illumina rna prep with enrichment...bcr-abl1遺伝子融合(図4)およびtpm3-ntrk1遺伝子融...

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迅速かつシンプルな RNA 濃縮ワークフロー Illumina RNA Prep with Enrichment は、ビーズ上でのタグメン テーションを行った後、1 回のシンプルな 90 分間のハイブリダイ ゼーションステップに進む、迅速なワークフローを採用しています 1)。 ビーズ上でのタグメンテーションの特徴は、濃縮ビーズ結合ト ランスポソーム(eBLT)法を RNA 用に最適化した eBLTL です。eBLTL 法による均一なタグメンテーション反応により、断 片化ステップを別途踏む必要がなく、時間を短縮できます。ハ イブリダイゼーション反応でのさまざまな技術革新との組み合わ せで、Illumina RNA Prep with Enrichment のワークフローは、 はじめに 次世代シーケンサー(NGS)を用いた RNA シーケンス(RNA- Seq)は、RNA 転写産物の発見、プロファイリング、定量を可 能にする強力な手法です。RNA-Seq には次のような利点があり ます。 ターゲット RNA-Seq では、特定の対象遺伝子群に絞って発現 を解析することができます。濃縮を行うことにより、トランスク リプトームのコーディング領域を配列特異的にキャプチャーし、 コスト効率の高い RNA エクソーム解析を行うことができます。 低品質のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルに 最適です。 トータル RNA-Seq では、バイアスのない仮説不要なアプロー チにより、トランスクリプトームを網羅的に解析することができ ます。遺伝子や転写産物の存在量を正確に測定し、コーディン RNA やさまざまな形態のノンコーディング RNA の既知の 配列だけでなく未知の配列も正確に検出することができます。 メッセンジャー RNA mRNA-Seq では、遺伝子発現の定量、 コーディングトランスクリプトーム中の既知および未知のアイソ フォームの同定、そしてアリル特異的発現の測定を、高感度か つ高精度に行うことができます。 Illumina RNA Prep with Enrichment, (L) Tagmentation は、 ターゲット RNA-Seq の効率化を実現するソリューションです。幅 広い RNA-Seq アプリケーションに対応するため、さまざまなサン プルタイプやインプット量に対する柔軟性があり、アリル特異的 発現解析、遺伝子融合検出、バイオマーカースクリーニングなど、 さまざまな検出や探索が可能です。Illumina RNA Prep with Enrichment Illumina Exome Panel を組み合わせれば、わず かなシーケンス量で最大限の検出力が得られ、コーディングトラン スクリプトームの全体像を捉えることができます。 Illumina RNA Prep with Enrichment RNA 濃縮アプリケーションに対応した迅速な一体化ワークフロー 特長 迅速かつシンプルな RNA 濃縮ワークフロー 9 時間という短時間でライブラリーを調製 ハンズオンタイムは 2 時間未満 解析困難なサンプルでも優れたデータ品質 新鮮/凍結サンプルのトータル RNA であれば 10 ng分解 FFPE サンプルのトータル RNA でも 20 ng ほどの 少量で高感度を達成 手頃なコストでフォーカスを絞った RNA シーケンス これまでよりも少ないシーケンス量で高い キャプチャー効率を発揮するため、最大限の検出力で バイアスなしに正確に検出 柔軟で拡張性のあるスループット ユニークデュアルインデックスにより、1 回のランで 最大 384 サンプルのマルチプレックス eBLTL法によるタグメンテーション タグメンテーション cDNA-eBLT-L複合体 eBLTL 濃縮ビーズ結合 トランスポソーム(eBLTL)法 eBLT cDNA eBLTL インデックスPCR インデックス付加ライブラリー リード1シーケンスプライマー(Rd1 SPリード2シーケンスプライマー(Rd2 SPIndex1 p7 Index2 p5 p5 Index2 Rd1 SP Rd2 SP Index1 p7 インデックスPCRプライマー 濃縮前ライブラリーをプール(オプション) ビオチン化プローブパネルを添加 プールしたサンプルライブラリー 濃縮ライブラリー 濃縮ライブラリーをビーズから溶出 ストレプトアビジン磁気ビーズによる濃縮 タグメンテーションされたライブラリー シーケンス用の濃縮インデックス付加ライブラリー First-strandおよびSecond-strandcDNA合成 cDNA 1 Illumina RNA Prep with Enrichment のケミストリー cDNA 合成後、 eBLT-L 法による均一なタグメンテーション反応を経て、90 分間 1 回のハイブ リダイゼーション反応が続くことで、迅速で柔軟なワークフローが実現します。 Design Content | Prepare Library | Sequence | Analyze Data 本製品の使用目的は研究に限定されます。診断での使用はできません。 470-2020-001-A | 1

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  • 迅速かつシンプルな RNA濃縮ワークフローIllumina RNA Prep with Enrichmentは、ビーズ上でのタグメンテーションを行った後、1回のシンプルな 90分間のハイブリダイゼーションステップに進む、迅速なワークフローを採用しています(図 1)。

    ビーズ上でのタグメンテーションの特徴は、濃縮ビーズ結合トランスポソーム(eBLT)法を RNA用に最適化した eBLTL法です。eBLTL法による均一なタグメンテーション反応により、断片化ステップを別途踏む必要がなく、時間を短縮できます。ハイブリダイゼーション反応でのさまざまな技術革新との組み合わせで、Illumina RNA Prep with Enrichmentのワークフローは、

    はじめに次世代シーケンサー(NGS)を用いた RNAシーケンス(RNA-Seq)は、RNA転写産物の発見、プロファイリング、定量を可能にする強力な手法です。RNA-Seqには次のような利点があります。

    • ターゲットRNA-Seqでは、特定の対象遺伝子群に絞って発現を解析することができます。濃縮を行うことにより、トランスクリプトームのコーディング領域を配列特異的にキャプチャーし、コスト効率の高い RNAエクソーム解析を行うことができます。低品質のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルに最適です。

    • トータル RNA-Seqでは、バイアスのない仮説不要なアプローチにより、トランスクリプトームを網羅的に解析することができます。遺伝子や転写産物の存在量を正確に測定し、コーディング RNAやさまざまな形態のノンコーディング RNAの既知の配列だけでなく未知の配列も正確に検出することができます。

    • メッセンジャー RNA(mRNA)-Seqでは、遺伝子発現の定量、コーディングトランスクリプトーム中の既知および未知のアイソフォームの同定、そしてアリル特異的発現の測定を、高感度かつ高精度に行うことができます。

    Illumina RNA Prep with Enrichment, (L) Tagmentation は、ターゲットRNA-Seqの効率化を実現するソリューションです。幅広い RNA-Seqアプリケーションに対応するため、さまざまなサンプルタイプやインプット量に対する柔軟性があり、アリル特異的発現解析、遺伝子融合検出、バイオマーカースクリーニングなど、さまざまな検出や探索が可能です。Illumina RNA Prep with Enrichmentに Illumina Exome Panelを組み合わせれば、わずかなシーケンス量で最大限の検出力が得られ、コーディングトランスクリプトームの全体像を捉えることができます。

    Illumina RNA Prep with EnrichmentRNA濃縮アプリケーションに対応した迅速な一体化ワークフロー

    特長

    • 迅速かつシンプルな RNA濃縮ワークフロー

    9時間という短時間でライブラリーを調製 ハンズオンタイムは 2時間未満

    • 解析困難なサンプルでも優れたデータ品質

    新鮮/凍結サンプルのトータル RNAであれば 10 ng、分解 FFPEサンプルのトータル RNAでも 20 ngほどの少量で高感度を達成

    • 手頃なコストでフォーカスを絞った RNAシーケンス

    これまでよりも少ないシーケンス量で高い キャプチャー効率を発揮するため、最大限の検出力で バイアスなしに正確に検出

    • 柔軟で拡張性のあるスループット

    ユニークデュアルインデックスにより、1回のランで 最大 384サンプルのマルチプレックス

    eBLTL法によるタグメンテーション

    タグメンテーション

    cDNA-eBLT-L複合体

    eBLTL

    濃縮ビーズ結合トランスポソーム(eBLTL)法

    eBLT

    cDNA

    eBLTL

    インデックスPCR

    インデックス付加ライブラリー

    リード1シーケンスプライマー(Rd1 SP)

    リード2シーケンスプライマー(Rd2 SP) Index1p7

    Index2

    p5

    p5 Index2 Rd1 SP Rd2 SP Index1 p7

    インデックスPCRプライマー

    濃縮前ライブラリーをプール(オプション)

    ビオチン化プローブパネルを添加

    プールしたサンプルライブラリー

    濃縮ライブラリー

    濃縮ライブラリーをビーズから溶出

    ストレプトアビジン磁気ビーズによる濃縮

    タグメンテーションされたライブラリー

    シーケンス用の濃縮インデックス付加ライブラリー

    First-strandおよびSecond-strandのcDNA合成

    cDNA

    図 1:Illumina RNA Prep with Enrichmentのケミストリー cDNA合成後、eBLT-L法による均一なタグメンテーション反応を経て、90分間 1回のハイブリダイゼーション反応が続くことで、迅速で柔軟なワークフローが実現します。

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    本製品の使用目的は研究に限定されます。診断での使用はできません。 470-2020-001-A | 1

  • TruSeq™ RNA Exomeに比べてステップ数が少なく、インキュベート時間が短く、セーフティストップポイントが多数あり、合計アッセイ時間が 50%以上短縮されました(図 2)。また Illumina RNA Prep with Enrichmentは、手動調製のみならず、自動化ワークフローが可能になる各種のリキッドハンドリングプラットフォームにも対応しているため、サンプルハンドリングの再現性が高まり、人的ミスのリスクも軽減され、ハンズオンタイムも短縮されます。

    高品質のデータ

    インプット量の少ないサンプルや FFPEサンプルから 高精度のデータを

    高いキャプチャー効率とカバレッジ均一性により、最小限のシーケンス量で、バイアスを混入させずに発現レベルを正確に測定することができます。10 ngという少量のトータル RNAからスタートできる Illumina RNA Prep with Enrichmentでは、新鮮/凍結サンプルから抽出したさまざまなインプット量間でのデータ一致率が高く、高品質のデータが得られます(図 3)。貴重な腫瘍/正常検体や FFPE保存組織サンプルからは遺伝子発現プロファイリングに必要な生物学的情報が豊富に得られますが、このような検体やサンプルは固定や保存の過程で核酸が分解されているため解析が困難となる場合があります。1 Illumina RNA Prep with Enrichmentでは、FFPEサンプルから抽出したわずか 20ngのインプット量の RNAからも高品質のデータが得られます。これらのことから、Illumina RNA Prep with Enrichmentは、出発物質が限られている貴重なサンプルや分解したサンプルにも対応する理想的なソリューションであると言えます。

    少ないインプット量のサンプルや FFPEサンプルで遺伝子融合検出

    Illumina RNA Prep with Enrichmentの RNA転写産物内の構造多型認識能を実証するため、新鮮/凍結サンプルおよび FFPEサンプルを Illumina Exome Panelで濃縮し、NovaSeq™ 6000 システムでシーケンスしました。その結果、K-562細胞株(RNA Integrity Number(RIN) = 7.4、DV200 = 90%)および大腸がん細胞株(RIN = 2.5、DV200 = 85%)の全 6個のレプリケートでBCR-ABL1遺伝子融合(図 4)および TPM3-NTRK1遺伝子融合のコールレートがそれぞれ 100%となりました(表 1)。

    図 2:Illumina RNA Prep with Enrichmentの迅速なワークフロー ビーズ上でのタグメンテーションと90分間 1回のハイブリダイゼーションステップの組み合わせにより、TruSeq RNA Exomeに比べて迅速でステップ数の少ないワークフローが実現します。

    TruSeq RNA Exome Illumina RNA Prep with Enrichment

    9時間未満

    2日以上

    cDNA合成

    A-tailing

    1回目の濃縮キャプチャー、洗浄、溶出

    RNAの定量と定性1

    2

    3

    4

    RNA断片化

    ライゲーション5

    PCR、定量、ノーマライゼーション

    6

    7

    2回目の濃縮キャプチャー、洗浄、溶出

    8

    cDNA合成ライブラリー調製キットと一体化

    90分間に1回の濃縮キャプチャー、洗浄、溶出

    RNAの定量と定性断片化は不要

    シーケンスの準備完了

    1

    2

    3

    8

    BLT法によるタグメンテーション

    4 PCR、定量、ノーマライゼーション

    5

    濃縮ライブラリーのPCR増幅

    6

    合計アッセイ時間が50%以上短縮

    定量とノーマライゼーション

    7

    シーケンスの準備完了11

    濃縮ライブラリーのPCR増幅

    9

    定量とノーマライゼーション

    10

    0 10 100 1000 10000

    UHR(インプット量10ng)

    0

    10

    100

    1000

    10000

    0.1

    UHR(インプット量10

    0ng)

    0.1

    R2 = 0.99

    図 3:インプット量の少ないサンプルから高品質のデータを Illumina RNA Prep with Enrichmentは、Universal Human Reference(UHR)から抽出したトータル RNAのインプット量、10 ngと100 ngとの間で、高いデータ一致率を示しました。UHR RNAライブラリーをNovaSeq 6000システムでシーケンスし、ライブラリーあたり25Mクラスターにサブサンプリングしました。データをBaseSpace RNA-Seq Alignment v 1.1.1アプリケーションで解析しました。

    ABL1BCR

    Sequence

    RefSeq Genes

    [0 - 134][0 - 134]

    U1_K562...overage

    U1_K562_10ng_Lot2_CEX_1plex_Rep125M.alignments.SA.bam

    [0 - 913][0 - 913]

    U1_K562...overage

    U1_K562_10ng_Lot2_CEX_1plex_Rep125M.alignments.bam

    chr9:133,724,597-133,734,356

    chr9

    chr22:23,629,909-23,639,668

    chr22

    図 4:BCR-ABL1遺伝子融合の検出 Illumina RNA Prep with EnrichmentとIllumina Exome Panelを使用して K-562細胞株 RNA 10 ngから調製したライブラリーで、BCR-ABL1遺伝子融合を検出することができました(Broad Integrative Genomics Viewer(IGV)を使用)。上のアライメントトラックはすべてのリードを示し、下のアライメントトラックはBCR-ABL1融合を裏付けるリードのみを示しています。

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  • 表 1:遺伝子融合検出

    融合(ソース) RINRNA

    インプット量検出結果

    BCR-ABL1 (K-562)

    7.4 10 ng 6レプリケート中 6(100%)

    TPM3-NTRK1 (大腸がん)

    2.5 20 ng 6レプリケート中 6(100%)

    手頃なコストでフォーカスを絞った RNA-Seq

    優れたエクソンカバレッジ

    Illumina RNA Prep with Enrichmentに、コーディング RNA配列を網羅的にカバーする高度に最適化されたプローブセット、Illumina Exome Panelを組み合わせることもできます(表 2)。

    表 2:Illumina Exome Panelの仕様

    カバレッジの仕様 Illumina Exome Panel

    ターゲット遺伝子数 21,415

    ターゲットエクソン領域数 214,126

    プローブ数 425,437

    RefSeqエクソームカバー率 98.3%

    Illumina RNA Prep with Enrichmentのエクソームシーケンス能を調べるため、同製品を使用して Universal Human Reference(UHR)RNAとFFPE RNAからライブラリーを調製しました。これらのライブラリーをNovaSeq 6000システムにて 100 bp × 2(25 Mリード)でシーケンスしました。BaseSpace™ Sequence Hubの Enrichmentアプリでデータを解析した結果、Illumina RNA Prep with Enrichmentは優れたエクソンカバレッジを示し(図 5)、カバーされた塩基の 85%以上が RNAのコーディング配列領域および非翻訳領域(UTR)にアライメントを示し、TruSeq RNA Exomeと同等の性能を有することがわかりました(図 6)。

    これらの結果から、Illumina RNA Prep with Enrichmentは、有益な情報を含む RNAコーディング領域にフォーカスを絞ってシーケンスしており、高いキャプチャー効率を示していることがわかります。このように、フォーカスを絞ってシーケンスを行うIllumina RNA Prep with Enrichmentは、これまでよりも少ないシーケンス量でより小さなデータセットを生成するため、時間とコストの削減につながります。

    GAPDH

    GAPDH

    GAPDH

    GAPDH

    RefSeq Genes

    [0 - 651]

    U1_FFPEカバレッジ

    FFPE 20ng

    6,643,000 bp 6,644,000 bp 6,645,000 bp 6,646,000 bp 6,647,000 bp 6,648,000 bp

    5,121 bp

    chr12

    p13.32 p13.2 p12.3 p12.1 p11.22 p11.1 q12 q13.11 q13.2 q14.1 q14.3 q21.1 q21.31 q21.33 q23.1 q23.3 q24.12 q24.23 q24.32

    図 5:Illumina RNA Prep with Enrichmentを使用した場合のコーディング領域のカバレッジ 低品質の FFPEサンプル 20 ngから調製し、Illumina Exome Panelで濃縮したライブラリーを、25Mリードでシーケンスしました。上の図は、Broad IGVで見たGAPDH制御遺伝子のカバレッジです。コーディングエクソン全体にリードのアライメントが認められることから、優れたターゲットキャプチャー法であることがわかります。

    0% 25% 50% 75% 100%

    各領域にアライメントされた塩基の割合(%)

    コーディング UTR イントロン 遺伝子間

    Illumina RNA Prep with Enrichment

    TruSeq RNA Exome

    UHR

    FFPE

    UHR

    FFPE

    図 6:Illumina RNA Prep with Enrichmentを使用した場合のコーディング領域のカバレッジ Illumina RNA Prep with Enrichmentと Illumina Exome Panelを使用して UHR RNA 10 ngおよび FFPE RNA 20 ngから調製したライブラリーでは、85%を超えるデータがコーディング領域および UTRにアライメントを示しました。比較対象として、TruSeq RNA Exomeを使用したライブラリーのデータを提示しています。ライブラリーは NovaSeq 6000システムにて 100 bp × 2でシーケンスし、25 Mリードにサブサンプリングしました。

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  • TruSeq RNA Exomeとの高い一致率Illumina RNA Prep with Enrichmentのライブラリーから得られたデータを、標準的な RNA濃縮ツールである TruSeq RNA Exomeのライブラリーから得られたデータと比較したところ、高い一致率が認められました(図 7)。注目すべき点として、データプロットが S字状になっているのは、TruSeq RNA Exomeで使用したアダプターによりインデックスホッピングが発生したためです。重要な点として、Illumina RNA Prep with Enrichmentには、インデックスの組み換えが起こらないユニークデュアルインデックス(UDI)が使用されています。

    柔軟で拡張性のあるスループットIllumina RNA Prep with Enrichmentに、NextSeq™ 550システムや NovaSeq 6000システムなどのハイスループット装置を組み合わせれば、データ品質を維持したまま、1回のランではるかにより多くのサンプルをシーケンスすることができます。サンプルスループットをさらに上げるため、Illumina RNA Prep with Enrichmentは、384のユニークデュアルインデックス(UDI)を用いたマルチプレックスにも対応しています。*UDIはインデックスのミスアサインメントを排除するだけでなく、1枚のNovaSeq S4フローセル上に最大 384のサンプルをロードでき、スループットを大幅に上げられるため、シーケンスコストを抑えることができます。

    * 最大 192の UDIが使用可能(発売時点)。2020年後半には追加の UDIが使用可能。

    幅広い RNAアプリケーションに対応する モジュール設計RNAライブラリー調製と濃縮機能に、精度実証済みの独自のSequence by Synthesis(SBS)法 2を組み合わせることで、Illumina RNA Prep with Enrichmentはさまざまな分野の高度な研究デザインに用いられる各種サイズの固定パネルおよびカスタムパネルに対応しています。例えば、トランスクリプトームコーディング領域の解析を行う Illumina Exome Panelや、フォーカスを絞った Illumina Respiratory Virus Oligos Panel(呼吸器系ウイルスや、新型インフルエンザウイルス株、また新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の原因となっている新型コロナウイルス(CoV)株の SARS-CoV-2を約 7,800のプローブで検出)などがあります。Illumina RNA Prep with Enrichmentをカスタムパネルと組み合わせる場合には、バリデーションやプロトコールの調整が必要となることがあります。

    まとめIllumina RNA Prep with Enrichmentは効率化を実現したソリューションであり、シンプルな迅速ワークフローによるターゲットRNA-Seqを可能にします。分解サンプルをはじめとするさまざまなインプットに対して優れた柔軟性を発揮し、少ないインプット量にも対応します。Illumina Exome Panelや Illumina Respiratory Virus Oligos Panelなど、さまざまな領域の幅広い RNA-Seqアプリケーションに対応するモジュール設計で、アリル特異的発現解析、遺伝子融合検出、バイオマーカースクリーニングなど、さまざまな検出や探索が可能です。

    詳細はこちらIllumina RNA Prep with Enrichmentの詳細については、 jp.illumina.com/products/by-type/sequencing-kits/library-prep-kits/rna-prep-enrichment.htmlをご覧ください。また、こちらのサイトでは現在使用可能なパネルコンテンツオプションもご覧いただけます。

    -5 0 5 10 15

    Illumina RNA Prep with Enrichment

    -5

    0

    5

    10

    -10

    TruS

    eq R

    NA

    Exo

    me

    -10log2倍変化

    log2倍変化

    r2 = 0.923

    図 7:TruSeq RNA Exomeとの一致率 UHR RNA(アジレント社、カタログ番号 740000)とHuman Brain Total RNA(サーモフィッシャー社、カタログ番号 AM7962)でそれぞれ log2倍の変化を測定したところ、Illumina RNA Prep with Enrichmentのプロットは、TruSeq RNA Exomeとの高い一致率を示しました。ライブラリー調製はすべて、インプット量 10 ngで行いました。TruSeq RNA Exomeのライブラリーは 4-plexで濃縮し、Illumina RNA Prep with Enrichmentのライブラリーは 3-plexで濃縮しました。データはすべて、ライブラリーあたり25Mクラスターにダウンサンプリングしました。データ解析には BaseSpace Cuf�inks Assembly & DE App v 2.1.0を使用しました。

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    本製品の使用目的は研究に限定されます。診断での使用はできません。 470-2020-001-A | 4

    http://jp.illumina.com/products/by-type/sequencing-kits/library-prep-kits/rna-prep-enrichment.htmlhttp://jp.illumina.com/products/by-type/sequencing-kits/library-prep-kits/rna-prep-enrichment.html

  • ご注文案内ライブラリー調製 カタログ番号

    Illumina RNA Prep with Enrichment, (L) Tagmentation(16 samples)a

    20040536

    Illumina RNA Prep with Enrichment, (L) Tagmentation(96 samples)a

    20040537

    インデックス カタログ番号

    IDT for Illumina DNA/RNA UD Indexes Set A, Tagmentation(96 indexes, 96 samples)b

    20027213

    IDT for Illumina DNA/RNA UD Indexes Set B, Tagmentation (96 indexes, 96 samples)b

    20027214

    IDT for Illumina DNA/RNA UD Indexes Set C, Tagmentation(96 indexes, 96 samples)

    20042666 近日発売予定

    IDT for Illumina DNA/RNA UD Indexes Set D, Tagmentation(96 indexes, 96 samples)

    20042667 近日発売予定

    濃縮パネル カタログ番号

    Illumina Exome Panel 20020183

    Illumina Respiratory Virus Oligos Panel v2 20044311

    a. 16サンプルキットには、1-plex、濃縮反応 16回分の試薬、96サンプルキットには、3-plex、濃縮反応 32回分の試薬が入っています。

    b. 「IDT for Illumina DNA/RNA UD Indexes」は「IDT for Illumina Nextera DNA UD Indexes」の新製品名です。キットの中身は同じです。

    参考文献1. von Ahlfen S, Missel A, Bendrat K, and Schlimpberger M. Determi-

    nants of RNA quality from FFPE samples. PLoS ONE. 2007;2(12): e1261.

    2. Bentley DR, Balasubramanian S, Swerdlow HP, et al. Accurate whole human genome sequencing using reversible terminator chemistry. Nature. 2008;456:53-59.

    Design Content | Prepare Library | Sequence | Analyze Data

    Pub. No. 470-2020-001-A-JPN QB9931 02SEP2020

    販売店イルミナ株式会社

    本製品の使用目的は研究に限定されます。診断での使用はできません。© 2020 Illumina, Inc. All rights reserved.

    販売条件:jp.illumina.com/tc

    www.facebook.com/illuminakk

    すべての商標および登録商標は、Illumina, Inc または各所有者に帰属します。商標および登録商標の詳細は jp.illumina.com/company/legal.html をご覧ください。予告なしに仕様および希望販売価格を変更する場合があります。

    〒108-0014 東京都港区芝 5-36-7 三田ベルジュビル 22階 Tel (03) 4578-2800 Fax (03) 4578-2810 jp.illumina.com

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2092395/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2092395/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2581791/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2581791/jp.illumina.comjp.illumina.com/tcjp.illumina.com/company/legal.html