インテリジェントエンタープライズ の実現に向けて...sap...
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© 2018 SAP SE or an SAP affiliate company. All rights reserved.
インテリジェントエンタープライズの実現に向けて
お客様のビジネス上の優先事項に沿った価値発見から価値実現までのエンドツーエンドのアプローチ
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はじめに 2
I. SAP のビジョン、ミッション、戦略 4
II. インテリジェントスイート 7
III. 生み出される価値 9
IV. 今始めるべき理由 10
V. 企業がとるべきアプローチ 12
VI. デジタル化の実現に向けて SAP とパートナーができること 13
VII. SAP のお客様が実証したビジネス価値 15
VIII. SAP が選ばれる理由 16
目次
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はじめに
消費者主導のデジタルエコノミーの中で、イノベーションは驚くべき速度で進んでいます。かつてない速さで変
化が起こっていますが、その速度は今後ますます加速していくでしょう。デジタルテクノロジーに関して言えば、
企業がテクノロジーを認識するという段階はとうに過ぎています。企業は AI、IoT、クラウド、ロボット化、モバ
イルなどの力をすでに理解しており、ブロックチェーンや拡張現実を導入する企業も登場し始めています。
CEO らは今、以下の 3 つの側面でビジネスが大きく変わると考えています。
1. 総合的なカスタマーエクスペリエンスの推進 – 最初の接触からフルフィルメント、アフターサービスまでの
エンドツーエンドのプロセスが再創造されます。場合によっては、製品やサービスのデジタル化や、ビジネ
スモデルの完全な再創造が必要になります。
2. 生産性の変革 – デジタルテクノロジーを組み合わせることで、企業は生産性を 15 ~ 20% 向上できま
す1。これにより、業界全体でバリューチェーンのコスト構造と利潤モデルが一変します。
3. 働き方改革と従業員エンゲージメントの向上 – タッチレスシステムや自動プロセスなどのテクノロジーは
今後当たり前になるでしょう。これらのテクノロジーによって人間の能力が補強されることで、従業員は付
加価値のある仕事に集中し、例外に対処できるようになります。
しかし、経営幹部はデジタル変革をどのように実現すればよいのか不安を抱えています。デジタル変革を早期に導
入した企業は、デジタルに関する自社の目標3と変革に伴う複雑さを把握できず、変革の実現に苦心しています。一
方、SAP を活用して変革に成功している企業はどこも共通して、以下に挙げる 5 点の実現に重点を置いています。
1. エンドツーエンドのメガプロセスを再創造する。たとえば、カスタマーエクスペリエンスとは単なるオムニチャネルの
ことではなく、バリューチェーン全体を調整して最適なカスタマーエクスペリエンスを提供することを指します。
2. データと AI 技術を活用してエンタープライズインテリジェンスを強化する。
3. 業界のバリューチェーンをつなぐことで世界経済をリアルタイムに動かす。たとえば、エンドツーエンドの業界ベス
トプラクティス、デジタルテクノロジー、SAP HANA を活用してリアルタイムビジネスを実現します。
4. IT の運用モデルをシンプル化して複雑さに対処する。ビジネス上の優先事項と顧客第一の理念に沿った明確
な IT 戦略に重点を置きます。
5. クラウドに移行することでイノベーションを加速する。
こうしたイノベーションはすべてデータに支えられており、イノベーションを実現するた
めの適切なインテリジェンスが必要になります。私たちは今、インテリジェントなメガ
プロセスの時代に突入しようとしています。このプロセスは、適切なデータセットを組
み合わせてインテリジェントなインサイトに変換することから始まります。このインサイ
トに基づきプロセス全体で自動トランザクションが実行されます。デジタル変革の実
現を進めているトップ企業は、データとインテリジェンスを将来の戦略の中心に据え
ています。そして、新しい能力、スキル、テクノロジーを構築し、自社の文化を進化さ
せることで「インテリジェントエンタープライズ」に生まれ変わり、前述の成果を達成し
ようとしています。また、こうした企業は株主に短期的な価値を提供するだけでなく、
業界の繁栄と変革を目指しています。
デジタル変革に早期に取り組んだ企業
10 社中 8 社が
失敗2
1- Mckinsey 社、「Industry 4.0 demystified—lean’s next level(Industry 4.0 の解説—リーンの次なる段階へ)」2- Forbes 社、「Why 84% Digital Transformation Fail?(なぜデジタル変革の 84% が失敗するのか?)」3- Gartner 社
2
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はじめに
2010 年以降、SAP はお客様のデジタル変革を支援するためにソリューションポートフォリオを大幅に変
更してきました。データ中心のインテリジェンスプラットフォームである SAP HANA の構築に 350 億ドル
を投資し、最高品質の業務別クラウドソリューションを手に入れました。そして 2018 年、SAP はインテリ
ジェントエンタープライズのために SAP のフレームワークを利用してこれらすべてを 1 つにまとめます。
SAP は過去 10 年間の投資を通じて、お客様がデジタルの嵐を切り抜け、「成功する企業」になるのをご
支援できるようになりました。このドキュメントでは、SAP がソリューションとサービスにどのように投資して
いるのか、またお客様のデジタル変革の実現(価値発見から価値実現まで)をどうサポートできるのかに
ついて詳しく説明します。SAP が目指しているのは、変革実現までのリスクと中断を最小限に抑えながら、
大きなビジネス価値を提供することです。
スピードの重要性…. いち早く変革に乗り出す企業は優位に立
つことができます。それは、より多くのデータとインテリジェンス
によってプロセスの改善を繰り返すことができるためです。競
合他社はこのような企業に追いつくことで精一杯です。ほとん
どの企業はエンドツーエンドのソリューションやテクノロジース
タックが実証されるのを待たずに、変革を段階的に導入しようと
しています。デジタル変革の実現には時間がかかるため、開始
するのが早ければ早いほどデジタルエコノミーを勝ち抜ける可
能性が高くなります。
変革はやらなければならないときではなく、できるときに行う。
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46 年間にわたり、SAP は 25 の業種と 7 つの業務の業績管理で市場をリードしてきました。
しかし、過去の実績が明日の成功につながるとは限りません。SAP には、お客様のデジタル変革の実現をサポー
トする務めがあるのです。
2010 年、SAP はビジョンとミッションを一新しました。
I . S A P のビジョン、ミッション、戦略
SAP のビジョンは、「より良い世界の実現」に貢献し、人々の生活をより豊かなものにすることです。
SAP のミッションは、「成功する企業」になれるよう、すべてのお客様を支援することです。
SAP は世界で最も高度なテクノロジーを組み合わせてビジネスの問題を解決することに力を注いでおり、それ
は今後も変わりません。将来に目を向けたとき、SAP はイノベーションの主な柱がリアルタイムのデータとイン
テリジェンスによってもたらされることに気付き、SAP HANA を発表しました。また、将来クラウドが消費モデル
の大半を占めると予想していたため、クラウドに本格的に参入し、ビジネス同士をつなぎ、企業が人材やカスタ
マーエクスペリエンスを管理する方法を改善してきました。
4
世界中の取引の 76% 以上が
SAP のテクノロジーとソリューショ
ンを利用して行われている
1.9 兆ドルが SAP のビジネスネットワーク上で動いている
180 の国々で 1.5 億人の
クラウドユーザーが SAP のソリューションを活用している
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I . S A P のビジョン、ミッシ ョン、戦略
2018 年、SAP はインテリジェントエンタープライズのための SAP のフレームワークを利用してこれらすべてを
1 つにまとめようとしています。このフレームワークは、アプリケーションのインテリジェントスイート、SAP CloudPlatform と SAP HANA Data Management Suite によるデジタルプラットフォーム、そして SAP Leonardo に
よるインテリジェントテクノロジーを含む最も包括的なポートフォリオとなっています。SAP は、このフレームワー
クがデジタルビジネスにおける真の道しるべであると信じています。このインテリジェントエンタープライズに
よって、SAP はお客様がイノベーションを実現し、以下のビジネス成果を達成できるようにサポートします。
• トップレベルのカスタマーエクスペリエンスを提供し、ビジネスモデルを再創造する
• 業界のバリューチェーンをリアルタイムに管理して生産性の変革を促進する
• 従業員がデジタルテクノロジーを活用できるようサポートし、価値創出を促進する
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I . S A P のビジョン、ミッシ ョン、戦略
SAP の 40 年にわたる経験を活かし、すべての SAP ソリューションを SAP HANA を基
盤とするリアルタイムのクラウドベースデータ管理プラットフォームに移行します。
SAP S/4HANA により、すべての業種でプロセスを再設計し、新しいビジネスモデル(新業種への移行や成果に基づくビジネスモデルなど)を実現して大きなビジネス価値を創出します。
フロントオフィスからサプライチェーンとロジスティクス、フルフィルメントに至るまで、総合的なカスタマーエクスペリエンスを提供します。
SAP のソリューションに AI 技術や自然言語、
次世代の自動化を組み込み、人間とシステムの対話方法を大きく変えていきます。
SAP はイノベーションの迅速な実現と 20 ~30% の TCO 削減を目指してクラウドへの移行を進めます。
結局のところ、どんなに優れたビジョンや戦略があっても、実現できなければ世界を変えることはできません。SAPはビジョンや戦略を持つだけでなく、行動によってそれらを後押ししています。インテリジェントエンタープライズ
を実現する SAP のフレームワークの詳細については、こちらをご覧ください。
プライバシーとサイバーセキュリティに重点を置いてすべてのプロセスとテクノロジーを構築します。信頼は、お客様とビジネスデータを保護する SAP のすべての取り組みの
要です。
次世代のデータ管理およびクラウドプラットフォームを提供していきます。SAP DataHub を利用するとデータソース全体でオー
ケストレーションとメタデータ管理を行えるよ う に な り ま す 。 ま た 、 SAP CloudPlatform は API とマイクロサービスを通
じてイノベーションを実現するオープンプラットフォームを提供します。
インテリジェントなアプリケーション、テクノロジー、業界最先端のイノベーションサービスが詰まった SAP Leonardo のツール
ボックスを利用して、お客様は自社に適したデジタルテクノロジーを試験的に導入することができます。また、SAP Leonardoは、新しいレベルのインテリジェンスを推進する SAP の基幹アプリケーションにも組み込まれています。
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I I . インテリジェントスイート
SAP は、サイロ化された CRM、サプライチェーン、HR アプリケーションでは、それぞれがどんなに優れたも
のであっても、お客様のビジネス上の優先事項を実現できないと考えています。お客様に必要なのは強力な
アプリケーションスイート、データ中心のプラットフォーム、そして機械学習、IoT、アナリティクスといった、プロ
セスをエンドツーエンドに調整するためのテクノロジーです。
そのためにご提供するのがこのインテリジェントスイートです。SAP はインテリジェントスイートの中心となる
のが、世界で最も高度な ERP システムであるデジタルコア SAP S/4HANA であると考えています。このデ
ジタルコアは、インテリジェントスイートのほかの柱であるカスタマーエクスペリエンス、製造およびサプライ
チェーン、人材エンゲージメント、ネットワークおよび支出管理によって大きく強化され、お客様のビジネス上
の優先事項を確実に実現します。経営幹部は SAP Digital Boardroom を利用することで、以前はサイロ化
されていた部門のデータを利用してビジネスをリアルタイムに管理できます。
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I I . インテリジェントスイート
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SAP のフロントオフィス向けクラウドベースソ
リューションの SAP® C/4HANA を利用すれば、
顧客を深く理解し、顧客のニーズを予測してプロ
アクティブに対応し、パーソナライズされた、ほか
にはない優れたカスタマーエクスペリエンスを提
供できるようになります。
出張、経費、請求書の管理がシンプルになりま
す。世界最大のビジネスネットワーク上で仕入れ
先選定、購買、支払を実行できます。優れた可視
性、人材育成、コスト管理、リスクの低減を実現
するために、外部要員を管理し、エンゲージメン
トを高めることができます。SAP のビジネスネット
ワーク – SAP Ariba®、SAP Fieldglass®、SAPConcur®
企業は SAP の製造およびサプライチェーンポー
トフォリオを利用して、ミッションクリティカルな製
造とサプライチェーンのプロセス全体をデジタル
化できます。また IoT とデジタルツインの機能を
利用することで、拡張サプライチェーンをリアルタ
イムに管理できるようになります。
SAP SuccessFactors® と SAP Fieldglass®、
そして SAP Fiori® を利用することで、従業員全
体のエンゲージメントを高め、仕事のやり方をシ
ンプルにして、生産性とイノベーションを促進でき
ます。
SAP Digital Boardroom によりリアルタイムの経営が可能になります。経営幹部は組
織全体のデータと情報にリアルタイムにアクセスし、変更の影響をシミュレーションし、意
思決定をすばやく行えるようになります。
カスタマーエクスペリエンス
ネットワークおよび支出管理 人材エンゲージメント
製造およびサプライチェーン
SAP S/4HANA は 25 の業種のあらゆる組織でご利用いただけるインテリジェント ERPです。
• シンプルなアーキテクチャーでリアルタイムデータをインテリジェントなインサイトに変換し、スマートで迅速な意思決定をサポートします。
• 音声による操作、コンテキスト認識、ビジネスに精通したデジタルアシスタントなど、デジタル時代のユーザーエクスペリエンスを提供します。
• AI 技術、自然言語、予測分析によるインテリジェンスや学習機能によって、主要なプ
ロセスの自動化が可能になります。
• 次世代のプロセスは、テクノロジーやイノベーションを活用することでビジネスの運用方法を刷新するきっかけとなります。
• 業種の区別があいまいになる中、たとえば業界のベストプラクティスを利用して新しいビジネスモデルを実現できます。
SAP S/4HANA Cloud の各リリースでは機能が 20% 追加されます。
デジタルコア
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遅かれ早かれ、すべての企業がビジネスモデル、ビジネスプロセス、仕事の仕方を再創造するという
避けられない課題に直面することになります。既存のエンタープライズシステムでは、このようなイノ
ベーションを推進し、次のレベルのカスタマーエクスペリエンスや生産性の実現をサポートする機能
は提供できません。一方、SAP のソリューションは導入の初期効果が非常に大きく、業界のコスト構
造や他社との競争への影響も無視できないものがあります。以下にソートリーダーや SAP のお客様
から期待されている戦略的かつ具体的な成果をいくつかご紹介します。1、2、3、4
I I I .生み出される価値
これだけの規模の成長と削減はすべての業種、すべてのバリューチェーン、すべての市場に大きな影響を及ぼ
します。先行企業は業界内およびエコシステム内で自社の立場を固め、イノベーションに重点を置くことでさらに
リードを広げるなど、大きなメリットが得られます。そして出遅れた企業は大きく後れをとることになります。
新たな市場にすばやく参入する能力
ほかの業種のベストプラクティスを活用して新たなビジネスモデルを実現(ハイテク業界が通信業界の請求処理を採り入れて従量制の価格設定を実現するなど)
5 ~ 10% 収益の成長率
20 ~ 50% 市場投入までの期間削減率
反復作業を大幅に削減
パーソナライズされたダッシュボード、自然言語処理、自動化されたワークフローによって従業員のエクスペリエンスを改善
10% 安全に関する事故の削減率
8 ~ 10% 排出量の削減率
10 ~ 40%メンテナンスコストの削減率
30 ~ 50%機械のダウンタイムの削減率
20 ~ 50%在庫維持コストの削減率
25 ~ 50%シェアードサービスの生産性の改善率
カスタマーエクスペリエンスの促進
生産性の変革 従業員のエンゲージメント
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1- Mckinsey 社(Digital Quotient)2- Mckinsey 社(Industry 4.0)3- WEF/AT Kearney 社4- SAP リファレンス
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I V. 今始めるべき理由
デジタル変革に乗り出そうとしている企業は、今後直面する課題を甘く見てはいけません。
イノベーションの文化
デジタル変革とは、いわば目的地のない旅路です。企業は適切な人材、スキル、パートナー
シップを構築して、デジタル化によってもたらされる機会を利用する必要があります。
会社の贅肉
会社の歴史が長いほどポリシー、手順、管理層、リスク回避の方法などが積み重なってい
きます。そして会社独自のプロセスは変化の妨げとなります。
複雑な IT インフラ
収益 10 億ドルあたり 30 以上のアプリケーションを利用している平均的な企業3の場合、IT 予
算の 70 ~ 80% が事業の継続に費やされています。そのため、データを戦略的資産として管
理し、断片化したポートフォリオ全体にマスターデータガバナンスを適用することは容易ではあ
りません。これはつまり、企業が利用可能なデータの 1% も使用できておらず、大きな潜在的
価値が手付かずのままであることを意味しています4。また、経営幹部はすばやい軌道修正に
必要な業務実績や財務実績の可視化ができていません。
3- SAP Performance Benchmarking4 – Mckinsey 社、「Creating a successful Internet of Things data marketplace(成功する IoT データ市場の創造)」
運用とイノベーション
経営幹部は、利益性の高い現在のビジネスを維持することと将来のイノベーションへの投
資をバランスよく両立するために苦心しています。この 2 つの目標は相反することが非常に
多く、ほとんどの経営幹部が前者にのみ重点を置き、後者を無視するという過ちを犯します。
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I V . 今始めるべき理由
問題は複雑であり、解決するには姿勢やマインドセットを変える必要があり、時間もかかります。今すぐ変革を
始める企業は、より長い時間をかけてそれぞれのペースで課題に対処できます。
現在の変化のスピードを考えると、個々のデジタルイノベーションは短命なはずです。現在は画期的な技術で
あっても、数年後には当たり前になるでしょう。そのため、重要なのはイノベーションに必要なソリューションスタッ
クやテクノロジーが実証されるのを待つのではなく、今すぐ革新に取りかかり、基盤を構築し、価値を段階的に実
現することです。
成功する企業に必要なこと:
戦略的優先事項に沿ったエンドツーエンドのメガプロセスをじっくり考える
将来のエンタープライズアーキテクチャーとパートナーシップの明確な方向性を持つ
価値が証明されるのを待つのではなく、デジタルテクノロジーによるイノベーションに必要なスピードと俊
敏性について考える
SAP はイノベーションに対するデザインシンキング主導のアプローチと多数の成熟したソリューションを強みと
して、企業がデジタル変革を実現して、インテリジェントエンタープライズに移行するのをご支援します。AI 技術
への投資と SAP HANA プラットフォームにより、インテリジェントスイートに組み込まれるインテリジェントアプ
リケーションの数が今後数年間で飛躍的に増える予定です。このような新しいイノベーションはクラウドを通じて
いつでも利用できますが、今すぐにでも最新の基盤を整えることで、はるかに迅速に価値を実現できます。
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V. 企業がとるべきアプローチ
ビジネス上の優先事項により企業のランドスケープや重点の置き方はさまざまに異なり、どの企業もシステム
を進んで入れ替えようとはしません。また、どの企業も価値を実現する必要があります。インテリジェントエン
タープライズへの移行は、技術的なアップグレードを行えばいいというものではありません。真の価値を実現
できるのは、顧客を第一とする目的重視のマインドセットを導入し、デザインシンキングやアジャイル方法論な
どの革新的アプローチを利用してビジネスプロセスやビジネスモデルを再創造する企業です。
SAP の経験では、企業がインテリジェントエンタープライズに移行する方法は 3 つありますが、1 つの共通点
があります。それは無駄のないエンタープライズアーキテクチャーです。つまり、低コストかつデータ主導であり、
最終的には新たなデジタルエコノミーで俊敏性を発揮するアーキテクチャーです。自社にとって最適な方法は、
価値と戦略的な連携に基づいて決まります。そこに辿り着く方法は 1 つではありませんが、先行企業は次のよ
うなシナリオで成功を見出しています。
ビジネスプロセスの再創造:
多くの企業がエンドツーエンドのビジネスプロセス変革(サプライチェーンや調達など)、ランドスケープの
シンプル化、カスタマイズの削減に重点を置いています。目標は、全面的な変革を念頭に置いてコア
ERP プロセスを SAP S/4HANA とクラウド/業務別ソリューションに移行することです。また、カスタマー
エクスペリエンスに真剣に取り組むためにフロントオフィスやサプライチェーンなどを変更したいと考えて
いるほか、バリューチェーン全体で次世代のプロセスを促進しようとしています。そのためには、革新的
な新しいアプローチに加え、SAP S/4HANA の標準的なベストプラクティスのうちどれが自社のビジネス
要件に合うのかを入念に確認する必要があります。先行企業は自社の ERP をプライベートクラウドまた
はパブリッククラウド環境に移行する準備ができています。ビジネスプロセス全体にわたる大掛かりな取
り組みですが、新たなプラクティスを導入することで 20 ~ 30% の TCO 削減、多大なビジネス価値など
の成果を上げています。
ビジネスモデルの再創造:
ビジネスモデルのイノベーションや M&A に目を向け、1 つのパッケージで多くの業種別ソリューションを
利用できるというメリットを活かしている企業もあります。業種の境界があいまいになる中、ある業種のビ
ジネス機能を別の業種の新たなビジネスモデルに活用できるというのは非常に有益です(小売業の機
能を通信業に活用するなど)。そのためには革新的な新しいアプローチが必要です。
業務別クラウドソリューションからトップレベルのクラウドソリューションへの移行に着手:
SAP S/4HANA への移行の計画や実施と平行して、最先端のイノベーションに着手している企業もあり
ます。これらの企業は必要に応じて単独の業務別ソリューション(人事、調達、サプライチェーン、製造)
を利用し、ECC と業務別クラウドポートフォリオを組み合わせて短期的な価値を実現することに重点を
置いています。このような企業は SAP S/4HANA にいったん移行してしまえば、最新の革新的なエンド
ツーエンドソリューションのメリットを完全に享受できます。
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SAP はすべてのお客様が「成功する企業」になることを望んでいます。これを実現するために、お客様は現在
のアーキテクチャーから新しいデジタル対応の環境へと移行する必要があります。多くの企業はかなりの量の
カスタマイズを行っており、同じ方法で導入することはできません。このことを念頭に置き、SAP はデジタルコア
としての SAP S/4HANA への移行を含め、お客様がインテリジェントエンタープライズへの道のりを加速できる
よう以下のものを提供します。
V I . デジタル化の実現に向けて S A P とパートナーが
できること
価値中心の方法論とロードマップ
この方法論は、SAP S/4HANA をデジタルコアとしてインテリジェントエンタープライズに移行すること、および
その方法についての強力な論理的根拠となります。この方法論は 3 段階のアプローチがベースとなります。
1. お客様のビジネス上の優先事項に基づくビジネスケース、アーキテクチャー、ソリューションに関する推奨
事項。デザインシンキングを用いて実現可能な技術を想定
2. 推奨事項に基づく実行可能な導入計画
3. 価値の実現
業種別の製品バンドル
お客様のビジネス上の優先事項に沿った業種別ソリューションをご利用いただけるようになりました。たとえば
以下の業種が含まれています。
食品・消費財
• SAP S/4HANA および SAP C/4HANA ソリューションを利用してトレードプロモーション計画からインテリ
ジェントなマーケティングまでを統合することで、マーケティング ROI と収益を拡大します。
• リアルタイムのシミュレーションプランニングを行い、SAP S/4HANA、SAP Integrated Business Planning、SAP Ariba を統合してサプライヤーと強固に連携することで、在庫回転率を最適化します。
プロフェッショナルサービス
• 顧客や見込み客との関係を十分に把握し、クライアントのデジタルなやり取りを把握した上でインテリジェン
トなマーケティングを行います。最終的には、SAP S/4HANA および SAP C/4HANA ソリューションを利用
して効率的なデジタルサービス販売を実現します。
• クライアントの需要管理、需要と供給のバランス調整、そして SAP S/4HANA、SAP Concur、SAPAnalytics Cloud の統合による利益率に優れたサービス提供など、サービス提供のエンドツーエンドのライ
フサイクルを管理します。
• SAP S/4HANA、SAP Fieldglass、SAP SuccessFactors の統合により、利用可能な人材(社内および社
外)を活用してクライアントの需要のバランスを調整します。
これらは、シンプル化された製品バンドルによって提供されるエンドツーエンドのビジネスシナリオのほんの一
例です。
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また、SAP はお客様がソフトウェアの導入方法に選択肢があることを望んでおり、カスタマイズやクラウドへの
移行に苦心していることも理解しています。このことを念頭に置き、お客様がインテリジェントスイートの導入方
法をパーソナライズできる SAP HANA Enterprise Cloud, enhanced edition のリリースも予定しています。
そして SAP はコントロールタワーを運用します。これは、最新のテクノロジーを利用してお客様を現在の状態
からイノベーションの取り組みを進められる状態へと導くコンシェルジュレベルのマネージドサービスです。
SAP が目指しているのは、変革実現までのリスクと中断を最小限に抑えながら、大きなビジネス価値を提供す
ることです。上に述べたエンドツーエンドのアプローチを利用し、SAP と SAP のパートナーは、すべてのお客
様がインテリジェントエンタープライズを実現できるよう取り組んでいます。
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専用のツールとコンテンツを利用して ROI を迅速化
SAP および SAP のパートナーは、専用のツールとコンテンツを利用してお客様の導入と ROI を迅速化し、導
入の成功を支援することに専心しています。
1. SAP デリバリーアクセラレータとツールをパートナーに向けて提供する予定です。
2. アクセラレータとツールの機能強化のロードマップは第 3 四半期に公開されます。
3. 導入の総コストをさらに削減する新たなツールの発表に向けて、追加のデリバリーアクセラレータに投資し
ます。
利用できるツールとコンテンツの詳細については、こちらをクリックしてください。
この新しいエンドツーエンドのアプローチは、お客様がビジネス価値を理解し、インテリジェントエンタープライ
ズによって価値を実現できるよう、お客様とのコラボレーション型プロセスから始まります。
しかし、これを実現するには SAP パートナーエコシステムとの強力なコラボレーションが必要です。SAP のお
客様が利用している ERP 本稼動システムは 5 万台以上に上ります。そのため SAP が単独でこのアプローチ
を実現することはできず、パートナーの協力が必要になります。
SAP は、17 社の世界的な戦略サービスパートナーとともに、ビジネス価値中心の方法論とロードマップの提
示、ビジネスケースの確立、導入プロセスの最適化による迅速な ROI 達成などに取り組んでいます。
V I . デジタル化の実現に向けて S A P とパートナーができること
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Katerra 社は、半分の時間とコストで建設できるリーズ
ナブルなハウジングプロジェクトを構築することで、建設業界に革命を起こしています。同社は世界中に広がる自社の垂直統合バリューチェーンを SAP S/4HANA で管理しています。Katerra 社は IoT ネットワークを活用
して各プロジェクトに関わった人材を追跡し、リアルタイム分析を実行して各プロジェクトのパフォーマンスを追跡しています。
ビデオを見る(英語)
Katerra 社カスタマーエクスペリエンス
Hoerbiger 社は成果ベースのビジネスモデルへと移行中です。同社は SAP ソリューションを活用して圧縮システムの
稼動状態と稼動時間をリアルタイム追跡しています。マシンが停止した場合には、メンテナンスチケットが自動的に発行され、適切な技術者に割り当てられます。稼動時間の情報を利用して従量制の請求を行っています。
ビデオを見る(英語)
Hoerbiger 社カスタマーエクスペリエンス
SAP S/4HANA Sales を利用してディーラーからの予測を主なサプライヤーと製造業者に効率的に流すことで、Indus Motor 社は業務効率と品質管理を改善しました。さ
らにリアルタイム分析によって生産プロセスをより効果的に監視し、すばやく対応できるようになりました。
• 欠陥品を 20% 削減
• 販売予測を 10% 強化
ビデオを見る(英語)
Indus Motor 社生産性の変革
Colgate-Palmolive 社では事業計画策定をシンプル
かつ迅速に行い、経営幹部がビジネスの状況をリアルタイムに分析できるようになりました。また、ユーザーフレンドリーなソリューションのおかげで従業員への定着率が向上し、結果的に Colgate-Palmolive 社のすべての収益を統合された SAP ソリューションで管理でき
るようになりました。同社はデジタルコアをシンプル化したことで、より多くの時間を新たな成長機会の探求に費やせるようになりました。
ビデオを見る(英語)
Colgate-Palmolive 社従業員のエンゲージメント
MOD Pizza 社は、クラウドアプリケーションを使用して自社
のコアビジネスを積極的に成長させることに注力しています。3 桁成長に対応し、毎週 200 から 300 人に上る新たな従業員を管理するために、同社は SAP ソリューションを利用しています。MOD Pizza 社は今後 3 年で 40 万ドル節約
できると予測しており、その分を店舗の拡大に充てる予定です。
ビデオを見る(英語)
MOD Pizza 社従業員のエンゲージメント
NGN 社は SAP S/4HANA と SAP Digital Boardroomを利用してデジタルオペレーションルームを作りました。単一の S/4 インスタンス上に 150 のシステムを統合することで顧客のパフォーマンス指標、接続指標、メンテナンス指標を追跡して視覚化し、ドリルダウンしてビジネス上の意思決定に役立つ関連インサイトを取得できるようになりました。また、コンテキストデータ(マップ上に視覚化されたクレームステータスなど)で業務をリアルタイム化し、意思決定をすばやく行えるようになりました。
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Northern Gas Networks 社生産性の変革
V I I . S A P のお客様が実証した
ビジネス価値
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• 25 業種にわたるミッションクリティカルなプロセスのサポートにおける 46 年以上の経験
• さまざまなカテゴリー(ERP、ビジネスネットワーク、総合要員管理、B2B e-コマース、マーケ
ティング、サプライチェーン、アナリティクスなど)におけるトップリーダー
• 最速で成長した最大のクラウドアプリケーションポートフォリオ。各業務部門向けとデジタルコアを含む 100 以上のソリューション
• 統合されたエンドツーエンドのソリューションポートフォリオと導入方法の選択肢(クラウド/ハイブリッド/オンプレミス)
• 17,000 社以上の強力なパートナーエコシステム(大手システムインテグレーター、Google、Apple、Siemens など)によるソリューションの提供とイノベーションの促進
• SAP HANA。市場をリードするリアルタイムコンピューティング向けプラットフォーム
市場リーダー イノベーションを促進
• 市場をリードする SAP Cloud Platform。独自の
インメモリーデータ管理に加え、機械学習、ビッグデータ、IoT を使用したビジネスサービスによ
り、革新的なソリューションを構築し、拡張するお客様を支援するオープン PaaS (Platform-as-a-Service)
• SAP Leonardo。業種ごとにパッケージされたソ
リューションとサービスの包括的なポートフォリオ。デザインシンキングサービスを使用して機械学習、IoT、ブロックチェーン、アナリティクス、ビッグデータを統合
• デザインシンキングを積極的に取り入れて顧客のイノベーションの促進を支援した最初のテクノロジー企業の 1 つ
• 中断を最小限に抑えながらエンタープライズアプリケーションに新しいテクノロジー(機械学習、ブロックチェーン、デジタルアシスタントなど)を導入
• イノベーションを加速し、速やかに拡張できるパッケージ化されたソリューションとサービス
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