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J/ψ粒子の質量測定
実験Ⅲ素粒子テーマ7回目
Z粒子の質量測定 復習
いかにZ粒子事象を残しながらバックグラウンドを落とすかを考えた。
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Z粒子のピーク
Z粒子以外のバックグラウンド
CDFでよくやるスタンダード・カット
double fIso1 = Iso1 / P1;
double fIso2 = Iso2 / P2;
bool cut1 = (fabs(Zvert)<60.);
bool cut2 = (Q1*Q2<0);
bool cut3 = (Em1<2.);
bool cut4 = (Em2<2.);
bool cut5 = (Had1<6.);
bool cut6 = (Had2<6.);
bool cut7 = ((fabs(Dxu1)<2)&&(fabs(Dxu2)<2));
bool cut8 = ((fabs(Dxp1)<5)&&(fabs(Dxp2)<5));
bool cut10 = (fIso1<0.05)&&(fIso2<0.05);
bool cut11 = (Pt1>20.&&Pt2>20.);
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テキストのカットをそのまま一通り入れ、Ptカットを外せば、nEntries=347。
反粒子の発見
1928年 ディラック方程式(スピン1/2粒子の相対論的量子力学)
負エネルギーの解が存在。
負エネルギー解は、質量が同じで電荷が反対の粒子(反粒子)の存在を示唆。
1932年 アンダーソン 宇宙線中に、正電荷の電子(陽電子)を発見。
1935年 湯川秀樹 π中間子の存在を予言。
1937年 アンダーソン 宇宙線中にμ粒子を発見。
1947年 パウエル 原子核乾板を使ってπ中間子を発見。
1955年 セグレ、チェンバレン 加速器実験で反陽子を発見。
反粒子 (ディラック方程式の解)
全ての粒子に対して、反粒子がある
質量その他の性質が粒子と全く同じで、電荷だけ反対。
-1/3
電荷
0
-1
+1/3
電荷
0
+1
粒子 反粒子
陽子電荷+1
中性子電荷0
反陽子電荷-1
反中性子電荷0
粒子と反粒子の反応 粒子と反粒子は、対消滅して力を媒介する粒子になることがある。
力を媒介する粒子は、粒子・反粒子を対生成し、消滅することがある。
対生成・対消滅の際に、運動量・エネルギーは保存される。
時刻
対生成 対消滅
光子、Z粒子
光子、Z粒子
ハドロンはクォークで構成されているハドロンを構成
単一で存在
力を媒介
質量の起源
ハドロンはクォークで構成されているハドロンを構成
単一で存在
力を媒介
クォークは単独では自然界に存在できない。陽子、中性子、パイ粒子などのハドロンを形成し、複合粒子として自然界に存在する。
uクォーク2つとdクォーク1つ
が、強い相互作用によって結びついて、陽子を形成している。
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J/ψ粒子 メソン(素粒子ではない)
cクォーク・反cクォークの束縛状態
主に電磁相互作用でレプトン対またはクォーク対に崩壊 Br(J/ψ→μ+μ-)~6%
Γ=1/τ~93 keV cτ~2.1pm τ~0.7x10-20s
μ +
μ -
J/ψc
cγ
J/ψ粒子の質量測定
解析全般が、基本的には前回で出来ている。
ただし、以下の点に注意、改変する。
Ptのカット:Z粒子(m〜90 GeV)と比べてJ/ψ粒子(m〜3
GeV)は軽い。→ 前回よりも低い運動量のミューオンを測定する必要がある。
Isolationのカット: J/ψ粒子崩壊でできるミュー粒子はZ
粒子の場合ほどIsolateしてない。→ Isolationのカットを緩めるか、はずしてみる。
Dxu、Dxpのカット:運動量の低い粒子に対しては多重散乱による軌道の変化が無視できない。カットを緩める必要有り。
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Isolationのカット μ粒子が周りの粒子からどのくらい「孤立」しているか η-φ平面内でΔR=√(Δη2+ Δφ2)<0.4のコーンの中に入ってくるエネルギーの内μ粒子の分を除いたもの, η=-ln tan(θ/2)
Isolation が大きい場合 ジェットの中に含まれるハドロンをμ粒子と間違えた
ジェットの中に含まれるハドロンが崩壊してμ粒子となった
μ
J/ψ粒子崩壊でできるミュー粒子はZ
粒子の場合ほどIsolateしていない。→ Isolationのカットを緩めるか、はずしてみる。
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ミューオン検出器
ハドロンカロリメータ
電磁カロリメータ
ソレノイド電磁石
粒子飛行時間測定器
ドリフトチェンバー
シリコン飛跡検出器
衝突点
粒子の同定,電荷・運動量の測定
最小電離作用のみ
電磁シャワー
横方向消失エネルギー
ハドロンシャワー
CMU
CMP
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μ粒子検出器
鉄シールド
CMP
CMUDXU
DXP
運動量小 運動量大
DXU, DXP 分布
多重散乱による軌跡の曲がり: Δx∝1/p
運動量 1 GeV → 数cm (J/ψ粒子崩壊のミュー粒子)
|Dxu|<2cm のカットはキツすぎるか?
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多重散乱
荷電粒子が物質中を通過する場合,クーロン力による多重散乱で軌道が曲がる
z: 荷電粒子の電荷数𝑿𝟎: 放射長
𝑿𝟎 (𝒈/𝒄𝒎𝟐) 𝝆 (𝒈/𝒄𝒎𝟑) 𝑿𝟎 (𝒄𝒎 )
鉄 13.84 7.874 1.757
鉛 6.37 11.35 0.56
多重散乱によるミュー粒子軌道の曲がり
CDFの物質は、主に鉛と鉄で、5mほどの厚さ。
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運動量 30-40 GeV → 数mm (Z粒子崩壊のミュー粒子)
運動量 1 GeV → 数cm (J/ψ粒子崩壊のミュー粒子)
Dxu・Dxpのカットに関するヒントJ/ψ解析の時には、教科書に載っているΔxのカットはきつ過ぎる。
以下のコマンドを各自ROOTで実行し、分布を見ながらカットを決めるべき。
TFile f("/home/wmass/mumu2.root");
TTree *t = (TTree *) f.Get("ZMASS/h1");
t->Draw("Dxu1", "Dxu1!=0&&abs(Dxu1)<50");
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J/ψの質量測定ーヒント
myZmass.C中、
TH1F *h_ZmassF = new TH1F(“h_ZmassF”, “Z mass in GeV (w/CUT)”, 50, 40, 130);
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ヒストグラムの横軸上限
ヒストグラムの横軸下限
ヒストグラムのbin数
MJ/ψ~3 GeVのまわりを
詳しく見れるように上下限を設定しなおす。
フィット範囲についても同様。
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解析結果を得る
ガウス関数でフィットする
測定結果の中心値
ピークの位置
測定結果の誤差
ガウス分布(標準偏差σ)する変数をNサンプル取ってきたとき,その中心値がもつ誤差:σ/√N
世界平均の値 3.096916±0.000011GeVとのずれは,
統計によるゆらぎの範囲内か? 統計によるゆらぎ(ガウス分布の場合)
1σ以内 ~68% 2σ以内 ~95% 3σ以内 ~99.7%
カットに関するヒント(2)
カットをキツくしてみたときに、S/Bが大きくならない
→ そのカットは効いていない。
→ カットをはずすか緩めるべき。
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バックグラウンドの高さB
信号の高さS
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Ntupleデータを使った解析
Ntupleデータの変更
myZmass.h
TFile(“/home/wmass/mumu1.root”)のところ
Mumu1.root (Z粒子データ)→ mumu2.root(J/ψデータ)
事象選択.カット値の変更
myZmass.C (CUT 条件)
Μ粒子候補の横方向運動量PTのカット値
DXU,DXPのカット値
Isol (Isolation)のカット値
不変質量分布プロットの範囲変更
ガウス関数フィットの範囲指定
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Fe/Cuデータの解析 Fe/Cuデータの解析は、今回と次回の2回で各自時間配分を考えて行うこと.
Z(Fe)=26, Z(Cu)=29
Zが大きいのでμ-の原子核捕獲の確率が大きくなる μ-の見かけの寿命が短くなる.
ref. Zal=13
ストッパー(アルミ,ステンレス, 銅)の厚さ,シンチレータのサイズなどは,実験条件として記録しておくこと.
第1回:素粒子物理概説,μ粒子寿命測定法,
同軸ケーブルとインピーダンス,NIMモジュールの機能.
第2回:シンチレーション・カウンターの理解,HVカーブの測定.
第3回:タイミング・カーブの測定
第4回:寿命測定回路のセットアップ,寿命データ収集開始(Al)
第5回:[データ収集継続(Al)] UNIX入門,PAWを用いたμ粒子寿命測定
データの解析法
第6回:[データ収集継続(Fe)] Z粒子質量測定法概説,CDF検出器の概説,
Event display,Z粒子の質量
第7回:[データ収集継続(Fe)] 軽い粒子(J/ψ)の質量 12月8日(`金)
第8回:データ解析とグループ内でのまとめ 12月13日(水)
第9回:発表・討論 12月15日(金)
レポート提出:第9回の一週間後が締め切り 12月22日(金)
実験スケジュール
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発表会 発表:~30分/グループ(10分以内程度/人)
必ず全員が話すように発表を分担すること。
同じ班内で、発表テーマが重ならないように。
書架カメラ+プロジェクター(A4普通紙横向き)
PowerPoint 使用可
ノートPC(D-sub15ピン出力端子付)持参かPowerPointファイルをUSBメモリに入れて持ってくる.
発表内容
μ粒子寿命測定/Z質量・J/ψ質量解析
その他,実験の内容,テキスト中の課題,素粒子物理に関して興味あること
この実験の内容を全く知らない人でも理解できるように説明する.
授業スライドなど、他人の作ったスライドを参考にするのは構わないが、そのまま流用は禁止。
レポートに関して 提出先:自然学系棟D208 (内線4270)
室内テーブル上の実験III用レポート提出BOX
連絡先:内線4270 佐藤, [email protected]
手書き・ワープロどちらでもよい。
自分の言葉でやったことを纏めること。
課題は、やってあれば多少のプラス点。
丸写しは大幅減点の対象とする。
テキスト・授業スライドの丸写し
図は手書きでもよい。コピペはダメ。
友達のレポートを丸写し
過去の先輩のレポートの丸写し
例年、課題を丸写しで出す人がいる。バレバレなのでやめましょう。
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評価:出席点9点,成績点10点(発表3点,レポート7点)
成績評価に関して
授業中に議論に使うスライド
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J/ψ質量再構成のヒント
Z→μ+μ-の場合 MZ に比べてMμは非常に小さいので次のように近似できる
Zのときは運動量が大きいμ粒子を見ていたが、J/ψ崩壊のμ粒子はそれほど運動量が高くないので、Z粒子のときと同じ近似が成り立たない。
各自、両方の正確な式・近似式両者を試して実感してほしい。
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2体崩壊する粒子の不変質量(2)
4元運動量の内積はローレンツ変換の不変量
粒子の静止系(粒子が止まって見える系)では
2体崩壊する前後でのエネルギー・運動量保存から、
ローレンツ不変であることを使うと、mX
mb
ma
軽い粒子の質量測定には、近似しない式を使う