プロヴァンスのシトー会修道院を巡る - 神戸松蔭女子学院大学 ·...

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10世紀末から12世紀にかけて西欧に広 まったキリスト教美術様式。古代ローマ・ゲルマン民族などの様式に東方の影響も加わった もので、ゴシックに先立つ。特に重厚な教会堂建築に代表され、石造穹窿(きゅうりゅう)を はじめ、半円形アーチの多用が特色。(5) プロヴァンスのシトー会修道院を巡る ロマネスク Romanesque とは・・・ 巡礼路の聖堂と装飾を訪ねる 一〇九八年聖ロベルトゥスによってフランスのシトーに創立 されたもので、聖ベネディクトゥスの戒律のもとに生活する観 想修道会。日常祈祷と労働、観想と悔悛とを以て神に仕え、自己の成聖 をはかり、教会のため、人類のため働くことを旨とする。十七世紀後 半、ド=ランセによる改革が、彼が修院長であったフランス、ノルマン ディのトラップ大修道院から起り、他の同会修道院に及んだところよ り、トラピスト(トラップの修道士)がシトー会の代名詞となった。 現在本部はローマにあるが、日本には明治二十九年(一八九六)函館 に来着、近郊の上磯郡石別村(上磯郡上磯町字三ツ石)に修道院を建 て、畜産業に貢献している。女子修道会は、本部がシトーにあり、日本 には明治三十一年来着、函館・兵庫県西宮・栃木県那須・佐賀県伊万里 などに大修院があり、厳格な観想生活を営んでいる。(1) シトー会とは・・・ *トラピスト Trappistes 厳律シトー会修道士の称。修道女はトラピスチヌTrappistines といい、厳律シトー修道女会に属する。(2) *プロバンス Provence ってどこ? フランス南東部の地中海に面する地方。旧州名。気候温暖で果 実・米を産する。海岸は国際的な保養地。(3) ローヌ川下流からア ルプス山脈に至る地域で、(中略)古くからギリシア、ローマの影 響を受け、その遺跡が多い。主要都市はマルセイユ、トゥーロン、 ニース、エクサン・プロバンス、アルル、アビニョンなど。(4) [参考文献] (1)(2)”トラピスト【Trappistes】”, 国史大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータベー ス), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01) (3)”プロバンス”, 日本国語大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータベース),入手先 http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01) (4)”プロバンス”, 日本大百科全書(ニッポニカ), ジャパンナレッジ (オンラインデータ ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01) (5)”ロマネスク【Romanesque】”, デジタル大辞泉, ジャパンナレッジ (オンラインデータ ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

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10世紀末から12世紀にかけて西欧に広

まったキリスト教美術様式。古代ローマ・ゲルマン民族などの様式に東方の影響も加わった

もので、ゴシックに先立つ。特に重厚な教会堂建築に代表され、石造穹窿(きゅうりゅう)を

はじめ、半円形アーチの多用が特色。(5)

プロヴァンスのシトー会修道院を巡る

ロマネスク Romanesque とは・・・

巡礼路の聖堂と装飾を訪ねる

一〇九八年聖ロベルトゥスによってフランスのシトーに創立

されたもので、聖ベネディクトゥスの戒律のもとに生活する観

想修道会。日常祈祷と労働、観想と悔悛とを以て神に仕え、自己の成聖

をはかり、教会のため、人類のため働くことを旨とする。十七世紀後

半、ド=ランセによる改革が、彼が修院長であったフランス、ノルマン

ディのトラップ大修道院から起り、他の同会修道院に及んだところよ

り、トラピスト(トラップの修道士)がシトー会の代名詞となった。

現在本部はローマにあるが、日本には明治二十九年(一八九六)函館

に来着、近郊の上磯郡石別村(上磯郡上磯町字三ツ石)に修道院を建

て、畜産業に貢献している。女子修道会は、本部がシトーにあり、日本

には明治三十一年来着、函館・兵庫県西宮・栃木県那須・佐賀県伊万里

などに大修院があり、厳格な観想生活を営んでいる。(1)

シトー会とは・・・

*トラピスト Trappistes 厳律シトー会修道士の称。修道女はトラピスチヌTrappistines

といい、厳律シトー修道女会に属する。(2)

*プロバンス Provence ってどこ?

フランス南東部の地中海に面する地方。旧州名。気候温暖で果

実・米を産する。海岸は国際的な保養地。(3) ローヌ川下流からア

ルプス山脈に至る地域で、(中略)古くからギリシア、ローマの影

響を受け、その遺跡が多い。主要都市はマルセイユ、トゥーロン、

ニース、エクサン・プロバンス、アルル、アビニョンなど。(4)

[参考文献]

(1)(2)”トラピスト【Trappistes】”, 国史大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータベー

ス), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(3)”プロバンス”, 日本国語大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータベース),入手先

<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(4)”プロバンス”, 日本大百科全書(ニッポニカ), ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(5)”ロマネスク【Romanesque】”, デジタル大辞泉, ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

アンダルシアのイスラム建築を訪ねる 7世紀から18世紀までの約1100年の間に、イスラム世界の中心である西

アジア、北アフリカを主要な舞台としてつくりだされた美術工芸全般をさ

す。(中略)イスラム美術は、その形成過程で各地の文化を吸収したが、

なかでもササン朝ペルシアと古代地中海世界の美術が基礎となった。

一般に、具象的・写実的表現よりも、抽象的・観念的・二次元的・装飾的表現が好まれた。幾

何文、様式化した植物文、アラビア文字などを主要な構成要素とするいわゆるアラベスクは、こ

のようなイスラム美術の装飾志向を端的に示すものである。

建築 宗教建築の諸形式のなかでは、礼拝所モスク(マスジッドまたはジャーミー)がもっ

とも重要である。礼拝堂の奥壁には、ほとんどの場合メッカの方角(アル・キブラ)の表象

である壁龕(へきがん)(ミフラーブ)が設けられる。(中略)

建物の材料は、西方イスラム世界では石材が、また東方ではおもにれんがが使われている。

建築装飾には、大理石、タイル、漆食(しっくい)などが使われ、アラベスク、幾何文、ア

ラビア文字が表されている。(2)

(1)

イスラム美術

[参考文献]

(1)”イスラム美術”, 日本大百科全書(ニッポニカ), ジャパンナレッジ (オンラ

インデータベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(2)”アンダルシア”, 日本国語大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(3)”バロック[建築]”, 情報・知識 imidas, ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

16世紀から18世紀にかけてヨーロッパ

に勃興した芸術様式。ゆがんだ真珠を意

味するポルトガル語の悪口「バローコ」を語源とする。古典主義を基調としつつも、その劇

的な性格を強めた表現になっている。建築の場合、楕円や湾曲した曲面の多用、過剰な装

飾、ダイナミックな造形を特徴としている。バロック的な空間は、壮大な軸線をもつ道路や

広場など、力強い都市デザインにも影響を与えた。代表的な建築としては、サン・ピエトロ

大聖堂前の広場、パリのオペラ座などがある。(3)

バロック Baroque とは・・・

スペインのバロック建築を訪ねる

*アンダルシア Andalucia ってどこ?

スペイン南部の地方名。地中海と大西洋に面した穀

倉地帯。グラナダやコルドバなどイスラム文化の遺産

を伝える都市や、コスタ‐デル‐ソル海岸などの保養

地が観光客を集める。フラメンコ舞踊の本場でもあ

る。(2)

フランスのモダニズムの建築家(1887~1965)。近代の建築と都市のデザインに明快な指

針を示した。多くの著作を残し、「住宅は住むための機械である」と語ったことで知られ

る。都市論では、最新の交通システムと高層ビルを導入しつつ、工業化と自然を共存したビ

ジョンを構想した。世界から弟子が集まり、日本人では前川国男や吉阪隆正らが彼に学ん

だ。代表作に、横長の窓やピロティなど、近代建築の五原則を提示

したサヴォア邸(31年)。日本では上野の国立西洋美術館(56年)

を設計。インドのチャンディーガルでは都市計画を実践し、議事堂

を含む主要な施設も手がけた。(2)

アール・ヌーヴォーの建築を巡る

ル・コルビュジエ le Corbusieresque 1887~1965

ル・コルビュジエの生涯を尋ねる

19世紀末の産業社会を背景に、ヨーロッパを中心に広がった装飾様式。ドイツやオーストリア

ではユーゲント様式、イタリアではリバティ様式と呼ばれた。H・ギマールによるパリの地下鉄

入り口の鉄製門の装飾、E・ガレのガラス器、A・ミュシャのポスター、

E・コロンナ、ド・フール、E・ガイヤール、H・ヴァン・デ・ヴェルデら

の家具などの曲線的で過剰な装飾を特徴とする。日本では、北野恒富や橋

口五葉のポスターなどにその影響がみられる。アール・ヌーヴォーは、

W・ベンヤミンが指摘しているように、貴族に代わって台頭した産業ブル

ジョアジーが手にした装飾であった。(1)

「新しい芸術」アール・ヌーヴォー Art Nouveau とは・・・

[参考文献]

(1)”アール・ヌーヴォー[デザイン]”, 現代用語の基礎知識, ジャパンナレッジ

(オンラインデータベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-

06-01)

(2)”ル・コルビュジエ[建築]”, 情報・知識 imidas, ジャパンナレッジ (オンライ

ンデータベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

12世紀後半にパリ周辺に

おいて成立した教会建築の

様式。ルネサンスの時代に「ゴート人風」と侮蔑的に呼ばれたことが「ゴシック」の語源で

ある。尖塔(せんとう)アーチ、リブ・ヴォールト、飛梁などの新しいデザインと構造的な

工夫によって、ステンドグラスを透過する神秘的な光にあふれ、垂直線を強調した聖なる大

空間を実現した。パリやケルンなど、多くの大聖堂はゴシック様式である。中世後期のフラ

ンスから全ヨーロッパに伝播し、各地で異なる展開が起きた。19世紀にはゴシック・リバイ

バルの運動が発生し、イギリスの国会議事堂などの公共建築にも応用される。(2)

中世の城から城館をたどる旅

ゴシック建築 Gothic architecture とは・・・

イル・ド・フランスのゴシック大聖堂をめぐる旅

フランス中部を流れる

ロアール川流域の渓谷。

中流域にはシャンボール城、ブロア城、アンボアーズ城、シュノン

ソー城、ビランドリー城、アゼールリドー城など、16世紀頃に王侯貴

族が建造したフランスルネサンス建築を代表する城館や庭園が多いこ

とで知られる。2000年、「シュリーシュルロアールとシャロンヌ間の

ロアール渓谷」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録された。(1)

ロアール渓谷 Val de Loire

*イル・ド・フランス Île-de-France ってどこ?

フランスのパリ盆地中央部の地方、旧州名。北はピカルディー、東はシャン

パーニュ、南はオルレアネ、西はノルマンディーの各地方に接する。本来、セーヌ

川中流とその支流オアーズ川、エーヌ川、マルヌ川などの水流に囲まれたフランク人居住地

をさしていた。「フランスの島」を意味し、フランス王国発祥の地である。(中略)

現在のイル・ド・フランスは行政地域名として用いられ、(中略)パリを中心とする同国

の中心部で、多くの工業都市や住宅都市を含み、大都市パリへ農産物や日用品を供給してい

る。(3)

[参考文献]

(1)”ロアール‐けいこく【ロアール渓谷】”, デジタル大辞泉, ジャパンナレッジ (オ

ンラインデータベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(2)”ゴシック[建築]”, 情報・知識 imidas, ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(3)”イル・ド・フランス”, 日本大百科全書(ニッポニカ), ジャパンナレッジ (オンラ

インデータベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

バルセロナにガウディの建築を訪ねる

スペインの建築家。曲線・曲面の多用と多彩な装飾を

特色とする幻想的作風で知られる。住宅カサ‐ミラなど

作品は多い。サグラダファミリア(聖家族)聖堂は1882

年に前任者により着工し、翌年からガウディが設計を担

当。工事は現在も続いている。(1)

ガウディ Antonio Gaudi y Cornet 1852~1926

ポルトガル文化の淵源

(えんげん)は先史時代

にさかのぼるが、ローマやイスラムの痕跡(こんせき)を残しつつ独自の文化を形成し始め

たのは中世以降である。壮麗なゴシック様式が導入されたのち、15~16世紀にかけて装飾的

なマヌエラン様式が開花した。海外進出と相まって、バロック様式も独自の発達をみせてい

る。(中略)華麗な装飾性と宗教的雰囲気を好み、追憶と叙情、詠嘆に共感する。海の幸を

嗜好(しこう)し、タラ料理は有名。飲料は赤ワインとビール。

建築 ゴシックからバロックにかけての歴史的建造物(聖堂、宮殿)が数多くみられ、観

光が重要な外貨獲得手段であることも手伝って保存に力が入れられている。博物館や図書館

はリスボンに多く、国立美術館、国立馬車博物館(古代の車両収集ではヨーロッパ随一)、

現代美術博物館などがある。歴史を誇るコインブラ大学図書館は貴重な史料を多く収蔵して

いる。(2)

ポルトガル Portuguese Republic の文化

ポルトガルの家と街並みを訪ねる

*バルセロナ Barcelona ってどこ?

スペイン北東部のカタロニア地方の中心都市。地中海に面し、スペイン最

大の商港、軍港をもち、工業も盛ん。ゴシック様式のカテドラルなど歴史的

な建造物が多い。(2)

[参考文献]

(1)”イスラム美術”, 日本大百科全書(ニッポニカ), ジャパンナレッジ (オンラ

インデータベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(2)”アンダルシア”, 日本国語大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)

(3)”バロック[建築]”, 情報・知識 imidas, ジャパンナレッジ (オンラインデータ

ベース), 入手先<http://www.jkn21.com>, (参照 2012-06-01)