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i226 計算機ネットワーク特論 第14回 2007.11.27 2 最近の動向 IPへの集約 IPv6の現状 Ethernetへの集約 新しいネットワーク装置 アクセス回線技術の多様化 ユビキタス系のネットワーク

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i226 計算機ネットワーク特論

第14回2007.11.27

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最近の動向

• IPへの集約• IPv6の現状• Ethernetへの集約• 新しいネットワーク装置• アクセス回線技術の多様化• ユビキタス系のネットワーク

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IPへの集約

• 様々な通信をIP上のアプリケーションという形に– 従来回線交換のシステムが担っていたもの– 専用プロトコルを使うことが多かったもの– 例

• VoIP IPによる音声電話– 典型的な回線交換アプリケーション– インターネットを定額遠距離回線として利用する点がポイント– 電話は従量制という概念が崩れる– 交換機などシステムの価格の低さも利点– 通信品質、電話番号体系、相互接続性、災害時への対応などに問題

• iSCSI IPによるSAN (Storage Area Network)– SCSIのコマンドをIPの上で伝送– 従来はFibre Channelという別のネットワーク技術を使っていた領域– スイッチが汎用のIPスイッチとなるため安価で高性能に– インターネット経由は無理にしても何らかのVPNで遠距離接続も可能

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IPへの集約の見方

• 原動力は一言で言えば標準化、集約の強み– 機器の低廉化

• 汎用のIPスイッチ(Layer 3 switch)は、例えば同規模のATMスイッチに比べて数十分の一の価格

– 技術者の数• 電話やFibre Channelの交換機やそのシグナリングシステム、ネ

ットワークシステムを知っている技術者より、IP関連技術を知っている技術者の数が圧倒的に多い

• 技術者の量と質の確保、かかるコストの違いとして現れる

– IPの欠点を補うための技術が開発される• マーケットがあってこそ、原理に逆行するような開発ができる• VLANを使ったEther/L3スイッチ、MPLSのようなラベルスイッ

チング技術

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IPv6の現状

• 準備済みスタンバイ状態– PC/WSでは主要なOSで対応ずみ

• UNIX、Linux、Windows、MacOS

– ルーターについては各メーカー何らかの対応済み• ハードウェアで対応しているのは日本メーカーが中心• US製はv6についてはCPU扱いにするL3スイッチがまだ多い

– 大手Internet Service Providerもサービス開始済み– 組み込みについては若干の残作業あり

• 試験的実装はほぼ完了 出そうと思えばいつでも出せる• 現実的な実装を行なうための最小限仕様の検討

– c.f. http://www.net.intap.or.jp/INTAP/information/journal/61.pdf

• 依然、日欧主導の感

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IPv6の見方

• IPプロトコルの順当な進化– 単なるアドレスフィールドの違いだけではない

• ノーマルなケースの処理を高速化• アドレス空間の利用方法の再考• 補助プロトコルの整理 Neighbor Discovery (ND)プロトコル• セキュリティ、QoS、Plug & Play

– サーバークライアント用アドレシングからピアツーピアアドレスへの回帰

• 日本人もこの業界で主導できる実例– KAME, USAGI, TAHI プロジェクト– 国産ハードウェアルータ (IPv6 L3 Switch)

• 日立GR, 富士通GeoStream, NEC IX, Alaxala AX

• 否定的な見方もある– http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/02012500.html

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Ethernetへの集約

• Ethernetそのものの変貌– 残っている特徴

• Ethernetフレームを単位としたパケット通信• 可変長のフレーム• ハードウェア(不変)アドレス• 送信元とあて先アドレスを持つヘッダ

– Old Ethernet• Shared media (CSMA/CD)• 10 Mbps• Co-ax cable

– Modern Ethernet• Dedicated media with switching hub (multi-port bridge)• 100-1000 Mbps• UTP cable or optical fibre

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Ethernetを拡張する規格

• 802.1p/Q (802.1D) tagVLANとpriority– QoSやCoSの実現– 物理媒体依存からの脱却、多重化

• GARP (Generic Attribute Registration Protocol)– VLAN設定を機器間で通知し合うプロトコル

• 802.3x, back pressure– full duplex、フロー制御

• 802.3ad– Link Aggregation (Trunking)

• 802.3af– UTPケーブルで電源を供給

• 802.3ah EFM (Ethernet in the First Mile)– 電話線で10Mbps、光で1Gbps

• VDSL, ADSL• 802.11一族

– 無線Ethernet

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Ethernetの見方

• これも標準化争い勝ち組– データリンク技術はハードウェアで実現される

• 標準(主流)が重要 (何種類ものハードウェアは開発したくない)• チップセットさえできれば誰でも製品が作れ、安くできる

– IPとの親和性が高い• 互いに相乗効果で発展

– シンプルさが身上• 必要最小限のフレーム• 理解しやすく、制約の少ない動作

– 過去との互換性• 途中でCSMA/CDを捨ててもEthernetや802.3と呼ばれるのはフ

レーム形式、つまり、上位層とのインタフェースが残ってるため

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最近のネットワーク機器の動向

• 低価格化が進展– Ethernetスイッチなどの標準的なチップの採用– 出荷量の大幅な増加

• ハイエンドルーターでは処理能力とともに信頼性への要求が高まる– ハードウエアコンポーネントの稼働中交換– ソフトウエアを完全モジュール化し、部分的なリブート(たとえば、

ルーターとしての動作をとめずにOSPF関係のソフトウエアだけをリブートするなど)を実現

• ユーザーごとに変化する要求に対するフレキシビリティ– ルーター内にユーザーのソフトウエアモジュールを実装可能とし、

機能追加を実現– 特定のパタンに該当するパケットを別の機器に転送して処理

• ワイヤレスとセキュリティ関係が最もホットな話題– エッジからコアまでのトータルなセキュリティ

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新しいネットワーク装置

• トラフィックシェーパ• VPNサーバ、VPNアクセラレータ• VoIP制御装置、SIPサーバー• XMLアクセラレータ• ロードバランサ• コンテンツキャッシュ• CDN (Contents Delivery Network)という概念

– 世界各地にキャッシュを設置– ユーザーコンテンツを適切なキャッシュから供給– 例: Akamai Technologies Inc.

http://www.akamai.com/

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ロードバランサ

• 複数のサーバに負荷を分散させる装置• サーバの手前に置く場合とサーバーの中にソフト

ウェアとして実現する場合がある• 基本はラウンドロビン• サーバの状態を判断して選択• コネクションの維持が技術的ポイント

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コンテンツキャッシュ、プリポジショニング

• 一度使ったデータを利用者の近くに保存しておいて再利用するのがキャッシュ (e.g. Web proxy)– サーバー側にキャッシュを置いてサーバーの能力を上げ

るのがリバースキャッシュ

• 必要そうなデータを予めユーザの近くに配ってしまうのがプリポジショニング

• リクエストしたユーザの近くにあるサーバを指示する技術も

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NGN - Next Generation Network

• 通信事業者ネットワークのIP化• 欧州が積極的に議論を進めて標準化

– ITU-T WTSA2004で最重要課題に– 来年くらいから商用化

• 事業インフラとしてのIPネットワーク– SIP (Session Initiation

Protocol)によるセッション管理トランスポートス

– トラタムとサービスストラタムの分離

– 認証及び課金機構

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New Generation Network

• インターネット(TCP/IP)そのものの設計を見直す必要性が認識されつつある

• もともとのコンセプトと現状のミスマッチ– 善意を持った均一なユーザーコミュニティ– Intelligentな端末とStupidなネットワーク– Global Unique IP AddressによるGlobal Connectivity– Open Interface & Transparency– Rough Consensus + Running Codeによる標準

• 新しい概念– IP Flow Routing, Non-layered Structure

• 新しい研究環境– StarBED2, PlanetLab

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アクセス回線技術の多様化• 有線

– ADSL (Asymmetrical Digital Subscriber Line)– SDSL (Symmetrical Digital Subscriber Line)

• アナログ電話線上の電話で使っていない周波数帯域を利用

– FTTH (Fibre To The Home) – Cable Modem

• CATVのケーブルで使っていない周波数帯域を利用 200Mbps超の通信速度も

– PLC (Power Line Communication)• 2M - 30MHzの帯域を使って200Mbps程度の通信速度も

• 無線– 802.11一族 (11b, 11a, 11g) (WiFi - Wireless LAN)– 802.16一族 (16-2004, 16e) (WiMAX - Wireless MAN)– FWA (Fixed Wireless Access)– 3GPP (3rd Generation Portable Phone)– デジタル自営無線

• アクセス回線の方が中継回線と同速度、あるいは逆転という状況も出現– インタフェース速度≠通信速度

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利用可能な無線アクセス

• 2.4GHz帯 802.11, 802.11b, 802.11g– パソコンでお馴染みの無線LAN– ISMバンドなので干渉あり

• 5GHz帯 802.11a, HiperLAN2, HiSWANa, FWA– 高速で、干渉の少ない新しい無線LAN等– 屋外については限定的に利用可能

• 30GHz帯(22, 26, 38GHz帯) 事業者によるFWAサービス– 局免許と無線従事者の配置が必要– 数KmをOC3程度の速度で接続

• 2-11GHz帯 802.16 WiMAX– 半径50Km内の端末と最大70Mbpsでの接続– FWA的な用途とモバイル用途(802.16e)の両方に– WiFi + WiMAXという使い方を想定– 誰が事業を行なうかが焦点に

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周波数

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今後のアクセス網

• 無線、有線ともに発展するとともに、光ファイバが主役に• 無線は更なる発展

– MIMO (Multiple Input and Multiple Output)• 複数の電波を同時に利用

– アレイアンテナ• 空間上でのスイッチングが可能な状況に

• 可視光通信などの新しい技術• 低消費電力の組み込み用無線インタフェースが台頭

– Bluetooth, ZigBee, その他の特定省電力無線– 電池駆動を可能としてぬいぐるみなどに埋め込むものも

• WiFi + WiMAXのような形でインフラができると端末が大きく変化

• 衛星系の次の動きは?

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宅内フォーラムアーキテクチャ

• 宅内情報通信・放送高度化フォーラムによる標準化成果• アプリケーションのドメインごとに別のネットワーク技術を採用• ドメインを束ねるところでIPプロトコルを採用するが、それぞれの領域ではも

ともと使われているプロトコルを活用する• ITU-T J.190勧告 Architecture of MediaHomeNet that supports cable-based

servicesとして国際規格に(2002.07) 2007年に改訂

EP

固有プロトコルドメインIPドメイン

Home Client Class (HC)

Home Device Class(HD)

Home Access Class(HA)

Home Bridge Class(HB)

LC通信アクセスネットワーク

放送ネットワーク

IPプロトコル ドメイン毎の固有プロトコル

TVSTB AV-HDD D-VHS

DVD デジタルAVPlane

PCPlane

電話・FAXPlane

くらし環境Plane

PCプリンタ DSC

DVC半導体オーディオ

コードレス電話

コードレスFAX

TV電話

エアコン電子レンジ くらし情報端末

無線モニタカメラ 冷蔵庫電子健康チェッカー

EP

EP

EP

LC

Access NetworkGateway

PS LC

通信系GWBP

STB

BPPC

BP電話/FAX

BPコントローラ

放送系GW放送系GW

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改訂版J.190アーキテクチャ

• 2006年10月から2007年にかけて改訂

EP

EPPC plane

IC Audio DVCPC

DSCPrinter

EPBP

EP TEL/FAXplaneVideo

phone

FAXMTA(VoIP)

Cordlessphone

EPBP

EP Homeappliance

planeMicrowaveoven Air-con

Cameramonitor

Refrigerator

Proprietary Protocol

Home Access Class(HA)

Home Bridge Class(HB)

Home Client Class(HC)

Home Decoder Class(HD)

PS

LC

LC

AccessNetwork

EP

EPDVD TVSTB

AV-HDDD-VHSAV plane

Internet Protocol (IP)Internet Protocol (IP)

LC

BP

BP

Otherplanes

RF

Modemor

ONT

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ECHONET

• 白物家電ネットワークのための標準規格• 省エネ と 独居老人問題 を主対象に据える• 機器をObject Oriented的にモデル化• 2003年から製品化が本格化• http://www.echonet.gr.jp

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ECHONET

• 本質はミドルウェア• 既存の様々なネットワーク(物理-トランスポート層)を活用• BluetoothとEtherを使うときにだけTCP/IPが出現

– IPネットワークがネットワークの全てではないという一つの例

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IEEE1394上のビデオ通信-1• IEEE1394TA(Trade

Association) Audio/Video Working Groupで規格制定

• 1394-1995規格の上のスタック

• ここにもIPは•SD: Standard Definition•FCP : Function Control Protocol•CMP : Connection Management Protocol•PCR : Plug Control Register•SD : Standard Definition•HD : High Definition•SDL : Standard Definition Long mode•DVCR : Digital Video Cassette Recorder

記録フォーマット

データシーケンス

デジタルビデオレコーダトランスミッション

SD/HD/SDL-DVCRMPEG2TS (D-VHS)

AV/Cコマンドとトランザクションセット

FCP

CMP

PCR CIPレイヤ

トランザクションレイヤ

リンクレイヤ

物理レイヤシリアルバス

管理

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ユビキタス系システム例

• 北陸総合通信局における研究会 "携帯電話と電子タグによる視覚障碍者のための公共トイレ音声案内システム"

• 注目点– ユーザーの目の前に見えている 携帯電話 や 電子タ

グ の裏側でどのようなシステムが稼動するか– ルックアップ動作の回数とその目的

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携帯電話と電子タグによる視覚障がい者のための公共トイレ音声案内システム

• 北陸総合通信局における研究会

公共トイレ管理団体等

視覚障がい者支援団体等

システム管理団体等携帯電話網

インターネット

公共トイレ

サーバトイレ情報等

DB

トイレ情報等

トイレID送信

ガイダンス受信

「このトイレは、洋式前向き。トイレットペーパーは左壁に。水を流すには後方のレバーを操作してください。」

ガイダンス音声再生

電子タグ

公共トイレ

電子タグリーダ搭載型携帯電話[試作機]

オープン基盤システム

トイレ情報

Web入力

電子タグリーダを接続した携帯電話

http://www.hokuriku-bt.go.jp/resarch/toilet.html

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携帯電話と電子タグによる視覚障がい者のための公共トイレ音声案内システム

• フィールド試験の実施• 音声ガイダンス、トイレ情報登録等操作性モニ

ター

トイレ情報等Web入力

ガイダンス音声再生

※音声ガイダンスは、音声ファイル再生機能による。

※音声ガスダンスは、音声読み上げ機能による。

「このトイレは、洋式前向き。トイレットペーパーは左壁に。水を流すには後方のレバーを操作してください。」

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携帯電話と電子タグによる視覚障がい者のための公共トイレ音声案内システム

• フィールド試験の模様• 音声ガイダンス、トイレ情報登録等操作性モニ

ター

ガイダンス文例

・このトイレは 洋式、 右 向き。

・トイレットペーパーは 左。

・水を流すには、左 の ボタン を

押してください。

・荷物棚は 左。

・非常ボタンは ありません。

トイレ情報の確認

Web入力

電子タグID読み取り

ガイダンス聞き取りと

場所の確認

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tagという端末のトラフィック

ITU-T SG16文書より