japanese melanoma study: annual report 2016japanese melanoma study: annual report 2016...

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Japanese Melanoma Study: Annual Report 2016 皮膚悪性腫瘍学会皮膚がん予後統計委員会担当委員:藤澤 康弘 (筑波大学) 総症例数:4239症例 年齢 受診までの期間 平均 64.0平均 69.9ヶ月 中央値 66.0中央値 24.0ヶ月 性別 男性 1,949他腫瘍あり 333女性 2,287家族歴あり 96疾患特異的生存率 (数字は5年生存率) 生存期間() 生存率(%) 病型で予後に違いがあるのか ALM 40 % SSM 21 % NM, 10 % LMM 8% 粘膜 10 % 脈絡膜 1 % 原発不明 2 % 不明・分類不能 8 % Tis 19 % T1a 9% T1b 2 % T2a 9 % T2b 3 % T3a 8 % T3b 8 % T4a, 9% T4b 20 % 不明 10 % N0 67 % N1a 7 % N1b 3 % N2a 4 % N2b 3 % N2c 1 % N3 9% 不明 6 % Tis 21% Ia 13% Ib 10% IIa 7% IIb 8% IIc 7% IIIa 5% IIIb 8% IIIc 8% IV 13% Local Regional Distant 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 Tis Ia Ib IIa IIb IIc IIIa IIIb IIIc IV 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 IV: 17% IIIc: 43% IIIb: 59% IIc: 67% IIIa: 78% IIb: 80% IIa: 91% Ib: 94% Ia: 98% Tis:100% 病型 T分類 N分類 病期 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 ALM LMM NM SSM Unknown Mucosa 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 Tis以外の全ての病型・ 病期分類含む(n=2833) 4病型・病理学的病期あり (n=2174) 因子 ハザード比 95%信頼区間 P臨床病型 (基準カテゴリ:SSM) ALM 1.043 0.800~1.359 0.755 NM 1.282 0.951~1.727 0.103 LMM 1.041 0.638~1.697 0.871 T分類(1~4,連続変数) 1.857 1.646~2.095 <0.0001 N分類(0~3,連続変数) 1.282 1.511~1.845 <0.0001 M分類(0 or 1) 3.350 2.484~4.516 <0.0001 TNMと予後は相関するが,病型と相関はなし 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 生存期間() 疾患特異的生存率(%) 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 病期IIIa (n=158) 病期IIIb (n=294) 病期IIIc (n=274) 生存期間() 疾患特異的生存率(%) 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144 ALM LMM NM SSM 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 因子 ハザード比 95%信頼区間 P臨床病型 (基準カテゴリ:SSM) ALM 2.974 1.126~7.854 0.0278 NM 1.197 0.398~3.592 0.748 LMM - - - T分類 (1~4,連続変数) 1.816 1.118~2.950 0.016 N分類 (0~3,連続変数) 1.496 0.656~3.415 0.338 病期IIIaではALMDSSが相関 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96108120132144 ALM:IIIa ALM:IIIb ALM:IIIc 0 25 50 75 100 0 12 24 36 48 60 72 84 96108120132144 SSM:IIIa SSm:IIIb SSM:IIIc 生存期間() 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 疾患特異的生存率(%) 病期IIIaにおける多変量解析 SSM病期III(n=239) ALM病期III(n=253) 研究協力施設 (26施設) 新潟県立がんセンター 286症例 竹之内 辰也 先生 大阪市立大学 212症例 加茂 理英 先生 神戸大学 161症例 藤原 先生 筑波大学 174症例 藤澤 康弘 静岡がんセンター 476症例 清原 祥夫 先生・吉川 周佐 先生 東京大学 40症例 山田 大資 先生 国立がんセンター 173症例 山﨑 直也先生・並川 健二郎 先生 東北大学 102症例 藤村 先生 旭川医科大学 164症例 上原 治朗 先生 埼玉医科大学医学部附属病院 90症例 緒方 先生 日本医科大学 124症例 帆足 俊彦 先生 岐阜大学 80症例 松山 かな子 先生 埼玉医科大学国際医療センター 202症例 中村 泰大 先生・寺本 由紀子 先生 浜松医科大学 51症例 藤山 俊晴 先生 京都府立医科大学 220症例 浅井 先生 埼玉県立がんセンター 55症例 石川 雅士 先生 富山県立中央病院 57症例 八田 尚人 先生 九州大学 244症例 博史 先生 札幌医科大学 220症例 宇原 先生・加藤 潤史 先生 福岡大学 57症例 柴山 慶継 先生 熊本大学 214症例 浩信 先生・福島 先生 産業医科大学 67症例 日野 亮介 先生 北海道大学 61症例 古川 洋志 先生 虎の門病院 56症例 晶子 先生 信州大学 375症例 皆川 先生 名古屋大学 280症例 横田 憲二 先生・浦田 先生 なぜALMIIIaSSMと比較してDSSが悪いのか? *症例背景は同等(年齢,性別など) T1a:T2a比はほぼ同じ,平均Breslow’s thickness2.592.62mm N1a:2a比は1:0.41 vs 1:0.69N2aの割合がALMで高い >カイ2乗検定ではP=0.21と有意差なし,多変量解析でも IIIaでは予後とN分類との相関はみられず(上記表参照) ALM vs SSM : P<0.05 ALM vs SSM:有意差なし ALM vs SSM:有意差なし トータルで見るとALMSSMの予後は変わらない >病型ではなく,TNMそれぞれが独立した予後因子 病期IIIaのみALMの予後がSSMより不良 >要因は不明

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Page 1: Japanese Melanoma Study: Annual Report 2016Japanese Melanoma Study: Annual Report 2016 皮膚悪性腫瘍学会皮膚がん予後統計委員会担当委員:藤澤 康弘 (筑波大学)

Japanese Melanoma Study: Annual Report 2016 皮膚悪性腫瘍学会皮膚がん予後統計委員会担当委員:藤澤 康弘 (筑波大学)

総症例数:4239症例

年齢 受診までの期間

平均 64.0歳 平均 69.9ヶ月

中央値 66.0歳 中央値 24.0ヶ月

性別

男性 1,949例 他腫瘍あり 333例

女性 2,287例 家族歴あり 96例

疾患特異的生存率 (数字は5年生存率)

生存期間(年)生存率

(%)

病型で予後に違いがあるのか

ALM40 %

SSM21 %

NM,10 %

LMM8%

粘膜

10 %

脈絡膜 1 % 原発不明 2 %

不明・分類不能

8 %

Tis19 %

T1a9%

T1b2 %

T2a9 %

T2b3 %

T3a8 %

T3b8 %

T4a,9%

T4b20 %

不明

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N1b 3 %

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N2b 3 %

N2c 1 %

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12IV: 17%IIIc: 43%IIIb: 59%

IIc: 67%IIIa: 78%

IIb: 80%IIa: 91%Ib: 94%Ia: 98%Tis:100%

病型

T分類

N分類

病期

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ALMLMMNMSSMUnknownMucosa

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0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144

Tis以外の全ての病型・病期分類含む(n=2833)

4病型・病理学的病期あり(n=2174)

因子 ハザード比 95%信頼区間 P値臨床病型 (基準カテゴリ:SSM)

ALM 1.043 0.800~1.359 0.755

NM 1.282 0.951~1.727 0.103

LMM 1.041 0.638~1.697 0.871

T分類(1~4,連続変数) 1.857 1.646~2.095 <0.0001

N分類(0~3,連続変数) 1.282 1.511~1.845 <0.0001

M分類(0 or 1) 3.350 2.484~4.516 <0.0001

TNMと予後は相関するが,病型と相関はなし1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 121 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

生存期間(年)

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病期IIIa (n=158) 病期IIIb (n=294) 病期IIIc (n=274)

生存期間(年)

疾患特異的生存率

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ALMLMMNMSSM

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

因子 ハザード比 95%信頼区間 P値

臨床病型 (基準カテゴリ:SSM)

ALM 2.974 1.126~7.854 0.0278

NM 1.197 0.398~3.592 0.748

LMM - - -

T分類(1~4,連続変数) 1.816 1.118~2.950 0.016

N分類(0~3,連続変数) 1.496 0.656~3.415 0.338

病期IIIaではALMとDSSが相関

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生存期間(年)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

疾患特異的生存率

(%)

病期IIIaにおける多変量解析

SSM病期III(n=239) ALM病期III(n=253)

研究協力施設 (26施設)新潟県立がんセンター 286症例 竹之内 辰也 先生 大阪市立大学 212症例 加茂 理英 先生神戸大学 161症例 藤原 進 先生 筑波大学 174症例 藤澤 康弘静岡がんセンター 476症例 清原 祥夫 先生・吉川 周佐 先生 東京大学 40症例 山田 大資 先生国立がんセンター 173症例 山﨑 直也先生・並川 健二郎 先生 東北大学 102症例 藤村 卓 先生

旭川医科大学 164症例 上原 治朗 先生 埼玉医科大学医学部附属病院 90症例 緒方 大 先生 日本医科大学 124症例 帆足 俊彦 先生岐阜大学 80症例 松山 かな子 先生 埼玉医科大学国際医療センター 202症例 中村 泰大 先生・寺本 由紀子 先生 浜松医科大学 51症例 藤山 俊晴 先生京都府立医科大学 220症例 浅井 純 先生 埼玉県立がんセンター 55症例 石川 雅士 先生 富山県立中央病院 57症例 八田 尚人 先生九州大学 244症例 内 博史 先生 札幌医科大学 220症例 宇原 久 先生・加藤 潤史 先生 福岡大学 57症例 柴山 慶継 先生熊本大学 214症例 尹 浩信 先生・福島 聡 先生 産業医科大学 67症例 日野 亮介 先生 北海道大学 61症例 古川 洋志 先生虎の門病院 56症例 岸 晶子 先生 信州大学 375症例 皆川 茜 先生 名古屋大学 280症例 横田 憲二 先生・浦田 透 先生

なぜALMのIIIaはSSMと比較してDSSが悪いのか?

*症例背景は同等(年齢,性別など)*T1a:T2a比はほぼ同じ,平均Breslow’s thicknessも2.59と2.62mm*N1a:2a比は1:0.41 vs 1:0.69とN2aの割合がALMで高い

>カイ2乗検定ではP=0.21と有意差なし,多変量解析でもIIIaでは予後とN分類との相関はみられず(上記表参照)

ALM vs SSM :P<0.05

ALM vs SSM:有意差なしALM vs SSM:有意差なし

*トータルで見るとALMとSSMの予後は変わらない>病型ではなく,TNMそれぞれが独立した予後因子

*病期IIIaのみALMの予後がSSMより不良 >要因は不明