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ボーリング柱状図の見方
(協)島根県土質技術研究センター
浜野浩幹
土質試験に関する一般的な説明
構造物を作るときは、それを作る地盤について
その状態や性質、強度
などを十分調べておく必要がある。
ここでいう構造物とは
橋、建物(ビル,家など),ダム、擁壁、道路
など地盤上に造られるもの全てを指す。
土質調査とは
土木工事において、地盤を調査して
埋め立てなどの材料土として使用できるかどうか、
あるいは強さなどの土の工学的性質を調べる、
ことなど土の全般に関する調査をいう。
土質調査
調査は工事の種類とか重要度によって次のどちらか一方、あるいは両方が行われる 。
原位置試験:直接現地で地盤の性質について調べる試験。
土質試験:調べたいところの土を採取してきて室内で調
べる試験。
原位置試験
概略調査などでよく行われる調査にサウンディングといわれるものがある。
サウンディングはボーリング孔を利用したり、地表から抵抗体を打ち込んで、貫入や回転あるいは引抜きを行ってその抵抗値を測定し、その点の土の状態や力学的性質を推定することをいう 。
サウンディングの種類
静的サウンディングスウエーデン式サウンディング試験ポータブルコーン貫入試験
オランダ式二重管コーン貫入試験電気式コーン貫入試験原位置ベーンせん断試験孔内水平載荷試験
動的サウンディング標準貫入試験
簡易動的コーン貫入試験
標準貫入試験
ボーリングと併用して地盤の深いところの土の硬さや締まりぐあいなどを調べる。
これは構造物を支えることのできる層(支持層)の位置や、支える強さの判定に利用する。
決められた重さの抵抗体をハンマーで打ち込み、ハンマーの打ち込みの打撃回数(N値という)によって、支持層の位置や支持力の判定を行う。
当然N値の大きいほうが締まった地盤ということになる。
標準貫入試験
ハンマー(63.5±0.5)kg
標準貫入試験用サンプラー(外径5.1cm,内径3.5cm)
ボーリングロッド
えんやコリャーパッ!!
ノッキングヘッド
落下高(76±1)cm
ボーリング孔径直径6.5~15cm
76cm持ち上げたら放す
標準貫入試験概要図
ドライブパイプまたはケーシング
孔底 予備打ち15cm,本打ち30cm
標準貫入試験(JIS A 1219 2001)ボーリングロッドの先端に中空のサンプラーを取り付け、ボーリング孔底までサンプラーを降ろし
(63.5±0.5)kgfのハンマーを、高さ(76±1)cmから自由落下させ、サンプラーを30cm貫入させる
のに要する打撃回数をN値とする。
サンプラーは装置の先端につける抵抗体をいい、土試料が同時に得られる。
標準貫入試験の特徴
最も一般的に行われているサウンディング。
玉石を除くあらゆる土質に適応できる。
サンプラーを引き上げることにより試験深
度の土を採取することができる。
打撃を加えずに自沈してしまうような極めて
軟弱な粘性土では適用性に問題がある。
標準貫入試験のN値から求められる物性値、支持力
砂の内部摩擦角(φ)粘性土の一軸圧縮強さ(qu)砂の相対密度(D)地盤の変形係数(E)直接基礎の支持力
杭基礎の鉛直支持力および周面摩擦力
液状化強度
ボーリング柱状図
標準貫入試験の結果は,次図のようなボーリング柱状図(土質柱状図)として示される。
この図から現地の土層の状態、基礎の設計や土木工事に必要な地盤に関するいろいろな情報を得ることができるため、ほとんどの工事でこの調査が行わる。
ボーリングした位置は25 000分の1や5 000分の1の地形図上、あるいは工事用の詳細な地図上に示す。
① ②③④⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨/⑩ ⑪ 説明の番号
ボーリング柱状図の説明 1
① 標尺(m) :地面からの深さ
② 層厚(m) :各層の厚さ
③ 深度(m) :堆積物(土)の種類が変わる深さ
④ 柱状図 :堆積物(土)の種類を記号や色で
示す
ボーリング柱状図の説明 2
⑤ 土質区分:堆積物(土)の種類を文字で書く。
⑥ 色調 :堆積物(土)の色
⑦ 記事 :各層の堆積物(土)の主な特徴を
書く。
⑧ 深度(m) :N値を測定した深さN値の測定は,普通深さ1mごとに行われる。ハンマーの打撃によって、15cmの予備打ち、30cmの本打ちについて測定する(JIS A 1219参照)。
ボーリング柱状図の説明 3
⑨ 打撃回数 : N値⑩ 貫入量(cm):⑧の打撃回数で貫入した量。貫入量は普通10cmごとに打撃回数を記録する。
⑪ N値:・ N値が0のときは、地盤が非常に軟弱で、支持する強度がないことを示す。
・N値が50以上になれば、全て50とおく。・重い構造物は杭をここまで打ち、この層で支える。
N 値の目安(道路土工-土質調査指針より)
大構造物の基礎としては50以上(非常に密)が望ましい。
密30以上
中小構造物の基礎地盤となりうる場合もあるが、一般に不十分である。
中位~
硬い
10~30
沈下は短期間に終わるが考慮する必要あり、地震時に液状化の恐れがある。
ゆるい0~10
砂質土
安定および沈下の対象としなくて良いが、中小構造物の基礎地盤としては20以上が望ましい。
非常に硬い
15以上
安定については大体問題はないが、沈下の可能性がある。
中位~
硬い
5~14
注意を要する軟弱地盤であり、精密な土質調査を行う必要がある。
軟らかい0~4
粘性土
注意事項硬軟N値
スウエーデン式サウンディング
スウエーデン式サウンディング試験風景
スウエーデン式サウンディング試験装置
1000mm
1000mm
200mm
荷重用クランプ
おもり
ハンドル
継足しロッド
スクリューポイント連結ロッド
スクリューポイント
底板
スエーデン式サウンディング概要図
スウエーデン式サウンディング試験方法(JIS A 1221)
専用ロッドの先端にスクリューポイントを取り付け調査地点に垂直に立て
5、 15、 25 50、 75、 100kgf の重り(Wsw)を順に載せていきそのときの貫入量(Nsw)を記録する。
このWswおよびNswの深度分布を求めて地盤の硬さを判定し土層構成を把握する。
100kgf(1kN)の重りを載せても貫入しないときはロッドを回転させ、25cm貫入させるのに要する半回転数(Nsw)を記録する。
スウエーデン式サウンディングの特徴
荷重による貫入と回転貫入を併用した原位置試験。
装置およびその操作が容易で迅速に測定できるl。
比較的貫入能力に優れている。
深さ10m程度以浅の軟弱地盤の強度の概略調査、補足調査などに良く用いられる。
戸建住宅など小規模構造物の支持力特性を把握するのに多く用いられる。
(国交省告示,宅地地盤の許容応力度を求める方法として使用を明記、2001年)
換算N値の算定粘性土:換算N値=0.03Wsw+0.05Nsw
砂質土:換算N値=0.02Wsw+0.067NswWsw:荷重(重りの重さ)
Nsw:1mあたりの半回転数(半回転を4倍した値)。自重だけで貫入する場合は0とする。
[例1]粘性土で75kgfの重りを載せたとき、ロッドが沈んだとする。[計算]換算N値=0.03×75[kgf]+0.05×0×4=2.25
[例2]砂質土で100kgfを載せたが、ロッドが沈まなかったのでハンドルを回転させたところ、25cm貫入させるのに5半回転したとき。[計算]換算N値=0.02×100[kgf]+0.067×5×4=3.34
軟弱地盤の判定
軟弱地盤の目安:地表か10mまでの地盤に次のような土層の存在が認められる場合は軟弱地盤とする。
有機質土・高有機質土(腐植土)からなる地盤。
粘性土:標準貫入試験で得られるN値が2以下、あるいはスウェーデンサウンディング試験において100kgf以下の荷重で自沈するもの(換算N値3以下)。
砂:標準貫入試験で得られるN値が10以下、あるいはスウェーデンサウンディング試験において反回転数(Nsw)が50以下のもの(換算N値5以下)。
「宅地防災マニュアル」(建設省建設経済局民間宅地指導室,1989)