中国(大陸)のシビル・ソサエティ ・インデックス・レポー...

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中国(大陸)のシビル・ソサエティ ・インデックス・レポート ――転換期に生長するシビル・ソサエティ 清華大学公共管理学院 NGO 研究所 200611

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中国(大陸)のシビル・ソサエティ

・インデックス・レポート

――転換期に生長するシビル・ソサエティ

清華大学公共管理学院 NGO 研究所

2006‐11

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中国(大陸)シビル・ソサエティ・インデックス研究専門家委員会

メンバー (姓氏筆画順) 呉玉章 『中国社会科学』副編集長、教授 李 凡 世界と中国研究所所長 李 濤 北京協力者文化伝播センター首席統籌 孟維娜 慧霊知的障害者サービスセンター主任 苗 霞 中国人福祉基金会事務局長 袁瑞軍 北京大学政府管理学院社会団体研究センター執行主任、副教授 郭小恵 深圳市外国投資企業協会執行副会長 黄浩明 中国国際民間組織協力促進会事務局長 (以下の部分は参与) 宋慶華 北京燦雨石情報コンサルティング・センター(コミュニティ参加行動)主任 王新政 中国(海南)改革発展研究院副院長、北京首席代表 毛寿龍 中国人民大学行政管理学部主任、教授 丘海雄 中山大学教授 胡 佳 ボランティア

研究実施機関:清華大学公共管理学院 NGO 研究所

研究専門家:王名 清華大学公共管理学院教授、副院長

調整者:賈西津 清華大学公共管理学院副教授、NGO 研究所副所長

報告書執筆者:賈西津 清華大学公共管理学院助教授 潘建会 清華大学公共管理学院 MPA 大学院生

研究資金援助機構:フォード財団

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目 次

摘要 I. 序言 II. 中国の背景の下でのシビル・ソサエティ

1.シビル・ソサエティの歴史的回顧 2.中国のコンテクストの下でのシビル・ソサエティ 3.中国のシビル・ソサエティの特性

III. 中国のシビル・ソサエティの構成 IV. 中国のシビル・ソサエティの分析

1.シビル・ソサエティの構造ディメンショナリティ分析 1.1 市民参加の広さ 1.2 市民参加の深さ 1.3 シビル・ソサエティ参加者の多様性 1.4 組織レベル 1.5 相互関係 1.6 資源

2.シビル・ソサエティの環境ディメンショナリティ分析 2.1 政治環境 2.2 基本的な自由と権利 2.3 社会経済環境 2.4 社会文化環境 2.5 法律環境 2.6 国家とシビル・ソサエティの関係 2.7 私有企業とシビル・ソサエティの関係

3.シビル・ソサエティの価値ディメンショナリティ分析 3.1 民主 3.2 透明度 3.3 寛容度 3.4 非暴力 3.5 男女平等 3.6 貧困の消滅 3.7 環境保護

4.シビル・ソサエティの影響ディメンショナリティ分析 4.1 国の政策への影響 4.2 国及び私営企業に責任を負わせる 4.3 社会的利益に対する反応 4.4 市民への権限委譲

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4.5 社会的ニーズを満たす V.メディアの視野の中の中国シビル・ソサエティ VI.結論(2 ページ) VII. 補足作業(3~5 ページ) 参考資料 参考資料一 専門家委員会名簿 参考資料二 地域の利害関係者相談会参会者名簿 参考資料三 中国 CSI 実地調査研究実施状況の紹介

コミュニティのサンプリング調査 利害関係者への取材

参考文献

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摘 要 「シビル・ソサエティ・インデックス(市民活動インデックス)」(CSI:Civil Society

Index)は世界各国のシビル・ソサエティの状態を評価することを目的とした一種の指標

システムであり、それは「市民参加の世界同盟(CIVICUS)」が開発し実施を提唱し、シ

ビル・ソサエティ研究において国際的に著名な専門家であるイギリスのロンドン経済学院

シビル・ソサエティ研究センターの元主任Anheier教授の主宰の下で、長年の研究開発を

経て完成した。2000~2001 年に、14 ヵ国で先行研究が展開され、指標システムに対し

改善が行われた1。2003 年にこの研究は 25 ヵ国で正式に展開され、2005 年までに逐次

60 ヵ国まで増加した。CSIの指標システムと運用方法も研究の中で絶えず改善されてい

る。中国(大陸)は第 2 ラウンドのグループ・メンバーとして、2003~2005 年にこのプ

ロジェクトを実施した。 本文は中国大陸(報告中で特に指摘しない限り、いずれも中国大陸の状況を指す)のシ

ビル・ソサエティ・インデックス研究結果の概要について詳述し、これは CSI の統一的

方法で設定した枠組みの下で、構造、環境、価値、影響の 4 つのディメンショナリティ

から中国(大陸)のシビル・ソサエティの発展状況を明らかにしている。 レポートは、中国(大陸)のシビル・ソサエティの構造及びマクロ環境は弱点が比較的

顕著な分野で、そのうち、市民参加の深度、シビル・ソサエティ組織の発展、組織連盟と

ネットワークの建設、国際的連繋と資源構造が、シビル・ソサエティ発展構造の中の弱点

を構成し、法律環境がマクロ環境の中の制約の最も主要な面である。同時に、中国(大陸)

のシビル・ソサエティは比較的良好な価値実践と社会的影響を持っており、それがシビ

ル・ソサエティ発展の優位性の源泉になっている。 結論では、中国(大陸)のシビル・ソサエティ自体の構造改善と能力建設が、その潜在

力を発揮する重要な条件だと指摘している。シビル・ソサエティ発展の法律環境は改善が

待たれる。国とシビル・ソサエティの間には両面の関係があり、独立した平等なパートナ

ーシップの建設が構造整備改善の核心である。 キーワード:シビル・ソサエティ・インデックス(CSI)、シビル・ソサエティ、中国(大

陸)

Abstract This article is report of the CIVICUS -Civil Society Index (CSI) research, which is

an international comparative study with a set of normative indicators and research methodology. It measured civil society in Mainland China in comprehensive dimensions including structure, environment, value and impact.

The report indicated that the weaknesses of Mainland China’s civil society are

1第一段階の 14 ヵ国は既にテーマが終了し、その研究成果はAnheier著『Civil Society: Measurement, Evaluation, Policy』の書中に掲載され、書中で作図された各種の形状の異なった、国別の相違を十分に

表現した 14 のダイヤモンド図が、この研究の独自性を示している。

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structure and environment. Deepness of Citizen participation, civil society organizations, CSO alliance and network, international relationship, resource and the legislation environment are the most serious weakness, while value practice and social impact are the strength for Mainland China’s civil society.

The conclusion mentioned that to build civil society in Mainland China, we need to promote the structure and capacity building of civil society. At the mean time, improvement of legislation environment is also a key factor. The relationship between state and civil society seemed having double faces. Independent and equal partnership is essential to create good governance.

Key Words: Civil Society Index(CSI), Civil Society, China(Mainland)

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中国(大陸)のシビル・ソサエティ・インデックス構造図(CSD-Mainland)は以下の

通り。

影響

価値 環境

構造

33.3

39.3 59.9

52.3

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I.序言 中国の改革開放以前のシビル・ソサエティは、長期に渡って政治と国家により一貫して

埋没させられ、ようやく 20 世紀後半になって、シビル・ソサエティは「原形の出現」を

開始した。改革開放はシビル・ソサエティが存在と発展で依拠する経済と政治環境に根本

的な変化を発生させ、法律と文化の環境も根本的に改善され、中国において最初の大規模

な民間組織の発生を促した。経済においては、1980 年代から始まった経済体制改革が、

中国に従来の計画経済体制を次第に放棄させ、社会主義市場経済を推進し、従来の単一的

な集団所有制と国家所有制の構造を、国有、集団、個人の多様な所有制形式に変え、生産

力を極めて大きく発展させ、人民の生活水準を高め、これが中国のシビル・ソサエティが

発展する最も深い根源となった。政治においては、中国政府の弛まない機構改革が、シビ

ル・ソサエティの発展のために相対的に広々とした環境を創造した。先ず中国政府が日増

しに法律と法治を重視することで、市民の結社の自由は一定程度、実質的な保障を得た。

その次には政府の大幅な権力委譲が、国家と社会を一体化から次第に分化、多元化させた。

第 3 には、政府の機能が転換し、無限的な政府が有限的な政府に変わり、経済機能と社

会機能が弱まり、シビル・ソサエティ発展のための広大な空間が保留された。 改革開放のもたらした経済、政治、法律などの環境変化は、中国の民間組織を急速に発

展させ、中国のシビル・ソサエティは「形成過程中」の状態となった。現在、わが国の各

種の民間組織は 300 万団体に達し、社会の各方面で活発に活動し、社会主義事業と調和

社会の建設に尽力し、そして積極的な役割を発揮している。 それでは中国のシビル・ソサエティの発展程度は一体どうだろうか。中国のシビル・ソ

サエティの発展程度は、世界では一体どのような位置にあるのか。上述の問題に対して定

量的な回答を与えることができるだろうか。これらの問題を明らかにし、それにより中国

のシビル・ソサエティの優位性と不足を発見し、中国のシビル・ソサエティの一層の発展

を推進するために、中国は世界シビル・ソサエティ・インデックス研究プロジェクト

(CIVICUS―CSI)に加入している。 清華大学公共管理学院 NGO 研究所は同プロジェクトの中国における実施を担当し、研

究集団全体には清華大学の 4 人のオーバドクター研究生、及び多くの博士・修士課程研

究生を含め、研究の専門家グループはシビル・ソサエティの内部と外部の 12 人の専門家

で構成されている。 中国はプロジェクトの中で提供された 5 種類のデータ収集方法を完全に採用し、そし

て厳格に運用規定に基づきデータ収集を行っている。データ収集の状況に関しての詳細は

巻末資料を参照いただくこととし、ここでは概要の説明のみを行う。 1.二次資料の回顧。中国のシビル・ソサエティの理論と実践面における研究は、いず

れも比較的少なく、参考に供せられる二次資料も非常に限られているが、それでもプロジ

ェクト・グループは国内の既存の研究資料と国際的な関係組織の研究データを十分に利用

し、2003 年下半期には二次資料回顧レポートを完成した。二次文献は期間経過上におい

ては 1998 年から 2003 年までで、前後 6 年に達する。形式においては公開発刊された書

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籍と雑誌、国内外のウェブサイト情報を主とし、同時に内部(参考)資料、会議資料、政

府報告などを副として、社会、経済、政治、人文、法律、統計、会計などの分野に及び、

75 編の文献を参照し、130 回以上の引用を行った。 2.実地調査研究。中国は国土が広く、地域差が非常に大きく、地域の利害関係者への

諮問(RSC)とコミュニティのサンプリング調査(CSR)の抽出サンプルは多く、かつ

地域間のスパンが大きい。RSCは全国の 6 省(自治区・直轄市)、11 市(地区級市)で行

い①、各都市はそれぞれ異なった地域と発展レベルを代表している。毎回の座談会出席者

数は大体 20 人程に抑えた。11 回の座談会に合計 226 人が参加し、そのうち 80%はシビ

ル・ソサエティ界内部からの参加者で、それぞれ 249 団体の様々なタイプの民間組織に

属し、その他の 20%はシビル・ソサエティ外部から参加した利害関係者だった。95%の

人が都市から参加し、2/3 は男性で、90%以上の代表は漢族だった。7 割近い人が大学教

育を受け、年齢は主に 30~60 歳の年齢層に集中している。CSRは全国の 10 地域で展開

し②、この研究はサンプルの選択上で更に代表性を備え、そのうち 43%のコミュニティは

正式かつ計画的に建設されたもので、他の 30%のコミュニティは正式ではないが計画的

に建設されたものである。被取材者の居住地は 93%以上が交通の便が良く、ほとんど

100%が統一電力供給、70%強が統一給水で、普通の平屋と集合住宅の居住所帯がそれぞ

れ 40%ほどを占める。コミュニティ調査研究対象の選択は更にランダム性を備え、具体

的な運用方法は、それぞれのコミュニティの中から統一的な規則により、無作為に 100世帯の家庭を抽出し、1世帯の中から誕生日に近い原則により1名の取材対象を選択した。

最終サンプリングの結果は、全国で合計 1,000 人に取材し、男女比率はほとんど 1:1 で、

97%の被取材者は漢族で、そのうち約 80%の人がいずれもその地で生まれ育った地元の

人だった。 3.メディアの回顧。この数年来、メディアはますます多くシビル・ソサエティに関心

を持ち、メディア回顧のために豊富な素材を提供しており、そのためメディア回顧の困難

は比較的少なくなっている。中国 CSI プロジェクト・グループは国内の 5 つのメディア

(番組)の 1 四半期内におけるシビル・ソサエティについての報道を追跡し、関連情報

を合計 340 本収集した。 本レポートでは先ず中国のシビル・ソサエティの歴史、意義及び特徴を紹介する。続い

て中国のシビル・ソサエティ状態図(CSD)の生成プロセスについて述べる。レポート

の核心的内容では中国のシビル・ソサエティの状態についての定量的に叙述し、そしてメ

ディアの視野の中のシビル・ソサエティを単独で紹介する。レポートは最後に研究の中で

の重要な発見を総括し、そして中国のシビル・ソサエティの優劣について分析を基礎に、

更に発展させた提案を提出する。 ① 東北の遼寧省瀋陽市と鞍山市、中部の湖南省長沙市と益陽市、西北部の甘粛省蘭州市と天水市、西部

の雲南省昆明市と曲靖市、東部の上海市市街区と金山区、北方の北京市市街区を指す。 ② 東北の吉林省吉林市の伝統工業基地コミュニティ、中部の河北省衡水市のハイテク開発区コミュニテ

ィ、東部沿海の山東省威海文登市宋村鎮の管轄村、東南沿海の江蘇省徐州市邳州八路鎮の管轄村、西部

の雲南省昆明市五華区益康路コミュニティ、西南の重慶市万州区流水コミュニティ、中部の湖北省襄樊

市棗陽県新市鎮の管轄村、東南沿海の浙江省東陽市呉寧の町内、北京市椿樹園コミュニティ、甘粛省嘉

峪関新城鎮の管轄村を指す。

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II.中国の背景の下でのシビル・ソサエティ

1.シビル・ソサエティの歴史的回顧 中国の歴史は悠久であり、古来から民間結社と民間公益活動の歴史の源流及び原型が

ある。中国の古代においては、シビル・ソサエティ組織は主に 2 種類に分かれる。1 つは

その時代の統治に関連した政治結社であり、例えば戦国時代の「会党」、後漢時期の「朋

党」、元末の「白蓮教」、明朝以来の羅教、大成教、天地会、哥老会など、更には近代の青

幇、洪幇などがある。2 つ目は民間の公益互助組織で、例えば宋代に民間で発生した各種

の互助的、慈善的な「合会」、「義倉」、「義社」、「善会」などがある。 中国の民間組織は近現代、特に現代において急速に発展した。中国の民間組織の近現代

における発展段階は、中国の社会、政治、制度、経済の変革と一致している。 第 1 段階は五四運動(1911 年)から新中国建国(1949 年)までである。この時期の中

国は半植民地・半封建的な社会であり、外来の侵略・抑圧と中国人民の独立と自らを救う

闘争がこもごも入り交じり、中国の現代史上に多くの民間組織を発生させ、中国の歴史上

で最初の民間組織の繁栄の局面が現れた①。これらの組織は当時の中国社会の状況を十分

に体現し、例えば民族資本主義が外来工業への対抗と自身の利益を保護するため、「会館」、

「行会」(同業組合)などの名称を冠した業種組織を形成した。外国の宣教師、国内の地

方名士が慈善の目的で創立した慈善組織には、各種の「互助会」、「慈善堂」、「育嬰堂」(孤

児院)などが含まれる。五四運動、洋務運動の影響を受けて、大量の学術的組織が創立さ

れ、それらには各種の「学会」、「研究会」、「学社」などが含まれる。帝国主義に反対し国

難を救う目的で、大量の政治的組織が創立され、それらには学聯(学生連合会)、工会(労

働組合)、婦聯(女性連合会)、青年団、戦地サービス組織、救国会、中国共産党などがあ

り、これらの組織はこの時期の民間組織の主体だった。民間組織の管理を規範化するため、

国民党政府は 1932 年に中国史上最初の民間組織に関する専門法規である『修正民衆団体

組織方案』を公布した。その後、また相前後して共産党が『陝甘寧辺区民衆団体組織綱要』、

『陝甘寧辺区民衆団体登記弁法』を公布した②。 第 2 段階は新中国成立から改革開放前(1978 年)までである。新中国の建国以後、中

国政府は既存の民間組織に対して徹底的な整理と改造を行った。一方では明らかな政治的

傾向を持つ組織は政党組織に転化させ、例えば中国民主同盟、九三学社、工青婦組織など

がある。他方では封建的な色彩が濃厚で、反革命的、反社会主義的性質を持つ組織はすべ

て禁止した。その後、1950 年に制定された『社会団体登記暫定規則』に基づき、社会主

義の原則下でのいくつかの新たな形式の社会団体の改造と建設を行い、その中では非政治

性が中国民間組織の一つの鮮明かつ重要な特徴となった③。1965 年までに、全国的な民

間組織は建国初期の 44 から 100 近くに増加し、地方的な社会団体は 6,000 団体以上にま

① 曲広華、王富国:『五四時期の社会団体繁栄の原因試論』、『北方論叢』、1998 年第 4 号、第 97 ページ。 ② 王名:『中国の非政府公共セクター(上)』、『中国行政管理』、2001 年第 5 号、第 36 ページ。 ③ 賈西津:『中国非政府組織発展分析』、博客ネット、2005 年 08 月 26 日 00 時 05 分。

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で発展した①。この期間には「文革」の影響により、中国の民間組織の発展はいったん中

断したが、同時に大量の「紅衛兵」などの造反組織が出現した。 第 3 段階は改革開放から 1989 年までである。この 10 年は中国の民間組織数の増大が

最も速い時期だった。改革開放が中国の経済、政治、社会環境を幾分ゆとりのあるものに

し、国民の観念に比較的大きな変化が現れ、民間組織生長の土壌が備わった。この時期の

発展の主な特徴としては、第 1 に大量に官製の民間組織が大量に出現したが、行政機関

の課室がすなわち協会の全てで、一握りのスタッフで数枚から十数枚の看板を掲げ、多数

の組織は名ばかりで、実質的な内容は無かった。第 2 は農村で農地が各戸に分けられた

ため、1 家族 1 世帯の生産が相互間の協力を必要にし、この時期に科学技術協会、地方政

府の農業部門などが農民を指導して大量の農村経済組織を設立した。1989 年までに、全

国的な民間組織は 1,600 団体余りに増加し、1978 年の 16 倍となった。地方的な組織は

20 万団体に増加し、1978 年の 33 倍になった②。 第 4 段階は 1989 年から 1998 年までである。1989 年、国務院が『社会団体登記管理条

例』を公布し、民間組織の登録管理権限を民政部門に賦与し、かつ『条例』の要求に基づ

き、既存の民間組織に対する整理を求め、大量の有名無実な組織を取り消した。この時期、

中国経済はまさに計画経済体制から市場経済体制に向う軌道転換に直面しており、政治の

上では「万能の政府」から「有限な政府」に転換しつつあり、この時期の民間組織発展の

主な特徴は以下の点に現れている。第 1 は法律法規が完備され、民間組織の発展が法制

化路線を歩むようにし、新たに改訂した『社会団体登記管理条例』公布の前後に、また『基

金会管理規則』と『外国商業会議所暫定条例』を公布した。第 2 は市場の開放に従って、

従来は政府、企業が請け負っていた教育、衛生、科学技術、文化事業を、民間組織も引き

受けられるようにし、民間運営の非企業組織が大量に出現し、推定によれば 1998 年末に

全国で 70 数万団体となった③。第 3 は政府の権力委譲、市場開放により、草の根的な民

間組織が大量に出現し、同時に農業を含めた業界組織の出現が市場のニーズとなったこと

である。1998 年末までに、全国的な社会団体は 1,800 以上に達し、地方的な社会団体の

総数は 16.56 万団体に達した④。 第 5 段階は 1998 年から現在までである。1998 年 10 月に、国務院が『社会団体登記管

理条例』と『民間運営非企業組織登記管理暫定条例』を同時に公布し、同時に民間組織に

対するまた一度の大規模な整理と全面調査登記を展開した。この段階の民間組織発展の著

しい特徴は、第 1 には制度化、規範化で、この段階は上述の 2 つの条例以外に、また一

連の法律法規が登場し、それらには『中華人民共和国公益事業贈与法』(1999 年)、『中華

人民共和国民間運営教育促進法』(2002 年)、『基金会管理条例』(2004 年)などが含まれ

る。第 2 には多元化で、タイプが非常に多く、関連する分野が絶えず拡大している。国

家民政部の関連統計資料によれば、2005 年 3 月までに、全国各級の民政部門に登録され

① 呉忠沢:『NGO管理』、『清華大学発展研究通訊』(内部)、1999 年第 13 号。 ② 賈西津:『中国非政府組織発展分析』。 ③ 呉忠沢:『わが国のNGOの発展原状及びその管理』、清華大学NGO研究センター編『中国の非営利組

織管理幹部育成訓練クラス・レポート集』(内部)、1999 年。 ④ 同上。

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た民間組織は 28 万団体に達し、そのうち社会団体は 15 万団体近くで、他の 13 万団体以

上は民間運営非企業組織だった①。 その他に社会の各分野で活発に活動しているが、民

政部門に登録していない「草の根組織」が約 200~270 万団体ある②。

2. 中国のコンテクストの下でのシビル・ソサエティ 「シビル・ソサエティ」という言葉は中国では 1990 年代に出現し、同時に学術界にお

いては「中国にはシビル・ソサエティがあるか否か」という論争も引き起こされた。 国際的な視野から見ると、近代的な意義でのシビル・ソサエティについては、分権とチ

ェック・アンド・バランスがその核心的理念を構成し、「市民性」と「中間性」がその定

義の 2 つの面になる。 中国においては、政府権力の境界が不明瞭なため、市民の「個人主義」意識は希薄で、

したがって国家とシビル・ソサエティの分権とチェック・アンド・バランスは全く問題外

であり、そのため、シビル・ソサエティという用語は中国では適用できないと考える人も

いる。しかし利害関係者のシビル・ソサエティについての理解に基づいて見ると、少なく

ない人々が「市民性」と「中間性」の 2 つの面からシビル・ソサエティの概念を理解し

ているが、彼らの理解の多くは権力、義務、組織などの具体的なレベルに留まっており、

全体的にシビル・ソサエティを「空間」あるいは「領域」として理解している者は殆どい

ない。 それでも、シビル・ソサエティが中国社会の変遷、特に政治改革と民主化プロセスを探

求するための重要な用語ツールの一つになることを妨げるものではなく、これはむしろ中

国が改革プロセスの中で既に欧米の制度的意義でのシビル・ソサエティを形成しており、

国際的な用語傾向と中国社会の転換の実践が互いに結合し、中国の政治プロセスでの努力

を推進している。一方では、中国の体制改革の深化に伴って、政府や市場メカニズムとは

異なった社会空間が確かに出現しており、そして次第に拡大している。他方では、人々が

中国のシビル・ソサエティの出現に関心を持ち、まさにその背後に内包される制度的要素

に関心を持っており、このような用語自体が中国の制度の変革と政治の発展を推進する一

種の動力になっている③。

3. 中国のシビル・ソサエティの特性 中国がこの「シビル・ソサエティ」という用語を導入してまだ 20 年に満たないが、人々

がまだ中国に「シビル・ソサエティ」が存在するか否かの探求に熱中していた頃、先に述

べたように、現実の中では伝統的社会とは完全に違った空間が、既にひっそりと出現して

おり、この空間の主体がすなわち様々な民間組織である。 中国には欧米とは異なる制度的背景があり、そのため、中国のシビル・ソサエティも独

① 王名:『NGO研究叢書総序』、第 4 ページ、賈西津:『第三次改革:中国非営利セクター戦略研究』、北

京、清華大学出版社、2005 年版。 ② 同上書、第 9 ページ。 ③ 賈西津『中国のシビル・ソサエティの発展と政治改革』、博客ネット、2005 年 09 月 02 日 18 時 59 分。

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自の特色を持っている①。 第 1 に、中国のシビル・ソサエティは国家が譲渡したスペースから発生し、相対的に

「国家」にとって、「社会」は依然として比較的に弱小である。これはシビル・ソサエテ

ィ発生の範囲が有限であることに体現され、大部分は政府機能が転換し移転して出て来た

社会機能に集中し、その存在範囲、発育程度は政府の主導的なスペース譲渡でリードされ

る。シビル・ソサエティは境界線が不明瞭で、性質は不明確であり、非営利組織の核心的

特徴である非政府性、非営利性、独立性、自治性、自発性などはいずれも不鮮明である。

これらは構造転換を管理する自治の基礎は、なお強化が待たれることを示している。 第 2 に、シビル・ソサエティ発展の制度的保障が不足し、未だに国家権力の境界が形

成されていない。基本的権限の制度的保証が不足しているため、シビル・ソサエティは政

府の許可あるいは黙認の範囲内で動揺しており、その存在スペース、発育程度などはいず

れも政府行為の変化に従って絶えず変化する。 第 3 に、中国のシビル・ソサエティ生成の 2 つの源泉が、シビル・ソサエティの内部

構造の相違性をもたらしている。改革開放以来、経済の自主的スペースの発育が社会の自

主的スペースに先んじ、そこで中国のシビル・ソサエティの形成は実際には 2 つの面を

含んでいる。1 つは国家から直接分離して出て来た社会領域であり、もう 1 つは先に発育

し始めた市場経済体制内から産まれた社会スペースである。それらはそれぞれシビル・ソ

サエティの上から下へと、下から上への 2 つの源泉を構成し、そのうち前者が主要な部

分で、後者はシビル・ソサエティの本質的特性をより多く体現しているが、市場体制自身

の発育の制限を受け、市場内で生まれる動力の大多数の地域における役割は比較的限定さ

れている。 第 4 には、国家と社会の協力主義の発展変化方式である。中国の国家と社会の関係の

再構成が、全体的には政府主導のプロセスであるため、社会権力の独立には制度上の矛盾

した論理が存在する。上から下へのシビル・ソサエティは政府の資源特権を利用した権力

の優位性獲得に傾き、下から上へのシビル・ソサエティは正式の法的地位の獲得が非常に

難しく、更には税制、権限などの面でいずれも制約を受け、発展の苦境に直面している。

政府との良好な協力関係は中国のシビル・ソサエティの組織建設の優位性を構成する可能

性があるが、現在の従属関係では良好なパートナーシップに達することはできず、政府と

シビル・ソサエティ組織のパートナーシップは、シビル・ソサエティ組織が性質の上で独

立してのみ、政府とシビル・ソサエティ組織の平等な地位においての協力条件の下ではじ

めて意義を持つ。 国家主導の国家と社会の関係の再構成プロセスは、中国のシビル・ソサエティの発展の

独特な属性をもたらした。すなわち政府と市場領域の外での「社会」スペースの繁栄と、

この空間が制度化した境界の狭さと曖昧さとの共存である。中国のシビル・ソサエティの

構造的特徴はそのひ弱な体質、不安定性、制度の曖昧さ、及びその政治的発展の中での役

割の限界性を決定付けている。中国のシビル・ソサエティは全体的には、補充性が強く、

① 以下の内容は賈西津:『中国のシビル・ソサエティの発展と政治改革』から引用。

Page 15: 中国(大陸)のシビル・ソサエティ ・インデックス・レポー …...1.二次資料の回顧。中国のシビル・ソサエティの理論と実践面における研究は、いず

チェック・アンド・バランスが弱い、執行性が強く、自治性が弱い、従属性が強く、独立

性が弱い、サービス性が強く、キャンペーン性が弱い。

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III.中国のシビル・ソサエティの構成

シビル・ソサエティ組織はシビル・ソサエティの主体であり、ここでは中国の民間組織

の構成の討論を通じて、中国のシビル・ソサエティの構成状況を説明する。

社会団体

政治的組織(政党)

宗教的組織(教会)

中国NGO

法定 NGO

未登録社会団体

組織の傘下

社会団体法人

中国の民間組織の基本タイプ見取図①

上図で示したように、中国の民間組織には 4 種類の主なタイプが含まれる。第 1 のタ

イプは「法定民間組織」と呼ばれ、すなわち中国政府が法律に基づき登録した、「民間組

織」と称している組織である。民政部門に登録された「民間組織」は、依拠する法規の違

いにより、以下の 3 種類のタイプに分けられる。『社会団体登記管理条例』(1998)に基

づき登録された社会団体、『基金会管理規則』(1988)に基づき登録された基金会、『民間

運営非企業組織登記管理暫定条例』(1998)に基づき登録された民間運営非企業組織であ

る。社会団体には学術性社会団体、業界性社会団体、専門性社会団体、連合性社会団体、

基金会社会団体、外国商業会議所及び香港・マカオ・台湾の社会団体などのタイプが含ま

れ、民間運営非企業組織には、各種の民間運営の病院、学校、劇団、老人ホーム、研究所、

センター、図書館、美術館などの機構が含まれる。「法定民間組織」について言えば、政

府の認可を得て、明確な法的地位の優位性を持つが、同時に非政府属性が比較的弱いとい

う欠点も存在する。中国の民間組織登録のハードルが比較的高く、特に二重の管理体制が、

① 賈西津:『中国非政府組織発展分析』。

組織

オーナー委員会

法人地位が無い

民間運営非企業組織

工商登録(企業)

海外の在中 NGO

未定型 NGO

草の根 NGO

基金会

農村経済合作組織

ティ公益組織

転換中の現業組織

インターネット上の結社組織

村民(住民)委員会

コミュニ

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合法的身分を獲得した組織の大部分を政府運営としているため、組織の資源獲得、人事配

置、活動などの各方面でいずれも政府と結び付きをもたらし、組織自体の自主性は非常に

低い。2004 年末までに、中国の民政部門には合計 15.3 万団体の社会団体が登録され、民

の不明確な組織、インターネット上の社会団体など科学技術時

民間組織」と称され、外国人が中国で設立した民間組織と

でにニーズを満たし難くなり、新たな管理

その他に、党派的な目的を持つ政治的組織と宗教的組織があり、広義の民間組織の概念

範疇にも属するが、中国の国情とこれらの組織の特殊な属性を考慮すると、中国ではこの

2 種類の組織は民間組織からは排除される。 以下、文中の NGO はすなわち「民間組織」を指す。

運営非企業組織が 13.5 万団体、基金会が 936 団体である。その他に、「法定民間組織」

の中には、また 8 つの政治協商会議に参加する人民団体と、25 の登録を免除された社会

団体があり、この 33 団体の組織は民政部への登録を免除されているが、同様に合法的な

地位を持ち、しかも政府の背景が最も濃厚である。 第 2 のタイプは「草の根民間組織」と呼ばれ、大部分が民間で自発的に設立されたも

のである。目的、事業範囲、活動分野などの原因により、これらの組織は政府に「民間組

織」の法人地位を持つことが認可されていないが、それらはかなりの程度において民間組

織の核心的な特徴、すなわち非政府性、非営利性の特徴を持つ。草の根民間組織の形態は

多様で、要約すれば主に 2 種類がある。1 種類は商工行政管理部門に登録され、企業法人

資格を獲得している。もう 1 種類は政府によるいかなる合法性をも備えておらず、それ

にはまたある組織の下部機構、コミュニティの公益性組織、農村経済組織、及びその他の

規外で遊離して自ら活動する組織などが含まれる。この部分の組織は地位の上では周辺

に置かれているが、活動は依然として非常に活発で、各分野で一定の役割を発揮し、かつ

中国の民間組織の最も主要な構成部分になっている。関連する推定によれば、中国には現

在、草の根民間組織数は 200 万団体以上あり、法定民間組織の数を遥かに上回っている。 第 3 のタイプは、ひとまず「未定型民間組織」と呼ばれ、これらの組織は大部分が民

間組織に転換する過程中にあり、あるいは民間組織のいくつかの潜在的な特質を持ってお

り、転換中の公営現業部門、村民委員会と住民委員会などのコミュニティの自治組織、オ

ーナー委員会などの境界線

に出現した新たな形式の組織、及びその他の各種の未登録だが活動を展開している社会

組織、例えば社会団体の準備委員会などが含まれる。これらの組織の非政府性、非営利性

の程度は一様でなく、形態は多様で、大部分が変動プロセスの中にあり、長期の観察と区

分の対応を必要とする。 第 4 のタイプは、「海外在中

国籍民間組織の在中国事務所の 2 種類の形式が含まれる。中国の開放化とグローバル

化程度が絶えず進むに従って、これらの組織は中国でますます多くなり、1989 年に公布

された『外国商業会議所管理暫定規定』ではす

則の登場が迫られている。

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IV.中国のシビル・ソサエティの分析

1.シビル・ソサエティの構造ディメンショナリティ分析 シビル・ソサエティの構造、すなわちシビル・ソサエティの各要素の状況には、主に市

民の参加、シビル・ソサエティの組織分布、組織のレベル構造、セクターの内部関係、及

びシビル・ソサエティの資源状況などが含まれる。全体のディメンショナリティ上におい

ては、中国のシビル・ソサエティの構造の採点は 4 つのディメンショナリティの中で最

も低く、1.0 だった。その全体の特徴は、市民参加の深度が参加の広さに比べ更に不足し

ており、慈善募金、ボランティア、シビル・ソサエティ組織のメンバーとして、などの面

の参加にはいずれも欠陥がある。シビル・ソサエティ組織及び非党派的政治活動は比較的

弱い。シビル・ソサエティ組織のレベルが比較的低く、連盟が不足している。国際的な連

繋が少ない。資源には構造的な欠陥が存在する。 1.1 市民参加の広さ 全体的に見ると、現在の中国の市民参加とシビル・ソサエティ活動のタイプはあまり全

面的でなく、特に非党派的政治活動の参加度はほとんどゼロである。データの上から見る

と、市民の NGO、慈善、ボランティアなどの活動に対する参加は中の上レベルを達成し

ているが、中国における参加は往々にして市民が所在する組織あるいは職場の影響を受け

ている。専門家はこのサブ・ディメンショナリティについての採点を 1.02 ポイントとし

ている。 1.1.1 非党派的政治活動 村民委員会と住民委員会の選挙は普遍的に存在する。1998 年 11 月の改正『村民委員会

組織法』の実施以来、全国の 27 の省・自治区・直轄市で相次いで村民委員会の交代選挙

が行われ、約 6 億人の農民が直接選挙に参加し、投票率は 80%以上に達した。次には、『住

民委員会組織法』が 1999 年から実施され、都市コミュニティ自治のパイロット実験が行

われた。 しかし中国の現在の民主主義の条件下では、中国人は上から組織された活動に参加する

以外に、民間の自発的組織の非政治的活動に参加する機会は相対的にかなり少なく、参加

の意識と積極性も非常に低い。コミュニティ調査研究データでは、95%ほどの取材対象者

がこれまで新聞社に投書したり、請願書に署名したりしたことがなく、抗議デモに参加し

たことは更になく、わずかに数名の参加経験者は主に都市コミュニティの中に集中してい

る。ある人々は上述のような活動に参加したことがあるかも知れないが、現在の政治的雰

囲気が障害になり、他人には明らかにしたがらない。 1.1.2 慈善寄付 「コミュニティ・サービスの現状と住民のニーズ」という調査①では、60%以上の被調

査者がコミュニティ・サービスのための寄付提供を希望し、8.5%の被調査者が「希望し

① この調査は中国社会科学院が北京市新街口コミュニティで行い、48 ヵ所の住民委員会を調査し、抽出

した調査対象は合計 1,451 世帯(人)に上る。

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ない」と回答した。コミュニティの調査研究の中で、北京の椿樹園コミュニティでは 78%の被取材者が過去 1 年間に寄付行為に参加している。 しかし中国全体について言えば、コミュニティの調査研究では、ちょうど半分の人々が

過去 1 年間に何らかの慈善寄付には参加しておらず、肯定的な回答をした者は 45%足ら

ずで、しかも都市部と農村の格差が比較的大きく、北京、雲南、重慶などではいずれも

70%以上の人が寄付に参加したが、農村コミュニティではいずれも 50%以下だった。 寄付ルートがスムーズでないことが、寄付にマイナス影響を与えている主な原因である。 1.1.3 シビル・ソサエティ組織のメンバー コミュニティの調査研究の中では、37%の被調査者が少なくとも 1 つの NGO メンバー

で、13%が 2 つあるいは 2 つ以上の組織に参加、5.5%が 3 つ以上の組織に参加し、最多

では同時に 6 つの組織の会員という人もいた。地域格差は顕著で、重慶市万州区、浙江

省東陽市、北京市宣武区の 3 つのコミュニティでは、いずれも 45%以上の人が少なくと

も 1 つの組織に参加し、最も高かったのは山東省文登市管轄下の農村コミュニティで、

このデータは 79%に達した。 1.1.4 ボランティア 民政部の統計によれば、現在、中国のボランティアは 1,500 万人で、全国総人口の 1.2%

を占めるが、他の一部の国よりは遥かに低い。 もし他人を援助するすべての行為をボランティア活動と見なすなら、57%のコミュニテ

ィ成員が他人への支援あるいは援助を無償で提供したことがある。もちろん、これらの支

援あるいは援助は主に自分の力でできる簡単な仕事で、例えば都市では主に町内の老人、

子供、病人の世話、留守番、買い物などであり、農村では主に畑仕事の助け合い、冠婚葬

祭等々で、しかもこれらの援助は経常的である。都市と農村のコミュニティ間の違いは明

らかでない。 1.1.5 集団的コミュニティ活動 43%のコミュニティ成員が過去 1 年間に自分の所在するコミュニティで会議を開き、コ

ミュニティの問題を討論したことを記憶しているが、そのうち参加したのはわずか 30%の人(総数の 13%)だけだった。43.5%のコミュニティ成員が過去 1 年間に自分の所在す

るコミュニティが公共利益のためのボランティア活動を行ったことを記憶しており、その

うち 35%の人(総数の 15%)が参加した。 1.2 市民参加の深さ 参加の広さに比較して、市民参加とシビル・ソサエティの深さには更に不足している。

専門家のこのサブ・ディメンショナリティについての採点は 0.85 ポイントだった。 1.2.1 慈善寄付 現在、中国にはまだ全国の市民寄付の全体金額統計が無く、ここでは中華慈善総会のみ

を例とする。2002 年、中華慈善総会が集めた寄付金と物資は金額換算で 1.5 億元に上り、

中国の慈善事業の総合的資質と発展レベルは新たな段階に入った。 コミュニティでの取材対象者の中で、過去 1 年間に慈善寄付した 40%未満の人の大体

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の金額は 1 人当たり平均 150 元で、寄付をしていない人数を含めると、1 人当たり平均の

年間寄付額は 60 元未満だった。もし都市コミュニティと農村コミュニティに区分すれば、

年間寄付金額はそれぞれ 92.2 元と 31.5 元である。2003 年の中国の都市部の 1 人当り平

均可処分所得は 8,472 元、農村は 2,622 元で、これに基づいて計算すると、中国の都市部

人口と農村人口の 1 人当たり年間寄付金額が収入に占める比率は、それぞれ 1.1%と 1.2%だった。寄付金額の分布状況から見ると、16%の人の寄付金額は 50 元あるいはそれ以下

で、比較的集中していた金額は 50~100 元と 100~500 元で、それぞれ 9.6%と 12%に達

した。寄付金額が比較的高い人では 8 人が 1,000 元を寄付し、1 人が 5,000 元に達する寄

付をしている。(具体的な分布は下図①を参照 )

1.2.2 ボランティア 広州についてのある調査では、43%の人は障害者が最も援助を必要としていると考えて

おり、36%が独居老人だと考えている。41%の人が考える年間の比較的合理的なボランテ

ィア時間は 60 時間以内で、38%の人は 60~80 時間だった。中国青年ボランティア協会

の推定では、1999 年だけでも中国のボランティアが貢献した時間は延べ 31 億時間で、

これは約 110 万人の全日制就業者の貢献に相当する。 コミュニティの調査研究の中では、41.4%の人の過去 1 ヶ月以内の大体のボランティア

時間は、1 人当たり 16 時間未満だった。もし具体的なボランティア時間を提供しなかっ

た住民を含めれば、1 人当たりのボランティア・サービス参加時間は 6.5 時間である。ボ

ランティア・サービス時間は主に 10 時間以内に集中し、そのうち 5 時間以下が 17.6%、

5~10 時間が 10%強、20 時間以上の比率は 8%で、他に 0.8%の人のボランティア時間は

① 図中では「具体的に寄付をした人数」の全体を 1 とし、示されている比率は実際にはその金額の人数

と全ての具体的に寄付をした人数の比で、しかも図中では一部の比率の小さい寄付金額を省略している。

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100 時間を超え、最も多い人の 1 月以内のボランティア時間は 240 時間に達した。(具体

的な分布情況は下図を参照① )

1.2.3 シビル・ソサエティの成員 過去 1 年以内に、55%未満のコミュニティ成員延べ 888 人が、様々な組織に関係し(組

織会員が 34.4%、無償援助が 1.7%、活動に参加したことのある者が 18.5%、寄付をした

ことのある者が 0.39%を占めた)、そのうち 4 割足らずの人が 2 つ以上の組織と関係し、

最も多い人は同時に 7 つの組織に関係していた。残りの約 46%の人はいかなる組織とも

関わったことがない。 「1998 年以前と比較して、あなたの参加する組織の数は多くなりましたか、それとも

少なくなりましたか」という質問には、「多くなった」と「少なくなった」という人はそ

れぞれ 13%ほどで、その他の 24.5%の人は「ほぼ同じ」、残りのちょうど半分の人は「回

答なし」あるいは「わからない」という回答だった。これは 3/4 近くの市民の意識には

NGO という概念が無く、また農民の NGO への参加意識がまだ非常に弱いことを物語っ

ている。 1.3 シビル・ソサエティ参加者の多様性 シビル・ソサエティ参加の多様性のレベルは中ぐらいで、全体的に見るとマイノリティ

層の代表性が幾分低く、利害関係者が考えている NGO の分布状況は、中国の実際とは食

① 図中では「具体的なボランティア活動に時間を使った人数」の全体を 1 とし、示されている比率は実

際にはその時間を使った人数と全ての具体的なボランティア時間を使った人数との比で、しかも図中で

は一部の比率の小さいボランティア時間を省略している。

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い違いがある。専門家はこのサブ・ディメンショナリティの採点を 1.33 ポイントとして

いる。 1.3.1 シビル・ソサエティ組織の成員 利害関係者の経験によれば、シビル・ソサエティ成員の代表性にとって、様々なコロニ

ー間には比較的大きな較差が存在する。それぞれ 17%ほどの人が農村住民と貧困者が

NGO の外に排斥されていると考えており、「代表人数の深刻な不足」という問題に解答

する場合、農村住民と貧困者が最も多いと考え、それぞれ 20.4%と 17.7%を占めた。シ

ビル・ソサエティの中で代表がやや不足しているコロニーとしては、それぞれ女性(25%)

と少数民族(19.5%)が多数を占めると考えられており、同時に 16.8%の人が社会エリー

トの代表人数がいくらか不足していると考えている。代表として考えられている人数の基

本的な相当数は順に、社会エリート(46.5%)、女性(40.3%)、少数民族(22.1%)、宗教

者(19%)、農村住民(15.9%)と貧困者だった。 1.3.2 シビル・ソサエティ組織の指導層 政府側の統計数字によれば、2000 年の中国の全国的社会団体には合計 454,314 人の責

任者がおり、そのうち女性の責任者は 61,214 人で約 13%、民間運営非企業の責任者は

31,926 人で、そのうち女性は 7,275 人で、約 23%を占めた。 利害関係者の NGO の中の指導者の代表性についての見解と、成員の代表性についての

見解はほとんど同じであった。 1.3.3 シビル・ソサエティ組織の分布 利害関係者は、NGO は主に大都市に存在し、全国の多くの地域あるいはすべての地域

はいずれも存在比率が 1/3 しかないと考え、他に 6.6%の人が知らないと回答している。 このような結果は実は中国の実情とはかなり大きく食い違っており、推計によればわが

国の農村では数百万に上る草の根組織が活動しており、その数は都市をはるかに上回って

いる。下表のデータも、決して発達した都市においてこそ NGO が発達しているわけでは

ないことを示している。

地域

社会団体数の

全国の社会団

体総数に占め

る比率(%)

社会団体活動

メンバー数の

全国の社会団

体活動メンバ

ー総数に占め

る比率(%)

地域

社会団体数

の全国の社

会団体総数

に占める比

率(%)

社会団体活動メン

バー数の全国の社

会団体活動メンバ

ー総数に占める比

率(%)

北京 1.45 1.18 湖北 3.13 1.12

天津 0.93 0.38 湖南 2.91 5.04

河北 2.04 1.01 広東 5.25 3.19

山西 3.61 2.26 広西 3.50 1.53

内蒙古 5.27 3.96 海南 0.39 0.19

遼寧 3.02 2.00 重慶 2.81 0.67

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吉林 1.49 0.91 四川 4.87 5.15

黒龍江 2.50 1.30 貴州 1.56 0.50

上海 7.57 8.80 雲南 2.44 0.65

江蘇 7.62 5.30 チベット 2.03 2.59

浙江 7.09 1.62 陝西 4.10 6.86

安徽 3.28 1.14 甘粛 3.84 1.90

福建 5.25 2.49 青海 0.77 0.23

江西 2.24 1.80 寧夏 0.46 0.13

山東 3.37 4.82 新疆 1.55 0.86

河南 3.64 1.36 総計 100.00 100.00

1.4 組織レベル シビル・ソサエティの組織レベルは全体的には低く、特に組織連盟の面では更に不足が

ある。組織の自律性も依然として形式に留まっており、決してあるべき役割を発揮してい

ない。専門家はこのサブ・ディメンショナリティの採点を 0.95 ポイントとしている。 1.4.1 シビル・ソサエティ組織連盟の存在形式 利害関係者のアンケート・データでは、わが国の NGO 連盟あるいはネットワークの程

度はかなり低く、自分の熟知している NGO の中の 40%以上が何らかの組織連盟あるい

はネットワークに加入していることを知っているのはわずか 15.5%の人だけで、そのうち

の 8.4%は 60%以上に達していると考えている。23.9%の利害関係者がこの比率が 20%以

下だと考えており、他の 43%の人はこれについて全く知らない。 1.4.2 シビル・ソサエティ組織連盟の有効性 NGO の連盟あるいはネットワークに対する有効性については、多数の利害関係者が肯

定的な態度を取っており、50%以上の人が「有効」、13%の人が「多くが無効」あるいは

「全く無効」、3 分 1 つの人は「有効かどうかわからない」という回答だった。 1.4.3 自律性 シビル・ソサエティから参加した利害関係者は、彼らが参加した事のある 249 団体の

組織の中で、92%以上の組織に自律的規範があると考えている。すべての利害関係者の中

で 90%近い人が NGO は自立的規範を確立する努力をしたことがあったが、これらの自

律メカニズムが有効だと考えている人は非常に少なく、わずか 22%だった。 1.4.4 支援の基礎 中国で現在すでに存在している NGO 支援機構の形式には、 (1)ネットワーク支援機構、例えば基金会と非営利機構の情報ネット、NPO 公共ウェブ

サイト、中国公益情報ネットなどがある。 (2)資源支援組織、例えば中国国際民間組織協力促進会があり、それらは「中国政府の

調整の下で、協力パートナーの中国での協力活動展開のために、相談サービスと関連の利

便条件を提供する」。

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(3)研究機関、例えば清華大学 NGO 研究所、北京大学政府管理学院中国社会団体研究

センター、北京大学法学院シビル・ソサエティ組織法研究センター、北京大学政府管理学

院ボランティア・サービスと福祉研究センター、中山大学華南民間組織研究センター、復

旦大学社会発展研究センターなどがある。 (4)その他の能力支援組織、例えば中国青少年発展基金会は中国では比較的早くスター

トし、そして急速に発展した非営利公益組織で、愛徳基金会は中国のキリスト教者が設立

した非営利組織で、この 16 年来、数千人の社会活動家を育成しきた。 (5)企業の支援機関、現在、中国の企業セクターの NGO 支援活動はすでに始まり、例

えば、北京光華基金会と上海建国基金会はいずれも企業が創設したもので、彼らは貧困地

域の生活困窮者支援、災害救済、教育援助などの面で大量の活動を行っている。 コミュニティの調査研究の中で、14.6%の人はシビル・ソサエティの支援の基礎が「全

く存在しない」、63%の人は「有限な支持の基礎が存在する」、わずか 2%未満の人が「整

った支持の基礎が存在する」と回答した。 1.5 相互関係 調査研究のデータから見て、わが国の現在の NGO 間の交流と協力のレベルは限られた

もので、国際化への道は更に遠い。専門家はこのサブ・ディメンショナリティを 1.12 ポ

イントと採点している。 1.5.1 交流 組織間の情報疎通と情報共有のレベルが「顕著」だと考える利害関係者はわずか 6%余

りで、26%未満が「中程度」、59%が「低い」、5%が「全く存在しない」という回答だっ

た。 1.5.2 協力 NGO 間の協力の多くは小規模、初歩段階で、例えば利害関係者からの取材データから

見ると、約 4 割の人が NGO 間の協力が「非常に少ない」か、あるいは「無い」と考えて

おり、1/3 強の人が「少しある」と考えており、相互間の協力が「非常に良い」と考えて

いる人はほとんどいない。しかし近年、特に新しく生まれた NGO の中では協力はますま

す頻繁になっている。その例としては、 (1)SARS 危機対応の中での NGO の共同行動 (2)環境保護組織の共同行動、例えば 2002 年に中国の NGO が共同で、南アフリカのヨ

ハネスバーグで開催された第 2 回持続可能な開発に関する世界会議に参加した。 メディアも組織の協力に対して非常に大きな関心を払い、関連ニュースは 33 本に達し

た。全国的な範囲での NGO 協力事例が最も多く、14 本に達した。 利害関係者が挙げた実例からは、多くの人の「シビル・ソサエティ組織の連盟あるいは

ネットワーク」についての理解には偏差が存在することが分かるが、多数の実例は NGOと政府、経済組織あるいは個体間との協力、更には組織的なインターネット利用までもが

ネットワークを形成していることを反映している。 1.5.3 国際的連繋

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現在、中国の NGO と国際組織の連絡はすでに日増しに頻繁になり、17%の利害関係者

が国内の NGO の多くが国際組織連盟のメンバーだと考えているが、もちろん 4 割余りの

人が国際組織メンバーの組織はやはり非常に少ないか、あるいは全く無いと考えており、

また他の 4 割の人はこれについて知識が無い。「国内の NGO は国際組織の事務に参加し

ていない」と考える比率は 15.5%、「非常に少ない」は 31.4%、「いくらかある」あるい

は「非常に多い」は 22%、「わからない」の比率は 31.4%だった。 清華大学 NGO 研究所のある調査研究報告では、調査した国内 NGO の中で、70%余り

の組織がいかなる国外 NGO とも連繋が無い。国際協力への参加が比較的多い NGO は大

部分が北京と上海に集中し、特に頭に「中国」を冠した組織といくつかの海外関係を持つ

組織には、例えば中国国際民間組織協力促進会、宋慶齢基金会などがある。他の省・直轄

市にもいくつかの国際資金を受け入れている組織、例えば雲南生育健康研究会、四川省儀

隴県郷村発展協会、河北省易県扶貧経済合作社などがある。これらの組織と国際組織の協

力には、主に 3 種類のタイプが含まれる。 (1)海外の贈与の受け入れ、これは最もよくある協力形式で、資金源は海外の基金会(財

団)、企業、政府など、(2)情報、技術交流とスタッフの育成訓練、(3)小額貸付の展開であ

る。 1.6 資源 資源不足は中国 NGO が現在直面している最大の苦境だが、利害関係者についてのサン

プル抽出の偏差とその資源に対する理解の誤差により、調査データはこのような観点を十

分にサポートできていない。専門家はこのサブ・ディメンショナリティを 0.73 ポイント

と採点している。 1.6.1 資金資源 「改革開放以来の中国NGOの基本的状況の調査と評価」のテーマ①分析データによれ

ば、1998 年の中国のNGOの最も主要な収入源は、政府が提供する財政支出と補助金で、

組織の全資金源のほとんど半分を占めた。第 2 位の収入源はNGOの会費収入で、総収入

源の 21.18%を占めた。第 3 位は事業収入で、平均 6%を占めた。収入源の第 4 位は企業

が提供した賛助とプロジェクト経費で、5.63%を占めた。しかし、その他の収入源の比率

はいずれも 5%未満だった。同時に、わが国のNGOの支出規模はいずれもあまり大きくな

いことが示され、90%以上が毎年の支出額が 50 万元以下だった。 しかし現在、NGO の資金源には非常に大きな変化が発生し、利害関係者に対する取材

データ分析では以下のような結論が得られた。1/3 強(合計 249 団体)の NGO の資金源

のうち政府出資援助の比率、平均資金援助額は組織の年度収入の 51.7%を占め、そのうち

22 の組織では 100%が政府からの資金援助だった。46%近くの組織は企業からの資金援

助を受け、平均で年度総資金収入の 48.3%を占め、そのうち 39 の組織は資金源のうち 50~59%が企業からの資金援助で、また 18の組織は地元企業の援助に 100%依存していた。 ① 清華大学NGO研究所が展開し、調査アンケートを 10,000 部配布し、回収は 1,564 部、回収率は 15.6%で、そのうち有効回答は 1,508 部、有効回答率は 96.4%だった。

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国外からの寄付と国内の個人寄付が得られる組織の比率は比較的少ないが、いったんこ

の方面の資金源を持った組織では、資金に占める比重が比較的大きく、平均でそれぞれ

39%と 49%に達する。会費と有料サービスは依然として一部の組織では主な収入源であ

り、平均でそれぞれ半分ほどを占める。(上図①を参照)全般的な状況について言えば、

企業寄付、政府資金援助、会費が、現在のわが国のシビル・ソサエティの主な経済的源泉

である。(下図②を参照)

① 図中の右上の凡例はこの資金源の組織数がすべてのNGO(249 団体)に占める割合で、下方の凡例は

この資金がこの資金源を持つ組織の全資金に占める平均比率を表わす。 ② 図中では 28.6%の「わからない」という回答を省略、すなわち各項目の比率は他の回答の総和(71.4%)

を 100%として換算しており、実際に反映しているのは具体的回答のあった組織の財務収入の構成状況

である。

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247 組織のメンバーが自分の所属する組織の資金資源の状況についての評価は、「十分」

あるいは「基本的に足りている」と考えている人は 38%未満で少数だった。逆に「不足

している」あるいは「完全に不足」と考えている人が 56%に達し、大多数を占めた。 1.6.2 マンパワー資源 中国の NGO 職員には 3 つの部分が含まれ、第 1 は専従活動家、第 2 は兼職活動家、第

3 はボランティアである。 利害関係者へ取材データでは、圧倒的多数の組織メンバーがいずれも自分の所属する組

織のマンパワー状況について楽観的見方を示しており、3/4 近くの組織が「十分」あるい

は「基本的に足りている」と考えており、「不十分」あるいは「非常に不足している」と

考える組織はちょうど 2 割を占めた。 1.6.3 技術とインフラの資源 あるデータ①では、46.6%の中国NGOの事務所は業務主管部門が提供しているが、独立

した事務所を持っているNGOも 31.9%あり、もちろんこの中には多くの官製NGOが含ま

れ、その事務所は人民政府が直接割り当てたものである。その他に、18%のNGOが借家

しているか、あるいは専用事務室を持っておらず、事務所をリーダーあるいはメンバーの

自宅に設けている場合すらある。ここから分かるのは、中国の大多数のNGOは政府と密

接な関係があり、したがってその自治性は必然的に非常に大きく制限されるということで

ある。 利害関係者からの取材で得たデータでは、自分の所属する NGO の技術とインフラ資源

①清華大学NGO研究所が行った「改革開放以来の中国NGOの基本状況調査と評価」のテーマで得られた

データを指す。

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が「十分である」と考えている人はわずか 12%で、「基本的に足りている」が 40%、「不

十分」と「全く不十分」がそれぞれ 32%と 11%を占めた。

2.シビル・ソサエティの環境ディメンショナリティ分析 シビル・ソサエティの発展環境とは、シビル・ソサエティに対応する社会と政治、経済、

文化、法律などの各方面の発展状況、及びシビル・ソサエティのセクターと政府セクター

との間の関係を指す。ディメンショナリティのレベルにおいては、中国のシビル・ソサエ

ティの得点は 1.3 ポイントで、得点は構造のディメンショナリティよりやや高いが、その

うち最も弱体な面は、主に法律環境、および政治の競争性、国家とシビル・ソサエティの

対話、企業の慈善活動などである。

2.1 政治環境 『憲法』は中国の市民に広範な政治的権利と自由を賦与し、各種の法律も中国市民の政

治的権利のために相応の保障を提供し、中国は法治国家に向け邁進している。しかし中国

の「強い政府」の意志はすでに社会の各領域に浸透しており、市民の政治的権利は時とし

て非制度化の原因により剥奪されることがある。中国は歴史的な原因で一党制を選択して

いるが、腐敗は党と政府が直面する難題である。しかし中国の国家効率はやはり非常に高

い。専門家はこのサブ・ディメンショナリティを 1.29 ポイントと採点している。 2.1.1 政治的権利 『中国人権白書』のレポートでは、中国人民は選挙権、人民代表の広範な代表性、多党

協力と政治協商制度、基層の民主制度建設などを含む普遍的な政治的権利を獲得している。

1990 年の全国の県、郷の直接選挙統計によれば、選挙権を享有した人は 18 歳以上の市

民人数の 99.97%を占め、各省・自治区・直轄市の投票率は一般にいずれも 90%以上であ

る。中国においては、報道の検閲制度は無く、全国の各種の新聞雑誌の中で、共産党機関

と国家機関に属する新聞雑誌は、新聞雑誌総数の約 1/5 を占めるに過ぎず、残りはすべて

各民主諸党派、社会団体、学術機関、大衆組織に属している。人民の民主的権利とその他

の合法的権利を保障するため、中国では憲法、刑法、刑事訴訟法、民法通則、民事訴訟法、

行政訴訟法など一連の重要な法律を公布し、実施している。1979~1990 年に、全国人民

代表大会及びその常務委員会はすでに 99 件の法律の制定、21 件の法律に関する改正と補

充の決定、52 件の法律問題関連の決議、決定を行い、国務院は 700 件以上の行政法規を

制定し、各省・自治区・直轄市及び省中心都市などの人民代表大会及びその常務委員会は、

多くの地方的法規と行政規則を制定し、そのうち人権に関連する立法は、およそ 1,000件以上に上る。 国際組織「自由の家」の 2005 年レポートでは、中国の政治的権利指数は 7①で、「不自

由」な国に属している。 2.1.2 政治的競争 中国の政治体制の中では、共産党が指導的地位にある政党で、執政党である。八大民主

①この指数の中では、1 が最も自由で、7 は最も不自由である。国の評価としては「自由」、「部分的に自

由」、「不自由」がある。

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党派は共産党の指導を受け入れ、中国共産党と力をあわせて協力し、共に社会主義事業に

力を尽くす親密な友党であり、与党である。共産党と各民主党派の間には、「長期にわた

り共存し、相互に監督し、肝胆相照らし、栄辱を分かち合う」方針が実行されている。 政治協商会議は中国の重要な政治制度構成の一部分である。政協には現在 2,294 人の委

員がおり、これまでの各期の政協の中で委員数が最も多く、そのうち両院(中国科学院と

中国社会科学院)の院士が 107 人、国有大型企業の責任者が 33 人、非公有制経済組織の

代表者が 65 人いる。平均年齢は 56 歳で、前期に比べ 3.3 歳若返った。

2.1.3 法治 世界銀行 2005 年国別報告の中国の法治状況についての評価状況

指標 2004 年 2002 年 2000 年 1998 年 1996 年 分値(-2.5t~+ 2.5) -0.47 -0.26 -0.33 -0.22 -0.45 百分比(0~100) 40.6 48.5 48.7 52.4 37.3 方差 0.12 0.13 0.14 0.18 0.15 調査数 N 14 13 12 10 9

2.1.4 腐敗 トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)は専門に

制定した清廉指数(CPI、各国の公務員の汚職収賄の順位)、賄賂指数(BPI、国際間の

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賄賂国の順位)で各国の腐敗程度を考察している。下の 2 つの表はそれぞれ中国の清廉

指数と賄賂指数の国際的な比較状況である。

清廉指数の国際比較(1995~1999 年) 国あるいは

地区 1995 1996 1997 1998 1999 1999 順位 1998 順位 1996 順位

中 国 2.16 2.43 2.88 3.5 3.4 58 52 50 国の数 41 53 52 85 99 中間数 5.62 5.02 5.23 4.2 注:清廉指数の順位は 10(高度に清廉)から 0(極端に腐敗)

賄賂指数(BPI)の国際比較(1999 年) 順位 国名 ポイント 1 スウェーデン 8.3 19 中国(香港を含む) 3.1

注:賄賂指数の順位は 10(高度に清廉)から 0(極端に腐敗)で、アンケートは企業の高級公務員に対

する贈賄の傾向に関してである。

反腐敗の状況:第 15 回党大会以来、腐敗一掃は明らかな効果を上げ、相前後して 78万人が党規律と政府紀律の処分を受けた。ある調査では、2002 年の大衆の反腐敗活動に

ついての認識度は 1996 年に比べて 11%向上した。「腐敗の頻発傾向は一定範囲内で抑制

されている」と認識する比率が 13.4%向上した。「腐敗反対闘争について確信を持った」

と回答する人の比率は、1996 年に比べ 20%高まった。 2.1.5 国家効力 東アジア国家に関するある比較研究の中で、中国(大陸)の執政党と権力機関に対する

信任状況は東アジアの他の国よりはるかに高い(下の 2 つの表を参照)。 政党に対する信任度の調査

非常に信任

している かなり信任

している あまり信任

していない 信任してい

ない わからない

中国(大陸) 69 25 2 0 4 東アジア 12 23 43 15 7 タイ 10 37 39 6 8 モンゴル 7 33 42 18 - フィリピン 5 30 45 20 - 日本 1 9 58 25 7 韓国 1 14 53 32 - 台湾 1 15 52 14 17 香港 0 22 50 5 23

国家権力機関に対する信任度 非常に信任し

ている かなり信任し

ている あまり信任し

ていない 信任していな

い わからない

中国(大陸) 58 31 1 0 10 モンゴル 15 45 29 11 - タイ 13 42 31 5 10 東アジア 12 31 35 15 7 フィリピン 7 37 44 12 - 台湾 2 18 44 21 16

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日本 1 12 58 23 6 香港 1 51 31 3 16 韓国 0 10 45 45 -

2.1.6 地方分権 1970 年代後期に、分権化が中国の経済改革の一つの著しい特徴となり、大量の政策決

定権が地方政府に移譲された。転換の中では、財政の分権化――徴税権力の中央から各

省・自治区・直轄市への移譲の高度化であり、行政の分権化でもある――で大量の日常行

政事務決定権が地方に移譲された。 (1)財政の分権化。全般的な財政収入のレベルは大幅に下降し、予算外収入を含む政府

の財政収入は、1979 年の GDP 比 41%から 1997 には 16%に減少し、下げ幅は 60%に達

した。中国政府が徴収した税収の全般的財政収入に占める比率にも著しい変化が発生し、

中央政府の公共支出全体に占める比率は1978年の47%から1997年には22.5%に減少し、

しかも地方政府のこの比率は同時期に 53%から 77.5%に増大した。 (2)行政の分権化。幹部の管理では、1970 年代の後期から、幹部の採用、抜擢、監督の

行政権力は既に下級政府部門に降ろされ、地方官僚の手中に集中した。日常の経済政策決

定では、許可証、プロジェクト審査許可、不足資源の分配(特に資金)、政府の大型契約、

商業行為の管制、公共資金の随意使用、価格抑制及びその他の権限も次第に地方に分権さ

れている。

2.2 基本的な自由と権利 『憲法』も同様に国民に十分な自由を賦与しているが、これらの自由は国家の非制度化

により剥奪されるという問題が同様に存在する。専門家はこのサブ・ディメンショナリテ

ィの評価を 1.39 ポイントとしている。 2.2.1 市民の自由 『中華人民共和国憲法』が規定する中国市民の自由には、政治的権利と自由、宗教信仰

の自由、人身の自由、文化教育権と自由などが含まれる。 国際組織「自由の家」の 2005 年報告では、中国市民の自由指数は 6 で、「不自由」な

国に属している。 2.2.2 情報の自由 政府情報公開に関する法律:中国の行政公開制度にはすでに一定の基礎があり、そのう

ち最も重要なものは中央と地方の政府機関が主宰する機関紙などを核心とし、『国務院公

報』、『中華人民共和国法律匯編』、『中華人民共和国法匯編』などの定期刊行物を拠り所と

する、各種形式の法律、法規集で補充した法律公告システムが形成されていることである。

一定の公開申請による立法も存在し、例えば『行政再議法』第 23 条第 2 項では、申請者、

第三者は被申請者が提供した書面回答、決定した具体的な行政行為の証拠、依拠とその他

の関係資料を閲覧でき、国家機密、商業機密あるいは個人のプライバシーに関連するもの

以外、行政再議機関は拒否してはならないと規定している。 ある学者は中国政府の情報公開で存在する不足は、主に以下の点だと指摘している。 (1)政府情報が機密に偏重し、公開程度がかなり低い

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(2)政府が社会のために情報を提供する方式とルートが過少 (3)市民が政府情報を得る手続き面での保障と救済が不足 2.2.3 出版の自由 中国の憲法は、市民に言論と出版の行使の自由があることを明確に規定し、同時に、国

は『書籍雑誌出版業、印刷業、流通業管理暫定条例』、『定期刊行物暫定施行規則』などの

法規を通じて市民の言論の自由、出版の自由を規範化している。『中華人民共和国出版管

理条例』(中華人民共和国国務院令第 210 号、1997 年 2 月 1 日から施行)と『インター

ネット出版管理暫定施行規定』(中国新聞出版総署、中国情報産業部第 17 号令、2002 年

8 月 1 日から施行)などで、出版について詳細な規定を行っている。 世界銀行の2005年レポートは、中国の報道の自由度についての評価を20%としている。

2.3 社会経済環境 中国の全体的な経済環境は良好で、特に改革開放以来、国民生活の質は大幅に向上した。

専門家はこのサブ・ディメンショナリティの評価を 2.0 ポイントとしている。 1.普遍的な貧困:中国三農情報ネットの情報では、2004 年末に農村の絶対的貧困人口

は 2,610 万人で、貧困発生率は 2.8%だった。低収入人口は 4,977 万人で、低収入人口が

農村人口に占める比率は 5.3%だった。絶対的貧困人口と低収入人口の合計数は 7,587 万

人で、農村人口に占める比率は 8.1%だった①。 世界銀行のレポートでは、1 人 1 日当たり支出が 1 米ドル未満の国際的貧困ラインで計

算すると、中国の 2002 年の貧困人口の総人口に占める比率は 16.1%だった。 2.国内戦争:中国ではこの 5 年来、顕著な国内戦争は無い。 3.民族/宗教紛争:「CIDCM 平和と衝突」データベースは中国のチベットと新疆の問

題で、チベット問題は対話が進展中であり、新疆では広範な抑圧と文化的の差別視が存在

し、そして国際テロ組織の行動があることに言及している。それが中国の 2004~2005 年

の相対評価を、「紛争の政治」であり「通常の政治」ではないとしている。 4.経済的危機:世界の銀行のデータでは、中国の 2003 年の総債務と GDP の比は 13.7%

だった。 5.社会的危機:一方で、公共保健においては、エイズ感染率が上昇傾向を呈し、2003

年 2 月の衛生部の推計では 1,000,000 人まで引き上がり、この数字を 14 億人の人口で割

ると、全国の感染率は 0.1%となる。しかし一部の地域ではこの比率は非常に高く、「エイ

ズ村」まで出現している。他方では社会問題において、一時帰休者と失業者、外来労働者、

農村人口にいずれも比較的大きな張力が存在する。 6:社会経済のアンバランス:国際慣習によれば、通常 0.4 を所得分配の貧富の格差の

「警戒ライン」としている。1998 年中国のジニ係数は 0.386 で、中国社会科学院の 2005年社会青書の報告によれば、2004 年に中国のジニ係数は 0.465 を上回り、2005 年には

0.47 に近づくとしている。これは中国の社会経済のアンバランスが非常に深刻で、しか

も増大傾向にあることを物語っている。 ① 農村住民の生活消費価格指数によれば、2004 年の農村の絶対貧困人口の基準は前年の 637 元から 668元に調整され、低収入人口の基準は前年の 882 元から 924 元に調整された。

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7.成人非識字者の状況:中国の成人非識字者率はすでに新中国成立初期の 80%から

2002 年には 8.72%まで下がったが、わが国の非識字者の絶対数は依然として 8,500 万人

に達する。世界銀行のレポートは、中国の 2002年の成人非識字者率は 13.6%としている。 8.情報技術インフラ:世界銀行のレポートでは、2001 年の中国の電話普及率は人口千

人当たり 137 台で、コンピュータ普及率は千人当たり 19 台としている。 2.4 社会文化環境 中国には深い文化の伝統があり、古来より信奉されてきた儒教思想が豊富な社会資本①

を蓄積しており、例えば市民は相互信頼、互いに寛容であるが、市民のNGOに対する信

任度は極めて低い。同様に伝統文化の影響を受け、中国人は公益精神に欠けている。専門

家のこのサブ・ディメンショナリティに対する評価は 1.24 ポイントである。 2.4.1 信任 コミュニティ成員は、軍隊、警察、政府、指導者、新聞雑誌、テレビ、希望プロジェク

トなど、およそ「公」的性質を帯びた組織あるいは個人に対しては、驚くほど一致した高

度な信任を示し(「非常に信任」と「基本的に信任」の観点がいずれも 75%以上)、しか

も都市と農村の明らかな差は無い。寺院、教会、労働組合、民主諸党派、市民キャンペー

ン組織、大会社など、「私」に属する組織に対する態度は完全に逆で、一面ではあまり理

解しておらず、したがって「わからない」と無回答の比率が非常に高く(基本的に 50%以上)、他方ではすなわち不信任であり、例えば寺院と教会に対する信任度はほとんどゼ

ロで、「基本的に信任」にしても 10%を上回らず、基本的に宗教信仰を持つ住民の比率は

横ばいである。コミュニティ住民の周囲の人に対する信任度は 50%以上に達するが、4割近い人は町内の関係は「慎重であればあるほど良い」という考えを示し、この観点を持

つ都会人の比率は農村人口をやや超える。 中山大学広東発展研究院のある研究②では、中国人が信任する人々は血縁のある家族関

係の親族家庭成員を主とするが、同時に血縁家族関係を持たないが親密な交際関係を持ち、

家族成員外に位置する親戚や友人をも含む。血縁家族関係は中国人が他人を信任するかど

うかを制約する一つの主要な要素だが、唯一の要素ではなく、関係(血縁家族関係と社会

交際関係を含む)の中に含められる双方間の感情の内容が中国人の信任にとって顕著かつ

重要な影響作用を及ぼす。中国人の他人に対する信任は、外観の形式上から見ると、基本

的に一種の「関係本位」の傾向を帯びた信任――人と人の間の先天的な血縁連繋と後天的

な帰属関係により形成され確立される。しかし、実際に役割を果たすのは主に関係自体で

はなく、関係に包含される双方間の心理と感情の上での親密さの合意であり、それが交際

する双方の義務感と責任感を強め、双方の相互信頼のための保証を提供する。 ①社会資本にも適切な定義がないが、比較的多くの学者がブキャナンの社会資本についての定義を認めて

いる。すなわち「信任、規範とネットワーク、それらが調和した行動を通じて社会効率の向上を推進す

ることができる」というものである。Putnam. Robert . D, Making Democracy Work: Civil Traditions in Modern Italy,(Princeton: Princeton University Press, 1993)を参照。 ②中山大学広東発展研究所が 2000 年 7 月に行った「広東の社会変遷基本調査」プロジェクトで、広東省

内の広州、深圳、汕頭、東莞、湛江、韶関、梅州などの 7 つの都市を選択してアンケート調査を行い、

合計 2,003 部のアンケートを配布した。

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2.4.2 寛容度 中国人には古来から「遠い親戚より近くの他人」という考え方があり、したがって中国

人は隣人を非常に重視する。もし隣人について選択が可能なら、多くの取材対象者はいず

れも真剣に選択し、選択の基準はもちろん自分の生活習慣と認識レベルで決定される。コ

ミュニティ調査の中では、異なる民族、異なる宗教、地元以外の人との近隣関係を拒否す

る比率は非常に低く、それぞれ 11.4%、17%、14.8%で、普遍的に寛容なことが示された。

上述の 3 種類の人に対する態度では、都会人はより大きな寛容度を示し、彼らの拒否率

は農村より普遍的に 10~20%低い。しかしエイズと同性愛者に対しては、多くの寛容さ

を示す人は無く、普遍的に 6 割以上の人が彼らとの近隣関係に反対を示している。都市

と農村の差は寛容度の上では表れておらず、しかも表れは認知度の上で、つまり都市と農

村で話題にする割合の上ではあまり大きな違いが無いが、農村住民の「わからない」とい

う回答の比率は都市住民よりはるかに高い。社会的には農民出稼ぎ労働者に対する差別視

がかなり普遍的に存在する。 2.4.3 公益意識 1995 年に中国人民大学と北京市統計局社会処は生活時間分配調査研究課題グループを

組織し、北京市の 18 の区・県の 15 歳以上の住民に対し、「自己記入」と「聞き取り記入」

の方式を結合した調査を実施し、結果は以下の通りだった。 北京市の住民が過去 1 年間で、10 回以内の公益活動に参加した者は 70%以上、11~50

回の者は 25%以下、100 回を上回る者はわずか 3%だった。居住地域の住民に対するサー

ビス、老人・子供・病人・障害者に提供するサービス、普通の人に提供するサービスでは、

平均毎週 1 回のサービスを行っている人は、それぞれ 5%、7%、6%を占め、平均毎週 2~3 回の人はそれぞれ 3%、6%、5%を占めた。居住地域の住民で公益活動を行っている

人の中では、毎日活動を続けられる人はわずか 2%しかいない。 公益活動への参加の形式から見ると、北京市住民の大部分は各種の団体に加入して行っ

ており(61%を占める)、そのうち職場や学校の人と一緒に活動したものが 22%、住民委

員会・青年団・クラブの人と一緒に活動したものは 22%、団体に加入して行ったものは

17%だった。その次には 1 人で行ったもので、13%を占めた。第 3 は家族あるいは友人と

行ったもので、それぞれ 10%を占め、近隣住民と一緒に公益活動を行った者は 2%を占め

た。 コミュニティ住民は常識に合わない行為に対しては、高度に一致して否定的態度を示し

ている。無賃乗車、脱税などに対しては、82%以上の人がそもそも不合理だと考えている。

しかも個人の損得については、逆境に甘んじる態度を示し、「自分が当然得るべきものは

争っても手に入れるべき」だと考えている人はわずか 1/4 で、別にとこれと同じぐらい人

数が「争って手に入れるべきかどうかは状況しだいで決める」と考え、また 20%の人は

「いかなる時でも争って得るべきではない」と考え、曖昧な態度の人も 1/4 を占めた。 2.5 法律環境 法律環境は中国のシビル・ソサエティの外部環境の中では最も劣っており、これはすで

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にすべての学者、シビル・ソサエティ界の人々及びその他の利害関係者の共通認識になっ

ている。彼らの中の大多数が、法律はシビル・ソサエティに対して制限以外には干渉しか

なく、支援と優遇が欠けている。しかし利害関係者選択の偏差のために、利害関係者から

の取材結果はこれとは裏腹だった。専門家はこのサブ・ディメンショナリティの採点を

0.84 ポイントとしている。 2.5.1 シビル・ソサエティ組織の登録 現在の中国 NGO には依然として有利で十分なゆとりのある制度的空間が不足してお

り、政府は主に社会団体組織設立に「高い敷居」を設けて社会団体組織に対する選択を行

っている。それには先ず登録の二重管理体制がある。次には資金条件の制限で、例えば全

国的な社会団体は 10 万元以上、地方的な社会団体と行政区域を跨いだ社会団体は 3 万元

以上の登記資金が必要である。第三には、民間団体は地域的な下部機構を設立することが

できない。第四には、法定システム以外の生存空間が欠けており、民政部の登録を経ない

社会団体は「非合法社会団体」と見なされる。 しかし利害関係者の NGO 登録手続きに対する態度は否定よりも肯定的なものが多く、

「登録は迅速」、「手続きは簡単」、「費用は受け入れ可能」、「規則通りの処理」、「平等な対

応」などの認識の比率は順に、42%、27.9%、51.8%、66.8%、42.6%で、逆に上述の各

項目に対して否定的な態度の比率は順に、17.3%、23.5%、8%、7.1%、9.7%だった。残

りの「わからない」の比率はいずれも 40~50%を占めた。 登録手続きに対する意見では、相互間の違いは比較的大きく、その原因を追求すると、

第一には組織によって登録手続きが異なること。第二にそれぞれの地域間で具体的な登録

実施時に取り扱いの違いが存在すること。第三に多くの人は自分の組織の登録作業に直接

参与したことが無く、手続きに対しては大体しか理解していない、あるいは当然だと考え

ていることがある。総合すると、中国の NGO の管理機関における登録手続きは大体以下

のようになる。諮問―(設立準備)―申請―視察―審査許可―証明書発給。 2.5.2 キャンペーンの自由 『中国の 21 世紀の議事日程』第 20 章の中で、中国政府は「団体及び公衆が持続可能

な発展に参与する」という理念の提唱を打ち出しているが、中国 NGO のキャンペーン性

と専門的にキャンペーンに従事する NGO の発育はかなり不足しており、特に「法輪功」

事件の後に、中国では NGO に対する全面的な管理が更に強化された。 利害関係者への取材結果では、7 割以上の人が現行の法律にはシビル・ソサエティのキ

ャンペーン活動に対する制限的な規定があると考えているが、50%の人はこれらの制限は

合理的だと考えている。また NGO が自由なキャンペーン行動をとることができると考え

ている人は 9%未満である。 2.5.3 税法のシビル・ソサエティ組織に対する優遇 中国の NGO 自体に関する免税待遇には、営業税、土地使用税、耕地占用税、家屋不動

産税、増値税、車船使用税、固定資産投資方向調節税、農業税、企業所得税、不動産取得

税などが含まれ、非営利病院、老人サービス機構、学校などに対してはまた特別な免税優

遇がある。しかし全体的には、税制優遇の範囲が比較的小さい、制度化されていない、特

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別な審査許可に頼らなければ免税資格が得られないなどの問題が存在する。 2.5.4 慈善事業に対する税制優遇 国外の納税者の公益事業への寄付で享受する法定税収優遇措置から見ると、現在、中国

が実施している「企業、政府関連現業部門、社会団体、個人などの社会力量の慈善機構、

基金会などの非営利機構への公益的、救済的な贈与、公益的な青少年の活動施設への贈与、

赤十字事業への贈与、福祉的、非営利的な老人サービス機構への贈与、農村の義務教育へ

の贈与などに対して、いずれも企業所得税と個人所得税納入前の所得額の中から全額を控

除する待遇」、これは世界的にも納税者の公益事業への贈与奨励に与えている最も高度で、

最も優遇的な税制減免待遇である。1998 年の『公益事業贈与法』の実施は、中国の贈与

行為を規範化する重要な法律文書である。しかし現在は対応する実施政策の不足、優遇措

置実施の不徹底、実際の実施の中では個別的な例に頼って申請しているなどの問題が存在

する。 2.6 国家とシビル・ソサエティの関係 シビル・ソサエティと国家の関係は一種の「ジレンマ」の状態にある。シビル・ソサエ

ティは国家の関与を抜け出したがっているが、それでも国家の支援に頼ろうとする。シビ

ル・ソサエティは国家と平等に対話することを希望するが、メカニズムが欠けているため

正常な交流ができない。専門家のこのサブ・ディメンショナリティへの採点は 1.15 ポイ

ントである。 2.6.1 自治 総じて言えば、中国では政府が一貫して主導的地位にあり、従って NGO はまだ自己の

生存と発展の空間を自主的に選択し切り開く能力を持っていない。基本的に「遺漏や欠如

を補う」、政府機能の変化によって残された空間を補填する地位にある。 清華大学 NGO 研究所のアンケート調査によれば、民政部門に登録された NGO のうち、

責任者の 49.2%は政府が派遣し、政府との関係が比較的密接なことを反映している。見通

しとしては、中国の登録社会団体の中の 80%以上は政府の背景を持つが、自治化の傾向

は明らかに強まっている。 半数以上の利害関係者が、政府がシビル・ソサエティの行為に不適切に干渉することが

あったと感じており、具体的に言えば 14.2%の人が「少ない」、30%近くの人が「時には

あった」、8%の人はこのような干渉は「よくある」事だと感ており、27.4%の人は「これ

までなかった」と回答している。 政府の NGO に対する関与の事例に言及すると、中国の現在の国情で政府部門が必然的

に NGO に対して関与しなければならないという意見が比較的多く、また政府が正確に

NGO の位置付けをしていないために、その活動への関与は避けられないという意見もあ

る。その他に政府はしばしばいくつかの特定のタイプの組織あるいは活動、例えばデモ行

進、宗教、経営活動などに関与を行う。 メディアの NGO の自治に対する関心はそれほど高くないが、否定的な報道は一例もな

い。

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2.6.2 対話 政治協商会議は中国の市民が政治参加する主な方式であり、『政協全国委員会の政治協

商、民主監督、政治参与と政治討議に関する規定』(1995 年 1 月 14 日に中国人民政治協

商会議第 8 期全国委員会常務委員会第 9 次会議で採択)の中で、人民政協の主要な機能

は政治協商と民主監督で、組織的に同会議に参加する各党派、団体、各民族、各界の人々

が政治参与と政治討議に参加すると規定されている。 この数年来、いくつかの NGO が自発的に政府と対話し、具体的な方式としては、政策

論証、政策提案、政策諮問、政策への提案提出などが含まれ、またいくつかのブレーン集

団の性質を持つ組織、例えば天則経済研究所などが現れた。 利害関係者は、NGO と政府間の対話ルートは滞っており、制度化は更に問題外だと考

えており、63%の人が対話には「限界がある」、「対話が無い」とさえ考えており、二者間

の対話が「相当広範」だと思っている人は 9%足らずに過ぎない。 メディアは国がかなり広範な NGO と対話を展開し、しかもその中でサービス性 NGO

(例えばコミュニティ発展支援、文化教育、衛生保健と社会サービスなどの組織)との対

話は比較的普遍的に行われていると考えている。しかし国と各種の NGO が系統的に対話

するための専門的なメカニズムが不足している。 2.6.3 協力/支援 政府が提供する財政支出、補助金と会費収入が NGO の収入源の 70%以上を占める。 ある学者は、現在について言えば、中国政府と公益事業の民間機構は良好な協力関係を

持っており、主な分野には女性の発展、児童の権利保護、貧困扶助と開発、環境保護と法

律援助などがある。これは中国特有の文化伝統により形成されたもので、中国の NGO が

中国全体の経済発展と社会進歩に更に関心を持つことは、政府と公益事業機構の協力の強

化に役立つが、当然、政府はまた政策と法規を更に改善し、中国 NGO の健全で秩序ある

発展を保証しなければならない。 2.7 私有企業とシビル・ソサエティの関係 利害関係者からの取材の統計データから見ると、企業贈与が NGO の最大の資金源で、

これは企業のシビル・ソサエティに対する友好的な態度を十分に表明しているが、しかし

市民の企業に対する社会認知度は決して高くない。専門家のこのサブ・ディメンショナリ

ティへの採点は 1.15 ポイントである。 2.7.1 私有企業の態度 シビル・ソサエティの資金源から見ると、46%の NGO が地元企業の贈与を得たことが

あり、企業の贈与は NGO 資金源の 22%を占める。これらのデータは、企業は NGO に対

してやはり支持していることを示している。調査データでは、4 割近くの企業が NGO に

対して肯定的な態度をとっているが、35%の人が企業は「自分には関係無い」という態度

だと考えており、また 15%近くの人が企業は NGO に対し「否定的な態度」だと考えて

いる。多くの人は商業組織が NGO の活動に「時々参加している」あるいは「しばしば参

加している」と考えており、他の 23%の人は「ほとんど参加していない」、また 4%の人

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が「これまで参加したことがない」と考えている。 メディアの圧倒的多数の報道では、私有企業は NGO に対し肯定的な態度をとっている

と考えている。 2.7.2 企業の社会的責任 70%の利害関係者は企業が社会的責任を「重視していない」と考えており、社会的環境

を変える努力には「非常に限界がある」と感じており、15%の人が企業の社会的責任感は

「ちょうど良い」と考えており、「著しい」と考える人は 3%足らずだった。 2.7.3 企業の慈善 「企業と会社の贈与研究テーマ・グループ」が、上海市の 1999 年度の営業あるいは販

売収入順位の上位 800 社の企業のうち 503 社(アンケートの有効性により得た)に対す

る分析では、92.4%の企業(465 社)が創立以来、社会に対する贈与行為を行ったことが

あり、これまで贈与を行ったことが無い企業はわずか 38 社で 7.6%だった。同時に、2/3の企業は 1999 年に贈与を行ったことがあり、贈与金額は 9,786 万元で、1 社当り平均 29.8万元だった。各企業の規模が異なるため、経済実力の違いが非常に大きく、贈与金額の差

も非常に大きく、贈与の最も多いものは 3,000 万元に達した。 メディア報道から見ると、個人企業から贈与を得た NGO はごく少数で、それらは主に

労働組合、教育、育成訓練、研究分野で活動している NGO だった。

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3.シビル・ソサエティの価値ディメンショナリティ分析 シビル・ソサエティの価値には 2 つのレベルの意義が含まれる。一つはシビル・ソサ

エティ内部実践の価値理念であり、二つ目はシビル・ソサエティがより広範な社会の領域

でこれらの理念を提唱し推進する状況を指す。中国のシビル・ソサエティ・インデックス

の 4 つのディメンショナリティの中では、価値ディメンショナリティの得点が最も高く、

1.8 ポイントだった。そのうち、非暴力、男女平等、貧困消滅、環境保護などの面におい

ては、シビル・ソサエティが提唱する価値理念であれ、またシビル・ソサエティ自身の相

応する価値の実践であれ、いずれも満足すべきもので、4 つのサブ・ディメンショナリテ

ィの平均得点はいずれも 2.0~2.2 の間だった。民主主義、透明、寛容の価値理念につい

ては、上述の 4 つのディメンショナリティほど具体的な表れは際立ってはいないが、明

らかな不足も無く、3 つのサブ・ディメンショナリティの得点はそれぞれ 1.4、1.4、1.3だった。東西のカルチャーギャップのため、「わからない」が利害関係者のこのディメン

ショナリティでの最多選択になった。 このディメンショナリティの中では、各指標の数値上の差異が小さく、しかも比率の分

布態勢は基本的に同じであるため、ここでは 7 つのサブ・ディメンショナリティについ

て一つ一つの総括はせず、シビル・ソサエティが持つ価値観の内部における実践、外部行

動及び行動の作用状況により分類比較を行い、各サブ・ディメンショナリティの状況の説

明とする。 価値ディメンショナリティの各サブ・ディメンショナリティ得点

価値 民主主義 透明度 寛容度 非暴力 男女平等 貧困消滅 環境保護 得点 1.41 1.42 1.27 2.14 2.0 2.18 2.18 下図では、シビル・ソサエティが提唱する価値観(図中で標示していない民主と財務の

透明度を含む)はシビル・ソサエティ内部では比較的良好に実践されており、価値観に背

馳する現象は非常に少なく、しかも多数の違反行為は他の組織の激しい非難に遭うことに

なる。「わからない」の比率が普遍的に高いことは、これらの価値観が中国のシビル・ソ

サエティに関心を持って受容されていないことを物語っている。

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下図①では、シビル・ソサエティが社会全体に向けて、その内部価値観を推進する行動が

まだ比較的少ないことを示している。上図でまさに示されたように、これらの価値観は未

だにシビル・ソサエティに関心を持たれておらず、したがって、NGOは現在、行動の重

点を価値建設に置いておらず、社会の価値建設の推進に尽力している組織はまだ非常に少

ない。図中の貧困扶助と環境保護の 2 つの分野は比較的活発で、これは中国の現在の状

況に符合している。

①図中の「透明度」は利害関係者のシビル・ソサエティ組織の政府の透明度と企業の透明度を高める行動

に対する評価から総合的に求めた。

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図①からは、シビル・ソサエティが社会に向けてその価値観を推進する行動の作用はあま

り理想的でなく、シビル・ソサエティが全社会に向けてそれ自身の価値観を推進する行動

が多くない前提の下で、その効果が良いことは当然あり得ず、したがって否定的な態度

(「限られている」と「不明確」)を示す比率は、肯定的な態度(「中ぐらい」と「顕著」)

を示す比率より遥かに高いことがわかる。しかし、「わからない」の比率は明らかに下が

り、否定的態度を持つ比率が明らかに上昇し、これは利害関係者のシビル・ソサエティの

これらの面での行動に対する消極的な態度を説明している。図中からはシビル・ソサエテ

ィの貧困扶助、環境保護などの分野での役割が、やはり一定程度の認知を得ていることが

依然として見られる。

①図中の「透明度」は利害関係者のシビル・ソサエティ組織の政府の透明度と企業の透明度を高める行動

に対する評価から総合的に求めた。

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このディメンショナリティの各サブ・ディメンショナリティについての具体的な描写は以

下の通り。 3.1 民主主義

3.1.1 シビル・ソサエティ組織内部の民主的実践 利害関係者への取材結果では、シビル・ソサエティ内部の民主主義の程度は比較的高く、

70%の組織の指導者は成員の選挙により選出され、他の 3%は自薦で就任し、任命の指導

者も 2 割余りを占める。NGO の意思決定時には、指導者の言う通りというわけではなく、

1/3の人は組織メンバーが意思決定の中で「実質的な役割を果たしている」と考えており、

2 割余りの人は「いくらかの役割はあるが、十分に核心的ではない」と感じ、「限界があ

る」あるいは「ほとんど役割を果たしていない」と感じる人も 40%を占めている。 3.1.2 シビル・ソサエティの民主主義の発展を促進する行動 中国で民主主義の過程を促進する NGO の数は少なく、メディアのこの面に対する関心

も低いが、この数年来その役割もある程度現れ、2 つの比較的代表的な組織として、1994年に設立された「世界と中国研究所」と、2002 年に設立された「北京新民教育研究セン

ター」がある。 「世界と中国研究所」は中国初の郷・鎮長の直接選挙――四川省遂寧市歩雲郷の選挙を

観察した NGO で、責任者の李凡氏は郷・鎮選挙の方面では国内外にすでに一定の影響力

を持っている。同組織は中国の基層民主主義の年度報告である『中国基層民主発展報告:

2000~2001』、『中国基層民主発展報告:2002』を出版し、シリーズ活動レポートを発表

し、自己のウェブサイトを開設し、民間選挙視察団を組織するなど、基層の民主主義の面

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でかなり活発に活動している。 「北京新民教育研究センター」は「天則経済研究所村民自治課題グループ」の継続組織

で、主に市民教育の角度から民主主義の研究と実践を推進している。2000~2001 年に湖

北省沙洋県で基層民主主義の育成訓練プロジェクトを行い、2002 年には北京市東城区北

新橋街道弁事処九道湾コミュニティ住民委員会の直接選挙の中で、選挙育成訓練の実験を

行った。 利害関係者は NGO の民主プロセス推進行動への尽力に対しては理解が少なく、60%近

くが「わからない」と回答し、NGO のこの方面での行動の例を挙げることができるのは

わずか 30%の人だけだった。利害関係者が提供した例の多くは、民主主義キャンペーン

行動とは大きな違いがあり、いくつかの典型的な例としては基層選挙の推進、女性の社会

管理への参加推進、立法参加などがある。 NGO の社会全体の民主的プロセス推進に対する利害関係者の評価は、27.4%の人が「不

明確」、44%近くの人が「役割は限定的」、10%近くの人は「役割は中程度」と考えており、

「役割が顕著」と考える人はわずか 5%強で、また 14%の人は「わからない」と回答した。 3.2 透明度

3.2.1 シビル・ソサエティの腐敗 シビル・ソサエティの内部は相対的にはまだ「浄土」であり、腐敗現象は比較的少なく、

シビル・ソサエティ内部の腐敗現象が「頻繁」あるいは「非常に頻繁」と考える利害関係

者は 9%未満で、しかも「非常に少ない」あるいは「偶然に発生するに過ぎない」と考え

る人が約 6 割を占め、また 1/3 の人は「わからない」と回答した。 3.2.2 シビル・ソサエティ組織の財政透明度 清華大学 NGO 研究所が 2001 年に行ったある研究では、75%の NGO が年度財務報告

をしているが、社会監査を受け入れている組織は 15%未満に過ぎない。(下表参照) 組織の財務報告のタイプ 比率(%)

毎年末に会計により年度財務報告が行われているが、厳格な監査は行

っていない。 10.9

毎年末に会計により年度財務報告が行われ、内部監査が行われてい

る。 50.4

毎年末に会計により年度財務報告が行われ、公認会計士などが外部監

査を行っている。 14.7

特殊な状況が無い限り年度財務報告を行っていない。 10.5 その他 4.1 無回答 9.4 利害関係者が言及した 248 組織の中で、73.4%の組織が財務公開を実行しており、12%

だけが不公開だった。 3.2.3 シビル・ソサエティの透明度を高める措置 この指標に関する報道の可視度は比較的低く、メディアの印象ではNGOが社会の透明

度を高める面での役割は非常に限定的である。同様に、利害関係者はNGOのこの面での

役割はそれほど大きいと思っておらず、しかも多くの人がこれについて知らない。シビ

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ル・ソサエティが政府と企業の透明度を高める面での行動と役割は下図①を参照。

挙した例の中では、NGO が提唱している政府と企業の透明度を高める面での、いくつか

の非常に良い事例があるが、そこからも NGO が企業の透明度向上の面で影響を与える行

動(努力)の多くは政府に対するものであることがわかり、NGO が政府との力関係では

劣勢の地位にあることをも物語っている。 3.3 寛容度

3.3.1 シビル・ソサエティ内部の寛容度 社会全体と比較して、シビル・ソサエティの内部はより大きな寛容度を示しており、

43%の人がシビル・ソサエティ内部の寛容でない勢力は「明らかでない」、8.4%の人は「個

別には存在する」、5%未満が「いくつか」あるいは「非常に多い」と考えており、また

43%の人が「わからない」と回答した。別の一つの角度から見ると、シビル・ソサエティ

内部の寛容でない過激な勢力に対しては、26%近い人がこのような勢力は「シビル・ソサ

エティで孤立し、厳しく非難されている」と回答し、8%の人がこのような勢力が「シビ

ル・ソサエティの中で重要な影響力を持っている」、また「シビル・ソサエティを主導し

ていることさえある」と考えており、多数(2/3)の人はこれについてあまり理解してい

ない。

① 「無い」、「1、2 はある」、「いくつかある」、「たくさんある」がシビル・ソサエティ組織が政府、企業

の透明度を高める行動に対応。「不明確」、「限定的」、「中ぐらい」、「顕著」がシビル・ソサエティ組織が

の政府と企業の透明度を高める役割に対応。

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組織成員の構成はますます多様化し、ある側面からはシビル・ソサエティ内部の寛容度

を物語っている。しかし、清華大学 NGO 研究所が 2000 年に北京で行ったある NGO に

関する大規模な調査の結果では、NGO 指導者が全体的に政府の色彩が比較的濃厚なこと

を示している。(下図を参照) 北京市の NGO 責任者の構成概況

利害関係者もいくつかの不寛容の例を提供しており、これらの例が非常に一致して集中

しているのは人に対する不寛容で、例えば性別、職種、民族、ある地域の人、外国人(特

に日本人)などに対する差別あるいは偏見で、NGO 同士の間でも相互に見くびる現象が

存在することにも言及している。 しかしメディアはこの指標に対しては、あまり関心を持っていないようで、選択した 5

社のメディアには 1 年以内に関連報道は無かった。 3.3.2 シビル・ソサエティの寛容度を高める措置 利害関係者は NGO が社会の寛容度向上のために尽力する行動についてはあまり理解

している者は多くなく、3/4 近くの人が「わからない」と回答しており、この面での行動

の例を挙げられる人はわずか 12%未満で、NGO が過去 1 年間に「行動していない」と考

える人が 14.6%を占めている。利害関係者の提供した例はあまり多くないが、大部分はい

ずれも非常に適切で、NGOがこの面である程度行動していることを如実に反映している。 利害関係者の NGOの社会全体の民主主義過程の推進に対する評価は、21.2%の人が「明

らかでない」、32.7%近くの人が「役割は限定的」、約 12%の人が「役割は中程度」、3.5%強の人が「役割は著しい」と考えている。その他に 30%余りの人は「わからない」と回

答している。 メディアのこの指標についての関心度は非常に低く、NGO の関連行動がやはりかなり

少ないことを示している。 3.4 非暴力

3.4.1 シビル・ソサエティ内部の非暴力の状況

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利害関係者からの取材結果では、NGO 内部での非暴力方式を使用した願望の表現につ

いては非常に認知されており、NGO 内にしばしば暴力を使用して利益を表現する勢力が

存在すると考えている人はほとんど無く、37%近くの人は NGO 内部に「たまに暴力に訴

える孤立したグループが存在する」と考え、大多数の人(60%)は NGO 内で「武力を用

いる状況は極めて稀」だとしている。これに対応して、暴力を使用した例も提供されてい

ないが、ある人は社会では確かにこのような組織、例えば暴力団組織、利益小団体などが

存在することに言及している。これとは逆に、NGO内部の暴力に訴える行為については、

利害関係者のうち 23%の人だけが、「他の仲間の激しい非難に遭うだろう」と考え、7 割

近い人は「わからない」と回答している。 3.4.2 シビル・ソサエティは非暴力と平和の行動を推進 メディアは、中国のシビル・ソサエティが非暴力を積極的に発展させる面で一定の力を

持ち、積極的な役割を果たすことができ、かつ一定の可視度を備えているが、広範な支援

と大衆の理解度が不足していると考えている。例えば 3/4 近くの利害関係者は NGO が非

暴力のキャンペーンあるいは平和的に問題を解決する行動に尽力していることを知らず、

この面での例を挙げられる人はわずか 10%しかいない。過去 1 年間に NGO が非暴力の

キャンペーンを目的とする行動を「全く行っていない」と考える人が 16.4%を占めている。

利害関係者が提供した例は、NGO のこの面での行動を適切に反映しており、事例の中で

比較的多く言及されていたのは NGO の反家庭内暴力の面での努力であった。 反家庭内暴力の面での一つの典型的な例は、国連女性基金と中国法学会の出資援助、指

導の下で、西安市公安部門が 2000 年 6 月に正式に「女性に対する家庭内暴力の対策研究

と関与」プロジェクトをスタートさせたことである。公安部門と末端政府機関、女性組織、

病院などの組織が家庭内暴力反対活動での連繋を確立し、家庭内暴力反対ネットワーク

(女性と児童の合法的権益を守り調整する組織、家庭内暴力反対活動機構、女性と児童の

合法的権利を守る合議制法廷の確立、女性の合法的権益を守る法律サービス・センターの

設立、女性救助基金会の設立)が基本的に形成され、反家庭内暴力の育成訓練、女性ホッ

トラインの提供などを行っている。 NGOの社会全体の非暴力のキャンペーンあるいは平和的な問題解決についての利害関

係者の評価は、20%余りの人が「明らかでない」、20%近くの人が「役割は限定的」、12%の人が「役割は中ぐらい」と考えており、「役割は著しい」と考えている人は 3%足らず

で、「わからない」の比率が最高で、44%以上に達した。 3.5 男女平等

3.5.1 シビル・ソサエティ分野の男女平等の状況 清華大学 NGO 研究所が 2001 年に全国の NGO に対して行ったある調査の結果では、

調査対象の NGO 職員(ここでは専任と兼職のスタッフだけを含む)の男女比率は 193.8:100(回答のあった 1,408 団体の組織の中では、男性職員が合計 17,205 人、女性職員が

8,879 人)で、男性は女性人数の 2 倍近くに上る。 利害関係者のシビル・ソサエティの中の男女差別についての評価から見ると、シビル・

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ソサエティ界内での男女の不平等現象はそれほど深刻ではない。56%の人はシビル・ソサ

エティ内部の男女差別の勢力は「明らかではない」、6.6%の人は差別勢力は「限られてい

る」と考えており、「少しある」あるいは「非常に多い」と考える人は 7.5%に過ぎず、そ

の他に 30%近い人が「わからない」と回答している。別の角度から見ると、シビル・ソ

サエティ内部の男女差別問題に対しては、「非難されている」と考える人はわずか11%で、

37%近くの人は「非常に少ない」あるいは「これまで非難されたことがない」と回答し、

52%の人は「このような問題が他の組織成員の非難を受けるかどうかわからない」と回答

している。しかし利害関係者が言及した 225 組織の中で、男女の同一労働・同一報酬を

明文で規定している組織としていない組織が、それぞれ 40%余りを占め、他の 15%は「わ

からない」と回答している。このような比率の差をもたらす原因は、おそらく一部の組織

がたとえ同一労働・同一報酬を明文で規定していないためだとしても、実際には同一労

働・同一報酬が実施されている。 利害関係者が提供した例はすべて社会的な男女差別であり、決して NGO 自身の行為で

はない。 3.5.2 シビル・ソサエティは男女平等の措置を推進 中国婦女連合会、婦女基金会はいずれも全国的な女性の大衆的ネットワーク組織で、そ

の目的と任務は女性、児童の権利保障の各方面に及ぶ。その他の女性 NGO としては、例

えば北京紅楓女性心理カウンセリング・サービス・センター、中国人口福利基金会、中国

計画生育協会と中国人口報が共同で発起した「幸福プロジェクト」という貧困母親援助の

活動などがある。 メディアのこの指標についての報道は非常に限られており、利害関係者の NGO の男女

平等をキャンペーンする行動への尽力についての理解も少なく、7 割近い人が「わからな

い」と回答し、この面での行動の例を挙げられる人はわずか 15%足らずで、過去 1 年間

に NGO が男女平等をキャンペーンする活動を「全く行っていない」と考える人が 17%を占めた。利害関係者が提供した例は、NGO のこの方面での行動を非常に如実に表現し

ているが、大部分が各地の婦女連合会関係のものだった。コミュニティでの取材の中では、

20 名近くの対象者がその所在するコミュニティの中での女性の立場を変える NGO の存

在について言及している。 NGOが社会全体で男女平等をキャンペーンする面での役割についての利害関係者の評

価は、21%の人が「明らかでない」、23%の人が「役割は限定的」、20.4%の人が「役割は

中程度」と考えており、「役割が著しい」と考える人はわずか 10%余りで、また 25%近く

の人は「わからない」と回答した。 3.6 貧困の消滅

3.6.1 シビル・ソサエティの貧困消滅の措置 中国では、NGO の貧困扶助参与の歴史は比較的長く、影響も最大である。貧困扶助の

分野で活躍している NGO は非常に多く、専門に貧困扶助活動を展開しているものもあれ

ば、総合的プロジェクトを展開している組織もある。中国 NGO の貧困扶助面での広範な

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活動は、社会各方面の関心を引き起こし、メディアがこれについて大量の報道を行ってい

るだけでなく、NGO の貧困消滅の行動への尽力についての利害関係者の理解も明らかに

前の数項目の行動より高く、「わからない」と回答した人はわずか 40%余りで、半分の人

がこの方面の行動の例を挙げることができ、過去 1 年間に NGO が貧困消滅を目的とする

活動を「全く行っていない」と考える人は、わずか 7.5%だった。これに相応して、利害

関係者が提供した例も非常に多く、NGO が貧困消滅の面での活動が比較的頻繁で、かな

り良好な役割を発揮していることがわかる。しかし貧困扶助を実施している組織は基本的

にいずれも政府の背景を持ったもの、例えば慈善総会、共青団委員会、障害者連合会、希

望プロジェクトなどで、いくつかの国外組織と国内の基金会もこの方面で広範な活動に参

加し、例えば 3 つの省(直轄市)でいずれも楽施会(Oxfam、国際的な貧困克服援助組

織)の貧困扶助活動に言及している。コミュニティでの取材の中では、8.3%の対象者が

過去1年間に彼らの所在するコミュニティの中でのNGOのコミュニティ住民の収入増加、

貧困住民の状況を変える貧困扶助救援活動に言及していた。 利害関係者の NGO の貧困消滅の面での役割についての全体的な評価は、14.2%の人が

役割が「明らかでない」、35%の人が「限定的」、31%の人が「中程度」と考え、「著しい」

と考える人はわずか 3.5%で、他の 16.4%余りの人は「わからない」という回答だった。 3.7 環境保護

3.7.1 シビル・ソサエティの環境保護の措置 現在、中国の NGO の中で最も活発で、発展が最も速いのが環境保護分野に属する NGO

である。 メディア報道では、環境保護分野では大量の環境保護に従事する NGO が見られ、そし

て広範な社会の支持を得て、環境保護の中で主導的な役割を果たしていることがわかる。 NGO の環境保護行動への尽力についての利害関係者の理解は、明らかに前の数項目よ

り勝っており、「わからない」と答えた人は半分少々だけで、40%余りの人がこの方面で

の行動例を挙げることができ、過去 1 年間に NGO が環境保護行動を「全く行わなかった」

と回答した人はわずか 7.1%だった。利害関係者も非常に多くの組織の環境保護従事の例

を提供し、確かに NGO が環境保護面で非常に良好な役割を発揮していることが明らかに

なっている。環境保護活動に参加している組織の多くは草の根組織で、従事している活動

は大体以下の数種類である。第 1 は宣伝、第 2 は植樹造林、第 3 はゴミの分類、第 4 は

動物保護、第 5 は政府に影響を与え、重要な環境保護問題の政策決定に参加することで

ある。 NGO の環境保護面における役割についての利害関係者の評価は、15.5%の人が「明ら

かでない」、30.1%の人が「限定的」、29.2%の人が「中程度」で、「顕著」と考える人は

わずか 4.4%で、「わからない」の比率は 20.8%だった。

4.シビル・ソサエティの影響力ディメンショナリティ分析 シビル・ソサエティの影響力とは、シビル・ソサエティが持つべき独特な役割の実現程

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度を指す。それには主に公共政策に対する影響力、政府及び私有企業のアカウンタビリテ

ィーの促進、社会の関心を持つ問題についての反応、市民への権利賦与、社会ニーズの直

接の満足という 5 つのサブ・ディメンショナリティが含まれる。中国のシビル・ソサエ

ティの影響ディメンショナリティの得点は 1.6 ポイントで、そのうち上述の 5 つのサブ・

ディメンショナリティの得点は、それぞれ 1.3、1.4、1.7、1.8、1.7 だった。これは中国

のシビル・ソサエティがすでに社会生活の各方面でかなりの影響を発揮していることを説

明している。同時に、シビル・ソサエティ影響力の各指標の得点は、シビル・ソサエティ

の社会構造の指標よりも普遍的に高く、中国のシビル・ソサエティがその構造の有効性よ

りも更に大きな役割を発揮していることを物語っている。一種の説明は、中国のシビル・

ソサエティの多くの役割が正式の構造外で発生しており、例えば社会に広範に存在する未

登録の NGO、各種のネットワークと内部組織なども、シビル・ソサエティのあるべき作

用を発揮しているが、それらの作用は制度の外で発生しているもので、シビル・ソサエテ

ィの構造の中では未だ体現されていない。これは先に分析した中国の市民参加の非制度化

の特徴で得られた結果である。 4.1 国の政策への影響 このサブ・ディメンショナリティを、3 つの特定分野の 4 つの典型的な個別事例の国の

政策に及ぼした影響の状況を通じて、シビル・ソサエティの国の政策に及ぼす影響面の活

発性と役割を評価する。データ上から見ると、情勢は非常に好ましいが、選択した個別事

例はいずれも中国では現在少数のいくつかの比較的活発な分野を代表するものであるた

めで、全体のレベルはそれほど楽観的なものではない。専門家のこのサブ・ディメンショ

ナリティに対する採点は 1.27 ポイントである。 清華大学 NGO 研究所が 2001 年に全国で行った NGO 調査の結果では、60%近くの

NGO が政府に政策提案を出したことがあり、そのうち 40%ほどの NGO が 1~5 項目、

20%弱の NGO が 6 項目及びそれ以上の政策提案を出しており、他の 40%程の NGO は無

回答だった。 多数の利害関係者がシビル・ソサエティの国家政策に及ぼす影響の活発化の面について、

肯定的な態度を示している。業種分野、環境保護、弱者層の権利擁護の 3 つの領域を例

に取ると、50%以上の人が NGO がこの分野において「いくらか活発」あるいは「活発」

だと考えており、その中には 5%程の「非常に活発」という比率も含まれており、「不活

発」と考える比率は順に、15%、19.5%、26%だった。その行動の効果となると、「いく

らか成功している」と「成功している」の比率が非常に高く、それぞれ 60%、55%、47%に達した。しかし「非常に成功している」と考える人はほとんど無く、「成功していない」

と考える比率は 15~20%の間だった。 NGO 組織が国の政策に影響を及ぼした面での成功事例は非常に多く、ここではその 4

つの面での典型的事例を紹介する。 例 1:業者協会が政府公共政策に影響を及ぼした事例 「深圳外国投資企業協会」は 1989 年に設立され、社会的サービス提供の生存理念を発

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展動力とし、会員企業への総合的政策サービスの提供を基本とし、そしてその他の機能を

合理的に開拓し、会員企業と政府の間の良好な相互疎通の橋渡し役になっている。 「青島船主協会」は青島地域に駐在する国内外の船会社と代表機構、船舶代理企業が自

主的に結成した業界組織である。会員の利益を守り、市場秩序を規範化し、青島港の貿易

を促進するため、同協会は幾度も青島市政府及び国家交通部と疎通、協議、計画や政策の

提案を行い、青島市に『青島国境警備検査ステーションの一貫検査方式への変更の出航日

への影響に関するレポート』を提出し、交通部水運司国際海上運輸管理処に『船会社の青

島における近距離航路開設の審査許可延期申請に関するレポート』及び『青島港港湾使用

費の 20%追加徴収取り消し提案に関するレポート』などを提出し、政府の政策をより多

くの会員組織の利益に合致させ、地元経済の発展を力強く促進した。 例 2:環境保護組織が政府公共政策に及ぼした影響 「自然之友」、「地球村」、「緑家園」などいくつかの環境保護 NGO の長江三峡ダム工事

についての専門家を組織した論証、政府に向けた遊説は、かなり強い社会の反響を引き起

こした。 「四川省緑色江河環境保護促進会」は、河川の上流地域の自然生態環境保護活動の推進

を目的に組織され、中国民間の自然生態環境保護活動の展開を促進し、全社会の環境意識

と環境道徳を向上し、この流域の社会経済の持続可能な発展の実現に努力している。同組

織は青蔵鉄道に協力し、チベットカモシカ保護の面で多くの政策提案を行った。 「自然之友」は 1994 年に創立され、目的は公衆の環境意識の向上、中国政府と協力し、

自分たちの力でできるいくつかの具体的な環境問題の解決に協力することである。1999年 2 月 1 日に国家環境保護総局と国家林業局に『自然之友のチベットカモシカの問題に

関する報告と提案』を提出した。国家林業局は「自然之友」の提案を参考に、4 月 12 日

から 5 月初めまで 3 つの省・自治区で大規模な密猟取締共同行動を展開し、重要な戦果

を獲得した。 例 3:ブレーン集団が政府公共政策に及ぼした影響 「中国(海南)改革発展研究院」は 1991 年に設立され、政府と企業が共同で投資運営

し、移行経済理論と政策研究を主として、すでに改革国際フォーラムと各種の学術会議を

120 数回開催、120 数部の専門刊行物(中文と英文を含む)を出版、改革提案レポート

90 数部を提出、発表した学術論文は 1,000 編以上に上る。 「天則経済研究所」は民間研究機関で、優秀な経済と社会科学の研究者を集め、1993

年の設立以来、中国の経済と社会の政策面での影響において積極的な役割を発揮し、例え

ば天則経済研究所の収容制度についての政策提案がある。2003 年 5 月、天則経済研究所

の数名の研究員と北京大学、国家行政学院の数名の学者が一緒に、「孫志剛事件」(2003年に発生した、出稼ぎ青年が広州市で暫住証不携帯のために警察に身柄を拘束され、収容・

送還施設で繰り返し殴打された末に死亡した事件で、この事件がきっかけとなり法改正に発展

した。…訳者注)及び収容送還制度の実施状況について全国人民代表大会常務委員会に提

案書を提出した。 「世界と中国研究所」は基層民主主義の面で公共政策の推進と実践に影響を及ぼし、年

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度報告『中国基層民主発展報告』を出版している。 例 4:弱者層の権利保護 NGO の政策に対する影響 「打工妹之家(出稼ぎ娘の家)」は雑誌、法律援助などの方式を通じて、政府の政策実

施を監督・督促している。 「被害者法律援助センター」、「北京大学女性法律研究とサービスセンター」などの法律

援助 NGO が、法律意見と立法提案を提出している。例えば「北京大学女性法律研究とサ

ービスセンター」は国の関連部門に法律意見、立法提案と問題レポートなど 30 数件を手

渡し、その中の一部は関連部門の重視をもたらし、そして返答公文書と回答を得た。 「慧霊知的障害者サービス機構」と「新民教育研究センター」は現在、共同して障害者

保護法の改正活動を展開している。 4.2 国及び私営企業に責任を負わせる

NGO は国と企業の責任を督促する面である程度の行動を行い、しかも成功事例も現れ

ているが、全体の効果はそれほど理想的ではない。しかし企業に対する効果は国に対して

よりは良好である。専門家のこのサブ・ディメンショナリティについての採点は 1.41 ポ

イントだった。 4.2.1 国に責任を負わせる NGO が政府の責任と信用を督促する活動の面では、35%の利害関係者が「活発でない」、

33.6%が「いくらか活発」だと考えており、「活発」だと考えている人は 10%に過ぎない。

シビル・ソサエティの政府の責任と信用の督促の効果について、25.2%の人が「成功して

いない」、43%の人が「いくらか成功している」と考えており、30%足らずの人は「わか

らない」と回答した。 メディアはこの指標について一定程度の関心を示している。メディアの NGO 組織の国

の責任を推進する上での態度は、中立の中で肯定的な部分を見せている。中国 NGO のこ

の方面での活動はかなり積極的だが、影響力にはまだ限りがあり、主に対話、政治協商会

議、意見書提出などの形式を通じた管理への参与に限られ、報道の中での成功例としては

南寧市の都市整備への市民参加がある。 4.2.2 私営企業に責任を負わせる シビル・ソサエティの企業の責任と信用の督促は、政府へのそれに比べやや活発さを見

せており、「いくらか活発」だと考える利害関係者は 44%に達し、「活発でない」は 24%を占めた。シビル・ソサエティが企業の責任と信用を督促する効果の面については、21%が「成功していない」、47%が「いくらか成功している」、30%近くが「わからない」とい

う回答だった。 二次資料には業種協会が企業の責任と信用の強化、市場秩序を守る中での役割の 2 つ

の実例が列挙されている。 「温州ライター協会」は設立後に、同業組合規約を制定し、業界の自己規制メカニズム

を確立並びに実行し、業界の職業道徳準則、同業組合規約を制定し、業界の自己管理行為

を規範化し、業界の公平で秩序ある競争を守り、市場秩序の確立を促進した。

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「楽清市低圧電器業者協会」は「自己教育、自己サービス、自己管理」を実施する業界

性社会団体であり、経営行為の規範化に努力し、企業競争自律公約」を全面的に実行し、

平等な競争メカニズムを完備し、業界の共同発展の道を歩み、業界の秩序ある健全な発展

を推進する。協会のたゆまぬ努力を経て、価格競争や悪性の販売競争を抑制する面で非常

に大きく成功している。 4.3 社会的利益に対する反応 中国の NGO は全体的に国内社会の注目される問題に対して反応を示し、個別の分野で

はすでにかなり重要な役割を演じている。市民は NGO に対して全体的には認知していな

い。専門家のこのサブ・ディメンショナリティについての評価は 1.68 ポイントである。 4.3.1 反応 メディアはこの指標に対して非常に大きな関心を払っており、関連報道は 50 編に達し、

その態度は基本的に中立と肯定が半々で、否定的な報道はほとんど無い。これは NGO が

社会問題に関心を持つ場合、有効に反応できない状況も存在するが、メディアは全く批判

的でないことを物語っている。報道の中からは、社会的利益に対して反応する NGO には

ほとんど全部のタイプの組織が包括されることがわかる。テーマは衝突の解決、自然災害、

戦争、性保護、メディアなどの広範な社会問題に及び、特に健康、ビジネス、ボランティ

ア、教育と育成訓練、企業の社会的責任と企業の市民権に対して特別な関心が払われてい

る。 二次資料は、中国の NGO が貧困扶助と開発、女性の権利保護、環境保護、社会の民主

主義、経済的仲介など、多くの社会の注目点の分野で役割を発揮していることを示してい

る。 4.3.2 大衆の信任度 現在、中国の NGO は既にかなりの社会的認知と協力を得ていることは間違いないが、

様々な社会資源の制約を受け、このような社会的認知と協力の程度は依然として高くない。

政府自身の NGO に対する認知と管理の上では依然として問題が存在し、同時に社会の支

援と参加を奨励する指導的制度と政策が不足している。しかも社会の大衆はこのような新

生の組織形式及びそれらの活動方式に対して、依然として一定の偏見と懸念を持っており、

例えばコミュニティの調査研究の中で、コミュニティ住民が援助が必要な場合、ボランテ

ィア組織を初めに選択した人はほとんどいない。「国が弱者層に援助を提供する」と考え

る人の数がボランティア組織の 10 倍近くになる。これらの現象はいずれも NGO が社会

の協力と認知を得るために不利に働いている。 希望プロジェクトは比較的成功したプロジェクトで、その際立った現れはそれが良好な

信用と大衆の信任を勝ち取ったことにある。何回もの社会調査の中で、都市の大衆が希望

プロジェクトを「知っている」比率は 93.9%(コミュニティ調査研究のこのデータは 80%)

に達し、50%以上の大衆が希望プロジェクトの歴史上の重要な事件を知っている。この数

年来、共産主義青年団の「最も良く組織された活動」は何かと質問した時に、37%の被調

査者が希望プロジェクトに言及しており、他の 11%が言及したのは希望プロジェクトの

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付属活動であった。希望プロジェクトの組織機構の活動について、56%の大衆が満足を示

しており、不満を表明した人は 7%足らずだった。 4.4 市民への権限委譲

NGO は以下の各指標の中ではいずれも成果を上げ、しかも部分的な認知を得て、一定

の影響力を生み出している。専門家のこのサブ・ディメンショナリティについての採点は

1.83 ポイントである。 4.4.1 市民への情報と関連する教育の提供 メディアはこの指標にについて十分な関心を払っており、70 本、16 種類近くの関連報

道が行われている。報道の内容から見ると、メディアは中立的態度の比率が肯定的態度を

少し上回っているが、否定的な報道は無い。NGO は主に各種の媒介、例えば書籍、メデ

ィア、活動の大衆向け情報宣伝を通じているが、比較的典型的な例としては河北省の社会

組織が設立した技能訓練調整組織、湖北省総工会(労組連合会)の一時帰休労働者再就業

訓練センター、中国牧畜獣医学会家禽病学分会などの公共情報と教育的組織などがある。

メディアの全般的な印象は、NGO が公衆教育の面でして大量の活動を行い、非常に多く

の成功事例があり、十分に重要な役割を果たしているというものである。 利害関係者の取材データでは、シビル・ソサエティが担っている公共情報と市民教育活

動の活発性においては、21%の人が「活発でない」、43%の人が「いくらか活発」と考え

ており、「非常に活発」と考える人も 18%に達した。コミュニティでの取材の中では、14.4%のコミュニティ住民は自分の所在するコミュニティの中で住民の認知を高める教育、例え

ば直接選挙、エイズなどの教育が行われたことを挙げている。シビル・ソサエティのこの

方面での効果について、多くの人は肯定的な態度を示し、「成功している」あるいは「い

くらか成功」と考える人が 64%に達するが、「非常に成功した」例を挙げられる人はほと

んどいなかった。提供された事例の中では、多くの人がシビル・ソサエティの教育活動を

民間運営学校教育と同様に考えている。比較的適切な例は、各種の宣伝、講座、育成訓練、

カウンセリングなどの活動に集中しており、ある人々は革命精神教育、貧困地区の学校教

育の改善などの事例に言及している。 アンケートの中では特に孫志剛事件、基層選挙、希望プロジェクトの 3 つの事例に言

及し、それらの公衆教育に対する効果を評価した時、「成功していない」の比率が最も高

かったのは基層選挙、「成功している」例としての比率が最も高かったのは希望プロジェ

クトで、孫志剛事件に対する大衆の理解は最も少なかった。(下図を参照)

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4.4.2 集団行動を構築する能力 「シビル・ソサエティがコミュニティの能力建設を向上する活発性」について、22%の

利害関係者が「活発でない」、41%が「いくらか活発」、12%が「活発である」あるいは「非

常に活発である」と考えている。「シビル・ソサエティのコミュニティの能力建設強化の

効果」に対する評価では、12.8%の人が「成功していない」、40.3%の人が「いくらか成

功」、40%近くの人は「わからない」と回答している。 利害関係者は NGO の集団行動能力構築の面での多くの事例を提供しており、シビル・

ソサエティがやはりこの面で効果を発揮していることがわかる。コミュニティでの取材対

象者の中では、8.5%のコミュニティ住民が、いくつかの NGO がコミュニティ住民を組

織し共同で集団の問題を解決するため援助したことに言及していた。 4.4.3 貧困者への権利賦与 利害関係者が提供したシビル・ソサエティの大衆向けサービス提供の事例の中では、

20%の目標は貧困コミュニティあるいは貧困住民に向けられたものである。これに相応し

て、シビル・ソサエティのこれらの目標実現の効果についての評価では、3.5%の人が「成

功していない」、44.2%が「いくらか成功している」、14.2%が「成功している」、3.1%が

「非常に成功している」と考えている。 4.4.4 女性への権利賦与 利害関係者が提供したシビル・ソサエティの大衆向けサービス提供の事例の中では、目

標を女性に向けたものは 2.7%しかない。これに相応して、シビル・ソサエティのこれら

の目標実現の効果についての評価では、「成功していない」が 3.5%、「いくらか成功して

いる」が 44.2%、「成功している」が 14.2%、「非常に成功している」が 3.1%だった。

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メディア報道を振り返って見ると、中国のシビル・ソサエティが積極的、効果的に女性

への権利賦与活動を行っていることが発見される。NGO は非識字者一掃、女性の教育レ

ベルの向上、就業援助、女性の合法的権利擁護などの活動に尽力し、女性の利益とニーズ

に対して直ちに対応し、女性を自立させている。 4.4.5 社会資本の建設 コミュニティにおける社会的信任の問題に関する研究の中では、NGO に参与したこと

のある人と一度も参与したことがない人で、社会的信任の態度はそれぞれ 289/496(58.3%)と 138/250(55.2%)を占め、著しい相違は無かった。

4.4.6 就業支援 コミュニティの研究の中では、2.3%の被取材者が過去 1 年間に NGO が彼らの所在す

るコミュニティ成員に向けて収入増加のための援助を提供したことに言及していた。利害

関係者への取材データでは、地方のコミュニティ能力建設強化に関する事例の中で、利害

関係者はコミュニティ経済連合の強化、コミュニティと周辺経済の活発化などの事例につ

いて言及していた。 4.5 社会的ニーズを満たす

NGO 自らの優位性により、緊迫した社会的ニーズと社会の周辺集団のニーズを満たす

上で、一定の役割を作用を発揮しているが、現在のその地位の弱さのために、国と比較し

て、NGO は社会的ニーズを満たす面では依然として力不足である。専門家のこのサブ・

ディメンショナリティについての採点は 1.67 ポイントである。 4.5.1 国のサービス法規についての遊説 利害関係者が提供したシビル・ソサエティの政府の公衆向け公共サービスへの遊説の事

例はあまり多くなく、提供された 20 余りの事例の中で、1 種類は社会の市民福祉向上で、

例えば第 5 環状道路の無料通行、動物園のボランティア・ガイドへの無料提供、公園の

対外無料開放などがある。他の 1 種類はマイノリティあるいは生活困窮集団のための援

助提供で、例えば農民工の賃金支払遅滞問題の解決、低所得者保障を受けていない住民へ

の経済救済提供、エイズへの関心喚起、受刑者子女への関心喚起、一時帰休者の再就業援

助などがある。シビル・ソサエティのこれらの遊説活動の効果について、「成功していな

い」が 7%、「いくらか成功している」あるいは「成功している」が 18%、「わからない」

が 3/4 近くで、これは事例の少なさに対応している。 メディアのこの指標についての報道は極めて少なく、1 つの事例に言及しているだけに

過ぎない。すなわち、上海の 35 社の民営宅配便会社が共同で全国人民代表大会常務委員

会と商務部に意見書を提出し、修正中の『郵政法』が宅配民間企業に更に大きな生存空間

を与えるよう呼びかけ、同時に宅配業者協会の創立提案を出したことである。 4.5.2 切迫した社会ニーズを直接に満たす シビル・ソサエティが社会的ニーズを直接満たす上で果たした役割についての評価では、

「明らかでない」が 16.8%、「いくらかの役割を果たした」と考える人が多く 63%を占め、

「役割が著しい」が 3.5%だった。しかしコミュニティ住民から見ると、この面での援助

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は依然として主に国家機関からで(61.2%)、シビル・ソサエティがマイノリティ集団に

より良い援助を提供すると考える人はわずか 7%しかいなかった。個人が援助を必要とす

る場合、45%の人は先ず国に援助を求め、シビル・ソサエティに先ず援助を求めることを

考える人はわずか 3.5%だった。 それに相応して、シビル・ソサエティのこれらの目標実現効果の評価では、「成功して

いない」が 3.5%、「いくらか成功」が 44%、「成功している」が 14%、「非常に成功して

いる」はわずか 3%だった。 4.5.3 周辺集団のニーズを満たす 利害関係者が提供したシビル・ソサエティの公衆向けサービス提供の事例の中では、

1/3 の事例が大衆向けで、貧困コミュニティあるいは貧困住民を目標にしたものはわずか

20%しかなく、女性に向けた活動は 3%足らずで、その他のターゲットが 7%を占めた。

NGO はその独特な優位性で、周辺集団へのサービス提供の中で、政府より有効な優位性

を明らかに示している。二次資料では多くのこの方面の事例が提供されており、例えば外

来労働者の自治組織、知的障害者サービス組織、エイズ予防治療組織などがある。

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V.メディアの視野の中での中国シビル・ソサエティ 中国『メディア回顧レポート』はメディアの選択の上で代表性の強さを求めている。『レ

ポート』は印刷物とテレビの 2 種類のメディアを選択している。(メディアの名称と特徴

に関しては下表を参照)『レポート』が追跡検索した期間は 2004 年の第 1 四半期で、4社の印刷物メディアが筆記記録、テレビメディアが現場筆記記録とネット上の検索を合わ

せて、シビル・ソサエティ関連の報道を合計 340 編収集した。 メディア選択状況表

メディア メディアの

タイプ 所有権 政治傾向 発行規模

受け手の

規模 報道傾向 報道量

新聞聯播 テレビ 国有 政府側 全国 広範 政治性强、重大 60

人民日報 新聞 国有 政府側 全国 広範 政治性、重大 86

新聞週刊 新聞 国有 政府側 全国 比較的広範 政治性强 15

新民晩報 新聞 地方所有 民間 全国 広範 娯楽性、大衆化 156

南方週末 新聞 地方所有 民間 全国 広範 深めた報道 23

合計 340

中国の『メディア回顧レポート』の中からは主に以下のような発見があった。 この数年来、中国 NGO の急速な発展に従い、メディアも中国のシビル・ソサエティに

対し一定の関心を払うようになった。中国シビル・ソサエティの行動に関する 340 本の

報道の中で、約 10%の報道はメディアの目立つ位置(新聞の最初の 3 面、テレビ・ニュ

ースの最初の 3 本あるいは評論、編者付記など)で報道している。報道形式も形式に拘

らず、ニュース、ストーリー、写真、インタビュー等々で、そのうち 70%はスポット・

ニュースあるいはニュース・ストーリーの形式で報道している。 中国のシビル・ソサエティの活動分野は非常に幅広く、340 本の報道の中で、報道回数

のトップ 5 のテーマは、ビジネス、教育と育成訓練、健康、企業の社会責任と企業市民

権、ボランティアだった。一部の国の NGO が既に比較的良好な役割を発揮しているもの

には、衝突の解決、自然災害、戦争、テロリズムなどのテーマがあるが、中国のシビル・

ソサエティはまだ力が及ばない。CSIプロジェクトの中で提供されたNGO分類によれば、

中国のメディアは以下の数種類のタイプの NGO についての報道が比較的多く、それらは

サービス的なシビル・ソサエティ組織(58 本)、社会サービスと衛生保健協会(53 本)、

教育と育成訓練と研究分野の中での活発な組織(34 本)、女性協会、文化と芸術のシビル・

ソサエティ組織、労働組合、シビル・ソサエティのネットワーク/連盟/支援組織、専門

のビジネス組織、経済利益タイプなどである。 ディメンショナリティから見ると、中国のメディアは構造、環境、価値、影響の 4 つ

のディメンショナリティについていずれも報道しており、そのうち構造ディメンショナリ

ティの報道が最も多く、影響ディメンショナリティがこれに次ぎ、価値ディメンショナリ

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ティの報道の可視度が最も低い。このような結果は利害関係者への聞き取りアンケートの

回答率と一致しており、つまり利害関係者の認知と報道の中の可視度は正に相関している。

具体的な指標については、構造ディメンショナリティの中では、市民参加の多様性の現わ

れが顕著で、しかも市民参加の深度、相互関係及び資源は明らかに不足している。環境デ

ィメンショナリティの中では、中国のシビル・ソサエティ活動の全体環境はあまり良くな

く、特に企業とシビル・ソサエティの関係、企業の慈善活動などの指標は明らかな不足を

示している。価値ディメンショナリティに関する報道は少ないが、やはり明らかな中国的

特徴を示しており、関連報道は主に貧困消滅、環境保護、男女平等などの指標に集中し、

欧米社会が関心を持つ民主、寛容度、非暴力などの指標については可視的な報道が無い。

中国のシビル・ソサエティの行動は中国社会に対し軽視できない影響を生み出しており、

その中でシビル・ソサエティは市民への権限委譲、社会的ニーズの満足などの指標でしば

しば成功事例の報道(正面報道)が見られるが、政府の公共政策に影響を及ぼす面では、

中国のシビル・ソサエティは更に努力が必要である。CSI 指標システムの 72 項目の指標

の中で、メディアの可視度の最も高い 10 項目の指標は、市民向けの情報と関連する教育

の提供、レスポンス、ボランティア、切迫した社会ニーズの直接の満足、シビル・ソサエ

ティ組織連盟の存在形式、シビル・ソサエティの構成メンバー、シビル・ソサエティ参加

者の多様性、協力、協力と支援、底辺集団のニーズの満足、自治である。中国のメディア

の指標上での報道頻度と調査アンケートの回答率は一致しており、メディア報道の態度と

利害関係者の NGO 活動の役割に対する態度は、非常に大きく一致している。要するに、

中国のメディアが報道の中で反映している状況は、地域の利害関係者への聞き取りとコミ

ュニティでのサンプリング調査の状況と CSI プロジェクトの最終結果が一定程度一致し

ているということである。 研究の中からはまた、それぞれのメディアのシビル・ソサエティについての報道で、明

らかな傾向が存在することが見出された。『人民日報』、『新聞聯播』は中国の党と政府の

宣伝の主陣地であり、その音声はかなりの程度で政府の観点を代表している。この 2 つ

のメディアのレベルが報道形式の杓子定規さを決定し、圧倒的な部分の報道はニュース形

式を採用している。報道の範囲は主に国と省のレベルに集中している。報道の位置では重

要紙面に掲載されることはほとんど無く、これはまだ政府から十分に重視されていないこ

とを物語っている。報道テーマは明らかな傾向性を示していないが、依然として国際的活

動、国の経済と人民の生活(教育、健康など)と国の大方針(持続可能な発展など)のテ

ーマに比較的集中している。シビル・ソサエティに対する態度は全体的に積極的であり、

特に『人民日報』はほとんどすべて肯定的な報道(『新聞聯播』は圧倒的部分が中立報道)

で、これは一定程度、中国政府の現在のシビル・ソサエティに対する態度を反映している。 『南方周末』は一貫して分析報道で成長して来たメディアで、したがって報道形式は主

に独占インタビューとニュース分析が多数を占めている、同紙はシビル・ソサエティに対

しては十分に重視しており、20%以上の報道が新聞の重要紙面に掲載されている。その報

道テーマは基本的に『人民日報』と似通っており、中国の主流メディア間の注目点がやは

り一致していることを物語っている。報道態度から見ると、同紙は主に中立的態度を保持

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している。 『新民晩報』は地方新聞社(上海)が発行する新聞で、その報道範囲の多くは地方に限

られ、報道形式はより際立っており、15%の報道が重要紙面に掲載されている。報道テー

マは更に多様化され、企業の社会責任と企業の権益、地方政府、教育、健康、ボランティ

アなどのテーマの報道が相対的に多めである。報道態度としては、中立的と肯定的が伯仲

している。

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VI.結論 中国のシビル・ソサエティ・インデックス(市民活動指標)の評定、及びシビル・ソサ

エティの能力発展の特徴の具体的分析を合わせて、私たちは中国のシビル・ソサエティの

発展の優位性と不足を総括することができ、そして中国の将来の整備転換プロセスの中で

のシビル・ソサエティの発展方向について、相応する政策提案を提出する。 第 1 に、中国のシビル・ソサエティ発展の主な弱さは構造と環境の 2 つのディメンシ

ョナリティに存在する。中国のシビル・ソサエティの構造の弱さの核心は 2 つの特徴で

表現される。その一つは市民参加の不足で、特に参加の深さは参加の広さより弱く、中国

のシビル・ソサエティには市民参加の基礎がまだ不足していることを物語っており、たと

え一定の形式の贈与、ボランティア、組織などの行為があるにせよ、多くは政府動員の要

素を帯びており、制度化された意義が不足し、それにより中国社会の発育を市民の主体性

の不足したものにしている。その二つ目としてはシビル・ソサエティ組織の大量の発育に

比較して、組織からシビル・ソサエティ・セクター間までのそれぞれの環節の紐帯が弱態

で、組織レベルの低さ、連盟の不足、支援性の基礎の不足、セクター内関係の弱さ、国際

連繋の不足、資源では構造的な不十分さが存在するなど、中国のシビル・ソサエティの発

育に原子のような組織生長過程を生じ、たとえ組織の数が多くても、依然としてシビル・

ソサエティのセクター特徴の形成を困難にしている。中国のシビル・ソサエティの環境の

弱さは最も主要には法律環境の上で表現されており、つまりシビル・ソサエティの登録と

税制優遇の状況はいずれも改善が待たれる。その他に、国、シビル・ソサエティ、企業の

セクター間の関係も比較的不足しており、それは上述のシビル・ソサエティ内部の紐帯が

不十分なことと共に、中国のシビル・ソサエティ発展の内部と外部の紐帯関係にいずれも

断裂が存在することを示している。 第 2 には、中国のシビル・ソサエティ発展の主な優位性は、価値と影響の 2 つのディ

メンショナリティに存在する。中国のシビル・ソサエティの価値実現は 4 つのディメン

ショナリティの中での効果が最も良く、そのうち貧困消滅と環境保護のコンセプトがシビ

ル・ソサエティの実践が比較的活発で、効果も比較的良好な分野である。中国のシビル・

ソサエティの影響の最も際立っているのは、社会問題に対する反応と社会資本の建設の面

で、それは政策キャンペーンと政府への遊説作用と比較して遥かに顕著であり、これは中

国のシビル・ソサエティ発展の温和性を物語っている。その他に、環境ディメンショナリ

ティは全体的に弱い地位にあるが、環境ディメンショナリティの中の 2 つの指標、すな

わち社会経済環境と国家の効力は顕著な優位性を体現している。シビル・ソサエティ発展

の温和性は、国家の効力と経済発展の安定性の二者と相互に呼応し、それは現在の状況下

で、社会にまだ一定の弾力的空間があり、安定的な秩序の範囲内で、シビル・ソサエティ

をより多く発展させ、活発にさせられることを暗示している。これは中国が民主主義、市

民管理の社会体制に向かって安定的に変化する一つの契機と言うべきで、このような前提

の下で、私たちが認識しなければならないことは、市民の主体性が発達し、シビル・ソサ

エティが活発な社会形態は、国の長期的な安定と発展の不可欠の前提であり、また中国の

社会が必ず向かわなければならない方向でもあり、従来の秩序の中での安定的な変化が、

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期待できる最良の方式である。それにより、社会サービス以外に、意識的に市民の主体性

を増強し、シビル・ソサエティのキャンペーン力の発揮を促進し、市民的自由の空間の漸

進的な緩和とシビル・ソサエティの活発性の受容が、中国社会の急速な変化と社会矛盾の

上昇という現状の条件下では、単に必要なだけでなく、しかも差し迫った課題だと言うこ

とができる。 第 3 には、中国のシビル・ソサエティ発展の核心は以下の 3 つの面にある。 一つ目には市民参加を増進し、参加を深く、制度化された方向に発展させることである。

市民参加、特に政治参加はシビル・ソサエティの最も根本的な基礎である。中国のシビル・

ソサエティの発展は更に参加の幅を開拓しなければならないだけでなく、より主要なこと

は更に参加を深くし、国が動員する市民の寄付や、ボランティア行動のメカニズムの中か

ら跳び出させ、更に専業化、専門化、社会化した参加ルートの発展空間を与え、特に市民

の自発的なシビル・ソサエティ組織の発展、公共管理、政治生活の中での市民参加の能力

を発展させなければならない。こうしてこそ、人々のより能動的な参加習慣とボランティ

ア・メカニズムを育成し、参加の構造を改善することができる。 二つ目はシビル・ソサエティの内部と外部の紐帯を確立することである。法律上でシビ

ル・ソサエティに更に高い組織レベルとして存在する合法性を与え、シビル・ソサエティ

組織連盟を拡大し、更に広範なシビル・ソサエティのネットワークを確立し、国際的連繋

を促進し、シビル・ソサエティの支持基盤の建設を強化し、資源構造を改善することによ

り持続可能な発展性を持たせ、国のシビル・ソサエティに対する支援と協力を改善し、政

府、企業とシビル・ソサエティのセクター間パートナーシップの形成を促進する。 三つ目は法律環境と政治環境の改善である。シビル・ソサエティ組織に対する各種の人

為的規制を弱めることに努力し、税制などの法律制度を改善し、政治の民主性を増強し、

法治とクリーンな政治制度の確立を強化すること、これがシビル・ソサエティ発展の重要

な制度的条件である。 シビル・ソサエティの発展は、実質的には国家と社会の関係の変化である。中国の国家

とシビル・ソサエティの関係は一種の両面効果を構成している。一方では、比較的強い国

家の効力は市民参加とシビル・ソサエティ発展の良好な基礎と見ることができる。他方で

は、強い国家と弱い社会の権力構造と文化伝統は、中国のシビル・ソサエティの成長にと

って絶えず浸食を構成するものでもある。中国について言えば、シビル・ソサエティの萌

芽が出現してすでに 1 世紀余りになるが、真にシビル・ソサエティに相応した制度体系

を確立するには、まだ長い過程が必要である。しかし、いずれにせよ、主体性を持った市

民、活発なキャンペーン性のある多元化されたシビル・ソサエティ組織が、国家、企業と

社会の間で独立し、かつ平等な協力パートナーシップ、法律に基づいて確立された権限を

共有する管理構造を持つことが、シビル・ソサエティの目的と方向である。 方法論の上では、実地調査研究と調査研究データの分析結果から、CSI 指標システムは

多くの中国に馴染まない部分があることが分かり、それは主に調査研究アンケートの中の

一部の設問の回答に苦労し、理解が困難で、無回答と「わからない」の比率が高くなり、

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一部の設問にはまた食い違いが存在することに現れている。 1.指標体系の中で適用できない部分 CSI 指標体系は欧米の視角の下で設定されたもので、それには国情、コンテクストなど

多くの面でいずれも中国に対して適用できない問題が存在する。 1.4.1 の NGO 連盟の存在形式と 1.4.2 の NGO 連盟の有効性。当面の中国の現行政策は

組織連盟の形成に不利で、政策的原因がもたらす結果により、事実を客観的に説明できな

い。 3.1 民主、3.2 透明度、3.3 寛容さ、3.4 非暴力、3.5 男女平等及びその包含する指標。

上述のサブ・ディメンショナリティ及びその包含する指標は同様に価値ディメンショナリ

ティに属し、これらの指標は現在の中国ではまだ広範には関心を持たれていない、あるい

はまだ中国の当面直面する主要な社会問題ではなく、これらの価値観を推進する行動は、

まだ中国 NGO の当面の主な職責ではない。 4.2.1 政府に責任を負わせる、4.2.2 企業に責任を負わせる。企業と政府に責任を負わせ

ることは、まだ当面の中国 NGO の主な任務になっていない。 2.アンケートの中の適用できない部分 アンケートの中の無回答あるいは「わからない」の比率が高すぎること自体が、アンケ

ートの設定に問題があることを証明している。アンケートは全体的に指標体系の現実の中

での再現であり、指標体系の中に上述の適用不能の現象が存在するため、したがってアン

ケートの上述の指標に対応する設問は当然適用できない。同時に、アンケート自体のいく

つかの特徴により、またその他のいくつかの適用不能の現象が発生した。 B4、B5、D1~D19、E3~E6。これらの設問はその対応する指標に、中国に適用でき

ない現象が存在するため、「本来」適用できない以上、その「結果」の適用性を討論する

ことも実は無意味である。 A1、V110。この 2 つの設問の中で提供された組織のタイプは、中国の実際的な国情に

は完全には合致せず、一方では一部の組織タイプ、例えば非営利メディア、政治的社会団

体などは中国には存在しない。他方では中国で存在するいくつかの組織タイプ、例えばコ

ンサルティング仲介業、従業員持株会、慈善バザー組織、政府運営組織などがその中に含

まれていない。 V710、V809、V810、V811。調査対象(特に農村コミュニティ住民)の教育レベルが

低いために、普遍的な不理解がもたらされた。 V230、V320。この 2 つの設問の表現方法は中国人の思考習慣に合致せず、中国人は真

面目一点張りを好まず、万事が「大概」で良く、したがって大衆に具体的な月間のボラン

ティア時間、年間の慈善寄付金額などのデータを求めても、多数の大衆の感覚には適応し

ない。農村で個人年収を調査するのもあまり適さず、一方で農村の家庭収入は貨幣化し難

く、他方では農村の家庭収入は大部分が家庭成員の共同収入であり、一人の収入金額を提

供するのは非常に難しい。 V931~V933。このいくつかの設問は指標の状態を全く反映しておらず、つまり人々が

「脱税、公共交通バスの無賃乗車、政府に自分の得るべき資金の補償を要求する」態度と

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公益精神の相関性はあまり大きくない。 V931、V720。この 2 つの設問の題意は遠回しで、理解の上で複数の解釈を生み易く、

この問題がもたらされた原因はアンケート設定の原因以外に、アンケートの翻訳品質が低

かったことも原因の 1 つだった。 E1、E2、E7。この 3 つの設問はすべて本国の実際状況により設定したもので、プロジ

ェクトの現地化の特徴を良好に体現している部分だが、もし取扱が不適当だと、やはり容

易に結果の事実との不一致を引き起こす。ここで列挙したことの意味は、アンケート設定

時には必ず中国のシビル・ソサエティの全体状況をバランス良く考慮し、それにより個別

事案の選択上での失敗や不公平を避けるための指摘である。 これ以外に、アンケートにはまた設問が長過ぎる、オープン質問が多過ぎるなどの問題

が存在し、不回答の比率が高過ぎ、回答の質の低下を招いた。

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VII.補足作業 英文レポートはすでに CIVICUS ウェブサイト上に掲載し、中国語文レポートは現在出

版の準備中である。

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附 録

附録一 国家プロジェクト・グループ(NIT)メンバー名簿 王 名 清華大学公共管理学院教授、副院長、研究専門家 賈西津 清華大学公共管理学院副教授、NGO 研究所副所長、プロジェクト総括調

整担当者 潘建会 清華大学公共管理学院修士大学院生、プロジェクト補佐 その他オーバドクター研究生、大学院生、MPA 大学院生 20 数名

附録二 専門家委員会(NAG)メンバー名簿 第 1 次専門家委員会メンバー(姓氏の画数順):

毛寿龍 中国人民大学行政管理学部主任 丘海雄 中山大学華南民間組織研究センター責任者 呉玉章 中国社会科学院法学研究所教授 李 凡 世界と中国研究所所長 李 濤 協力者責任者 苗 霞 中国人口福利基金会事務総長 胡 佳 ボランティア 袁瑞軍 北京大学政府管理学院社会団体研究センター執行主任 郭小恵 深圳市外国投資企業協会執行副会長 黄浩明 中国国際民間組織協力促進会事務総長

第 2 次専門家委員会メンバー(姓氏の画数順): 王新政 中国海南改革発展研究院副院長 呉玉章 中国社会科学院法学研究所教授 李 凡 世界と中国研究所所長 李 濤 協力者責任者 宋慶華 コミュニティ参加行動主任 苗 霞 中国人口福利基金会事務総長 孟維娜 北京慧霊知的障害者サービス機構センター主任 袁瑞軍 北京大学政府管理学院社会団体研究センター執行主任 郭小恵 深圳市外国投資企業協会執行副会長 黄浩明 中国国際民間組織協力促進会事務総長

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附録三 地域利害関係者諮問出席者名簿

遼寧省瀋陽市(17 人) 遼寧省鞍山市(15 人)

氏名 組織機構 氏名 組織機構

金 鷗 瀋陽民間文芸家協会 王全林 鞍山市道教協会会長

柴春翔 瀋陽反偽造品権利保護協会 王樹森 鞍山市工業経済聯合会副会長

蘇守貴 老人基金会 徐婉麗 鞍山市工業経済聯合会部長

単長英 瀋陽今報 王学密 鞍山市千山区南果梨産業化発展協会

張恩恵 瀋陽市科学技術協会 孫麗霞 鞍山市民政局

陳小兵 瀋陽市環境科学学会 楊麗艶 鞍山市婦聯

徐暁明 瀋陽市温州商会 楊青松 鞍山市政府法制弁公室

于是夫 瀋陽市民政局 宋雪冰 鞍山市児童音楽協会

趙 敏 新賀文化芸術団 戦志平 鞍山市政府研究室

楼広洪 服装服飾業種協会 欧陽宏泰 鞍山市委市政府政策決定諮問弁公室

呉継仁 果樹技术協会 馬 馳 鞍山市民政局

邸 秀 瀋河区中街管理委員会帥府コミュ

ニティ老人協会

賈 東 鞍山市民政局

王文賢 瀋河区小南街道合興コミュニティ 梅春発 鞍山市消費者協会

張 偉 瀋陽市道教協会 周興国 鞍山共青団市委青聯

于鳳友 瀋陽市建築業協会 劉高峰 峰宇退役軍人コミュニティ・サービ

スセンター

粟群 瀋陽市葬儀協会 黄平 鞍山市慈善総会

孫玉宝 省民政庁 高光周 鞍山市朝鮮族老人協会

李衆 省民政庁 初貴剛 鞍山市地質鉱業協会

魏広義 瀋陽市慈善総会 劉宝巨 鞍山市足部反射療法研究会

田鳳武 瀋陽市紅葉専用自動車研究所 楊貴生 鞍山市癌症快復協会

佟秋梅 瀋陽市吉大計算機研修学校 王鑫 鞍山市千山晩報

常識 瀋陽市労働者運動学会 鄭昳 鞍山日報

馬玉坤 瀋河区民政局

呉琪 瀋陽市民政局

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湖南省長沙市(25 人) 湖南省益陽市(27 人)

氏名 組織機構 氏名 組織機構

王丹宇 湖南省省情と対策策研究センター

弁公室主任

李佩瑋 湖南省民間組織局局長

何彬生 湘南医専董事長 常立憲 湖南省民間組織局副局長

李志順 湘南医専後勤処長 喻建中 湖南省民間組織局科員

王 強 省証券業協会弁公室 賈帥蘭 益陽市消費者委員会副事務局長

李璐璐 湖南渉外経済職業学院弁公室 黄衛華 益陽市馬鈴薯、凉薯業界協会会長

皮承慧 湖南省民間運営教育協会専任事務

局長

張力平 益陽市科学協会部長

張 燕 湖南省社会工作協会秘書 夏暁明 益陽民盛電脳専修学校校長

許亮午 湖南省書報刊発行協会事務局長长 何翠雲 益陽市医学会副事務局長

劉 群 湖南省書報刊発行協会副事務局長 鲁湘衡 益陽市企業家協会副事務局長

張 立 湖南省民族研究学会事務局長 文夢其 益陽市建築業協会事務局長

顔秋明 湖南省慈善総会事務局員 羅放華 益陽市興華訓練センター主任

陳准蓮 長沙市婦聯科長 陳松栄 益陽市教育局社管弁主任

尋根深 長沙市民管局処長 肖佩瓊 市個私協会副事務局長

佘小玲 長沙市天心区政府副区長 崔石清 市環境保護協会会長

陳冶秋 湖南省不動産協会副理事長、事務

局長

楊桂斌 市総工会(困難労働者援助センター)

任日紅 湖南省地方金融協会専幹 尹建輝 市キリスト教協会会長

周舒白 湖南省環境保護産業協会事務局長 周国興 益楊公共チャンネル記者

朱泌生 湖南省電力業協会事務局長 郭立民 南泥湾研究会事務局長

丁 杰 長沙市芙蓉区消費者協会事務局長 冷君 湘穂電脳学院董事長

陳 敏 省婦女人材開発促進会弁公室副主任 蒋学毛 市社会科学聯合会副主席

劉徳良 湖南省消費者協会副事務局長 李申榜 益陽市教育学会会長

游 偉 長沙市農機互助会事務局長 夏鵬程 益陽電脳美術学校校長

羅 漢 長沙市名都花園社区管理委員会主任 夏玉平 益陽市教育基金会理事

郭暁鳴 湖南知青芸術団団長 秦海清 益陽市民政局副局長

陳 剛 湖南省金物電機商会会長 楊正斌 益陽市民政局科長

肖彬 益陽市民政局副主任

夏天鳳 益陽市民政局科員

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甘粛省蘭州市(20 人) 甘粛省天水市(37 人)

氏名 組織機構 氏名 組織機構

趙幼誠 甘粛省食品添加物協会 李驥雲 天水市公路学会 王向 甘粛省老人基金会 厳徳昌 天水市電力業協会 牛宝明 甘粛省消費者協会 朱宝明 天水百貨大楼有限公司労組 管子涵 蘭州経済情報管理専修学院 楊昌超 天水長城スイッチ工場従業員持株会 頼筱剛 甘粛省銀行業協会 王進洲 天水市土地協会 丁治国 甘粛省華宇計算機職業技能訓練学校 郭雪妮 天水中级电力职业技能培训中心

李建軍 甘粛省工程コンサルティング協会 張来升 天水市花卉協会 楊永明 甘粛省電力業協会 唐建忠 天水市蓮亭自動車学校 閻暁蘭 甘粛銀蘭古筝訓練センター 劉暁明 天水市写真家協会 劉青 甘粛省文化産業協会 郭永禄 天水市薬学会

何建峰 甘粛省珠算暗算技能訓練学校 宋春桂 老人大学大学受験再学習 張恵蓮 甘粛省ブリッジ運動協会 雷宇丹 天水市不動産協会 馬麗峰 甘粛省女性検察官協会 陳歳定 麦積山書画院

范菁 甘粛省建築業聯合会 馬金霊 天水市石炭業協会、天水市商聯会

金栄新 甘粛省保険学会 杜永強 天水市金融学会 陳永和 甘粛清華管理訓練センター 王雲雅 天水市標準協会 甘粛黄河文化芸術研究院 天水市民間組織聯合会 甘霖 甘粛省青年写真家協会 楊志強 天水市蓓蕾高級中学 郝軍 甘粛省収集協会 呉国棟 天水市建築学会 邢秋霞 甘粛省リハビリ医学研究所

劉淑蘭 天水市企業家協会 馬海信 天水市甘谷県民政局 王沢雄 張家川県民政局 謝虎城 武山県民政局

郭新文 清水県民政局

陳淑英 天水市科協

李合慶 天水市科教所

姚俊杰 天水市民間組織管理局 白盧敏 北道区民政局

楊旭 天水市秦城区民政局 楊林 天水市民間組織管理局 余敏 天水計算機専修学院 張金軍 天水市地震学会

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王時鋒 天水世紀昊華学校 陳杰 天水市看護学会 冉松林 天水市民間組織管理局 戴祥礼 天水市建築構造研究会等

雲南省昆明市(15 人) 雲南省曲靖市(16 人)

氏名 組織機構 氏名 組織機構

楊東蓮 昆明五華崇善敬老院 袁富民 曲靖市農機協会

李 唯 雲南省環境科学学会 周懐祥 曲靖市検察官協会/曲靖市社会科学連合会

鐘世源 雲南省キリスト教協会 李麗恩 曲靖市珠算協会

趙芷苓 昆明市女性知識人聯誼会 李 昆 曲靖市ラジオ・テレビ学会

馮 英 昆明市民族理論研究会 楊 鴻 曲靖市石炭工業協会/曲靖市石炭経済研究会

趙 蜜 世界宣明会児童センター 張朝飛 曲靖石林育才学校

徐 莉 昆明市盤龍区民政局 李 貴 曲靖市タクシー協会

劉 俐 昆明市盤龍区消費者権利保護委員会 張興祥 曲靖市老少辺貧地方建設促進会

楊保倉 昆明市葬儀協会 常 敏 曲靖市老少辺貧経済発展促進会

楊 琨 昆明市飲食店業協会 翟耀邦 曲靖市医学会

陳連雲 昆明市五華区民政局 荀月鋭 曲靖市地震学会

李政菁 昆明市民政局民管処 曲靖市農学会

艾 明 昆明市民間文芸家協会長 毛加偉 曲靖市調理師協会

楊海燕 雲南省児童少年基金会 曹 華 曲靖市ジャーナリスト協会/雲南省ジャーナ

リスト協会

鳴建萍 雲南省民間組織促進会 鄧趙平 曲靖市童心幼稚園

夏菊芳 曲靖市童心幼稚園

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北京市(20 人)

氏名 組織機構

万延海 北京愛知行健康教育研究所

呂 朝 企業市民政治委員会

汪中子 AKA

周鴻陵 北京新時代致公教育研究院

劉水泉 北京市社会団体弁公室民間企業組織管理処

王 杰 北京市社会団体弁公室社会団体管理処

黄明珠 国際教育基金会中国駐在代表

曹慶萍 北京航空航天大学公共管理学院

劉暁光 北京理想家と文化中心

付 濤 『中国発展簡報』

宋慶華 燦雨石情報コンサルティング・センター

肖培林 北京豊台利智残障サービス・センター

陳金羅 北京大学非営利組織法研究センター

王天軍 国際聯合論科学院

魏 娜 中国人民大学公共管理学院教師

張淑琴 北京太陽村特殊児童救助研究センター

郭建梅 北京大学法学院女性法律研究センター

張麗霞 中国社会報社

汪永晨 緑家園ボランティア責任者

王燕斌 北京恵沢人コンサルティング・サービス・センター

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附録四 中国 CSI 実地調査研究の実施状況紹介 中国 CSI プロジェクトの実地調査研究の中で、サンプルの選択について堅持した一つ

の総原則は、代表性の強さである。したがって、サンプル地域の分布上から見ると、東か

ら西、南から北、沿海から内陸に分布するよう配慮し、サンプルの発展程度から見ると、

東部の発達地域から西部の後進地域、農村から都市、平原から山岳地帯に発展するよう配

慮した。サンプル中の各個人の選択についても同様に、厳格な広範な代表性を堅持し、農

民から労働者まで、非識字者から知識人まで、一般庶民から専門家や学者まで、一時帰休

者から政府幹部まで、シビル・ソサエティ参加者からシビル・ソサエティの門外漢までを

カバーするよう配慮した。具体的には、 コミュニティでのサンプリング アンケートのデータでは、43.2%のコミュニティが正式かつ計画されたもので、その他

の 30%のコミュニティは正式ではないが計画されたものだった。被取材者の居住地の

93%以上は交通の便が良く、ほとんど 100%が統一電力供給、70%余りが統一給水で、普

通の平屋家屋と集合住宅の居住所帯がそれぞれ 40%ほどを占めた。しかしサンプルの中

では、依然として最貧困地域の代表が欠けている。各コミュニティの具体的状況は以下の

通りである。 コミュニティ調査研究サンプル状況表

番号 コミュニティ名称 コミュニティのタイプ 地域分布 調査研究責任者

01 吉林省吉林市通潭西区 在来工業基地 東北 劉広君

02 河北省衡水市ハイテク開発区社区 都市と農村の結合部 中部 林志剛

03 山東省文登市宋村鎮管轄の村 発達した農村 東部沿海 潘建会

04 江蘇省徐州市邳州八路鎮管轄の村 沿海農村 東南沿海 呂海波

05 雲南省昆明市五華区益康路社区 都市 西部 呂海波

06 重慶市万州区天成区流水社区 小都市、移民地域 西南 黄 炎

07 湖北省襄樊市棗陽県新市鎮管轄の村 後進地域農村 中部 郜 黎

08 浙江省東陽市呉寧街道 沿海都市 東南沿海 張玲玲

09 北京市椿樹園社区 発達した大都市 北方 張 允

10 甘粛嘉峪関新城鎮管轄の村 後進地域農村 西北 陳家剛

01. 吉林省吉林市通潭西区十一区(東北在来工業基地、都市、正式計画、インフラと経

済レベルは中等)、2000 年に建設され、主に吉林化学工業股份有限公司の一部従業員の住

宅問題を解決した。コミュニティ住民は 2,140 世帯で、住民構成構造は単一、多数は吉化

公司の労働者である。この数年来、市場の不景気のため、多くの労働者がすでにレイオフ

され、社会に対する抵抗感が比較的大きく、社会事象に関心を持たず、今回の調査には興

味を持たなかった。コミュニティは正式計画団地に属し、水道、電気、ガスなどの民間用

施設は完備し、交通の便は良い。 02. 河北省衡水市ハイテク開発区東安コミュニティ住民委員会(中部のコミュニティ、

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都市と農村の接合部、非正式計画、インフラは中等、経済レベルは低い)は、2003 年 10月に建設され、行政村が計画に基づき新たに改造、建設された。敷地は 1.5km2で、東団

馬自然村と東安団地を管轄している。常住住民は 1,716 世帯で、人口は 6,144 人。コミュ

ニティの大部分の道路、水道、電気などのインフラ施設は計画された設置ではなく、東安

団地のインフラだけは正式に計画されたもので、東安団地の常住住民は 200 世帯以上。

コミュニティ全体の経済状態は未発達レベルに属し、村民はほとんど収入源が無い。 03. 山東省威海文登市宋村鎮山頭村と硝灘村(東部沿海農村コミュニティ、経済レベル

は比較的高く、農民経済組織が発達)。2 つの村は隣接し、交通の便は良い。土地は肥沃

で、宋村鎮は野菜栽培が比較的集中した村であり、約 500 世帯の村民は様々な規模の野

菜商業経営に従事し、大部分の野菜農家はいずれも同地の野菜協会の活動に参加したこと

がある。鎮全体に統一的な電力供給、統一的な有線テレビとラジオが設置されている。2村の村民は合計 2,136 世帯で、人口は 5,000 人以上である。

04. 江蘇省邳州市八路鎮八路村と十店村(東南部沿海の農村コミュニティ、インフラと

経済レベルは高い)。八路村村民委員会の管轄下には 6 つの村落があり、村民は 1,200 世

帯、4,679 人、村民 1 人当たり平均収入は 3,745 元、主な経済収入源は農業、労務輸出、

商業などである。十店村村民委員会の管轄下には 4 つの村落があり、村民は 446 世帯、

1,982 人、村民 1 人当たり平均収入は 3,900 元、主な経済収入源は農業、養殖業、労務輸

出などである。 05. 雲南省昆明市五華区益康路コミュニティ住民委員会(西南部の都市コミュニティ、

正式計画)は、旧益康路と永昌路の 2 つの住民委員会が合併してできたもので、管轄区

域面積は 0.186 平方km2、住民は 5,000 世帯、人口は 10,332 人。コミュニティ住民委員

会の施設には、50m2の事務所建物、30m2の文化活動室、1 ヵ所のコミュニティ警務室(8人の警備員)、600m2の大衆活動緑地、コミュニティ病院の外来診療所が 2 ヵ所ある。コ

ミュニティの建設目標は、環境が清潔で優美、生活に便利、治安が良好、人間関係の調和

がとれた新たな型のコミュニティで、このためにコミュニティはコミュニティ住民の利便

サービスとコミュニティの優遇対象及び独居、老人、病人、障害者、貧困者への無償サー

ビスを展開し、コミュニティ住民が解決を必要としている緊急で困難な問題を捉えて環境

整備を行い、同時にコミュニティ組織と共同でいくつかの大衆に歓迎される文化・スポー

ツ活動を展開している。 06. 重慶市万州区天成区流水コミュニティ委員会(西南部の小都市コミュニティ、正式

計画、インフラは建設中、経済のレベルは中の下、新型の移住者市街)は、天城移住者開

発区の新市街の中に位置し、1995 年に旧流水村が移住して設立された住民委員会である。

管轄区域には合計 24 の機関部門があり、常住住民は 1,786 世帯、4,500 人余り。コミュ

ニティには現在、レイオフ労働者が 1,000 人余り、失業者 700 人余り、生活保護世帯 4世帯、障害者 50 人、低収入世帯 150 世帯(360 人)、個人営業者 150 人がいる。2003 年、

コミュニティの郷鎮企業生産額は 2,000 万元に達し、集団所有制経済の純収入は 5 万元

余り、住民の年間 1 人当たり平均収入は 2,000 元余りで、万州区の中等生活レベル地域

に属する。

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07. 湖北省襄樊市棗陽県新市鎮の邢川村と周楼村(中部の農村コミュニティ、インフラ

と経済レベルは低く、貧困山地農業村)。棗陽新市鎮は湖北省の北西部に位置する、山地

農業郷・鎮で、果物、落花生を主な経済作物とし、経済レベルは棗陽では中の下レベルで、

年間 1 人当たり純収入は 2,170 元。2 つの村は隣接し、いずれも丘陵と山地に位置する。

邢川村の村民は 223 世帯、823 人で、耕地面積は 1,480 ムー。周楼村の村民は 330 世帯、

1,142 人で、耕地面積は 2,905 ムー。村の多くの家庭の中年と青年はいずれも外地に出稼

ぎに出ている。年間降雨量はやや少なく、主な経済作物は小麦、水稲、桃、落花生である。 08. 浙江省東陽市呉寧街道東街コミュニティ(東南沿海の都市コミュニティ、正式計画、

インフラと経済レベルは高い)は、2002 年 10 月に設立され、現在の住民は 1,894 世帯、

人口は 4,607 人。コミュニティには建設組織が合計 15 ヵ所(党市委員会弁公室が指導)、

大中型の企業が 1 社、小中学校が 4 校、幼稚園が 1 ヵ所、託児所が 3 ヵ所、診療所が 2ヵ所、文化娯楽施設が 4 ヵ所、大・中型マーケットが 1 ヵ所、ホテル、旅館が合計 7 ヵ

所ある。 09. 北京市宣武区椿樹園コミュニティ(北方の発達した大都市のコミュニティ、正式計

画、インフラと経済レベルは高く、民主的なコミュニティ)、集合住宅が合計 18 棟、商

業施設、サービス機能が完備している。団地住民は 2,330 戸余りで、人口は 1 万人近い。

コミュニティには診療所、コミュニティ・サービスセンター、青少年センター、リハビリ・

センターと 1,000m2のフィットネス娯楽広場、図書室、老人学校、文化活動室、法律図書

コーナーなどがある。コミュニティ住民委員会とコミュニティ党委員会が設立され、コミ

ュニティの自治機能、末端の民主的自治の建設、コミュニティの党建設と精神文化建設の

能力は比較的強い。2001 年に椿樹園団地は「首都安全で文化的な住民委員会」の称号を

獲得し、また市レベルの「ベスト 10」エコロジー・コミュニティに選定された。北京の

2008 年オリンピック開催申請活動の中で、椿樹園コミュニティは国際オリンピック委員

会の視察を受けた。 10. 甘粛省嘉峪関市新城鎮が管轄する 7 つの行政村(西北部の農村コミュニティ、自然

環境が比較的劣り、非正式、非計画)は、村民 2,105 世帯が居住。鎮全体の総面積は 224km2

で、耕地、林地、砂漠、ゴビ、水域などの土地タイプが全てそろっている。2001 年に電

力網からの電力供給が通じ、交通は不便。2003 年の農民 1 人当たり可処分収入は 3,997元で、主な収入は農業に依拠し、タマネギ、種子、スイカ、マクワウリ、野菜、養殖産業

が同鎮の支柱産業である。 コミュニティ調査研究対象の選択はよりランダム性を備え、具体的な実施方法は、 �コミュニティの中から 100 世帯の家庭を無作為抽出 a.コミュニティの全ての家庭総数を 100 で割り、無作為抽出の間隔 N(N�15)を求

める。 b.それぞれのコミュニティでいずれも 4 つの異なった起点から無作為抽出を開始する。 c.4 つの起点から開始して、蛇形ルートにより、サンプル抽出間隔 N で十分な数量の

家庭を選出する(空き家を考慮し、サンプル抽出は一般に 120 世帯以上)。 d.もし選出した家庭 A が空き家なら、左右の隣近所の各 2 世帯からに代わりの世帯を

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探すことができ、依然として要求が満たされない場合は、この世帯を放棄し、記録を

資料に残し、次のサンプル抽出点に取材を順延する。 �1 世帯から 1 名の取材対象者を無作為抽出する。 a.取材対象者は必ず満 16 歳以上でなければならない。 b.性別バランスの原則を採用し、もし前の世帯で訪問したのが男性なら、この世帯は

女性を訪問する。 c.性別の要求に合致した者の中では、誕生日に近い原則(すなわち最近誕生日を迎え

た人)を採用し被取材者を確定する。 d.もし被取材者が不在の場合は、更に 1 回再訪問し、もし再訪問でも依然として不在

の場合は空き家として処理し、そして記録を資料に保存する。 サンプリング結果は:全国 10 ヵ所のコミュニティで、合計 1,000 人に取材し、男女比

率はほぼ 1:1 だった。10%の人が宗教を信仰し、利害関係者の宗教信仰比率よりやや高く、

二者で一致したのはいずれも仏教とキリスト教の信者が多数を占め(50%ほどを占める)

た。97%の被取材者は漢族で、そのうち約 80%の人がいずれもその地で生まれ育った地

元住民で、昆明市と北京市の 2 都市のコミュニティの流入人口だけが比較的高く、原籍

と出生地が現住地でない者の比率がいずれも 4 割以上に達し、その他には重慶万州区は

移住者が集中居住するコミュニティに属し(長江三峡ダム工事による水没地域からの移住

者…訳者注)、流入人口は 10%に達し、わが国の人口がほぼ一方向の移動(農村から都市

に流れる)に属することが見られる。人口の 43.7%の年収は 3,000 元以下で、利害関係者

の収入レベルと比較して信頼度がやや高いが、依然として被取材者の実際の収入レベルを

正確に反映できず、この中には個別のコミュニティの理解の誤りという問題も存在してい

る。コミュニティ調査アンケートの中では被取材者の学歴レベルを直接反映していないが、

設問への回答が困難な状況から見て、利害関係者の教育レベルとは比較的大きな開きが存

在し、半分を超える被取材者に設問への回答の困難な状況が存在し、しかも農村コミュニ

ティでは都市コミュニティより高く、回答の困難さは主に Warmup2、1.1、V130、V510、V610、V710、8、9.2、9.3 などの設問に集中していた。回答の困難さをもたらしている

原因は被取材者自身の認知レベルの限界以外に、アンケート設定上の欠陥と取材者の理解

の誤り、説明の不十分さも主な原因である。2 割以上の被取材者が他人に意見を求めてい

た。調査に対応する態度もコミュニティ住民のあらましを反映している。8 割以上の被取

材者が取材員に対して友好的、協力的で、敵視や非協力的な現象はほとんどなく、これは

大衆がやはり友好的だということを十分に物語っている。しかしこの調査研究の内容は多

数の一般大衆とは距離があるため、したがって興味を示したのは被取材者のわずか半数に

過ぎなかった。その他の各項目の結果とは逆に、調査研究に対応する態度の問題では、農

村コミュニティは明らかに都市コミュニティより良く、これは確かに農民のいっそう純朴

な本質を表している。

利害関係者への取材

地域の利害関係者への取材では全国の 6 省(直轄市)、11 市(区)を選び、地域の上で

は東から西まで、南から北まで、沿海から内陸までとなるよう配慮した。発展レベルの上

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では、様々な発展レベルの地域が含まれている。会議参加者の選択では、地元のシビル・

ソサエティの状況を熟知し、全体的に地元のシビル・ソサエティのそれぞれの異なる面を

カバーすることが要求された。会議出席者数は 20 人ほどに抑え、そのうち 3/4 の人が異

なるタイプのシビル・ソサエティ組織①から参加し、異なる地域(農村、コミュニティ、

地域的、全国的など)で活動し、異なる地位(指導者、事務局長、理事、職員、会員など)

の人々で、その他の 1/4 の人はNGOメンバーではなく②、すべての会議参加者は性別、年

齢、民族でいずれも一定に分布している。(下表を参照) 選択結果は合計 226 人を選出し、そのうち 80%はシビル・ソサエティ界内から参加し、

249 の異なるタイプのシビル・ソサエティ組織に属する。他の 20%は他セクターから参

加し、シビル・ソサエティを熟知した利害関係者に属する。居住地状況から見ると、95%の人が都市から参加、2/3 は男性、93%が共通語を話せ、6.6%が宗教を信仰し、90%以上

が漢族で、7 割近くがいずれも大学教育を受け、年齢は主に 30~50 歳の年齢層に集中

(50%を占める)、50~60 歳が 20%、退職年齢以上が 10%を占め、全体的には正規分布

に近い。

利害関係者諮問サンプル状況表

省(市) 市(区)

コー

ド 参加 人数 うち NGO から

参加の NGO 数

実 施 者 備考

瀋陽市 11 20 15 19 遼寧省

鞍山市 12 18 11 12 王 名、鄧海峰 劉 燁、祝岩松

東北

長沙市 21 25 19 33 湖南省

益陽市 22 21 20 28 賈西津、孫 龍 李一凌、彭 晶

中部

蘭州市 31 20 20 28 甘粛省

天水市 32 30 22 27 王 名、劉培峰 孫春苗

西部

昆明市 41 17 15 17 雲南省

曲靖市 42 18 17 24 王名、謝蕾、呂海波 張敏敏、邱軍平

西南

市街区 51 21 18 26 上海市

金山区 52 17 14 16 王 名、鄧海峰 董延平、祝岩松

東南

北京市 市街区 61 19 14 19 賈西津、鄧海峰 北方 合 計 11 226 185 249

①主なタイプには、1)宗教あるいは信仰に関連する組織、2)労働組合、外来労働者の組織、3)法律援

助、市民教育、消費者組織など市民の権利に関連する組織、4)文化、衛生、社会サービスのなどの分野

の民間運営の非企業組織、5)教育、育成訓練、研究分野の組織、6)非営利メディア、7)女性組織、8)学生あるいは青年組織、9)弱者層にサービスする組織あるいは協会(例えば貧困住民、レイオフ失業者、

農民など)、10)業者協会、商業会議所、11)コミュニティ内のオーナー委員会、相互利益の娯楽団体、

葬儀協会など、12)経済協同組合、信用組合、互助貯蓄協会などの経済協力組織、13)民族、伝統風俗

の協会、14)環境保護社会団体、15)文化と芸術性の社会団体、16)社会性と娯楽性の団体、クラブ、 17)基金会、18)民主諸党派あるいはその他の政治的社会団体、19)NGOのネットワーク、連盟、支

援的組織、20)当地の典型的なその他のタイプのNGOを含む。 ②1)様々なレベルの政府公務員、2)NGOを研究する学者、専門家、研究者、3)メディアの中で民間社

会に関心を持つ記者、4)NGOへの出資援助者、5)企業の社会的責任と企業の公益活動が比較的良好な

企業セクターの関係者を含む。

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