(1)選抜の仕組み - スクール21 · 2013. 11. 28. ·...

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  • 埼玉県公立高校受験必勝マニュアル2014

    (1)選抜の仕組み◆選抜の資料 選抜の資料は主に下記の3つがあり、全高校で使用する共通のものと高校ごとに決めるものとがあります。

    2県公立高校の合格者はこのように決まる

    ①学力検査 ( 国語、数学、社会、理科、英語の5教科 ) →すべての高校で資料とする。②調査書 ( 学習の記録の評定、特別活動の記録、 その他の項目 ) →すべての高校で資料とする。③その他の資料 ( 面接、実技検査等 ) →高校ごとに設定する。  実施しない高校も多数あり。(約半数)

    ①学力検査は5教科合計500点満点 5教科で実施、各教科 100 点満点、5教科合計 500 点満点 ( 一部の学科では傾斜配点あり) で行われます。 平成 23 年までは、前期5教科、後期3教科の学力検査を実施していましたが、平成 24 年度からは学力検査が一本化され、5教科で実施されます。また、各教科 100 点満点という配点は、一部の学科における傾斜配点を除いては各高校に裁量権はなく、全高校で同じ扱いとなります。

    ②調査書は6項目に分けて点数化 調査書の様式はA4サイズの用紙1枚にまとめられています(P11サンプル参照 )。この調査書は、受験生および保護者に事前に開示されますので、自分の調査書の内容を確認することができます。 内容は6項目に分けて記載されています。各高校では提出された調査書の各項目を点数化し、選抜資料として使用します。各項目をどのように点数化し、どのように選抜に使用するかは高校ごとに決められます。

  • 埼玉県公立高校受験必勝マニュアル2014

    (1)各教科の学習の記録 ( 調査書①の項目 ) 各学年、各教科が5段階で評価されたもので、選抜においては各学年の合計値 (45 点満点×3学年 ) が用いられます。しかし、各学年の評定は一律に扱われるのではなく、どの学年をどの程度重視するかを高校ごとに決めて良いことになっています。例えば、3 ページ先のサンプル校の場合は、中1、中2、中3の評価を1:1:2で扱う設定になっています。( 選抜基準の例参照 )この場合、中1と中2の評価はそれぞれ 45 点満点×1、中3の評価は2倍して 90 点満点とし、「45 + 45 + 45 × 2 =180 点」。これがこの項目の満点となります。

    (2)特別活動の記録 ( 調査書④ ) ここに記載された内容を、高校ごとに定めた内容で点数化します。点数化される ( 評価対象となる) 記録内容は、各高校が発表する「選抜の基準」に明記されます。 ただし、この項目の満点は明記されているものの、それぞれの細目を何点として扱うのかは公開されません。つまり、受験生本人は、自分がこの項目で何点として扱われるのかはわからないということになります。

    (3)その他の項目 ( 調査書②選択教科の学習の記録、③総合的な学習の時間の記録、⑤出欠の記録、⑥その他の欄 ) 残りの4つの項目に記載されている事柄を点数化します。しかしながら、特別活動の記録同様、それぞれの細目を何点として点数化するのかは公開されません。

    ③その他の資料 文字通り、学力検査、調査書以外の評価項目ですが、「その他の資料」を選抜に用いない高校、学科も多数あります。その他の資料を用いる高校では、大部分が面接を採用しています。 また、専門学科では実技検査を行うケースも多くあり、その実技検査の得点が、選抜において大きな割合を占める場合もあります。

  • 埼玉県公立高校受験必勝マニュアル2014

    ②③

  • 埼玉県公立高校受験必勝マニュアル2014

    ◆ 合格者の決定方法 ( 選抜の要領 ) 県公立高校の選抜は、1回の入試の中で、第1次選抜と第2次選抜 ( 高校によっては第3次選抜まで ) に分けて合格者が決められます。ただし、合格発表の際、第1次選抜の合格者と第2次選抜の合格者が区別されて発表されるわけではありません。第1次、第2次とはあくまでも高校内で合格者を段階的に決めるためのものです。 県公立高校の選抜はどの段階の選抜でも、数値化された3つの資料 ( 学力検査、調査書、その他の資料 ) の合計点数で行われます。しかし、この3つの点数はそのまま使われるわけではありません。次ページのサンプルを例にすれば、学力検査は 500 点、調査書は 240 点、その他は面接の 20 点なのですが、それを単純に合計した 760 点が満点になるわけではありません。 学力検査の満点と、調査書の満点との割合は、それぞれの選抜段階 ( 第1次選抜・第2次選抜 ) において規定されており、各高校ではこの規定に収まるように調査書の点数を換算します。それぞれの選抜段階によって調査書点が異なるため、満点も異なるということになります。 例えば次ページに示したサンプルの第1次選抜では、調査書点の 240 点満点を1.4 倍し、336 点満点としています。各受験生の調査書点を1.4 倍した数値をこの選抜に用いるということです。これにより、学力検査点と調査書点の比率をおよそ6:4になるように調整したことになります。 この比率には範囲が決められており、その範囲内で各高校が自由に設定します。

     規定されている範囲は、学力検査の点数を①、調査書の点数を②とすると、以下のようになります。

    ■第1次選抜 ①:②の比が、4:6から6:4の範囲にあるようにする。 (①÷②の値が、  から  (0.6666・・・から1.5) の範囲 ) 人数は、合格予定数の60%~80%の範囲で設定

    ■第2次選抜 ①÷②の値が、3:7から7:3の範囲にあるようにする。 (①÷②の値が、  から  (0.428・・から2.33・・) の範囲 ) 人数は、残りの定員の60%~100%の範囲 ( 第3次選抜を行わない場合は100%)※第2次選抜の方が自由度が高いことになります。

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  • 埼玉県公立高校受験必勝マニュアル2014

    ■選抜基準の例(サンプル)

    全日制 ○○高等学校(普通科)

    (1)学力検査を重視した選抜を行う。選抜の

    (2)調査書の「特別活動等の記録」、特に部活動・生徒会活動に積極的に取り組んだ者の選抜に配慮する。基本方針

    (3)前期募集において、面接を実施し、受検生の目的意識・意欲等を評価する。

    ○ 学力検査の扱い                     ・・・・・[500点]

    ○ 調査書の扱い 学習の記録の得点(1:1:2)・・・(180点)選抜資料

    A特別活動等の記録の得   ・・・( 40点)      [240点]

    その他の項目の得      ・・・( 20点)

    ○ その他の資料 面接 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[ 20点]

    ●第1次選抜(募集人員のうち、60%を入学許可候補者とする)

    (各資料の配点)

    A 1.4一般募集 ①学力検査 ②調査書 ③その他 ④合 計 ②= ×

    (①/②= )500点 336点 20点 856点 1.49

    ●第2次選抜(募集人員のうち、30%を入学許可候補者とする)

    (各資料の配点)

    A 0.9⑤学力検査 ⑥調査書 ⑦その他 ⑧合 計 ⑥= ×

    (⑤/⑥= )500点 216点 20点 736点 2.31

    ●第3次選抜(募集人員のうち、10%を入学許可候補者とする)

    第2次選抜における合計得点の一定の順位の者を対象に、特別活動等の記録の得点で選抜する。

    【特別活動等の記録の得点(40点)】

    ○学級活動・生徒会活動・学校行事について

    以下の区分により得点を加算する

    区分A 学級活動における顕著な取り組み

    区分B 生徒会活動における顕著な取り組み

    区分C 学校行事における顕著な取り組み

    ○部活動等調査書の

    以下により得点を加算する扱いの

    ・実績(大会・コンクールへの出場・出展)詳細

    ・部長・副部長などの役員

    ・選抜選手等

    ○調査書の「6その他」欄に記載された活動のうち、運動部・文化部に準じて評価できるもの

    以下の活動で特に顕著な実績がある場合に得点を与える

    ・スポーツ活動や文化活動、ボランティア活動等

    【その他の項目の得点(20点)】

    ○選択教科の学習の記録

    特に顕著な活動がある場合に得点を与える

    ○総合的な学習の時間の記録

    特に顕著な活動がある場合に得点を与える

    ○資格取得

    英検準2級以上

    なしその他

    全校共通

    高校により異なる

    学検:調査書≒6:4

    (学力検査重視)

    ≒7:3学検:調査書

    (学力検査重視)

    それぞれが何点かは公開されない

  • 埼玉県公立高校受験必勝マニュアル2014

    学力検査の得点と学習点の関係 県公立高校の入学許可候補者選抜 ( 合否判定 ) は、原則として①学力検査、②調査書の学習の記録の評定、③調査書の特別活動の記録、④調査書のその他の記録、⑤その他 ( 面接等学校による) の5項目の合計点で行われることは前記にて確認しました。

     このうち、「調査書の学習の記録の評定 ( 内申点と呼ぶこともありますがここでは学習点と呼ぶことにします。)」の得点と、「学力検査」の得点の関係は計算することができます。もし、『学習点が足りないなぁ~』という場合は、学力検査で具体的に何点分上乗せした点数が必要かを計算し、確認することができます。 前のサンプルにもとづいて具体的に見てみます。

    ○○高校(普通科) 1次    2次

    学力検査 500   500学習点特活その他

    240  336   2161804020 換算点  換算点

    その他資料 面接 20    20856   736合   計

    調査書

    A君 4.5 平均 40+40+41×2=162  227  146B君 4.0 平均 36+36+36×2=144  202  130

    ×1.4 ×0.9

    ×1.4 ×0.9

    (注意点)内申点と学力検査の関係は学校により異なる 25点差  16点差

     調査書点の 240 点は、第1次、第2次の各選抜に応じて定数倍され、その選抜での得点となります。例えば、上記○○高校の第1次選抜では、調査書点の合計 240 点を1.4 倍し、336 点満点とします。( これにより、学力検査点:調査書点≒6:4になるように調整 )このとき、学習の記録点 ( 学習点 ) の180 点も1.4 倍されますので、252 点満点として扱われます。学習点1点分が、1.4 点として扱われます。つまり、学習点 1.4 点と学力検査 1 点が同じ重さということになります。

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     第2次選抜では調査書の 240 点を 0.9 倍して 216 点満点として扱うことにより、学力検査点:調査書点≒7:3となるように調整されています。この場合、学習点 1 点分が、学力検査 0.9 点分に相当します。※調査書点を何倍するかは、埼玉県がホームページで公開している、各校の「選抜基準」より算出する必要があります。算出方法は、選抜基準のサンプル表を参考にしてください。

    具体例で確認         表中の、「学習の記録の評定が 4.5 平均である受験生 ( 上段 )」と、「内申が 4.0 平均である受験生 ( 下段 )」の場合を比較してみましょう。A君の場合は、学習の記録点 ( 学習点 ) は 162 点ですが、前記の第1次選抜では 1.4 倍されますので 227 点として扱われ、第2次選抜では 0.9 倍した 146 点として扱われます。 一方のB君は、学習の記録点 144 点を1.4 倍した 202 点が第1次選抜、0.9 倍した 130 点が第2次選抜での点数となります。 A君とB君を比較すると、学習の記録点は、第1次選抜では25 点差、第2次選抜では 16 点差ということになります。もし、この○○高校において、必要な学習点が 4.5 平均とすれば、A君は学習点では妥当な高校、B君は 500 点満点の学力検査で 25点分 ( 少なくとも16 点分 ) を挽回する必要があるということになります。模試によって異なりますが、偏差値1の差は、500 点満点でおよそ10 点程度に相当します。B君は、「偏差値」という観点から考えれば2程度上の学力が必要となります。

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    (2) 「第2志望」を認める学校 ~見かけの倍率と実質の倍率 ひとつの高校の中に、複数の科やコースを設けているところもあります。通常、出願する際には科やコースを指定して出願しますが、高校によっては自分が出願する科やコースの他に、第2志望として他の科やコースを指定することもできます。このような高校の場合、倍率の見方に注意が必要です。 大宮高校を例に確認しましょう。 大宮高校には理数科 (40 名募集 )と普通科 ( 今年は 358 名募集 ) の2つの科があります。例年の入試状況では理数科の方が難易度は高いのですが、理数科を第1志望として出願する場合、普通科を第2志望として指定することができます。 この場合、理数科でまず選抜が行われ、仮に理数科の合格ラインに達しなかった場合、あらためて普通科の選抜 ( 第2次選抜 )に加わることになります。そして、普通科の合格ラインに達していれば「普通科で合格」となります。普通科の合格ラインにも達していない場合は「不合格」となります。 このような選抜が行われる高校で注意しなければならないのは、理数科ではなく普通科を第1志望として、普通科のみに出願する場合の倍率の出し方です。県教委が発表する倍率はあくまでも第1志望として出願された人数で集計が行われます。そのため、普通科の実質的な倍率は公表値よりも高くなります。今年、大宮高校理数科を第1志望として出願 (2/26 時点 )した受験生は 126人ですが、この126 人全員が普通科を第2志望として出願したとしましょう。公表されている倍率は以下の通りです。

    [2/26出願確定時 (大宮高校 )] ◆普通科・・・募集定員358人、出願者 562 人、倍率 562/358=1.57倍 ◆理数科・・・募集定員40人、出願者126人、倍率126/40=3.15 倍

    まず、理数科志望 126 人から 40 人の「理数科合格者」を選抜します。 この段階で 86 人が理数科不合格で、あらためて普通科で選抜が行われます。 普通科の 358 人の合格者を選抜するときには、この 86 人と、はじめから普通科を第 1 志望としている 562 人の合わせて 648人から行います。したがって、普通科の選抜時の実質的な倍率は、

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    648/358 =1.81 倍ということになります。 もちろん、理数科に出願した全員が普通科を第2志望にしたわけではありませんが、このように第2志望を認める高校を受検する際は、自分が出願する科やコースが、実質的には最大どのくらいの倍率なのかを確認する必要があります。

     大宮高校の平成25年度入試では、理数科合格者 41 名、普通科合格者 369 名でした。この普通科合格者 369 名のうち、普通科を第1志望として出願した受験生は 334 人、理数科を第1志望として出願し、普通科での転科合格を果たした受験生が 35 人でした。普通科出願者 562 名のうち、334 名が合格したので、普通科受験生にとっての事実上の倍率は 1.68 倍だったことになります。