fmcサービス導入に向けた電気通信番号に係る 制度の在り方...
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FMCサービス導入に向けた電気通信番号に係る
制度の在り方に関する論点整理
(修正案)
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≪目 次≫
【1.FMCサービスに利用可能とする番号及びその範囲】
(論点1)今回検討の対象とするFMCサービスは、どのようなサービスとするのが適当
か。
(論点2)FMCサービスに新規番号 060 番号を利用可能とするのが適当か。
(論点3)FMCサービスに既存番号 070、080/090 番号を利用可能とするのが適当か。そ
の場合、どのような範囲まで認めるのが適当か。
(論点4)FMCサービスに既存番号 050 番号を利用可能とするのが適当か。その場合、
どのような範囲まで認めるのが適当か。
(論点5)その他、FMCサービスに利用可能とすべき番号はあるか。
(論点6)前述の論点2~5を踏まえ、「事業者の公平性」、「利用者の利便性」の観点から
FMCサービスにどのような番号を利用可能とすることが適当か。
【2.各論】
(論点7)FMCサービスを提供するために必要となる機能・設備は何か。
・新規番号 060 番号を利用する場合
・既存番号 070、080/090 番号を利用する場合
・既存番号 050 番号を利用する場合
(論点8)FMCサービスに求められる品質は何か。
・新規番号 060 番号を利用する場合
・既存番号 070、080/090 番号を利用する場合
・既存番号 050 番号を利用する場合
【3.その他】
◆ 料金について
・既存番号 070、080/090 番号を利用する場合
・既存番号 050 番号を利用する場合
◆ 発番号表示について
・新規番号 060 番号を利用する場合
・既存番号 070、080/090 番号を利用する場合
・既存番号 050 番号を利用する場合
【参考:導入のメリット・ニーズについて】
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【1.FMCサービスに利用可能とする番号及びその範囲】
論点1 今回検討の対象とするFMCサービスは、どのようなサービスとす
るのが適当か。
<検討事項>
今回検討の対象とするFMCサービスは、「網形態、通話料金、通話品質などを問わ
ず、既存番号の指定を受けている移動網や固定網を複数組み合わせて、ワンナンバーで
かつワンコールで提供されるサービス(ただし、品質については、電話として 低限の
通話品質は確保していることが必要)。」で問題ないか。 具体的例としては、以下のとおり。 ・ 固定網や移動網など異なる網を利用しても一つの番号で着信できることが前提。 ・ あらゆる移動網、固定網との組み合わせを対象とし、固定網と移動網の連携のみと
いう制限を加えることなく、固定網同士の連携や移動網同士の連携などの形態での
提供もあり得る。 ・ 組み合わせる網には、番号の指定を受けているが、ユーザからの利用申込みがない
ため、まだユーザに番号が割り振られていないブロードバンド回線等(以下、「F
MC用回線」という。)を含む。 ・ 通話料金は、発信者のみが負担する、あるいは着信転送と同様に発信者と転送元そ
れぞれで負担する等の制限を加えることなく、どの様な形もあり得る。 ・ 通話料金は、着信網によって変更するなど、サービス提供事業者により幅広く選択
が可能なもの。(着信網によって異なる料金の場合、着信網によらず料金が一律の
場合など) ・ 発着信一体のサービスや着信のみのサービスがあり得る。 ・ 発信者番号の通知は、固定回線や移動回線のそれぞれに付与されている番号の場合
やFMCサービスを提供している番号の場合があり得る。 ・ 一つの端末(ワンフォン)で提供する形態と、固定網では固定電話端末を使用する
ことも可能とするなど、固定網と携帯網で異なる端末とする形態のいずれもあり得
る。 ・ 着信先の切り替えについても、利用者が何らかの操作を行う形態と、自動で切り替
わる(シームレス連携)形態のいずれもあり得る。
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<検討結果>
・FMCサービス提供にあたり、どのような網を組み合わせるのか、どのような形で端
末を呼び出すべきかなどといった意見もあったが、それらは、事業者の具体的なサー
ビス内容によるものと考えられる。多彩なサービスの実現を可能とし、事業者の参入
機会を広げ、事業者間の競争を促進する観点から、対象とするサービスは事前にでき
る限り制約をしないことが望ましいと考える。
・従って、今回検討の対象とするFMCサービスは、「網形態、通話料金、通話品質など
を問わず、既存番号の指定を受けている移動網や固定網を複数組み合わせて、ワンナ
ンバーでかつワンコールで提供されるサービス(ただし、品質については、電話とし
て 低限の通話品質は確保していることが必要)。」とすることが適当であると考えら
れる。 ・具体的例としては、以下のとおり。
① 固定網や移動網など異なる網を利用しても一つの番号で着信できることが前提。 ② あらゆる移動網、固定網との組み合わせを対象とし、固定網と移動網の連携のみと
いう制限を加えることなく、固定網同士の連携や移動網同士の連携などの形態での
提供もあり得る。 ③ 組み合わせる網には、番号の指定を受けているが、ユーザからの利用申込みがない
ため、まだユーザに番号が割り振られていないブロードバンド回線等(以下、「F
MC用回線」という。)を含む。 ④ 通話料金は、発信者のみが負担する、あるいは着信転送と同様に発信者と転送元そ
れぞれで負担する等の制限を加えることなく、どの様な形もあり得る。 ⑤ 通話料金は、着信網によって変更するなど、サービス提供事業者により幅広く選択
が可能なもの。(着信網によって異なる料金の場合、着信網によらず料金が一律の
場合など) ⑥ 発着信一体のサービスや着信のみのサービスがあり得る。 ⑦ 発信者番号の通知は、固定回線や移動回線のそれぞれに付与されている番号の場合
やFMCサービスを提供している番号の場合があり得る。 ⑧ 一つの端末(ワンフォン)で提供する形態と、固定網では固定電話端末を使用する
ことも可能とするなど、固定網と携帯網で異なる端末とする形態のいずれもあり得
る。 ⑨ 着信先の切り替えについても、利用者が何らかの操作を行う形態と、自動で切り替
わる(シームレス連携)形態のいずれもあり得る。
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(参考)
<番号研究会における検討>
ワンナンバーでかつワンコールで提供されるサービスで、網形態や通話料金、品質な
どは番号からは識別できないサービス(ただし、品質については、電話として 低限の
通話品質は確保していることが必要)。
①例えば固定網や移動網など異なる網を利用しても一つの番号で着信できることが前提。
②番号が付与されている網との連携による提供のほかに、番号が付与される要件を満たしている
が、番号を取得していない回線(FMC用回線)との連携での提供もある。ただし、電話として
低限の通話品質は確保していることが必要。
③固定網と移動網の連携のみという制限を加えることなく、固定網同士の連携や移動網同士の連携
などの形態での提供もある。
④FMCサービスの通話料金は、発信者のみが負担する、あるいは着信転送と同様に発信者と転送
元それぞれで負担する等の制限を加えることなく、どの様な形でもかまわない。
⑤FMCサービスにおける通話料金は、サービス提供事業者により幅広く選択が可能なもの。(着
信網によって異なる料金の場合、着信網によらず料金が一律の場合など)
⑥FMCサービスは発着信一体のサービスが主流と考えられるが、着信のみの形態もある。
⑦発信者番号は固定回線や移動回線のそれぞれに付与されている番号でも、FMCサービスを提供
している番号のいずれでも構わない。
⑧一つの端末(ワンフォン)で提供する形態と、固定網では固定電話端末を使用することも可能と
するなど、固定網と携帯網で異なる端末とする形態のいずれでもかまわない。
⑨着信先の切り替えについても、利用者が何らかの操作を行う形態と、自動で切り替わる(シーム
レス連携)形態のいずれでもかまわない。
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論点2 FMCサービスに新規番号 060 番号を利用可能とするのが適当か。
<検討事項>
今回検討の対象とするFMCサービスに、新規番号 060 番号を利用可能とすること
は適当か。
<事業者等ヒアリング>
FMCに加入したエンドユーザの事前の登録した網又は着信を希望する網に電話通信
を着信させるために、FMC専用番号 060 を、サービスを識別する番号として利用し、
着信するための既存網とくくりつけることにより提供するサービス。従って、組み合
わせる既存の固定電話や携帯電話サービスに事前に加入することが前提となる。(0AB
~J 番号回線、050 番号回線、080/090 番号回線との組み合わせによるサービス提供。)
<検討結果>
・FMCサービスは、既存サービスとは異なる新たなサービスであり、新しい番号を利
用する場合には、既存番号とは異なり、料金識別、品質識別等の観点から問題は生じ
ないことから、新規番号を利用可能とすることは適当であると考えられる。
・また、番号については、FMCサービスは、地理的識別がないとともに、既に060
番号が割り当てられているUPTサービスと類似していると考えられることから、060
番号を利用することが適当である。
・従って、料金識別、品質識別等の番号の役割の観点からは、今回検討の対象とするF
MCサービスに、新規番号 060 番号を利用可能とすることは適当であると考えられる。
(参考)
<番号研究会における検討>
・既存サービスとは異なる新たなサービスであり、既存番号で課題となるサービス識別、
料金識別、品質識別等の問題は生じないことから、新規番号を新たに指定することは
適当と考えられる。
・地理的識別がなく、かつ、通話品質も一定でないサービスである点にかんがみ、地理
的識別がない 0A0 番号とすることが適当。
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論点3 FMCサービスに既存番号 070、080/090 番号を利用可能とするの
が適当か。その場合、どのような範囲まで認めるか。
<検討事項>
① 番号の役割である「サービス識別」、「料金識別」等の観点から、FMCサービスに既
存番号 070、080/090 番号を利用可能とすることは適当か。
② 既存番号 070、080/090 番号によるFMCサービスの提供を認める場合、どのような
範囲まで認めるのが適当か。
・070、080/090 番号回線と 050 番号回線との組み合わせ
・070、080/090 番号回線と 0AB~J 番号回線との組み合わせ
・070、080/090 番号回線とFMC用回線(ブロードバンド回線等)との組み合わせ
<事業者ヒアリング>
・ 080/090 番号回線と 050 番号回線又は番号が付与されていないブロードバンド回線と
の組み合わせによるFMCサービスの提供
・ 070 番号回線と 0AB~J 番号回線又は 050 番号回線の組み合わせによるFMCサービ
スの提供
<検討結果>
◇ ①の事項について
・既存番号 070、080/090 番号によるFMCサービスについて、PHS・携帯電話網を通
じたPHS・携帯電話サービスを基本とし、宅内にいる時だけ、付加的に固定IP網
等を通じて発着信できる場合には、現在でも、宅内がPHS網・携帯電話網の圏内で
あれば、PHS網・携帯電話網を通じて宅内で発着信することは可能であり、サービ
ス形態として利用者に大きな影響はないと考えられる。
・また、料金の観点からは、通常、番号から想定される料金よりも低廉な課金となる場
合には、高額となる場合に比べて利用者への混乱の度合いは少ないと考えられる。現
在、070、080/090 番号による既存のPHS・携帯電話サービスは比較的高額な料金と
認識されており、より低廉なアナログ固定電話網や固定IP網などに着信した場合に
は、通常想定されるPHS.携帯電話サービスの料金より低廉な料金となることが想
定されるため、利用者に大きな影響はなく、料金の観点からは問題はないと考えられ
る。
・従って、サービス形態、料金の観点からは、FMCサービスに既存番号 070、080/090
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番号を利用可能とすることは適当であると考えられる。
◇ ②の事項について
・上記のサービス形態、料金の観点から、組み合わせる網としては、050 番号回線、0AB
~J 番号回線、FMC 用回線のいずれの組合せでも問題ないと考えられる。
(参考)
<番号研究会における検討>
利用者に大きな影響を生じない一定の範囲でサービスが提供されることが適当。
◇サービス識別の観点
・080/090 番号を利用するサービスとしては、携帯電話サービスを基本とし、自宅に在宅している
場合にのみ固定回線経由で発着信できるなど一定の固定回線との組み合わせであれば、発信者か
らは携帯電話サービスとの差異は感じられず、利用者へ大きな影響は生じないのではないか。
・また、それぞれの既存番号によるFMCサービスの提供を一定の範囲内に限定することにより、
他の既存番号によるFMCサービスとの間でサービス識別の問題は生じないようにすることも
可能。
◇料金識別の観点
・番号から想定される料金よりも低廉な課金となる場合には、高額となる場合に比べて利用者への
混乱の度合いは少ない。ただし、特に、携帯電話など比較的高額な料金と認識されている番号を
FMC用番号として利用する場合、移動網に着信しようと、固定IP網に着信しようと、同等の
高額な課金をするのであれば、現実に固定IP網に着信した場合の低廉な料金を利用者が享受で
きないため問題。080/090 番号をFMC用番号として利用する場合には、高止まりの課金とはせ
ず、着信先に応じた低廉な料金を課す着信網別柔軟課金を前提とすることが適当。なお、着信網
別柔軟課金は技術的に可能。
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論点4 FMCサービスに既存番号 050 番号を利用可能とするのが適当か。
その場合、どのような範囲まで認めるか。
<検討事項>
①番号の役割である「サービス識別」、「料金識別」等の観点から、FMCサービスに
既存番号 050 番号を利用可能とすることは適当か。
なお、有線・無線のIP電話サービスとして 050 番号によりFMCサービスを提供
することは現在でも可能。
②既存番号 050 番号によるFMCサービスの提供を認める場合、どのような範囲まで
認めるのが適当か。
・050 番号回線と 070、080/090 番号回線との組み合わせ
<事業者ヒアリング>
・ 050 番号回線と 080/090 番号回線との組み合わせによるFMCサービスの提供
<検討結果>
◇ ①の事項について
・050 番号は、家庭ではアナログ固定電話の代わりとして利用されていることも多く、
現在は利用者に固定の IP 電話という認識があるとも考えられる。他方、元来 050 番号
はロケーションフリーの電話番号として有線・無線を問わず使用可能な番号であり、
現在でも企業では端末ごとに番号が割り振られて、内線電話として企業内で自由に持
ち歩いて利用されている場合もある。さらに、家庭でも企業においても外出時に 050
番号にかかってきた電話を外で着信したいという利用者も想定される。よって、050
番号回線を通じた 050IP電話サービスを基本として、付加的に 070、080/090 番号回
線と組み合わせて 050 番号によるFMCサービスを提供する場合には、サービス形態
として、利用者に大きな影響があるとまでは言えないのではないかと考えられる。
・また、品質の観点からは、070、080/090 番号の場合は、事業用設備規則第 36 条の 3
により、事業者の自主基準とされているのに対して、050 番号の場合は、電気通信番
号規則上、一定の総合品質の確保が要件とされており、規定上の基準は異なっている。
他方、利用者の感じる品質は必ずしも規定上の基準とは一致せず、品質上、問題があ
るとまでは言えないのではないかとも考えられる。よって、品質の観点からは、070、
080/090 番号回線と組み合わせて 050 番号によりFMCサービスを提供することは、
利用者に大きな影響があるとまでは言えないのではないかと考えられる。
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・料金の観点からは、070、080/090 番号回線との組み合わせについては、050 番号から
想定される料金よりも高額な料金となる場合が想定され、事前の予告なく高額な料金
が請求される場合には、利用者保護の観点から問題があるのではないかと考えられる。
一方、利用者(FMCサービスの加入者に電話をかける側)が、本サービスについて
正しく理解した上で利用できるように、ガイダンス等の適切な方法により、事前に利
用者がPHS・携帯電話回線に接続され、その料金水準で課金されることを把握でき
れば、問題ないのではないかとも考えられる。
よって、料金の観点からは、ガイダンス等の適切な方法により、事前に利用者がPH
S・携帯電話回線に接続され、その料金水準で課金されることを把握できる場合には、
070、080/090 番号回線と組み合わせて 050 番号によりFMCサービスを提供すること
は、利用者へ大きな影響があるとまでは言えないのではないかと考えられる。
・従って、050 番号については、ガイダンス等の適切な方法により、事前に利用者がP
HS・携帯電話回線に接続し、その料金水準で課金されることを把握できる措置が取
られる場合には、070、080/090 番号回線と組み合わせたFMCサービスに利用可能と
することは適当であると考えられる。
・このため、事業者においては、070、080/090 番号回線と組み合わせた 050 番号による
FMCサービスを提供する場合には、ガイダンス等の適切な方法により、事前に利用
者がPHS・携帯電話回線に接続し、その料金水準で課金されることを把握できる措
置を取ることが求められる。
また、この点については、事業者団体や行政において、事業者により適切な対応が取
られるよう担保するための措置が講じられることが望ましい。
◇ ②の事項について
上記と同様。
(参考)
<番号研究会における検討> 有線・無線のIP電話サービスとして 050 番号によりFMCサービスを提供することが
適当。また、移動網として携帯電話やPHSを固定IP網と組み合わせ、050 番号により
FMCサービスとして提供する場合の扱いは今後さらなる検討が必要。
◇サービス識別の観点
それぞれの既存番号によるFMCサービスの提供を一定の範囲内に限定することにより、他の既存
番号によるFMCサービスとの間でサービス識別の問題は生じないようにすることも可能。
◇料金識別の観点
そもそも 050 番号はロケーションフリーのIP電話サービスに使用可能であり、また、無線の場合
での利用料金は有線の場合での料金とほぼ同程度の水準になると想定されることから、050IP電話の
範囲内でFMCサービスを提供することについては利用者に影響が生じるものではない。従って、有
線・無線のIP電話サービスとして 050 番号によりFMCサービスを提供することが適当である。
また、移動網として携帯電話やPHSを固定IP網と組み合わせ、050 番号によりFMCサービス
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として提供する場合の扱いについては、例えば料金水準をガイダンスで通知することや発信者に対す
る課金を 050 番号で想定される料金水準と同等とすることも考えられるとの意見もあったが、今後さ
らなる検討が必要である。
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論点5 その他、FMCサービスに利用可能とすべき番号はあるか。
<検討事項>
① 番号の役割である「地理的識別」等の観点から、FMCサービスに 0AB~J 番号を利
用可能とすることは、適当か。
② その他、FMCサービスに利用可能とすべき番号はあるか。
<検討結果> ◇ ①の事項について
・0AB~J 番号については、長い歴史の中で番号から電話の相手先の所在地がわかるとい
う地理的識別の認識が広く認知されているとともに、「今、そこからかかっている/そ
こにかけている」ことが確認できる社会的信頼性があることから、現時点では、利用者
への影響が大きく、FMCサービスに利用することは適当でないと考えられる。
◇ ②の事項について
・その他に、FMCサービスに利用可能とすべき番号は特に想定されない。
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(参考) <番号研究会における検討> 地理的識別等の観点により、0AB~J 番号については、現時点では、FMC等への利用は適当ではない。
◇サービス識別 ・0AB~J 番号は、地理的識別があり、通話品質も良い固定電話の番号であり、これを移動性のあるF
MCに利用する場合には、利用者への影響は大きい。一方、現在の固定電話の概念を見直して、利
用者保護を維持可能な範囲に限定した移動性の追加も考えられるのではないかとの意見があった。
◇料金識別 ・現在のPSTN網を用いてFMCサービスを提供することを前提とすると、0A0 番号とは異なり、
FMC番号として 0AB~J 番号に発信して着信網別柔軟課金を行うことは、網改修の規模やコストの
観点から、現実的ではない。 ・また、移動網として比較的高いと認識されている携帯電話やPHSを、固定IP網と組み合わせ、
FMCサービスとして提供する場合、移動網に着信した際に、050 番号と同様、想定される料金水
準と比較して高額となることについて問題がある。
◇地理的識別 ・移動性がなく地理的識別が可能とされている 0AB~J 番号をFMCの着信番号及び発信者番号として
使用することの可否が問題。 ・ガイダンスを挿入して、FMCサービスであること又は着信先が携帯電話等であることを通知する
こと、発信者番号については0AB~J固定電話からの発信以外は発信者番号を表示しないことに
より、利用者への大きな影響は生じないのではないかとの意見があった。
◇社会的信頼性識別 ・地理的識別と同様に発信者番号を制限することに加え、固定電話回線は端末の設置場所が必ず存在
する契約形態として、0AB~J 番号と端末設置場所固定の関係を維持することにより対応可能ではな
いかとの意見が表明された。 ・しかしながら、0AB~J 番号に発信したにもかかわらず固定電話以外に着信することについて、「今、
そこからかかっている/そこにかけている」ことが確認できる社会的信頼性の識別の観点からは、
ガイダンスを挿入したとしても、利用者への影響は無視できない。 ・さらに、FMCサービスを使用しない固定電話の番号についてもその信頼性を低下させることにつ
ながることから、利用者保護の観点から問題がある。
◇品質識別 ・0AB~J 番号については、他の番号よりも高い通話品質の確保が求めているため、相対的に通話品質
の低い回線に着信した場合については、ガイダンスを挿入して、FMCサービスであること又は着
信先が携帯電話等であることを通知することにより対処可能なのではないかとの意見が表明された
が、通話品質については、技術基準として、番号ごとに異なる要件が定められている。このため、
高い通話品質が規定されている0AB~J番号について、FMCサービスにおいては、相対的に品
質の低い他の回線に着信する場合には技術基準に抵触するという課題がある。
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論点6 前述の論点2~5を踏まえ、「事業者の公平性」、「利用者の利便性」
の観点から、FMCサービスにどのような番号を利用可能とするこ
とが適当か。
<検討事項>
・「事業者の公平性」、「利用者の利便性」の観点から、FMCサービスにどのような番号を
利用可能とすることが適当か。
<検討結果>
・ 「事業者の公平性」の観点からは、既存番号の指定を受けている事業者に限らず、広く
FMCサービスを提供できる機会を与えることが望ましいことから、060 の新規番号を
FMCサービスに利用可能とすることは適当である。また、既存番号をFMCサービス
に利用可能とする場合には、既存番号の指定を受けている事業者は、従来からサービス
提供している利用者に対し、同一番号でFMCサービスを提供可能となる一方で、当該
事業者以外は、新たに番号の指定を受ける必要があるため、既存番号の指定を受けてい
る事業者に有利に働くことになる。よって、「事業者の公平性」の観点からは、新規番
号 060 番号のみを利用可能とすることも考えられる。
・ 他方、既存番号については、既存の利用者が多数存在するため、「利用者の利便性」の
観点からは、既存番号を継続利用できることが望ましく、新規番号だけでなく既存番号
も利用可能とすることも考えられる。
・ また、長期的な視野でFMCサービスの普及促進を図り、広く新規参入の機会を与える
とともに、事業者間の競争を促進するためには、できる限り広く既存番号も認める方向
性にすべきであると考えられる。(ただし、0AB~J 番号については、地理的識別性など
長年にわたり培われた一定の認識があるため、現時点で認めることは不適当である。)
・従って、「事業者の公平性」、「利用者の利便性」の観点からは、新規番号 060 と既存番号
050、070、080/090 番号について、FMCサービスに利用可能とすることが適当であると
考えられる。
(参考)
<番号研究会における検討>
・新規番号 → 060 番号の利用が適当。
・既存番号 → 地理的識別がない 0A0 番号を使用することが考えられ、携帯電話番号
(080/090)、PHS番号(070)、IP電話番号(050)については、既存サ
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ービスとの関係において利用者に大きな影響が生じない範囲で利用可能
とすることが適当。
※ 地理的識別等の観点により、固定電話の番号(0AB~J 番号)について
は、現時点では、FMC等への利用は不適当。
<番号研究会における検討>
事業者の公平性確保の観点からの検討。
① 新規FMC用番号のみ →全事業者で同一条件となる。
② 既存番号のみ →新規参入事業者は、新たに番号の指定を受けることなど
が必要。
→既存事業者に有利に働く。
③ 新規番号+既存番号 →全事業者が新規番号を使用可能。
→既存事業者に有利に働く。
①②③に分けて検討を行ったところ、
・新規番号のみの利用の場合は全事業者で同一条件となるため、問題ない。
・既存番号のみを利用可能とすることは既存事業者に一定のメリットがあることから不
適当。
・既存番号を利用したいとの利用者の利便性確保の観点も配慮すれば、新規番号と既存
番号の両方の利用も認める場合についても、公平性に大きく問題があるとまでは言え
ないと考えられる。
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【2.各論】
論点7 FMCサービスを提供するために必要となる機能・設備は何か。
<新規番号 060 番号を利用する場合>
<検討事項>
・新規番号 060 番号によるFMCサービスを提供するためには、(自動又は手動により)
接続先を把握し、呼を振り分けるといったサービス制御機能を有する設備の設置、NTT
のアナログ固定電話から利用できることが必要ではないか。
(参考)
<番号研究会における検討>
・着信先の切り替えについても、利用者が何らかの操作を行う形態と、自動で切り替わる
(シームレス連携)形態のいずれでもかまわない。
<既存番号 070、080/090 番号を利用する場合>
<検討事項> ・ 070、080/090 番号によるFMCサービスを提供するためには、(自動又は手動により)
接続先を把握し、呼を振り分けるといったサービス制御機能を有する設備の設置が
必要ではないか。
(参考)
<番号研究会における検討>
・着信先の切り替えについても、利用者が何らかの操作を行う形態と、自動で切り替わ
る(シームレス連携)形態のいずれでもかまわない。
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<既存番号 050 番号を利用する場合>
<検討事項>
・050 番号によるFMCサービスを提供するためには、(自動又は手動により)接続先
を把握し、呼を振り分けるといったサービス制御機能を有する設備の設置が必要では
ないか。
(参考)
<番号研究会における検討>
・着信先の切り替えについても、利用者が何らかの操作を行う形態と、自動で切り替わる
(シームレス連携)形態のいずれでもかまわない。
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論点8 FMCサービスに求められる品質は何か。
<新規番号 060 番号を利用する場合>
<検討事項>
・FMCサービスは、網形態や通話料金、品質などは番号からは識別できないサービス
とされているが、発着信時に利用されている網によって品質が異なっているが問題な
いか。
・既存番号が付与されている網同士を組み合わせたサービスの場合、通話品質について
は、すでに既存番号の付与に際して、少なくとも「電話としての 低限の通話品質」
を確保していると考えられるのではないか。
・同様に、FMC用回線(ブロードバンド回線等)についても、既に番号が付与される
条件を満たしている回線であるため、「電話としての 低限の通話品質」は確保され
ていると考えられるのではないか。
<事業者等ヒアリング>
・通話品質については、発着信で利用される網の品質に依存。
(参考)
<番号研究会における検討>
・品質については、電話として 低限の通話品質は確保していることが必要。
<既存番号 070、080/090 番号を利用する場合>
<検討事項>
・通話品質が発着信に利用する網によって異なっても問題ないか。
・070、080/090 番号によるFMCサービスについて、組み合わせた網に求められる品
質は何か。(組み合わせた網については、既に番号に応じた通話品質が確保されてい
る。)
・同様に、FMC用回線(ブロードバンド回線等)についても、既に番号が付与される
条件を満たしている回線であるため、「電話としての 低限の通話品質」は確保され
ていると考えられるのではないか。
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<事業者ヒアリング> ・固定電話よりはゆるい、現在の移動体の品質基準がベースにあり、 低限それを守ると
いうのが基本的な考え方。 ・携帯網在圏事は事業用電気通信設備規則第36条の3に基づいて自社で定めた基準で、
IP電話網在圏時の通話品質については、IP網内でクラスC相当を満たすこととす
る。 (参考) <番号研究会における検討> ・ 0A0 番号によるFMCサービスの提供については、「品質の識別」の観点からは利用者
に大きな混乱は想定されない。
<既存番号 050 番号を利用する場合>
<検討事項>
・通話品質が発着信に利用する網によって異なっても問題ないか。
・050 番号によるFMCサービスについて、組み合わせた網に求められる品質は何か。
(なお、携帯電話・PHS網の品質については事業用電気通信設備規則により自主基
準となっている。)
<事業者等ヒアリング>
・ 050 番号をFMCサービスにそのまま使用する事に関しては番号研究会WGにて、料
金識別・サービス品質識別の点でお客様に何らかの情報提供が必要との指摘があり、「全
体としてひとつの呼として課金」する際にはガイダンスによる注意喚起など対応を検討
する必要がある。
(参考) <番号研究会における検討> ・ 0A0 番号によるFMCサービスの提供については、「品質の識別」の観点からは利用者
に大きな混乱は想定されない。
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【3.その他】
◆ 料金について
<既存番号 070、080/090 番号を利用する場合>
<検討事項> ・070、080/090 番号によるFMCサービスの料金については、料金識別の観点からどの
ように考えるか。
<事業者ヒアリング> ・ 安価なネットワークに接続した際の利益を利用者に還元することは重要。ただし、還
元方法として、1通話ごとに安くすることで還元するのか、他の方法で還元するのか、
いろいろなパターンは想定される。また、自社網かそれ以外かによっても異なる。 ・ 利用者側から見る料金は、料金設定権をもった事業者に依存し、その料金設定権が発
側にあるか着側にあるかという点も重要なポイントと考えており、一概にFMC提供
事業者が決められるものではないかもしれない。 (参考) <番号研究会における検討> ・番号から想定される料金よりも低廉な課金となる場合には、高額となる場合に比べて利
用者への混乱の度合いは少ない。 ・比較的高額な料金と認識されている番号(070、080/090)をFMC用番号として利用す
る場合、低廉なコストの回線に着信した際には、利用者の利益確保の観点から、高止ま
りの課金とはせず、着信先に応じた低廉な料金を課す着信網別柔軟課金を前提とするこ
とが適当。(料金設定権がFMC提供事業者に属しない場合も考えられるが、その場合
であっても、着信先が固定回線であれば、例えば呼ごとの接続料を反映して料金もある
程度低廉になることが考えられる。) なお、各事業者の網間でやりとりされている着事業者コードと課金情報を活用すること
により、着信網別柔軟課金は技術的に可能と考えられる。
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<既存番号 050 番号を利用する場合>
<検討事項> ・050 番号によるFMCサービスの料金については、料金識別の観点からどのように考
えるか。
<事業者ヒアリング>
・ 050 番号をFMCサービスにそのまま使用する事に関しては番号研究会WGにて、料
金識別・サービス品質識別の点でお客様に何らかの情報提供が必要との指摘があり、
「全体としてひとつの呼として課金」する際にはガイダンスによる注意喚起など対応
を検討する必要がある。
<番号研究会における検討> ・ そもそも 050 番号はロケーションフリーのIP電話サービスに使用可能であり、ま
た、無線の場合での利用料金は有線の場合での料金とほぼ同程度の水準になると想
定されることから、050IP電話の範囲内でFMCサービスを提供することについて
は利用者に影響が生じるものではない。従って、有線・無線のIP電話サービスと
して 050 番号によりFMCサービスを提供することが適当である。
・ また、移動網として携帯電話やPHSを固定IP網と組み合わせ、050 番号によりF
MCサービスとして提供する場合の扱いについては、例えば料金水準をガイダンス
で通知することや発信者に対する課金を 050 番号で想定される料金水準と同等とす
ることも考えられるとの意見もあったが、今後さらなる検討が必要である。
・ 料金水準をガイダンスで通知することで解決するのではないかとの意見も出された
が、そもそも料金のイメージが出来ている既存番号について、高くなる場合にガイ
ダンスを入れれば良いというものではなく、想定される料金水準よりも高額な料金
となることは、ガイダンスの有無にかかわらず、問題であるという意見も出された。
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◆ 発番号表示について
<新規番号 060 番号を利用する場合>
<検討事項>
発信者番号については、060 番号又はすでに固定網や移動網のそれぞれに付与されて
いる番号のいずれでも問題ないか。(着信のみのサービスの場合、発信者番号は既に発
信回線に付与されている番号を表示することとなる。)
<事業者等ヒアリング>
・ 発信番号は 060 番号もしくは発信回線に付与されている番号を表示。
・ 技術的に可能であれば 060 番号を表示。
・ どの番号を表示すべきかは今後の検討課題。
(参考)
<番号研究会における検討>
・ 発信者番号としては、固定回線や移動回線のそれぞれに付与されている番号でも、F
MCサービスを提供している番号のいずれでもかまわない。
・ FMCサービスは発着信一体のサービスが主流と考えられるが、着信のみの形態もあ
る。
<既存番号 070、080/090 番号を利用する場合>
<検討事項> ・発信者番号については、070、080/090 番号と固定網に付与されている番号のいずれで
も問題ないか。
(参考)
<番号研究会における検討>
・ 発信者番号としては、固定回線や移動回線のそれぞれに付与されている番号でも、F
MCサービスを提供している番号のいずれでもかまわない。
・ FMCサービスは発着信一体のサービスが主流と考えられるが、着信のみの形態もあ
る。
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<既存番号 050 番号を利用する場合>
<検討事項> ・発信者番号については、050 番号と移動網に付与されている番号のいずれでも問題な
いか。
<事業者ヒアリング>
・ 固定網及び移動網のどちらから発信する場合にも、050 番号を表示させることも検
討。ただし、050 番号と発信回線に付与されている番号とどちらの番号を表示させる
かはユーザの選択による。
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【参考:導入のメリット・ニーズについて】
<新規番号 060 番号を利用する場合>
◇利用者のメリット・ニーズ <事業者等ヒアリング>
・ デュアルモードの端末が小型化し、安価で、多数提供されれば普及するのではないか。
・ (以前のPHSのような子機を外に持ち出すといった発想ではなく)パーソナルな端
末が家でも受けられるという発想であれば、ニーズはあるのではないか。 ・ 外出先で自宅にかかってきた電話を受けたいという利用者の要望に対して、プレゼン
ス管理機能を具備したワンナンバーの提供により、利用者のロケーションに応じた接
続先へ着信させることが可能となる。 ・ 060 番号から変換される番号(0AB~J 番号、090 番号等)は自由に設定することが可
能なため、お客様が引っ越されたり、携帯電話の番号を変更されたりした場合におい
ても、060 番号の変更を行う必要はない。 ◇事業者のメリット・ニーズ <事業者等ヒアリング>
・ 設備を持たない事業者は 080/090 番号などは使えないため、060 番号を利用したい。
・ FMCサービス料金を取得し、他社との連携による様々なサービスが可能となる。
・ 携帯電話事業者による携帯電話ユーザだけの為のサービスではなく、実際に家庭内で
ポジションを得ている固定電話の事業者/ユーザの視点に基づくサービスの在り方も
視野に入れて検討されるべき。
・ 特定事業者によるユーザ囲い込みツールとして成り立つサービスではなく、オープン
なサービスであることにより、マーケット効果も働き、 終的に利用者の利便性の向
上と価格の低減、端末の多様化、利用層の拡大とサービスとしての定着・普及につな
がる。
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<既存番号 070、080/090 番号を利用する場合>
◇利用者のメリット・ニーズ <事業者ヒアリング> ・ 自宅で携帯電話を利用した場合に携帯電話より低水準の料金となるサービス。 ・ 携帯電話の電波が届きにくい屋内においても携帯電話の利用が可能となるサービス。 ・ 既存の 080/090 番号を利用者は継続して利用可能。 ・ 080/090 番号で今まで着信できなかった通話機会を逃すことがなくなる。 ◇事業者のメリット・ニーズ <事業者ヒアリング> ・ グループ内サービスの利用促進。 ・ 利用シーン拡大による収益増。 ・ ネットワーク、システム効率化によるコスト削減
<既存番号 050 番号を利用する場合>
◇利用者のメリット・ニーズ
<事業者等ヒアリング>
・ ワンナンバーで、屋内でも屋外でも着信できるので、お客様からの大切な電話を不
在のため逃さない。(ビジネスチャンスを逃さない、追いかけ電話サービス。)
・ 屋内では無線LANを通じてIP電話回線経由で相手に接続するので、固定宛でも
他社携帯電話宛でも安価。(モバイルの利便性を構内では安価に実現可能。)
・ 既に 050 を利用している利用者の利便性の観点からは現在の番号がそのまま使用で
きる事が望ましい。(既に 050 番号を周知している場合は新たな番号を使用するには
名刺やカタログ類の番号を変更する必要があるため。)
◇事業者のメリット・ニーズ
<事業者等ヒアリング>
・ 事業者の提供コストの観点からすると、050 番号をFMCサービスに使用するに当た
ってはガイダンスの挿入など自社内でのシステム追加となるが、060 番号をFMCサ
ービスに使用するに当たっては、新たな番号を自社、及びその他通信事業者の交換シ
ステムに登録することが必要。