リアルワールドデータ活用に向けた...
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リアルワールドデータ活用に向けたAMEDの取り組み
MID-NETⓇ運用開始記念シンポジウム:医療リアルワールドデータ活用の幕開け
平成30年2月26日(月)
(別紙3)
正田 卓司
創薬戦略部医薬品等規制科学課
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
基礎研究 応⽤研究 ⾮臨床 臨床研究 /治験 実⽤化
基礎研究から臨床応⽤への研究推進のために…医療に関する研究開発のマネジメント研究開発の基盤整備に対する⽀援臨床研究及び治験データマネジメント産学連携の推進による産業化⽀援国際戦略の推進
「3つのLIFE」を⼤切にした医療分野の研究成果を⼀刻も早く実⽤化し、 患者さんやご家族のもとにお届けすること。
日本医療研究開発機構(AMED)
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平成27年4⽉1⽇設⽴<背景>- ⽇本再興戦略(平成25年6⽉)- 健康医療推進戦略法(平成26年5⽉)- 健康・医療推進戦略推進本部- 健康・医療推進戦略、医療分野研究開発推進計画(平成26年7⽉)
医療分野の研究開発及びその環境整備の実施・助成について中核的な役割を担う機関
○ AMED(⽇本医療研究開発機構)は、国の医療分野の研究費を集約して、基礎から実⽤化まで切れ⽬のない研究⽀援を実施。
○ 関連する研究開発事業を、5つの「横断型」と4つの「疾患領域対応型」の統合プロジェクト等にまとめ、連携させて推進。平成30年度 平成29年度 平成28年度
1266億円 1265億円 1265億円
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AMEDと研究開発プロジェクト
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情報共有(例)• クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)の構築に向け、AMEDで採択した研
究班とPMDA WGとで連携• PMDAが発信する情報を、必要に応じてAMEDからも研究者等へ周知
AMED-PMDA連携協定
リアルワールドデータの重要性
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○ 新しい医薬品、医療機器等の開発に当たっては、世界的にコストが高騰している。特に、医薬品にあっては、タフツ大学の試算によると1新薬当たり$2,558 million(約3,000億円)要するといわれている。(Nov. 18, 2014, Tufts Center for the Study of Drug Development)
○ 近年、疾患登録システムを活用した新たな臨床開発の手法が開発されている。スウェーデンでは、ナショナルレジストリを活用した無作為化比較臨床試験を実施し、1症例当たりのコストを50ドルとした。(Lauer MS, D'Agostino RB Sr. N Engl J Med2013;369:1579-1581.)
○ 医薬品開発には多額の費用を要するが、実臨床を反映したデータの利活用によって大幅な効率化、低コスト化、迅速化が期待される
医薬品産業強化総合戦略~グローバル展開を見据えた創薬~
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医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な総合戦略として「革新的医薬品・医療機器創出のための官民対話」等での関係者の件も踏まえた上で厚生労働省が策定するもの。
H27年9月策定
H29年12月一部改訂
I. イノベーションの推進
(1)日本初のシーズが生まれる研究開発環境の改善
①リアルワールドデータの利活用
・クリニカルイノベーションネットワークの構築、拡充
・MID‐NETの本格運用
・次世代医療基盤法の円滑な施行
AMEDにおけるリアルワールドデータ活用に対する取り組み
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• 医薬品等規制調和・評価研究事業における取り組み
• MID‐NET関連課題
• その他のリアルワールドデータ活用に関するAMEDの取り組み
• クリニカルイノベーションネットワーク
• 診療画像等データベースプラットフォームの構築
• 創薬インフォマティクス事業
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監査室
総務部
産学連携部
戦略推進部
基盤研究事業部
臨床研究・治験基盤事業部
国際事業部
知的財産部
研究公正・法務部
創薬戦略部
経理部
経営企画部
理事
アドバイザリーボード
研究・経営評議会
理事長
革新基盤創成事業部
医薬品等規制科学課
医薬品研究課
創薬企画・評価課
• オールジャパンでの医薬品創出プロジェクトの関係課室の集約・一体化をはかり、AMED全体の創薬シーズの横断的評価や戦略立案を行う体制を構築するため「創薬戦略部」を整備(2017年7月)
• 革新的医薬品、医療機器、再生医療等製品の実用化が迅速かつ安全に図られるよう、「その品質、有効性及び安全性を、科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する研究(レギュラトリーサイエンス研究)」を推進
• 医薬品等規制調和・評価研究事業
創薬支援室
臨床研究・治験基盤事業部 規制科学・臨床研究支援室を再編
日本医療研究開発機構(AMED)の組織体制
医薬品等規制調和・評価研究事業
【目的・概要】• 平成26年11月25日に改正法が施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」では、
革新的な医薬品・医療機器等が安全かつ迅速に国民に提供されるようにするため、添付文書の届出義務の創設、医療機器の登録認証機関による認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件及び期限付承認制度の創設等が内容として盛り込まれている。これらを踏まえ、医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の評価や市販後安全対策の手法を、技術の進歩に合わせて常に検証するとともに、より一層充実させることが求められている。
<革新的な医薬品の実用化>
・ iPS細胞技術を応用した心毒性の医薬品安全性評価法開発研究
・ 日本発核酸医薬品の実用化に必要な評価法開発に関する研究
<安全対策の推進>
・個別化医療の実現に向けた有用なバイオマーカーの開発
<再生医療等製品の実用化>
・ 再生医療等製品の造腫瘍性の安全性評価に関する研究
・革新的医薬品・医療機器・再生医
療等製品について、安全性を確保
しつつ、国民へ迅速に提供
・市販後安全対策の充実強化により、
国民の安全を確保
• レギュラトリーサイエンスを充実・強化するため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性に関する評価法等に関する研究を実施し、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠に基づいた審査指針や基準の策定等につなげる。また、最先端の技術を活用した医薬品、医療機器等に係る評価法についての研究を実施し、世界に先駆けた国際規格・基準の策定の提案等につなげる。
レギュラトリーサイエンス研究の推進
医薬品等規制調和・評価研究事業におけるMID-NET関連研究への支援(平成29年度)
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• MID-NETを用いた医薬品等のベネフィット・リスク評価のためのデータ標準化の普及に関する研究
• 九州大学中島班(H28~30)
• 医薬品等の安全対策のための医療情報データベースの利用拡大に向けた基盤整備に関する研究
• 九州大学康班(H28~30)
• MID-NETデータの特性解析及びデータ抽出条件・解析手法等に関する研究
• PMDA宇山班(H29~31)
○ 新しい医薬品、医療機器等の開発に当たっては、世界的にコストが高騰している。特に、医薬品にあっては、タフツ大学の試算によると1新薬当たり$2,558 million(約3,000億円)要するといわれている。(Nov. 18, 2014, Tufts Center for the Study of Drug Development)
○ 近年、疾患登録システムを活用した新たな臨床開発の手法が開発されている。スウェーデンでは、ナショナルレジストリを活用した無作為化比較臨床試験を実施し、1症例当たりのコストを50ドルとした。(Lauer MS, D'Agostino RB Sr. N Engl J Med 2013;369:1579-1581.)
○ 国内でも、先駆的な取組として国立がん研究センターにおける“Scrum-Japan”及び国立精神・神経医療研究センターにおける“Remudy”がある。
○ 上記以外の各ナショナルセンター(NC)においても、平成26年から疾患登録システムの構築を開始しているところ。
クリニカル・イノベーション・ネットワークの背景クリニカル・イノベーション・ネットワークの背景
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疾患登録システムの活用例疾患登録システムの活用例
○ レジストリの分類 (企業の活用方法として、主に、下記の4つを想定)
A) 市場性調査 : 患者数、地域分布などから、日本での医薬品開発可能性を検討
B) 患者リクルート : 登録された患者を、治験・臨床研究に効率的に組入れ
C) 治験対照群 : 患者自然歴を把握し、治験の対照群として利用(Single Arm試験)
D) 市販後安全性調査: 市販後、副作用の発生状況などを把握
※1 A) 及び B) の目的での運用は既に始まっている。※2 今後、C) 又は D) の目的での運用を目指し、医薬品・医療機器の開発環境整備に
向け、規制当局(医薬局、PMDA)、製薬協等の企業関係者も交え、新たなレジストリを構築・検証を行い、疾患登録システムに関するガイドラインを策定する予定。
B) 治験リクルート
C) 治験対照群として承認申請に活用 D) 市販後安全性調査
A) 市場性調査
非臨床非臨床 Ph1Ph1 Ph2Ph2 Ph3Ph3承認
申請
承認
申請
製造
販売後
製造
販売後再審査再審査
○ 医薬品開発の時間軸とレジストリ
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クリニカル・イノベーション・ネットワークの概要クリニカル・イノベーション・ネットワークの概要
【施策の概要】
○ レギュラトリーサイエンスに基づき疾患登録情報を用いて効率的な治験が実施できる環境を整備することにより、国内外のメーカーによる国内臨床開発を加速し、新薬等の早期開発により国民の健康寿命を延伸する。
○ 日本発製品のアジア地域への国際展開を支援する。
【主要項目】
① 疾患レジストリの利活用による治験・臨床研究の実施
② 疾患レジストリの利活用につながる環境整備
③ その他(産学連携、国際展開等)
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クリニカル・イノベーション・ネットワークの構築(疾患登録情報を活用した臨床開発インフラの整備)
【課題・背景】
・医薬品等の開発費用は、世界的に高騰し、特に我が国は諸外国と比べて開発コストが高い。
・近年、海外では疾患登録情報(リアルワールドデータ)を活用した新たな臨床開発手法が注目を集めている。
【施策の概要】
・疾患登録情報を活用した治験・臨床研究に関するガイドライン等を作成するため、PMDAと密接に連携した検証的治
験・臨床研究を実施する。
・レギュラトリーサイエンスに基づき、疾患登録情報を用いて効率的な治験が実施できる環境を整備することにより、国
内外のメーカーによる国内臨床開発を加速し、新薬等の早期開発により国民の健康寿命を延伸する。
・また、日本発製品のアジア地域への国際展開を支援する。
※ 疾患登録情報を活用した治験・臨床研究等
企業
国内開発の活性化
海外企業の呼び込み
・臨床開発に活用・迅速かつ経済効率的な治験の実施
治験コンソーシアムの形成PMDA AMED
臨床研究中核病院NC(国立高度専門医療研究センター) 等
○ 疾患登録システムの構築及び疾患登録情報を活用した臨床研究・治験の推進
➀ 難病患者登録データベースの構築
➁ 医薬品
➂ 医療機器
➃ 疾患登録システムの利活用支援
○ 規制当局と連携した新しい研究手法の検討
➄ 疾患登録情報を臨床開発に活用する手法の研究
平成30年度 CIN コア事業 (疾患登録情報を活用した治験・臨床研究の推進)
MHLWレジストリの構築・活用
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診療画像等データベースプラットフォームの構築(現状と今後)- ICT技術や人工知能(AI)等による利活用を見据えたインフラの整備 -
効率的な臨床研究・治験への応用
臨床研究中核病院等
理事長:深山 正久病理専門医数:2,300名
日本病理学会
理事長:本田 浩放射線科専門医数:6,300名
日本医学放射線学会
理事長:田尻久雄消化器内視鏡専門医数:16,200名
日本消化器内視鏡学会
理事長:大鹿 哲郎眼科専門医数:10,800名
日本眼科学会(平成29年10月より)
・疾患レジストリとの連携・人材育成・広域連携・分散統合型のプラットフォーム
診療情報患者背景治療内容合併症
AI解析等による診療支援ソフトや診断補助システムの開発
国立情報学研究所 (NII)
AI開発基盤の構築
診療画像等データベースプラットフォームの形成
創薬戦略部 創薬企画・評価課創薬支援インフォマティクスシステム事業(H27~H31)
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製薬事業における様々な不確定要素による中⽌リスク (疾患)⽣物学の理解不⾜ ヒト集団の雑多な遺伝背景と⽣活環境 臨床開発が進み被験者のN数が増⼤するにつれ副作⽤が顕在化=>プロジェクト中断・市場からの撤退
後期になるほど損失(時間&費⽤)莫⼤アカデミア発創薬活動におけるリソース不⾜
Medicinal chemist、薬理技術者不⾜ 試験委託における不便さ スピード不⾜ 最適化が不⼗分なため、開発途上でドロップ
アカデミアの利点 コンピューターパワーは製薬企業を凌駕(京、MD-GRAPE4など) 公的な⽴場であることから、組織間でのPre-competitiveな情報、データ、技術等の共有が可能
アカデミアの利点を⽣かしたスマートな創薬⽀援システムの樹⽴が必要かつ可能
本プロジェクトの全体像
スクリーニングにおける候補化合物の振るい分け
構造最適化における分⼦設計⽀援
量・質共に優れた統合DB ⽴体構造や分⼦シミュレーション オントロジーの利⽤
薬物動態
⼼毒性 肝毒性ポータルサイト
基盤DB
基盤DB
予測システム
予測システム 予測システム
基盤DB
企業連携
DBの連結
様々な連携・協力により革新的創薬の実現へ
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日本医療研究開発機構
・強力なマネジメント・プロジェクトの間の連携・融合・産学連携の推進・国際戦略:競争と協調
アカデミア 産業界
・基礎研究から臨床研究・人材育成
・医薬品・医療機器・再生医療等製品の開発