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Microsoft SQL Server 2012 仮想化ライセンス ガイド 2012 年 6 月

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Microsoft SQL Server 2012 仮想化ライセンス ガイド2012 年 6 月

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目次はじめに .......................................................................................................................... 3

概要: 仮想化に関する SQL Server 2012 のライセンス ............................................................... 3

個々の仮想マシンのライセンス ................................................................................... 3

最大仮想化のためのライセンス .................................................................................... 3

シナリオ 1: サーバーの統合 ................................................................................................. 4

個々の VM のライセンス ............................................................................................ 4

シナリオ 2: 動的な仮想環境 ................................................................................................. 7

ライセンス モビリティ ............................................................................................. 8

シナリオ 3: 高ボリュームの動的な仮想環境 ............................................................................ 9

最大仮想化のためのライセンス .................................................................................... 9

まとめ ............................................................................................................................10

付録 ...............................................................................................................................11

© 2012 Microsoft Corporation.All rights reserved. この文書は情報提供のみを目的としています。明示または黙示にかかわらず、この情報についてマイクロソフトは一切の保証を行うものではありません。

これは情報提供およびマーケティングの目的でのみ提供されています。マイクロソフトのボリューム ライセンス プログラムの下での権利と義務について完全に理解するためには、お客様は契約書を参照する必要があります。マイクロソフトのソフトウェアはライセンス供与されるものであり、販売されるものではありません。マイクロソフトのソフトウェアとサービスの使用によって得られる価値やメリットはお客様ごとに異なります。この資料と契約との相違点について疑問がある場合は、販売店またはマイクロソフトの営業担当にお問い合わせください。マイクロソフトは、販売店から取得されるライセンスの最終価格または支払条件を規定しておりません。最終価格および支払条件は、お客様と販売店との契約によって決まります。ソフトウェア アシュアランス特典の資格は製品・サービスや地域によって異なり、変更されることがあります。ここに記載された情報と異なる場合、ボリューム ライセンス契約の使用条件、および特定のソフトウェア アシュアランス特典が提供される使用条件が優先されます。資格基準および現在の特典プログラム ルールについては、マイクロソフト製品表を参照してください。

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はじめに仮想化は、ソフトウェア開発やテストから障害復旧や負荷分散まで、今日の広範なコンピューティング シナリオで利用されています。これまで主な仮想化推進力の 1 つはサーバーの統合でした。サーバーのコア密度が上がると、標準ワークロードは利用可能なコンピューティング能力の一部しか利用しない場合があります。また、仮想化により、サーバー ハードウェアから必要な処理能力だけを切り出して利用することが容易になります。最近ではデータベース仮想化が進んでいます。これにより、データベースを仮想環境で運用できるので、ハードウェア使用効率の向上、管理の容易性、高可用性などのメリットがあります。

データベース仮想化のメリットを享受するため、マイクロソフトのお客様は SQL Server を仮想化しており、この方法はますます増えていきます。SQL Server 2012 のリリースに伴い、マイクロソフトはライセンス オプションを導入して、お客様が仮想化を利用しながら、これまで業界で一般的であった方法より柔軟で公平な支払方法を選択できるようにします。

ここでは、SQL Server 2012 で利用可能な仮想化ライセンス オプション、および関連する主な原則について説明します。また、いくつかの実際のシナリオにより、これらの原則を実践する方法を示します。

概要: 仮想化に関する SQL Server 2012 のライセンスSQL Server 2012 の仮想環境におけるライセンスではお客様に独自の柔軟性レベルを提供します。つまり、最大/無制限の仮想化用のライセンス、または個々の仮想マシン (VM) へのライセンス供与によって必要なコンピューティング能力だけを提供するライセンスというオプションを提供します。ここでは、これらのオプションについて詳細に説明し、関連するライセンス ルールについて説明します。まず、この 2 つのパスの概要について説明します。

個々の仮想マシンのライセンス マイクロソフトは各 VM に個々にライセンスを供与する独自のオプションを提供します。これは、業界において、利用可能なコンピューティング能力の一部しかワークロードに必要ない場合でも、サーバー全体へのライセンス供与を必要とする他のデータベース ベンダーと対照的です。個々の VM にライセンスを供与するオプションは、必要なコンピューティング能力だけを切り出して支払うことで、組織がハードウェア リソースをコスト効果の高い方法で利用できるようにするために作られました。SQL Server では、"コア ベース" または "サーバー/CAL" ライセンス モデルを使用して個々の VM にライセンスを供与できます。

● コア ベースのライセンス モデル: VM に割り当てられている仮想コア (または仮想プロセッサ/仮想 CPU/仮想スレッド) ごとにコア ライセンスを購入します。VM ごとに最小で 4 コア ライセンスが必要です。

● サーバー/CAL ライセンス モデル: SQL Server 2012 の Business Intelligence エディションと Standard エディションのお客様は、SQL Server を実行する VM ごとに 1 つのサーバー ライセンスを購入します。このモデルでは、SQL Server 2012 にアクセスするユーザーまたはデバイスごとにライセンスを供与する必要があります。

SQL Server 2012 の Enterprise エディションでは、サーバー/CAL モデルによって個々の VM にライセンスを供与できることに注意してください。詳細については、8 ページを参照してください。

最大仮想化のためのライセンス仮想環境が成長し、さらに動的になってくると、お客様は最大仮想化のためのライセンスを選択できます。これにより、ソフトウェアのライセンス管理を大幅に簡略化できます。

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● 無制限の VM の展開: サーバー上のすべての物理コアにライセンスを供与しており、ソフトウェア アシュアランス (SA) を保有する SQL Server 2012 の Enterprise エディションのお客様は、そのサーバーに任意の数の VM を展開できます。

● サーバー上のすべての物理コアにライセンスを供与し、SA を保有していない SQL Server 2012 の Enterprise エディションのお客様は、サーバーに割り当てられたコア ライセンス数と同じ数の VM を展開できます。

ライセンス オプションEnterprise (コア ベース)

Enterprise (サーバー/CAL)*

Business Intelligence

Standard (コア ベース)

Standard (サーバー/CAL)

個々の VM

最大仮想化

SQL Server 2012 のエディション

この表は、SQL Server 2012 の各エディションで利用可能な仮想化ライセンス オプションをまとめたものです。* サーバー/CAL ライセンス モデルでの Enterprise エディションのライセンスについては、8 ページを参照してください。

 これらのライセンス オプションの詳細については、次の SQL Server 2012 ライセンス ガイドを参照してください。 http://download.microsoft.com/download/D/A/9/DA9CB68A-457F-45BE-829D-DF1692F7AA65/SQL2012_Licensing_Guide_jp.docx

次に、これらのライセンス ルールについて詳細に説明し、いくつかの使用例を見ながら、実際のシナリオに適用する方法について示します。

シナリオ 1: サーバーの統合

個々の VM のライセンスサーバーの統合は、今日の IT 環境における仮想化を推進しました。ワークロードを仮想化して、少数の物理サーバーに統合することにより、ハードウェア使用率を改善し、サーバーのホスティング コストや管理コストを削減できます。

たとえば、専用サーバーに置かれた SQL Server 2012 データベースを運用するレポート ワークロードを持つ製造会社があるとします。この会社には、SQL Server データベースに構築された CRM アプリケーションと HR アプリケーションもあり、それぞれ専用サーバーで運用しています。この会社では、高性能の新しいハードウェアを購入した後、この 3 つのワークロードを仮想化して 1 台のサーバーに統合することを決定したとします。

サーバーの統合データベース ワークロードの仮想化

HRレポート CRM

レポート、HR、CRM の各システムを仮想化し、単一の高性能サーバーに統合する。

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このシナリオでは、それぞれの VM をライセンスすると、必要なコンピューティング機能を個々の SQL Server ワークロードに対して柔軟にライセンスできます。利用可能な各ライセンス モデルを使用して、この例で個々の VM にライセンスを供与する方法について詳細に見ていきましょう。

コア ベース モデルでの個々の VM のライセンスコア ベースのライセンス モデルでこれらの各 VM をライセンスするには、VM に割り当てられる仮想コアごとにコア ライセンスを購入する必要があります。物理環境におけるコア ベースのライセンスと同様に、VM ごとに最少 4 コアというライセンス要件があります (ライセンスに関しては、1 つの仮想コアは 1 つの仮想スレッドに等しく、仮想プロセッサまたは仮想 CPU と呼ばれる場合があります)。

この点について、3 つのワークロードを仮想化して 1 台のサーバーに統合する製造会社の例で具体的に説明します。この例では、3 つのワークロードは静的で、サーバーに保持されます。

HRレポート CRM

コア ベース モデルでの個々の VM のライセンス

必要なコア ライセンス数:

"2 パック" SKU のコア ライセンスを 7 つ購入(コアは 2 コア パックで販売)

4 VM #1 (最少 4 コア)

4 VM #2

6 VM #3

= 14 必要なコア ライセンス

VM はコア ベースのライセンス モデルを使用して個々にライセンスされる。

この場合、各 VM の仮想コア数に基づいて仮想ライセンス要件を決定する必要があります。上の図から次のことがわかります。

● 最初の VM は 2 つの仮想コアがあり、最少 4 コア要件を満たすために 4 コア ライセンスが必要。 ● 2 番目の VM は、4 コア ライセンスが必要 (仮想コアごとに 1 つ)。 ● 3 番目の VM は 6 コア ライセンスが必要。

結果的に、会社は合計 14 のコア ライセンス (2 コア パックで販売) を購入します。

個々の VM をライセンスする際に、仮想以外の展開でのライセンスのときのようにコア係数が適用されないことに注意してください。

ハイパースレッディングIntel のハイパースレッディング テクノロジを利用して 1 つの物理コアの機能を 2 つの別スレッドに分割しているお客様の場合、コア ベースのモデルで各 VM をライセンスするには、追加の要因をいくつか考慮する必要があります。

1. ハイパースレッディングが有効な場合、仮想コアをサポートするスレッドごとに 1 コア ライセンスが必要です。下の例では、VM をサポートする物理プロセッサに対してハイパースレッディングが有効です。ハイパースレッディングによって物理コアごとに 2 つのハードウェア スレッドが生成されるので、このシナリオでは合計 8 コア ライセンスが必要になります。1 コア ライセンスにより、1 つのハードウェア スレッドでサポートされる 1 つの仮想コアを使用できます。

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2. 反対に、1 つのハードウェア スレッドで複数の仮想コアをサポートしている場合、仮想コアごとに 1 コア ライセンスが必要になります。

ハイパースレッディングによって 4 コアを 8 ハードウェア スレッドに分割

必要なライセンス:

8 コア ライセンス

ハイパースレッディングが有効な個々の VM のライセンス

この図では、4 コア プロセッサとハイパースレッディングにより、2 VM (それぞれ 4 仮想コア) をサポートする。

Enterprise エディションとソフトウェア アシュアランスによってサーバーのすべての物理コアをライセンスして、無制限の仮想化使用権を得ることができます。このオプションでは、コスト効果がさらに向上し、展開の柔軟性が増大します (このトピックについては、後のセクションで詳細に説明します)。

 注: SQL Server 2012 以前のバージョンのお客様は、ライセンス オプションとルールについて、このドキュメントの付録を参照してください。

サーバー/CAL モデルでの個々の VM のライセンス多くのお客様は、ソフトウェアにアクセスするユーザー数またはデバイス数に基づくサーバー/クライアント アクセス ライセンス (サーバー/CAL) ライセンス モデルを使用して SQL Server をライセンスしています。前述のように、これらのお客様は、SQL Server ソフトウェアを実行する VM ごとに 1 サーバー ライセンスを購入することで仮想化のライセンスを取得できるので、VM をライセンスする際に 1 台の物理サーバーに複数のサーバー ライセンスを適用できます (サーバーで実行する VM ごとに 1 つのライセンス)。

HRレポート CRM

サーバー/CAL モデルでの個々の VM のライセンス

LicenseLicense LicenseLicenseLicenseLicense

必要なサーバー ライセンス数:

1 BI エディションのサーバー ライセンス (VM #1)

2 Standard エディションのサーバー ライセンス (VM #2 & 3)

= 3 必要なサーバーライセンス

必要なクライアント アクセス ライセンス

VM はサーバー/CAL ライセンスモデルでここにライセンスされる。

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同じ製造会社の例で、今度は物理環境における SQL Server のインスタンスがサーバー/CAL ライセンス モデルでライセンスされているとします。前の 2 つの例と同様に、各仮想マシンに 1 つのライセンスが必要なので、合計で 3 つのサーバー ライセンスが必要になります (この例では 1 つの Business Intelligence エディションと 2 つの standard エディションのサーバー ライセンスが必要です)。これは VM に割り当てられる仮想プロセッサ数と無関係です。さらに、SQL Server 2012 ソフトウェアにアクセスするユーザーまたはデバイスごとに SQL Server 2012 CAL が必要です。注: SQL Server CAL により、複数の VM にアクセスできます。

SQL Server 2012 Enterprise エディションの サーバー/CAL のお客様SQL Server 2012 のリリースでは、Enterprise エディションでサーバー/CAL ライセンス モデルが利用できなくなりますが、多くのお客様は、ソフトウェア アシュアランスによって既存の単位をアップグレードするか、Enterprise Agreement によって Enterprise エディションのサーバー ライセンスを購入できます。SQL Server 2012 Enterprise エディションをサーバー/CAL モデルで展開しているお客様は、Enterprise エディションのサーバー ライセンスごとに最大 4 つの VM のライセンスを使用できます。これらのお客様は、複数の Enterprise エディションのサーバー ライセンスを単一サーバーに割り当てて、追加の VM を展開できます。各 Enterprise エディションのサーバー ライセンスは、ライセンスされる (4 つ以下の) VM 全体で合計 20 のハードウェア スレッドに制限されることに注意する必要があります。複数ライセンスを使用してさらに VM を追加できますが、1 つの OSE が使用するコンピューティング能力を増やすことはできません。

SQL Server 2012 の各エディションでのサーバー ライセンスごとの VM 数については、下の表を参照してください。

SQL Server 2012 のエディション サーバー ライセンスあたりの VM 数

Standard エディション 1

Business Intelligence エディション 1

Enterprise エディション 4*

この表は、SQL Server 2012 の各エディションでのサーバー ライセンスごとの VM 数を示します。

* 1 つの Enterprise エディションのサーバー ライセンスによってライセンスされる 各 VM は、同じ物理サーバーに割り当てる必要があります。

個々の VM のライセンスは、必要なコンピューティング能力をハードウェアから柔軟に切り出してライセンスする場合に優れたオプションです。ただし、仮想環境がさらに動的になり、利用するサーバー数が増えるにつれて、ライセンス要件も複雑になり、確実に準拠するための監視が必要になる場合があります。次に、変化するビジネス ニーズに合わせてライセンス要件が頻繁に変化する、より動的な仮想環境において SQL Server にライセンス供与する方法について説明します。

シナリオ 2: 動的な仮想環境多くの組織には動的な仮想コンピューティング環境があります。つまり、仮想環境が複数の仮想サーバーに広がり、VM がこれらのサーバー間を移動してリソースを再割り当てすることがあります。ハイパーバイザーによって VM が動的に移動される場合もあります。このような動的なシナリオでは、お客様が仮想ワークロードにライセンス供与する方法に応じて、ソフトウェア ライセンスが複雑になる可能性があります。これらのシナリオでのライセンスを簡略化し、柔軟性を高めるため、マイクロソフトは、サーバー ファーム内のライセンス モビリティを提供します。これにより、サーバー間で VM と共にライセンスを移動できます。

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ライセンス モビリティ ライセンス モビリティは、ソフトウェア アシュアランスが適用されている SQL Server のすべてのエディションで利用可能な特典です。個々の VM にライセンス供与しているお客様が、ライセンスを別のサーバーに再割り当てして移動ワークロードに対応する必要がある場合、ライセンス モビリティは大きなメリットになります。

ライセンス モビリティをどのように利用するかを理解するため、製造会社の例を再び考えます。会社が成長するにしたがって物理サーバーが増え、追加の VM 間でワークロードが増大します。サーバーの資料率を最大にするために、この会社はデータ センターにある別の物理サーバーに VM を定期的に "移動" するとします。

動的な仮想環境

HRレポート CRM

VM #3 はあるサーバーから、サーバー ファーム内の別のサーバーに "移動" される。

ライセンス モビリティにより、この会社は、必要に応じて何度でもサーバー ファーム内の別のサーバーにライセンスを再割り当てできます。したがって、これらの VM のいずれかが別のサーバーに移動するたびに、ライセンスも一緒に移動します。これは大幅なコスト節約になり、ライセンスも簡単になります。ライセンス モビリティがない場合、会社は 90 日に 1 回しか別のサーバーにライセンスを移動できません。つまり、この例では、いつでもサーバーに移動可能なピーク時の VM 数に適用できるライセンスをサーバーごとに保有する必要があります。

ライセンス モビリティがコスト節約に役立つ別のシナリオは、組織が仮想化されたワークロードをデータ センターとパブリック クラウドの両方にホストする場合です。これらの "ハイブリッド" IT インフラストラクチャが成長し、さらに動的になってくると、お客様はクラウド内の VM ロールにワークロードを移動し、シームレスにライセンスも一緒に移動できます。ライセンス モビリティには、このニーズに対処できる柔軟性があります。

ライセンス モビリティは、SA が適用されている SQL Server のすべてのエディションおよびバージョンで利用でき、コア ベースとサーバー/CAL 両方でライセンス モデルでのライセンスに適用できます。

ライセンス モビリティについては、他にもいくつか考慮事項があります。

1. 前述のとおり、SQL Server Enterprise エディション、サーバー/CAL ライセンスのお客様は、サーバーごとに最大 4 つの VM をライセンスできます。お客様が動的な環境でこのライセンス モデルを使用する場合、ライセンス モビリティの特典を受けるため、1 つの Enterprise エディションのサーバー ライセンスでライセンスされている VM を同じサーバーに同時に移動する必要があることに注意してください。展開中の各 VM に 1 つの Enterprise エディションのサーバー ライセンスを割り当てる必要がある場合は、そうできないことがあります。

2. サーバー ファームは、タイムゾーンが互いに 4 時間以内にあるか、欧州連合 (EU) または欧州自由貿易連合 (EFTA) に加盟する最大 2 か所のデータ センターから構成できます。

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 ライセンス モビリティの詳細については、次の SQL Server 2012 ライセンス ガイドを参照してください。 http://download.microsoft.com/download/D/A/9/DA9CB68A-457F-45BE-829D-DF1692F7AA65/SQL2012_Licensing_Guide_jp.docx

現在、特にソフトウェアが自動的に使用され、別の VM に対してリソースをその場で動的に割り当てる状況で、多くの仮想環境はさらに動的になりつつあります。次のセクションでは、このようなシナリオにおける SQL Server のライセンスについて説明し、ライセンス管理をさらに簡略化する方法を見ていきます。

シナリオ 3: 高ボリュームの動的な仮想環境

最大仮想化のためのライセンス多数の VM を保有し、複雑で高度に動的な仮想環境の組織に対し、マイクロソフトは最大仮想化のためのライセンス オプションを提供します。つまり、サーバー上のすべてのコアがソフトウェア アシュアランスによってライセンスされる場合、お客様は任意の数の VM をサーバーに展開できます。

最大仮想化のためのライセンスによる重要なメリットは、簡略化とコスト削減が可能なことです。最大仮想化を適用すると、お客様は個々の VM 数や各 VM に割り当てる能力に煩わされずに済みます。これが特に関係があるのは、異なる物理サーバー間に多数の VM が動的に移動するプライベート クラウド シナリオ、セルフプロビジョニングが有効な場合、またはハイパースレッディングが有効な場合です。

最大仮想化の利用例として、HP Enterprise Database Consolidation (DBC) Appliance を使用したシナリオを考えてみます。Enterprise DBC Appliance では、統合されたハードウェアとソフトウェア ソリューションによって数百のデータベースを 1 つの仮想環境に統合できます。

高ボリュームの動的な仮想環境

高ボリュームの VM が Enterprise DBC Appliance のサーバー間に動的に "移動" する。

このシナリオでは、組織は Enterprise DBC Appliance の基本構成を展開していて、多数の VM をサポートするプールされた仮想リソースとして物理サーバーが組み合わされます。このライセンス シナリオは、ピーク時性能を維持するためにアプライアンス内のサーバー ブレード間を VM が動的に移動しているために複雑になっています。

アプライアンス内のすべての物理コアをライセンスし、これらのライセンスをソフトウェア アシュアランスで適用することで、組織は無制限の VM を展開できます。これにより、組織はすべての VM を適切にライセンスできるので、アプライアンス内の別サーバー間で動的に移動した場合でも、ライセンスは大幅に簡略化されます。また、お客様は、追加ライセンスを購入しなくても、必要な数の新しい VM を増やすことができます。

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最大仮想化のライセンスで重要なのは、適用する使用権の決定です。サーバーに VM を展開する場合、最新ライセンス バージョンの使用権がサーバー上のすべての VM に適用されます。たとえば、お客様が SQL Server 2008 R2 プロセッサ ライセンス (ソフトウェア アシュアランス) を使用している場合、最大仮想化のライセンスですべての VM を SQL Server 2012 にアップグレードするため、そのサーバーで実行しているすべての VM に対して SQL Server 2012 の使用権が適用されるようになります。

このようなシナリオでは、VM に個別にライセンス供与することもできますが、管理はおそらく難しくなります。高度に動的な環境において個々の VM にライセンス供与する場合、注意事項がいくつかあります。

● SQL Server 2012 Enterprise エディションの サーバー/CAL のお客様 前述のとおり、このような動的な環境では、お客様は Enterprise エディションのサーバー ライセンス

を各 VM に割り当てて、常に適切にライセンスされるようにする必要があります。お客様は 1 つの Enterprise エディションのサーバー ライセンスで最大 4 つの VM をライセンスできますが、このシナリオでは VM が動的に移動されるので、サーバー間で 4 つの VM すべてを確実に一緒に移動することは不可能です。この場合、ライセンス モビリティは適用されないので、1 つの Enterprise エディションのサーバー ライセンスを 1 つの VM に割り当てることを強くお勧めします。

● VM において動的に変化する能力使用 一部のシナリオでは、各 VM に割り当てられる能力は、変化するワークロード ニーズに合わせるた

め、またはサーバー使用率を最大にするために動的に拡張または縮小されます。この場合、お客様がコア ライセンスで個々の VM をライセンスしていると、仮想コア ベースの使用率を追跡できない可能性があります。

まとめマイクロソフトは、お客様が仮想環境で SQL Server を展開するために役立つ広範なライセンス オプションを提供します。個々の VM をライセンスできる独自の体系により、お客様は、サーバー ハードウェアから必要なコンピューティング能力だけを切り出しながら、仮想展開を小規模に開始し、必要に応じて拡張できます。ライセンス モビリティにより、お客様は仮想ワークロードと一緒にライセンスを柔軟に移動できるので、動的な環境の要件に対応できます。最大仮想化のためのライセンスにより、仮想環境の拡大時および縮小時のお客様のライセンス方法は大幅に簡略化されます。このオプションにより、お客様は、多数の VM と高度に動的な環境を必要とするシナリオにおいても適切に対応することができます。

その他の情報:

 「仮想環境での MICROSOFT サーバー製品のライセンス」(ライセンス簡易ガイド) http://download.microsoft.com/download/6/C/5/6C5DB92D-5C7A-4EA3-9394-A39F942AF775/Licensing_Microsoft_Server_Products_Virtual_Environments_jp.doc

 「SQL Server 2012 ライセンス ガイド」および他の SQL Server ライセンスに関するリソース http://www.microsoft.com/ja-jp/sqlserver/2012/howtobuy/default.aspx

 「ソフトウェア アシュアランスによるライセンス モビリティ」 http://www.microsoft.com/ja-jp/licensing/software-assurance/license-mobility.aspx

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付録

以前の SQL Server ソフトウェア リリースにおける仮想化の権利以下は、SQL Server ソフトウェアの現在および以前のバージョン、エディション、ライセンス モデルに関するソフトウェア仮想化の権利についてまとめたものです。この概要を読んでも、マイクロソフトのボリューム ライセンス契約および製品使用権に記載されるお客様の権利と義務を慎重に再検討して理解することの代わりにはなりません。前バージョンの仮想化の権利を再検討する際は、2 つのことに留意することが重要です。

1. 最初にライセンスされたバージョンおよびエディションの製品使用権は、ダウングレード権またはクロスエディション展開の権利を使用する場合でも適用されます。たとえば、お客様が SQL Server 2012 ライセンスを購入した場合、SQL Server 2008 R2 (またはそれより前のバージョン) を展開しても、SQL Server 2012 の使用権が適用されます。

2. SA で資格を取得したお客様が前バージョンからアップグレードした場合、実行中のバージョンの製品使用権が適用されます。たとえば、お客様が SQL Server 2008 から SQL Server 2012 にアップグレードした場合、SQL Server 2012 の使用権が適用されます。

3. ライセンス モビリティは、SQL Server 2012 のリリースでは SA 特典に移行しました。したがって、SA で適用されるすべてのライセンスには、ソフトウェアのバージョンやエディションに関係なく、モビリティの権利があります。

注: SQL Server 2005 以前のソフトウェアはこれらの使用条件で展開できます。

SQL Server 2005

個々の VM のライセンス 最大仮想化のためのライセンス ライセンス モビリティ

の適用

Standard エディション (サーバー/CAL) VM ごとに 1 サーバー ライセンス 該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。 不可

Enterprise エディション (サーバー/CAL) サーバー ライセンスあたり 4 VM。 各サーバー ライセンスにより、サーバー上で無制限の VM を実行できる。 不可

Standard エディション (プロセッサ ベース)

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。

該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。 不可

Enterprise エディション (プロセッサ ベース)

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。

すべての物理プロセッサがライセンスされている場合、サーバー上で無制限の VM を実行できる。 不可

注: SQL Server 2008 以前のソフトウェアはこれらの使用条件で展開できます。

VM ごとに 1 サーバー ライセンス 該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

サーバー ライセンスあたり 4 VM。 各サーバー ライセンスにより、サーバー上で無制限の VM を実行できる。

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。 該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。

すべての物理プロセッサがライセンスされている場合、サーバー上で無制限の VM を実行できる。

SQL Server 2008

個々の VM のライセンス 最大仮想化のためのライセンス ライセンス モビリティ

の適用

Standard エディション (サーバー/CAL)

Enterprise エディション (サーバー/CAL)

Standard エディション (プロセッサ ベース)

Enterprise エディション (プロセッサ ベース)

不可

不可

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注: SQL Server 2008 R2 以前のソフトウェアはこれらの使用条件で展開できます。

SQL Server 2008 R2

個々の VM のライセンス 最大仮想化のためのライセンス ライセンス モビリティ

の適用

不可

不可

Standard エディション (サーバー/CAL)

Enterprise エディション (サーバー/CAL)

Standard エディション (プロセッサ ベース)

Enterprise エディション (プロセッサ ベース)

Datacenter エディション (プロセッサ ベース)

VM ごとに 1 サーバー ライセンス

サーバー ライセンスあたり 4 VM。

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。

後述の個々の VM のプロセッサ ライセンス要件参照。

該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

該当せず。追加サーバー ライセンスにより、ライセンスあたり 4 VM を追加できる。(注: SA のお客様に無制限の VM を許可している一時的な使用権は 2012 年 4 月 1 日まで有効)。

該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

該当せず。すべての物理プロセッサがライセンスされている場合、最大 4 VM を実行できる。(注: SA のお客様に無制限の VM を許可している一時的な使用権が有効なのは 2012 年 4 月 1 日まで)。

すべての物理プロセッサがライセンスされている場合、サーバー上で無制限の VM を実行できる。最少 2 プロセッサ ライセンスが必要。

SQL Server 2012

個々の VM のライセンス 最大仮想化のためのライセンス ライセンス モビリティ

の適用

SA 適用の場合のみ

SA 適用の場合のみ

SA 適用の場合のみ

SA 適用の場合のみ

SA 適用の場合のみ

Standard エディション (サーバー/CAL)

Business Intelligence (サーバー/CAL)

Enterprise エディション (サーバー/CAL)

Standard エディション (コア ベース)

Enterprise エディション (コア ベース)

VM ごとに 1 サーバー ライセンス

VM ごとに 1 サーバー ライセンス

サーバー ライセンスあたり 4 VM。

VM をサポートする仮想コアごとに 1 コア ライセンス。最少 4 コア ライセンスが必要。

VM をサポートする仮想コアごとに 1 コア ライセンス。最少 4 コア ライセンスが必要。

該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

該当せず。追加サーバー ライセンスにより、ライセンスあたり 4 VM を追加できる。

該当せず。追加 VM は個々にライセンスする必要がある。

すべての物理プロセッサが SA でライセンスされている場合、サーバー上で無制限の VM を実行できる。最少 4 コア ライセンスが必要。

すべての物理プロセッサが SA なしでライセンス供与されている場合、1 VM のコア ベースのライセンスで実行できる。最少 4 コア ライセンスが必要。追加コア ライセンスにより、それぞれ 1 VM を追加できる。

注: SQL Server 2012 以前のソフトウェアはこれらの使用条件で展開できます。

個々の VM をライセンス供与する場合の追加注意事項: サーバー/CAL ライセンス モデルでは、SQL Server またはそのコンポーネントが物理 OSE を実行しているか、仮想 OSE を実行しているかに関係なく、SQL Server 機能またはデータにアクセスするすべてのユーザーまたはデバイスに SQL Server CAL が必要です。

プロセッサ ベースのライセンス モデルで個々の VM をライセンスする場合、VM をサポートするすべての仮想プロセッサ (v コア) をライセンスする必要があります。追加の CAL は不要です。ライセンスの目的で、1 つの仮想プロセッサが 1 つのコア (ハイパースレッディングが無効な場合) またはハードウェア スレッド (ハイパースレッディングが有効な場合) にマップされます。各 VM に必要なプロセッサ ライセンス数を計算するには、VM 内の仮想プロセッサ数を物理プロセッサごとの物理コア数 (またはスレッド数) で除算します。端数が出る場合は、近似の整数に切り上げます。

コア ベースのライセンス モデルで個々の VM をライセンスする場合、VM をサポートするすべての仮想コアにをライセンスする必要があります (最少 4 コア ライセンス)。追加の CAL は不要です。ライセンスの目的で、1 つの仮想コアが 1 つのコア (ハイパースレッディングが無効な場合) またはハードウェア スレッド (ハイパースレッディングが有効な場合) にマップされます。