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コラム:LDL と HDL、心臓リハビリとの関係性
基準値: 65~139mg/dℓ
全身の末梢組織へコレステロールを運びます。コレ
ステロール自体はホルモンやビタミン D の生産など
生命維持に必要な物質ですので 80%は体が合成して
います。しかし必要以上にコレステロールを多く摂
りすぎると動脈硬化の原因になります。
令和 2年 4月 第 32 号
血液検査結果から心臓病態を理解する
心臓は臓器の中でも体の中心にあり、循環器の司令塔です。心疾患は多くの場合、無症状で進行するため実際
に病気になるまで気づかないことが多くあります。またほとんどが他臓器や血管状態の影響を大きく受けてい
ます。今回は特に影響を及ぼしやすい脂質系・糖代謝系・腎臓系に大別し、病気を早期発見・早期治療するた
めの目安として血液検査が大変役に立つことをお伝えします。
基準値:50~149mg/dℓ
高値の場合、脂質異常症と診断される可能性が
高く、その多くで肥満がみられます。
動脈硬化が進行すれば心筋梗塞・狭心症などの
合併症を発症する危険性があります。
中性脂肪
基準値:男性 40~85mg/dℓ ・ 女性 40~95mg/dℓ
余分なコレステロールを肝臓に戻す作用があります。
数値が高いほど動脈硬化の抑制効果があります。
中性脂肪過多や喫煙で数値が低下します。
HDL-C
基準値: 4.7~6.2%
ヘモグロビン(赤血球の赤い色素で酸素を運ぶ)の中
で糖質と結合したグリコヘモグロビンの割合を調べ
る検査です。赤血球の平均寿命が約 120 日のため直
前の食事や運動を行っても影響を受けず、採血時か
ら過去 1~2 ヶ月間の平均的な血糖の状態を測定で
きます。
HbA1c 基準値: 60~110mg/dℓ
血液中に含まれるブドウ糖濃度を測定しています。
高血糖状態が続くと血管障害を引き起こす原因に
なり、動脈硬化の進行や糖尿病、神経障害を引き起
こします。動脈硬化は心臓だけでなく、全身に影響
を及ぼすので脳血管疾患や腎・肝疾患といったその
他の病気を招く危険性があります。
(空腹時)血糖値
血液検査と心臓リハビリ
LDL は血中にコレステロールを運ぶ際に肝臓から分泌さ
れます。コレステロールが血中に増えすぎると余ったもの
が血管壁に取り込まれ、これが動脈硬化の原因となりま
す。HDL は血中に余ったコレステロールを肝臓に戻す働
きがあります。HDL のみを増やす食品はありませんが、
継続的に運動することで中性脂肪が燃焼し、HDL が活性
化します。日本動脈硬化学会によると HDL は既に動脈硬
化を起こした血管からもコレステロールを抜き取る作用
があると言われています。
肝臓
食べた
エネルギー 消費した
エネルギー > 余った
エネルギー
が中性脂肪
肝臓
LDL-C
公益財団法人 浅香山病院リハビリテーション室
リハビリ通信
基準値:90 以上
腎臓の中の糸球体が 1 分間にろ過している血液
の量のことで、「年齢」「性別」「クレアチニン値」
から計算できます。慢性腎臓病の進行度を測る目
安にもなります。
基準値:男性 0.7~1.1mg/dℓ ・ 女性 0.5~0.9mg/dℓ
腎臓の糸球体ろ過能を測定します。クレアチニン値が高い
場合は腎臓のろ過・排泄機能の低下をもたらす疾患が疑わ
れます。腎臓の機能低下は循環不全であるため心不全の影
響も原因の一つとして考えられます。
eGFR・推算糸球体濾過値 クレアチニン
心臓リハビリは筋力を改善し、フレイル(高齢者の筋力や活力が衰えた段階)の予防、心臓疾患再発予防にとても効
果があります。過去に心臓疾患の持病をお持ちであったとしても、運動療法により心疾患発症後に低下した筋力を少
しづつ戻すことができます。心臓リハビリを継続することで、動きやすくなり代謝量も向上、心疾患の再発を防ぐととも
に、生活習慣病を予防し、自分らしい生活を維持(健康寿命を延長)することが可能です。これは急性慢性心不全診療
ガイドラインにて科学的根拠があるとして強く推奨されています。
基準値: 18.4pg/dℓ 以下
心臓の血液を全身に送り出す心室の負荷を反映します。
BNP が高値だと心臓に負担がかかっていることになります。
BNP
A様(仮)
ここに来るようになってから調子が良いので毎回
来るのが楽しみ。どんどん力がついている気がします。
歩くのが早くなったし姿勢も良くなったと思います。
参考文献:奈良信雄/検査値パーフェクト辞典/ナツメ社 ※1 Belardinelli R,et al:Circulation,1999,99,1173-1182
心臓リハビリ 14 週目
文責…リハビリテーション部 今井宏彰 監修…浅香山病院 心臓リハビリチーム&室⾧
B 様(仮)
リハビリをして検査値が良くなり、体力もついて自信がつきました。
仕事も入院前と変わりなくできています。食事も栄養指導で教えてもら
って自分なりに工夫して身体に良い食べ方が出来るようになりました。 心臓リハビリ 72 週目
当院の心臓リハビリでは医師の指示の元に運動
リハビリを開始し、同時に栄養士の栄養指導や薬
剤師による薬の情報提供も行います。こうして医師
や看護師、薬剤師、栄養士、リハビリが患者様の
健康管理をサポートするチームとなります。
※1