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ボランティアと行動経済学
中京大学 古川雄一ゼミ
小川雪菜・河合沙恵・鈴木宏季
鷹尾春輝・田村冬華
▲目次
1. 行動経済学とは
2. 認知バイアス、合理性についての説明
3. 利他性とは
4. 研究結果
5. まとめ
皆さんは、去年のノーベル経済学賞の受賞者をご存知ですか?
突然ですが…
正解は・・・
リチャード・セイラー(アメリカ経済学者)
図
リチャード・セイラーとは
行動科学の理論家として国際的な研究業績を持ち、
02年のノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏らと並ぶ
行動経済学の権威として知られる。
ナッジ理論
最近注目されている行動経済学について発表します
でも、そもそも行動経済学って?
人は誰しも
賢くない要素を
持っている
~どんな時に非合理になってしまうのかを
分析するのが行動経済学
つねに賢い(合理的な)行動をとれるわけではない
「認知バイアス」は、誰にでも起こり得ることである。
この「認知バイアス」というものが、
人々の行動に「体系化された混乱」を引き起こす。
人間がどういった状況下で、どういった過ちを
犯してしまうのかを研究するのが、「行動経済学」
認知バイアスについて補足
バイアスの例
同じに見えなかったあなた、認知バイアスが起きてますよ・・・
図は、リチャード・セイラーキャス・サンスティーン著『実践行動経済学』日経BP社より抜粋
:あなたはこの机の長さが同じだと分かりましたか?
「認知バイアス」は、誰にでも起こり得ることである。
この「認知バイアス」というものが、人々の行動に、システマティックな過ちを起こさせる。
人間がどういった状況下で、どういった過ちを犯してしまうのかを研究するのが、「行動経済学」
改めて・・
行動経済学とは
一般の経済学
「人は合理的に考え、自らの効用が最大になるように行動している」
行動経済学
「人は状況によっては合理的ではない行動をとることもある」
経済学の理論上の人間ではなく
実際の人間が「どんな状況で非合理になるのか」を分析
!もう少し詳しく→
そもそも合理的って???
経済学における合理性の考え方
①「自分の嗜好(好み)が明確であり、それに矛盾がなく、常に不変であること。
②そして、その嗜好に基づいて、自分の効用(満足)が最も大きくなるような選択肢(たとえば商品)を選ぶということである。」
引用(『行動経済学経済は「感情」で動いている』友野典男著光文社新書2006/5/17)
▲改めて【行動経済学】とは・・・
実際の人間が「どんな状況で非合理になるのか」
▲行動経済学における非合理性の定義
1.結果を利益として見るか損失として見るかで受け止め方が変化する。
2.低い確率を過大評価し、それ以外の確率を過小評価する。
3.利益(損失)の絶対値が、感じる価値と一致しない。
いつも冷静な判断はできない
行動経済学には様々な理論が存在する中で、
わたしたちは今回その中の1つである
利他性に着目しました。
利他性とは、自分がコストを負担して
他者に利益を与える心理的傾向である。
自分のことよりも他人の幸福を願う。
利他性↔利己性
▲利他性
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◎そもそもなぜ利他的行動が生まれたか?
戦場で、自己より他者を優先させる――石器時代の
人々が交戦時にこの傾向を選択した。
「自己を犠牲にして集団を勝利に導く」人間が多い集
団が進化上で有利だった。
➠「利他的行動」の発達を加速させた可能性がある。
▲利他性の例(利他的行動)
•ボランティア
•募金
•献血
•プレゼント
•ゴミ拾い
•電車などで席を譲る
あなたがボランティアと聞いてイメージすることは何ですか?
▲ボランティアとは
日本において、ボランティアとは一般的に、自発的に
他人・社会に奉仕する人または活動を指す。
ボランティア活動の基本理念は、公共性、自発性、
無償性、先駆性である。
▲本研究のリサーチ・クエスチョン
「ボランティアをしている人ほど利他性がある」
という固定概念は必ずしも正しいとは限らないのではないか。
本研究:ボランティアと利他性の関係性
ボランティアをしている人は、一般的には利他的であるという固定概念がある。
その一方で、実は自分のために利己的な考えでボランティアをしているのではないか、という疑問も出てきている。ボランティアと利他性の関係は複雑ではっきりしない。
▲予想される結果
ボランティアをするという行為は実は自己満足のた
めであり利他的な行動とは言えず、世間が思う「ボ
ランティアをしている人は良い人」という概念は、必
ずしも正しいとは限らないかもしれない。
私たちのとった研究(アンケート)方法
Q1:「あなたはボランティアをしたことがありますか。」⇒1.ある 2.ない
Q2:「ボランティアをする人は、自分のためにやっているのか他人のためにやっているのか、どちらだと思いますか。」⇒1.自分のため 2.他人のため
・・・といった形でアンケートを取りました。
179名に実施
A:アンケート結果Q1:「あなたはボランティアをしたことがありますか。」
⇒ある(102人) ⇒ない(73人)
Q2: 自分のため…52% 自分のため…46%他人のため…48% 他人のため…54%
自分のため52%
他人のため48%
自分のため46%他人のため
54%
研究(アンケート)方法続き
Q3:「あなたのサークルに後輩を招き入れるために新入生歓迎会が開
かれるとします。より多くの1年生に入ってほしいので、1年生は無料で
参加できます。その分、自分は多く払わないといけません。いくらまで
なら払えますか。
(1年生の分を払わないとしたら、3000円で済むコースだとします。)」
⇒( )円
A:アンケート結果続きQ3:「あなたのサークルで新入生歓迎会が開かれるとします。
いくらまでなら払えますか。」
⇒平均約5383円
ボランティア経験者…約5076円ボランティア未経験者…約5900円自分のため…約6170円他人のため…約4594円
5076円
5900円6170円
4594円
ボランティア経験者 未経験者 ボランティア自分のため 他人のため
↕1576円
他人のためと考えている人より多く払っている
ボランティア経験者より多く払っている
ボランティアが利他的であるならば、経験者や他人のためと考えている人
のほうが多く支払うはずなのでは!?
824円↕
=結果のまとめ=●今回のリサーチクエスチョン
ボランティアをしている人ほど利他性があるという固定概念は
必ずしも正しいとは限らないのではないか。
▲結果
⇒必ずしも正しいとは限らない(かもしれない)。
Q
A
アンケートは1回しかしていないので、結果は変わってくるかもしれませんが・・・
■まとめ
◎行動経済学によれば人は無意識のうちに
色々なバイアスに支配される
⇒無意識なバイアスによって必ずしも正しいとは限らない固定概念が生まれる
◎ボランティアは必ずしも利他的行動であるとは言い切れないかもしれない
ご清聴ありがとうございました