などでの運動療法中断率(入会後3~6ヶ月)は30%~40%程度との報告が多く、我々の介入結果は比較的良好であったと思われる。これは、コミュニケーションをとりやすい環境を整えたことなどが効果的だったと考える。今後は、年代・目的別分析や介入内容の検討、支援の効率化等を検証していきたい。

O-31

◯大久保 徳人、松儀 怜、勝木 達夫、後藤 伸介、勝木 保夫

一般演題(8) 9月 4日 ( 日 )13:20 ~ 14:35 第3会場(中会議室)地域・運動継続

座長:齋藤 義信(慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科・スポーツ医学研究センター)

105

地域リハビリテーション活動支援事業での地域づくり ─平成28年4月からの和歌山県和歌山市での活動─

1)医療法人スミヤ角谷リハビリテーション病院

2)医療法人真正会龍神整形外科

【背景】和歌山県和歌山市における65歳以上高齢者は約11万人とされる。厚生労働省は介護予防事業への高齢者の参加目標として全高齢者の10%を挙げている。和歌山市では平成27年6月よりモデル事業として、理学療法士が介護予防事業に関与し企画から運営を行ったところ、参加者より高い満足度が得られた。これらを踏まえて和歌山市では平成28年4月より、行政とリハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が協働し、新たに介護予防事業を開始した。【目的】平成28年4月より実施した和歌山市における介護予防事業の活動状況を報告する。【対象】和歌山県和歌山市在住の地域リハビリ活動に興味のある方【方法】和歌山市地域包括支援課、各地域包括支援センターとリハビリテーション専門職が連携して、自主グループの立ち上げ支援(リハビリテーション専門職による計3回の講話、体操DVDを活用した体操指導、体力測定等)を週に1回、計4回実施し、自主グループ化を図る。またグループを立ち上げた後の3か月毎に体力測定や個別相談を実施する。【結果】平成28年6月現在、22件の派遣依頼があり、6グループでの立ち上げ支援の実施、合計 156人の方が参加されている。【考察】本事業は活動し始めて3か月程度であるが、着々とグループ拠点と参加者が増加している。参加者の中には疼痛などによりADLの難渋を訴える方も多く、そうした方々にリハビリテーション専門職が個別相談や運動機能の評価を行ったうえで体操指導を行えるため、参加者も容易に継続することが可能になると考えられる。また、住民運営の通いの場が作られることで通所や訪問リハビリテーションの卒業に難渋を示している方々の受け皿としても機能することが可能となる。【結論】今後構築されていく地域包括ケアシステムへのリハビリテーション専門職の参加の重要性が示唆された。

O-32

◯池田一樹1)、龍神正導2)

住民主体の介護予防の促進 ─リハビリテーション専門職と協働した取り組み─

1)和歌山県紀の川市保健福祉部高齢介護課

2)和歌山県立医科大学

3)社会医療法人三車会貴志川リハビリテーション病院

【背景】急速に高齢化が進むなか、厚生労働省は地域の人口集団全体にアプローチするポピュレーション戦略へと介護予防政策の見直しを図り、高齢者の通いの場を増やすなど、地域づくりによる介護予防を推進している。和歌山県紀の川市では、近隣の病院機関に従事するリハビリテーション専門職(理学療法士)と協働し、地域の集会場(15人程度)を用いて住民主体で運営する介護予防事業(自主グループの立ち上げ)を開始した。【目的】2015年9月より実施した、住民主体の自主グループの立ち上げについて紹介する。【対象】和歌山県紀の川市在住の地域リハビリ活動に興味のある65歳以上の方【方法】行政と専門職による自主グループの立ち上げ支援にDVD(自主作成した“てくてく体操”)を活用した体操指導、体力測定、個別相談等を2ヵ月に5回実施した。また、立ち上げ後も約2ヵ月に1回の体操指導や個別相談、年に1回の体力測定を実施した継続支援を行った。【結果】2015年9月からの約10ヵ月で20ヵ所の自主グループを立ち上げることができた。【考察・結論】今回の活動を通して参加者から「運動をする方法やきっかけがない」「個々では続かない」という声が全てのグループにおいて聞かれたので地域に出向き、運動の重要性を住民に動機付けすることを今後も続けていく。そしてグループ活動の継続が地域のつながりを強化し住民主体の介護予防活動を根付かせることにつながると考えられた。また、最寄りの集会所に顔馴染みで寄り合うことが、個々では感じにくい楽しさにつながり、当初の目標(10グループ創設)以上の成果になった。こういった住民主体の通いの場が、今後導入を進めていく介護予防・日常生活支援総合事業からの「卒業先」として発展できればと期待している。【結論】介護予防の取り組みを住民主体で行うために行政と専門職が協働することの重要性が示唆された。

O-33

◯田村隆明1)、有田幹雄2)、林 京平3)

106

地域介入における身体活動量の変化と社会参加の関係

大阪産業大学

【背景】最近になって、個人の身体活動量にソーシャルキャピタル(地域の絆)が影響することが注目されている。しかし、ソーシャルキャピタルを構成する各要素(人のネットワーク、地域への信頼、社会参加)と身体活動量との関係を検証した報告はほとんどない。【目的】地域介入によって増加した身体活動量と「人のネットワーク」、「地域への信頼」、「社会参加」の変化の関連性について検証した。【方法】兵庫県T市内の4行政区を対象地区とし、成人男女161名(男/女比:73/88、平均年齢:58.7±14歳)に3年間身体活動増進の介入を試みた。具体的な介入方法は、①地区の会館などで筋力トレーニングを主とした運動教室(週1回)の実施、②希望者への歩数計の配布であった。介入の前後に、各地区のすべての成人男女にアンケートを実施し、身体活動量(GPPAQ)と「人のネットワーク」、「地域への信頼」、「社会参加」(いずれも内閣府ソーシャルキャピタル調査用紙)を測定した。また、対象を3年間で身体活動量を増加できた32名(増加群)と不変もしくは減少した129名(非増加群)に振り分け、後方視的に「人のネットワーク」、「地域への信頼」、「社会参加」との関連を検証した。【結果】3年間の地域介入の結果、身体活動量には変化を認めなかった(3.51±0.8→3.55±0.7:p=0.63)。身体活動量増加群と非増加群の間には「人のネットワーク」の変化(p=0.48:95%信頼区間-0.15-0.32)と「地域への信頼」の変化(p=0.30:95%信頼区間-1.36-0.42)には差を認めなかったが、増加群は非増加群と比べて「社会参加」の変化が有意に大きかった(p=0.03:95%信頼区間0.03-0.55)。【結論】地域介入によって身体活動量を増加できた人は、「社会参加」の機会を増やしていた。

O-34

◯嶋田 愛、佐藤真治、大槻伸吾

107

A 〜 Z Mark Stoutenberg ランチョンセミナー(1)

あ 秋田 直子 O-12

東 信之 O-14

足立 佳世 O-19

阿部 史 O-22, O-23, O-24

阿部 暁 S4-3

荒井 秀典 S1-2

荒川 鉄雄 O-10, O-20

荒川 雅志 O-30

有田 幹雄 教育講演(1)座長 , O-33

安斉 俊久 O-20

家村 眞理子 O-2

碇谷 正人 O-12

生野 淑子 O-3

池田 一樹 O-32

石井 好二郎 シンポジウム(1)座長 , S1-1

和泉 徹 S4-3

礒 良崇 一般演題(4)座長 , O-16

礒村 政一 P2-3

井手 康史 O-5

伊東 春樹 O-21

伊藤 三千雄 P1-3

今井 優 O-14

今村 貴幸 O-21

植木 彬夫 O-26

上野 宏樹 O-3

上原 彰史 S4-3

上間 裕二 ランチョンセミナー(2)

内田 龍制 O-18

内野 礼子 O-12

大石 香奈子 S4-3

大久 保徳人 O-31

大須賀 洋祐 教育講演(1)

大塚 史子 O-16

大槻 伸吾 O-34

大槻 拓巳 O-9

大西 朋世 O-9

大橋 洸太郎 O-29

大堀 克彦 O-22, O-23, O-24

大堀 克己 O-22, O-23, O-24

大南 博和 O-27

大宮 一人 教育講演(7)座長 , O-17

岡田 めぐみ O-3

岡本 祐一郎 O-22, O-23, O-24

沖田 孝一 S1-3, 一般演題(3)座長 , O-15

荻野 沙也加 O-14

小熊 祐子 一般演題(7)座長 , O-25, O-28, O-29, O-30

小幡 裕明 S4-3

小原 正也 O-3

か 春日 弘毅 O-8

春日 靖洋 O-9

勝川 史憲 会長公演 , シンポジウム(5)座長 , P2-2, P2-3, O-11

勝木 達夫 Colloquium 座長 , O-31

勝木 保夫 O-31

加藤 梨里 O-28, O-29

樺山 舞 O-30

上西 祐輝 O-1

鴨井 博 O-6

川口 紗苗 P2-1, O-27

川久 保清 教育講演(2)座長

川越 由美枝 O-8

川初 清典 O-22, O-23, O-24

川村 圭央 O-22

神﨑 秀明 O-20

北垣 和史 O-20

絹川 真太郎 S1-3

木庭 新治 一般演題(6)座長

木畑 実麻 P2-2

木村 美穂 O-12

木村 穣 会長講演座長 , シンポジウム(2)座長 , パネルディスカッション(2)座長 , P2-1, O-1, O-2, O-7, O-9, O-27

金 玉蓮 O-12

草葉 怜奈 O-14

朽木 勤 教育公演 (5) 座長 , パネルディスカッション(1)座長

工藤 真斗 O-22, O-23, O-24

熊谷 礼 O-15

熊坂 礼音 O-10, O-20

栗原 琴美 O-3

黒瀬 聖司 O-14

小池 日登美 O-26

上月 正博 一般演題(2)座長

後藤 伸介 O-31

後藤 陽華 O-8

後藤 葉一 シンポジウム(4)座長 , S4-1, O-10, O-20

小徳 のぞみ O-17

小林 茂 O-6

小山 照幸 教育講演(8)座長

近藤 衣美 O-11

さ 齋藤 義信 一般演題(8)座長

坂口 秀人 O-9

坂本 静男 パネルディスカッション(1)座長

坂本 光貴 O-12

坂本 律子 O-21

作間 美知子 O-7

笹井 浩行 S2-3

佐々木 敏 O-11

佐藤 真治 S2-4, O-34, ランチョンセミナー(1)座長

佐藤 豪 O-1

佐藤 陽子 教育講演(3)

佐野 喜子 O-30

沢田 秀司 O-12

七澤 智子 O-14

柴田 敦 O-20

嶋田 愛 O-34

下光 輝一 教育講演(4)座長

正田 隆信 O-12

白石 裕一 一般演題(5)座長

白木 涼太 O-8

白𡈽 裕之 O-11

菅尾 祐助 O-12

鈴木 慶 O-12

鈴木 規雄 O-17

索 引

108

鈴木 裕二 O-20

須藤 拓也 O-22, O-23, O-24

住吉 良太 O-22

蘇 リナ 教育講演(1)

曽根 博仁 シンポジウム(3)座長 , S3-2

た 田尾 賢吾 O-15

高井 学 O-17

高尾 奈那 O-2, O-27

高田 真吾 S1-3

髙波 嘉一 教育講演(3)座長

髙橋 修一朗 O-4

高橋 将成 S1-3

高村 宏 O-26

滝川 瑠美 O-9

武内 真有 O-3

伊達 歩 O-10

田所 梨枝 O-16

田中 喜代次 S2-3

田中 茂穂 教育講演(2), O-11

種村 佳代 O-7

玉井 杏奈 O-3

玉木 大輔 O-16

玉ノ井 厚子 O-2

田村 隆明 O-33

田村 好史 S5-2

田矢 京子 O-7

塚田 毅 O-7

津下 一代 O-30

土井 剛彦 教育講演(5)

渡慶次 竜生 O-10

冨田 エミ O-21

冨山 博史 S5-3

な 中江 悟司 O-11

中尾 一泰 O-10, O-20

長坂 昌一郎 O-16

中島 敏明 シンポジウム(1)座長

中田 晃子 O-7

中田 由夫 シンポジウム(3)座長 , S3-1

永富 良一 シンポジウム(2)座長 ,

S2-1

中西 道郎 O-10, O-20

中野 恵美 O-17

長濱 隆史 S2-6

中原 雄一 P1-2

中村 幸之進 O-12

仲村 太一 O-21

中山 絵美子 O-7

那須 加奈子 O-27

西田 裕一郎 O-5

西田 優紀 O-11

西村 耕治 O-12

野川 深雪 O-13

野口 暉夫 O-10

野崎 真道 S2-5

野畠 理恵 O-7

野村 恵里 O-30

野村 俊一 O-25

は 橋口 優子 O-12

橋本 健史 P2-2, ランチョンセミナー(2)座長

長谷川 純子 P2-3

長谷川 拓也 O-10

馬場 美佳子 O-13

濵田 友里 O-14

林 京平 O-33

原田 栄作 O-4

東川 麻奈美 O-12

樋田 あゆみ O-18

日高 なぎさ P2-1

平田 一人 O-6

平野 浩彦 教育講演(8), O-11

平林 鑑 S1-3

福井 重文 O-10, O-20

福井 教之 O-20

福井 政慶 O-7

福田 麗 O-26

福本 まりこ O-3

藤井 彩 O-1, O-27

藤井 仁美 O-13

藤巻 陽子 O-26

藤本 繁夫 教育講演(6)座長 , O-6

細井 雅之 一般演題(1)座長 , O-3

堀田 大介 O-22, O-23, O-24

堀澤 栞里 O-26

ま 前田 清司 S3-3

眞茅 みゆき S4-4

牧田 茂 シンポジウム(5)座長 , S5-1, O-18, O-21

桝田 出 O-14

松尾 知明 教育講演(1)

松儀 怜 O-31

松下 まどか O-30

松田 央郎 O-17

三浦 弘之 O-10

三木 貴弘 O-12

水田 敏彦 O-5

水野 雄二 O-4

味田 将佳 O-7

御手洗 敬信 O-17

三邊 武幸 O-16

宮内 拓史 O-1, O-2, O-27

宮川 高一 O-13

宮下 政司 S3-4

宮地 秀行 P1-1

宮地 元彦 S2-2

村尾 絢 O-26

村上 信吾 O-7

村瀬 訓生 教育講演(4), O-21

村本 あき子 O-30

森 敏彦 O-8, O-19

森田 憲輝 O-15

森本 友紀恵 O-13

森山 善文 O-8, O-19

や 薬師寺 洋介 O-3

八谷 寛 O-30

柳 英利 O-20

柳田 優子 O-7

簗瀬 正伸 O-10, O-20

矢部 大介 O-30

山上 啓子 O-3

109

山口 美輪 O-11

山下 素永 O-27

山下 亮 O-4

山田 純生 シンポジウム(4)座長 , S4-2

山田 知明 O-28

山田 陽介 教育講演(6), O-11

山本 壱弥 O-20

横田 卓 S1-3

吉内 佐和子 O-27

吉川 貴仁 O-6

吉田 志織 O-14

吉田 陽子 O-3

吉村 弘子 O-13

ら 龍神 正導 O-32

わ 若林 秀隆 教育講演(7)

渡辺 美智子 O-25, O-28, O-29

渡邊 祐子 O-13

渡部 裕 S4-3

渡曾 公治 S5-4

110

アステラス製薬株式会社MSD株式会社株式会社インボディ・ジャパン株式会社三和化学研究所株式会社ジェイアイエヌ株式会社タニタ株式会社ベルテック・ジャパン株式会社ルシアン株式会社 YKC大日本住友製薬株式会社大正富山医薬品株式会社大陽日酸株式会社高田製薬株式会社田辺三菱製薬株式会社日本イーライリリー株式会社ノバルティスファーマ株式会社ノボノルディクスファーマ株式会社ミナト医科学株式会社ミヨシ油脂株式会社(五十音順 /敬称略)

本学術集会を開催するにあたり、上記各企業のご協賛を賜りましたことをご紹介申し上げ、ここに謹んで謝意を表します。

2016 年 9月

第 35回日本臨床運動療法学会学術集会会長 勝川史憲

協賛企業ご芳名