la madrugada vol.3
DESCRIPTION
something about shoesTRANSCRIPT
![Page 1: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/1.jpg)
La Madrugada 2015/09/29
さようなら、夏。 またいつか。
![Page 2: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/2.jpg)
沖縄へ、敬意を込めて。
この南の果て、沖縄に移り住んでから、今年で5回目の夏を迎えた。 毎年毎年、殺人的な太陽に肌を焼かれながらも、私は沖縄で多くを学んできた。嫌でも汗をかき日焼けをし、この蒸し暑さに抗いながら毎日を生きてきた中で、日々変わる情勢を、この目で見つめてきた。 沖縄は、とても複雑でデリケートな問題を抱え続けてきた土地だ。 基地はいらないし、抑止力なんて馬鹿げているかもしれない。しかし現実的に考えると、基地がないと沖縄は、あの悲しい歴史を繰り返すことになりかねないのかもしれない。沖縄は、嫌でもアメリカと共に歩んできた土地だ。例えば君がのび太くんだとして、ジャイアンと簡単に絶縁できるのだろうか?玩具をジャイアンに差し出すのを、断れるのだろうか?(このたとえは壊滅的にへたくそだけれども) やはり、世の中に真の正解なんて存在しないのだ。
沖縄の人たちは優しいし、愛が強い。自分の家に、土地に、誇りを持っている。それゆえ、ナショナリズムに滅法よわい。絵の具の白、そのものだ。なんて儚い、悲しい、優しい世界なのだろう。
本誌の発行日、9/29をもって私は、この第二の故郷とも言える沖縄を去ることになった。人生の重要な期間を、沖縄で過ごせてよかったと心底思う。複雑でデリケートな問題に向き合う機会を得ることができて、よかった。この土地で生活することで、自己愛とは何か、平和とは何か、策略とは、共存とは何かを学び取ってこられたと思っている。 しかしそれも、一旦、リセット。経験を大いに活かして、ステップアップしていくつもりだ。沖縄も、ステップアップしていくと良いな。
さようなら、夏。 またいつか。
2015年 晩夏 沖縄県宜野湾市にて
![Page 3: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/3.jpg)
靴の日エッセイ
Gli occhi possono mentire, un sorriso sviare, ma le scarpe dicono sempre la verità.
目は偽ることができるし、微笑みは当を得ないけど、
靴はいつも本当のことを語る。
KUTSUNOHIESSAY
![Page 4: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/4.jpg)
靴は真実を語る
ナンパ師の目線の先に
有名な話で、ナンパ師が獲物を選ぶ際に、何を基準にしているのかというものがある。多くの人間を観察してきた彼らが真っ先に答えるのは、『靴』という答えだ。性格は靴にでる。靴が汚い女性は、性格もだらしないらしい。上記の諺も、女好きのイタリア人による諺である。
Chi viaggia con le scarpe d'oro, può arrivare sino alla fine del mondo. 黄金の靴で旅する者は、世界の果てまで行きつける。
これもイタリアの諺だ。
つまり、お洒落は足元から。
よい靴、綺麗な靴は、貴方をよい場所に連れて行ってくれるに違いない。
KUTSUNOHIESSAY
![Page 5: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/5.jpg)
革が化けると書いて、靴。
漢字だと、紳士靴みたいなピカピカの靴がイメージされる。
KUTSUNOHIESSAY
![Page 6: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/6.jpg)
これが平仮名でもなかなかイカす。
くつ
どちらかと言えば、「く」にアクセントを置いて読みたい。
平仮名だと、やはりスニーカーだろうな。
無地のバンズやらコンバースが浮かんでくるようだ。
KUTSUNOHIESSAY
![Page 7: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/7.jpg)
片仮名だと、また違う側面が見える。
月の裏側を見てしまった秋の夜長を思わせる背徳感である。
クツ
長靴みたいなエナメル地の、無骨で実用的なクツ。
ロマン、極まる。
泥を寄せ付けぬ、作業履。履きつぶしてやりたくなるイメージ。クツ。
ESSAYOFTHEDAYOFSHOES
![Page 8: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/8.jpg)
新しい靴は、あなたを新しい場所に連れて行ってくれる。
古い靴もまた、あなた懐かしい場所へと誘ってくれる。
明日はどの靴履いていこう。
ESSAYOFTHEDAYOFSHOES
![Page 9: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/9.jpg)
![Page 10: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/10.jpg)
![Page 11: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/11.jpg)
La madrugada #3 2015年 9月 29日 Web版発行
編集 Shiba-dog
写真・文 Shiba-dog
本誌はフォトエッセイの為、予算の都合上なかなか書面化を致しておりません。ISSUUにて公開中のWeb版が、もしお気に召しましたら、下記までご連絡ください。喜んで、印刷版をお送りいたします。
Mail: [email protected]
編集後記 楽しかった過去のこと。今日のこと、これからなにが起こるのか。明日のこと、明日なんて来るのか。将来は何になろう。ごはんは何にしよう。新しいコーヒー豆、何買おう。そんなことを沖縄で考えられるのも、あと数日となってしまった。くだらない1日、1日が、とてつもなく愛おしい物であると気付きながらも、僕は歩みを止めない。正確に言えば、止めることができないのだ。 狂おしいほどに愛おしい若年期を、前へ前へと突き進むための武器、くつ。 今回は、大好きなくつに着目してみた。なんてことはなく、着想は、新しく買ったドクターマーチンからである。新しい靴は、あなたを新しい場所へ導いてくれる。人生のちょっぴり先輩である彼女は、そう言っていた。まちがいない。僕は新しい場所へ、新しいことをしにいくために、ドクターマーチンを手にいれたのである。(ほんとうは、店員さんが好みで好みでしょうがなくて、勢いで買ってしまったなんて口が裂けても言えまい。) 何はともあれ、これが留学前の、ほんとうに最後の沖縄からのメッセージである。楽しいことも苦いことも教えてくれた沖縄よ、さらば。また会おう。
(アヘアヘ編集長 Shiba-dog)
![Page 12: La Madrugada vol.3](https://reader034.vdocuments.net/reader034/viewer/2022052705/57906f3e1a28ab687497ef06/html5/thumbnails/12.jpg)