itシステムとfa現場の融合 をめざした情報連携』2017/06/26 ·...
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『ITシステムとFA現場の融合をめざした情報連携』
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2017年5月30日
三菱電機株式会社
森田 温
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目的
デジタル革命、特に第4次産業革命に関して、2030年頃を想定した全体システム
の構想検討が世界各国で進められており、日本も急ピッチで検討を進めつつ、世界各国の構想案に対応して日本が重視するポイントを主張して行く必要がある。
SWG「ITシステムとFA現場の融合をめざした情報連携」は、このような背景の中で特に下記における課題や要求機能の提起を主な目的として、2016年3月に発足し一年間を通して活動してきた。①協調領域構築の課題検討および要求機能のまとめ②FAとITの連携に関しての日本の製造業として重要と考えている項目の検討③協調領域の確立を目的にした各社の事例や困りごとの整理
目標・マイルストン
Step1: 準備作業(~’16/3)Step2: ITシステム・FA現場間連携技術調査および課題抽出(~’16/10)Step3: あるべき姿の想定と要求機能の概要検討および具体的機能検討(~’17/1)Step4: 要求機能まとめと報告書作成(~’17/4)
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メンバー他
[出席者] (組織名アイウエオ順、敬称略)
・経産省 :榊原 風慧(ものづくり政策審議室)
・アドバイザー : 原 功/花井亮(産総研)、可部 明克(早大) [議長]
・メンバー : 山崎 竜二/本条 智仁(オムロン)、小林 剛/岡村 顕(東洋ビジネスエンジニアリング)、杉山圭一/大塚 紀明(日本電気)、芹沢 哲/福井 尉人(日立)、小林 泰山/遠藤智晃(富士通)、森田 温/茅野 眞一郎(三菱電機)、包原 孝英(安川電機)
・ゲスト : 池田英生(神戸製鋼所)、樫原 孝行/井垣 吉博(ジェイテクト)
・RRI事務局 : 水上 潔/益子 龍太郎
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会議の開催
[会議開催]・開催期間 : 1年・開催頻度 : 月1回2時間程度、全12回
[会議スケジュール]
※:調査は必要に応じて実施
回数 時期 場所 SWG実施事項 作業・宿題事項
1 ‘16/3/31 日機連 キックオフ、活動内容と構成、今後の進め方 調査項目への意見、分担意思表明+委員会への要望
各社問題意識/ニーズ調査、ユーザヒアリング希望2 4/12 日機連 調査項目検討
国際標準調査3 5/17 b-en-g ユーザヒアリング検討、ハノーバ報告、事例紹介
協調領域の考え方4 6/14 日立 ユーザヒアリング、協調/競争領域検討
スコープ方針案作成、機能接続方法調査5 7/12 オムロン 協調/競争領域検討、スコープ(要求機能マップ)方針検討
スコープ(機能マップ)案作成6 9/13 早大 ユーザヒアリング、スコープ(機能マップ)検討
機能要件項目案作成(項目抽出)7 10/11 富士通 ユーザヒアリング、機能要件項目検討
機能要件項目案作成(日本の強み・弱み検討)
8 11/8 安川 報告書のまとめ方、ITとFA間の機能要件検討 機能要件内容案作成
9 12/13 日本電気 機能要件概要検討、報告書構成と担当検討報告書記載開始
10 ‘17/1/17 三菱電機 機能要件詳細検討、報告書レビュー開始報告書記載(続)、コメント
11 2/14 産総研 報告書レビュー報告書ドラフト完成
12 3/14 日機連 報告書最終チェック
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報告書の目次
1 はじめに ・・・・・・ 32 引用 ・・・・・・ 33 用語定義 ・・・・・・ 34 スコープ ・・・・・・ 55 要求機能全体構成 ・・・・・・ 66 要求機能概要 ・・・・・・ 7
6.1 共通事項 ・・・・・・ 96.2 サービス管理 ・・・・・ 116.3 データ構造とその管理 ・・・・・ 126.4 製品データ管理 ・・・・・ 136.5 設備とその管理 ・・・・・ 146.6 セキュリティ ・・・・・ 166.7 カイゼン ・・・・・ 18
7 まとめ ・・・・・ 19Annex ・・・・・ 20
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ConnectedWorld
Enterprise
Work Centers
Station
Control Device
Field Device
Product
ITコンポーネント群(個別企業)
ITコンポーネント群(個別企業)
ライン
装置コントローラ
コントローラ …
デバイス
デバイス
…デバイス
カイゼン
共通データベース(仮想)
開発 メンテナンス/使用 生産 メンテナンス/使用
インスタンスタイプ
製品設計、他
シミュレーション、他
生産設計、他
生産設計、他
生産スケジュー
リング、他
MES、他 設備・製品情報収集
パフォーマンス評価、他
履歴管理、他
……
…
…
…
…⑤ 設備とその管理
④ 製品データ管理
②サービス管理
③データ構造とその管理
⑤ セキュリティ
⑦ カイゼン
① 共通事項
IT・FAコンポーネントのRAMI4.0へのマッピング例
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IT・FA連携モデルを適用した生産システム構成例
・ ITコンポーネントやFAコンポーネントはデータ処理や制御を行うための「サービス」
を持ち、共通データベースにモジュール仕様、サービス仕様、稼働状態などを規定する「プロファイル」を設置
・ITコンポーネントと装置の間、装置間、およびITコンポーネント間は「インタフェー
ス」を介して互いに共有可能なデータ(協調領域データ)を連携する。各コンポーネントが有する機密性(競争領域)を保ちながら互いにサービスの呼び出しやプロファイルの確認を行えるモデルを形成
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サイバー・フィジカル構成モデル
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IT・FA連携モデルを適用した生産システム構成例
生産システム構成(バーチャル)
生産システム構成(リアル)
共通データベースサービス
データ
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6 要求機能概要
6.2 サービス管理
6.2.1 サービスとインタフェースの配置、呼出、公開範囲(a) インタフェース(b) サービス呼び出し(c) 自発通信機能
6.2.2 プロファイル(a) プロファイルの提供(b) プロファイルの参照性(c) シミュレーション情報の共通プロトコル(d) 設備情報の管理
6.2.3 共通サービス(a) 共通サービスの提供
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6 要求機能概要
6.2.2 プロファイル(a) プロファイルの提供各サービスは、自身の機能や動作の仕様情報をまとめたプロファイルをもつことが望ましい。
プロファイルには、インタフェース、サービス利用の設定方法、構成管理情報が記述されている必要がある。また、実行することにより影響を与える生産活動の範囲、影響の重要度など、エンドユーザがそのサービスを利用する上で理解、使用判断ができる情報も併せて提示していることが望ましい。サービスがバージョンアップされる際には、プロファイルもまた、サービス内容、データ構造、バージョンなどの情報を反映させて更新されることが望ましい。
(b) プロファイルの参照性プロファイルはインタフェースを介し、ネットワークにつながっている各コンポーネントより参照可能とすることが望ましい。
プロファイルは、企業、システムを超えて公開することも念頭において、ネットワークを介して必要最低限の情報の参照が可能であることが望ましい。現状のサービスの稼働状況やITシステム、FAシステムの状態についても関して外部からアクセスし、確認できることが望ましい。
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6 要求機能概要
(c) シミュレーション情報の共通プロトコルサイバー世界でリアル世界のシミュレーションを行うに当たり、リアルな世界のフィジカルな部分である設備やサイバーな部分であるアクティビティから必要な情報を引き上げるインタフェースまたはデータが具備され、共通化されていることが望ましい。
これらの情報は、生産管理ソフトと同様に、要求とその結果などの切り口で収集され、サイバー世界に投入され、システム動作の再現やシミュレーションに用いられる。なお、この場合のリアル部分とバーチャル部分(シミュレーション実行部分)に関しては、部分的なバーチャル化から全面的なバーチャル化まで、様々な組み合わせがありうる。例えば、平成28年度に実施された経済産業省委託事業である「IoT推進のための社会シス
テム推進事業(スマート工場実証事業)」で提案されている、データプロファイルはこの一例と考えられる。この事業では、工場のリアル世界にての諸現象(フィジカルおよびサイバー両側)
をバーチャル世界に持ち込むためのデータプロファイルに関して提案し、その有効性を検証している。
(d) 設備情報の管理設備の仕様情報や設備プロファイル、設備サービスシミュレート機能等の情報に関しては、
Web上などから取得可能であることが望ましい。ただし、取得する主体の権限に適した情報開示レベルを保てるよう、アクセサビリティの管理機能が必須である。
IECではLOP (List of Property)やCDD(Common Data Dictionary)によって設備等の仕様情報を登録、公開する機構を持つ。また、WDSL等のようなWebサービスの管理機構にも、サービスの公開に関する機能を具備している。しかし、CDDやWSDLの管理機能には、細かなアクセサビリティ管理は備わっていないため、本機能の要求事項をそのまま満たしてはいない。
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まとめ
・ 要求機能の全体構成、各機能の概要を報告書に記述。システム内で情報共有、相互運用を実現するための共通基盤として定義される連携モデルを提示
・ 「インターフェースを介して互いに共有可能なデータを連携」する協調領域を創出
し、それぞれのITコンポーネント、FAコンポーネントが有する機密データ(競争領域)を公開しなくても、互いのサービスの呼び出しや、プロファイル確認を行なうことができるモデルで「第一歩」
・従来、「FA-IT連携」の議論は、各社製品群の開発経緯や開発コストを念頭に「IT
コンポーネント、FAコンポーネントが有する機密データのどこまでを公開すれば良いか」といった個別議論になる傾向。今回、各企業が個別に対応するだけでは対処できない「企業の枠を超えた連携時代」に対応するため、「共有可能なデータでの連携(協調領域)」を確立していくモデルを共同で提案
・今後は、国際標準化に関わる活動の中で、本報告書の内容を活用して、日本の
発信力が増すように活動を継続することが望まれる。来年度以降、共同での実用システムの実現可能性の検討や、基本設計などの活動に結び付けて行ければ、この「第一歩」は日本の製造業にとって有益であると期待される。