メディカルニュース ~2011年08月号~ ·...

4
ありがとうと言ってもらえる会社、ありがとうと言える人材~ メディカル・ニュース 医療に関わる情報にいつもアンテナをはろう! 発行 株式会社エヌジェーシー教育部 URL http://www.njc-web.co.jp/ Vol.73 2011 トピックスの解説 次年度の医療・介護の同時改定に向け、既に種々の検討が行われています。DPC 制度については、調整係数の段階的削減後の廃 止(2016 年度予定)がほぼ決定し、新設の基礎係数の設定内容について中医協で議論されています。調整係数は、DPC 病院参入時の 病院収入を保証するために導入されたものですが、その後病院が経営努力をしても、何ら努力をしないでも導入時と同等の点数を得る ことから、早晩廃止されるであろうと言われていました。基礎係数については、当初は病院ごとに設定するとされていましたが、病院機 能ごとになりそうです。大学病院本院、大学病院本院以外の医師の多い病院、それ以外の病院の 3 区分が検討されています。 基礎係数、3 つの病院群設定で検討 厚生労働省が 8 月 1 日に開催した、診療報酬調査専門組織・DPC 評価分科会において、高額薬剤の取扱いと、基礎係数に係る医 療機関群の設定について、分科会として了承した。高額な新薬については「薬剤費の平均+1SD(標準偏差)」という基準が設定されて いるが、「厳しすぎる」などの批判があった。そこで厚労省は、この日の分科会に「薬剤費の 84 パーセンタイル値を基準とし、新薬の薬剤 費がそれを超えれば『出来高評価』に、同じあるいは安ければ『包括評価』にする」という新たな提案を行った。現行制度よりも大きく緩 和される(出来高評価とされるケースが増加する)見込みだ。また、基礎係数に係る医療機関群については、厚労省から、医師密度だけ でなく、「一定の機能や実績」を要件に加えるとの新たな提案が行われた。これは、医師密度に着目したグルーピング検討方向に対し、 委員から「教育機能と出来高点数の高さは別個のものなのではないか」との指摘があったことを受けたもの。結果として、(a)大学病院本 院群(b)大学病院本院以外の医師密度の高い病院群(c)それ以外の病院群―という最大 3 つの病院群で、具体的な係数設定の検討 が進められることになる。 【基礎係数、大学病院本院・高医師密度病院・その他で病院群設定】 DPC 分科会 厚生労働省が 7 月 20 日に開催した、社会保障審議会の医療部会で、(1)診療所の状況(2)有床診療所(3)従事者―の 3 つのテー マに沿った議論を行った。医療提供体制の確保に関する基本方針(平成 19 年厚生労働省告示第 70 号)では、医療連携体制の構築に ついて触れている。そこでは、診療所について、(i)かかりつけ医の機能の向上(ii)診療所相互間・診療所と病院との業務連携によっ て、診療時間外においても患者・家族からの連絡に対し、往診等必要な対応ができる体制の構築―などの点に留意する必要があるとさ れている。一方、病院は、質の高い入院医療が 24 時間提供されるよう、医療従事者の適切な人員配置を通じた勤務環境の改善を図る ことが求められている。このように、病院と診療所では異なる役割がある中で、外来診療のあり方については、高齢化、疾病構造の変化 等を踏まえ、病院と診療所がそれぞれどのような機能を目指すべきかが問われている。また、有床診療所においては、在宅医療、看取 りなどの特性を活かした位置づけや機能強化が論点だ。さらに、医療アクセス保障の観点や、都市部での診療所の過当競争、医師の 地域偏在等から、診療所数の地域差をどう捉え解消するか、などといったことも、今後議論されることになる。 厚生労働省が 7 月 27 日に開催した中医協総会において、社会保障・税一体改革について閣議報告された集中検討会議の「成案」 が厚労省当局より報告され、これに基づき委員間での自由討議が行われた。多くの委員から「秋からは診療報酬改定の論議が始まる。 その前に中医協でも社会保障改革案について議論すべき」との要望が出されている。また、社会保障・税一体改革の実現にあたって は、診療報酬・介護報酬を通じることが成案にも触れられている。この点について厚労省保険局の鈴木医療課長は、「2015 年度の改革 を目指したとき、2012 年度の診療報酬改定は一里塚になる。急性期医療への資源投入の集中投入として『人員配置』、亜急性期等の 機能強化、在宅医療の充実として、看取りを行う診療所の支援や訪問看護ステーションの整備などを行う」とコメントしている。 【改定論議本格化の前に、中医協でも社会保障改革案の審議を】 厚労省 【病院と診療所の役割分担や、外来機能のあり方を議論】 社会保障審議会 ピッ クス

Upload: others

Post on 25-Jun-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: メディカルニュース ~2011年08月号~ · 次年度の医療・介護の同時改定に向け、既に種々の検討が行われています。dpc制度については、調整係数の段階的削減後の廃

~ありがとうと言ってもらえる会社、ありがとうと言える人材~

メディカル・ニュース

医療に関わる情報にいつもアンテナをはろう!

発行 株式会社エヌジェーシー教育部

URL http://www.njc-web.co.jp/

Vol.73

2011

トピックスの解説

次年度の医療・介護の同時改定に向け、既に種々の検討が行われています。DPC制度については、調整係数の段階的削減後の廃

止(2016年度予定)がほぼ決定し、新設の基礎係数の設定内容について中医協で議論されています。調整係数は、DPC病院参入時の

病院収入を保証するために導入されたものですが、その後病院が経営努力をしても、何ら努力をしないでも導入時と同等の点数を得る

ことから、早晩廃止されるであろうと言われていました。基礎係数については、当初は病院ごとに設定するとされていましたが、病院機

能ごとになりそうです。大学病院本院、大学病院本院以外の医師の多い病院、それ以外の病院の 3 区分が検討されています。

基礎係数、3 つの病院群設定で検討

厚生労働省が 8 月 1 日に開催した、診療報酬調査専門組織・DPC 評価分科会において、高額薬剤の取扱いと、基礎係数に係る医

療機関群の設定について、分科会として了承した。高額な新薬については「薬剤費の平均+1SD(標準偏差)」という基準が設定されて

いるが、「厳しすぎる」などの批判があった。そこで厚労省は、この日の分科会に「薬剤費の 84 パーセンタイル値を基準とし、新薬の薬剤

費がそれを超えれば『出来高評価』に、同じあるいは安ければ『包括評価』にする」という新たな提案を行った。現行制度よりも大きく緩

和される(出来高評価とされるケースが増加する)見込みだ。また、基礎係数に係る医療機関群については、厚労省から、医師密度だけ

でなく、「一定の機能や実績」を要件に加えるとの新たな提案が行われた。これは、医師密度に着目したグルーピング検討方向に対し、

委員から「教育機能と出来高点数の高さは別個のものなのではないか」との指摘があったことを受けたもの。結果として、(a)大学病院本

院群(b)大学病院本院以外の医師密度の高い病院群(c)それ以外の病院群―という最大 3 つの病院群で、具体的な係数設定の検討

が進められることになる。

【基礎係数、大学病院本院・高医師密度病院・その他で病院群設定】 DPC 分科会

厚生労働省が 7 月 20 日に開催した、社会保障審議会の医療部会で、(1)診療所の状況(2)有床診療所(3)従事者―の 3 つのテー

マに沿った議論を行った。医療提供体制の確保に関する基本方針(平成 19 年厚生労働省告示第 70 号)では、医療連携体制の構築に

ついて触れている。そこでは、診療所について、(i)かかりつけ医の機能の向上(ii)診療所相互間・診療所と病院との業務連携によっ

て、診療時間外においても患者・家族からの連絡に対し、往診等必要な対応ができる体制の構築―などの点に留意する必要があるとさ

れている。一方、病院は、質の高い入院医療が 24 時間提供されるよう、医療従事者の適切な人員配置を通じた勤務環境の改善を図る

ことが求められている。このように、病院と診療所では異なる役割がある中で、外来診療のあり方については、高齢化、疾病構造の変化

等を踏まえ、病院と診療所がそれぞれどのような機能を目指すべきかが問われている。また、有床診療所においては、在宅医療、看取

りなどの特性を活かした位置づけや機能強化が論点だ。さらに、医療アクセス保障の観点や、都市部での診療所の過当競争、医師の

地域偏在等から、診療所数の地域差をどう捉え解消するか、などといったことも、今後議論されることになる。

厚生労働省が 7 月 27 日に開催した中医協総会において、社会保障・税一体改革について閣議報告された集中検討会議の「成案」

が厚労省当局より報告され、これに基づき委員間での自由討議が行われた。多くの委員から「秋からは診療報酬改定の論議が始まる。

その前に中医協でも社会保障改革案について議論すべき」との要望が出されている。また、社会保障・税一体改革の実現にあたって

は、診療報酬・介護報酬を通じることが成案にも触れられている。この点について厚労省保険局の鈴木医療課長は、「2015 年度の改革

を目指したとき、2012 年度の診療報酬改定は一里塚になる。急性期医療への資源投入の集中投入として『人員配置』、亜急性期等の

機能強化、在宅医療の充実として、看取りを行う診療所の支援や訪問看護ステーションの整備などを行う」とコメントしている。

【改定論議本格化の前に、中医協でも社会保障改革案の審議を】 厚労省

【病院と診療所の役割分担や、外来機能のあり方を議論】 社会保障審議会

ト ピ ッ ク ス

Page 2: メディカルニュース ~2011年08月号~ · 次年度の医療・介護の同時改定に向け、既に種々の検討が行われています。dpc制度については、調整係数の段階的削減後の廃

医事課の

仕 事

CHECK! みんながわかる査定例 ・ 算定例

~領収書の再発行には

気をつけましょう!~

精密持続点滴注射加算の査定理由が分かりません。

リツキサン注を輸液ポンプで注入したため、精密持続点滴注射加算

(

以下・「精密持続」)

を算定しましたが査定を受けました。算定可能薬剤

だと思うのですが何が原因で査定を受けたのでしょうか。

「輸液ポンプ使用」のみでは、算定判断できません。

まず、事例のリツキサン注は抗悪性腫瘍剤ですので確かに「精密持

続」の対象となります。その他の対象薬物群としてカテコールアミン、β

ブロッカー、抗てんかん剤、キサンチン誘導体、陣痛誘発剤、切迫早産治

療剤、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤などがあ

げられ、一般名ではインスリン、ビタラビン(アラセナAなど)、メシル酸ガ

ベキサート、ニトログリセリン(ミリスロールなど)、硝酸イソソルビド(ニト

ロールなど)、塩酸ジルチアゼム(ヘルベッサーなど)、リドカイン、アルプロス

タジルアルファデクス(プロスタンディンなど)、塩酸ニカルジピン(ペルジピン

など)と多くの対象薬剤があります。

対象薬剤を使用すれば「精密持続」が算定できると考えたいところで

すが、算定するにはもう一つ条件があります。

「自動輸液ポンプを用いて1時間に30ML以下の速度で体内(皮下を

含む)又は注射回路に薬剤を注入すること」という規定です。

リツキサン注の用法は成人の場合、「1回250MG/

㎡、100~200

MG/

時」とされています。また、「1瓶500MG50MLで生食又はブド

ウ糖液で10倍に希釈調整」します。これを単純に計算すると、1時間

に100~200MLで滴下することになり、1時間に30ML以下で滴

下する必要性はないことになります。このように「自動輸液ポンプを使

用し対象薬剤を滴下…」の条件を満たしていても、滴下の速度によって

は算定することが出来ないのです。

ちなみに、抗悪性腫瘍剤については用法的に5FU、キロサイド以外に

ついては算定できないことになりますので覚えておいてください。

≪ 精密持続点滴注射加算の査定 ≫

領収書を再発行するということは、その患者さんから同じ金額を再度徴収したことになり、病

院の収納の実態と異なる形となるため再発行はできないよ。

そのかわり、“領収証明”という形で、当院が患者さんから徴収した医療費を証明する方法が

あるよ。ただし、この場合“領収証明”を発行する手数料として別途負担金をいただくけどね。

なるほど。領収した金額を証明する形をとれば、当院と

しては重複徴収したことにはならないわけですね。

窓口での注意点として、希望されている証明期間を確認しておく必要があるよ。あまり古いと、医

事システムの収納画面上に記録が残っていない場合があり、調べるのに時間がかかるからね。

わかりました。「有料の領収証明という形で対応させていただくこと」、「領収証明に必要

な期間を確認すること」、「場合によっては作成に時間をいただくこと」を説明します。

今回のような患者さんは、源泉徴収の時期等によく来院されるので、特に

新人の受付スタッフには同様に対応できるようにしておいてもらいたいね。

はい、スタッフ一同に周知します。

~ありがとうと言ってもらえる会社、ありがとうと言える人材~

「高額療養費の支給申請に領収書が必要だけど無くしてしまった。再発行してほ

しい」と希望される患者さんがみえます。窓口でお待たせしているのですが・・・。

Page 3: メディカルニュース ~2011年08月号~ · 次年度の医療・介護の同時改定に向け、既に種々の検討が行われています。dpc制度については、調整係数の段階的削減後の廃

[無花果

いちじくは漢字で「無花果」と書きます。しかし、

花がないわけではありません。実の中に小さな花をつ

けるため、外からは確認できません。果実を半分に切

ったときに現れるつぶつぶが花なのです。この花の部

分が独特の触感を生み出しています。

いちじくが《不老長寿の果物》と言われるほど、栄

養価や薬効が高いことはご存じですか?

ペクチンをはじめとした食物繊維を多く含んでいる

ため、腸の働きを活発化させ、便秘の改善に効果を上

げます。また、多く含むカリウムには血圧を下げる効

果や動脈硬化の防止、フィシンというタンパク質分解

酵素には、消化を促進してくれる作用があります。

美容と健康のためめに、今が旬のいちじくを食してみ

てはいかがでしょうか。

[

おいしい果実の見分け方]

・ふっくらと大きい

・果皮に張りと弾力がある

・香りがよい

・赤紫色が全体的に均一

・切り口が乾燥していない

★果頂部が割れて、中が少しのぞ

いているものが、熟して食べごろ

です。今年は、ぜひ甘くて美味し

い無花果をお楽しみください!

緑内障とは、主に眼球内の圧力が上昇し、視神経が

障害を受けた結果、視野が欠けてくる病気のことを

いいます。一度障害を受けた視神経は再生する事が

ないため、失明する危険を伴います。

緑内障は視野が欠けはじめてから気がつくとい

う場合がほとんどで、痛みや視力低下のような自覚

症状がないため、気付かないまま放置してしまい症

状が進行してしまうことが多いのです。また、急性

の緑内障では眼圧が急に上昇するため、目が痛い・

吐き気・頭痛などの症状が起こり、最悪の場合、短

時間で失明してしまう恐れがあります。

近年では、若年化や増加傾向にあると言われてい

ます。四十歳を過ぎたら年に一度は眼科で診察を受

け、早期発見に努めたいものです

《緑内障の検査》

・眼圧検査・・・目の表面に圧縮された空気を当て、

角膜のへこみ具合を調べます。

・眼底検査・・・目の奥の網膜や網膜の血管の状態

を調べます。

・視野検査・・・中心以外の周囲がどの程度見えて

いるかを調べます。

・隅角鏡検査・・・眼圧を調整する房水の排出口で

ある隅角の状態を調べます。

《名前の由来》

物が緑色に見えるわけでありません。眼の奥が青緑

色に見えることに由来しているといわれています。

《 の用語》

~ありがとうと言ってもらえる会社、ありがとうと言える人材~

看護医学辞典 ~内科系看護~

ベクター

ノミ、シラミ、カなどの、感染の媒介の役割をはたす昆虫。

ヘパトーマ

肝細胞癌ともいう。肝臓に原発する癌腫のうち肝細胞に由来する

もの。若年者はヘパトーマで初発することが多いが、高年者では

肝硬変の基礎の上に発するものが多い。

からだの

しくみ

ダイエットすると、 骨はどうなるの?

ダイエットして余分な脂肪を落とした時、脂肪が減るように、骨も一

緒に痩せるのでしょうか?専門家によると、太っている時と痩せてい

る時のレントゲン写真を比べても骨の太さには変化はみられないと

いいます。しかし、例外もあって、たとえば一日何時間も運動するア

スリートのように、運動量が極端に多いと、わずかではありますが、

病名辞典

よ)

「緑内障」

ベンチレーター

自発呼吸ができない人の肺に空気を送り込む

機械で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジ

ストロフィー、ポリオ、高位頚髄損傷、脳性麻痺、

脳血栓、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸症候群など、さまざま

な障害をもつ人々が使用している。

エデンの園で禁断の果

実を食べたアダムとエ

バは、いちじくの葉で

作った腰ミノを身につ

けたと旧約聖書の創世

記に記されています。

骨自体が太くなることがあります。逆に、無理なダ

イエットによって、骨にダメージを与える場合もあり

ます。

骨を丈夫にする時期の思春期に急激に体重を

落とすと、女性の場合は将来、骨粗鬆症になるリス

クが高まります。基本的には、ダイエットをしても骨

の太さには変わりはありませんが、方法によっては

骨自体に悪影響を与えるケースもあるのです。

Page 4: メディカルニュース ~2011年08月号~ · 次年度の医療・介護の同時改定に向け、既に種々の検討が行われています。dpc制度については、調整係数の段階的削減後の廃

~ありがとうと言ってもらえる会社、ありがとうと言える人材~

《 国保連合会の審査 : 愛知県内の病院 》

【処置】膀胱留置用カテーテルの査定

◇査定事例

全身熱傷を主病とする入院患者のレセにて

膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル を請求 → 《審査結果》膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル → 0

(査定事由=“不適当“)

◇査定の理由

【手術】内視鏡用粘膜下注入材の査定

◇査定事例

胃腺腫を主病とする入院患者のレセにて

内視鏡下粘膜下注入材 2 個 を請求

→ 《審査結果》内視鏡下粘膜下注入材 2 個 → 1 個

(査定事由=“過剰“)

◇査定の理由および審査傾向

【内視鏡用粘膜下注入材の定義】

内視鏡的粘膜切除術を施行する際に病変部位の粘膜下層に注入することにより、その部位に滞留して粘膜層と

筋層との間を解離し、粘膜層の隆起を維持して病変部位の切除又は剥離の操作性を向上させるヒアルロン酸ナト

リウム溶液である。

査定事例は、胃腺腫に対して内視鏡的胃粘膜切除術を施行した際に、内視鏡下粘膜下注入材を 2 個使用しまし

た。本材は、請求に際して「1手術につき 1 個のみの使用しか認められない」等の保険請求上の制約はありませ

ん。その為、症状詳記等を貼付せず請求しました。しかし本材の用量は、病変の部位や大きさ等を考慮して注入

量を決定して使用するものとなります。その為本ケースでの 2 個の使用について、病名等から必要性について審

査上疑義が生じ、その結果過剰との判断を受けました。

請求に際して、医師の詳記を貼付すれば査定は防げたものと考えられます。その為複数個使用した際には、病

変の部位や大きさ等について医師に症状詳記を記載して頂き、請求することが査定対策になります。

はじめに膀胱留置用ディスポーザブルカテーテルの算定要件を確認します。

〔算定要件〕

膀胱留置用ディスポーザブルカテーテルは、24 時間以上体内留置した場合に算定できる。

査定事例は、全身熱傷にて心肺停止で搬送されました。蘇生に成功し、カテーテル

を留置したため算定しました。しかし、蘇生の甲斐なく死亡されました。

本例はレセプト上、24 時間以内に死亡したことが明らかであった(実日数が 1 日

だった)ことから、上記の算定要件を満たしていないとの判断で査定になりました。

◎上記以外の査定例

この他に、本材料はOPE時にもよく使用されます。しかしOPE内容(例:抜釘術など)によっては、24 時間

以上体内留置する必要性がないと判断され、査定されるケースを見掛けます。実際に算定要件に則って使用している

にも関らず査定されるのであれば、「24 時間以上体内留置をした」ことが分かるようにコメント対応することで、

査定を防ぐことができます。