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IO-LINK Handbook
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ー IO-Linkハンドブック ー
目次
はじめに ……………………………………………………
セクション1:IO-Link入門 ………………………………「従来型」センサー ………………………………………
小型バイナリセンサードライバ……………………………
IO-Link:オープン、低コストのセンサーインタフェース…
IO-Linkノード………………………………………………
IO-Linkシステム……………………………………………
IEC-61131-9でSDCIとして標準規格化されたIO-Linkインタフェース ……………………………………
物理層IO-Link標準規格コネクタ…………………………
物理層の電気的仕様………………………………………
オートメーション階層内のIO-Link………………………
IO-Link - インテリジェントセンサーの実現……………
産業用センサーエコシステム ……………………………
セクション2:IO-Link環境………………………………データリンク層の仕様 ……………………………………
データタイプ ………………………………………………
マスター -デバイス間通信 ………………………………
C/Qライン上のUARTデータ……………………………
ウェイクアップリクエスト…………………………………
IO-Linkのデータレート選択 ……………………………
IO-Link IODD……………………………………………
セクション3:IO-Linkセンサーの設計…………………センサー設計の考慮事項…………………………………
IO-Linkスマートセンサーの設計の特長 ………………
IO-Link近接センサー:MAXREFDES27 ……………
ソフトウェアの説明 ……………………………………
IO-Linkデジタル入力ハブ:MAXREFDES36 ………
ソフトウェアの説明 ……………………………………
セクション4:IO-Linkマスターの設計…………………IO-Linkマスターの設計目標 ……………………………
8ポートIO-Linkマスター:MAXREFDES145 ………
ハードウェアの説明 ……………………………………
ソフトウェアの説明 ……………………………………
IO-Linkマスター試験報告書……………………………
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セクション5:システム性能の向上 ……………………電磁環境適合性(EMC)要件 …………………………EMC試験レベル …………………………………………
物理層:標準規格化されたEMC要件…………………
耐性試験 …………………………………………………
セクション6:IO-Linkソリューション…………………なぜMaximのIO-Linkトランシーバを選ぶべきか?…
製品選択ガイド……………………………………………
100mA小型バイナリセンサードライバ:MAX14838/MAX14839 ……………………………
デュアル250mA IO-Linkトランシーバ:MAX14827A ……………………………………………
デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ:MAX14819 ………………………………………………
IO-Linkデバイスの評価 …………………………………
IO-Linkマスターの評価 …………………………………
産業用IO-Linkリファレンスデザイン …………………
その他のIO-Linkリソース ………………………………
IO-Linkのウェブページ………………………………
IO-Linkのカタログ……………………………………
IO-Linkに関するアプリケーションノートおよび記事…
ビデオ……………………………………………………
商標………………………………………………………
付録:技術的リソース………………………………………
ソフトウェアスタックベンダー ………………………
TEConceptのツール………………………………
IO-Link用語集 …………………………………………
IO-LinkのFAQ ……………………………………
MAXREFDES145のESD試験結果 …………
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はじめに現在のファンレスプログラマブルロジックコントローラ(PLC)およびIO-Link®ゲートウェイシステムは、I/O構成(IO-Link、デジタル入出力、アナログ入出力)に応じて大量の電力を消費します。これらのPLCが新しいIndustry 4.0スマートファクトリへと進化する中で、よりスマート、高速、低消費電力のソリューションを実現するために、特別な配慮を検討する必要があります。この革新の中心にあるのは、柔軟な生産を可能にして工場のスループットと操業効率を向上させる、IO-Linkと呼ばれる期待の新技術です。この期待の新技術は、従来のセンサーをインテリジェントセンサーに変化させることができます。Maxim Integratedは、IO-Link技術ポートフォリオによって強化された、Industry 4.0実現への道を拓く先進的なファクトリオートメーションソリューションのポートフォリオを提供しています。
センサーはどこにでも見られ、日常生活の中で遍在化しています。生産環境では、生産されるすべての製品にとって、物体の検出、物体までの距離の判定、物体の色と科学的性質の設定、および物体または液体の温度と圧力の監視を機械が行うために役立つ、協調動作するセンサーのアレイが必要です。
頻繁に技術者を工場のフロアに派遣してセンサーを変更し、1つの製品用の適切な製造パラメータになるように再較正を行うことには、時間とコストがかかります。これは生産の流れにマイナスの影響を与え、生産性の低下につながります。これと同じレベルの保守を、生産ライン上の多数の異なるタイプの製品について掛け合わせると、製造をシャットダウンしてセンサーの変更や再設定を行う非生産的な時間は、すべての生産ラインにかかる単一の費用として最も高額になります。
IO-Linkは、従来のバイナリまたはアナログセンサーを、データの収集のみでなく、ライン上の他のセンサーの正常性と状態に関するリアルタイムフィードバックおよび実行する必要がある生産上の操作に基づいて、ユーザーがリモートから設定を変更することができるインテリジェントセンサーに変化させる技術です。IO-Link技術は、プロトコルスタックおよびIOデバイス記述(IODD)ファイルを使用して設定可能なセンサーポートを実現する共通の物理インタフェースを介して、センサーが相互交換可能になるようにします。IO-Link技術は真にプラグ&プレイ対応であるとともに、動作中にパラメータを再設定する機能を提供します。
IO-Linkは、ファクトリ/プロセス/ビルオートメーションおよびその他の業界で時間とともに重要な役割を果たすことになる強力な技術です。メーカーにとって年間数十億ドルの節約になるのみでなく、製品のさらなるカスタマイズに対する新しい市場を拡大します。ファクトリ/プロセス/ビルオートメーションに関わっている人は、これからもIndustry 4.0の真の力を解放し製造に対する私たちの考え方を変えていくIO-Link技術に注目する必要があります。
ジェフ デアンジェリス (Jeff DeAngelis)
インダストリアル&ヘルスケア製品事業部門マネージングディレクター
Maxim Integrated
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小型バイナリセンサードライババイナリセンサーには、オンまたはオフの2つの状態のみがあります。バイナリセンサーの例として、圧力スイッチ、温度スイッチ、透過型光電センサー、近接センサー、およびプッシュボタンがあります。MAX14838/MAX14839 (図2)などのバイナリセンサー出力ドライバは、産業用センサーでの使用に最適化された24V/100mAドライバです。これらのデバイスは、設定可能または端子選択可能なPNP/NPN/プッシュプルドライバや、一般的なセンサーの電力要件に適合する内蔵リニアレギュレータなど、産業用センサーで一般的に見られる高電圧(24V)回路を内蔵しています。出力ドライバは、センサーまたはセンサーマイクロコントローラユニット(MCU)とPLCのデジタル入力(DI)モジュールの間のインタフェースを行います。
広範な物理センサータイプのサポートに関する柔軟性を提供するために、ロジック入力によって出力ドライバをハイサイド(PNP)、ローサイド(NPN)、またはプッシュプル動作に設定することが可能です。追加の入力によって、ユーザーはノーマリオープンまたはノーマリクローズロジックを選択することができます。MAX14838/MAX14839は高集積製品で、逆極性保護、内蔵LDO、およびLEDドライバを内蔵しているため、小型実装面積の堅牢なセンサーソリューションに最適です。
セクション 1:IO-Link入門
歴史的に、センサーはセンシング素子とセンシングデータをコントローラに送る方法を内蔵していました。データは多くの場合アナログ形式で転送され(図1)、一方向(センサーからマスターのみ)でした。そのため、処理に追加のステップ(デジタル-アナログ変換やアナログ-デジタル変換など)が必要になり、それによってコスト、実装面積、およびノイズに対する感受性が増大します。これらの 「従来型」 センサーは役に立ちましたが、技術の進歩とともに、センサーメーカーはより多くの機能をセンサーに内蔵し、バイナリセンサーの導入によってこれらの問題の一部を除去しました。
しかし、データは依然としてセンサーからマスターへの一方向通信に限られていたため、エラー制御が制限され、技術者が工場のフロアに出向いてマニュアル較正を行う必要がありました。
メーカー各社は、Industry 4.0、スマートセンサー、および再構成可能ファクトリフロアの需要に対応するために、より良いソリューションを必要としていました。そこに現れたソリューションがIO-Linkです。
「従来型」センサー
アナログセンサー
バイナリセンサー
24V
DO0V
誘導ノイズ
PLC
センシング素子 A/D µP D/A A/D µP
µPDIコンパレータセンシング素子
MAX14838MAX14839
VCC
FAULT
LED2IN
DIN
NPN
PP
NO
100nF
DO
GND
24V
OUT
GND
LEDS LED2LDO
センサーAFE
100nF
図1. センサーのアナログからバイナリへの進化 図2. 24V端子設定可能産業用センサー出力ドライバ
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IO-Link:オープン、低コストのセンサーインタフェースIO-Linkは、産業システムのセンサーおよびアクチュエータがコントローラとどのように相互動作するかを規定した、標準化された技術(IEC 61131-9)です。IO-Link企業コミュニティ(www.io-link.com)は、IO-Link製品用のハードウェア(PHY layer)インタフェースおよび通信(data)プロトコルの標準化を目的としてIO-Linkコンソーシアムを立ち上げた、センサーおよびアクチュエータメーカー41社のグループによって2008年に設立されました。現在、半導体ベンダーおよびソフトウェアベンダーを含む100以上の企業が同コンソーシアムに参加しています。Maximは2009年以来IO-Linkコンソーシアムのメンバーになっています。
IO-Linkは標準化されたコネクタ、ケーブル、およびプロトコルを備えたポイント間通信リンクです。IO-Linkシステムは業界標準の3線式センサーおよびアクチュエータインフラストラクチャ内で動作するように設計されており、「IO-Linkマスター」および 「IO-Linkデバイス」 製品で構成されます(図3)。
IO-Linkノードセンサーメーカーが旧式のアナログセンサーから 「スマート」なIO-Linkベースのセンサーに移行するに従って、設置されるIO-Linkノードの数が急速に増え続け、Industry 4.0によって概要が示された再構成可能な生産という可能性を実現しています(図4)。
1
2
3
4
1
2
3
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2
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1
2
3
4
1 2
4
5 6
7 8
3
IO-LinkマスターIO-Linkデバイス#1
20m以下標準のセンサー/
アクチュエータ用ケーブル
IO-Linkデバイス#2
マルチポートIO-Linkマスター
フィールドバスI/Oデバイス
ポイント間リンク
注:IO-Link.comのデータ (August 2017)
図3. IO-Linkマスター/デバイスインタフェース
図4. IO-Linkノード数の増加予想
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IEC-61131-9でSDCIとして標準規格化されたIO-LinkインタフェースIO-Linkは、IEC-61131-9として標準規格化されたシングルドロップ通信インタフェース(SDCI)の標準規格であるとともに、IEC 60974-5-2に従ってバイナリセンサーとの下位互換性も提供します(図6および表1)。IO-Linkセンサーは、バイナリセンサーの最良の特長を備えるとともに、双方向データ機能を追加します。IO-LinkマスターはバイナリおよびIO-Linkセンサーの両方と接続可能なため、IO-Linkを既存システムに容易に追加することができます。IO-Link規格では、通信は非シールドケーブルで20m以内とし、産業用システムで一般的な標準コネクタを使用するものと規定しています。M8およびM12コネクタが最も広く使用されています。通信はポイント間で、3線式インタフェース(L+、C/Q、およびL-)を必要とします。マスターデバイスとスレーブデバイスの間の通信はハーフデュプレックスで行われ、3つの転送速度(COM1が4800baud、COM2が38.4kbaud、COM3が230.4kbaud)があります。
IO-Linkシステムの電源範囲は、マスターが20V~ 30V、デバイス(センサーまたはアクチュエータ)が18V~ 30Vです。IO-Linkデバイスは、L+が18Vのスレッショルドを超えたあと300ms以内に機能する必要があります。
2つの通信モードとして、標準I/O (SIO)とSDCIがあります。SIOモードではフィールドの既存のセンサーに対する下位互換性が確保され、0Vまたは24Vを使用してOFFまたはONをIO-Linkマスターに伝えます。IO-Linkモードでは通信は双方向で、3つのデータレートの1つで行われます。IO-Linkデバイスは1つのデータレートのみをサポートするのに対し、IO-Linkマスターは3つのデータレートをすべてサポートする必要があります。通信はC/Qライン上で非ゼロ復帰(NRZ)を使用した24Vパルスで行い、ロジック0はCQとL-の間が24Vで、ロジック1はCQとL-の間が0Vです。IO-Linkモードでは、ピン2はデジタル入力としてのDIモード、デジタル出力としてのDOモード、または接続なし(NC)とすることが可能です。
IO-Linkマスター (マルチポートコントローラまたはゲートウェイ)とIO-Linkデバイス(センサーまたはアクチュエータ)の間のポイント間接続は、標準コネクタ(通常はM12)および最大20mの長さの3線または4線ケーブルを使用します。マスターは複数のポート(一般的には4つまたは8つ)を備えることができます。マスターの各ポートは個別のIO-Linkデバイスに接続され、それぞれがSIOモードまたは双方向通信モードで動作可能です。IO-Linkはフィールドバスや産業用イーサネットなどの既存の産業用アーキテクチャとともに動作するように設計されており、既存のPLCやヒューマンマシンインタフェース(HMI)に接続可能で、この技術の迅速な採用が可能になっています(図5)。
IO-Linkの完全な詳細については、2013年7月付のIO-Link Interface and System Specification Version 1.1.2をwww.io-link.comで参照してください。
IO-Linkシステム
14
32
L-
C/Q
L+
IEC 60947-5-2
SIO
COMx 4.8 / 38.4 / 230.4 kbit/s
産業用イーサネット
IO-Linkマスター
フィールドバス
IO-Linkマスター
IO-Linkマスター
ピン 信号 割り当て 標準規格
1 L+ 24V IEC 61131-2
2 I/Q 接続なし、DI、またはDO IEC 61131-2
3 L- 0V IEC 61131-2
4
Q 「スイッチング信号」 (SIO) IEC 61131-2
C「符号化スイッチング」 (COM1, COM2, COM3) IEC 61131-9
図5. IO-Linkと既存の産業用プロトコルの互換性
図6. IO-Linkのピン定義
表1. IO-Linkのピン定義
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IEC 61131-9によって定義された、標準規格化されたコネクタおよびケーブルが使用されます。ポートクラスAコネクタは4線式接続(最大)を備え、3線式接続システム(L+、L-、C/Q)およ
物理層IO-Link標準規格コネクタ び追加の信号ライン(DIまたはDO)として使用可能な第4のワイヤをサポートします。ポートクラスBコネクタは、個別の24V電源からの補助電源を必要とする機器用の5線式接続を備えます(図7および表2)。
オス(デバイス)
メス(マスター)
クラスA クラスA クラスA
1
2
3
451
2
3
4
12
3 4
1
2
3
4
1
2
3
4
1 2
34
クラスB
1
2
3
45
1
2
3
45
M12 -4 M12 -5
M12 -5 M12 -5
M8
M8
M5
M5
M12コネクタはIEC 61076-2-101に従った「A」符号化です。
ピン 信号 割り当て 備考
1 L+ 電源(+) 表7を参照*
2I/Q
P24
NC/DI/DO (ポートクラスA)
P24 (ポートクラスB)
オプション1:NC (接続なし)オプション2:DIオプション3:DI、その後DOに設定オプション4:受電機器用補助電源(ポートクラスB)
3 L- 電源(-) 表7を参照*
4 C/Q SIO/SDCI 標準I/OモードまたはSDCI
5 NCN24
NC (ポートクラスA)N24 (ポートクラスB)
オプション1:マスター側は未接続(ポートクラスA)オプション2:補助電源リファレンス(ポートクラスB)
注:マスター側(メス)のM12は常に5ピンバージョンです。
*2013年7月付のIO-Link Interface and System Specification Version 1.1.2より
表2. 代替のIO-Linkピン定義
図7. 代替のIO-Linkコネクタ
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IO-Linkシステムの電源範囲は、マスターの場合20V~ 30V、またはデバイス(センサーまたはアクチュエータ)の場合18~30Vです。重要な関係する仕様(表3)には、以下が含まれます。
・ 立上りIO-Link信号が 「ロジックハイ」 として記録されるためには13Vを上回る必要がある
・ 立下りIO-Link信号が 「ロジックロー」 として記録されるためには8Vを下回る必要がある
ハイとローの検出時間(タイミング図のtHおよびtL)は1ビットの1/16 (min)であることに注意してください。tNDはノイズ抑制時間です(tNDは1ビットの1/16以下である必要があります) (図8aおよび8b)。
通信は、11ビット(1スタートビット + 8データビット + 1パリティビット + 1ストップビット)で構成されるUARTフレームを使用します。時間は転送レートによって定義され、デバイスによって異なります。
物理層の電気的仕様プロパティ 意味 最小値 標準値 最大値 単位 備考
VTHHD,M 入力スレッショルド「H」
10.5 N/A 13 V 注1を参照
VTHLD,M 入力スレッショルド「L」
8 N/A 11.5 V 注1を参照
VHYSD,M 入力スレッショルド「H」および「L」間のヒステリシス
0 N/A N/A V 負になることはない。注2を参照。
VILD,M 許容可能な電圧範囲「L」
V0D,M - 1.0
N/A N/A V 関係する負の電源電圧が基準。
VIHD,M 許容可能な電圧範囲「H」
N/A N/A V+D,M + 1.0
V 関係する正の電源電圧が基準。
注 1:各スレッショルドはIEC 61131-2のタイプ1デジタル入力の定義と互換性があります。
注2:ヒステリシス電圧VHYS = VTHH - VTHLです。
表3. IO-Link信号の電気的仕様
VID,M
V0
V+
VTHHMIN
VTHHMAX
電圧範囲「H」
電圧範囲「L」
スレッショルド 「L」スレッショルド 「H」
VTHLMAX
VTHLMIN
VTHHMAX
V0D,M
VTHLMIN
tDR tDF
TBIT TBIT
VIHD,M MAX
「L」の検出
VTHLMAX
VTHHMIN
tND tND
V+D,M
VILD,M MIN
2)
tH
1)
tL
VRQLD,M MAX
VRQHD,M MAX
「H」の検出
NOTE In the figure, 1) = no detection 'L'; and 2) = no detection 'H'
図8a. IO-Link信号の電気的スレッショルド 図8b. IO-Link信号の電気的特性
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IO-Linkデバイスはポイント間リンクとしてIO-Linkマスターのポートに接続されます。PLCプラグインモジュールとして実装される場合、ゲートウェイ機能を備えていないため、フィールドバスではありません。IO-Linkマスターは本質的にゲートウェイで、フィールドバスまたは他の何らかのタイプのバックプレーンを使用して通信を確立し、IO-LinkデバイスがフィールドバスのI/Oノードになることができるようにする責任があります(図9)。
システム内のIO-Linkの機能は保守を削減して稼働時間を延長し、マニュアルセンサーの設置を 「プラグアンドプレイで作業完了」 に変化させます。パラメータの設定をコントローラからダウンロードしてデバイスをセットアップ(または再設定)するこ
オートメーション階層内のIO-Link とが可能です。これによって、技術者が工場のフロアに出向いて初期セットアップを行う必要がなくなり、機器の再設定が必要になったときの機械のダウンタイムが短縮されます。
IO-Linkは継続的な診断に対応し、データロギングとエラー検出が向上するため、運用コストがさらに低減されます。一般的に使用されるコネクタとケーブルによって、標準化された設置でバイナリセンサーを直接アップグレードすることが可能です。IO-Linkセンサーはコンフィギュラブルな設定(たとえば動作中に変更可能なPNP、NPN、またはプッシュプル出力など)を備えているため、センサーベンダーがサポートする必要がある製品ユニットの数も減少します。
デバイス
アプリケーション
デバイス
アプリケーション
デバイス
アプリケーション
フィールドバスインタフェース
データストレージ
パラメータサーバ
SDCI
PLC / ホスト
フィールドバス統合
デバイス記述
ポート 2
エンジニアリング:設定、パラメータ化、診断、ID、および保守
ポート 1 ポートn
フィールドバスコントローラ
ゲートウェイアプリケーション
マスター
図9. IO-Linkとフィールドバスの相互接続
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IO-Link - インテリジェントセンサーの実現まとめると、IO-Linkは任意のネットワーク上の階層として実装可能なポイント間通信です。IO-LinkマスターはI/Oモジュールの不可欠な部分で、制御キャビネット内またはIP 65/67筐体定格を備えたリモートI/Oとして直接フィールドに設置されます。IO-Linkデバイスは最大20mの長さの標準センサー /アクチュエータケーブルを使用してマスターと結合されます。デバイス(あらゆるセンサー、あらゆるアクチュエータ、または両者の組み合わせ)が生成および消費する信号(バイナリスイッチング、アナログ、入力、出力)は、デジタル化された形式でIO-Linkを介して直接転送されます。
IO-Linkは非常に強力かつ柔軟で、自律性の一部をPLCからセンサーのある工場のフロアの近くへと移動することを可能にします。たとえば、C/Qライン以外にピン2 (I/Q)をDI/DOとして使用することによって、ユーザーはバイナリセンサーからデジタル入力信号を取得した後、(たとえば、スレッショルドを超えたことを示すために) DOでランプを駆動することができます。これはセンサー自体から行うことができます。
前述のように、IO-LinkはSIOバイナリ信号との下位互換性があります。IO-Link対応センサーを使うと、ユーザーは標準デジタル入力通信を介して既存のPLCと通信することができます。PLCモジュールはIO-Linkマスターでアップグレードされているため、IO-Link上のC/Qラインを介して双方向通信が可能になります。
産業用センサーエコシステム図10は、Maximの産業用センサーエコシステムの例を示しています。これには、バイナリセンサー出力ドライバ、IO-Linkデバイス、およびIO-Linkマスターなど、すべての主要な機能用の製品が含まれます。
MAX14838MAX31910
MAX14914
MAX14912
MAX14819 MAX14827AMCU
SPI
UART
SPI
UART
SPI
SPI
DO
DI DO DI
L+ (24V)
DI/DO
L- (0V)
C/Q C/Q
L- (0V)
DI/DO
L+ (24V)
DO
12
34
12
34
DI
IO-Linkモジュール
デジタルI/Oモジュール
リレー アクチュエータ
バイナリセンサー
設定可能DIOデバイス
バイナリドライバ
IO-Linkマスター
スマートセンサー
センサーAFE
デジタル出力
デジタル入力
M12コネクタ
PLC通信バス
バイナリセンサーユーザー設定
DIまたはDO
IO-Linkトランシーバ
デジタル出力デバイス
デジタル入力デバイス
最大
20mのケーブル
アクチュエータ
図 10. 産業用センサーエコシステム
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データタイプ
IO-Linkデータ通信は、サイクリックまたは非サイクリックのいずれかです(図11)。サイクリック通信は、通常動作時に発生します。たとえば、マスターはセンサーにデータ検出をリクエストします。非サイクリックなデータはリクエスト時に発生し、以下を含む場合があります。
1. 設定または保守情報。たとえば、マスターは起動後にデバイスの設定を行う場合、あるいはパワーダウン直前にデバイスの設定情報をリクエストする場合があります。
2. イベントによるトリガ。3レベルの深刻度で報告されます。
・ 通知
・ 警告
・ エラー
3. 大規模データ構造のサービスデータ。
4. デバイスパラメータの直接読取り用のページデータ。
セクション2:IO-Link環境
すべてのIO-Linkデータ交換はマスター/スレーブベースで IO-Linkマスターはリクエストを送信し、デバイスはそれに答える必要があります。データリンク層は、IO-Linkマスターとデバイス間のメッセージの交換を管理します。メッセージはMシーケンスと呼ばれ、1~ 66 UARTワードの範囲の長さを持つフレームです。メッセージはプロセスデータ、リクエスト時データ、およびシステム管理コマンド/リクエストを含むことができます。マスター内の特別なDLハンドラが動作モード(SIO、ウェイクアップ、COMレート)を管理し、エラーおよびウェイクアップリクエストを処理します。
プロセスデータハンドラはサイクリックなプロセスデータ交換を確保し、リクエスト時ハンドラはイベント、制御、パラメータ、およびISDUデータの非サイクリックな交換を管理します。
データリンク層
Cyclic (default)
On-request (acyclic)
Operation Process
Configuration/maintenance
Events
Errors
Warnings
Notifications
Direct Parameter(Page 1 or 2) Page
Diagnosis
Parameter(Index >1) ISDU
Input, Output
Valid, Invalid
サイクリック(デフォルト)
リクエスト時(非サイクリック)
データの性質
動作 処理
通信チャネル
設定/保守
イベント
エラー
警告
通知
直接パラメータ(ページ1または2)
伝送タイプ
ページ
診断
パラメータ(インデックス1以上) ISDU
データの分類
入力、出力
有効、無効
図 11. IO-Linkの伝送タイプ
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マスター-デバイス間通信マスターとデバイス(センサーまたはアクチュエータ)の間のすべての通信はマスターからのリクエストで始まり、固定のスケジュールが続きます(図12)。デバイスはマスターのすべてのリクエストに答える必要があります。この双方向の通信は、Mシーケンス(メッセージシーケンス)と呼ばれます。Mシーケンスはさまざまな形態を取り、全体の長さも変化します。Mシーケンス通信は変化しますが、ポートとデバイス間のすべての通信はこの固定のスケジュールで発生します。
C/Qライン上のUARTデータすべてのデータはUARTフレーム構造です。マスターは通信を開始し、デバイスはtA < 11ビットの時間以内に返答する必要があります(図13)。
...
...
Mシーケンス(「メッセージシーケンス」)
マスターメッセージ
デバイスメッセージ
Mシーケンスタイプ
UARTフレーム
UARTフレーム
UARTフレーム
UARTフレーム
UARTフレーム
送信ビットシーケンス
情報ビットの意味
スタートビット(ST) データオクテット
パリティビット(偶数)
1ストップビット(SP)略語:lsb 最下位ビットmsb 最上位ビット
ポート(マスター)
デバイス
t 1 t 1
tA
t 2 t 2
tF-sequence
UARTキャラクタ
UARTキャラクタ
UARTキャラクタ
UARTキャラクタ
UARTキャラクタ
UARTキャラクタ
図 12 . IO-Linkマスター-デバイス通信シーケンス
図 13 . UARTフレーム構造
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IO-Linkのデータレート選択マスターが(デバイスを受信モードに設定するために)ウェイクアップリクエストをデバイスに送信した後、マスターは次に通信のデータレートを確立することによってデバイスの詳細を把握します(図15)。
・ マスターはCOM3、COM2、およびCOM1データレートで(最も高速から最も低速の順で)複数のメッセージを送信し、各送信後にデバイスが応答するのを待ちます。
- すべてのデバイスはCOM1、COM2、またはCOM3データレートのいずれか1つのみをサポートすることが要求されます。
・ デバイスは自分の定格データレートで応答します。- デバイスが応答すると、マスターはデバイスと通信可能になります。
- マスターは次にIO-Linkデバイスの最小サイクルタイム能力を読み取ることができます。
・ マスターはIO-Link通信を確立するために最大2回までウェイクアップシーケンスを再試行することができます。
- ウェイクアップリクエストが失敗し、2回目も失敗した場合(最大再試行回数 = 2)、デバイスはC/QラインをSIO (DI/DOバイナリセンサー )モードに設定する必要があります。
マスターがデバイス(センサーまたはアクチュエータ)の設定を行う場合、またはデバイスと初めて通信する場合、マスターはウェイクアップリクエストを送信します。ウェイクアップリクエストは、少なくとも500mAの電流パルスでC/Qラインを80μsの間短絡することによって開始します(図14)。デバイスは500μs (TREN)以内に通信の準備を完了する必要があります。
・ ウェイクアップ時間は80μs (typ) (75μs min、85μs max)です。
・ マスターは電流を供給(またはシンク)してウェイクアップパルスを生成します。ラインがローの場合、マスターは電流を供給してラインをハイにします。ラインがハイの場合、マスターは電流をシンクしてラインをローにします。
・ ウェイクアップパルスはIO-Linkデバイスによって検出されます(センサーはライン上の電流を監視するか、またはローからハイまたはハイからローへの電圧変化を検出します)。
・ ウェイクアップリクエストが受信されると、IO-Linkデバイスは自分自身を受信モードに設定する必要があります。これはリクエストを受信してから500μs以内に行われる必要があり、そうでない場合マスターによってエラーが生成されます。
ウェイクアップリクエスト
SIOモード
C/Qのレベル
ウェイクアップシーケンス
マスターがウェイクアップパルスを送信
T(REN) = 500µs T(DMT)
T(WU) = 80µs
TDMT TDMT
1 2 3
SIO
4COM3 COM2 COM1
マスター起動
デバイス起動
WURQ
マスター
デバイス
TDMT
RENT
図 14. ウェイクアップシーケンス
図 15 . データレートの選択
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すべてのIO-Linkデバイス(センサーまたはアクチュエータ)は、利用可能なIO-Linkデバイス記述(IODD)ファイルを備える必要があります(図16)。これはIO-Linkマスターによって識別、データの解釈、および設定のために使用されます。
・ IODDは以下を含んでいます。
- 通信の確立に必要なすべてのプロパティ- デバイスパラメータ- ID情報- プロセスおよび診断情報- デバイスの画像およびメーカーのロゴ
IO-Link IODD ・ IODDファイルはXMLファイルです。
・ IODDの構造はIEC 61131-9規格とは個別の文書で概説されています。
IO-Linkデバイス通信
デバイスID変数
デバイス変数 デバイスプロセスデータ
デバイスアプリケーション
PROCESS
IODD.XML
プロセス
IO-Linkデバイス
図 16 . IODDファイル
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IO-Linkセンサーの基本構造(図17)は、システム設計者が考慮する必要があるいくつかの基本的な構成要素を含んでいます。
・ センサータイプ(光、温度など)
・ センサーとインタフェースしてIO-Linkデバイススタックを実行するMCU
・ IO-Linkトランシーバ(または物理層/PHY)
・ 電源および必要とされる各種の定格電圧および電流・ コネクタタイプ・ 外付け保護(TVSによるサージ、EFT/バースト、ESD保護など)
セクション3:IO-Linkセンサーの設計
センサー設計の考慮事項
この項では、スマートセンサーシステムおよびIO-Linkポートに接続される従来のバイナリセンサーをサポートするシステムの設計方法を示すリファレンスデザイン例を紹介します。
IO-Linkスマートセンサーの設計の特長図18は、小型形状を実証するためにペーパークリップの隣りに置いた近接センサーのMAXREFDES27を示しています。このデザインはIO-Linkバージョン1.1および1.0に準拠し、過渡電圧抑制とともに逆極性および短絡保護を内蔵しています。
12
4
5V
I2CSPI
パワーLDO
パワー DC-DC BUCK
センサー MCU IO-LINKPHYUART
24V
I/Q (DI/DO)
L+ (24V)
C/Q
L-(0V)
M12コネクタ
3
図 17. IO-Linkセンサーの構成要素
図 18. MAXREFDES27近接センサー
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IO-Link近接センサー:MAXREFDES27MAXREFDES27は小型IO-Link近接センサーで、IRレシーバ、対応する赤外線(IR) LEDドライバ、IO-Linkトランシーバ、およびエネルギー効率に優れたステップダウンコンバータのすべてを8.2mm x 31.5mmのプリント基板(PCB)上に内蔵しています。MaximはTechnologie Management Gruppe Technologie und Engineering (TMG TE)と協力して、IO-Linkバージョン1.1/1.0準拠の近接センサーリファレンスデザインとしてMAXREFDES27を設計しました。MAXREFDES27デザインは、図19に示すように、業界標準IO-Linkデバイストランシーバ(MAX14821)、小型低ドロップアウトリニアレギュレータ(MAX8532)、高効率高電圧ステップダウンコンバータ(MAX17552)、TMG TEのIO-Linkデバイススタックを利用するRenesas製超低電力16ビットマイクロコントローラ(RL78)、および近接センサー (MAX44000)で構成されます。
MAXREFDES27は消費電力、スペース、およびコストが最小限のため、多数の産業用制御およびオートメーションの近接センシングアプリケーションに最適な汎用ソリューションです。IO-LinkデバイストランシーバのMAX14821はIO-Linkバージョン1.1/1.0物理層に準拠し、設定可能な出力(プッシュプル、PNP、またはNPN)、逆極性/短絡保護、および広範なフォルト監視のすべてを2.5mm x 2.5mmの小型ウェハレベルパッケージ(WLP) に内蔵しています。高電圧同期整流ステップダウンコンバータのMAX17552は、超小型実装面積で24Vを5Vに効率的に変換します。その後、MAX8532は5Vを2.85Vに安定化します。
MAX44000の内蔵LEDドライバはIRを発光した後、対象物から反射されたIRを内蔵IRレシーバを使ってI2Cインタフェースで読み取ります。IR LED電流はソフトウェアで調整可能で、MAX44000は超小型光OTDFNパッケージ(2mm x 2mm)で提供されます。資料としての目的で説明しておくと、メインボードに対して直立したMAX44000を含むサブボードは、MAXREFDES28という名称です。超低電力RL78/G1Aマイクロコントローラはシステム制御を提供します。
過渡電圧サプレッサ(TVS)ダイオードは、すべて同等ではありません。SDC36 TVSダイオードはクランプ電圧が55V以下で、IEC 61000-4-2 (ESD)とIEC 61000-4-4 (EFT)の両方に適合します。市販のTVSダイオードには、より小型で、これらの仕様を満たすことができないものが多数あります。
MAXREFDES27は業界標準のM12コネクタを使用しているため、4線式または従来の3線式ケーブルを使用することが可能で、コストを低く抑えることができます。MAXREFDES27の消費電流は7mA (typ)以下です。
MAX44000近接センサー
Renesas®RL78
TMGIO-Linkデバイススタック
2.85V
SPI
UART
I2CIO-Link
C/Q
24V
DI/DO
GND
MAX17552ステップダウン
24V
MAX8532リニアレギュレータ
5V 2.85V
IO-Link®トランシーバ
MAX14821
図 19. MAXREFDES27 IO-Link近接センサーのブロック図
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ソフトウェアの説明
MAXREFDES27は、TMG-USB IO-LinkマスターTSハードウェアを購入すると付属するTMG TEのIO-Link Device Tool V3を使用して検証されています。詳細については、TMG TEにお問い合わせください。また、Balluff USB IO-Linkマスター (型番:BNI USB-901-000-A501)を購入すると付属するBalluffのIO-Link Device Toolバージョン2.11.1を使用した検証も行わ
れています。注文方法については、Balluffまたは同社の販売代理店にお問い合わせください。MAXREFDES27の製品ページのデザインリソースの項にあるIODDファイル(*.xml)をダウンロードし、Quick Startの項でソフトウェア(図20)の使用方法に関するステップバイステップの説明をご覧ください。
図 20. MAXREFDES27のソフトウェアインタフェース
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IO-Linkデジタル入力ハブ:MAXREFDES36PLCおよび分散制御システム(DCS)は、他のすべての入力信号タイプを組み合わせたよりも多くのデジタル入力を使用します。PLCに戻る産業用デジタル入力用のワイヤを並列で配線するのは、高コストであるのみでなく、配線が入り乱れて保守が困難になります。各種フィールドバスは、I/OインタフェースをPLCからフィールドセンサーの近くに実装されるリモートI/Oハブへと移動することによって状況を大幅に改善しました。IO-LinkはPLCから直接機能するか、またはすべての標準フィールドバスに統合することができるため、MAXREFDES36などのスマートデバイスと汎用的に通信するための規格として急速に事実上の標準になりました。
MAXREFDES36は小型PCB (53.75mm x 72mm)上に実装可能なIO-Link 16チャネルデジタル入力ハブです。MaximはTMG TEと協力して、IO-Linkバージョン1.1/1.0準拠のデジタル入力ハブリファレンスデザインとしてMAXREFDES36を設計しました。MAXREFDES36デザインは、図21に示すように、業界標準IO-Linkデバイストランシーバ(MAX14821)、高効率高電圧ステップダウンコンバータ(MAX17552)、TMG TEのIO-Linkデバイススタックを利用するRenesas製超低電力16ビットマイクロコントローラ(RL78)、および2つのデジタル入力シリアライザ(MAX31913*)で構成されます。
産業用オクタル(8回路)デジタル入力
IO-Linkトランシーバ
Renesas®RL78
TMGIO-Linkデバイススタック
3.3V
SPI
UART
SPI
IO-Link
C/Q
24V
DI/DO
GND
ステップダウン
24V
5V 産業用オクタル(8回路)デジタル入力
SPI24V
0V
16の産業用デジタル入力
0V
24V
.
.
.
.
.
.
IO-Link 24V
MAX17552
MAX31913*
MAX31913*MAX14821
図21. MAXREFDES36デジタル入力ハブのブロック図
*MAX31913の推奨代替製品はMAX31910およびMAX31911です。
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ソフトウェアの説明
MAXREFDES36は、TMG-USB IO-LinkマスターTSハードウェアを購入すると付属するTMG TEのTMG IO-Link Device Tool V3を使用して検証されています。詳細については、TMG TEにお問い合わせください。また、Balluff USB IO-Linkマスター (型番:BNI USB-901-000-A501)を購入すると付属するBalluffのIO-Link Device Toolバージョン2.11.1を使用した検証も行われています。注文方法については、Balluffまたは同
社の販売代理店にお問い合わせください。MAXREFDES36の製品ページの 「デザインリソース」 タブの 「Download All Design Files (すべての設計ファイルをダウンロード)」 の項にあるIODDファイル(*.xml)をダウンロードし、Quick Startの項でソフトウェアの使用方法に関するステップバイステップの説明をご覧ください。図22は、Balluff IO-Link Device Toolのスクリーンショットを示しています。
図22. Balluff IO-Link Deviceソフトウェア
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IO-Linkマスターソリューションを設計する場合、考慮する必要がある一般的なシステムの設計上の質問があります。
ハードウェア設計:
・ システムはIO-Linkポートをいくつ備えるか?
・ ポートはクラスAかクラスBか?
・ クラスAポートのコネクタはピン2をサポートするか?
・ 過電圧または逆極性に対してどのような誤配線に対応するか?
・ PCBデザインをモジュール形式にして異なるポート数に対応可能にするか?
・ L+電源はどれだけの電流を供給するか?
・ どのような形状か?EMCコンプライアンス:
・ 誰がコンプライアンステストを実施するか?一例として、8ポートIO-LinkマスターリファレンスデザインのMAXREFDES145のMaxim設計チームは、8ポート構成の人気の高さから、8ポートマスターを作成して既存の4ポートマスターに代わるデザインを提供することに決めました。デュアルチャネルIO-LinkマスタートランシーバのMAX14819とSTM 32F4 Arm® Cortex® M4マイクロコントローラを使用するとともに、USBインタフェースとIO-Linkチャネル間に絶縁を実装することにしました。このリファレンスデザインは、1つの5インチx 3インチのPCBに収まりました。ソフトウェア面では、設計チームは、IO-Link準拠のソフトウェアスタックを供給しているTEConceptと提携し、コンプライアンステストを実施してもらいました。このデザインは各IO-LinkポートにTVSダイオードを内蔵し、IEC 610004-2とIEC 610004-5に沿ってESDに対する過渡耐性およびサージ耐性のテストが行われています。
セクション4:IO-Linkマスターの設計
IO-Linkマスターの設計目標
この項では、IO-Linkを使用するスマートセンサーシステム用のマルチポートマスターの設計方法を示すリファレンスデザイン例を紹介します。
8ポートIO-Linkマスター:MAXREFDES145MAXREFDES145は、完全IO-Link準拠、8ポートIO-Linkマスターリファレンスデザインです(図23)。このデザインはTEConceptのIO-Linkマスタースタックを使用し、IO-LinkマスターリファレンスデザインとIO-Linkセンサー /アクチュエータ開発/テストシステムの両方の役割を果たします。8つのIO-Linkポートによって、同時に最大8つの異なるセンサー (またはアクチュエータ)をテストすることができます。このリファレンスデザインは8つの堅牢なメスM12コネクタ(IO-Linkに使用される最も一般的なコネクタ)を備え、IO-Link対応センサーおよびアクチュエータと迅速に接続するために2本の黒いIO-Linkが付属します。AC-DC (24VDC/1A)電源は、各ポートに少なくとも125mA (未使用ポートが少ない場合はそれ以上)を同時に提供します。micro-USBコネクタによって、Windows® PCとの迅速な接続が可能です。
IODDファイルのインポート機能を備えた使いやすいTE-Concept Control Tool (CT) GUIソフトウェアによって、MAXREFDES145はIO-Link製品の開発に真剣に取り組むすべての企業やエンジニアにとって必須の製品になっています。
図23. MAXREFDES145 8ポートIO-Linkマスターリファレンスデザイン
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ハードウェアの説明
IO-LinkマスターのMAXREFDES145は、図24に示すように、4つのデュアルチャネルIO-LinkマスタートランシーバのMAX14819、SPIインタフェース用の2つのデジタルアイソレータ、マイクロコントローラ、およびUSB接続の4つの主なブロックで構成されます。IO-LinkマスタートランシーバのMAX14819は、IO-Linkバージョン1.1.2物理層に準拠しています。これらのトランシーバは、内蔵5Vリニアレギュレータ、設定可能な出力駆動能力を備えた設定可能なC/Q出力(プッシュプル、ハイサイド、またはローサイド)、補助デジタル入力、および逆極性/過電圧または短絡保護を特長とします。
STM32F4 Arm Cortex M4マイクロコントローラはシステム制御を提供します。FTDI FT2232 USB-SPIトランシーバおよびドライバを使用してUSBポートが実装されています。ボード上の高電圧、同期整流ステップダウンコンバータのMAX15062は、24V電源からSTM32F4マイクロコントロー
ラに電力を供給します。2つのデジタルアイソレータ、4チャネルのMAX14931と2チャネルのMAX12931は、マスタートランシーバのMAX14819がIO-Linkペリフェラルに接続されるときに発生する可能性がある高電圧および大きいグランド電位差からUSBインタフェースを保護します。USBポート/PCとSMT32F4マイクロコントローラの間のすべての通信は、これらのアイソレータを通過します。スタンドアロンのSPIヘッダ(J3)がMAXREFDES145上で利用可能で、ユーザーはUSBインタフェースをバイパスし、または外部SPIマスターを使用してSTM32F4と直接通信することができます。
8つの各IO-Linkインタフェースポートおよび電源入力の高レベル保護TVSダイオードは、MAXREFDES145上の各マスタートランシーバに1kV/42Ωサージおよび逆極性保護を提供します。さらに、(各チャネルの)パワーおよびステータスLEDは、ボードが動作し通信しているという迅速な視覚的確認を提供します。
STM32F405FTDI
USB-SPIUSBコネクタ
MAX14931MAX12931
MAX14819
MAX14819
MAX14819
MAX14819
MAX1506224V電源
MCUなど用の3.3V
CH1
CH2
CH3
CH4
ヒューズ
MAX14819用の24V
逆極性保護不要
デジタルアイソレータ
デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ
CH5
CH6
CH7
CH8
SPI1
SPI2
デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ
デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ
デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ
ステップダウンDC-DC
図24. MAXREFDES145 8ポートIO-Linkマスターのブロック図
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ソフトウェアの説明
TEConcept CT Windows対応GUIソフトウェアはIODDファイルのインポート機能を備え、USB経由でPCに接続され、MAXREFDES145の製品ページのデザインリソースタブからダウンロードして利用可能です。TEConcept CTソフトウェアがMAXREFDES145の製品ページの詳細タブに示され、完全なステップバイステップのQuick StartガイドもMAXREFDES145のデザインリソースタブからダウンロード可能です。
TEConcept IO-LinkマスタースタックはMAXREFDES145のハードウェア内に事前プログラムされて出荷され、永続的ライセンスがTEConcept CTソフトウェアによって表示されます。
これによって、MAXREFDES145を開発およびテスト目的に使用することができます。ユーザーがMAX14819を使用して独自の製品を設計する場合は、有効なハードウェアIDとキーナンバーを提示することによってTEConcept GmbHから無期限のライセンスを購入することができます。図25に示すように、License key managementウィンドウにあるExport Hardware IDボタンを押下してください。TEConcept GmbHに無期限ライセンスを請求するときに、hardwareID.txtファイルを提供してください。TEConcept GmbHの連絡先は、「付録:技術的リソース」 の 「ソフトウェアスタックベンダー」のリストに記載されています。
図25. TE Concept IO-Linkソフトウェア
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IO-Linkマスター試験報告書MAXREFDES145は完全準拠のIO-Linkバージョン1.1マスターです。詳細な試験報告書については、MaximのウェブサイトのMAXREFDES145 8-Port IO-Link Master Test Reportの試験報告書をご覧ください(全716ページ)。
図26. MAXREFDES145 IO-Link Master Test Reportの詳細
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セクション5:システム性能の向上IO-Linkアプリケーションでは、トランシーバはデータリンク層プロトコルを実行するマイクロコントローラへの物理層インタフェースとして動作するとともに、最大24Vのデジタル入出力に対応します。Maximのトランシーバは、長年にわたってすべてのIO-Link仕様をサポートしており、最も低い消費電力を特長とします。
図27は、全負荷状態でのMaximのデバイストランシーバの消費電力の進化を競合製品との比較で示しています。MAX14827Aの消費電力が大幅に低いことをサーマルカメラが明確に示しています。
Maximの最初のIO-LinkデバイストランシーバのMAX14820は、ドライバが全負荷状態での消費電力が900mW以下でした。第2世代のMAX14826は、すでに低かった前世代の消費電力を半分以下に削減し、全負荷状態でわずか400mWになりました。最新のIO-LinkトランシーバであるMAX14827Aは、100mA負荷の駆動時に70mWという非常に低い消費電力を示し、最も近い競合デバイスより80%以上低い消費電力となっています。駆動時の消費電力をさらに削減するにはC/QおよびDOドライバを並列接続することも可能です。
MAX14820
MAX14827A TQFN
MAX14827A WLP
非Maxim製トランシーバ
図27. 競合デバイスを基準とする全負荷時のトランシーバの消費電力の比較
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EMC試験レベル表4はIO-Linkインターフェースおよびシステム規格の表G.2を示し、さまざまなシステムレベルのEMC試験レベルが記載されています。
産業環境は過酷であり、システム設計者は最小限のEMC要件を満たしてIO-Link機器がいくつかの一般的な過渡に耐えることを確保する必要があります。通常は以下のレベルに適合する堅牢なIO-Link ICを設計することによって開始します。
・ ESD:±8kV (気中放電)
・ ESD:±4kV (接触放電) (IEC 61000-4-2規格に基づく)
注:IEC 61000-4-2規格は完成した機器のESD試験および性能を対象としていますが、集積回路については特に言及していません。
電磁環境適合性(EMC)要件
現象 試験レベル 性能基準 制限事項
静電気放電(ESD)IEC 61000-4-2
気中放電 : ±8kV接触放電 : ±4kV
B G.1.4、a)を参照
無線周波数電磁場振幅変調
IEC 61000-4-3
80MHz~1000MHz 10V/m1400MHz~2000MHz 3V/m2000MHz~2700MHz 1V/m
A G.1.4、a)およびG.1.4、b)を参照
高速過渡(バースト)IEC 61000-4-4
±1kV A 5kHzのみ。バースト/サイクル比が15ms/300msのため、表G.1のMシーケンスの数を20倍に増大。G.1.4、c)を参照±2kV B
サージ
IEC 61000-4-5SDCIリンクの場合は不要(SDCIリンクは20mまでに制限されるため) ̶
無線周波数コモンモード
IEC 61000-4-60.15MHz~80MHz10V EMF A G.1.4、b)およびG.1.4、d)を参照
電圧ディップおよび中断
IEC 61000-4-11SDCIリンクの場合は不要 ̶
表4. IO-LinkのEMC試験レベル
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耐性試験図28および29は、8ポートマスターのMAXREFDES145に含まれるMAX14819のEFTおよびESD試験を示しています。図28のセットアップはサージ試験のみを対象としています。バーストクランプは示されていません。ボードレベルの過渡耐性の規格には、以下が含まれます。
・ IEC 61000-4-2静電気放電(ESD)
・ IEC 61000-4-4電気的高速過渡/バースト(EFT)
・ IEC 61000-4-5サージ耐性
IEC 61000-4-2規格は完成した機器のESD試験および性能を対象としていますが、集積回路については特に言及していないことに注意してください。通常、Maximのトランシーバは単独で約1.5kV (信頼性レポートで使用される軍用規格に基づいた値)に耐えることができますが、追加の保護のために一般的に外付けTVSダイオードが必要です。しかし、Maximはこれらの外付けダイオードのサイズと必要性を削減し、BOMを削減してスペースおよび外付け部品のコストを節約しました。産業環境は通常は過酷なため、回路に追加の保護が必要です。
IO-Link仕様は機器が適切に保護され堅牢な動作を実現することを要求しています。
・ ESD:±8kV (気中放電)
・ ESD:±4kV (接触放電) (IEC 61000-4-2規格に基づく)
・ サージ:ケーブル長が20mまでに制限される場合は不要。それ以外の場合の保護レベルは±500V~±2kVの範囲。
・ バースト:±1kVまたは±2kV
トランシーバの堅牢性は向上していますが、外付けの保護が必要です。
・ 最終製品のESD保護
・ サージおよびバースト保護(TVSダイオード)
・ 最適化されたレイアウト
物理層:標準規格化されたEMC要件
図28. MAX14819のEFTバーストおよびサージ試験
図29. MAX14819のESD試験
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セクション6:IO-LinkソリューションなぜMaximのIO-Linkトランシーバを選ぶべきか?Maximは2009年にIO-Linkコンソーシアムに参加しました。Maximは、業界で最も完全なIO-Linkおよびバイナリセンサーのポートフォリオを提供することによって、長年にわたって産業市場およびMaximのお客様に専心的に取り組んできた実績があります。それらの製品として、デバイストランシーバのMAX14820、MAX14821、MAX14826、およびMAX14827Aと、マスタートランシーバのMAX14824およびMAX14819があります。IO-Linkトランシーバは、バイナリセンサーアプリケーションにも使用することができます。
Maximは、デザインインを迅速かつ容易にする完全なエコシステムを開発しました。Maximの全トランシーバ用の評価キットは、(トランシーバの設定および読取り/書込みのための)ソフトウェアを含んでいます。MaximのIO-Linkリファレンスデザインには、センサーとマスターの両方があります。設計者、製品定義担当者、およびアプリケーションエンジニアからなる専任チームが、いつでもすぐにお客様をサポートします。
Maximのソリューションは小型であり、さらに小型化する一方です。MaximのIO-Linkトランシーバ(図30)は、現在小型TQFNおよびWLPパッケージで提供されています。最新のトランシーバであるMAX14827AはWLPパッケージで提供され、ソリューションの実装面積を最大60%削減します。Maximのトランシーバの堅牢性が高まるとともに、必要な外付け保護が減少します。絶対最大定格が高いほど、外付け保護ダイオードなどの外付け保護部品を小型化することができます。Maximのトランシーバは外部回路への給電が可能な3.3Vおよび5V LDOを内蔵しているため、外付けLDOの必要性が減少し、全体的ソリューションサイズを小さく抑えることができます。
競合ソリューション 従来のMaximソリューション MAX14827A ソリューション
• シングルチャネル• 3つの外付けダイオードが必要
• デュアルチャネル• 2つの外付けダイオードが必要
• デュアルチャネル• WLPによって実装面積を60%削減
• 消費電力を50%削減
図30. IO-Linkトランシーバソリューションの比較
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製品選択ガイド
MaximのIO-Link技術に対する長年にわたる取り組みの歴史は、低消費電力、小型ソリューションサイズ、および堅牢な通信を重視したマスター側とデバイス側の両方における複数世代のトランシーバの開発という結果をもたらしました(表5)。MaximはIO-Linkデバイスおよびマスターのリファレンスデザインおよび評価キットの完全なエコシステムを備え、IO-Link技術の迅速な評価の提供に注力しています。
型番 インタフェース 説明
IO-LinkマスタートランシーバMAX14819 IO-Link 低電力デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ + 電源コントローラ + UART/フレーマ + DIMAX14824 IO-Link シングルチャネルIO-LinkトランシーバIO-LinkデバイストランシーバMAX14827A IO-Link 小型低電力デュアルIO-LinkデバイストランシーバIO-Linkセンサードライバ
MAX14838/MAX14839 バイナリ 24V/100mA端子設定可能産業用センサー出力ドライバ + 保護
MAX14832 バイナリ 24V/100mAワンタイムプログラマブル(OTP)産業用センサー出力ドライバ + 保護MAX14836 バイナリ 24Vデュアル出力センサートランシーバ
表5. IO-Linkトランシーバ
100mA小型バイナリセンサードライバ:MAX14838/MAX1483924V/100mAドライバのMAX14838/MAX14839は、産業用センサーでの使用向けに最適化されています。これらのデバイスは、設定可能なPNP/NPN/プッシュプルドライバや一般的なセンサーの電力要件に適合する内蔵リニアレギュレータなどの、産業用センサーで一般的に使用される高電圧(24V)回路を内蔵しています。
・ 端子選択可能なハイサイド(PNP)、ローサイド(NPN)、またはプッシュプルドライバ
・ 5Vリニアレギュレータ(MAX14838)/3.3Vリニアレギュレータ(MAX14839)内蔵(図31)
・ デュアル2mA LEDドライバ内蔵
・ 内部保護によって堅牢なセンサーソリューションを提供- DO、VCC、およびGNDの逆極性保護
- 電源範囲:4.75V~ 34V (MAX14839)
- VCCホットプラグ保護
- サーマルシャットダウン保護- ESD保護:±8kV (IEC 61000-4-2気中放電)
- 温度範囲:-40℃~ +105℃
- ±1kV/2A サージ保護
MAX14838MAX14839
VCC
FAULT
LED2IN
DIN
NPN
PP
NO
100nF
DO
GND
24V
OUT
GND
LEDS LED2LDO
センサーAFE
100nF
WLP (2.1mm x 1.6mm)
図31. MAX14838/MAX14839バイナリセンサードライバ
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デュアル250mA IO-Linkトランシーバ:MAX14827AMAX14827Aは、産業用センサーで一般的に使用される高電圧機能(ドライバやレギュレータなど)を内蔵しています。MAX14827Aは、アクティブ逆極性保護を内蔵した2つの超低電力ドライバを備えています(図32)。通常の24V電源電圧(最大60V)での動作が保証されています。高電圧耐性によって過渡保護が簡素化され、マイクロTVSの使用が可能です。
このデバイスは柔軟な制御インタフェースを備えています。ピン制御ロジック入力によって、マイクロコントローラを使用しないスイッチングセンサーとの動作が可能です。マイクロコントローラを使用するセンサーの場合は、広範な診断機能を備えたSPIインタフェースが利用可能です。IO-Link動作用には3線式UARTインタフェースが提供され、マイクロコントローラのUARTとの接続が可能です。最後に、多重化UART/SPIオプションによって、1つのシリアルマイクロコントローラインタフェースをSPIおよびUARTインタフェースに共用することが可能です。
このデバイスは、低ノイズアナログ/ロジック電源レール用の3.3Vおよび5Vリニアレギュレータを内蔵しています。MAX14827Aは24ピンTQFNパッケージおよび25ピンWLPパッケージで提供され、-40℃~ +125℃の拡張温度範囲での動作が保証されています。
・ 最も低電力で最も小型のIO-Linkトランシーバ
- WLPパッケージ(2.5mm x 2.5mm)
- TQFNパッケージ(4mm x 4mm)
・ 2.3Ω (typ)の低いRONによって消費電力を削減
・ 堅牢な保護:外付け保護の小型化が可能な65Vの絶対最大定格および逆極性/短絡保護
3.3VLDO 5V REG
V33 V24V5
制御および監視
UVLO
VL
LEDドライバ
LED2*LED1
LED1IN
REG
逆極性保護 SPI/PIN
IRQ/QCCS/PP
SDI/TX/NPNCLK/TXEN/200MA
SDO/RX/THSH
RX
TX
TXEN
UARTSEL
トランシーバC/Q
ウェイクアップ検出WU
DOLO
LI DI
GND
* WLPパッケージのみ
VDRV
ドライバ
VDRV
保護
保護
MAX14827A
図32. MAX14827AデュアルチャネルIO-Linkトランシーバ
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デュアルチャネルIO-Linkマスタートランシーバ:MAX14819センサー/アクチュエータ電源コントローラ内蔵の低電力、デュアルチャネル、IO-LinkマスタートランシーバのMAX14819 (図33)は、最新のIO-Linkおよびバイナリ入力規格および試験仕様(IEC 61131-2、IEC 61131-9 SDCI、およびIO-Link 1.1.2)に完全準拠しています。また、このマスタートランシーバは2つの補助Type 1/ Type 3デジタル入力(DI)チャネルも内蔵しています。MAX14819は、外部UARTとの組み合わせまたはICの内蔵フレーマを使用した動作のいずれかに設定可能です。マイクロコントローラの選択を容易にするために、このマスタートランシーバはUARTとFIFOを内蔵したフレームハンドラを備えています。これらは全IO-Link Mシーケンスフレームタイプの時間が重要な制御を簡素化するように設計されています。また、MAX14819は自律的なサイクルタイマーも備えており、高精度のコントローラタイミングの必要性を低減します。内蔵の通信シーケンサもウェイクアップ管理を簡素化します。
MAX14819は高度な電流制限、L+の逆電流ブロッキング、および逆極性保護機能を備えた2つの低電力センサー電源コントローラを内蔵し、堅牢な低電力ソリューションを実現します。
MAX14819は48ピンTQFNパッケージ(7mm x 7mm)で提供され、-40℃~ +125℃の拡張温度範囲で動作が保証されています。
・ 低電力アーキテクチャ- ドライバのオン抵抗:1Ω (typ)
- 2チャネルの総消費電流:1.9mA (typ)
・ 内部保護によって堅牢なシステムを実現
CQA
V5
ドライバ
DIA
DIB
G2AG1A
SDI
SCLKSDO
CHANNEL B
VL
L+ SUPPLY CONTROLLER
REG
SPI レジスタ
フレームハンドラ
CHANNEL A
水晶発振器
サイクルタイマー
XI
XO
CLKO
RXA
TXA
RXB
TXB
TXENATXENB
CS
LIALIB
SYNC
A0
REGEN VCC
GND
CLKI
RXRDYA/LD1A
IRQ
RXERRB/LD2B
RXERRA/LD2A
RXRDYB/LD1B
ESTABLISHCOMM
CQB
MAX14819
G1B SN1A SN1B SN2A SN2B G2B
L+A
L+B
A1
図33. MAX14819デュアルIO-Linkマスタートランシーバ
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IO-Linkマスターの評価MAX14819の評価キット(EVキット)は、評価ボードとソフトウェアで構成されます。このEVキット(図35)は、IO-LinkデュアルチャネルマスタートランシーバのMAX14819を評価する完全実装および試験済み回路基板です。MAX14819のEVキットには、デバイスの機能を実行するためのGUIを提供するWindows対応ソフトウェアが含まれています。このEVキットはUSB A-micro Bケーブルを介してPCに接続します。
MAX14827の評価キット(EVキット)は、IO-LinkデバイストランシーバのMAX14827Aを評価する完全実装および試験済み回路基板であるMAX14827の評価ボードで構成されます。MAX14827のEVキット(図34)はスタンドアロンのボードとしての動作またはMbedTMボードとの組み合わせが可能な設計で、容易にソフトウェア評価を行うことができます。このEVキットは実証済みPCBレイアウトを備えたIO-Link準拠のデバイストランシーバをユーザーに提供します。このEVキットは完全実装および試験済みで、無料のGUIを備えているため、容易に製品の評価およびテストに使用することができます。
IO-Linkデバイスの評価
産業用IO-LinkリファレンスデザインIO-Linkリファレンスデザイン(表6)で設計を加速することができます。各リファレンスデザインは1つの部品およびサブシステムから完全なシステム設計までデザイン実装を備えた試験済み回路の高性能製品を含んでいます。
リファレンスデザイン 説明
IO-Linkセンサー
MAXREFDES27 IO-Link光近接センサー
MAXREFDES36 16チャネルデジタル入力IO-Linkハブ
MAXREFDES37 IO-Linkクワッドサーボドライバ
MAXREFDES42 IO-Link RTD温度センサーIO-Linkマスター
MAXREFDES79 4ポートIO-Linkマスター
MAXREFDES145 8ポートIO-Linkマスター
MAXREFDES150 4ポートIO-Linkマスター付きPLC
図34. MAX14827の評価キット
図35. MAX14819の評価キット
表6. IO-Linkリファレンスデザイン
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その他のIO-Linkリソース
IO-LinkのウェブページIO-Linkトランシーバおよびバイナリドライバ<https://www.maximintegrated.com/jp/products/interface/io-link-transceivers.html>IO-Linkマスタートランシーバ<https://para.maximintegrated.com/jp/results.mvp?fam=iolink&295=Master%20Transceiver>IO-Linkデバイストランシーバ<https://para.maximintegrated.com/jp/results.mvp?fam=iolink&295=Device%20Transceiver>バイナリドライバ<https://para.maximintegrated.com/jp/results.mvp?fam=iolink&295=Binary%20Driver%7CDual%20Binary%20Driver>IO-Linkリファレンスデザイン<https://www.maximintegrated.com/jp/products/interface/io-link-transceivers/io-link-reference-designs.html>
IO-Linkのカタログ「IO-Link Device Transceivers」 (英文)<http://pdfserv.maximintegrated.com/en/br/IO-Link-Device-Transceivers.pdf>「Powering the Pocket IO PLC Development Platform」 (英文)<http://pdfserv.maximintegrated.com/en/br/Powering-Pocket-IO-PLC-Development-Platform.pdf>「Industry 4.0の力をポケットに:Pocket IOの紹介」<http://pdfserv.maximintegrated.com/jp/br/pocket-IO-brochure.pdf>
IO-Linkに関するアプリケーションノートおよび記事アプリケーションノート6427 「Calculating the Power Dissipation of the MAX14819 Dual-Channel IO-Link Master Transceiver」 (英文)<https://www.maximintegrated.com/jp/app-notes/index.mvp/id/6427>アプリケーションノート5151 「Special Considerations for Mode Changes During Active Operation of MAX14820/MAX14821 Sensor/Actuator Transceivers」 (英文)<https://www.maximintegrated.com/jp/app-notes/index.mvp/id/5151>Maximのブログ:「IO-Linkとその先へ!」<https://www.maximintegrated.com/jp/design/blog/to-io-link-and-beyond.html>Maximのブログ:「Vision Realized In Advancing Industry 4.0 Solutions」 (英文)<https://www.maximintegrated.com/en/design/blog/vision-realized-advancing-industry-solutions.html>
ビデオIO-Linkとは何か?<https://www.maximintegrated.com/jp/design/videos.html/vd_4138960057001#popupmodal>IO-Linkデバイストランシーバの熱分布比較<https://www.maximintegrated.com/jp/design/videos.html/vd_5206344640001#popupmodal>ラボにて:IO-Linkスマートセンサーシステムのデモ<https://www.maximintegrated.com/jp/design/videos.html/vd_4138960058001#popupmodal>
ArmはArm Limitedの登録商標および登録サービスマーク、Cortexは登録商標、およびMbedは商標です。IO-Link はProfibus User Organization (PNO)の登録商標です。RenesasはRenesas Electronics Corporationの登録商標および登録サービスマークです。WindowsはMicrosoft Corporationの登録商標および登録サービスマークです。
商標
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付録:技術的リソースソフトウェアスタックベンダー通常、IO-Linkマスターおよびセンサーメーカーは、サードパーティにソフトウェアスタックを生成してもらう必要があります。Maximは主要ソフトウェアベンダーと協力して、センサーおよびマスターの設計用にMaximのIO-Linkトランシーバをサポートしています。各製品の具体的な詳細については、Maximのソフトウェアパートナーに直接お問い合わせください。
TEConcept GmbHWentzingerstraße 2179106 Freiburgドイツ電話: +49 761 214436 40メール: [email protected]ウェブ: www.teconcept.de
Technologie Management GruppeTechnologie und Engineering GmbHZur Gießerei 1076227 Karlsruheドイツ 電話: +49721828060メール: [email protected]ウェブ: www.tmgte.com
IQ² Development GmbHKarlstraße 1DE-72654 Neckartenzlingenドイツ電話: +49 (0) 7127 / 5706100ファックス: +49 (0) 7127 / 5706102メール: [email protected]ウェブ: www.iq2-development.de
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TEConceptのツール注:以下の情報は各ソフトウェアベンダーが提供する製品およびサービスのタイプの例としてTEConceptによって提供されています。詳細については、ソフトウェアパートナーである同社までお問い合わせください。
・ IO-Linkマスタースタック
・ IO-Linkデバイススタック - ファームウェアダウンロードプロファイルアドオン
・ IO-Linkマスターテスター
・ IO-Linkデバイステスター
・ IO-Linkデバイステストケースクリエータ
・ IO-Link EMCテスター - デバイス
・ IO-Link EMCテスター - マスター
・ IO-Link USBテストマスター
・ IO-Linkマスターモジュール
・ IO-Linkパラメータ生成および設定ツール
・ IODDデザイナー
・ IO-Link診断ツール
IO-Linkツール - 各コンピテンスセンターによって提供
IO-Linkマスタースタック特長:
・ 最新のIO-Link通信仕様に準拠
・ マルチポート対応(ポート数の制限はハードウェアリソースのみ)・ サイクル時間:0.4ms (230.4kbaud時)・ 2.3ms (38.4kbaud時)・ 18ms (4.8kbaud時)・ システム負荷:最大20MHz/ポート(COM3速度時)・ 共有パラメータを介したソフトウェアインタフェース・ 制御およびテストAPI
サポート対象プロセッサ:サポート対象IO-Link ASIC:
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TEConceptのツール
IO-Linkデバイススタック仕様
・ 最新のIO-Link通信仕様に準拠
・ 同期または非同期プロセスデータ処理・ ISDU対応
・ データストレージ・ パラメータハンドラ・ プロセス同期化・ システム負荷:50% (8ビットプロセッサ、16MHz時)
・ 異なるμCおよびIO-Link PHYへの移植に必要なのはドライバの交換のみ
サポート対象ASIC:
サポート対象プロセッサ:
IO-Linkツール - マスターテスター - 概要
・ 全ボーレートに対応・ 新しいIO-Linkの機能にアップグレード可能
・ DLLを介したフィールドバスインタフェースの代替方式
新機能:
・ 新しいシリアルテストインタフェースに対応
・ 汎用シリアルDLL・ Windows 7対応(64ビット)・ V1.1.2テスト仕様準拠
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TEConceptのツール
IO-Linkデバイステスター
ソフトウェアツール:IODDデザイナー・ IODDの生成を簡素化
・ V1.0およびV1.1準拠
・ XMLの知識は不要
・ IODDチェッカーの呼び出しを内蔵
・ 既存IODDのインポート機能
・ 動作状態の保存と復元が可能・ 無料のデモバージョンをご請求に応じて
TEConceptが提供
(info@teconcept .de)
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IO-Link用語集
(www.io-link.comから許可を得て転載。)
非サイクリックデータ リクエストの後にのみコントローラから送信されるデータ(たとえば、パラメータデータ、診断データなど)
COM1~3 IO-Linkのデータ転送レート
サイクリックデータ コントローラによって自動的に一定の間隔で送信されるデータ(プロセスデータ、値の状態)
DI デジタル入力
DQ デジタル出力
GSDファイル PROFINET機器のプロパティはGSDファイル(Generic Station Description)に記述され、これには設定に必要なすべての情報が含まれる。
HMI オートメーションシステムのヒューマンマシンインタフェース
IEC 61131-9プログラマブルコントローラの基本を扱った国際規格。パート9の「Single-drop digital communication interface for small sensors and actuators (SDCI)」にIO-Linkの記述がある。
IODD 機器の電子デバイス記述(IOデバイス記述)
IO-Linkデバイス IO-Linkマスターによって監視および制御されるフィールド機器
IO-Linkマスターより上位のフィールドバスとIO-Linkデバイスの間の接点に相当する。IO-LinkマスターはIO-Linkデバイスを監視および制御する。
パラメータ割り当てサーバ
IO-Link仕様バージョン1.1に従ったIO-Linkマスターは、IO-Linkデバイスに対するパラメータ割り当てサーバとして機能することができる。
ポート ポートとはIO-Linkの通信チャネルである。
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IO-LinkのFAQQ: バースト発生時の保護にはどんな部品が推奨されますか?
A: 一般的にはバースト試験(IEC61000-4-4)用にC/Qライン上に2つ(GNDに1つとVCCに1つ)のコンデンサ(約220pF)用のパッドを配置することを推奨します。これらのコンデンサは、できる限りICの近くに配置してください。ボードによってはこれらのコンデンサを必要とせずにバースト試験に合格する場合もあるため、最初はコンデンサなしで試験を行い、必要な場合に追加することを推奨します。
サージ発生時の保護のためには、クランプ電圧がトランシーバの絶対最大定格より低いTVSダイオードが必要です。TVSダイオードは、できる限りICの近くに配置してください。
Q: 一部のIO-Link設計は絶縁されたグランドプレーンを備えているようです。この絶縁は何のためですか?
A: IO-Link仕様には絶縁の要件はありませんが、すべてのIO-Linkシステムはシグナルチェーンのどこかのポイントに絶縁を備えています。絶縁によって、コントローラ/バックプレーンがローカル24Vフィールド電源で発生するすべての過渡から保護されることが確保されます。絶縁は通常はコストが最小化される位置(たとえば、バックプレーンとコントローラの間またはコントローラとIO-Linkトランシーバの間)に配置されます。
Q: SIOとは何で、IO-Linkとどんな関係がありますか?
A: IO-Link仕様によると、すべてのIO-LinkマスターポートはSIO (シングル入力/出力)モードまたはIO-Link(SDCI)通信モードで動作するように設定可能です。SIOモードでは、ポートはデジタル入力またはデジタル出力として動作するように設定可能です。詳細については、IEC 61121-2を参照してください。
Q: IO-Linkマスタートランシーバには、DI入力を備えたものと備えていないものがあります。DIとは何ですか?
A: DIはデジタル入力です。デジタル入力は、産業用システムで最も一般的な入力です。DIはバイナリセンサーの接続に使用します。
Q: なぜIO-Linkは3つの異なるデータレートをサポートしているのですか?
A: 長年にわたって、多数の産業用システムが存在してきました。通信システムのデータレートは大幅に向上しましたが、(多くの場合まだ当初のシステムで動作している)それらの当初のセンサーの多くは、より低速のソフトウェア/通信機能を使って設計されています。IO-Link仕様は、完全な(そして非常に高コストの)オーバーホールを必要とせずに、すでに配備されている産業用システムのアップグレードと改良を可能にするため、ほとんどのセンサーの機能を包含する3つのデータレートでの通信を取り入れています。
Q: IO-Linkマスターおよびデバイスはサージ保護されている必要がありますか?
A: IO-Linkケーブルの仕様は最大長が20mで、IEC 61000-4-5サージ規格は30m以上のケーブルに対してサージを規定しているため、IO-Link規格はサージ保護を要求していません。
Q: IO-LinkマスターがC/Q端子上に備えることができる最大入力容量の端子はどのくらいですか?
A: IO-Linkマスターの入力容量は受信モードにおいて最大4MHzまでの周波数範囲で1nF以下の必要があります。
Q: IO-Linkデバイスが備えることができる最大容量はどのくらいですか?
A: IO-Linkデバイスの入力容量は1nF以下にしてください。COM1またはCOM2データレートをプッシュプルドライバ動作と組み合わせる場合は例外が認められ、その場合は最大入力容量を最大10nFにすることができます。
Q: IO-Linkケーブルとはどのようなものですか?
A: IO-Linkケーブルは少なくとも3線(C/Q、L+、およびL-)を備えています。ケーブルはシールドされていません。
Q: IO-Linkケーブルの最大長はどのくらいですか?
A: 最大ケーブル長は20mです。
Q: ケーブルのワーストケースの抵抗と容量はどのくらいまで許容されますか?
A: ループワイヤ抵抗は6.0Ω(max)で、最大ケーブル容量(C/QとL+/L-間)は3.0nFです(1MHzまで)。
Q: IO-Linkケーブルは終端されていますか?
A: IO-Linkケーブルの終端に関する仕様はありません。そのため、IO-Linkケーブル上の電圧波形はオーバーシュートが生じる可能性があります。
Q: IO-Linkサイクルタイムとは何のことですか?
A: IO-Linkサイクルタイムは、OperateモードにおいてIO-LinkマスターがIO-Linkデバイスにマスターメッセージを送信する繰り返しレートです。これはデバイスがプロセスデータを提供または要求されるレートで、つまりセンサーが測定データを要求され、あるいはアクチュエータが新しいデータを与えられるレートです。
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Q: IO-Link規格で可能な最小IO-Linkサイクルタイムはどのくらいですか?
A: 最小サイクルタイムは400μsです。そのような短いサイクルタイムは、COM3データレートでのみ実現可能です。
Q: すべてのIO-Linkマスターは400μsのサイクルタイムに対応可能ですか?
A: IO-Link規格はIO-Linkマスターが400μsの最小サイクルタイムに対応することを要求していません。個々のIO-Linkマスターの仕様でそれぞれの最小サイクルタイム能力が規定されています。
Q: IO-Link通信は何をベースとしていますか?
A: IO-Linkはマスター-スレーブダイアログをベースとし、IO-LinkマスターはIO-LinkデバイスをポーリングしIO-Linkデバイスはマスターメッセージに応答する必要があります。
Q: IO-Linkデバイスはどのくらいの早さでIO-Linkマスターメッセージに応答する必要がありますか?
A: IO-Linkデバイスはマスターメッセージの最後のビットのあと10ビット時間以内に最初のビットを送信する必要があります。そのため、応答時間はデータレート(COMレート)によって異なります。
Q: IO-Linkはどのようなトポロジーを採用していますか?
A: IO-Linkはポイント間接続で、IO-Linkマスターは1つのIO-Linkデバイスのみと接続されます。
Q: IO-LinkマスターC/Qポートの電流駆動能力はどのくらいですか?
A: IO-LinkマスターのC/ Qピンは最小で100mA (min)で継続的に駆動し、500mA (min)で短期的(IO-Link起動時)に駆動します。
Q: IO-LinkマスターがIO-Linkデバイスの給電用に提供する必要がある電源電圧範囲はどのくらいですか?
A: IO-LinkマスターはIO-Linkデバイスの給電用に24V電源を提供する必要があり、許容範囲は20V(min)~30V(max)です。
Q: IO-LinkマスターはIO-Linkデバイスにどのくらいの負荷電流を提供することができる必要がありますか?
A: IO-Linkマスターは200mAを継続的に供給する必要があります。
Q: IO-Linkデバイスの電源範囲はどのくらいですか?
A: IO-Linkデバイスは24Vの公称電源で動作する必要があり、電圧範囲は18V (min)~30V (max)です。
Q: IO-Linkデバイスはどのくらいの負荷電流を駆動することができますか?
A: IO-Linkデバイスの仕様では少なくとも50mAを駆動すると規定されています。IO-Linkデバイスは少なくとも100mAを駆動するのが一般的です。
Q: 一部のIO-Linkデバイストランシーバが200mAまたはそれ以上の負荷電流を駆動することができるのはなぜですか?
A: それらの大電流はIO-Link動作には不要ですが、IO-Linkデバイス(スイッチングセンサーなど)が標準バイナリ出力モードで大きい負荷を駆動する仕様(バルブやリレーなど)の場合は、それらの大電流が必要になる可能性があります。
Q: IO-LinkデバイスドライバはIO-Link通信時にPNPまたはNPNモードで動作することができますか?
A: 一般に、IO-Link通信はプッシュプルとPNPの両方のモードに対応します。デバイスがC/Qラインを駆動するときに定義される2つのロジック状態が、次にローインピーダンスのドライバによって定義されるため、プッシュプルが推奨されます。より低いCOMレートではPNPモードも可能で、その場合、C/QのローはIO-Linkマスターの5mAのプルダウンによって定義されます。
Q: IO-LinkデバイスはNPNモードで動作することができますか?
A: IO-Linkデバイスは、SIO動作時のみNPNドライバモードで動作することができます(IO-LinkマスターがNPNセンサーに対応している場合)。IO-Link規格は、NPNドライバ動作をサポートしていません。
Q: 新しいIO-Linkセンサーに、PNPドライバを備えた以前のバイナリスイッチングセンサーとの互換性を持たせたいと思います。このセンサーをPNPモードで動作させることはできますか?
A: センサーがSIOモードで動作しているときは、PNPモードでの動作が可能で、以前のセンサーと互換性を持たせることができます。センサーがIO-LinkマスターからIO-Linkウェイクアップを受信したときに、ドライバをプッシュプルモードに切り替えることを推奨します。
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All tests 5 pulses with 10 seconds between the pulses. Channel 1 (40Ω/0.5µF CDN) Channel 2 (40Ω/0.5µF CDN)
C/Q +500V pass (C/Q Mode is set to IO-Link) C/Q +500V pass (C/Q Mode is set to IO-Link)
C/Q -500V pass C/Q -500V pass
C/Q +800V pass C/Q +800V pass
C/Q -800V pass C/Q -800V pass
C/Q +1000V pass C/Q +1000V pass
C/Q -1000V pass C/Q -1000V pass
C/Q +1200V pass C/Q +1200V pass
C/Q -1200V pass C/Q -1200V pass
C/Q +500V pass (C/Q Mode is set to DO, level is set high) C/Q +500V pass (C/Q Mode is set to DO, level is set high)
C/Q -500V pass C/Q -500V pass
C/Q +800V pass C/Q +800V pass
C/Q -800V pass C/Q -800V pass
C/Q +1000V pass C/Q +1000V pass
C/Q -1000V pass C/Q -1000V pass
C/Q +1200V pass C/Q +1200V pass
C/Q -1200V pass C/Q -1200V pass
C/Q +500V pass (C/Q Mode is set to DO, level is set low) C/Q +500V pass (C/Q Mode is set to DO, level is set low)
C/Q -500V pass C/Q -500V pass
C/Q +800V pass C/Q +800V pass
C/Q -800V pass C/Q -800V pass
C/Q +1000V pass C/Q +1000V pass
C/Q -1000V pass C/Q -1000V pass
C/Q +1200V pass C/Q +1200V pass
C/Q -1200V pass C/Q -1200V pass
DI +800V pass DI +800V pass
DI -800V pass DI -800V pass
DI +1000V pass DI +1000V pass
DI -1000V pass DI -1000V pass
DI +1200V pass DI +1200V pass
DI -1200V pass DI -1200V pass
MAXREFDES145の耐性試験結果Maximは、IEC 61000-4によって概説されたESD IEC 61000-4-2およびIEC 61000-4-5を含む標準的な産業用の要件に対してすべてのリファレンスデザインをテストしています。8ポートIO-LinkマスターのMAXREFDES145の結果を以下に示します。
サージ試験結果
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VCC tested without CDN, Impedance is 2Ω.VCC +500V pass
VCC -500V pass
VCC +550V pass
VCC -550V pass
Channel 1 (40Ω/0.5µF CDN) Channel 2 (40Ω/0.5µF CDN)
L+ +500V pass L+ on L+ +500V pass L+ on
L+ -500V pass L+ on L+ -500V pass L+ on
L+ +550V pass L+ on L+ +550V pass L+ on
L+ -550V pass L+ on L+ -550V pass L+ on
L+ +600V pass L+ on L+ +600V pass L+ on
L+ -600V pass L+ on L+ -600V pass L+ on
L+ +700V pass L+ on L+ +700V pass L+ on
L+ -700V pass L+ on L+ -700V pass L+ on
L+ +800V pass L+ on L+ +800V pass L+ on
L+ -800V pass L+ on L+ -800V pass L+ on
L+ +900V pass L+ on L+ +900V pass L+ on
L+ -900V pass L+ on L+ -900V pass L+ on
L+ +1000V pass L+ on L+ +1000V pass L+ on
L+ -1000V pass L+ on L+ -1000V pass L+ on
MAXREFDES145の耐性試験結果(続き)
サージ試験結果
MAXREFDES145の耐性試験結果(続き)
ESD試験結果
Channel 1 Channel 2
L+ +4kV pass Board not powered L+ +4kV pass Board not powered
L+ -4kV pass Board not powered L+ -4kV pass Board not powered
L+ +4kV pass L+ on L+ +4kV pass L+ on
L+ -4kV pass L+ on L+ -4kV pass L+ on
L+ +4kV pass L+ off L+ +4kV pass L+ off
L+ -4kV pass L+ off L+ -4kV pass L+ off
L+ +5kV pass Board not powered L+ +5kV pass Board not powered
L+ -5kV pass Board not powered L+ -5kV pass Board not powered
L+ +5kV pass L+ on L+ +5kV pass L+ on
L+ -5kV pass L+ on L+ -5kV pass L+ on
L+ +5kV pass L+ off L+ +5kV pass L+ off
L+ -5kV pass L+ off L+ -5kV pass L+ off
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Rev.0; August 2017
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