スーパーサイエンスハイスクール 京都府立桃山高等学校 課題...

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平成26年度 スーパーサイエンスハイスクール 京都府立桃山高等学校 課題研究発表会 要旨集

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平成26年度

スーパーサイエンスハイスクール

京都府立桃山高等学校

課題研究発表会

要旨集

― 目 次 ―

はじめに

1班 次元への挑戦

東山浩也・樋口敦也・藤井克裕・三浦大輝・中村颯・三原柊平

2班 弓道の研究 ―迫真―

桒原斗夢・南本一樹・鎌田智至・中村豪・似田優太

3班 ミルキークラウン

荻野孝太・山﨑誠也・安藤駿太朗・中陸哉・寺尾太一

4班 粒状現象

住山恭平・高橋育生・前川力斗

5班 光速を測ろう!~現代版フィゾーの実験~

村井淳彦・田原嵩大・坂本修哉・辻井陵大・岸本章太郎・藤村竜也

6班 化学実験のマイクロスケール化

梅原鴻佑・小石啓介・田中輝・谷口昇汰・山田啓真・山中陸椰

7班 糖アルコールはキャラメル化を起こすのか

森明日香・小谷文絵・杉本麻衣

8班 アルコールの過冷却

神谷京佑・石井祥・橘優心・細谷凌平・青木颯志

9班 薬を捨てないで!!!

中路健斗・中川真・野村成・藤井拓志・物部憲尚・森川和紀

10班 高分子による水浄化について

木田祐希・木村友哉・笹田匠悟

11班 水質汚濁と浄化作用の効率性

小川築・山中祥平・橘智之・田中祐輔・林翔太・東大貴

12班 プラナリアの再生能力

青山ゆう・淺野育美・池澤美季・髙岸佑季

13班 クマムシの限界-クマムシは本当に最強なのか-

東和佳・永田裕佳・若林香菜子

14班 アリジゴクの研究

上田一郎・松本佑真・木村一智・島野俊佑・田中克雅・南勇銘

15班 緑の風について調べる~ヒートアイランド現象~

倉元千亜希・村瀬歩実・藤原楓・吉村凪沙

16班 小さな星をさがして~夜空の明るさ調査~

岡本紗耶加・山村公佑・飯村太郎・佐竹太陽・佐々木優斗

17班 サリチル酸系蛍光物質の応用

米田瑠々花・大塚美南・大橋美緒

18班 自然の力を利用した水浄化システム

久志本実希・大迫理菜・笹倉直子・出口未菜・本多美優香・吉岡明日香

次元への挑戦 東山浩也、樋口敦也、藤井克裕、三浦大輝、中村颯、三原柊平

目的

1次元と2次元の間の次元にある図形を比較し、考察す

る。

図形の描写

以下の図形を「元の図形」として設定する。

右向きに1、反時計回りに60度まげて1、時計回りに12

0度まげて1、反時計回りに60度まげて1引いたもの

このプロセスで元の図形を1として描いていく。

「次元」とは———次元の定義

「フラクタル図形」という図形について次元の定義法が存

在する。これは、ある任意の図形を設定し、「図形の描写」

で述べた方法で2つ目の図形を描く。それらを比較し、図形

の数の変化と相似比を求め、それらの対数をとるのである。

ここでは、この定義法を用いることにする。

相似比ⁿ=図形の数の変化

となるとき、その図形は n 次元にある。

考察

違う次元にある図形どうしの関係

図形のある次元が2次元に近づくほど、その図形は敷き

詰まったように見える。

(上は 1.46 次元、下は 1.77 次元)

同じ次元にある図形どうしの関係

敷き詰まり具合が似ている。

(図はどちらも 1.77 次元)

2次元と2次元に近い次元にある図形

2次元にある図形と(左図)、2次元に近い次元にある図

形(右図)を比較する。

結論

図形のある次元が2次元に近づくほど線の敷き詰まり具

合が密になり、一見平面のようになる。

図形のある次元が同じ次元どうしの図形を比べると、しき

つまり具合は似ている。

今後の課題

2次元と3次元の間の次元にある図形についても調べて

みる。

「フラクタル図形」以外の次元の定義の仕方でも調べて

みる。

↓これが2つめの図形となる。

1 班

- 1 -

次元への挑戦

課題研究 1班

東山浩也 中村颯

樋口敦也 藤井克裕

三浦大輝 三原柊平

図形の描写

フラクタル次元

相似比と図形の数の変化

図形の数の変化=相似比のn乗

→ その図形はn次元にある

1次元(線)

相似比 2倍図形の数 2倍

log 2 1

2次元(平面)

log 4 2

相似比 2倍図形の数 4倍

相似比 3倍図形の数 5倍

log 5 ≒ 1.46

- 2 -

疑問点1

• 図形のある次元が2次元に近づけば近づくほど線が詰まった図形になるのではないか

log 5 ≒ 1.46次元■

log 7 ≒ 1.77次元

疑問点2

• 同じ次元の図形どうしにはどのような関係や差があるのか

実際にプログラムを組みます。 実際にプログラムを組みます。

- 3 -

log2 4=2(次元)

C1

log 9=2(次元)

D7

D1

考察・2次元に近づくと

線のしきつまり具合が密になる

一見平面のようになる

・同じ次元の図形を比べると

しきつまり具合は似ている

今後の課題

• 2次元と3次元の間の次元にある図形についても調べる

• 次元の定義の仕方を変え、次元を調べる

参考文献

• 理系のための Visual Basic 2005 実践入門

(技術評論社)

山住富也・森博・小池愼一

• フラクタル幾何学(上・下)

(ちくま学芸文庫)

B.マンデルブロ

- 4 -

2 班 弓道の研究 ―迫真― 桒原斗夢、南本一樹、鎌田智至、中村豪、似田優太

1 概要

僕たち弓道部は普段の練習で疑問に思っている、矢

の速度などについて調べようと思い、ハイスピードカ

メラなどを使用して調査しました。 また、段ボールを使うことによって矢の運動エネルギ

ーについて調べました。

2 使用した道具

弓具(矢の質量:31.2g 矢の長さ:105cm) ハイスピードカメラ、力センサー、おもり、鶏肉、

段ボール、PASCO Capstone

3 実験の方法と結果

(1)矢の速度の測定 矢の発射の瞬間と矢が的に当たる瞬間をハイスピー

ドカメラで撮影した。 上記のソフトを用いて運動の分析を行った。 初速 終速 平均: 54m/s 36m/s

(2)狙いの角度(仰角)

地面からの高さ

0度(水平) -0.150m 地面の下

0.450度 0.065m 的の下限

0.820度 0.245m 的の中心

1.00度 0.333m

1.18度 0.425m 的の上限

(3)矢の運動エネルギー 的の代わりに段ボールを設置したところ 23 枚貫通

した。

僕たちは2種類の方法を用いて運動エネルギーを出

した。

(ア)矢の終速36m/sから出した運動エネルギー

1/2×0.0312(kg)×36^2(m/s)≒20.2(J)

(イ)段ボール 23 枚貫通したという結果をもとに出し

た運動エネルギー

矢じりが段ボール 23 枚貫通するためのおもり

の量→230N

段ボール23枚の厚さ→0.0679m

∴230(N)×0.0679(m)≒15.6(J)

(4)鶏肉の貫通実験

力センサーを用いて厚さ 31 ㎜の鶏肉を貫通する力の

大きさを求めた→24.4N。

貫通させるのに必要な仕事は 24.4(N)×0.031(m)≒

0.76(J)。

(3)の(イ)より、矢がする仕事は15.6J。

15.6(J)÷0.76J×0.031(m)≒0.64(m)

4 考察と感想

(1)初速54m/sであるにも関わらず、終速が36m/sと、

空気抵抗により、速度が18m/sも下がることに驚いた。 (2)矢を水平にして離れを行うと、地面の0.15m下に行

くが、たった0.82度上げるだけで、的の真ん中に中り、

また1.18度より上を狙ってしまうと、的から外れてし

まうことが分かった。 (3(ア)で出した運動エネルギーと(イ)で出した運動エ

ネルギーでは、20.2J と 15.6J で近い値になった。こ

の差の4.6Jがどこでの誤差なのか今後の課題である。 (4)鶏肉と人間が同じ力で貫通できると仮定すると、大

体人二人分貫通することが分かり(骨には当たらなか

ったとする)、弓道は危険なスポーツであると分かった。

- 5 -

ー (迫真) ー

僕たち弓道部は普段の練習で疑問に思っている、矢の速度などについて調べようと思い、ハイスピードカメラなどを使用して調査しました。

また、段ボールを使うことによって矢の運動エネルギーについて調べました。

• 弓具(矢:質量31.2g 長さ105cm)

• ハイスピードカメラ

• 力センサー

• おもり

• 鶏肉(胸肉)

• ダンボール

• PASCO Capstone

(1)矢の速度の測定

矢の発射の瞬間と矢が的に中る瞬間をハイスピードカメラで撮影し、解析ソフトを用いて運動の分析を行った。

(2)矢の運動エネルギー

的の代わりに段ボールを重ねて置き、何枚貫通するか計測した。

厚さ31㎜の鶏肉を貫通する力の大きさを力センサーを用

いて調べた。また、鶏肉に矢を中てた場合どのくらい刺さるか計算をおこなった。

←PASCO Capstone

矢の速度の測定

初速 終速

一回目50m/s 36m/s

二回目57m/s

三回目55m/s

平均54m/s

矢は段ボールを23枚貫通した!!

- 6 -

矢尻が鶏肉31mmを貫通するのに24.4N

←力センサーでの測定

狙いの角度(仰角)

・(1)の結果よりExcelを用いて、シミュレーションを行った。

◎シミュレーションの内容

○空気の密度をρ、矢の断面積をs、矢の速さをv、

矢の仰角をαとする。

○空気抵抗 →全:R=1/2*ρ*s*v^2

x:1/2* ρ*s*v^2*cosα

y:1/2*ρ*s*v^2*sinα

○運動方程式→x:-1/2*ρ*s*v^2*cosα=max

y:-1/2*ρ*s*v^2*sinα-mg=may

これから0.05s毎にvx、vy、位置x、位置yを求めた。

空気抵抗

重力

矢の運動

重力

矢の運動

空気抵抗

時間(s) 距離x(m) 高さy(m) 空気抵抗(N) 速度vx(m/s) 速度vy(m/s)

x(t-1)+vx(t-1)*0.05 y(t-1)+vy(t-1)*0.05密度*断面積*(vx^2+vy^2)/2

vx(t-1)-空気抵抗(t-1)*(vx(t-1)/v(t-1))/重量*0.05

vy(t-1)-空気抵抗(t-1)*(vy(t-1)/v(t-1))/重量*0.05-9.8*0.05

0.00 0.00 1.60 0.87 49.80 0.71

0.05 2.49 1.64 0.82 48.41 0.20

0.10 4.91 1.65 0.78 47.10 -0.29

0.15 7.27 1.63 0.74 45.86 -0.78

0.20 9.56 1.59 0.70 44.68 -1.25

0.25 11.79 1.53 0.67 43.56 -1.70

0.30 13.97 1.44 0.63 42.50 -2.15

0.35 16.10 1.34 0.61 41.49 -2.59

0.40 18.17 1.21 0.58 40.52 -3.02

0.45 20.20 1.06 0.55 39.60 -3.44

0.50 22.18 0.88 0.53 38.72 -3.86

0.55 24.11 0.69 0.51 37.87 -4.26

0.60 26.00 0.48 0.49 37.06 -4.66

0.65 27.86 0.25 0.47 36.29 -5.05

0.70 29.67 -0.01 0.45 35.54 -5.44

0.75 31.45 -0.28 0.44 34.83 -5.82

狙いの角度(仰角)

地面からの高さ

0度(水平) -0.150m 地面の下

0.450度 0.065m 的の下限

0.820度 0.245m 的の中心

1.00度 0.333m

1.18度 0.425m 的の上限

(3)矢の運動エネルギー

・矢の終速とダンボール23枚貫通した結果から

二通りの方法で運動エネルギーを求めた。

(Ⅰ)矢の終速36m/sから出した運動エネルギー

½×0.0312(kg)×36^2≒20.2(J)

- 7 -

(Ⅱ)ダンボール23枚貫通したという結果をもと

にだした運動エネルギー

矢じりが段ボール23枚貫通するためのおもりの量→230N

段ボール23枚の長さ→0.0679m

∴230(N)×0.0679(m)≒15.6(J)

(4)鶏肉の貫通実験

厚さ31㎜の鶏肉を貫通する力の大きさ→24.4N

貫通させるのに必要な仕事

→24.4(N)×0.031(m)≒0.76(J)

(3)の(Ⅱ)より、矢がする仕事→15.6J

∴ 15.6(J)÷0.76J×0.031(m)≒0.64(m)

したがって、骨に矢が中らないと仮定すると

矢は64cm貫通する。

(1)矢の速度の測定・初速54m/sであるにも関わらず、終速が36m/sと、18m/sも下がっていた

・空気抵抗により、速度が18m/sも下がることに驚いた

(2)狙いの角度(仰角)・矢が的に中る範囲は0.45度~1.18度。・微妙な誤差でも変わってくる。

(3)矢の運動エネルギー

・(Ⅰ)と(Ⅱ)で出た値が20.2Jと15.6Jと近くなった。

・この差の4.6Jの原因は今後の課題である。

(4)鶏肉の貫通実験

・鶏肉と人間が同じ力で貫通できると仮定すると、

大体人二人分貫通することが分かった。(骨には

当たらなかったとする。)

・このことより弓道はとても危険なスポーツでもある

とわかる

http://yang12.fc2web.com/zaregoto/kyuudou3.html

これは矢の角度の考察に用いたシュミレーションの参考文献です!

http://pic.prepics-cdn.com/pib1303209815/21414237.jpeg

- 8 -

30,75,120,165cm

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

0 50 100 150 200cm)

n^2

- 9 -

ミルキークラウン

安藤 山﨑 荻野辻中 寺尾

ミルキークラウンとは?

牛乳などの少し粘性を持つ液体においてその液体を薄く張った平たい容器にその液体を一滴落とすとその飛沫が美しい王冠状の形を形成する現象のこと。

概要

• 前回行った、球を牛乳に落とし落下スピードを計測する実験で粘性の強さを求めた。

• そこで今回は前回求めた粘性の強さと飛沫の数の関係性について調べた。

無脂肪 低脂肪 成分無調整 特濃

エネルギー[kcal] 92 92 137 150

タンパク質[g] 8.8 6.7 6.8 6.4

脂質[g] 0.8 3.0 7.8 9.1

炭水化物[g] 12.5 9.6 9.9 10.5

ナトリウム[mg] 104 85 85 112

カルシウム[mg] 292 229 227 227

無脂乳固形分[%] 11.0 8.4以上 8.3以上 8.5

乳脂肪分[%] 0.4 1.5 3.5以上 4.3

粘性の強さ

無脂肪>成分無調整>低脂肪>特濃

仮説

• 粘性と高さが飛沫の数に影響を与えている。

- 10 -

実験の手順

①無脂肪、低脂肪、成分無調整、特濃の牛乳を用意。②30,75,120,165cmの高さから一滴

ずつ落とし、その様子をハイスピードカメラで撮影。

③撮影した動画を分析し、飛沫の数を確認。

無脂肪

高さ 30 75 120 165

クラウン 10 8 8 8

12 8 8 10

10 12 8 8

12 10 10 8

12 8 10 8

12 10 10 8

特濃

高さ 30 75 120 165

クラウン 12 10 8 6

12 8 8 6

12 8 10 8

10 10 10 6

12 6 6 6

10 8 8 6

低脂肪

高さ 30 75 120 165

クラウン 8 8 8 8

10 8 8 10

10 8 10 6

10 10 6 10

10 8 8 6

10 10 8 8

成分無調整

高さ 30 75 120 165

クラウン 16 12 10 6

16 12 10 8

16 10 8 8

12 10 8 8

12 8 8 6

12 8 10 6

力学的エネルギー=m(飛沫の質量)×g(重力加速度)×h(高さ)

mgh

h (高さ) v(速度)

2m 2

力学的エネルギー=1

2×m(飛沫の質量)× 2(速度の2乗)

mgh=12

2

v= 2 2g K(定数)と表せる よって hを変量とする

- 11 -

0

2

4

6

8

10

12

14

5.48 8.66 10.95 12.84

成分無調整

無脂肪

特濃

低脂肪

飛沫の数(n個)

高さの平方根(√hcm) 0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

成分無調整

無脂肪

特濃

低脂肪

高さ(hcm)

飛沫の数(n^2個)

結果

• 高さは飛沫の数に関係している可能性が高く、前回求めた粘性の強さとの関係性は見つけられなかった。

考察

• タンパク質以外にも粘性に関係している物質がある可能性が高い。

• 飛沫の数の差が小さいのは、粘性の強さにほとんど違いがないからだと考えられる。

今後の目標

• タンパク質以外に粘性に影響している物質の特定

今後の展望

粘性の差が明らかなものを用いて実験する

- 12 -

59 (36.87 ) 68 (36.98 ) 102 (36.98 )

85 (38.54 ) 86 (32.74 )

0.25~0.5mm

( 10mm) (15mm 300mm 180mm)

0.5

1.8

- 13 -

粒状現象

4班 住⼭恭平 ⾼橋育⽣ 前川⼒⽃

変則的に⾒える安息勾配⾓の変化のしかたを解明し、砂の流れ⽅との関係性についても詳しく調べる

特徴1溜まって

流れて

を繰り返している

特徴259秒後(36.87°)

68秒後(36.98°)

102秒後(36.98°)

同じ大きさの角度が現れる

特徴3

①②

明らかに ①≠②

周期性【periodicity】

仮説

- 14 -

砂が流れると⾓度が変わってゆく

⾓度は初めの⾓度へ戻るように動く

元の⾓度へ

300mm(横)×180mm(縦)×15mm(幅)

1.8cm下底

上底

⾓度°=arctan{1.8 /(下底-上底)}

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

7 12 17 22 27 32 37 42 47 52 57 62 67 72 77 82 87 92 97 102 107

時間と底辺の⻑さの関係(cm)

(秒)

- 15 -

30

32

34

36

38

40

42

7 12 17 22 27 32 37 42 47 52 57 62 67 72 77 82 87 92 97 102 107

時間と⾓度の関係

(秒)

(度)

33゜〜39゜の間で変化

まだこのグラフからは周期性があるとは⾔い切れないが、⾓度が波状に変化していることを突き⽌めることができた。今後、この波をより詳しく調べれば、隠れた周期性を発⾒できるかもしれない。

安息勾配⾓が⼩さい

安息勾配⾓が⼤きい

もし、安息勾配⾓が粒度によって決まるならば、

砂⼭の⾓度を⾒ただけで、その砂漠を組成している砂粒の粒度を測り知ることができる︕

他にもある粒状現象の可能性

●ラミナの形成過程の再現

●⼟砂災害時の危険箇所の予想

ラミナ

など

- 16 -

5班 光速を測ろう!~現代版フィゾーの実験~

村井淳彦 田原嵩大 坂本修哉 辻井陵大 岸本章太郎 藤村竜也 1 はじめに

速さ(V)=距離(l)/ 時間(t)

この式を用いてこの世でもっとも速い光を桃山高校のス

ケールで測ることにした。

その際、光が速く見えないため「物体の確認」「正確な時

間測定」が課題となった。

2 フィゾーの実験

① 光の確認:回転する歯車

② 正確な時間測定:10⁻4秒の精度(歯数720個、

12.6回転/秒)

距離l=8633m →学校で測定できない

3 実験の方法

① 光の確認:レーザーポインターを点滅(自作)

+受光器(自作)

② 正確な時間測定:10-8秒の精度(オシロスコープ)

距離l=100m以下 →学校で測定可能

4 実験の結果

x-t図の傾きは「速さ」に対応

→光速の測定結果は3.1579×108 m/s

5 結果

実際の光速 2.998×10⁸m/s

フィゾーの実験の測定結果 3.135×10⁸m/s

5班の実験の測定結果 3.58×10⁸m/s

6 まとめ

フィゾーの実験の約1/200のサイズで

ほぼ同じ精度で光速を測定することができた。

参考文献

数研出版

- 17 -

村井 淳彦 田原 嵩大坂本 修哉 辻井 稜大藤村 竜也 岸本章太郎

光速を測ろう!

~ 現代版フィゾーの実験 ~速さ v

時間 t

距離 L

=

[m]

[ s ][m/s]

課題設定1

この世で最も速い、光の速さ(3.0×108 m/s)を測定する

仮説仮説

目的目的

光の速度も測れるはず!

課題設定2

速さを測定するためには下記の工夫が必要

①物体の確認②正確な時間測定

いずれも光では困難!

①目で確認

②ストップウォッチ①光の確認: 回転する歯車②正確な時間測定: 10-4秒の精度(歯数720個、12.6回転/秒)

鏡過去の実験フィゾーの実験(1849年):地上で初めて光速を測定

光源

ハーフミラー

回転歯車

約8.6 km

距離L = 8633m 学校では測定できない!!

5班の実験

①光の確認: ・レーザーポインターを点滅(自作)・受光器(自作)

②正確な時間測定:10-8秒の精度(オシロスコープ)

距離L = 100m以下 学校で測定可能!!

オシロスコープ

50 m以下

5班の実験(2014年)

発振器

レーザーポインター(自作)

凸レンズ受光器(自作)

5班の実験詳細

測定器の様子

レーザーポインター

発振機

オシロスコープ

受光器 凸レンズ

- 18 -

・学校の渡り廊下で測定。・実際は夜に測定しました。

実験の様子

5班の実験詳細

往復距離L = 0 mレーザーの発光信号

受光器の

信号遅延: 0.64 μs

遅延: 0.67 μs

往復距離L = 10m 往復距離L = 30 m

遅延: 0.72 μs

往復距離L = 60m

遅延: 0.83 μs

測定結果2

y = 315.79x ‐ 200.79

0

10

20

30

40

50

60

70

0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85

距離L - 遅延時間t グラフ

遅延時間 t [µs]

往復距

離L[m

]

光速の測定結果は3.1579×108 m/s

x‐t図の傾きは「速さ」に対応

- 19 -

・実際の光速: 2.998×10⁸m/s・フィゾーの実験の測定結果: 3.135×10⁸ m/s・5班の実験の測定結果: 3.158×10⁸ m/s

フィゾーの実験の約1/200のサイズで、

ほぼ同じ精度で光速を測定することができた!

下記を対策でより正確に測定できると考えられる。・測定距離をのばす。・受光器の性能(立ち上がり)を改良する。

まとめ

結果結果

考察考察

- 20 -

20 1

7

Li,Na,K,Ca,Ba,Cu,Sr

- 21 -

梅原鴻佑小石啓介田中輝谷口昇汰山田啓真山中陸椰

実験器具のスケールを小さくする

試薬、経費の節減と廃棄物の少量化

試薬の少量化に伴い、事故防止に役立つ

実験操作の簡略化し実験時間の短縮

1~2人の個別実験化

通常の教室でも実施が可能にする

<目的>

実験用具として、身近なものを取り入れてみる

1つ1つ行っていた炎色反応を一気に見るこ

とで、色の変化を比べられるようにして、時間の短縮を図る

白金線の先を濃塩酸に浸し、ガスバーナーの無色の炎に入れて白金線から汚れを取り除く。

試験管に試料水溶液を取り、白金線を浸してから、ガスバーナーの炎の中に入れ、炎の色を観察する

1、たこ糸7区間ぐらいに区切り、それぞれの箇所に金属イオンをつける

2、一気に火をつけて反応を見る

3、燃えにくい場合は、エタノールを先に染み込ませてか

ら点火する

<結果1>・エタノールなしでは、うまく燃えなかった

・たこ糸を何重にも重ねて点火したが、結果は変わらなかった

ステアリン酸、メタノールを20:1の割合で混ぜる(ステアリン酸は湯銭で溶かす)

ステアリン酸とメタノールの混合物をシャーレ7つに分けて移す

それぞれに金属イオン(Li,Na,K,Ca,Ba,Cu,Sr)を混ぜる

- 22 -

・同時に炎の色を見比べることができた。

・綿棒や掃除用スポンジなどを実験用具の代わりとして取り入れることができた。炎が少し弱くて見えにくかった。

実験の主旨をそのままにより簡略化したい。

さらに日常的なものを用いて実験してみる

2Al+Fe2O3→Al2O3+2Fe

【準備】 酸化鉄(Ⅲ) 1.6g、アルミニウム粉末0.6g、マグ

ネシウムリボン、マグネシウム粉末、ろ紙、スタンド、蒸発皿、砂、ライター

※ 火花が飛び散ることがあるので、周りに燃えるものを置かないようにすること。

火花が激しく飛び散る。

準備が大変である。

問題点

発生する火花の方向を下にして危険を減らそうとした。

セロハンテープの内側に粉末を付着させ、マグネシウムリボンをセロハンテープで両側から挟んで止め、下から火をつける。

マグネシウムリボンに点火した後、火が粉末に届くまでにマグネシウムリボンが落ちた。

セロハンテープが熱に耐えられなかったと考えられる。

- 23 -

従来の実験のろ紙に蓋をして逆さにして実験する ろ紙が粉末に発火するまでに燃え尽きマグネシウムリボンごと落ちた。

火は常に上に向いているのでマグネシウムリボンが粉末に届くまでに先にろ紙が燃えたと考えられる。

・ろ紙を使い捨てにするのではなく別の容器をつかうことで容器を使いまわせるようにする。

・ろ紙の代わりに試験管を用いる。

マグネシウムリボンが最後まで燃えなかった。

燃えている途中で試験管の酸素が不足したと考えられる。

<実験2>実験1の試験管は長いため途中

で酸素が薄くなり最後まで燃えな

かったので実験1より小さい試験

管を用いて実験。

正常にテルミット反応が起こった。

今回の実験では容器しか工夫できなかったので他の所にも工夫施していきたいと思う。

身近なものでも、本来の実験と同様の結果を得ることができることが分かった

自分たちの考え方や工夫だけでこんなにも変わるのだと気付いた

- 24 -

はじめに 糖アルコールとは?

・糖類に水素を添加して製造されるアルコールの総称とされている。

・ソルビトールやキシリトールなどが例に挙げられる。

・人工で製造される以外にも、果物や海藻類に含まれているものもある。

・甘味を持つものがあり、低カロリー甘味料として使用されている。

・また、保湿性が高く保存料としても使用されている。

キャラメル化とは?

・糖類を150℃~200℃で加熱すると黒褐色のカラメル状に変化すること。

・プリンなどに使用されるカラメルソースやコーラの着色料が例に挙げられる。

研究目的

・糖アルコールがキャラメル化しないとされているため、本当にキャラメル化しないのかどうか検証する。

実験 ・グルコース(C16H12O6) サッカロース(C12H22O11)

ソルビトール(C6H14O6) キシリトール(C5H12O5) マンニトール(C6H14O6) エリスリトール(C4H10O6)

*区別するため、糖類に下線を引いた。(以下同様)

・ドライブロックバス

・試験管

Ⅰ.使用する糖及び糖アルコール(それぞれ固体の白い粉末)を同量用意する。

Ⅱ.試験管に入れ、一定温度で加熱する。

Ⅲ.加熱中や加熱後の色やにおいの変化の様子を見る。

結果

・加熱後の様子を以下の表にまとめた。

考察 ・加熱してもキャラメル化しないといわれている糖アルコールが

今回の実験で色が変わり甘いにおいがしたため、

糖アルコールもキャラメル化するのではないか。

・加熱温度を上げることで、色の変化とにおいが大きくあらわれ

たため、より加熱温度を上げることでキャラメル化した状態

に近づくのではないか。

今後 ・さらに加熱温度を上げられる装置や物体を用意し、実験を行う。

*現地点では、シリコンオイルが候補に挙げられている。

・実験の効率化を高める。

グルコース ソルビトール キシリトール サッカロース マンニトール エリスリトール

180℃ 褐色、

甘い匂い 薄黄色、甘い匂い

無色、

匂い無し

褐色、

甘い匂い 薄黄色、甘い匂い

無色、

甘い匂い

200℃ 黒褐色、甘い匂い 薄黄色、甘い匂い 薄黄色、甘い匂い 黒褐色、甘い匂い黄色、

甘い匂い 薄黄色、甘い匂い

糖アルコールはキャラメル化を起こすのか

7班 森 明日香 小谷 文絵 杉本麻衣

- 25 -

糖アルコールはキャラメル化をおこすか?

森 明日香

小谷 文絵

杉本 麻衣

糖アルコールについて

◆還元基を有する糖類にニッケル触媒下を用いて、高温高圧下で水素添加により還元して製造される鎖状多価アルコールの総称。

◆甘味があるものが多く、小腸から体内への吸収が悪くカロリーになりにくいため、低カロリー甘味料として用いられるものがある。

◆Wikipediaでは、加熱しても褐色化やキャラメル化が起こらないとされている。

キャラメル化のメカニズム

◆糖類が150~200℃で加熱されると、

単独に分解・重合し、黒褐色のあめ状物質(カラメル)に変化する。

研究目的

◆Wikipediaの記載通り、糖アルコールがキャラメル化するのかどうかを検証する。

実験方法①◆糖であるグルコース(C6H12O6)サッカロース(C12H22O11) 糖アルコールであるソルビトール(C6H14O6) キシリトール(C5H12O5) マンニトール(C6H14O6) エリスリトール(C4H10O6)を同じ量だけはかりとり、加熱し、様子を見る。

◆用意した糖と糖アルコールはすべて白い粉末状の固体である。

エリスリトール

マンニトール

サッカロース

グルコース

ソルビトール

キシリトール

- 26 -

実験方法②

◆それぞれ180℃、200℃で加熱した。

◆加熱にはドライブロックバスを使用。

グルコース

ソルビトール

キシリトール

サッカロース

マンニトール

エリスリトール

180℃褐色、甘い匂い

薄黄色、甘い匂い

無色、匂い無し

褐色、甘い匂い

薄黄色、甘い匂い

無色、甘い匂い

200℃黒褐色、甘い匂い

薄黄色、甘い匂い

薄黄色、甘い匂い

黒褐色、甘い匂い

黄色、甘い匂い

薄黄色、甘い匂い

実験結果①

◆加熱途中、ソルビトール、エリスリトールはヨーグルトのような酸味のあるにおい、マンニトールはガソリンのような鼻につくにおいがした。

180℃

200℃

グルコース

ソルビトール

キシリトール

サッカロース

マンニトール

エリスリトール

結果まとめ

◆糖であるグルコース、サッカロースは褐色に着色し、温度が高いほど黒色に近づいた。

◆ソルビトールは加熱中に、キシリトール、マンニトール、エリスリトールは加熱後に1週間放置した後、わずかに黄色に着色した。

◆キシリトール、エリスリトールは200℃で加熱すると薄い黄色に着色した。

考察

◆糖アルコールは、より温度を上げて加熱することによって、キャラメル化した状態になる可能性がある。

- 27 -

- 28 -

アルコールの過冷却 神谷京佑 石井祥 橘優心 細谷凌平 青木颯志

1はじめに

僕たちは授業で行った水の過冷却の実験よ

り、過冷却に興味を持ち過冷却する物質を

アルコールに変えて実験を行いました。

2実験 1

水を凍らせて、凍るという現象の定義を確

認した。

3実験 2

融点が不明な物質を凍らせる。

今回はチオグリセリンを使う。

・方法 チオグリセリンを入れた試験管を液体窒素

の入ったジュワー瓶に数分間入れ、その後

の変化をみる。

・結果 3分間冷却して-173℃まで温度を下げ

た。傾けてもチオグリセリンが動かなかっ

たので凍ったように思えたが、同じ無色透

明の水の凝固状態とは見た目が違っていた

ので、よく見ると多くの境界線が存在して

おり、ガラス状態であることがわかった。

・考察

物質を急激に冷やしすぎたためガラス状態

になったのではないか?

4実験 3

エチレングリコールを塩と氷の混合物で冷

却する。

・方法 同じアルコールで融点のわかっているエチ

レングリコール(-13℃)を氷と塩の混

合物で冷却し、アルコールの凝固状態を確

認する。

・結果

-25℃まで冷却し、30分間放置したの

ち状態を確認したが凝固せず、液体のまま

だった。

・考察

実験の準備過程で不純物が混ざってしまい、

全く別の物質になったため、融点が変わっ

てしまったのでは?

5実験 4

チオグリセリンをエタノールとドライアイ

スの混合物で冷却する。

・方法

実験2の結果をふまえて、チオグリセリン

をエタノールとドライアイスの混合物でゆ

っくりと冷却し、ガラス状態にならないよ

うにする。

・結果

-75℃まで冷却したが凝固せず、前回と

は見た目は大きく違うが、とても粘度の高

い状態であるガラス状態となってしまった。

今後の予定

・凝固点がわかっているエチレングリコー

ルの凝固を確認する。

・チオグリセリンをグリセリンの凝固実験

を参照して凍らせる。

- 29 -

アルコールの過冷却神谷京佑、石井祥、橘優心

細谷凌平、青木颯志

研究目的1. “凍る”とはどういうことか調べる

2. 融点の分かっていない物質を凍らせる

実験内容

1. 水を凍らせる。

2. チオグリセリンを液体窒素で冷却する。

3. エチレングリコールを塩と氷の混合物で冷却する。

4. チオグリセリンをエタノールとドライアイスの混合物で冷却する。

実験1 水の凝固

・水を凍らせて“凍る”という状態を確認する。

実験2 融点が不明な物質を凍らせる。

今回はチオグリセリンを使う。※チオグリセリンとは?

無色透明でグリセリンの3つの水酸基(‐OH)のうち 1つがチオール基(‐SH)に置き換わった構造となっている。おもにパーマ剤として使われている。

チオグリセリンの構造→

方法

チオグリセリンを入れた試験管を液体窒素の入ったジュワー瓶に数分間入れ、その後の変化をみる。

- 30 -

実験結果

3分間冷却して-173℃まで温度を下げた。傾けてもチオグリセリンが動かなかったので凍ったように思えたが、同じ無色透明の水の凝固状態とは見た目が違っていたので、よく見ると多くの境界線が存在しており、ガラス状態であることがわかった。

考察

物質を急激に冷やしすぎたためガラス状態になったのではないか?

実験3

同じアルコールで融点のわかっているエチレングリコール(-13℃)を氷と塩の混合物で冷却し、アルコールの凝固状態を確認する。

実験結果

• -25℃まで冷却し、30分間放置したのち状態を確認したが凝固せず、液体のままだった。

実験の準備過程で不純物が混ざってしまい、全く別の物質になったため、融点が変わってしまったのでは?

考察

実験4

実験2の結果をふまえて、チオグリセリンをエタノールとドライアイスの混合物でゆっくりと冷却し、ガラス状態にならないようにする。

実験結果

• -75℃まで冷却したが凝固せず、前回とは見た目は大きく違うが、とても粘度の高い状態であるガラス状態となってしまった。

- 31 -

今後の目標

• 凝固点がわかっているエチレングリコールの凝固を確認する。

• チオグリセリンをグリセリンの凝固実験を参照して凍らせる。

- 32 -

薬を捨てないで!!! 中路 健斗 中川 真 野村 成 藤井 拓志 物部 憲尚 森川 和紀

1 はじめに 医薬品が自然界に流出したとき、環境にどのような

影響を与えるのか身近な医薬品を使って調べてみた。

今回は、サリチル酸やその誘導体を植物に投与し、

成長の違いを調べた。

2 サリチル酸について

サリチル酸とは、身近な医薬品・化粧品に多く含ま

れており、学校の実験室にもあり安価に供給可能な

薬品である。

3 実験方法

薬品の溶液でカイワレダイコンを育て、長さを測り

成長への影響を調べる。

①薬品を水で溶かし、リン酸 buffer で pH=6.5

に調整した。

(濃度:1.0×10-3mol/L)

②脱脂綿をいれた容器内に、各溶剤を溶かした水

溶液を入れた。

③市販のカイワレダイコンの種子を

10 粒セットした。

④人工気象器に入れ、遮光下で栽培した。

4 実験結果

<図 1~4 について>

発芽率 100%

棒グラフは平均値・バーは標準偏差を示す

赤棒グラフ・リン酸 buffer は対照実験

2-1-ナフト SA 1-2-ナフト SA

① ②

チオ SA スルホ SA

③ ④

図 1 図 2

5 結果

・成長を阻害するものが多かったが、中には成長を

促進するものもあった。

・長さだけでなく、葉の色が黄色かった。

6 考察

図 3 図 4

・図 3 よりベンゼン環が2つ存在するサリチル酸の

ほうが1つのものより成長阻害の効果が高い。

・図 4 より構造式に S が含まれているものは成長阻

害の効果が低い。

⇒環境への影響が危惧されるので、 薬の扱いには十分注意すべきである。

7 今後の予定

・ベンゼン環が2つ存在する他のサリチル酸誘導体

をさらに研究する。

・今回使用したサリチル酸誘導体以外のものでも実

験する。

9班

- 33 -

薬を捨てないで!!

中路 健斗

中川 真

野村 成

藤井 拓志

物部 憲尚

森川 和紀

動機

医薬品が自然界に流出したとき、環境にどのような影響を与えるのか調べようと思った。

身近な医薬品を調べてみよう!!!

サリチル酸について

身近な医薬品・化粧品に多く含まれている。

学校の実験室にもあり安価に供給可能。

研究目的

サリチル酸を使って、それぞれが植物にどのような影響を与えるのか調べる。

サリチル酸誘導体を使い、成長に違いがあるか調べる。

実験①

学校にある薬品の状態では水に溶けない。⇒水に溶けるようにしよう!

H Na

C₇H₆O + NaHCOC₇H₅O Na + H O + CO

₃ ₃

₃ ₂ ₂→

実験方法①

(ⅰ)水に元の薬品を入れ、炭酸水素ナト

リウムを加え反応が終わるのを待つ。

(ⅱ)ビーカーの中身をろ過し、ホットプ

レートで水分を飛ばす。

(ⅲ)ビーカーに残った粉を回収し実験に

使用する。

- 34 -

実験②

薬品の溶液でカイワレダイコンを育て、長さを測り成長への影響を調べる。

実験方法②

(ⅰ)①で作った薬品を水で溶かし、

リン酸buffer でpH=6.5に調整した。

(濃度:1.0*10-3mol/L)(ⅱ)脱脂綿をいれた容器内に、各溶剤

を溶かした水溶液を入れた。

(ⅲ)市販のカイワレダイコンの種子を

10粒セットした。

(ⅳ)人工気象器に入れ、

遮光下で栽培した。

実験結果α

0

2

4

6

8

10

12

14(cm)

n=10

図1 実験結果β

0123456789

10

3-PhSA ナフトSA パモ酸 SANa リン酸buffer

(cm)

n=10

図2

結果

成長を阻害するものが多かったが、中には成長を促進するものもあった。

長さだけでなく、葉の色が黄色かった。

考察①

ベンゼン環が2つ存在するサリチル酸のほうが1つのものより成長阻害の効果が高い。

- 35 -

0

2

4

6

8

10

12

2‐1‐ナフトSA 1‐2‐ナフトSA リン酸buffer

(cm)

ONa

OH

O ONa

OH

O

図3 考察②

構造式にSが含まれているものは成長阻害の効果が低い。

0

2

4

6

8

10

12

14

16

チオSA スルホSA リン酸buffer

(cm)

ONa

OH

ONaSO3

図4 考察(まとめ)

ベンゼン環が2つ存在するサリチル酸のほうが1つのものより成長阻害の効果が高い。

構造式にSが含まれているものは成長阻害の効果が低い。

環境への影響が危惧されるので、

薬の扱いには十分注意しよう!!!

今後の予定

ベンゼン環が2つ存在する他のサリチル酸誘導体をさらに研究する。

今回使用したサリチル酸誘導体以外のものでも実験する。

ONa

OH

OONa

OH

O

CH2OH

ONa

O

ONa

OH

O

ONa

SH

O

N

ONa

OH

O

ONa

NH2

O

ONa

OH

OHO

NaO

O

SANa ナフトSA3-PhSA パモ酸

1-2-ナフトSA 2-1-ナフトSA チオSA

ニコチンSA

スルホSA

アントラニルSA フタルSA クロロSA

今回使用したサリチル酸誘導体

- 36 -

高分子による水浄化について

木田祐希 木村友哉 笹田匠悟

背景:私たちは、ポリマー(高分子)を用いて水浄化を行うことで、実際の有効性を確かめようと思った。まず初めに、安価でコストの掛からない方法を見出すために、最適な凝集材料を探ることから始めた。

実験1準備物:・メスシリンダー ・分光光度計 ・ビーカー試薬:・塩化鉄水溶液 ・ペクチン ・ポリグルタミン酸・アルギン酸ナトリウム ・納豆

実験結果1

考察図1より、・ポリグルタミン酸が最も低濃度まで下がった。・ペクチンは低濃度まで落ち切らないが、降下時間が早い。

この両者の特性を“良いとこ取り”で両立させたい。

図1 各種薬品を用いた場合のFeコロイド除去状況

実験2・ポリグルタミン酸とペクチンの配合する比率を変化させる。(1:1と3:1)実験手順は実験1と同じ。

実験結果2

図2 最適薬品とその混合比の検討

考察2ペクチンとポリグルタミン酸の混合比が1:3のとき、凝集する速度が上がり、最終的な水酸化鉄の残存量も減少した。この結果より、最適な凝集剤を作ることができた。

ポリグルタミン酸はグルタミン酸がペプチド結合でつながっているだけです。これが水浄化に効いているのでは?と考えています。

今後の予定・実際の池の水の浄化に当該試薬を活用する。・メカニズム詳細を明らかにしたい。(手法検討中)

実験手順① 塩化鉄水溶液を熱水に入れ、水酸化鉄(Ⅲ)水溶

液を作る。② 水酸化鉄(Ⅲ)水溶液をメスシリンダーで希釈し、

濃度を0.250mg/Lにする。③ ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ポリグルタミン

酸を別々に水に溶かし、濃度0.80g/Lの水溶液を4つ作る。

④ ②の水溶液を200mLビーカーに入れ、同じものを4つ作る。

⑤ ③の水溶液を40mL④のビーカーに別々に入れる。⑥ ⑤のビーカーから水溶液を⑤の1時間後、1日後、

3日後、2週間後に25mLずつ量りとり、試薬を入れ、分光光度計で水溶液中の鉄の量を測定する。

UV-mini 1240(島津)

↑ポリグルタミン酸 ペクチン→

10班

- 37 -

ポリマーを用いた水浄化~高分子の底力~

木田 木村 笹田

目的

化学的手法で水浄化を行い、実際の有効性を確かめたい

将来的には、自然浄化作用とドッキングし、安価でコストの掛からない方法を見出したいが、

現時点ではまず、

最適な化学物質を探し出す

実験コンセプト

~凝集沈殿で汚水を分離する~凝析によく似た方法、凝集を使う

ポリマー(高分子)が入っている

1nd浮遊している

コロイド粒子

2ndポリマーを加え撹拌し粒子を固める

3rd沈殿、分離させる

綺麗な水

汚物

・汚れた水のモデルとして、Fe(OH)₃のコロイド溶液を作成

比較実験用溶液

~予備実験として~

・Na₂SO₄により凝析

1週間後

透明な上澄み液が得られた(成功)

完全分離成功!

「凝析」の確認

本実験1~身近な物質で同じように凝析できないか~

ペクチン(高分子:ミカン皮成分)による凝集を加えてみる

3mL 23mL

23mL加えたときの方が透明度の高い上澄み液が得られた

ある一定量が必要であるが(モル比?)綺麗になった!

- 38 -

アルギン酸Na(食物繊維)

考察~どう進めるべきか!考える~

水酸化Feコロイドに各水溶液を溶かし込み、その沈殿状況を経時変化で追う!

紫外可視分光光度計で分析を実施

納豆粉(不純物有)

ペクチン(ミカンの皮)

ポリグルタミン酸(納豆主成分)

vs vs vs

実験結果~紫外可視分光光度計~

水酸化Feコロイドが日増しに分離して濃度が低下していく・ポリグルタミン酸が最も低濃度まで下がり、

・ペクチンは低濃度まで落ち切らないが、降下が早いこれを“良いとこ取り”で両立させたい

UV-mini 1240(島津)

綺麗にFe成分が降下していくグラフをここに載せる

再考察

再び考える!⇒迅速にFe成分を分離でき、⇒低濃度化できないか?

一度、ポリグルタミン酸とペクチンを混ぜてみる!この比率は “1:1” “3:1”でチャレンジ!

ペクチン(ミカンの皮)

ポリグルタミン酸(納豆主成分)

add on

再結果

☆ペクチン効果で下がるのも早く☆ポリグルタミン酸効果で下がりきった濃度も低く

両立できた。好適な汚水分離試薬が調整できた!

UV-mini 1240(島津)

見事、

ペクチン効果で下がるのも早く

ポリグルタミン酸効果で下がりきる濃度も低く

というグラフをここに載せる どの文献にも無い、初の試み

メカニズム考察1

ペクチン (Pectin) とは、植物の細胞壁や中葉に含まれる複合多糖類で、ガラクツロン酸 (Galacturonic acid)が α-1,4-結合したポリガラクツロン酸が主成分である。

カルボキシキ基が関係?

メカニズム考察2

☆納豆菌に含まれるポリグルタミン酸はグルタミン酸がペプチド結合でつながっているだけです。これが水浄化に効いているのでは?と考えています。

ポリグルタミン酸(ポリグルタミンさん、polyglutamic acid, PGA)は、グルタミン酸を重合単位とするポリペプチドの一種

- 39 -

今後予定

Fe(OH)₃を使っての凝集

自然素材で

自然水を凝集

アルギン酸ナトリウムポリグルタミン酸

実際の自然水を凝集沈殿させる

ことは可能なのか?

ペクチン

①自然水の分離にチャレンジ!

(済)

②ペプチド結合の効果の実験牛乳に含まれるガゼインNa

(ペプチド結合を多く含む)を使って凝集してみる

- 40 -

小川築 山中祥平 橘智之 田中祐輔 林翔太 東大貴

研究動機

自分たちの「カルキを抜いた水道水にたくさんの

魚を入れて飼うと数日で死んでしまった」という

経験について資料を用いて調べ、水質の変化によ

るものだと知った。私たちはこの現象に興味を持

ち、水質の変化の仕方と対策を実験によって調べ

ようと考えた。

予備知識(魚と水質の変化について)

「アンモニア排泄動物」である魚類は、自分たち

にとって有害であるアンモニアを自ら排泄してい

る。自然界ではアンモニアはバクテリアなどによ

って無害な硝酸塩に分解されるが、水道水ではバ

クテリアが住み着きにくく

アンモニアが分解されないため、魚が死んでしま

う原因になる。

実験1

目的…水槽に入れる魚の数とアンモニアの増加に

は関係性があるのかを調べる。

方法…水槽を 4 つ用意し同じ量のカルキを抜いた

水道水を入れる。水槽 A にはカワムツを 1

匹、水槽 B にはモツゴを 2 匹、水槽 C には

タモロコを 3 匹入れて、一日一回アンモニ

アを計測し、これを 2 週間続ける。

(本来は同じ種類の魚で行うべきだが多く

の個体を集められなかったので違う種で行

った。)

結果…アンモニアの増加は水槽 D(3匹)が最も

速く、2番目が水槽 A(1匹)、もっとも遅

いのが水槽 B(2匹)となった。水槽 D(0

匹)では変化がなかった。

水槽 A のカワムツは4日目にアンモニア

が5㎎/l に達するとすぐに死んだが、水槽

B のモツゴ、水槽 C のタモロコは5mg/l

以上になってもしばらくは生存していた。

実験 2

目的…自然の川にあるもので水槽内にバクテリア

を住み着かせてアンモニアを分解する事が

出来ないかを調べ、またどれを用いるのが

最も効率がよいのかを調べる。

方法…水槽を 8 つ用意し以下のものを入れ、一日

一回アンモニアと硝酸塩を計測し、これを 1

週間続ける。

水槽 A→水道水、タモロコ

水槽 B→水道水、タモロコ、砂

水槽 C→水道水、タモロコ、泥

水槽 D→水道水、タモロコ、石

水槽 E→水道水、タモロコ、水草

水槽 F→水道水、タモロコ、タニシ

水槽 G→木津川の水、タモロコ

水槽 H→木津川の水

結果…以下の通り

水槽 A→アンモニアは分解されなかった

水槽 B→アンモニアは分解された

水槽 C→アンモニアは分解されず、増加した

水槽 D→アンモニアは分解された

水槽 E→アンモニアは6日目までは分解された

水槽 F→アンモニアは分解されたが、増加した

考察

・実験1より、アンモニアの増加とその耐性は、魚

の数よりも種類と関係が深いと考えられる。

・実験2より、水道水で魚を飼育する場合アンモニ

アの増加を防ぐには、川から採ってきた砂か石

を入れるとよい。また、泥やタニシを入れた場

合には逆効果となる。

参考文献

・生物図録

(鈴木 孝仁 監修 数研出版)

11 班

- 41 -

水質汚濁と浄化作用の効率性11班

小川 東 山中 田中 林 橘

カルキをぬいた水道水で、たくさんの

魚を飼うと死んでしまった

水質の変化が原因

実験で変化の仕方と対策を調べる

研究の動機

魚と水質の変化について

<目的>

水槽に入れる魚の数とアンモニアの増加には関係性があるのかを調べる。

実験1

水槽A(カワムツ)

水槽C(タモロコ) 水槽D水槽B(モツゴ)

実験1 実験1

魚の数とアンモニアの増加の仕方は比例しない

アンモニアが5mg/Lに達するとすぐに死んでしまう種としばらくは生存できる種がいた

アンモニアの増加とその耐性は、魚の数よりも種類と関係が深いと考えられる

- 42 -

<目的>

自然の川にあるもので水槽内にバクテリアを住み着かせてアンモニアを分解する事ができないか、またどれが最も効率が良いのかを調べる。

木津川の水でも実験を行い、水道水で飼育したときと比較する。

実験2 実験2

水道水+タモロコ+水草

水道水+タモロコ+タニシ

水道水+タモロコ

水道水+タモロコ+砂

水道水+タモロコ+泥

水道水+タモロコ+石

木津川の水

木津川の水+タモロコ

実験2

NO3⁻……増加していない NH3……増加している↓

アンモニアが分解されていない

実験2

NO3⁻……増加している NH3……増加していない↓

早い段階でバクテリアが分解されている

実験2

NO3⁻……ほとんど増加していない NH3……激しく増加している↓

水質を保つには逆効果である

実験2

NO3⁻……増加している NH3……増加していない↓

早い段階でアンモニアが分解されている

- 43 -

実験2

NO3⁻……増加している NH3……途中までは増加していない↓

途中でバクテリアが減少してしまった?

実験2

NO3⁻……増加している NH3……激しく増加している↓

アンモニアは分解しているがそれ以上にタニシがアンモニアを排出している。

実験2

NO3⁻……増加していない NH3……増加していない↓

水質は安定してる

実験2

NO3⁻……増加していない NH3……増加していない↓

水質は安定している

<まとめ>

水道水で魚を飼育する場合、アンモニアの増加を防ぐには川から採ってきた砂か石を入れるとよい。また、泥やタニシを入れた場合には逆効果となる。

実験2

・実験1で、沢山の魚を用意し、種類を統一して実験を行う。

・実験2で、川の流れも水質を保っている要因である可能性を考えて実験を行う。

・実験2の水草を入れた水槽で、突然アンモニアが増加した原因を解明する。

・実験1と2で、魚にエサを与える回数を増やしてアンモニアの排泄を促し、さらに顕著に実験結果が表れるようにする。

今後の課題

- 44 -

1. はじめに

プラナリアとは扁形動物門ウズムシ網ウズム目

ウズムシ亜目に属する動物の総称。体長5㎜~25

㎜、再生能力が非常に高い生物として知られている。

今回、用いたものは京都大学の阿形研究室から頂い

たクローンの個体である。

2. 実験

目的: 切断後のプラナリアが再生する期間は、温度

と切断の仕方に影響を受けるのか確かめる。

仮説: ①飼育温度が高いほど再生期間は短い。

②前後に切断した方が左右に切断するより

再生期間は短い。

a 実験の前に

① プラナリア飼育水(人工海水 0.005%)を一定に作る。

② 切断の日を決める。

③ プラナリアは何℃まで生きられるか確かめる。

→実験の結果、32℃が限界であるとわかった。

b 観察方法

① 前方部と後方部(10 匹ずつ)、左部と右部(10 匹

ずつ)にそれぞれ2分の1に切断する。

②実験装置(インキュベーター、保冷庫)に入れ、温度を

一定に保つ。(0℃~35℃までを5℃刻みに設定)

③顕微鏡で毎日観察し、ノートに記録する。

c 再生能力のステージ

3. 結果

3. まとめ

・温度の違いによる再生の速度

25℃>20℃>15℃>30℃>10℃

温度が高い程再生が速い傾向があるが、高すぎ

てもよくないことがわかった。

・切断の方法による違い

プラナリアを前方部と後方部に切断した方が、

右部分と左部分に切断したものより速く再生した。

4. 考察

*温度が高いほどプラナリアは速く再生した。

→「酵素の働きは温度が上がるほど活性化する。プ

ラナリア体内の酵素も活性化され再生も速い」と推

測できる。しかし、実験よりプラナリア体内の

*酵素が活性化する温度には限度がある。

→「プラナリアが水温30℃以上で死滅し、25℃以上

の川に生息できない。」事から推測した。

*前方部と後方部に切断した方が、右部と左部に切

断したものより速く再生した。

→「切断面積が小さい。」事と「前後の切断は自然界

においての分裂の仕方と同じである。」事により、

再生しやすいと推測した。

5. 今後の課題

・再生のステージを外見の再現性から再生能力を読

み取るのではなく、プラナリアの器官に注目して再実

験をする。(目・咽頭)

・プラナリアを切断する技術を磨く。

参考文献 : 切っても切ってもプラナリア

プラナリアの形態分化

プラナリアのからだ

前方 後方 右部 左部0℃ 再生しない 再生しない 再生しない 再生しない10℃ 17 16 再生しない 再生しない15℃ 8 8 16 1620℃ 3 5 10 1025℃ 3 4 10 1130℃ 8 9 死滅 死滅35℃ 死滅 死滅 死滅 死滅

ステージ3になるまでにかかった日数 (日)

プラナリアの再生能力

青山ゆう 淺野育美 池澤美季 髙岸佑季

12班

- 45 -

青山ゆう 淺野育美

池澤美季 髙岸佑季

12班 プラナリアの再生能力扁形動物門ウズムシ網ウズムシ目ウズムシ亜目に属する動物の総称。

水質の良い河川池沼に生息する指標生物。

体長5㎜~25㎜。

再生能力が非常に高く、体を切ると個体が再生。

プラナリアとは

飼育温度が高いほど再生期間は短い。

前後に切断した方が

左右に切断した方より再生期間は短い。

仮説

切断後のプラナリアの再生されるまでの期間は何の影響を受けるか?確かめる。

目的

~動 機~以前より、切ると再生するプラナリアに興味を持ち、

川の中に生息するプラナリアの住みやすい温度環境はあるのか。また、実際に飼育する時は何℃に保ち、

再生で増やすには何℃の設定が望ましいか気になった。Ⅰ実験の前に①プラナリアの飼育水を一定に作る。

(人工海水0.005%)

②切断の日を決める。

(5日間絶食させたプラナリアを使う。)

③プラナリアは何℃まで生きられるか?

確かめる。(実験し32℃が限界とわかった。)

前方部と後方部、左部と右部、それぞれ2分の1に切断する。

Ⅱ実験・観察方法実験装置(インキュベーター、保冷庫)に入れ温度を一定に保つ。

保冷庫

インキュベーター

- 46 -

前方部

後方部

*再生の様子*

- 47 -

死滅

温度の違いによる再生の速度

・温度 25℃>20℃>15℃>30℃>10℃

⇒ 温度が高い程再生が速い傾向があるが、高すぎてもよくないことがわかった。

切断の方法による違い

・切断の方法 前方部・後方部 > 右部・左部

⇒ プラナリアを前方部と後方部に切断した方が、右部分と左部分に切断したものより速く再生した。

まとめ

プラナリアが水温30℃以上で死滅したので、25℃以上の川に生息できないと推測。

酵素の働きは温度が上がるほど活性化するのでプラナリア内の酵素も温度が高いほど再生期間も速い。

飼育水温が 再生期間は短い

酵素が活性化する温度には がある

30℃は再生不可能、のちに死滅・・・

「切断面積が小さい」「前方部・後方部の切断は、自然界においての分裂の仕方と同じである」以上より、再生しやすいと推測。

前方部・後方部に切断した方が、右部・左部に切断したより再生期間は短い

再生のステージを外見の再現性から 再生能力を読み取るのではなく、プラナリアの器官に注目して再実験をする。

プラナリアを切断する技術を磨く。

今後の課題

参考文献

「切っても切ってもプラナリア」阿形清和、土橋とし子

「プラナリアの形態分化」 手代木渉、渡辺憲二

「プラナリアのからだ」 森田倫雄

- 48 -

10

(1) 5cm 5cm

(2)

(3)

(4)

(5)

10

(6)

2

(1) 5cm 5cm

(2)

(3)

(4)

(5)

(4)

- 49 -

クマムシは本当に最強なのか

苔の中などにいる小さな生物で緩歩動物に属する。

乾燥した状態になるとクリプトビオシスという無代謝の休眠状態になり、高温から極低温、放射能、更には真空状態にも耐えられるようになる。

このような過酷な状態にさらされた後でも水を与えれば再び動くことができる。

クマムシの生態については、不明な点が多い。

クマムシは生物の中で最強だと言われていることを知り、クマムシがどれ程強いのかを調べる。

クリプトビオシス状態では電子レンジ10分程度は耐えられるのではないか。

必要な材料:顕微鏡、ビーカー、スポイト、ピンセット、シャーレ、苔、水

溝に生えているコケを5cm×5cm程度取る。 ビーカーの中にコケと水を入れよくかき混ぜ、コケのみを取り除く。 取り除いたものをシャーレに移し顕微鏡でクマムシを見つける。 見つけたクマムシをクリプトビオシス状態にする。 クリプトビオシス状態になったクマムシを電子レンジに入れて10分

間加熱する。 加熱し終わったクマムシをクリプトビオシスから元の状態に戻す。元

の状態に戻り、動き出したら生存確認完了。

電子レンジの実験はできなかった。その理由としてクマムシが集まらなかった。また、見つけたクマムシを水に入れ2週間ほど放置しておくと死に、さらに、クリプトビオシス状態にするために水を蒸発させると、死んでしまった。

- 50 -

これほど最強と言われるクマムシがこんなに簡単に死んでしまうことが分かり、本当に最強なのかと思った。

最強だと言われていたクマムシが簡単に死んでしまう理由を探る

Ⅰ.クマムシがクリプトビオシス状態になるには水だけでの蒸発では速度が速く死んでしまったのではないか。→蒸発の速度を遅くする。

Ⅱ.水温が関係していた。

必要な材料:顕微鏡、ビーカー、スポイト、ピンセット、シャーレ、苔、寒天

溝に生えているコケを5cm×5cm程度取る。

ビーカーの中にコケと水を入れよくかき混ぜ、コケのみを取り除く。

取り除いたものをシャーレに移し顕微鏡でクマムシを見つける。

~Ⅰの場合~

見つけたクマムシを水よりも蒸発の速度が遅い寒天に乗せクリプトビオシス状態になるのを待つ。

寒天の上でクリプトビオシス状態になったクマムシを元の状態に戻す。元の状態に戻り、

動き出したら生存確認完了。

寒天の上でクリプトビオシス状態になり、水をかけると元に戻った。

- 51 -

~Ⅱの場合~

クマムシのいる容器に水を入れ、元の水温から徐々に水温を上げていき、観察して死ぬ温度を見る。

◎→活発に動く ○→普通に動く △→動きが鈍る ×→死ぬ

30 35 40 45 50個体A ○ ○ ◎ △ ×個体B ○ ◎ △ × -

クマムシがクリプトビオシス状態になるには仮説に立てたとおり、蒸発の速度を遅くする必要があると考えた。

クマムシはクリプトビオシス状態でない場合、45℃~50℃で死ぬことが分かった。また、35℃~40℃で活発に動くことが分かった。

クマムシはクリプトビオシス状態でなければ、最強とは言えない。

また、今回の実験では個体数が少なく自分たちの中で十分な実験ができないと感じたため、さらに個体数を増やす必要があると感じた。

クマムシ?!小さな怪物 鈴木忠

- 52 -

14班 アリジゴクの研究

上田一郎 松本佑真 木村一智 島野俊佑 田中克雅 南勇銘

1 概要 ウスバカゲロウ クロコウスバカゲロウ

アリジゴクとはウスバカゲロウ科ウスバカゲロウと

いう虫の幼虫である。今回はこの2種類のアリジゴクを

用いて様々な実験を行った。

2 実験目的 アリジゴクは種類によって住む環境、好む環境にどの

ような違いが見られるのかを検証すること。

3 実験 実験①

実験方法

1 プラスチックのカップに2㎝砂を張る。

2 アリジゴクをカップに張った砂に入れる。

3 スタンドにレフランプを取り付け砂の表面から

10㎝の高さに設置する。

4 実験開始時点の砂の温度を計り、レフランプの電

源を入れて1分毎に砂の表面温度を計測した。

5 温度の計測と同時にアリジゴクの熱に対する反

応を観察する。

6 これを10分間行い実験後のアリジゴクの様子

を観察した。

結果

ウスバカゲロウは 30 秒〜3 分前に砂の動きが見

られた。

クロコウスバカゲロウは 10 分間砂の動きが見ら

れなかった。

実験②

実験方法

1 プラスチックのカップに2㎝砂を張る。

2 アリジゴクをカップに張った砂に入れる。

3 カップをスタンドに取り付ける。

4 スタンドにレフランプを取り付け砂の底面か

ら10㎝の高さに設置する。

5 実験開始時点の砂の温度を計り、レフランプの

電源を入れて1分毎に砂の表面温度を計測した。

6 温度の計測と同時にアリジゴクの熱に対する

反応を観察する。

7 これを10分間行い実験後のアリジゴクの様

子を観察した。

結果

ウスバカゲロウは7分を超えた頃から砂の動きが見

られた。

クロコウスバカゲロウは 10 分間加熱しても動きが

見られなかった。

4 考察 ・ウスバカゲロウの実験で砂の動きが見られたのは、ウ

スバカゲロウが温度の低い方へ移動していると考えられ

る。

・クロコウスバカゲロウはウスバカゲロウに比べて熱に

対して高い耐熱性があると考えられる。

5 結論 上記のことから、これか生息環境による違いだと考えら

れる。すなわち、クロコウスバカゲロウは直射日光が当た

り砂の温度が 60℃を超えることもある河原に生息してお

り高い耐熱性を持つ。一方で、ウスバカゲロウは神社や崖

の下などの日陰にある涼しい環境に生息しているため耐

熱性が低い。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 生存状況

28.8 48.5 53.8 56.3 58.9 61 63.9 64.3 65.3 65.7 66.6 其処から7mm16.6 38 46.2 49.5 54.9 56.9 58.8 61.9 63.8 65.4 66.7 少し元気28.8 47.4 50.8 54.6 56.1 59.3 61.9 65 65.3 66.6 67.3 死にかけ27.8 50.4 53.5 57.4 62.5 63.9 65.9 69.7 68.7 69.8 69.7 其処から3mm28.8 45.6 51.6 55.6 57.4 60.4 62.5 64.4 65.6 66.4 67.7 健康18.1 41.6 46.8 49.8 52.6 53.4 54.7 56.2 58.1 58.6 60 健康

27.8 48.3 54.4 56.6 61.1 64.7 65.6 66.7 68 68.9 70.3 健康

ウスバカゲロウ

クロコウスバカゲロウ

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 生存状況

上から 19.7 20.1 19.8 20.4 20.5 21.1 21.8 22.8 23.4 26.8 25.5下から 20.1 37.1 44.7 47.3 56 56.6 57.9 56.3 59.8 63.6 62.6上から 19.9 20.2 20.3 20.3 20.9 21.5 22.8 23.3 24.1 25.5 26.4下から 19.9 40.1 46.2 51.4 54.4 55.7 63.8 64.2 64.6 69.8 69.3上から 15.8 15.5 15.7 15.8 16.8 18.1 20.5 21.6 23.7 25.4 25.9下から 18.1 37.6 43.5 45 52.8 53.4 57.6 59.1 60.5 61.3 62.3上から 22.4 21.4 21.3 20.9 20.8 21 21.9 22.4 23.2 23.4 24.3下から 22.4 36 42.9 46.6 49.1 49.3 52.8 56.8 59.6 60.8 60.8上から 16.9 17.1 17 17.4 18.4 19 20.9 22.3 22.8 24.8 23下から 18.4 33.3 36.4 43.6 46.4 51.3 51.3 53.1 54.1 56.1 57上から 17.2 17.6 17.4 17.4 17.3 20 20.1 21.7 21.8 23.8 23.9下から 16.9 32.6 43.4 46.6 52.9 56.4 55.5 59.4 61 62.6 62.9

すこぶる健康

かろうじて生存

健康

ウスバカゲロウ

クロコウスバカゲロウ

かろうじて生存

かなり上にいた

少し元気

- 53 -

アリジゴクの研究

上田一郎 松本佑真 木村一智 島野俊佑 田中克雅 南勇銘

14班

アリジゴクとは?

アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科の昆虫の幼虫です。

ウスバカゲロウ

神社の軒下や崖の下などの降雨の無い日陰の砂地に生息している。

クロコウスバカゲロウ

直射日光の当たる河原の砂地に生息している。

アリジゴクは種類によって住む環境、好む環境にどのような違いがあるのか。

ウスバカゲロウ :降雨のない日陰の砂地クロコウスバカゲロウ:直射日光の当たる砂地

実験

アリジゴクの熱耐性についての実験

実験(1) レフランプを上から照射

実験(2) レフランプを下から照射

対象として表面に光の当たらない下からライトを当てる実験を行った。

- 54 -

仮説

アリジゴクには高い耐熱性があるのではないか。

実験方法(1)

1 プラスチックのカップに2㎝砂を張る

2 アリジゴクをカップに張った砂に入れる

3 スタンドにレフランプを取り付け砂の表面から10㎝の高さに設置する

4 実験開始時点の砂の温度を計り、レフランプの電源を入れて1分毎に砂の表面温度を計測した。

5 温度の計測と同時にアリジゴクの熱に対する反応を観察する。

6 これを10分管行い実験後のアリジゴクの様子を観察した。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

温度

(℃

時間(分)

ウスバカゲロウ

上から1

上から2

上から3

上から4

結果(1)

砂の動きが見られた

結果(1)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

温度(℃)

時間(分)

クロコウスバカゲロウ

上から1

上から2

上から3

実験方法(2)1 プラスチックのカップに

2㎝砂を張る2 アリジゴクをカップに張った砂に

入れる3 カップをスタンドに取り付ける。4 スタンドにレフランプを取り付け

砂の底面から10㎝の高さに設置する

5 実験開始時点の砂の温度を計り、レフランプの電源を入れて1分毎に砂の表面温度を計測した。

6 温度の計測と同時にアリジゴクの熱に対する反応を観察する。

7 これを10分管行い実験後のアリジゴクの様子を観察した。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

温度(℃)

時間(分)

ウスバカゲロウ

上から1

下から1

上から2

下から2

上から3

下から3

結果(2)

砂の動きが見られた

- 55 -

結果(2)

0

10

20

30

40

50

60

70

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

温度

(℃

時間(分)

クロコウスバカゲロウ

上から1

下から1

上から2

下から2

上から3

下から3

考察

・実験1で砂の動きが見られたのはウスバカゲロウが砂の表面近くから底の方へ移動したためと考えられる。

・実験2で砂の動きが見られたのはウスバカゲロウが温度の低い砂の表面近くに移動したためと考えられる。

・クロコウスバカゲロウの実験はいずれの実験でも砂の動きが見られなかった。それはウスバカゲロウが高い耐熱性を持っているのではないのかと考えられる。

結論

クロコウスバカゲロウは直射日光が当たり砂の温度が高くなる河原に生息しているため耐熱性を持つ。

一方で、ウスバカゲロウは神社や崖の下など日陰で涼しい環境に生息しているため耐熱性が低い。

課題

・実験回数を増やしてデータの信憑性を上げる。

・砂の中の細かい温度、温度変化を調べる。

・整った実験環境の下で実験を行う。

ご清聴ありがとうございました

- 56 -

緑の風について調べる ~ヒートアイランド現象~15班 倉元 村瀬 藤原 吉村

・ヒートアイランド現象とは人口の集中や建物のコンクリート化などの要因から、都市域が高温化する現象のこと。

・研究動機先輩が向島でヒートアイランド現象を調べた際に、温度が低い巨椋池から、温度が高い都市部に向かって風が吹いた。しかしそれは宇治川の流れによる風が原因となったのではないかという疑問がうまれた。そこで、宇治川の流れと逆方向の久御山において観測を行うことで、ヒートアイランド現象によって発生する水田からの風が証明できるのではないかと考えた。

実験Ⅰ ヒートアイランドがつくる風を調べる・桃山高校の草地とコンクリートにてそれぞれ気温、風向を計測する。気球を上げ、

どのような風が吹いているのか調べる。

実験Ⅱ久御山のヒートアイランド現象を調べる

推測涼しい水田から温度の高い久御山AEONの

駐車場に向かって風が吹き込んで、ある高さを越えると上空の風に流されると考えた。

↑京都市内の温度図(遠赤外線ランドサットによる撮影)

←上空から見た巨椋池

↑実験1回目(青矢印) ↑実験2回目(赤矢印)

西

西

涼しい水田、畑から温度の高い工場地帯に向かって風が吹き込んで、ある高さを超えると上空の風に流された。久御山イオンの駐車場で上昇気流を予想していたが、結果は久御山イオンの南側の工場に向かって風が吹いていた。これは工場の屋根がより熱かったからだと考えられる。

これらから久御山でヒートアイランド現象が確認されたので、先輩たちが行われた向島での実験でもヒートアイランド現象の可能性が高いと分かった。

まとめ

←測定の様子

結果Ⅰ

渡り廊下から中庭へ気球を上げた→中庭の日陰付近で下降した。

結果Ⅱ

工場の屋根に飛んでいった。

- 57 -

15班

久御山の

緑の風について調べる

倉元千亜希 村瀬歩実 藤原楓 吉村凪沙

ヒートアイランド現象とは

人口の集中や建物のコンクリート化などの要因から、都市域が高温化する現象。

久御山イオン

向島

久御山

高度角

水平距離

高さ

気球の位置の求め方

実験Ⅰヒートアイランドがつくる風を調べる

桃高の草地とコンクリートにて

それぞれで地面の温度と風向を計測し、気球を上げ、どのような風が吹いているのかを調べる。

結果Ⅰコンクリート 芝生(日向) 芝生(日陰)

地面の温度(℃)

44.1 28.7 25.8

気球の軌跡渡り廊下から中庭のほうへと気球をあげた。

中庭の日陰付近で下降した。中庭から渡り廊下のほうへと気球をあげた。

渡り廊下で上昇した。

- 58 -

実験Ⅱ久御山のヒートアイランド現象を調べる

水田から気球を上げ、都市部で上昇気流が発生しヒートアイランド現象が起こっているかを調べる。

水田

結果Ⅱ

駐車場 畑 水田

気温(℃) 36.8 31.0 30.7

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

0 45 90 135 180 225 270 315 360

標高(m)

風向(deg)

風向畑

-500

-450

-400

-350

-300

-250

-200

-150

-100

-50

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

-300 -270 -240 -210 -180 -150 -120 -90 -60 -30 0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300

Y(m)

X(m)

トラックチャート畑

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

0 45 90 135 180 225 270 315 360

標高(m)

風向(deg)

風向水田

-700

-630

-560

-490

-420

-350

-280

-210

-140

-70

0

70

140

210

280

350

420

490

560

630

700

-500 -450 -400 -350 -300 -250 -200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

Y(

m)

X(m)

トラックチャート水田

- 59 -

温度 (低)温度(高) 温度(高)

観測地

まとめ

久御山ジャンクション付近では巨椋池の水田から、久御山イオン南側の工場へ風が吹いていることが分かった。これは、温度の低い水田から温度の高い都市部へと強い風が吹いているからだと言える。

過去の向島における実験では、水田から向島ニュータウンへの風なのか宇治川の風なのかを特定することはできなかったが、今回の久御山での実験を通して、ヒートアイランドの風である可能性が確認された。

水田

久御山イオン

向島

久御山

ご清聴ありがとうございました。

- 60 -

小さな星をさがして ~夜空の明るさ調査~

岡本 紗耶加 山村 公佑 飯村 太郎 佐竹 太陽 佐々木 優斗 1 はじめに 同じ星空であっても、観測場所や天候等によって夜空の明るさが異なり、その見え方は変化する(図 1)。明るい夜空と暗い夜空では、肉眼で観測できる星の数や色に違いを生じ、結果として天体観測に大きく影響を与えることとなる。 そこで私たちは、月明かりや街明かりが夜空を明る

く照らす影響について調査し、時間的・空間的な変化について、定量的な評価を行った。

(図 1)同じ条件で撮影された京都市の夜空(左)と、木津川市の

夜空(右)。夜空の背景が明るくなることで、星が見えにくくな

っていることがわかる。

2 観測の方法

(図 2)スカイクオリティメーター(SQM)

夜空の明るさ測定には、SQM(Sky Quality Mater)を

使用した(図 2)。これは、夜空の明るさを直接測定できる装置であり、半値幅 10°の領域内における光エネルギーの総量を等級値で測定することができる。

(1)定点観測 桃山高校の屋上に SQM を固定し、9月から 10 月の

約一か月間、一分間隔で測定を行った。 (2)移動観測 快晴かつ月の影響がない日に、京都市から郊外の木津川市まで約 20km、SQM を車に固定し、移動しながら 1秒間隔で測定を行った。

3 結果と考察 (1)定点観測(月明かりによる影響) 図 3は最も暗い日(基準日)と、皆既月食日のデータ

を比較したものである。月食中は最暗日の値とほぼ重なっていることから、月食時以外の時間帯で等級に影響を与えているのは、月明かりのみだと考えられる。

南中時には最大で 4等級の増光に達し、その後徐々に 減光しながらも、明け方まで増光が続くことから、満月は広域的に夜空を照らしていることが分かった。

(図 3)夜空の明るさ(等級)の時間変化

(2)移動観測(街明りによる影響) 測定区間を5km 毎に区切り、測定値のヒストグラムを作成した(図4)。 京都市から離れるに従って、明るい値が減少し、暗い値が増加していることが分かる。 このことから、街から離れるにつれて、街明かりの影響が小さくなり、暗い夜空の割合が大きくなることが分かった。

(図 4)等級値のヒストグラム

4 まとめ 定点観測 ・満月の有無で最大4等級の増光 ・月明かりは広域的に空を照らす 移動観測 ・都心から離れるほど街明かりが減少 ・暗い夜空の見える地域が増加

5 参考文献 ・「光害対策ガイドライン」(環境省) ・「Sky Quality Meter-Lens SQM-LU-DL User manual」 ・「Unihedron Device Manager User manual」 ・「スカイクオリティメーターによる夜空の明るさの長距離測定」 (越智信彰・米子高専) ・「SQM による光害調査ー夜空を見つめ続けてー」 (愛知県立一宮高等学校地学部)

10

12

14

16

18

2019:10 20:50 22:30 0:10 1:50 3:30 5:10

満月南中

皆既月食中

基準日(快晴)

10月8日(晴/一時曇)

時間

等級

明るい値

暗い値

16班

- 61 -

小さな星を探して~夜空の明るさ調査~

16班

岡本紗耶加

山村公佑

飯村太郎

佐々木優斗

佐竹太陽

夜空のバックグラウンドの明るさが異なる

夜空の明るさを決めるもの

月明かり 街灯やビルの照明

研究目的

夜空の明るさに与える影響を調査

星の明るさとは

等級明るさを対数的に表す。値が小さいほど明るい。

1等星

1等星

2等星

5等星 1等級の差≒約2.5倍

SQM(スカイクオリティメーター)

SQM

領域内の明るさ||

夜空の明るさ

20°

場所 等級値(目安)

都市部 16~17郊外 18~19山間部 20~21ケアンズ 20.3完全な暗闇 22.0

夜空の明るさの目安

- 62 -

研究の方法①○定点観測場所:桃山高校屋上観測期間:平成26年9月~10月

天頂方向を1分間隔で測定

センサ

10

12

14

16

18

20 時間

等級

一ヶ月間の観測データ(9~10月)

日や時刻ごとに約5等級の変動

最も暗い日のデータ

15

16

17

18

19

20 8

10

12

14

16

18

19:00 20:40 22:20 0:00 1:40 3:20 5:00 6:40

等級

気温

10月18日(土) 快晴 月齢23.9

放射冷却

月や雲の影響がない基準データ

考察:月明かりの影響

最暗日(基準日)と満月の日を比較

月なし(新月) 月あり(満月)

雲なし(快晴)

10月8日皆既月食

月の出:17時24分南 中:23時53分月 齢:13.9(満月)天 候:晴れ(一時曇)

皆既月食:19時25分~20時25分

皆既月食時と月食後で比較

考察:月明かりの影響10

12

14

16

18

2019:10 20:50 22:30 0:10 1:50 3:30 5:10

満月南中

月明かりの影響は広域的

皆既月食中

基準日(快晴)

10月8日(晴/一時曇)

- 63 -

10月24日天 候:快 晴月 齢:0.2(新月)時 刻:23時頃測定間隔:1秒

桃山高校(京都市)から、南北を走る国道24号線に沿って約20km測定

Google.co.jp

桃山高校

研究の方法②○移動観測

個数

等級

考察:街明かりの影響

月なし(月食中)

・満月の有無で最大-4等級増光・月明かりは広域的に空を照らす

まとめ(月明かりの影響)満月(月食後)

-4等級

まとめ(街明かりの影響)

・都心から離れるほど街明かりが減少・暗い夜空の見える地域が増加

京都市 木津川市京都市 木津川市

参考文献

自宅でのSQM観測にご協力いただきました皆さん。ありがとうございました。

謝辞

・「光害対策ガイドライン」(環境省)・「Sky Quality Meter-Lens USB-Datalogger SQM-LU-DL User manual」・「Unihedron Device Manager User manual」

・「スカイクオリティメーターによる夜空の明るさの長距離測定」(越智信彰・米子高専)

・「SQMによる光害調査ー夜空を見つめ続けてー」(愛知県立一宮高等学校地学部)

- 64 -

○はじめにサリチル酸系の物質が蛍光するということに

興味を持ち、あまり知られていない性質(特に溶液のとき)を解明し、応用方法を探す。

○実験実験(1) 濃度の影響①サリチル酸系蛍光物質を数種類用意した。②濃度別の溶液をつくった。

③紫外線を当て、それぞれの蛍光強度と色を比べた。

実験(1)の結果

写真1のように、濃度によって蛍光強度に差があった。

写真1

実験(2) 溶媒の影響①サリチル酸系蛍光物質を数種類用意した。②溶媒の違う溶液をつくった。

③紫外線を当て、それぞれの蛍光強度と色を比べた。

実験(2)の結果写真2のように、溶媒によって蛍光強度に差がみられた。また色に変化があるものもあった。

実験(3) カイワレを蛍光させる

①新鮮なカイワレと二種類のサリチル酸系の溶液を用意した。②カイワレの根を溶液にひたした。

③紫外線を当て、カイワレが蛍光するかを観察した。

実験(3)の結果写真3のように、カイワレの全体が光った。

実験(4) 蛍光フィルムの作成①CMC糊(洗濯糊)と二種類のサリチル酸系の溶液を用意した。②CMC糊(洗濯糊)に溶液を溶かし、ホットプレートの上で乾かし、フィルムをつくった。

③紫外線を当て、フィルムが蛍光するかを観察した。

実験(4)結果

紫外線を当てると写真4のように、蛍光するフィルムを作成することができた。

写真4

○まとめ◎濃度が高いほど蛍光が強いわけではなく、物質によって適切な濃度があることがわかった。

◎溶媒を変えることによって、色や蛍光の強度に差が出る場合があることがわかった。◎植物が蛍光する様子を観察できた。◎蛍光フィルムの作成に成功した。

○今後の取り組み○蛍光フィルムの具体的な活用方法の検討。○ゾウリムシを光らせてみる。○植物が光る様子を動画に撮り、その過程を調べる。○蛍光の強度を数値化して比べる。○その他応用方法を考える。

サリチル酸系蛍光物質の応用米田 瑠々花 大塚 美南 大橋 美緒

10‐1       10‐2      10‐3     10‐4      10‐5  

[mol/L]  

あ い う え お か き く

<溶媒>あ水 , いDMSOう DMFえメタノールおアセトニトリルかアセトンき CHCIз , く酢酸

A B C

A サリチル酸NaB ナフトサリチル酸NaC 水

写真2

写真3

17班

- 65 -

サリチル酸系蛍光物質の応用米田 瑠々花 大塚 美南 大橋 美緒

研究目的

サリチル酸系の物質が蛍光するということに興味を持ち、あまり知られていない性質(特に溶

液のとき)を解明し、応用方法を探す。

①サリチル酸系蛍光物質の濃度依存性

(あ)サリチル酸ナトリウム(い)ナフトサリチル酸ナトリウム(う )3-フェニルサリチル酸ナトリウム

上記の物質を使ってそれぞれ濃度別の溶液をつくり、蛍光強度や色に違いがあるかを調べる。

仮説

溶液の濃度を高くするほど、蛍光強度は大きくなる。

実験1

UVランプ:365nm照射

10‐1 10‐2    10‐3    10‐4   10‐5   10‐6

[mol/L]

(あ) サリチル酸ナトリウム

UVランプ:365nm照射

10‐1   10‐2     10‐3    10‐4     10‐5  

[mol/L]

(い) ナフトサリチル酸ナトリウム

UVランプ:365nm照射

10‐1 10‐2    10‐3    10‐4   10‐5   10‐6

[mol/L]

(う)3‐フェニルサリチル酸ナトリウム 実験1-① 結果

●物質によってそれぞれ適当な濃度があり、濃度が高いものについては、濃度消光が起こっていると考えられる。

濃度消光とは…

蛍光物質を含んだ溶液が、自分自身で蛍光を吸収する性質をもつことや、隣接する分子間でエネルギーの移動が起きることで、本来のエネルギー全部が外部に出てこないこと。

- 66 -

②サリチル酸系蛍光物質の溶媒による影響

(A)サリチル酸ナトリウム(B)パモ酸2ナトリウム(C)DHTP2ナトリウム

上記の物質を用いて、溶媒による蛍光強度と光の色に変化があるかを調べる。なお、各溶液の濃度は一律1×10‐3 mol/L とした。

実験1

仮説溶媒による蛍光強度の変化はみられるが、光の色に変化はみられない。

水 DMSO

DMF

DMSO

(H体)

酢酸

メタノール

酢酸

エチル

エチグリ

(A)サリチル酸ナトリウム

UVランプ:365nm照射

(え)

水 DMSO

DMF

メタノール

エチグリ

酢酸

DMSO

(H体)

グリセリン

(B)パモ酸ナトリウム

UVランプ:365nm照射

メタノール

水 水 DMSO

DMF

メタノール

酢酸

アセトニトリル

CHClЗ

アセトン

(C)DHTP2ナトリウム

UVランプ:365nm照射

実験1-② 結果

●溶媒によって蛍光強度に差がみられた。また、色の変化がみられるものもあった。

①カイワレの蛍光

カイワレの先をサリチル酸系蛍光物質に浸け、どのように蛍光するかを観察した。また、この実験では

(あ)サリチル酸ナトリウム(い)ナフトサリチル酸

の二つの溶液を使った。

仮説導管だけが光る。

実験2

- 67 -

1時間後

(ぁ) (ぃ)     (水)(ぁ) (ぃ)     (水)

蛍光灯 紫外線ランプ実験2-① 結果

●カイワレの全体が光った。

②蛍光フィルムの作製

CMC糊(洗濯のり)に、DMSOに溶かした蛍光体(あ、い)を混合し、その後ホットプレート上で乾燥させた。

実験2

仮説紫外線を当てると光る。

固体時

制作したフィルム[左] ろ紙[右]

サリチル酸

ナトリウム

ナフトサリチル酸

ナトリウム

蛍光灯 紫外線ランプ

・今回用いた物質には、それぞれ適当な濃度があり、決して濃度の濃いものほど強く蛍光するわけではないとわかった。

・溶媒を変えることで蛍光強度に変化があり、また色も変化することが、目視レベルでも確認することができた。

実験1

実験2

・植物の根を水溶液に浸けることで、植物を光らせることができた。

・CMC糊にサリチル酸系の物質を混ぜ、乾かすことで蛍光するフィルムを作ることに成功した。

まとめ今後の方針…

○溶媒によって蛍光強度が変化するのはなぜかを調べる。

○カイワレ以外の植物で観測してみる。

○蛍光フィルムを発展させ、さらなる応用方法を考える。

○ゾウリムシを蛍光させる。

- 68 -

自然の力を利用した水浄化システムThe water purification system using power of nature

久志本実希 大迫理菜 笹倉直子 出口未菜 本多美優香 吉岡明日香

18班

1.目的水質汚染が問題になっているなかで、できるだけ

化学薬品を使わずに水を綺麗にする

2.予備実験①酸を利用した浄化

①‐1.コーラ+牛乳⇒牛乳に含まれる油脂と

コーラに含まれる黒い色素が分離

①‐2.レモン汁+牛乳⇒牛乳の油脂が分離した。

油分が混じる汚水ならば、⇒「酸を有効活用」すれば

油分を分離させ、取り除くことができそう!

②ゼオライト・竹炭を利用した浄化学校の中庭の池の水を煮沸しその中に

ゼオライト、竹炭を入れて日々の水質の変化をパックテストで測定

0

50

100

150

200

1 2 3 4 5

硬度(

TH)

経過日数/Day

ゼオ硬度

竹炭硬度

7.5

8

8.5

9

9.5

1 2 3

PHの変化

経過日数/Day

ゼオ pH竹炭 pH

図1.硬度比較 図2.pH比較

3.予備実験の結果

図1より)ゼオライトで硬度を低下させることに成功図2より)竹炭でpHを適正化させることに成功

次に、紫外可視分光光度計を用いた実験を実施

①zeoliteや活性炭

をお茶袋に入れて汚水(池の水)に浸し、

②セルに入れて

③UV(紫外可視

分光光度計)

で分析

4.COD結果

図3.紫外可視分光光度計を用いたCOD計測

5.考察

ゼオライトは“CODの低下も実現!”⇒右上の図3参照

Zeolite

blank

Zeolite+竹炭

CODとは

KMnO4(赤色) 汚水(酸化性物質)

竹炭で硬度が低下し、ゼオライトでpHの適正化、CODの低下に成功したが、更に、CODの計測原理から考えて、酸化剤(例えば塩素、H2O2等)を用いれば更に綺麗な水に浄化できるのではないかと考察。

汚水の酸化性物質と反応してKMnO4が減少

⇒赤色が薄まることで計測出来る指標!

6.本実験と結果チューブを2本準備し、①石 ②砂 ③竹炭④ゼオライトを入れ、

更に片方には⑤塩素も

入れる。そして上から水を通し、出てきた水のpH、COD、残留鉄、硬度を測定

塩素ありの方が見事COD、硬度、pHの全てを低下させた!(右図一例)

7.今後

・チューブの装置の改良 (更なる時間短縮化)

・他の方法で浄化 (更なる浄化向上を目指す)

⇒ex. )  お酢(酸)の有効活用

0

50

100

150

200

池の水 塩素なし 塩素あり

硬度

~For the future of the human~

~Our last purpose are able to drink  this water~

Zeolite

竹炭

- 69 -

目的・狙い

大気環境・水質汚染が叫ばれて久しい

【私たちの思い】

飲める(orそれに準じる)水を、化学薬品を使わずにつくりたい

実験1

コーラに牛乳を入れると分離する!⇒水を浄化するヒントになるのでは?

コーラと他の酸(レモン汁)も用いて実験

結果

① コーラ+牛乳で⇒透明な水溶液に変化

【考察】コーラの炭酸(酸性質)が牛乳中に均一に混じっていたタンパク質と反応し、凝集して沈降。その際にコーラの黒い色素も一緒に沈殿。

(黒い色素が分離)

② レモン+牛乳で⇒牛乳に変化

<油分が分離した(“もろもろ”して)>

【考察】檸檬の酸(クエン酸)が、牛乳中に均一に混じっていたタンパク質と反応し凝集。

得られた知見

タンパク質が混じっている(乳化している)

汚水であれば、

“酸”を用いる事でそのタンパク質を分離浄化出来そう

知見1

実験2①冷蔵庫などで匂いを取る

「活性炭」を用いてみる

②多孔質(穴が一杯あいた)zeoliteを用いてみる

③工業的に使われるアルカリ(塩基)を加えて、水酸化物として沈殿させてみる

まずは、①、②で実施することを決断

- 70 -

実験2

夏場に長期に渡り、取ってきた池の水を使い続けるので、細菌類を無くすべく煮沸 その後PackTest実施

・pH、硬度TH等を計測

日々計測し、日数が経てば、活性炭やzeoliteで処理した水がどの様に綺麗に変化するのかを確認していった。

結果(pH)

知見2採取時、pH=9程度とかなり塩基性で

あった池の水も、竹炭で改善

zeolite

竹炭

結果(硬度TH)

知見3

Zeoliteの硬度低下効果は著しい!

竹炭

Zeolite

狙い)有機物や容易に酸化される金属類を正確にCOD計測したい

実験3

同様にzeoliteや活性炭

をお茶袋に入れて汚水(池の水)に浸し、

セルに入れて

UV計測を実施した

結果(COD)

ZeoliteはCODも低下させる!(有機物質も処理可能か?)

知見4 CODとはKMnO4を汚水の酸化性物質と

酸化還元反応させて減少した量を計測する仕組み⇒(減少量が少ないと汚染度は低い)

ならば、少し弱いH2O2で汚水を酸化すれば良いかも⇒H2O2を用いた実験

知見5

実験4

- 71 -

CODとは

知見5

実験4

KMnO4(赤色)

ならば、少し弱いH2O2で汚水を酸化すれば良いと考えた⇒H2O2を用いた実験を実施

汚水(酸化性物質)

汚水の酸化性物質と反応してKMnO4が減少

⇒赤色が薄まることで計測出来る指標!

結果酸化剤のH2O2が残ったのと、泡が発生したため、正確な値が計れなかった・・・

考察ビーカーの底に沈殿が発生

浄化作用がある?

CODの値は変化した

CODを変化させる効果あり!

実験5

チューブに

①石 ②砂

③竹炭 ④ゼオライト

更に片方に⑤塩素を入れる

狙い)今迄の実験を生かし、1つの装置にまとめる

上から水を通し、出てきた水の

pH、COD、残留鉄、硬度を測定

①石

②砂

③炭

④ゼオライト

一方には塩素も入れる

チューブ拡大

チューブ下方

結果 考察・今後の予定鉄:塩素を入れたほうが濃度が高い

⇒pHの値が低かったため

硬度:池の水より低下させることに成功した

⇒ゼオライトと竹炭は塩素にほぼ関係なく働く

COD:“塩素有り”のほうが減少した

⇒塩素で酸化することができた

チューブの装置の改良

他の方法で浄化

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