lpwaを用いたiotバスロケーションシステムと そ …...lpwaを用いたiot...
TRANSCRIPT
LPWAを用いたIoTバスロケーションシステムとその応用に関する研究
名城大学大学院理工学研究科情報工学専攻鈴木研究室
183426019 保下拓也
1
コミュニティバス 交通弱者のモビリティ確保や交通空白地帯の解消
地域住民の重要な移動手段 税金で費用を負担して運行
バスは定時運行が困難 天候や交通状況の影響 運行状況の把握が困難
バスサービスの利便性向上のため,バスロケーションシステムの導入が進んでいる
出展:http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150402000064出典:http://shimin-kouryu.net/about/kururinbuss/
バスロケーションシステム バスの位置情報を収集し,遅延情報や走行位置等の運行情報をバス停やWeb上で提供
2出展:http://qzss.go.jp/news/archive/necnexs_150610.html
一般的なバスロケーションシステム 通信に 携帯電話網 を利用
既存のインフラを利用可能 通信端末をバスに設置するだけでシステムを導入可能
高額な通信コストが発生
3* 大谷達彦:バスロケーションシステムの運用に関する検討,JICEレポート,Vol.9,pp.33-38, 2009
継続的な運用が困難になる例多数
運用コスト750万円 / 年*
通信コスト(33 %)
その他
システムの導入が容易
4
バス利用者の情報取得環境0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
20歳未満
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60~64歳
65~74歳
75歳以上
従来の携帯電話 スマートフォン タブレット パソコン Webを利用していない
若年層・中年層
• スマートフォン• パソコン
高齢層
• 従来の携帯電話• Web利用無し
インターネットを利用できない人にも情報を提供する手段が必要
平成26年度東郷町住民アンケート
5
デジタルサイネージを活用したバス停 京都市のバス停
バスロケーションシステムと連動したバス停 リアルタイムな情報を提供
時刻表 運行情報 周辺の観光情報
課題 高額な導入コスト
大型ディスプレイ 電源工事
設置場所が限定的 主要な駅 バスターミナル
出典:http://news.livedoor.com/article/detail/9897731/
6
災害情報配信システム ICTを活用した災害情報配信
バス停等に設置されているデジタルサイネージを活用
課題 通常時と非常時で運用するシステムが異なる
運用マニュアルの不整備 操作方法の理解不足
節電要請のため未稼働 トラフィック増大による通信遅延
出典: http://www.mjpm-saiyo.com/moremjpm/area.html
7
研究の目的
I. IoT技術を活用した新たなバスロケの開発 低コストで導入でき,かつ,継続運用できる仕組み 電子ペーパーを用いたスマートバス停の開発
II. 世界標準形式でバスロケデータをオープン化 日本国内に限らず,世界中から検索・利用可能に
III. 災害時情報配信システムへの展開 平時と災害時で共用可能な情報配信プラットフォーム
IoT技術を利用した新たなバスロケーションシステムの開発と災害時情報配信システムへの展開
より研究助成を受けて実施(2017年より3年間)
8
LPWA(Low Power Wide Area) 世界的に注目を集めているIoT向け無線通信技術
低消費電力:ボタン電池1つで数年単位の動作 広域通信:数km~数十km 低コスト:端末1台当たりの通信料金が年100円~利用可能
http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/5106/Default.aspx
IoTバスロケーションシステム* 公共のLPWAネットワークを利用
低運用コストでバスロケーションシステムを実現 他のIoTサービスと共用可能
クラウド型バス管理サーバ 電子ペーパーを利用したスマートバス停
9* T. Boshita, et al., IEEE ITSC 2018, pp. 933–938 (2018)
IoTバスロケーションシステム* LPWAネットワークを利用 クラウド型バス管理サーバ
バス運行情報の生成,配信 管理用Webページの提供
電子ペーパーを利用したスマートバス停
10* T. Boshita, et al., IEEE ITSC 2018, pp. 933–938 (2018)
IoTバスロケーションシステム* LPWAネットワークを利用 クラウド型バス管理サーバ 電子ペーパーを利用したスマートバス停
リアルタイムなバスの運行情報,地域情報などを提供 災害情報配信システムへの展開
11* T. Boshita, et al., IEEE ITSC 2018, pp. 933–938 (2018)
12
スマートバス停 – 電子ペーパーの導入 低消費電力で動的にコンテンツを変更可能
太陽光下でも高い視認性 エナジーハーベストで稼働可能 近年,小型モデルの価格が低下
Visionect 13.3” (€1,000) WAVESHARE 6.0” & 7.5” ($35, $62)
電源供給の問題と導入コストの問題を解決
13
スマートバス停 – バスロケ情報の提供 静的情報はバス停側で補完
スマートバス停にマイコンを設置 表示コンテンツを作成
事前に組み込む情報 レイアウト(HTML形式) ダイヤ情報(GTFS-JP形式)
14
スマートバス停 – バスロケ情報の提供 静的情報はバス停側で補完
スマートバス停にマイコンを設置 表示コンテンツを作成
事前に組み込む情報 レイアウト(HTML形式) ダイヤ情報(GTFS-JP形式)
リアルタイムに変化する情報はLPWAで配信 JSON形式のファイルに保存 JavaScriptにより読み込み,
HTMLファイルに反映
15
スマートバス停 – バスロケ情報の提供 静的情報はバス停側で補完
スマートバス停にマイコンを設置 表示コンテンツを作成
事前に組み込む情報 レイアウト(HTML形式) ダイヤ情報(GTFS-JP形式)
リアルタイムに変化する情報はLPWAで配信 JSON形式のファイルに保存 JavaScriptにより読み込み,
HTMLファイルに反映
16
表示コンテンツ リアルタイム性の高い情報の提供
運行状況 現在走行位置 接近案内
英語対応 外国人観光客等でも利用可能
17
スマートバス停の表示切替 表示コンテンツはWeb標準技術で作成
表示するページを変更するだけで,表示コンテンツの切替が可能
バス運行情報.html 災害・避難情報.html
災害情報配信システムへの展開 スマートバス停を街中の情報配信スポットとして利用
平時 :バス運行情報,地域情報 災害時 :災害情報,避難所情報
18
・平時と同様の操作方法・スマートフォンを利用できない状況でも情報を入手可能
技術的課題
LoRaWANで一度に送信可能な最大データサイズ 11byte GPSから取得する情報のデータサイズ
時刻情報:10byte 緯度・経度情報:10+11=21byte 区切り文字:4byte
複数メッセージで送信しても,リアルタイム性が欠如 情報送信間隔は最短で4.4秒
19
合計 35byte
20
位置情報圧縮手法
1. バスロケで不要な情報を削除2. 位置情報を絶対値から相対値へ変換3. サーバ側で補完可能な情報を削除4. テキストデータをバイナリデータへ変換
204536.356,3507.5596,N,13702.2202,E
24429 25178
10100101101100100
11101101110011100010101011101100100101011
位置情報の情報量および圧縮率
LoRaWANの制約11byte(=88bit)に収まる メッセージ識別情報を記載しても1回の送信で全ての情報を伝送可能
21
圧縮前 [bit] 圧縮後 [bit]
時刻情報 80 17
緯度 72 16
北緯/南緯記号 8 0
経度 80 16
西経/東経記号 8 0
区切り文字 32 0
合計 280 49
情報圧縮率=17.5%
22
実装 – 概要 位置情報の収集,運行情報の配信機能
車載器 位置情報の圧縮・送信,走行状態判別
クラウド型バス管理サーバ 運行情報配信
スマートバス停 バス運行情報表示機能
23
実装 – 車載器 位置情報,走行状態送信機能
ジオフェンシングでバス停への接近を検知 圧縮した情報,走行状態を5秒間隔で送信
モジュール構成 LoRa通信モジュール,Raspberry Pi 3,GPSモジュール
Raspberry Pi 3LoRa通信モジュール
GPS モジュール
15 cm
13 cm
24
実装 – クラウド型バス管理サーバ 遅延時間算出機能,運行情報配信機能
車載器から受信した情報をStorageに格納,蓄積 遅延時間の算出
バス運行情報を配信
バス HTTPTrigger BusDataManagement
StorageInformationDistribution
スマートバス停
Azure位置情報時刻情報走行状態次バス停
遅延時間接近状態現在位置
遅延時間 = 到着時刻 – 時刻表で設定されている到着時刻
25
実装 – スマートバス停 表示機能
バス管理サーバから受信したバス運行情報を表示 モジュール構成
単結晶ソーラーパネル
電子ペーパーLoRa通信モジュール
ソーラー専用バッテリー
NP9-12
USB電源モジュール
Raspberry Pi Zero WH
チャージャーコントローラー
26
動作検証 – 概要 スマートバス停への情報配信実験
目的 バス運行情報配信機能の動作検証 実際のバス運行状況が正しく反映されているか検証
実験環境 LoRaゲートウェイ:日進市役所本庁4階に設置 スマートバス停:日進市コミュニティバス「くるりんばす」図書館バス停に設置
27
動作検証 – 結果
28
評価 位置情報の圧縮率
既存手法との比較 LoRaWANを利用した位置情報収集実験
走行速度と情報受信率 既存バス路線環境における通信距離
コストに関する評価 導入コスト 運用コスト
スマートバス停に関する評価 表示処理の処理時間 消費電力 屋外での視認性 表示コンテンツのアクセシビリティ
既存システムとの比較
29
評価 位置情報の圧縮率
既存手法との比較 LoRaWANを利用した位置情報収集実験
走行速度と情報受信率 既存バス路線環境における通信距離
コストに関する評価 導入コスト 運用コスト
スマートバス停に関する評価 表示処理の処理時間 消費電力 屋外での視認性 表示コンテンツのアクセシビリティ
既存システムとの比較
30
評価 – コストの試算 条件
愛知県日進市のコミュニティバス「くるりんばす」をモデル 路線数:7 バス停数:161
各システムの設置ノード数 従来システム(docoです car for BUS*1)
車載器:7 バス停通信端末:161
提案システム(SORACOM社共有モデル*2) 車載器:7 バス停通信端末:161 LoRaゲートウェイ:4
*1 https://www.docomo-sys.co.jp/products/doco-car/service/busnavi/*2https://soracom.jp/services/air/lora/
31
評価 - 導入コストの試算 ノードの設置台数と各ノードの単価から試算
従来システム 車載器 :2,900 [円]
– 携帯電話網を利用可能なGPS端末 バス停通信端末 :1,800 [円]
提案システム 車載器 :15,105 [円]
– LoRaデバイス,GPSモジュール,マイコン バス停通信端末 :7,980 [円] LoRaゲートウェイ :24,800 [円]
導入コストが約1,200,000円増加
310,100 円
1,489,715 円
32
評価 – 通信コストの比較 月額通信料金
携帯電話通信料:980 [円/月/デバイス] LoRaWAN通信料:9,980 [円/月/ゲートウェイ]
各システムの通信コスト 従来システム:164,640 [円/月] 提案システム:39,920 [円/月]
02468
1012141618
携帯電話網 LoRaWAN
万円
75.75%削減
33
評価 – コスト試算結果まとめ
導入コスト:約1,200,000円増加 他のIoTサービスと分散化し,削減できる可能性
通信コスト: 75.75% 削減 通信コストの差額分だけ費用を抑えることができる
約8か月運用すれば提案システムの方が安価に
導入コスト [円] 通信コスト [円]従来システム 310,100 164,640提案システム 1,489,715 39,920
長期運用を見据えた場合,提案システムは有用性が高い
34
まとめ LPWAを用いたIoTバスロケーションシステムを提案
公共のLPWAネットワークを利用 従来のバスロケとは異なり高い汎用性
コストの比較 長期運用を見据えた場合,提案システムは有用
今後の課題 バス路線を用いた実証実験(二月下旬から三月初旬)
研究業績国際会議 :3件(IPSJ ICMU2018,IEEE ITSC2018,IEEE GCCE2019)国内発表 :5件(IPSJ DICOMO2018など)受賞歴 :4件(IPSJ DICOMO2018 優秀プレゼンテーション賞など)外部獲得資金:1件(NEC C&C財団国際会議論文発表者助成)