オーダーメイド医療の実現プログラ ムの在り方に関する検討 …- 1 - 1...
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オーダーメイド医療の実現プログラ
ムの在り方に関する検討会報告書
平 成 24 年 12 月
オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 プ ロ グ ラ ム
の 在 り 方 検 討 会
目 次
1 はじめに(検討の背景)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 本プログラムの現状と評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(1)本プログラムの現状と成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(2)事後評価委員会での評価結果・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
ア 全般的評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
イ 個別課題に対する評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
ウ 第3期に継続する際に留意すべき事項・・・・・・・・・・・・・ 4
3 第3期の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
(1)第3期事業の基本的方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(2)具体的事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
ア バンク機能・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
イ ゲノム解析(疾患関連遺伝子・薬剤関連遺伝子の同定)等・・・・ 11
ウ 薬剤関連遺伝子の臨床応用・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
エ 疾患発症・予後関連遺伝子の臨床応用の方向性・・・・・・・・・ 14
オ 公募研究の推進・他プロジェクトとの連携・・・・・・・・・・・ 14
カ 他のバイオバンクとの連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
キ その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
4 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
別 添 オーダーメイド医療の実現プログラム(第3期)のロードマップ 19 別紙1 世界の主なバイオバンク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 別紙2 ゲノム研究が医学・医療の発展にもたらすもの・・・・・・・・・ 21 別紙3 国内の主なバイオバンクの状況・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 別紙4 新規サンプル収集対象37疾患・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
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1 は じ め に ( 検 討 の 背 景 ) オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 プ ロ グ ラ ム は 、 個 人 の 遺 伝 情 報 に 応
じ た 最 適 な 医 療 ( オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 ) の 実 現 に 資 す る こ と を 目
指 し た プ ロ グ ラ ム で あ る 。本プ ロ グ ラ ム は 、平 成 15 年 度 か ら 平 成
19 年 度 ま で の 第 1 期 、平 成 20 年 度 か ら 平 成 24 年 度 ま で の 第 2 期
を 通 じ て 、 世 界 最 大 の 患 者 バ ン ク で あ り 住 民 バ ン ク を 含 め て も 世
界 最 大 級 の ゲ ノ ム 研 究 基 盤 で あ る バ イ オ バ ン ク・ジ ャ パ ン( BBJ)( 47 疾 患 、 20 万 人 、 30 万 症 例 の D N A、血 清 、臨 床 情 報 等 )を 構
築 す る と と も に 、 5 万 人 分 、 345 億 S NP を 解 析 し 、 170 個 の 新 規
疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 及 び 20 個 の 薬 剤 関 連 遺 伝 子 を 同 定 し た 。 ま
た 、 同 定 さ れ た 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の う ち 、 3 遺 伝 子 に つ い て は 「 次
世 代 が ん 研 究 戦 略 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト 『 が ん 薬 物 療 法 の 個 別 適 正 化
プ ロ グ ラ ム 』 」 で の 臨 床 介 入 研 究 に 着 手 し た 。 本 プ ロ グ ラ ム が 実 施 さ れ て き た 10 年 間 に ゲ ノ ム 解 析 に 係 る 技
術 が 大 き く 進 展 し て き て お り 、 ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 に よ り 得 ら れ た
成 果 を 医 療 に 活 用 す る た め の 基 礎 的 な 取 組 が 、 最 近 、 世 界 的 に 急
速 に 進 ん で き て い る 。 本 プ ロ グ ラ ム は 、 こ の よ う な 研 究 開 発 動 向
に 対 応 し 、 日 本 の み な ら ず 世 界 に お け る ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 の 推 進
に 多 大 な 貢 献 を し て き た が 、 今 後 は 最 新 の ゲ ノ ム 医 科 学 の 世 界 的
な 動 向 を 踏 ま え つ つ 、我 が 国 の 重 要 な 研 究 資 源 で あ る B BJ を い か
に 活 用 し 、 本 プ ロ グ ラ ム を ど う 推 進 し て い く か の 具 体 的 検 討 が 求
め ら れ る 。 本 検 討 会 は 、 こ の よ う な 問 題 意 識 を 踏 ま え 、 本 プ ロ グ ラ ム の 最
終 目 的 で あ る “ 疾 患 関 連 遺 伝 子 や 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 同 定 に 基 づ く
個 人 の 特 性 に 応 じ た 「 薬 の 使 い 分 け 」 や 「 治 療 の 最 適 化 」 と い っ
た オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 ” を 達 成 す る た め に 、 次 期 プ ロ グ ラ
ム の 方 向 性 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 こ の よ う な 状 況 の も と 、 本 報 告 書 は 、 こ れ ま で の 本 プ ロ グ ラ ム
の 現 状 及 び 評 価 を 踏 ま え つ つ 、 次 期 プ ロ グ ラ ム の 方 向 性 に つ い て
と り ま と め た 。 本 プ ロ グ ラ ム が 、 今 後 の 我 が 国 の み な ら ず 、 世 界
の ゲ ノ ム 医 療 に 更 な る 革 新 的 な 役 割 を 果 た す こ と を 願 う も の で あ
る 。
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2 本 プ ロ グ ラ ム の 現 状 と 評 価
( 1 ) 本 プ ロ グ ラ ム の 現 状 と 成 果
本 プ ロ グ ラ ム の 第 1 期 ( 平 成 15~ 19年 度 ) で は 、 独 立 行 政 法
人 理 化 学 研 究 所 ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 セ ン タ ー 及 び 東 京 大 学 医 科
学 研 究 所 が 中 心 と な っ て 、 12医 療 機 関 67施 設 ( 平 成 24年 1 月 時
点 は 55施 設 ) の 協 力 の も と 、 世 界 的 に 最 大 規 模 と な る BBJの 構
築 や 国 際 ハ ッ プ マ ッ プ プ ロ ジ ェ ク ト へ の 参 加 に よ る 遺 伝 子 解
析 基 盤 情 報 へ の 貢 献 な ど を 実 施 し 、 我 が 国 の 遺 伝 子 解 析 研 究 の
研 究 基 盤 を 整 備 し た 。
第 2 期 ( 平 成 20~ 24年 度 ) で は 、 第 1 期 で 構 築 し た 推 進 体 制
及 び 研 究 基 盤 で あ る BBJを 維 持 ・ 拡 充 す る と と も に 、 研 究 基 盤
を 活 用 し て 、 全 ゲ ノ ム S N P解 析 に 基 づ く 疾 患 関 連 遺 伝 子 及 び 薬
理 ゲ ノ ム 学 に よ る 薬 剤 応 答 関 連 遺 伝 子 の 解 明 に 向 け た 基 礎 研
究 を 本 格 的 に 実 施 し た 。
こ の う ち 、 薬 剤 応 答 関 連 遺 伝 子 の 基 礎 研 究 の 成 果 は 、 「 次 世
代 が ん 研 究 戦 略 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト 『 が ん 薬 物 療 法 の 個 別 適 正 化
プ ロ グ ラ ム 』 」 に お け る カ ル バ マ ゼ ピ ン 、 ワ ル フ ァ リ ン 及 び タ
モ キ シ フ ェ ン の 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の よ う に 、 薬 剤 投 与 の 適 正 化
( 副 作 用 回 避 や 奏 効 率 向 上 な ど ) を 目 指 し た 遺 伝 子 型 検 査 を 用
い た 臨 床 介 入 研 究 ( 実 証 研 究 ) の 段 階 に 進 ん で い る も の も 出 て
き て い る 。
な お 、 プ ロ グ ラ ム 全 体 を 通 じ た 主 な 成 果 の 概 要 は 、 以 下 の と
お り で あ る 。
【 プ ロ グ ラ ム の 主 な 成 果 】
・ 血 清 サ ン プ ル や 臨 床 情 報 を 毎 年 継 続 し て 収 集 し 、 第 1 期 で
構 築 し た バ ン ク を 更 に 充 実 。
・ 疾 患 関 連 遺 伝 子 研 究 に お い て は 、 5 万 人 を 超 え る ゲ ノ ム ワ
イ ド S N Pタ イ ピ ン グ を 実 施 。345億 S N P情 報 を 取 得 す る と と も
に 、170個 の 新 規 疾 患 関 連 遺 伝 子 や 20個 の 薬 剤 応 答 性 遺 伝 子 を
同 定 ( 平 成 24年 4 月 現 在 ) 。
・ 第 2 期 ま で に N a t u r e G e n e t i c s 30編 を 含 む 173編 の 論 文 を 発
表 ( 平 成 24年 4 月 現 在 ) 。
・ 公 的 バ ン ク と し て 試 料 を 希 望 す る 外 部 機 関 へ 、 の べ 36件 の
研 究 機 関 に 18,500人 分 の 試 料 を 有 償 配 布 ( 平 成 24年 10月 現
在 ) 。
( 2 ) 事 後 評 価 委 員 会 で の 評 価 結 果
本 プ ロ グ ラ ム の 評 価 に つ い て は 、 事 後 評 価 委 員 会 が 平 成 24年
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7 月 に 「 個 人 の 遺 伝 情 報 に 応 じ た 医 療 の 実 現 プ ロ ジ ェ ク ト 事 後
評 価 報 告 書 」 ( 以 下 、 「 事 後 評 価 報 告 書 」 と 言 う 。 ) と し て 取
り ま と め て い る 。
こ の 中 で 事 後 評 価 委 員 会 は 、 本 プ ロ グ ラ ム に 対 す る 評 価 の ほ
か 、 今 後 の プ ロ グ ラ ム の 推 進 に 対 す る 意 見 な ど に つ い て も 述 べ
て い る の で 、 以 下 に 概 要 を 示 す 。
ア 全 般 的 評 価
研 究 基 盤 の 構 築 ( BBJの 運 営 ) に つ い て は 、 運 営 に 必 要 な
体 制 を 維 持 し て い る と 評 価 す る 。
疾 患 関 連 遺 伝 子 解 析 に つ い て は 、 各 種 疾 患 の 感 受 性 遺 伝 子
を 数 多 く 同 定 し 、 さ ら に そ の 成 果 が N a t u r e G e n e t i c sな ど 多 く
の ト ッ プ ジ ャ ー ナ ル に 掲 載 さ れ る な ど 、 国 内 で は 他 の 追 随 を
許 さ な い 成 果 を 挙 げ た と 高 く 評 価 す る 一 方 、 こ れ ら の 成 果 が
臨 床 の 現 場 に 還 元 す る ま で に は 至 っ て い な い と す る 意 見 も 見
受 け ら れ た 。
疾 患 関 連 遺 伝 子 研 究 に つ い て は 、 公 募 で 実 施 し 、 本 プ ロ グ
ラ ム に 合 致 し た 合 理 的 体 制 作 り 及 び B BJ と の 連 携 意 義 を 実 証
で き た と 評 価 す る 。 な お 、 公 募 研 究 の 中 に は 将 来 の 疾 患 の 治
療 な ど に 期 待 で き る 成 果 を 上 げ て い る も の が あ る 一 方 、 必 ず
し も 費 用 対 効 果 が 十 分 で な い と 思 わ れ る 研 究 も 見 受 け ら れ
た 。 イ 個 別 課 題 に 対 す る 評 価
( ア ) B B J の 運 営
世 界 最 大 規 模 の B BJを 構 築 ・ 拡 充 ・ 運 営 し て き た こ と を
高 く 評 価 す る 。 ま た 、 B BJは 我 が 国 を 代 表 す る 重 要 な 研 究
基 盤 の 一 つ に ま で 成 長 し て お り 、 そ の 重 要 性 と い う 観 点 か
ら も 高 く 評 価 で き る 。
他 方 、 本 事 業 は 「 疾 患 ゲ ノ ム コ ホ ー ト 」 の 先 駆 で あ っ た
こ と か ら 、 研 究 の 進 展 に 伴 う イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト の
取 り 方 な ど 、 今 後 、 対 応 す べ き 問 題 点 も 認 め ら れ る 。
な お 、 東 北 メ デ ィ カ ル ・ メ ガ バ ン ク ( 東 北 M M B) と は 、
BBJの 維 持 ・ 管 理 業 務 の 技 術 供 与 や 、 両 者 の 試 料 等 を 活 用
し た 「 先 制 医 療 」 に 向 け た 研 究 の 推 進 な ど 、 連 携 ・ 共 同 し
た 取 組 を 期 待 す る 。
( イ ) 疾 患 関 連 遺 伝 子 解 析
遺 伝 子 解 析 に お け る 費 用 や 精 度 の 点 か ら 、 第 2 期 ま で
c o m m o n S N Pを 中 心 と し た S N Pア レ イ に よ る 解 析 に 集 中 し
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た こ と は 、 適 切 で あ っ た と 評 価 す る 。
今 後 の 解 析 コ ス ト の 低 下 な ど に よ り 、 解 析 症 例 数 を さ ら
に 増 や す と と も に 、 次 世 代 シ ー ク エ ン サ ー に よ る 解 析 も 含
め た 解 析 ・ 研 究 方 針 及 び 計 画 を 綿 密 に 立 案 す る こ と を 期 待
す る 。
( ウ ) 試 料 等 配 布 審 査 会
公 的 バ ン ク と し て 、 試 料 等 配 布 の 体 制 を 構 築 し 運 用 し て
い る こ と を 評 価 す る 。 し か し な が ら 、 配 布 件 数 を 増 や す 積
極 的 な 方 策 と し て 、 一 定 数 以 上 の 試 料 配 布 依 頼 に は デ ィ ス
カ ウ ン ト 制 度 を 導 入 す る な ど の 費 用 の 軽 減 化 や 試 料 配 布 手
続 き の 簡 素 化 等 、 開 か れ た 試 料 提 供 体 制 を 構 築 す る た め の
検 討 が 必 要 で あ る 。
( エ ) E L S I
我 が 国 最 初 の ゲ ノ ム コ ホ ー ト プ ロ グ ラ ム の 運 営 ・ 実 施 に
関 わ り な が ら 、 本 プ ロ グ ラ ム の 実 施 に つ い て 倫 理 的 に 大 き
な 問 題 に 取 組 ん で き た 点 を 高 く 評 価 す る 。
ま た 、 E LS I 委 員 会 が B BJ に 関 し て 出 し た 見 解・ 結 論 は 、
多 く の 関 連 プ ロ ジ ェ ク ト の 参 考 に な る 貴 重 な 情 報 と 考 え ら
れ る こ と か ら 、 本 委 員 会 が 蓄 積 し て き た 知 識 ・ ノ ウ ハ ウ 等
を 活 用 で き る よ う 期 待 す る 。 ( オ ) 疾 患 関 連 遺 伝 子 研 究
第 2 期 に お い て 、 が ん 、 メ タ ボ 、 肝 炎 、 婦 人 科 、 骨 関 節
の 5 領 域 6 課 題 の 公 募 に よ る 研 究 を 行 い 、 そ の う ち 、 が ん
に 関 し て は 、30 件 の 論 文 発 表 、3 件 の 特 許 出 願 の 成 果 を 上
げ て い る と 評 価 で き 、 ま た 、 メ タ ボ に つ い て は 、 糖 尿 病 な
ど に 関 連 し て 発 症 リ ス ク 予 測 の 精 度 向 上 に 期 待 で き る 感 受
性 遺 伝 子 や 治 療 反 応 性 と 関 連 す る 遺 伝 子 の 多 型 が 同 定 さ れ
て お り 、 医 療 へ の 応 用 が 期 待 さ れ る 。 ウ 第 3 期 に 継 続 す る 際 に 留 意 す べ き 事 項
事 後 評 価 委 員 会 は 、 事 後 評 価 報 告 書 に お い て 、 日 本 の ゲ ノ
ム 医 科 学 研 究 や 、 そ の 関 連 研 究 を 発 展 さ せ る た め 、 本 プ ロ グ
ラ ム を 「 大 規 模 ゲ ノ ム コ ホ ー ト 」 と し て 、 そ の 理 念 と 存 在 意
義 を 再 確 認 し つ つ 、 以 下 の 点 に つ い て 留 意 し て 第 3 期 も 継 続
さ せ る 必 要 が あ る と し て い る 。
① 対 象 疾 患 の 考 え 方
現 在 の 47疾 患 数 は 多 く 、 十 分 な 症 例 数 が 確 保 で き て い
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な い 疾 患 に つ い て は 更 に 追 加 情 報 の 収 集 を 行 う べ き か
検 討 す べ き と の 意 見 が あ る 一 方 で 、 社 会 ニ ー ズ や 研 究 ニ
ー ズ に あ わ せ て 対 象 疾 患 を 拡 大 す べ き と の 意 見 が あ っ
た 。対 象 疾 患 の 選 定 は 、検 体( D N A等 )の 追 加 収 集 や 詳
細 な 臨 床 情 報 の 収 集 等 に も 大 き く 影 響 す る こ と か ら 、 こ
れ ら の 方 向 性 を 含 め た 慎 重 な 議 論 が 必 要 で あ る 。
な お 、 検 体 収 集 に つ い て は 、 特 に 第 1 期 で 収 集 し た
D N A試 料 の 減 少が 始 ま っ て い る の で 、将 来 は 検 体 に よ っ
て は 枯 渇 す る 可 能 性 が 高 い こ と か ら 、 早 急 に 対 応 す る 必
要 が あ る 。
② 国 内 外 の 他 の バ ン ク 事 業 と の 役 割 分 担 ・ 連 携
国 内 外 の 他 の 研 究 機 関 ・ 大 学 ・ ナ シ ョ ナ ル セ ン タ ー に
お け る バ ン ク 事 業 と の 役 割 分 担 ・ 連 携 も 整 理 す る 必 要 が
あ る 。
③ 多 型 ア レ ル 同 定 の 発 展 や 全 ゲ ノ ム シ ー ケ ン シ ン グ の 技
術 開 発 に 適 応 し た 遺 伝 子 解 析 の 方 向 性
こ れ ま で に 明 ら か に さ れ た の は 疾 患 関 連 遺 伝 子 領 域 の
同 定 で あ り 、 今 後 は 、 リ ス ク を も た ら す 多 型 ア レ ル そ の
も の の 同 定 等 に 発 展 さ せ る 必 要 が あ る 。 ま た 、 全 ゲ ノ ム
シ ー ケ ン シ ン グ が 短 時 間 に 安 価 で で き る 時 代 に 突 入 し 、
こ の 技 術 改 革 に 適 応 し た 遺 伝 子 解 析 の 方 向 性 を 目 指 す
こ と が 重 要 で あ る 。
し か し な が ら 、 当 面 は 、 現 在 収 集 し て い る す べ て の 疾
患 に 対 す る 関 連 遺 伝 子 領 域 が 同 定 さ れ て い な い こ と か
ら 、 早 急 に そ れ ら の 解 析 を 進 め て か ら 、 次 の 段 階 に 進 ん
で い く こ と が 適 切 で あ る 。
④ 解 析 デ ー タ の 提 供
遺 伝 子 解 析 に よ っ て 得 ら れ た デ ー タ を デ ー タ 提 供 者 以
外 へ 公 開 す る こ と も 重 要 で あ る 。 特 に 国 の 大 型 予 算 に よ
る プ ロ グ ラ ム に お い て の 解 析 デ ー タ の 提 供 、 特 に 薬 業 界
へ の 貢 献 な ど の 検 証 が こ れ か ら の 事 業 に は 不 可 欠 で あ
り 、 当 該 事 業 で は そ れ が 最 初 か ら 想 定 さ れ て い る 。
⑤ 解 析 デ ー タ の 新 た な 利 用 方 法 に つ い て の 検 討
今 後 は 、 利 用 等 を 促 進 さ せ る た め 、 デ ー タ ア ク セ ス 審
査 委 員 会 を 設 置 し て 論 文 発 表 さ れ た デ ー タ に つ い て は
暗 号 化 し た 形 で の デ ー タ 提 供 や 共 同 研 究 の あ り 方 な ど 、
解 析 デ ー タ の 新 た な 利 用 方 法 に つ い て 検 討 が 必 要 で あ
る 。
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⑥ 公 募 研 究 の 推 進 と 研 究 者 と の 連 携 促 進
公 募 に よ る 遺 伝 子 関 連 研 究 は 、 い か に 多 く の 分 野 の 研
究 者 と 連 携 で き る か が 今 後 の 発 展 の 鍵 で あ る 。
し か し な が ら 、 本 プ ロ グ ラ ム と 連 携 す る た め に は 、 一
般 の 研 究 者 に 相 当 の 力 量 が 求 め ら れ る こ と 、 試 料 は 有
限 、 高 額 で あ り 、 審 査 委 員 会 を パ ス す る 必 要 も あ る こ と
等 か ら 、 決 し て 低 く は な い ハ ー ド ル が 存 在 す る こ と は 事
実 で あ る こ と か ら 、 こ れ ら を 克 服 す る た め の 戦 略 を 立 案
し 、 実 行 に 移 す 必 要 が あ る 。 ( 血 清 試 料 の 活 用 は 大 き な
問 題 の 一 つ で あ り 、 ゲ ノ ム 情 報 と の 関 連 を 含 め て 今 後 の
公 募 研 究 の 推 進 に お い て 考 慮 さ れ る べ き 課 題 で あ る 。 )
⑦ 他 の プ ロ ジ ェ ク ト ( 各 疾 患 の ゲ ノ ム 研 究 に 関 す る 他 民
族 の 研 究 結 果 と の 比 較 検 討 、東 北 M M B、次 世 代 が ん 研 究
戦 略 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト 、 脳 科 学 研 究 戦 略 推 進 プ ロ グ ラ ム
等 ) と の 連 携
各 疾 患 の ゲ ノ ム 研 究 に 関 す る 他 民 族 の 研 究 結 果 と の 比
較 検 討 、 特 に ア ジ ア 諸 国 間 で の 比 較 が 重 要 な 情 報 を 提 供
す る 可 能 性 が あ る 。 特 に 、 メ タ 解 析 の 有 用 性 が 明 ら か に
な っ て き た 現 在 、 プ ロ ジ ェ ク ト 間 の 連 携 は 非 常 に 重 要 と
考 え ら れ る 。ま た 、東 北 M M B等 の 一 般 集 団 を 対 象 と し た
大 規 模 住 民 コ ホ ー ト 研 究 等 と の 連 携 方 法 を 検 討 し て い
く こ と は 重 要 な 課 題 と 考 え る 。
ま た 、 遺 伝 子 関 連 研 究 に つ い て 、 例 え ば 文 部 科 学 省 次
世 代 が ん 研 究 戦 略 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト 、 脳 科 学 研 究 戦 略 推
進 プ ロ グ ラ ム 等 、 さ ら に は 他 省 の プ ロ ジ ェ ク ト と の 密 接
な 連 携 に つ い て も 、 検 討 し て は ど う か 。
⑧ そ の 他
E LS I委 員 会 に つ い て 、本 プ ロ グ ラ ム だ け の も の と は せ
ず 、オ ー ル ジ ャ パ ン の コ ホ ー ト 事 業 を カ バ ー す る E LS I委員 会 に す べ き で は な い か と の 意 見 も あ っ た 。
ま た 、 試 料 等 提 供 者 を 長 期 間 追 跡 す る こ と は 重 要 で あ
り 、 情 報 通 信 技 術 を 活 用 し た 精 密 な 追 跡 に 関 す る 仕 組 み
を 構 築 す る 必 要 が あ り 、 そ の よ う な 検 討 が 行 わ れ る こ と
を 期 待 す る 。
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3 第 3 期 の 方 向 性
2000 年 6 月 26 日 に ビ ル ・ ク リ ン ト ン 米 国 大 統 領 ( 当 時 ) と ト
ニ ー ・ ブ レ ア 英 国 首 相 ( 当 時 ) が ヒ ト ゲ ノ ム 配 列 の 全 容 解 明 を 宣
言 し た 。そ の 結 果 で あ る ヒ ト ゲ ノ ム 概 要 配 列 は 日 本 、米 国 、英 国 、
仏 国 、 独 国 、 中 国 の 6 カ 国 か ら な る 国 際 ヒ ト ゲ ノ ム 計 画 プ ロ ジ ェ
ク ト チ ー ム と 米 セ レ ラ・ジ ェ ノ ミ ク ス 社 か ら 2001 年 2 月 に そ れ ぞ
れ 独 立 に 発 表 さ れ 、2003 年 4 月 に は ヒ ト ゲ ノ ム 全 塩 基 配 列 が 公 開
さ れ る に 至 っ た 。
本 プ ロ グ ラ ム は 、 ヒ ト ゲ ノ ム の 全 塩 基 配 列 が 人 類 で は じ め て 解
析 さ れ た と い う ゲ ノ ム 研 究 に お け る 一 大 転 機 の 時 期 に 構 想 さ れ 、
発 足 し た も の で あ る 。 本 プ ロ グ ラ ム が 開 始 さ れ た 2003 年 時 点 で は 、ヒ ト の ゲ ノ ム 情 報
は 、全 塩 基 配 列 が 決 定 し た の み で あ り 、 S N P を 含 む 遺 伝 子 多 型 情
報 は 全 く 整 備 さ れ て い な い 状 況 で あ っ た 。 こ の よ う な 状 況 下 に お
い て 、 ヒ ト ゲ ノ ム 情 報 を 解 析 し て 遺 伝 情 報 の 違 い に 応 じ た 個 人 個
人 に 最 適 な 予 防 ・ 治 療 を 提 供 す る こ と を 目 指 す と い う 本 プ ロ グ ラ
ム は 、 非 常 に 挑 戦 的 な 取 組 で あ っ た と 言 え る 。 本 プ ロ グ ラ ム は 、こ の 10 年 間 2 期 に 亘 る プ ロ グ ラ ム の 推 進 を 通
じ て 、 個 人 の 持 つ 遺 伝 情 報 に 応 じ た 薬 剤 の 投 与 や 治 療 方 法 の 選 択
が で き る 医 療 の 実 現 を 目 指 し て 、 国 家 プ ロ ジ ェ ク ト と し て 基 礎 研
究 を 推 進 す る と と も に 、 近 い 将 来 、 臨 床 現 場 で 活 用 さ れ る ゲ ノ ム
解 析 技 術 の 開 発 や ゲ ノ ム 研 究 に 関 わ る 国 際 協 力 を 行 っ て き た 。 具 体 的 に は 、 事 後 評 価 に も あ る よ う に 47 疾 患 、 20 万 人 、 30 万
症 例 の D N A、血 清 、臨 床 情 報 等 を 収 集 し 、日 本 随 一 、世 界 で も 患
者 コ ホ ー ト と し て は 最 大 の B BJ を 構 築 す る と と も に 、 5 万 人 分 、
345 億 S N P 解 析 を 実 施 し 、住 民 コ ホ ー ト を 含 め て も 世 界 屈 指 の バ
イ オ バ ン ク と し て 、研 究 開 発 活 動 実 績 を 創 出 し て い る( 別 紙 1 )。 ま た 、 こ の 間 の ゲ ノ ム 解 析 技 術 の 進 展 は 、 ヒ ト ゲ ノ ム 情 報 を 医
療 等 に 活 用 す る 道 筋 を 拓 き 始 め た 。国 際 ヒ ト ゲ ノ ム 計 画 は 、10 年
間 、 30 億 ド ル を か け た 作 業 で あ っ た が 、 2009 年 に 50 日 で1 千 万
円 、 2011 年 に は 10 日 間 で 100 万 円 以 下 で 一 人 の 全 ゲ ノ ム 塩 基 配
列 を 解 読 で き る 技 術 が 登 場 し 、 1,000 ド ル ゲ ノ ム と 呼 ば れ る パ ー
ソ ナ ル ゲ ノ ム 時 代 が 到 来 し つ つ あ る 。 す な わ ち 、 本 プ ロ グ ラ ム の 第 3 期 は 正 に ゲ ノ ム 医 療 の 実 現 に 向
け て 多 岐 に 亘 る 人 類 の 活 動 が 世 界 中 で 本 格 化 す る 時 期 で あ り 、 本
プ ロ グ ラ ム に お い て は 、 こ れ ま で の 実 績 や リ ソ ー ス を 最 大 限 活 用
し 、国 内 外 の こ の よ う な 研 究 開 発 に 対 す る 基 盤 を 支 え る と と も に 、
先 駆 的 な 研 究 成 果 の 創 出 と 発 信 が 求 め ら れ る ( 別 紙 2 ) 。 こ の 項 で は 、 こ れ ら の 事 項 を 十 分 に 踏 ま え て 、 第 3 期 の 方 向 性
に つ い て 検 討 す る こ と と す る 。 な お 、 限 ら れ た 社 会 資 源 を 有 効 に
活 用 す る た め 、 他 の バ ン ク 事 業 や 関 連 す る 研 究 ( 別 紙 3 ) と の 不
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必 要 な 重 複 を 排 除 し つ つ 連 携 を 強 化 す る こ と を 前 提 に 、 本 プ ロ グ
ラ ム が 日 本 に お け る 個 別 化 医 療 実 現 の 中 で 求 め ら れ る 役 割 、 目 指
す べ き 方 向 性 に つ い て 、 あ ら か じ め こ こ に 定 義 す る 。
< 本 プ ロ グ ラ ム が 推 進 す る 「 オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 」 に つ い て >
ヒ ト ゲ ノ ム 研 究 で 得 ら れ た 疾 患 ・ 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 成 果 を 用 い
た 医 学 、 医 療 へ の 貢 献 に 対 す る 期 待 は 大 き い 。 ヒ ト ゲ ノ ム 研 究 で
同 定 さ れ た 疾 患 ・ 薬 剤 関 連 遺 伝 子 は 、 ① 病 変 組 織 、 遺 伝 子 改 変 動
物 、 i P S細 胞 等 を 用 い た 遺 伝 子 の 機 能 解 析 に よ る「 新 規 疾 患 発 症 機
序 の 解 明 」 や 、 そ れ に 基 づ く 「 創 薬 ・ バ イ オ マ ー カ ー の 開 発 」 、
② 遺 伝 的 素 因 ( 体 質 ) の 解 明 に 基 づ く 「 薬 の 使 い 分 け ( 薬 剤 副 作
用 の 回 避 や 至 適 投 薬 量 の 決 定 ) 」 や 「 治 療 の 最 適 化 」 な ど の オ ー
ダ ー メ イ ド 医 療 に 結 び つ く と 期 待 さ れ て い る 。
こ れ ら の 期 待 さ れ る 成 果 の う ち 、 本 プ ロ グ ラ ム で は 、 主 に 個 人
の 遺 伝 情 報 に 基 づ い た 「 薬 の 使 い 分 け 」 や 「 治 療 の 最 適 化 」 と い
っ た オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 を 目 指 す 。 さ ら に 、 住 民 ゲ ノ ム コ ホ ー ト と の 連 携 に よ り 、 本 プ ロ グ ラ ム が
同 定 し た 疾 患 関 連 遺 伝 子 と 環 境 要 因 と を 組 み 合 わ せ た 疾 患 発 症 に
関 す る 知 見 に 基 づ い た 個 別 化 予 防 ※ の 推 進 や 日 本 人 の 標 準 ゲ ノ ム
情 報 の 取 得 、 関 係 機 関 と 協 働 し て 取 り 組 む こ と に よ る 疾 患 発 症 機
序 の 解 明 や 創 薬 ・ バ イ オ マ ー カ ー の 開 発 な ど 、 日 本 全 体 の ヒ ト ゲ
ノ ム 研 究 の 推 進 と オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 を 目 指 す こ と が 求 め
ら れ る 。
( 1 ) 第 3 期 事 業 の 基 本 的 方 向 性
協 力 い た だ い た 方 々 の 血 清 、 D N A及 び 臨 床 情 報 に つ い て は 、
国 家 的 な 重 要 資 産 と し て 恒 久 的 に 利 用 可 能 な デ ー タ 化 を 図 る
た め の 責 任 を 持 っ た 取 組 が 必 要 で あ る 。 す な わ ち 、 こ れ ま で に
収 集 さ れ た 対 象 疾 患 47疾 患 に つ い て は 、 可 能 な 限 り 全 て の 研 究
協 力 者 の D N A試 料 を 用 い た ゲ ノ ム ワ イ ド S N P解 析 を 完 了 す る こ
と が 望 ま れ る 。 ま た 、 ヒ ト ゲ ノ ム 解 析 技 術 の 進 展 に 合 わ せ た 全
ゲ ノ ム シ ー ク エ ン ス 解 析 も 順 次 行 っ て い く 必 要 が あ り 、 解 析 を
進 め て い く た め に 必 要 な 包 括 的 同 意 の 在 り 方 も 含 め て 、 関 連 す
る 諸 活 動 と 連 携 し つ つ 、 E LS I委 員 会 等 と の 協 議・協 働 で 計 画 を
立 案 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。 他 方 、 患 者 の 追 跡 調 査 ( 生 存 調 査 ) を 継 続 し て 実 施 し て い く
こ と は も ち ろ ん で あ る が 、 従 来 行 っ て き た 疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子
※ : 本 プ ロ グ ラ ム で は 、 生 ま れ つ き 持 っ て い る 遺 伝 的 多 様 性 を 用 い た 疾 患 の 一 次 予
防 を 指 す 。
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及 び 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 同 定 の う ち 、 特 に オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 を
早 期 に 実 現 す る た め 、 薬 剤 関 連 遺 伝 子 に つ い て は 、 関 連 遺 伝 子
の 同 定 及 び 遺 伝 子 情 報 を 用 い た 臨 床 応 用 を 一 層 加 速 化 さ せ 、 早
期 の 臨 床 現 場 で の 活 用 を 図 る 。 さ ら に 、 第 2 期 後 半 よ り 開 始 し
た 生 存 調 査 結 果 を 活 用 し 、 第 3 期 で は 新 た に ゲ ノ ム 解 析 に よ る
疾 患 予 後 ・ 重 症 化 関 連 遺 伝 子 の 同 定 や そ の リ ス ク を 修 飾 す る 治
療 法 を 同 定 す る こ と で 、 個 人 の 遺 伝 情 報 に 応 じ た 最 適 な 治 療 法
の 解 明 に 取 り 組 む こ と が 望 ま れ る 。 ま た 、 未 だ 解 明 さ れ て い な い 疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 の 同 定 に 向
け た 詳 細 な 解 析 を 継 続 し て 行 う 。 な お 、こ の 際 得 ら れ た デ ー タ や 試 料( 血 清 及 び D N A)は 、個
人 の 遺 伝 情 報 に 基 づ い た 疾 患 予 防 ( 個 別 化 予 防 ) に 貢 献 す る べ
く 東 北 M M B等 の 住 民 コ ホ ー ト と の 連 携 を 図 る と と も に 、ナ シ ョ
ナ ル・セ ン タ ー・バ イ オ バ ン ク・ネ ッ ト ワ ー ク( N a t i o n a l C e n t e r B i o b a n k N e t w o r k: N C BN) を 含 め て 体 制 を 強 化 す る こ と で 、 今
後 の 我 が 国 に お け る ゲ ノ ム 医 療 を 支 え る オ ー ル ジ ャ パ ン 体 制
の 研 究 基 盤 整 備 に 努 め る 。
( 2 ) 具 体 的 事 項
項 目 ご と の 具 体 的 な 検 討 結 果 は 以 下 の 通 り で あ る 。 な お 、 現
時 点 で 想 定 さ れ る ロ ー ド マ ッ プ を 別 添 に 示 す 。
ア バ ン ク 機 能
対 象 と な る 疾 患 に つ い て は 、 選 択 と 集 中 の 上 、 新 た な 試 料 の
収 集 を 実 施 し 、 研 究 基 盤 と な る B B J の機 能 強 化 を 図 る 。
( ア ) 対 象 疾 患 新 規 試 料 収 集 の 対 象 と な る 疾 患 は 、 第 1 期 で 収 集 し た 47疾
患 の う ち 、 国 民 の 健 康 ・ 生 活 に 多 大 な 影 響 を も た ら す 疾 患 、
つ ま り 我 が 国 の 主 要 な 死 亡 原 因 で あ り 、有 病 率 が 高 く 、かつ 、
重 大 な 合 併 症 を 引 き 起 こ す お そ れ の あ る 疾 患 に 重 点 化 を 図 る
べ く 、 が ん 、 循 環 器 疾 患 、 薬 剤 関 連 、 自 己 免 疫 疾 患 、 呼 吸 器
疾 患 等 の 34疾 患 に 絞 り 込 む と と も に 、東北 M M B等 他 バ ン ク 事
業 と の 連 携 等 を 踏 ま え 、 社 会 的 影 響 の 大 き い 3 疾 患 を 新 た に
追 加 す る ( 別 紙 4 ) 。
な お 、 が ん 、 循 環 器 疾 患 、 薬 剤 関 連 に つ い て は 、 「 特 に 力
点 を 置 い た 疾 患 」 と し て 、 優 先 的 な 収 集 ・ 解 析 を 行 う 一 方 、
そ の 他 の 疾 患 に つ い て も 、 我 が 国 の ゲ ノ ム 医 療 の 発 展 に 欠 か
せ な い 貴 重 な 試 料 ・ デ ー タ と な る た め 、 特 に 、 も う 少 し の 試
料 収 集 で 関 連 遺 伝 子 同 定 に つ な が る と 考 え ら れ る 疾 患 に つ い
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て は 、 バ ン ク 機 能 維 持 の た め 試 料 収 集 に 努 め る 。 た だ し 、 薬 剤 関 連 の う ち 、 発 生 頻 度 が 稀 で 副 作 用 が 甚 大 で
あ る 症 例 も あ る こ と か ら 、 関 連 遺 伝 子 同 定 に つ な が る こ と を
配 慮 し つ つ 、 試 料 収 集 に 努 め る こ と が 求 め ら れ る 。 ま た 、 第 1 期 登 録 者 の う ち 追 跡 対 象 と な る 32 疾 患 ( 15 万
人 分 ) に つ い て は 、 生 存 調 査 を 継 続 す る 。
( イ ) 採 取 試 料 ・ 人 数
新 た に 10 万 人 分 の D N A( 血 液 ) 及 び 臨 床 情 報 を 収 集 し 、
引 き 続 き 生 存 調 査 を 実 施 す る 。 一 方 、 第 1 期 の 登 録 者 で あ る 20 万 人 ( 47 疾 患 ) に つ い て
は 、 将 来 の ゲ ノ ム 医 療 の 進 展 の た め に 極 め て 貴 重 な 試 料 や 情
報 で あ る こ と か ら 、 試 料 の 利 活 用 を 促 進 し 、 利 活 用 状 況 と 保
管 キ ャ パ シ テ ィ ー や 予 算 状 況 を 考 慮 し つ つ 、 が ん と 循 環 器 疾
患 を 中 心 に 選 択 と 集 中 の 上 、 相 応 の 予 算 確 保 等 に よ り 、 可 能
な 限 り 収 集 す る よ う 努 め る 。 な お 、 新 規 試 料 の 収 集 及 び 既 存 試 料 の 取 扱 い に つ い て は 、
東 北 M M B と 連 携 し 、 偶 発 的 所 見 ( イ ン シ デ ン タ ル ・ フ ァ イ
ン デ ィ ン グ ス ) の 取 扱 い 等 全 ゲ ノ ム シ ー ク エ ン ス 解 析 へ 発 展
さ せ る こ と に 伴 う 倫 理 面 の 課 題 に つ い て も 検 討 す る 必 要 が あ
る 。 試 料 の 採 取 ・ 保 管 に つ い て は 適 切 に 実 施 さ れ て お り 、 今 後
も 継 続 す る よ う 努 め る 。 臨 床 情 報 に つ い て は 、 疾 患 ご と に 項
目 が 詳 細 に 規 定 さ れ 、 国 際 基 準 に 合 わ せ て 適 宜 変 更 さ れ て い
る こ と か ら 、 研 究 を 行 う 上 で 十 分 な 情 報 が 収 集 さ れ て い る 。
更 に IT 化 等 の 進 展 も に ら み な が ら 、臨 床 情 報 の 質 の 向 上 に 努
め る 。
( ウ ) 実 施 体 制
現 在 の 推 進 体 制 を 継 続 す る と と も に 、 こ れ ま で 実 施 担 当 者
及 び 関 係 者 の 努 力 に よ り 、 限 ら れ た ス タ ッ フ で 収 集 ・ 調 査 ・
保 管 ・ 解 析 ・ 研 究 等 の 業 務 を 行 っ て き た と こ ろ で あ る が 、 今
般 の 新 た な 事 業 の 追 加 や 臨 床 応 用 に 伴 う 業 務 量 の 増 加 を 考 慮
し 、 人 員 体 制 の 抜 本 的 な 見 直 し を 図 る と と も に 、 そ れ に 応 じ
た 予 算 の 確 保 が 必 要 で あ る 。 具 体 的 に は 、 バ ン ク 機 能 を 含 め た 各 種 取 組 を 円 滑 に 推 進 す
る た め に 必 要 な ス タ ッ フ 等 を 配 置 す る た め 、 収 集 し た 臨 床 情
報 や 追 跡 情 報 を 整 備 す る た め の 疫 学 ・ 臨 床 デ ー タ を 取 り 扱 う
人 材 を 含 む 体 制 強 化 や 、 安 定 か つ 継 続 的 な 追 跡 調 査 を 実 施 す
る た め の 事 務 局 機 能 や 協 力 医 療 機 関 体 制 の 強 化 等 を 図 る 。
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( エ ) 試 料 等 の 提 供
外 部 機 関 に 試 料 を 提 供 す る 際 は 、 こ れ ま で 試 料 等 配 布 審 査
会 で の 審 査 を 経 た 上 で 、 試 料 と と も に 年 齢 ・ 性 別 の ほ か 群 別
情 報 と し て 5 項 目 に 限 定 し た 臨 床 情 報 を 提 供 し て き た 。 本 プ
ロ グ ラ ム の 協 力 者 の 意 思 に 鑑 み 、 本 プ ロ グ ラ ム の 目 的 で あ る
オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 の た め の 利 活 用 等 を 審 査 基 準 と す
る 現 審 査 体 系 は 堅 持 し 、 真 に オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 に 資 す る 研
究 開 発 に 対 し て 有 効 活 用 さ れ る こ と を 担 保 す る 。 そ の 上 で 、
今 後 、 研 究 者 や 薬 業 界 に よ り 広 く 活 用 し て も ら う た め 、 試 料
提 供 時 の 個 人 別 臨 床 情 報 の 項 目 数 の 増 加 や 手 続 き の 簡 素 化 な
ど を 図 る こ と と す る 。 し か し な が ら 、 本 プ ロ グ ラ ム が 国 費 で
実 施 さ れ て い る プ ロ グ ラ ム で あ る こ と を 考 慮 し て 、 今 後 の 試
料 配 布 の 手 続 き に つ い て 検 討 す る こ と が 重 要 で あ る 。 具 体 的 に は 、 試 料 配 布 実 績 の 向 上 の た め 、 試 料 提 供 の 際 に
付 随 す る 個 人 別 臨 床 情 報 に つ い て 、 可 能 な 範 囲 で 解 析 に 必 要
な 項 目 を 提 供 す る こ と 、 申 請 書 記 入 要 領 ・ 記 入 例 の 作 成 、 件
数 に 応 じ た 費 用 負 担 の 低 廉 化 な ど 、 利 用 者 の ニ ー ズ を 踏 ま え
た 改 善 を 図 る こ と が 望 ま れ る 。
ま た 、 こ れ ま で に 収 集 し た 血 清 の 有 効 活 用 方 法 と し て 、 先
行 し て い る 研 究 機 関 、 製 薬 企 業 等 へ の 積 極 な 提 供 を 図 る こ と
が 望 ま れ る 。 な お 、 こ の 際 、 プ ロ テ オ ー ム ・ メ タ ボ ロ ー ム 解
析 等 あ ら か じ め イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト を 取 っ て い な い 解
析 を 実 施 す る 場 合 は 、 医 療 倫 理 と し て 、 提 供 者 へ の イ ン フ ォ
ー ム ド コ ン セ ン ト に 代 わ る 手 段 等 に つ い て E LS I 委 員 会 で の
検 討 が 必 要 で あ る 。
イ ゲ ノ ム 解 析 ( 疾 患 関 連 遺 伝 子 ・ 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 同 定 ) 等
( ア ) 対 象 疾 患 ・ 薬 剤
○ 疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 の 同 定
疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 が 同 定 さ れ て い な い 疾 患( 約 20 疾 患 )
に つ い て は 、 ゲ ノ ム 解 析 を 継 続 し 新 た な 疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子
の 同 定 を 目 指 す 。 す で に 疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 が 同 定 さ れ て い
る 疾 患 に つ い て も 、 バ ン ク 機 能 の 強 化 に よ り 得 ら れ る 新 規 試
料 を 用 い て 網 羅 的 な 疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 の 同 定 を 目 指 す こ と
と す る 。 な お 、 こ の 場 合に あ っ て も 、 前 述の 通 り 、 特 に 力 点を 置 い
た 疾 患 に つ い て 優 先 的 な 解 析 を 行 う 一 方 、 そ の 他 の 疾 患 に つ
い て も 、 特 に 、 も う 少 し の 試 料 収 集 で 関 連 遺 伝 子 同 定 に つ な
が る と 考 え ら れ る 疾 患 を 優 先 す る こ と と す る 。
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○ 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 同 定 優 先 し て 同 定 す べ き 薬 剤 関 連 遺 伝 子 と し て 、 ① 使 用 頻 度 が
高 く 、効 果 に 個 人 差 が あ る 薬 剤 、② 副 作 用 が 甚 大( 数・程 度 )
で あ る 薬 剤 と す る ( 抗 が ん 剤 等 ) 。 な お 、 同 定 さ れ た 薬 剤 関
連 遺 伝 子 に つ い て は 、 臨 床 応 用 に 向 け た 研 究 を 加 速 さ せ 、 早
期 の 臨 床 現 場 で の 活 用 を 図 る 。
○ 疾 患 予 後 ・ 重 症 化 関 連 遺 伝 子 の 同 定 優 先 し て 同 定 す べ き 疾 患 予 後・重 症 化 関 連 遺 伝 子 と し て は 、
特 に 力 点 を 置 い た 疾 患 を 中 心 に 、 ① 症 例 数 の 多 い 疾 患 、 ② 死
亡 ・ 重 篤 化 リ ス ク の 大 き い 疾 患 と す る ( 糖 尿 病 、 高 脂 血 症 、
心 筋 梗 塞 、 脳 梗 塞 、 が ん 等 ) 。 な お 、同 定 さ れ た 疾 患 予 後・重 症 化 関 連 遺 伝 子 に つ い て は 、
遺 伝 要 因 と 環 境 要 因 を 統 合 し た デ ー タ 解 析 の た め の 多 因 子 疾
患 解 析 プ ロ グ ラ ム の 開 発 が 、 将 来 の 罹 患 後 の 重 症 化 ・ 合 併 症
の 予 防 た め に 重 要 で あ る 。 ま た 、 本 項 は 、 今 般 は じ め て 取 り
組 む 課 題 と な る こ と か ら 、 専 門 家 間 で の 十 分 な 検 討 、 必 要 に
応 じ て 関 係 学 会 と の 連 携 や 疾 患 ご と に プ ロ ジ ェ ク ト を 組 織 し
て 対 応 す る よ う 留 意 す る と と も に 、 人 材 育 成 や 相 応 の 予 算 確
保 が 必 要 で あ る 。
( イ ) ゲ ノ ム 解 析 手 法
協 力 者 か ら 提 供 さ れ た 試 料 に つ い て は 、 国 家 的 な 重 要 資 産
と し て 恒 久 的 に 利 用 可 能 な 電 子 デ ー タ 化 を 図 る た め の 責 任 を
持 っ た 取 組 と し て 、可 能 な 限 り 全 て の 研 究 協 力 者 の D N A試 料
を 用 い た ゲ ノ ム ワ イ ド S N P解 析 を 完 了 す る こ と が 望 ま れ る と
と も に 、 解 析 デ ー タ が 活 用 さ れ る た め の 措 置 を 講 じ る 必 要 が
あ る 。 長 期 的 に は 、 世 界 の ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 に お い て 全 ゲ ノ
ム シ ー ク エ ン ス 解 析 が 中 心 と な る こ と を 見 据 え 、 今 後 の ヒ ト
ゲ ノ ム 解 析 技 術 の 急 速 な 進 展 に 応 じ て 適 宜 、 全 ゲ ノ ム シ ー ク
エ ン ス 解 析 の 手 法 を 取 り 入 れ て い く 。 こ れ に 伴 い 、 パ イ ロ ッ
ト 研 究 等 の 実 施 と 必 要 な 予 算 確 保 が 求 め ら れ る 。 具 体 的 に は 、 パ イ ロ ッ ト 研 究 と し て 以 下 の よ う な 全 ゲ ノ ム
シ ー ク エ ン ス 解 析 の 実 施 を 推 進 す る 。 ① 大 規 模 サ ン プ ル を 用 い た 解 析 が 可 能 な 主 要 疾 患 に 絞 り 、
疾 患 発 症 リ ス ク が 大 き い と 推 定 さ れ る レ ア バ リ ア ン ト 等 の
解 明 を 念 頭 に 置 い た 全 ゲ ノ ム シ ー ク エ ン ス 解 析 を 実 施 ② 同 定 さ れ た 疾 患 関 連 遺 伝 子 領 域 の 詳 細 な シ ー ク エ ン ス 解
析 を 実 施 し 、 レ ア バ リ ア ン ト 等 の 機 能 的 ア レ ル の 同 定 を 目
指 す
ま た 、 全 ゲ ノ ム シ ー ク エ ン ス 解 析 に 当 た っ て は 、 未 だ 解 析
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手 法 が 確 立 さ れ て い な い 現 状 に 鑑 み 、 解 析 に 関 し て 様 々 な ア
プ ロ ー チ を 取 り 入 れ る こ と で 、 試 行 錯 誤 し な が ら よ り よ い 解
析 手 法 を 導 き 出 せ る よ う な 仕 組 み を 検 討 す る べ き で あ る 。
( ウ ) 解 析 デ ー タ の 取 扱 い
本 プ ロ グ ラ ム の イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト に お い て は 、「 研
究 成 果 を 公 表 す る 際 は 個 人 が 特 定 さ れ な い 集 団 と し て の 形 の
公 表 」 と 明 示 し て い る が 、 ゲ ノ ム 解 析 デ ー タ の 提 供 に つ い て
は 明 示 し て い な い こ と か ら 、 本 プ ロ グ ラ ム に お い て は 個 人 の
遺 伝 情 報 の 保 護 及 び デ ー タ 漏 え い の リ ス ク 等 を 考 慮 し 、 外 部
の 研 究 者 等 に は 集 団 と し て の ゲ ノ ム 解 析 デ ー タ を 提 供 し 、 個
人 別 の ゲ ノ ム 解 析 デ ー タ の 提 供 は 実 施 し て い な か っ た( 36 疾
患 の ゲ ノ ム ワ イ ド S N P 解 析 デ ー タ は 、集 団 と し て の 遺 伝 子 型
頻 度 デ ー タ と し て J S N P デ ー タ ベ ー ス よ り 公 開 済 ) 。 そ の た
め 、 外 部 の 研 究 者 等 が 個 人 別 デ ー タ を 利 用 し て 解 析 す る 場 合
に は 、 BBJ 又 は 理 化 学 研 究 所 ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 セ ン タ ー 内 の
セ キ ュ リ テ ィ が 担 保 さ れ た 閉 鎖 ネ ッ ト ワ ー ク で 個 人 別 の 臨 床
デ ー タ ・ 遺 伝 子 型 デ ー タ を 用 い て 解 析 し 、 集 団 と し て の 解 析
結 果 の み を 持 ち 出 す こ と と し て い る 。 今 後 、 研 究 者 や 薬 業 界
に ゲ ノ ム 解 析 デ ー タ を よ り 広 く 活 用 し て も ら う た め 、 セ キ ュ
リ テ ィ に 配 慮 し つ つ 、 個 人 別 の 遺 伝 子 型 デ ー タ 及 び 臨 床 情 報
を 研 究 者 等 に 提 供 で き る 仕 組 み を 検 討 す る 必 要 が あ る 。
具 体 的 に は 、E LS I 委 員 会 等 に お い て 、個 人 別 の 遺 伝 子 型 デ
ー タ 及 び 臨 床 情 報 を 研 究 者 等 に 提 供 す る 上 で 、 協 力 者 へ の 配
慮 及 び セ キ ュ リ テ ィ 面 の 確 保 や デ ー タ 漏 え い の リ ス ク 等 へ の
配 慮 を し つ つ 広 く 利 活 用 を 促 進 す る た め デ ー タ ベ ー ス の 公 開
も 含 め た 仕 組 み を 構 築 す る 。
た だ し 、 外 部 機 関 へ の 提 供 に 当 た っ て は 、 利 用 目 的 、 使 用
方 法 や 知 財 の 取 扱 い 等 に つ い て 、 あ ら か じ め 一 定 の ル ー ル を
定 め る な ど 貴 重 な デ ー タ の 活 用 に 支 障 を き た さ な い よ う 慎 重
に 進 め る こ と が 重 要 で あ る 。
ま た 、 従 来 か ら 実 施 し て い る 外 部 の 研 究 者 等 が デ ー タ 解 析
す る 際 の 研 究 支 援 に つ い て は 、 的 確 な デ ー タ 提 供 に 資 す る た
め 、 今 後 と も 上 記 の ス キ ー ム を 継 続 し 支 援 す る こ と が 肝 要 で
あ る 。
な お 、 国 民 の 理 解 に 寄 与 す る た め 、 各 疾 患 に 関 す る リ ス ク
の ま と め ( 例 え ば 高 血 圧 に 関 与 す る と 現 在 ま で に 分 か っ て い
る 遺 伝 因 子 の 総 リ ス ク ) を 取 り ま と め 、 公 表 す る ( 本 プ ロ グ
ラ ム 及 び 他 研 究 を ま と め た も の ) よ う 努 め る こ と も 求 め ら れ
る 。
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ウ 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 臨 床 応 用
臨 床 応 用 を 推 進 す る た め 、 相 応 の 予 算 を 確 保 す る と と も に 、
文 部 科 学 省 の 他 事 業( 橋 渡 し 研 究 支 援 推 進 プ ロ グ ラ ム 等 )や 厚
生 労 働 省 等 の 他 事 業 ( 個 別 化 医 療 に 資 す る 医 薬 品 開 発 の 推 進
等 ) と の 連 携 を 推 進 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 今 後 は 、 同 定 さ れ た 薬 剤 関 連 遺 伝 子 の 臨 床 応 用 に 要 す
る 諸 課 題 ( 保 険 収 載 に 向 け た 医 療 経 済 的 視 点 等 ) を 検 討 す る 必
要 が あ る 。
エ 疾 患 発 症 ・ 予 後 関 連 遺 伝 子 の 臨 床 応 用 の 方 向 性
疾 患 発 症 関 連 遺 伝 子 を 基 に し た 創 薬 や 個 別 化 予 防 に つ い て
は 、 本 プ ロ グ ラ ム と し て の 役 割 を 踏 ま え 、 同 定 さ れ た 関 連 遺 伝
子 の 解 析 デ ー タ 等 を 他 の バ ン ク や 研 究 機 関 に 提 供 す る な ど の
連 携 を 継 続 し て い く こ と が 肝 要 で あ る 。
一 方 、 本 プ ロ グ ラ ム と し て も 、 関 係 機 関 と と も に 個 々 の 疾 患
に 対 し て ど の よ う に 対 処 し て い く べ き か を 見 据 え た 議 論 や 解
析 ・ 研 究 に 積 極 的 に 参 加 し 、 病 変 組 織 、 遺 伝 子 改 変 動 物 、 i P S細 胞 等 を 用 い た 遺 伝 子 の 機 能 解 析 に よ る 新 規 疾 患 発 症 機 序 の
解 明 や 、 そ れ に 基 づ く 創 薬 ・ バ イ オ マ ー カ ー の 開 発 に つ い て 協
働 し て 取 り 組 む よ う 努 め る こ と が 望 ま れ る 。
ま た 、 疾 患 予 後 ・ 重 症 化 関 連 遺 伝 子 に つ い て は 、 各 遺 伝 子 の
同 定 や 遺 伝 子 の リ ス ク を 修 飾 す る 治 療 法 の 同 定 を 経 て 、 速 や か
に 臨 床 応 用 へ 展 開 す る こ と が 望 ま れ る 。
オ 公 募 研 究 の 推 進 ・ 他 プ ロ ジ ェ ク ト と の 連 携
第 2 期 公 募 研 究 の う ち 、が ん 及 び メ タ ボ の 2 領 域 に つ い て は 、
事 後 評 価 委 員 会 で の 評 価 が 高 く 社 会 的 に も 重 要 な 疾 患 で あ る
こ と か ら 、 第 3 期 に お い て も 公 募 に よ る オ ー ル ジ ャ パ ン 体 制 の
研 究 を 推 進 す る こ と と す る 。 ま た 、 他 国 や 国 際 プ ロ ジ ェ ク ト と の 連 携 、 特 に 民 族 間 で の 比
較 が 重 要 な ア ジ ア 諸 国 間 で の 比 較 検 討 を 継 続 す る と と も に 、 国
内 で の 文 部 科 学 省 次 世 代 が ん 研 究 戦 略 推 進 プ ロ ジ ェ ク ト 、 脳 科
学 研 究 戦 略 推 進 プ ロ グ ラ ム や 他 省 の 研 究 プ ロ グ ラ ム と の 連 携
を 推 進 す る 必 要 が あ る 。
カ 他 の バ イ オ バ ン ク と の 連 携
( ア ) 東 北 M M B 等 の 住 民 バ ン ク
東 北 M M Bは 、① 日 本 人 数 千 人 の 全 ゲ ノ ム 解 読 に よ る 日 本 人
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ゲ ノ ム 多 型 頻 度 リ ス ト の 作 成 、 ② 三 世 代 コ ホ ー ト や 住 民 コ ホ
ー ト を 用 い た 疾 患 に 関 連 す る 遺 伝 要 因 や 環 境 要 因 の 探 索 、 ③
プ ロ テ オ ー ム 解 析 等 に よ る 診 断 バ イ オ マ ー カ ー の 特 定 等 に よ
る 次 世 代 型 医 療 の 開 発 を 目 標 と し て い る 。 本 プ ロ グ ラ ム は 、こ れ ら の 東 北 M M Bが 実 施 す る 事 業 に 協 力
す る こ と と す る 。 具 体 的 に は 、 本 プ ロ グ ラ ム で 得 ら れ た デ ー
タ や 試 料( 血 清 及 び D N A)を 利 活 用 し 、 上 記 の ゲ ノ ム 解 析 研
究 に 協 力 す る と と も に 東 北 M M Bが 目 標 と す る 個 別 化 予 防 の
実 現 に 寄 与 す る こ と と す る 。
( イ ) N C B N 等 の 患 者 バ ン ク
N C BN の バ ン ク に は 細 胞 、 組 織 な ど の 貴 重 な 試 料 が 豊 富 に
存 在 し て お り 、 B BJ は そ の よ う な 他 の バ イ オ バ ン ク の 特 質 を
い か し た 連 携 研 究 を 推 進 す る こ と が 望 ま れ る 。 す で に 国 立 が
ん 研 究 セ ン タ ー と 実 施 し て い る 共 同 研 究 と 同 様 に 、 他 の ナ シ
ョ ナ ル セ ン タ ー に つ い て も 疾 患 関 連 遺 伝 子 の 同 定 等 を 目 的 と
し た 共 同 研 究 を 検 討 す る こ と と す る 。
キ そ の 他
( ア ) E L S I( 倫 理 的 ・ 法 的 ・ 社 会 的 課 題 )
E LS I委 員 会 の 役 割 と し て 、文 部 科 学 省 か ら 諮 問 さ れ る 倫 理
的 ・ 法 的 ・ 社 会 的 課 題 に つ い て 、 必 要 に 応 じ て 他 バ ン ク 事 業
の E LS I委 員 会 と 協 働 し な が ら 検 討 ・ 整 理 し て い く 必 要 が あ
る 。
特 に 近 年 、 様 々 な バ ン ク 事 業 や ゲ ノ ム コ ホ ー ト へ の 取 組 が
進 捗 し て お り 、 ま た 解 決 す べ き 共 通 課 題 が 増 え て い る こ と に
鑑 み 、関 連 す る 諸 活 動 と の 連 携 を 強 化 す る と と も に 、倫 理 的・
法 的 ・ 社 会 的 課 題 に 迅 速 か つ 的 確 に 取 り 組 む 企 画 ・ 運 営 が で
き る 体 制 の 構 築 を 図 る 。
( イ ) 本 プ ロ グ ラ ム の 有 す る 機 能 を 長 期 間 維 持 さ せ る 仕 組 み
本 来 、 バ イ オ バ ン ク と は 様 々 な 研 究 に 活 用 す る た め の 研 究
基 盤 で あ り 、 そ の 役 割 を 果 た す た め に は 、 長 期 的 に 維 持 ・ 運
営 さ れ る べ き で あ る 。 本 プ ロ グ ラ ム に よ り 整 備 さ れ た BBJは 、 現 在 、 国 内 で 最 大
の 患 者 バ ン ク と し て 優 れ た 研 究 資 源 を 保 管 す る と と も に 、 プ
ロ グ ラ ム 内 に ゲ ノ ム 解 析 機 能 を 具 備 し 、 オ ー ダ ー メ イ ド 医 療
の 実 現 に 向 け た 総 合 的 な 研 究 基 盤 と し て そ の 役 割 を 果 た し て
い る と こ ろ で あ る 。 こ れ ま で 2 期 に 亘 る 本 プ ロ グ ラ ム の 取 組 に お い て 導 か れ た
成 果 を 踏 ま え る と 、 B BJが オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 に 向 け
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た 研 究 に 必 要 不 可 欠 で あ り 、 か つ 、 ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 全 般 に
お い て も 優 れ た 有 用 な 研 究 基 盤 ・ 研 究 資 源 で あ る と 言 え る 。
文 部 科 学 省 に お い て は 、 こ の 点 を 充 分 に 認 識 し 、 本 プ ロ グ
ラ ム の 有 す る 機 能 を 長 期 に 亘 り 維 持 す る た め の 予 算 的 ・ 組 織
的 方 策 に つ い て 検 討 し 、実 現 し て い く こ と が 強 く 求 め ら れ る 。
( ウ ) 医 療 情 報 の IT 化
現 在 の 電 子 カ ル テ は 、 臨 床 現 場 で の 個 々 の 患 者 と 医 療 者 と
の 間 で の 使 用 を 中 心 に 設 計 さ れ て い る も の が 多 い こ と や デ ー
タ ベ ー ス や 電 子 カ ル テ に 関 わ る 人 材 不 足 等 か ら 、 医 療 情 報 の
研 究 利 用 等 の 大 き な 障 壁 の 一 つ に な っ て い る 。し か し な が ら 、
東 北 M M B等 他 バ ン ク に お い て は 医 療 情 報 の IT化 の 統 合 を 視
野 に 入 れ 、 電 子 カ ル テ を 介 し た 医 療 情 報 の 収 集 等 に 取 り 組 も
う と し て い る 。 今 後 、 医 療 情 報 の 利 活 用 促 進 の た め 、 電 子 カ ル テ の デ ー タ
を 研 究 の た め に 集 計・解 析 で き る よ う な 設 計 の 改 善 を 含 め た 、
我 が 国 全 体 と し て の 医 療 情 報 の 電 子 化 の 推 進 を 目 指 し た 様 々
な 取 組 が 望 ま れ る 。 こ の よ う な 基 盤 が 整 備 さ れ れ ば 、本 プ ロ グ ラ ム に お い て も 、
現 在 、 メ デ ィ カ ル コ ー デ ィ ネ ー タ ー が 手 作 業 で 収 集 し て い る
診 療 情 報 に 関 し て 効 率 的 な 収 集 が 可 能 と な る も の と 期 待 す
る 。
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4 お わ り に
「 オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 プ ロ グ ラ ム 」 は 、 そ の 立 案 当 初 か
ら 、 我 が 国 の ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 領 域 の 中 で 、 先 進 的 か つ 他 に 例 の
な い プ ロ グ ラ ム で あ る 。 先 駆 者 と し て 、 様 々 な 困 難 を 克 服 し て 体
制 を 整 備 し つ つ 研 究 を 実 施 し て お り 、 関 係 者 の 努 力 は 大 い に 評 価
さ れ る べ き も の で あ る 。 そ の 結 果 、 第 1 期 、 第 2 期 に お い て 、 世
界 最 大 規 模 の ゲ ノ ム 研 究 基 盤 で あ る BBJを 構 築 す る と と も に 、 収
集 し た 試 料 を 用 い て 、 多 く の ト ッ プ ジ ャ ー ナ ル に 掲 載 さ れ る 研 究
を 輩 出 し 、 国 内 で は 他 の 追 随 を 許 さ な い 成 果 を 上 げ て い る 。 さ ら
に 、 様 々 な 共 同 研 究 等 を 通 し て 、 他 の 研 究 機 関 等 の ゲ ノ ム 研 究 の
支 援 も 実 施 し て い る 。 こ の よ う な こ と か ら 、 本 プ ロ グ ラ ム は 、 今
後 、 我 が 国 に お い て オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 実 現 に 向 け た 必 要 不 可 欠
な 基 盤 で あ り 研 究 で あ る 。
ヒ ト ゲ ノ ム 解 析 研 究 は 、 そ の 進 展 が 著 し い 分 野 で あ り 、 最 新 の
科 学 的 知 見 や 必 要 性 等 を 踏 ま え る こ と が 必 要 で あ る 。 特 に 、 技 術
の 進 展 が 著 し い 全 ゲ ノ ム シ ー ク エ ン ス 解 析 に つ い て は 、導 入 時 期 、
倫 理 面 の 課 題 等 に つ い て 、 本 プ ロ グ ラ ム だ け で な く オ ー ル ジ ャ パ
ン 体 制 で 検 討 し て い く 必 要 が あ る 。 一 方 、 こ の 分 野 に つ い て は 、 厚 生 労 働 省 な ど 他 省 庁 の プ ロ ジ ェ
ク ト 、東 北 M M B等 の 地 域 を 対 象 と し た ゲ ノ ム コ ホ ー ト 研 究 、文 部
科 学 省 科 学 研 究 費 の 特 定 領 域 研 究 な ど に お い て も 取 り 組 ま れ て い
る ほ か 、 各 大 学 、 研 究 機 関 等 に お い て 小 規 模 で は あ る が 多 様 な 研
究 が 実 施 さ れ て い る 。 こ れ ら の 他 の 関 連 事 業 と の 連 携 を 図 り 、 そ
れ ぞ れ の 試 料 を 共 有 化 し 、 解 析 情 報 ・ 結 果 を 統 合 的 に 集 約 す る こ
と や 、 デ ー タ 等 の 統 一 化 を 図 る こ と が 、 こ の 領 域 の 我 が 国 の 研 究
を よ り 発 展 さ せ る た め に 有 用 で あ る と 考 え ら れ 、 こ れ ら の 課 題 に
つ い て も プ ロ ジ ェ ク ト を 横 断 し た 議 論 が 必 要 で あ る こ と を 付 言 す
る 。
ま た 、 本 検 討 会 で 提 案 し た 内 容 に つ い て は 、 プ ロ グ ラ ム の 推 進
委 員 会 等 で 、 実 際 に 進 め て い く た め の さ ら な る 具 体 的 な 検 討 を 行
い 、 で き る 限 り 取 り 入 れ て い た だ き た い 。 な お 、 本 検 討 会 で 結 論
に 至 ら な か っ た 事 項 に 関 し て も 、 検 討 が 終 わ り 次 第 、 プ ロ グ ラ ム
に 組 み 込 ん で い た だ き た い 。 文 部 科 学 省 に は 、 オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 の た め に は 本 プ ロ
グ ラ ム の 安 定 的 な 運 営 が 必 要 で あ る こ と を 認 識 の 上 で 、 そ の た め
に 必 要 な 予 算 措 置 等 の 努 力 を 求 め る と と も に 、 本 プ ロ グ ラ ム の 有
す る 機 能 の 有 用 性 を 踏 ま え 、 オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 の 実 現 も 含 め た
ゲ ノ ム 医 科 学 研 究 発 展 の た め の 研 究 基 盤 と し て 、 そ の 機 能 を 長 期
間 維 持 さ せ る た め の 仕 組 み 作 り に 取 り 組 ん で も ら い た い 。
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今 回 、本検 討 会 が 提 案 し た 内 容 が 結 実 し 、本プ ロ グ ラ ム に よ り 、
国 民 へ の 成 果 還 元 が 図 ら れ 、 オ ー ダ ー メ イ ド 医 療 が 実 現 す る 社 会
が 一 日 も 早 く 到 来 す る こ と を 期 待 す る 。
オーダーメイド医療の実現プログラム(第3期)のロードマップ 別 添
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2013年3月版
1.バイオバンク機能の拡充
第1期登録例(47疾患20万人30万症例)
新規試料収集(DNA抽出含む)
医療機関システム整備
事務局機能強化
試料・解析データの配布
試料(特に血清)の利活用促進
バイオバンクの維持・管理
2.ゲノム解析
シークエンス機器整備
3.疾患(発症・予後)関連遺伝子研究
全ゲノムSNP解析
全ゲノムシーケンス
多因子解析アルゴリズムの開発
疾患発症関連遺伝子の同定
疾患予後・重症化関連遺伝子の詳細解析
4.薬剤関連遺伝子の臨床応用
薬剤応答性に関する希少試料収集(外部医療機関との連携)
全ゲノムSNP解析(上記3.に包含)
全ゲノムシーケンス(上記3.に包含)
薬剤反応性関連遺伝子の同定
臨床研究
5.疾患関連遺伝子研究(公募)
データ共有化の検討
WGSへ発展させることに伴う倫理的課題の検討
共有化データのフォーマット設計
共有データベースの構築
合計 204億(232億) 52.2億 14.2億(22.2億) 32億(42億) 32億(42億) 42億 31.6億
6.東北MMB等住民コホートとの連携による個別化予防法の開発
※:()内は、がん薬物療法の個別適正化プログラムの予算額を加えた額
2012(補正) 2013 2014 2015 2016 2017
新たな配布方法等の実施及び配付条件のHP公開
データベース整備、
DNA・血清バンク整備、
データ提供するための基盤整備
医療機関システム整備
2万人 2万人 2万人 2万人 2万人
がん、循環器・メタボ疾患、薬剤関連を中心に新規試料収集(目標10万人)
生存調査生存調査生存調査
提供方法・条件
の検討
パイロット研究の
ための機器整備
パイロット研究
解析技術の動向に合わせて追加整備を検討
(15万例終了)
症例数拡大による新たな疾患発症関連遺伝子の同定
1万人0.5万人150人
東北MMBとの連携によりレアバリアント解析
複数の遺伝要因と治療要因を同時に考慮した解析手法の開発、予測アルゴリズムの開発
本格実施
本格的に実施(バイオバンク収集サンプルの解析、1サンプル5万円以下の前提)
2万人 4.5万人
希少試料のため、専門医と連携し、試料収集保管、IC等の検討
がん、循環器(メタボ)疾患について、全国の研究機関より公募し、重点的にゲノム研究を実施
(6薬剤) (6薬剤)
東北MMBが実施するゲノム解析研究に対し、本プログラムで得られたデータや試料(血清及びDNA)を提供する
ことで協力する。
倫理面・実務面での課題を検討
条件検討
全国の研究グループ・製薬企業を中心に試料を提供
社会的に重要な薬剤反応性を中心に実施(2015年までは抗がん剤を除く)
IC等との検討
次世代がんで実施
0.2万人 0.2万人 0.2万人0.2万人
本格実施
世界の主なバイオバンク
② BioVU(米)患者30万人(現在約12万)
2007年~
① Kaiser biobank (RPGEH、米) *保険加入者50万人(現在17万
人)、2011年~
②バイオバンク・ジャパン(BBJ、日)患者20万人(2008年登録完了)
2003年~
① CARTaGENE(カナダ)住民約2万人、2009年~
Biobanking and Biomolecular Resources Research Infrastructure (BBMRI、欧州)
54コンソーシアム・225組織(30カ国)によるバンク試料・データのネットワーク
2008年~
① LifeGene (スウェーデン)住民約50万人、2010年~
① Estonian Genome Project(エストニア)
住民5万人、2003年~
① Korea Biobank Network (韓)患者 (20万人)・健常者(30万人)、
2008年~
Personal medicine-the new banking crisis (Scott CT. Nat Biotech. 2012;30:141-147)を基に、各国の代表的なバイオバンクを東京大学医科学研究所公共政策研究分野がまとめた。なお、試料集積型のバイオバンク(Coriel Cell Repositories、Genethon DNA and Cell Bank等)は除外している。
①住民バンク
②患者バンク
①Million Veteran Program (MVP、米)退役軍人100万人、2011年~
* 8万人のGWAS解析済
① UKバイオバンク(英)住民50万人(2010年登録完了)
2006年~
別紙1
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ゲノム研究が医学・医療の発展にもたらすもの
疾患または薬剤関連遺伝子・遺伝子多型の発見
治療の最適化
予後予測
予防
オーダーメイド医療
遺伝的素因(体質)の解明
医学的進歩
早期診断
バイオマーカー
治療薬の開発
遺伝子の機能解析新規発症機序の解明
別紙2
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国内の主なバイオバンクの状況
我が国でも最近、住民バンクおよび患者バンクが急速に増加しつつある・個別化予防・個別化医療の実現に向けて、これらのバイオバンクが連携していくことが重要
大規模/多目的
患者
健常者
小規模/特定目的(特定疾患)
バイオバンク・ジャパン(BBJ)/東大医科研・理研
2003年~/20万人47疾患・12医療機関
ナショナルセンターバンク(NCBN)・国立がん研究センター・国立循環器病研究センター・国立精神・神経医療研究センター・国立長寿医療研究センター・国立国際医療研究センター・国立成育医療研究センター
難病バンク医薬基盤研究所
東北メディカル・メガバンク東北大学・岩手医科大学
2013年~/被災住民8万人+3世代7万人
JPHC/JPHC-NEXT国立がん研究センター
1990年~/10万人
J-MICC研究愛知がんセンター等、多施設共同研究
1990年~/8万人、愛知がんセ・名大
山形分子疫学コホート 2002年/9100人
滋賀県ながはま0次予防コホート京都大学
2002年/9100人
福岡県久山町コホート九州大学
追跡率99%・剖検率80%50年の歴史/8000人
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別紙3
新規サンプル収集対象37疾患がん • 肺癌 • 食道癌 • 胃癌 • 大腸・直腸癌
• 肝癌 • 膵癌 • 胆嚢・胆管癌 • 前立腺癌
• 乳癌 • 子宮頚癌 • 子宮体癌 • 卵巣癌
• 造血器腫瘍
循環器・代謝疾患 • 脳梗塞• 脳動脈瘤・クモ膜下出血
• 糖尿病 • 高脂血症
• 心筋梗塞 • 安定狭心症 • 不安定狭心症 • 閉塞性動脈硬化症
• 不整脈 • 心不全
自己免疫疾患 • 気管支喘息 • 関節リウマチ • アトピー性皮膚炎
呼吸器疾患 • 肺線維症 • COPD
薬剤 • 薬疹 • てんかん
その他 • 骨粗鬆症 • 肝硬変 • C型慢性肝炎 • B型慢性肝炎
(新規疾患) • 脳出血 • 認知症 • うつ病
第1期で収集した47疾患のうち、がん・循環器疾患等の34疾患に重点化。社会的影響の大きい3疾患を新たに追加。
別紙4
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オーダーメイド医療の実現プログラムの在り方に関する検討会
委員一覧
油谷 浩幸 東京大学先端科学技術研究センター 教授
岩﨑 甫 山梨大学大学院医学工学総合研究部 特任教授
春日 雅人 独立行政法人国立国際医療研究センター 理事長
清原 裕 九州大学医学研究院環境医学分野 教授
五條堀 孝 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所生命情報研究センター 教授
末松 誠 慶應義塾大学医学部 医学部長
田中 博 東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授
豊島久真男 独立行政法人理化学研究所 研究顧問
新川 詔夫 北海道医療大学 学長
西島 和三 持田製薬株式会社 医薬開発本部 専任主事
(日本製薬工業協会 研究開発委員会 専門委員)
町野 朔 上智大学生命倫理研究所 教授
山田 亮 京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センター 教授
山本 雅之 東北大学東北メディカル・メガバンク機構 機構長
吉田 輝彦 独立行政法人国立がん研究センター研究所遺伝医学研究分野
分野長