lighterplus vol.04

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書き手の“writer”と、火をつける“lighter”の意味をリンクさせて「これを読む“誰か”の日常生活に、灯をともすことが出来たら」というコンセプトのもと立ちあげました。

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Page 2: LIGHTERplus vol.04

目 次

恋の駆け込み寺 「恋児のノッキン・オン・ユア・ドア」リレー小説 「憂鬱バー」編集後記

特集

線路はつづくよ どこかまで

「世界遺産 古都アユタヤをめぐる」

料理レシピ

映画レビュー

「はらぺこkitchen」 vol .4 ねぎ

「はじめからシネマ」 ダーリンは外国人

KUNIYOSHI UTAGAWA歌川国芳

RISA KUMON 4歳の頃に病気により失明、奇跡的に視力回復後も視覚障害を持つ。

このことをきっかけに音楽教育を両親から受け、カリフォルニアへ音

楽留学後、沖縄に移住。Jazz や、R&B など、様々なジャンルで活躍。

2012 年6月にはハウステンボスで、有名フローリストの中村有孝と

豪華演奏者達とのコラボレーションショー「お花と音楽の饗宴」でス

テージ監督、メインシンガーとして参加。また、RISA のプロデューサー

であり、夫である RORO の New Demo Album にもシンガーとして

参加。只今、Jazz cover と New album “International Lover"

produced by RORO のプロジェクトに取り組んでいる。

詳しくはこちら→ http://www.risakumon.com

 今、ネット上で話題を集めているフロリダ州オーランド出身の Hip-

Hop アーティスト兼プロデューサー RORO。彼の父親リル・コーチー

ス (Little Ko-chees) をはじめ、数多くの有名アーティストを持つ家

系に生まれ育つ。幼い頃からラップやビートを作り、数多くのアンダー

グランドミュージックプロダクションに所属し、複数のアーティストに

曲を提供、またプロデューサーとしても活躍。2008年に沖縄でシンガ

ソングライターの Risa Kumon と出会い、以後活動を共にするように

なる。RiSa と RoRo による初シングル『International Lover』は、

沖縄の多くの DJ やクラブシーンで支持され、数多くの Mix CD やラジ

オプログラムで取り上げられている。沖縄のアーティストをはじめ、世

界各国のアーティストのプロデュース及び楽曲の提供を行っている。

詳しくはこちら→http://roromusic.com

RORO(Producer/Rapper/Songwriter/Composer)

T O P I C Sp r omo t i on

"Road to Success"( 成功への道 )は今までRORO自身が歩んできた道のりを語っているアルバムであり、挫折、迷い、忍耐、前進と、今同じ道を歩んでいるであろう人達に向けての強いメッセージが曲に込められている。Jay-z, Kanye West, J-Lo 等々有名アーティスト達の数々のヒット曲をミックスしているエンジニアMaurizio Irko Sera( マルチプラチナムエンジニア部門受者者 )と ROROが一緒に手がけたクヲリティーの高い仕上がりとなっている。詳細→www.roromusic.com

RORO Demo Album「Road to Success」近日リリース !

"Fly me to the moon" や "Boy from Okinawa" などスタンダードな名曲をカバー。RISAならではの「声」で、落ちついた大人の雰囲気を感じさせてくれる一枚。詳細→www.risakumon.com

RISA KUMON "Risa Jazz Covers"好評ダウンロード中!

R2 Records [email protected]/R&B/POP 等曲の提供、オリジナル曲、ビート製作、プロデュース致します!初心者からプロまで臨機応変に対応します♪メールにてご相談・お問い合わせ下さい。

(Singer/Songwriter/Pianist)

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【TEL&FAX】078-576-9010【HP】http://www.issyuu.com

※日曜が祝日の 場合は月曜日

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歌川国芳(寛政9[1797]-文久1[1861])

KUNIYOSHI

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日本人であれば、江戸時代の浮世絵を知らない人はいないでしょう。一般的に知られている浮世絵師は「葛飾北斎」。『富嶽三十六景』や『北斎漫画』など、教科書にも乗っているほど知名度は群を抜いて高いですよね。しかし、浮世絵ファンならず、現代のデザイン関係者や若い世代に注目されているのが、「歌川国芳」。デッサン力はもちろんのこと、人並みはずれた奇想天外な発想力、目と心を掴まれるデザイン力は北斎にだって負けていません。浮世絵の枠に留まらない、自由で魅力的な作品を生み出した国芳のことを、その生い立ちや人柄、そして時代背景とうんちくを交えつつご紹介しようと思います。知れば知るほど観たくなる。国芳の魅力溢れる絵画、隅から隅までずずいとご堪能下さいますよう、お願い申し奉ります。                                 テキスト/adachinbo

UTAGAWA

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少年漫画の原点。躍動感ある武者絵。

表情豊かな役者絵。

国芳は、寛政9年(1797年)11月に江戸日本橋で生まれた生粋の江戸っ子。幼い頃から絵が好きで、12歳の頃、歌川豊国に認められ入門します。実力はあったものの名はあがらず、花が咲いたのは30歳の頃。なんという遅咲き。一躍脚光を浴びせたのが、『通俗水滸伝豪傑百八人之一個』のシリーズです。小説の挿絵を担ったんです。当時、水滸伝のブームや彫り物の流行だということもありましたが、国芳の魅力的で個性的な挿絵に、人々は心を躍らせました。それまでの武者絵にはみられなかった、小説の登場人物を一人ひとり描くといった企画は、武者絵の世界に大きな革新をもたらしたのです。よく観ると、集中線や効果線など、今の漫画にも使われている表現が多く使われています。漫画の原点ここにあり、です。これを機に、国芳は有名浮世絵師として躍進していくのです。

江戸時代の歌舞伎役者たちといえば、今で言うところのジャニーズなどのイケメンの人気アイドルたちのことです。役者絵は、そんな役者たちのプロマイド写真のようなもの、はたまたファッション雑誌とでもいいましょうか。その華のある凛々しい姿だけでなく、身にまとった粋で伊達なファッションは、江戸の女性たちの心を魅了し、男性たちはそれに習ってカブキをきめていました。みなこぞって、贔屓にしている役者の絵を集めていたそうです。

国芳の役者絵は、表情はもちろんのこと、しぐさや体つきは今にも動いて、粋な啖呵でもきりそうな迫力です。武者絵の描写もそうですが、卓抜なデッサン力を活かした国芳の役者絵の決めのポーズは、粋で格好いい。それに描かれた背景すらも、舞台から飛び出したような意匠が凝らされています。ちなみに下図は『南総里見八犬伝』を演じている役者たちの絵です。なるほどたしかに、それぞれの個性が良く出ています。彼らは、まるで少年漫画や少女漫画にでてくるような、力強く、美しく、何よりかっこいい。まさに憧れの存在です。

きっと、国芳も生粋の歌舞伎好きだったに違いありません。好きでなくちゃ、こんなに表情豊かな絵を描けるはずがありませんもの。舞台に向かって「ぃよっ!!待ってました!!三国一!!」なんて声を上げてる江戸っ子の国芳を想像しちゃいますね。

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ピンチはチャンス。国芳の本領発揮。

源頼光公館土蜘作妖怪図

華やかな錦絵の世界にもピンチがやってきます。天保の改革によって、役者絵や遊女・風俗の絵が禁止されていしまうのです。錦絵の出版界にとって大打撃のこの改革。なぜなら、人気ジャンルである好色本、歌舞伎役者の似顔絵、遊女や芸者の似顔絵、狂言、女子供の踊りなどが一斉に禁止となりました。しかも使う色は8色まで。見た目にも地味になっちゃいますよね。迫力がない。さらに、今まで1枚30文で打っていた商品が16文に設定するお達しが。売れば売るほど赤字になる、業界の人々はさぞかし生きた心地がしなかったでしょうね。

少し余談。実はこの改革のおかげで発達した技術もあります。それは藍の濃淡摺り。版木の枚数を増やさずに色の変化をつけられることから、このころに技術が飛躍的に発達しました。濃淡摺りは化政期に一時流行りましたが、天保の改革による版数の制限から再び使用されることになったのです。

さて、その最中、絵師たちはこれまで描いてきた絵を建て前上封印し、「錦絵は啓蒙教化を旨とすべし」という奉行所のお達しの通り、子供に教訓を示す絵、子供の遊びを描いた作品を生み出すことになります。国芳も例外ではありません。国芳の描く子供たちは、いい子も悪い子も、いじめっ子もいじめられっこも、小さな紙の中で力いっぱい大きくのびのびと遊んでいます。国芳は、かなりの子供好きだったのかもしれません。暖かい眼差しで子供たちを見守る国芳の姿が目に浮かぶようです。

            これは天保の改革の行われていた天保14年に国芳が描いた3枚続きの風刺画です。土蜘蛛(つちぐも)が、頼光(らいこう)を困らせているという絵です。ですが実の所、土蜘を天保の改革に見立てている風刺画。この悩んでいる頼光は12代将軍家慶(いえよし)。その下で威張っているのが、老中・水野忠邦(みずのただくに)だと言われています。天保の改革(1841~1843)は、老中・水野忠邦が行った幕制改革です。庶民の風俗も厳しく取り締まりました。 つまり天保の改革を推し進めた張本人です。背後で蠢いている妖怪たちは、不満を募らせた民衆といった所でしょうか。亀の妖怪は、当時、鼈甲(べっこう)が贅沢品だからといって取り締まわれた恨み、ろくろ首は話し家、つまり寄席(よせ)話の演目が制限された恨み、さらに当たりと書いてある提灯の妖怪が富くじが禁止された恨みです。楽しみを奪われた民衆のうらみたるや、くわばらくわばら。

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とまあ、あの反骨精神の強い国芳が、もちろん大人しく子供の絵だけを描いていたわけがありません。改革の一年後、国芳は他の有名浮世絵師と共に奉行所に呼び出しをくらします。奉行所が彼らに念を押すためです、「ホントに描いちゃダメだからね」と。

これまた余談ですが、このメンバーの中には歌川広重もいました。広重は生涯を通じて風景が多い浮世絵師なのですが、それでも当時の流行りの団扇絵や、美人画を描くことが多かったことから同類とみなされ、国芳同様呼び出しをくらっています。これを読んでわかるように、浮世絵は「売れて何ぼのイラスト商品」だということがわかりますよね。好きなもの得意なものを上手に描いても、大衆からの受けが悪ければおまんまが喰えやしない。しかし、お気の毒です。

さてさて、「描いちゃダメだからね」と言われた国芳。その言葉が返って、国芳の無限のアイデアを引き出したのでしょう。この頃の国芳は、きわどい風刺画やだまし役者絵を描くようになります。例えば、ただの葱売りと称して実は歌舞伎役者の似顔絵を描いたり。はたまた人気役者が猫に金魚に変身して登場。結構、やりたい放題。見てるこっちの方がヒヤヒヤもんです。もちろん、お奉行様も黙っちゃいません。天保の改革は大変厳しくて、こうやって風刺された物はすぐ当局の目に止まり「だめじゃん」という事で絶版になってしまいます。国芳に関してはたまに罰金も払わされているんです。しかし、国芳は反骨精神の強い江戸っ子の浮世絵師。何度お咎めを受けようが、似たような風刺画を描いています。なんとまあ、将軍と大奥の内情をおちょくっている絵も描いていて、もちろんのこと絶版をくらっています。お命、よくぞご無事で。この行動のおもしろいところは、国芳一人の行動ではないということ。国芳という落款(らっかん)の隣に彫竹ある絵があるんですが、掘り師の名前まで彫ってあるんですね。つまり、浮世絵そのものがチームだったんです。国芳や他有名浮世絵師を部長においた、浮世絵関係者全員のプロジェクトチームで戦っていたんです。なんて熱い!!

よくみると、亀も魚もなんだか人間の顔に見えませんか。しかも一人ひとり違っていて、どの顔も濃い舞台顔。ちょっと気持ち悪い。一時期流行った人面なんたらみたい。そうです、これみんな役者の顔になっているんです。当時の役者の顔はわからなくても、この絵を見ていると当時の流行の役者の特徴が伝わってきます。

また、まるで落書きの様なタッチで、それぞれの役者を暗示する文字や記号が書かれているのは『荷宝蔵壁のむだ書』。タイトルの「荷宝」は「似たから」にかけているようです。特徴を良く掴んでいるんでしょうが、その表情に笑っちゃいます。ここにもまた、漫画の原点ここにあり、です。

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笑いもお手の物。戯画。

左はひらひらと泳ぐ、かわいい金魚の影絵ですが…実は、玉袋を広げたたぬき。それに押しつぶされている猟師の図。しかし、立派な玉袋だこと。

天保の改革が行われた頃、国芳はパズルのような影絵なども生み出しています。そのユーモア溢れるウィットに富んだセンスは、大衆にはもちろんのこと、同業の絵師のど肝を抜き、楽しませたことでしょう。

だって、今観てもおもしろい。

もっとも有名であろう影絵である「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」は、国内外問わず、様々な人たちがオマージュ作品を捧げています。実際に、生身の人間だけでこの作品を作っていた集団を拝見した時は、驚きや尊敬を差し置いて、まずは笑ってしまいました。時代を超えて親しまれる国芳の遊び心には、脱帽です。

ルールがある中で、誰もやっていない、そして多くの人々に支持される作品生み出すことのできる国芳。まさに、グラフィックデザイナーのさきがけ、といったところでしょうか。

其面影程能写絵/猟人にたぬき・金魚にひごいっ子大国様の姿を、他の六福神の姿を組み合わせて構成。 さて、どの部分が どの神様か、お分かりでしょうか?

開運出世合体七福神

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迫力と愛らしさ動物画。

仮名読八犬伝 二十編 袋仮名読八犬伝 七編 裏表紙仮名読八犬伝 初編 裏表紙国芳は猫好きで知られています。その作品も多く残されていますが、それはさておき…

犬かわいすぎるやろっ!!これを観ていると、猫好きの私としても胸の中でぎゅっとしたくなる衝動にかられます。犬かわいいよ犬。現代の女性の心さえもわしづかみしちゃうワンちゃんたちでした。

かっこいいもかわいいも、怖いもおもしろいもこなしてしまう国芳の画風は、動物たちを描いてもその力を発揮します。上図「龍宮玉取姫之図」。やんごとなき理由で海女は海に潜り、龍宮から龍神に奪われた宝玉を奪い返すのですが、龍神を守る竜や眷族に追われます。それを描いたものですが、龍神のうねるように海を張って迫る姿や、海女を追う剣幕たるや、観ているものの背筋がちりちりと凍るような焦燥感と恐怖を感じます。

私の尊敬する作家「杉浦日向子」先生の「百日紅」という漫画に、国芳(中央手前)が登場するのですが、そこで北斎(一番奥)の娘お栄(左手前)に龍の描き方を伝授するシーンがあります。そこでは、国芳はこう諭します。「龍はコツがありやす。筆先でかき回しちゃあ弱る頭で練っても萎えちまう。コウただ待って…降りて来るのを待つんでさ。 来たてぇとこで一気に筆で押さえ込んじまう。他の生き物たぁ違うんでね、とらまえ方もちがいやす」(原文ママ)実際にこう言ったのかはもちろん不明ですが、確かに国芳の龍を観ていると妙に納得してしまうセリフです。他の動物からは感じ取れない、畏敬の念を感じるようです。しかし、杉浦先生もこのセリフ、「降りて来た」代物なのでしょうか。

さてさて、国芳は前述のような動物だけでないから面白い。愛くるしい擬人化された動物たちも魅力です。下の動物たちは十二支の擬人化。普段、動物とは真顔が常ですが、表情が豊かで面白い。ワンシーンを切り取ったに過ぎないこの絵に、多くのストーリーが隠されていて、観ているものを楽しませてくれます。動物界では勝者にあたる肉食の虎でさえ、何かに慌てふためている姿は滑稽で、愛らしささえ感じます。

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観ると呪われる気がする。国芳の妖怪。妖怪画の絵といえば北斎ですが、国芳の絵もなかなかにおそろしい。私が特に好きなものは、左下の海坊主。ず~っと観ていると、ぞわぞわっと恐怖に襲われます。右下の幽霊は、人間で作り上げられた女のかわいらしい幽霊ですが、いやはや、それでもなんだかおそろしい…。

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キャワワ!! 萌えるぜ金魚。

西洋の技法も取り入れた新しいもの好きの国芳。

これは、最近イタリアで発見された、天宝末期の金魚の戯画シリーズ「きん魚づくし」。機知のきいた擬人化、ほのぼのとした情調で描かれた、国芳の傑作です。世界的にもわずかな数しか残されていない稀少の作品。

…と、能書きはここまでとして、か、かわいい!!まんまるの体に赤がさし、ころころと動き回っている姿がなんとも愛くるしい…。ストラップがあったら是非手に入れたい…っ!!

ほとんど残っていないという稀少な作品といいますが、当時の江戸では、浮世絵などは流行り廃りの商業イラスト。飽きたイラストは、包み紙にされてしまうほどの価値しかありませんでした。現代で例えるなら、情報誌や漫画雑誌のようなものでしょうから、後生大事に保管している人などは、ほとんどいなかったのでしょうね。現代でいえば、週刊少年ジャンプを集める人、になるんでしょうか。なかなか少数派でしょう。日本人が新しいもの好きというのは、何も今始まったことではないんですよね。しかし、とにかく、日本の文化を貴重とし、大事に保管してくれていたイタリアの人、ありがとう!!

近年の研究で、国芳がオランダの書物『東西海陸紀行』を手本として、自らの作品にそのモチーフを取り組んでいたことが明らかとなりました。左が手本となった『東西海陸紀行』。そして、それをもとに生み出されたのが『忠臣蔵十一段目夜討之図』。いつもの自由で力強いタッチではなく、忠実に書き写しを試みているようで、国芳が描いた作品には見えません。本当に手習いといった感じ。幕末という諸外国の文化が鎖国していた日本に流れてきた時代に、その新しい文化を自分のものにしようという貪欲で好奇心溢れた試みが国芳らしいですね。

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結構毛だらけ、猫だらけ。墓まで建てちゃう猫好き。国芳といえば、無類の猫好きで知られています。常に十数匹の猫を飼い、お気に入りの猫は、常に懐にしまいこみ絵を描いていたと言われています。なくなった猫にはそれぞれお墓まで建てています。家にはその仏壇があり、猫の過去帳まであったとのこと。門弟たちはその行動に、相当困惑したそうです。そりゃ、絵を描いている最中に、その紙に乗られたりしちゃったら、ねえ。というわけで、猫の作品がかなり多く残されています。その格好や表情は、猫を飼っている者にしかとらえることのできないものばかりです。猫特有の憎らしい表情も、国芳の鋭い観察力のたまものでしょう。にらみ合う猫たちの気迫や勇ましいこと。獲物を見つめる猫の背中の愛くるしいこと。こっちを真顔で見つめてくる表情が憎々しいこと。丸くなっている猫のふくふくしいこと。子猫の愛くるしいこと。擬人化された猫たちは観るものを笑わせ、化け猫は恐怖を与え、女性に抱かれた猫は心を癒してくれます。

国芳の描く猫を観ているだけでも、一日かかってしまうほど作品は興味深く、何よりその作品数が半端なく多い。いたるところで猫が描かれています。特に斑猫が多く描かれていますよ。どうやら、斑猫が特に好きだったようですね。

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さてさて、最後までお付き合いありがとうございました。国芳の魅力が少しでも伝わったでしょうか。有名な浮世絵師なだけに、多少のプレッシャーを感じます。まだまだ語りきれていない部分がありすぎて名残惜しいですが、残りはあなた自身で実際に探して観て下さい。「浮世絵とかまったく知らない」そんな方がいたのなら、一度「歌川国芳 猫」「歌川国芳 戯画」で検索してみて下さい。思い描いていた「浮世絵」のイメージを、いい感じにぶっ壊してくれます。それが、歌川国芳のいいところ、なんですよね。最後に、私のお気に入りを。「福禄寿 あたまのたはむれ」です。子供と遊ぶ、七福神の一人福禄寿。おちゃめでかわいいでしょ。

大好きな猫と、大好きな地獄柄の羽織りを来た後姿の国芳。

国芳の遺した自画像は全て後ろ姿で、自らの顔は描いていません。

幕末の奇才浮世絵師は、自画像の中でも職人肌の典型的な江戸っ子であったんですね。国芳自画像

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いちばん気になる場所を

手帳のペンで塗って下さい。

手帳とおんなじ色と筆圧、

気負わず、楽しく、適当に。

それが塗り絵の入り口です。

完成はとても遠いのです。

楽しいほうがいいのです。

「今日の予定」と同じです。

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小澤 有希子書籍の装画と挿画の仕事を志す画家。高校と大学で日本画を学んだ後、カメラマン助手、デザイナー、高校教員

などを勤めながら制作。現在は絵画制作の他に出張講義なども行っており、その目的は「絵を観た人に『気付き』

を得てもらう」こと、「絵を描くこと・見ることの面白さに『気付く』体験をしてもらう」こと。作品を持ち寄り交流する

イベント「エミール会」主催。好きな作家はブッツァーティ。http://89cm.net

Page 18: LIGHTERplus vol.04

古都アユタヤ

世界遺産

をめぐる

【アユタヤ概要】

 チャオプラヤー川に囲まれたタイ

中部に位置する都市アユタヤは、そ

の地形から水運に恵まれ 17 世紀は

じめにはヨーロッパと東アジアを結

ぶ国際貿易都市として繁栄しました。

 1351 年にウートン王によって建

都されてから 1767 年にビルマ軍の

攻撃で滅亡する 417 年間、タイの

中心であり続けた都市は1991年

にユネスコの世界遺産に登録されま

した。

写真・文 / ホンダジュンコ

Page 19: LIGHTERplus vol.04

補強のみ?で生活をしているということでしょう

が台風や大雨で被害を受けないのか少々心配…。

        カラフルな色をした壁や屋根、

          画一的に並んだ家をバスの

          中から見ているとミニチュ

           アの世界にいるみたいだ

           な、なんて思ったり(笑)

          車中から見る色んな景色も

         ぶらり旅行の醍醐味ですね。

    られること約1 時間半、雑多な建物が多

    かった街並みの景色から、緑の草木や稲

作を行っている水田に囲まれた家が佇む、なんと

ものどかな情景に変わっていきました。

 アユタヤは稲作の代表地域でもあるそうで、そ

う言われてみればいかにも農作業をしていそうな

女性たちを見かけたり、人が乗れば壊れそうな橋

を入り口とした家や日本でいう高床式のような作

りをした家が多く見えました。柱や板で最低限の

▲看板や標識のデザインまで、なんだかオシャレな感じ。

    ンコクから北へおよそ76㎞、

チャオプラヤ川を北上するア

ユタヤ行きのバスの中から「世界遺産

古都アユタヤの旅」は、始まりました。

バアユタヤへ

いざ出発☆

Page 20: LIGHTERplus vol.04

仏像と一緒に

写真を撮るときは

自分の頭が仏像よりも

下の位置になるように

座って撮りましょう

    ユタヤと言えばコレ、有名なワット・プ

    ラ・マハタート。ビルマ軍によって破壊

された仏塔や仏像の中で、この仏頭だけがビルマ

軍の持ち帰りを逃れ、長い月日をかけて木の根に

包み込まれていったと言われています。仏像の顔

は、幾度の争いに巻き込まれたとは思えないほど

安らかな表情で、木の根が優しく抱きかかえてい

るようにも見えますよね。

上/大きな仏塔跡は、レンガ積み

の基礎部分だけが残った状態。

下 / 今にも倒れそうな柱の数々。

風化というものを感じさせる。

取り替えられたばかりの黄色い布を羽織り

優しい顔をした仏像に、思わず見とれてしまいます

Page 21: LIGHTERplus vol.04

上/見るも無残にも、首から上が

ない仏像が並んでいる。

下 / カメラを向けるとわらわらと

集まってきてくれる女の子たち。

    ット・プラ・シー・サンペットは先ほど

    のワット・プラ・マハタートから少し離

れた場所にあります。1491年に建立され、王室

を守護する最も権威ある寺院とされていたそう。

 そもそも、アユタヤの遺跡は東西約 6km 南北

約 4km の川に囲まれたアユタヤ島と呼ばれる中

州とその周囲に集中しています。その狭い範囲に

スリランカ形式の仏塔やクメール(カンボジア)形

式の仏塔などが点在しているんですよね。そのこ

とからもアユタヤは様々な国との交易が盛んだっ

たという歴史の裏付けとともに、多様な文化を独

ワ    を切り取られた銅像が多く見られるので

    すが、これはビルマ軍が勝利の証にと、

仏頭を戦利品として持って行ったというのが定説

なのですが、仏頭には装飾が施されていたため宝

石や金が塗布されていたそうで泥棒の手によって

破壊された仏像も含まれているそうです。

 現在、美しい黄金の仏像や木彫りの扉など遺跡

から出土した宝物はチャオ・サーム・プラヤー国

立博物館で展示・管理されています。

つり鐘のような円錐の仏塔はスリランカ形式で、

トウモロコシのような仏塔はカンボジア形式だそう

自に融合させてきたことがわかります。

Page 22: LIGHTERplus vol.04

    界遺産登録されるまでの約 500 年もの

    間、アユタヤの遺跡は野ざらしにされて

きました。また、2011年の大洪水では1mほど

水に浸かるという大きな被害も受けています。

 ビルマ軍によって滅亡を辿ることになったアユ

タヤ朝は、自然の風化や災害などで今この間にも

どんどん崩壊しています。青々とした草木とは対

照的な建築物をカメラ越しに写すと、なんとも言

えない抒情を感じました。

    栄と衰退の時代を一度に感じられる、素

    晴らしい世界遺産、古都アユタヤ。今後

も風化していく観光地として重要視されていくで

あろう魅力が少しでも伝われば幸いです。

アユタヤへの行き方

【鉄道】バンコクのフアランポーン駅発、チェンマイまたはウボンラチャタニー行きが1 日 15 本(所要約 1 時間半)

【バス】バンコク北バスターミナル発(所要約 1 時間半)

【船】バンコクのシャングリラ・ホテル前とリバーシティショッピングセンターのボートツアーセンターから数社によるリバークルーズが毎日運航。チャーターも可能。

Page 23: LIGHTERplus vol.04

アユタヤへ向かう出発点はバンコク。寺院や仏像巡りはもちろんですが

ほかにも面白いスポットや優しい人たちとの触れ合いに感動しました☆バンコクも楽しもう☆

ボートで

移動する

マンゴスチン

ちょーうめぇ

     街中を南北に流れるチャオプラヤ川沿いの移動     はボートが便利です。十数人ほどしか乗れない    ほどの小さなボートに次々乗り込んでくる様子に沈まないかという心配と、なぜだか面白いワクワク感!笑

 ビニール袋いっぱいのマンゴスチンで約 100 円。 下の魚はさすがに挑戦できず…

 ナイトマーケットを楽しもうとブラブラしているとスコールが!大量の雨粒が一瞬のうちに落ちてきて、あたり一面ビショビショに…。 買い物は安く楽しく、満足いくものをたくさん購入できました!店員さんとのやり取りも楽しい◎

 タイの松田聖子に会えるということで行ってきましたオカマショー!顔もスタイルも良く、さらに愛嬌やサービス精神までも最高な彼女たちには何一つ勝てるところがありません。最初から最後まで同じテンションで楽しむことができました。

 大人気パワースポットのトリムルティの祠。恋の願いが成就するとか!恋する乙女は要チェック☆

もっのすごい

スコールに

遭遇…

お祈りに

マジで必死な

女の子たち…

有名な

M A N B O行ってきました

Page 24: LIGHTERplus vol.04

「好きだから何とかなる」じゃなくて

「好きだから何とかしたい」という、

割と能動的な二人が様々な問題を乗り

越えながらハッピーエンドを迎える映

画。

出身がどう、価値観がどうとか、そう

いうのばかりに拘るのではなく、自分

と全く同じ人間はいないということを

根底から理解し、相手に対する思いや

りを持つ、ということが大事なんじゃ

ないかなと。

どうしても忙しい毎日を過ごしている

と自分中心に物事を考えがちですが、

そういう時は温かいミルクティでも飲

みながら一息つき周りを見る時間も必

要だなぁと…。そう思わせてくれる映

画でした。

国際結婚は難しい、というけれどこの

映画を見ると国内だろうが国際だろう

が、結婚とは「その人」と繋がること

に意味があるんだ、ということを教え

られる。

日常の文化の違いも、些細なケンカ

も思わず笑えちゃう。親族さえも巻き

込んで、ハチャメチャなように見える

結婚生活も2人のスタイル。つまりカッ

プルの数だけドラマがある、ってこと

は私も主人公に!?と思わず自分もキャ

スティングしちゃいそうな感覚にさえ

してくれる映画。

原作の漫画はウン百回読んで笑った

けど、映画でも涙あり、笑あり。でリ

ピート必至ね。

本国の人間が気にもしない「習慣」や

「言い回し」を、外国人目線で面白お

かしく表現してくる本作。大事な場面

で「外国人」が原因の喧嘩を始めるが、

実のところよく観ると「外国人」が問

題ではない。どんなカップルにでも起

こりえる問題を、主人公のさおりは「ダー

リンが外国人」だからと言い訳する。

そんなシーンに少し苛立ってしまった。

しかし、自ら作った逃げ道も両家が塞

いでくれる、ジンと笑える脚本。キャ

スティングが豪華という点でも観る価

値あり。ご本人達も登場してます。

この映画は「痛い話?」「これってハッ

ピーエンディング?」いえ、度肝抜か

れるエンドです。しかしこの二人、何

して暮らしてるんだろ。謎だわ。

大事なのは相手を思いやる心

ホンダジュンコのつぶやき Marinekoのつぶやき adachinbo のつぶやき

結婚とは「人と人」との繋がり

恋人がたまたま外国人それが可笑しく愛しい

シネマ

第四回上映作品「ダーリンは外国人」 はじめから

あらすじ

漫画家を目指すさおり(井上真央)と、漢字の美しさに一目ぼ

れして来日したアメリカ人のトニー(ジョナサン・シェア)。

ふとしたことで知り合った二人は、やがてつきあうことになり、

同棲生活をスタート。

しかし、さおりの父・正利(国村隼)がトニーとの交際に反対し

たことをきっかけに、さおりとトニーの心がすれ違い始まる…

主演 :井上真央、ジョナサン・シェア   国仲涼子、國村隼、大竹しのぶ 他原作 小栗左多里監督 宇恵和昭 脚本 大島里美

Page 25: LIGHTERplus vol.04

マイスター恋児の

甘酸っぱいわぁ~♪甘酸っぱすぎて、全てを知ってしまった私には、味わう権利はない

わぁ…くやしい☆どうやら、とにかくデートに誘うべきみたいね♪私なら、彼の目を

見つめてサ☆イ☆ンを出すけど、もしかしたら彼女も出してるかもしれないから、絶

対見逃しちゃだめよ☆もしダメでも、私が付き合ってあ☆げ☆る☆チャオ♪

きゃぴぽ!わっしょいわっしょい、恋はいつでもお祭り騒ぎ、恋児よ。

なんとなんと、今回、初の男の子からのお便りきましたわ~~ん! ! ! !

どうやら、夏しちゃったBOYみたいね。んもうっ! ! くやしい! ! でも、何

でも聞いちゃうわよん! ! だって、若い子好きだもの~~ん! !

夏休みに一恋やっちゃったみたいなんだけど、ウブすぎて進展なし! !

何・し・て・ん・の・よ☆私たちの出番ね♪気合いれなさい! !

奈良県 セントさん(16歳学生)

「初めて彼女ができましたが、 勇気がでなくてまだ手も繋げていません」

ノッキン オン ユア ドア恋の迷い子探しています

ホンダジュンコ先輩

Marineko先輩

adachinbo先輩

まずは、両想いおめでとうございます☆高校生の頃のデートって今は何が主流なんでしょうかね?

私なら街をブラブラすると仮定して「今日は手繋いでデートね!」って宣言後、ギュッと握られると嬉し

いかも。今日のデートのことを色々考えてくれてたのかなぁ?って嬉しくなるから。「あなたが彼女のことを好きで大事に思うように、彼女もあなたのことを好きで大事に思っている」(という当た

り前のことなんだけど)そこを考えれば、相手も手を繋ぎたいって思ってるはずだから、タイミング

とかは関係なくて、繋ぎたいと思った時に行動に移しても良いかもしれませんね。

私なら初デートってとこだけど、正直夏はNGね。だいたい手に汗かくでしょ?目は笑ってても彼女の心は「げっ、ヌルヌル…」な印象がこべりついて台無し。とにかく地元デートに誘ってみて。夕方がちょうど良いかも。私があなたなら、庭ともいえる地元の信号がいつ赤になるかだいたい分かるから、まず地元を歩く。んでメボシつけた信号「ガン見」。歩幅を調整して、タイミングよく赤に変わるチカチカタイムにこう言う!「ほら、変わっちゃうぞ!」と。後は彼女の手を握っていざ向こう岸へ!これで彼女もキュンとなること間違いなし!

学校一緒なんかなぁ。でも手も繋げないってことは、同じ位の年齢よね。え~~、もうこれ、学校の帰り道でしょ。一緒に帰ればいいじゃん、だって付き合ってんだから。もし帰る方向が違っても、ちょっと寄り道すればいいじゃん! ! 大丈夫大丈夫、彼女だって一緒に帰りたいだろうし、それなりに彼女も期待しているはず! !さりげなく手をぶつけてみな。そしたら目があうでしょ。そこでそっと、そしてぎゅっと握ってやれ。彼女、もっと君のこと好きになるぞ。雰囲気がよかったら、そのままチュ…とかなんとか。学生の時の放課後デートってのは、プライスレスやからね。青春楽しめよ、少年。

Page 26: LIGHTERplus vol.04

材料 (2人分)

・ご飯

・ひき肉(豚でも牛でも。うちは合びき)

・卵 1つ

・白ねぎ 1本

・青ねぎ 好きなだけ

・コチュジャン(なければ味噌と砂糖とラー油)・しょうゆ

・にんにく

・しょうが

・片栗粉

      適量

男子大好き肉味噌チャーハン

今回は今話題の「ねぎ」です。

旬の食材を使った

簡単レシピのご紹介♪

by adachinbo

まずはチャーハンを作る。

フライパンに多めに油を入れ、

溶いた卵をふんわりいためる。

しょうが、にんにく、

白ねぎを細かく刻む。

④熱したフライパンに油、

しょうが、にんにく、ねぎ

投入。

ご飯を投入。

軽く塩コショウして

混ざったら、皿に盛る。

香りがたったら、

ひき肉をいれいためる。

軽く塩コショウする。

火が通ったら、

コチュジャン、しょうゆで味付け。

(甘さと辛さは砂糖とラー油で)

最後に片栗粉で

とろみをつけ、

ご飯にのせる。

青ねぎをのっけたら完成。

白ねぎは淡白食野菜、青ネギは緑黄食野菜にあ

たり、それぞれ栄養成分がかなり違います。葉

ねぎには非常にたくさんのカロチンが含まれて

います。一般的にネギには疲労回復、冷え性な

どに効果があるといわれています。

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憂鬱BAR 「モヒート・マジック」

リレー式短編小説

作:ホンダジュンコ

次回 作者は、adachinboへ

第四話

 ―カランコロン

 重たいドアが開き、今日も私の店に客が

やってきた。

 「いらっしゃいませ。ようこそ憂鬱バーへ。」

「はぁ・・・」

 細くて背の高い男が、大きなため息を

つきながら店内に足を踏み入れてきた。

ガタイはしっかりしているようだが、背骨

は曲がり、肩はうなだれていて何だか見

てるこっちも憂鬱になる・・・というか、確

実に陰鬱な雰囲気を醸し出している。

 『近年稀にみる暗い人だなぁ・・・』

 お客様にそう思う私は店主として勿論

失格なのだろうが、私はプロなのでそれ

を顔には出さずにおしぼりを出す。

 「何になさいますか?」

 「あぁ、えっと・・・、じゃあハバナクラブ

の7年でモヒートを」

 「はい、かしこまりました」

 店内のボトルをぐるっと見渡してそう答

えた彼は、再び大きなため息をついた。

 ボトルを見るしぐさから、お酒に詳しそ

うな様子を感じたのだが、もう10月がくる

というこの時期にモヒートを頼むだなんて、

なにか理由でもあるのだろうか…?

 お客様の観察を得意とする私の手に

かかれば、ちょろいものだ。

 一体何があったのだろうか?と気分は

ノリノリの探偵だ。クラッシュド・アイスを作

りながら彼の様子をこっそり伺う。

 「はぁ・・・」と再びため息をつきながら、

今流行りのスマホを片手に持って、慣れ

た手つきでなにか操作をしているようだ。

 ちなみに余談だが、私は携帯を持って

いない。夕方からこの店を開けて、朝方

まで営業する。そして皆が出勤して仕事

に向かい始める頃に睡眠に入る。お昼

過ぎに起きて朝ご飯とは言い難い軽食

を取りながら今日の天気や気温、話題の

ニュース等をチェックして、それに合うよ

うな本日のお勧めメニューやつまみを考

える。

 さらに余談になるが、本日のおすすめ

カクテルは「デュボネ・ソーダ」だ。

 ”秋と言えばワイン”という程、秋の代名

詞になりつつあるボジョレヌーボー。今

朝のニュースでも解禁が近いということ

で盛り上がっていた。解禁の日には、こ

こでもささやかながらイベントをしようと思

っているのだが、その先駆けとして同じ

フランス生まれのアペリティフワイン「デュ

ボネ」を味わって頂こうとセレクトした。

 また「デュポネ」には10数種の薬草や

香草・スパイスが配合されてあるので、季

節の変わり目で体調を崩しやすい時期

にピッタリのお酒である。まさに、本日来

店されたお客様にはピッタリのカクテル

だと思ったのだが、彼のご希望は「モヒ

ート」というわけだ。

 「お待たせいたしましたモヒートです」

 彼の前にコースターを敷き、その上にミ

ントの色が鮮やかなモヒートを置く。クラ

ッシュド・アイスと混ざった白いラムの色

合いに彼の目が輝いたのを・・・探偵で

ある私は見逃すことはしなかった。モヒー

トにそこまで愛着があるのだろうか…とさ

らに推理を進めようと思ったところに、

 「今日の失敗が明日への糧となります

ように」

 「・・・!?」

 ブツブツと彼が呪文のようなものを唱え

て出したではないか。

 『今日の失敗が明日への糧と・・・?』

と慄いた目で彼を見ようとしたが、ハッと

思い出した。モヒートは「Mojito」と書かれ

るのだが、魔法、魔力などの意味をもつ

ブードゥー教の"MOJO"と言う言葉に由

来していると言われていることを。

 『もしかして・・・願掛け?』

もう一度彼に視線を向けると、グラスに手

をかけクイッとお酒を口にした。スゥーッ

とアルコールが体に入っていくのがこち

らにも伝わる程、彼の背筋が伸びていく。

 「このモヒート、とても美味しいです」

 先程までと別人のようなハキハキとした

口調で話し出した。

 「先程から色々驚かれてましたよね。実

は、仕事で失敗をした日には必ず新し

いお店でモヒートを頼むことにしているん

です。そしてそれが美味しければ自分も

気分が良くなる。気持ちが前向きになれ

ばその失敗も好転する場合が多い・・・な

んて持論なんですけどね。今日は気分

よく帰れそうです。これ飲み干したら、マ

スターのお勧め頂けますか?」

 ”心であれこれ思っても顔には出さな

い”というモットーで接客している私の本

心を見破るとは大したもんだ。

 いやしかし、裏を返せばそれは彼が今

まで数十件(いや数百件かもしれない)

新しいお店でモヒートを頼んできた糧な

のかもしれない・・・と思うと同時に、彼は

どれだけの失敗を重ねているのだろうか

と気になった。

 さすがにそれは聞けないし、彼にも伝

わらないだろうなと思いながら本日お勧

めの「デュポネ・ソーダ」を作り始めた。

 

―カランコロン

 今日もまた、私の店へ客がやってくる。

 「いらっしゃいませ。ようこそ憂鬱バーへ。」

つづく

Page 28: LIGHTERplus vol.04

       LIGHTERplus4号、ようやく今年最後の発行号となりました。       今回の特集は、adachinboが紹介してくれた歌川国芳。       私の浮世絵への知識はほぼゼロ状態で、学生の頃なんとなく習ったな?程度。       それに教科書はマジメなくだりが多いため殆ど理解もしていなかったのですが       今回の特集の中身は、現代に当てはめて考えたり、バカな私でもわかるように面白くまとめてくれているので、あっという間にすべてを読み終えてしまいました!浮世絵って「文化の一部」って漠然と思っていましたが、現代でいう漫画家やデザイナーと同じで人間が作り出したものなんですよね。そう思うと、なんだか一気に親近感が湧きました!

さて、話は変わってLIGHTERplusは今号からホームページをリニューアルしました。今まではホームページも3か月間ほど同じ状態で放置されていたのですが来年2013年1月には随時更新が可能なウェブマガジンに生まれ変わる予定です。そのため本誌は一旦休刊させて頂き、今後はWEB中心に活動していきたいと考えております。今号イラストを描いて下さった小澤有希子さんが正式メンバーとして参加してくださったり、新コンテンツも開始したりと、来年以降のLIGHTERplusも皆様に応援して頂けるような心がほわっとするような記事を、灯をともしていけたら…と思っております。

それでは最後になりましたが、今までLIGHTERplusを応援してくださった皆様、スポンサーの皆様、ライターにご応募下さった皆様、本当にありがとうございました。

                           2012年 10月 ホンダジュンコ

■メンバー募集の詳細現在、一緒にLIGHTERplusを作ってくれる方を募集しています。詳しくはホームページ(http://lighterplus.net)まで。

ホンダジュンコ1983年生まれ。高校生の頃からイラストやデザインの仕事を始める。デザインを通して、どのように視覚や感覚的に影響を与えることが出来るのか等を、芸術面からだけではなく社会的・心理的という方向からも理解し、自分のデザインに利用していきたいという思いから、大学では心理学を専攻する。大学卒業後、広告代理店やデザイン事務所を経て、ロゴデザイン・DTPデザイン・WEB全般を中心に行うデザイン事務所LIGHT DESIGN OFFICEを立ち上げ活動中。

adachinbo1980年生まれ。大阪芸術大学デザイン学科出身。主に、企画、イラスト、映像を好んで学ぶ。卒業後、広告代理店に就職。キャッチコピーや写真撮影に、日々頭を禿げさせる。退職後、フリーイラストレーターや漫画家、人事や事務職などを経て、現在、以前在職していた同じ広告代理店に再就職。また、昨年、鬼門だった結婚を成就。仕事と家事の両立に、不真面目に奮闘中。今年の目標は「妊娠」。永遠の目標は「〆切を守る」。

ゲストメンバー:Marineko1982年生まれ。大学で社会学を専攻し得意分野は「市場調査からの考察」。就職活動で何を間違えたのか、「ネズミ講」まがいの企業に内定。研修中に人生お先真っ暗になりかけたことを機に「仕事とは」を模索し、再就職活動。卒業間近で求人広告代理店への就職が決まる。現在は「人と企業の架け橋」となるべく営業として日々、提案を模索中。お客様だったダンナさんと巡り会い、結婚、出産を経験。現在は仕事とダンナさんの秘書をメインワークにし、家事はそこそこ手抜きして子供とバカ笑いする日々を楽しんでいます。

編 集後 記

メ ン バ ー 紹 介

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博多天神とんこつラーメン

・王子公園店・六甲道店・西宮北口店・伊丹店

虎龍と

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Page 30: LIGHTERplus vol.04

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