コーポレートベンチャリング ~将来への企業成長を担う...

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VEC創立40周年記念祝賀会兼2015年度ベンチャー白書発表会 2015 12 3 石井正純 Managing Director - AZCA, Inc. 企業成長のための コーポレートベンチャリング ~シリコンバレーからの視点~

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Page 1: コーポレートベンチャリング ~将来への企業成長を担う ......VEC創立40周年記念祝賀会兼2015年度ベンチャー白書発表会 2015年12月3日 石井正純

VEC創立40周年記念祝賀会兼2015年度ベンチャー白書発表会

2015年12月3日

石井正純Managing Director -AZCA, Inc.

企業成長のためのコーポレートベンチャリング~シリコンバレーからの視点~

Page 2: コーポレートベンチャリング ~将来への企業成長を担う ......VEC創立40周年記念祝賀会兼2015年度ベンチャー白書発表会 2015年12月3日 石井正純

自己紹介

東京大学工学部(計数工学科)、スタンフォード大学大学院 (Computer Science)

日本IBMにてシステム開発、システムズエンジニアリング

30年にわたる経営コンサルティング(McKinsey & Co.にて日米欧のクライエントに対してグローバル戦略の支援、AZCAにて日米ハイテク企業の新規事業開発支援)

15年以上のVC経験(Pacific Technology Venturesの取締役、Sierra Ventures、Sofinnova、Techno Ventureのアドバイザー、NoventiのManaging Director およびVenture Partner、AZCA Venture Partners のManaging Director)

PARC (Palo Alto Research Center)のSenior Executive Advisorとして日米間のオープン・イノベーション推進

早稲田大学ビジネススクールおよび静岡大学工学部大学院にて客員教授としてイノベーションとアントレプレナーシップ担当

日米起業協議会(US-Japan Innovation and Entrepreneurship Council)や文部科学省大学発新産業創出拠点プロジェクト (START)の推進委員会のメンバーとして日本におけるアントレプレナーシップ推進

北加日本商工会議所(2007年会頭)、The Japan Society of Northern California などの理事。

米国ホワイトハウスでの有識者会議に頻繁に招聘される。貿易協定・振興から気候変動等の様々な分野で、米国政策立案に向けた、民間からの意見及び提言を積極的に行う

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©2015 AZCA, Inc.

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Silicon Valley* は長径80Kmの楕円

2*- “Silicon Valley” という言葉は1971年にDon Hoeflerが雑誌 Electronic News の中の”Silicon Valley in the USA” という連載記事で初めて使用した。

80Km

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シリコンバレーが源泉となるハイテクノロジーの波

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1950 1960 1970 1980 1990 2000 2005

通信・インターネットIoT

半導体、IC

PC、コンピュータ・システム、周辺機器ロボティックス

ソフトウェアAI・機械学習

ヘルスケア 1.0

ナノテクノロジー

グリーンテック世界のデファクト・スタンダードの創生

1939

ヘルスケア2.0

インターネット前 インターネット時代

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世界的に著名な企業が密集するシリコンバレー

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AZCA

William Hewlett &David Packard

Elon Musk

Andy Grove(3rd employee)

Pierre Omidyar(French-born Iranian-American )

Larry Ellison

Steven Jobs

Bill Gates

William Shockley

Sergey Brin

Jerry Yang

Mark ZuckerbergReid Hoffman

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SVのイノベーション・エコシステム

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起業家

VC優れた大学・研究

機関

弁護士事務所

会計事務所

コンサルタント

ヘッドハンター

投資銀行

調査会社

etc.

起業家

VC大学・

研究機関

弁護士事務所

会計事務所

コンサルタント

ヘッドハンター

投資銀行

調査会社

etc.

イノベーション・エコシステム

・インキュベーター・アクセラレーター

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シリコンバレーのメカニズム

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カネが集まる

• 人が集まり• 情報が集まり• 技術が集まり

知の集積が行なわれる

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VC投資の行き先 - カリフォルニア州が独り勝ち

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Source: NVCA

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100% ($Billion) =

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California

Silicon Valley

Other California

New England

Other Region

Midwest

Texas

NY Metro

Northwest

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新規事業開拓におけるSV活用の方法

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コミットメントの度合い

得られる情報の価値

インキュベータの設置

CVCの設置

既存VCにCVCをアウトソース

既存VCへLP投資

社内プロジェクトの切り出し

現地調査会社、コンサルタントの活用

商社・ブローカの活用

日本人駐在員の活用

出張ベースで情報収集

展示会、コンフェランスなどへの出席

公開資料へのアクセス

コーポレート・ベンチャリング

(持続的フレームワーク)

(単発作業)

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オープンイノベーション

9出典: Henry Chesbrough

社外の技術ソース

技術供与、スピンオフなど

他社の対象市場

自社の新たな対象市場

自社の既存対象市場

カーブアウトやバイバックなど

自社内の技術ソース

社外技術の導入

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クローズドイノベーション(Closed Innovation) オープンイノベーション(Open Innovation)

業界の優秀な人達の多くは我々の会社で働いている。

優秀な人達ばかりが我々の会社にいるわけではない。従って、社外の優秀な人材の経験や専門知識にアクセスする方法を考えるべき。

R&Dの成果を享受するためには、我々が研究

開発を行ない、我々が製品を市場に出さねばならない。

社内のR&Dはそれなりに価値を生み出すことが出来るだろうが、社外のR&Dもかなりの価値を生み出すことがあり得る。

最初に研究開発を行なえば最初に市場に到達出来るはず。

研究開発から利益を得るには、必ずしも我々がすべて最初kら生み出す必要はない。

最初に市場に出せば勝てるはず。 最初に市場に出すより、より良いビジネスモデルを構築する方が良い。

我々の知恵でベストなアイデアを出せは勝てるはず。

社内のみならず社外のアイデアも取り込んで活用すれば勝てるだろう。

知財を強くコントロールして、我々の研究開発成果を他社に使われないようにすべき。

他社がによる我々の知財の活用により、我々は利益をこうむるべきだし、我々のビジネスモデルを進化させることが出来るなら我々も他社の知財を積極的に取り入れるべき。

クローズドイノベーションとオープンイノベーション

10出典: Henry Chesbrough

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戦略立案プロジェクト

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特定の経営課題に対して、単発作業による「正解」の導出

新規事業戦略

新事業開拓の経営課題

分析

合成

出典: AZCA

穏やかに推移している業界では有効。

経営方針の変化にフレキシブルに対応して戦略構築が出来る。

急速に変化している業界では、瞬間風速で出た「正解」は、すぐに陳腐化。

新規分野参入の場合、効率良く「正解」は出たものの、人脈構築は出来たか?業界通になったか?

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戦略投資VCへの参加あるいはCVC

12出典: AZCA

スクリーニング

スクリーニング

将来顕在化する技術や業界の動向につながる水面下の情報をいち早くつかむことが出来る。

戦略プロジェクトで構築した新規事業戦略の見直し。

自社内の研究開発と補完的な活用(Virtual R&D)。

具体的な提携案件(技術ライセンス、共同開発、資本参加、買収)へのアクセス。

新規事業開拓のための持続的フレームワーク

©2015 AZCA, Inc.

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戦略立案プロジェクトと持続的フレームワーク

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戦略立案プロジェクト

• トップダウンの手法で課題に答えを出す 一定期間の間に無駄の少ない方法で「正解」にたどり着く。

• 「瞬間風速」での答え 急激に変化・展開する事業環境の下では持続的な正解になりにくい。

持続的フレームワーク

• ボトムアップの手法で“データマイニング” 世の中の大きな潮流、動きを継続的に捉えることが出来る持続的なフレームワーク。

• 世の中の動きに合わせて戦略をreviseできる。

• ディールフローの中から具体的なアライアンス案件抽出のチャンス。

• 新規参入分野での事業構築の方法として有効。

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CVCの成功のための要件

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大きな資金コミットメント

人的ネットワーク、情報ネットワーク ディールソーシング

ベンチャー・キャピタルの実務経験 デューディリジェンス(技術以外) ターム・シート ポートフォリオ・マネジメント

エグジット・ストラテジー

それなりに体力のある企業でないと難しい。

通常の事業法人ではそのような人材はもともと要請していない。

普通の事業法人ではもともとそのような人材は養成していない。

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米国におけるVC投資とエグジット

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シリコンバレー・ブーム

ネットバブル

ネットバブル崩壊

$Billion 件

リーマンショック

VC投資

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IPO M&A

ベンチャーのエグジット

件 SOX法導入件

ネットバブル崩壊後もカネ・技術・ヒト・情報は廻っている

出典: NVCA

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日本企業の3つのタイプ

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ニューブリード

経営基盤に起業家精神

創業以来、不況下でも急成長を実現してきた

過去のしがらみは無く、成長のビジョンが明確で構造変革型

グローバル・モデルで事業展開

ニューブリード予備軍(ベンチャー・中小企業)

世界に問える技術力

技術を事業に育てる経営力が不足しているケースが多い

金も人材も不足しているケースあり

大企業から邪険に扱われる(情報、技術だけ収集し後は無視)

今後の成長

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既存の大企業

高度成長時代に作れば売れる右肩上がりで業績を伸ばしてきた

2000年以降伸び悩んでいる

成長について多くが成り行き予測型

国内の中小・ベンチャー企業を見下すカルチャー?

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大企業のベンチャー企業との提携・M&A促進

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大企業

ベンチャー企業

ベンチャーキャピタル

株式公開

M&A

清算

VC投資

キャピタルゲイン

キャピタルゲイン

スピンアウト技術・人材

スピンアウト技術・人材共同投資

LP投資

大学・研究機関

戦略的提携、M&A

政府・機関投資家

戦略的LP投資

キャピタルゲイン

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企業成長のためのコーポレートベンチャリング

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コーポレートベンチャリングはトップマネジメント・レベルでの持続的コミットメントが必須!!

成長を担うためのトップの役割

現時点での中核事業はすでに稼ぐ仕組みが出来上がっているはず。放っておいても廻るはずのもの

トップは将来の収入をどう稼ぐかを考えることに集中する

トップにしか出来ない判断

既存の成功事業とは違うビジネスモデルの新事業のために新組織を作り、経営資源を配分する判断

既存部門の反発を抑えて新部門の後押しをするのもトップの仕事

利益率と成長のための投資のどちらか大事かという判断

トップの強いリーダーシップのもとにトップダウンで迅速な意志決定をしていく!!

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