文化とクリエイティブ・コモンズの新しい関係mizuno011415
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文化とクリエイティブ・コモンズの新しい関係Jan 14, 2015!!水野 祐(弁護士、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事) [email protected] : @taaaaaaaaaask
文化資源(情報)をオープンにすべき理由• オープンデータ
• 公共情報・データ(PSI)の透明性、信頼性を高め、利活用を促進する
• (デジタル)アーカイヴ
• 「文化資源を適切な形で蓄積し、整備することは新たな産業や文化創造・教育の基盤となる知的インフラの強化に貢献する」として、「アーカイヴの利活用促進に向けた整備の加速化」を知財本部の最重要5本柱の1つに(知的財産戦略2014)
• 海外発信
• 「我が国が有する文化資源を効果的に海外に発信することは、海外における日本ブランドを構築し、最終的には海外からの観光客誘致などインバウンドへともつながる一連の経済的な効果を実現する役割も期待することができ」る(知的財産戦略2014)
• イノベーション
• クラウドネットワーク、ソーシャルサービスといったメディアの進展、ユーザーが作成するユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツの拡大などと文化資源が組み合わさることによるイノベーションの創出
なぜクリエイティブ・コモンズか?• 著作権制度と調和的である(権利放棄を求めるドラスティックな変化を求める仕組みではない)
• 世界標準の画一化した仕組み(CC ver4.0)
• 世界中のオープンデータ、デジタルアーカイヴの領域において、すでにデファクト・スタンダード化している(CC BY or CC0)
• 政府の知財戦略などにおいても、オープン化のツールとして普及が促されている
「知的財産戦略2014」• 「クラウドネットワーク、ソーシャルサービスといったメディアの進展、ユーザーが作成するユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツの拡大などを踏まえ、インターネットを活用したユーザーが作り出す新たなコンテンツの創造と自由な利用の促進を図る観点から、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスといったパブリックライセンスの普及などについて検討を行い、非営利目的での利用のみならず産業利用も含めたコンテンツ利用の促進に必要な措置を講じる。(短期・中期)」
• 「意思表示システムの在り方に関する調査研究」の結果などを踏まえ、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスといったパブリックライセンスの、広報を通じた普及などについて検討を行い、普及などのための取組を実施。」
• 担当府省:文部科学省
クリエイティブ・コモンズ(・ライセンス)とは?• さまざまなコンテンツやマテリアルの作者が、「この条件を守れば、
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私の作品を自由に利用してよい」と意思表示をするためのツール ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅
• インターネット/デジタル技術を前提に、著作者/著作権者に選択肢を増やす仕組み(著作権の放棄ではなく、留保しつつ一部を開放)
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• 契約や権利処理のコストを削減し、合法的に作品の共有や継承を促す仕組み
• 国が作った法律ではなく、コンテンツを作り出した作者とそれを利用するユーザーとの間の契約により、コンテンツの届け方や使われ方を「デザイン」するための仕組み
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの仕組み: ライセンスとマークの種類
http://file.freebsd.blog.shinobi.jp/cc.gifhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BA
4つの条件
6つのライセンス (マーク)
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの仕組み: 三層構造のライセンス記述
http://creativecommons.jp/licenses/#licenses
クリエイティブ・コモンズ活用例:Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Text_of_Creative_Commons_Attribution-ShareAlike_3.0_Unported_License
クリエイティブ・コモンズ活用例:Arts Council England
http://www.artscouncil.org.uk/media/uploads/Module_three_Digital.pdf
クリエイティブ・コモンズ活用例:慶應義塾大学
http://keio-ocw.sfc.keio.ac.jp/index_en.html
クリエイティブ・コモンズのデメリット• パクられるリスクが高くなる?
• インターネットで公開する以上、©でも無表示でもCCでもパクられるリスクは変わらない!
• ライセンスが守られない場合、紛争リスクが高まる?
• ライセンスが守られない場合、ライセンスが失効し、翻って著作権侵害となる(通常の著作権侵害と変わらない)
• CCが生まれたこの10年強で日本ではCCに関する紛争は起きていない(むしろ良質なコミュニティにより紛争の低減につながっている可能性も)
• マネタイズが難しい?
• フリーミアムなど、さまざまな収益モデルが生まれてきている(むしろ収益を加速するケースも)
(改めて考えてみたい) 文化資源(情報)をオープン化するメリット• 作品が発見されるなど、情報へのアクセスの機会と可能性を最大化する
• フィードバックが得られることによるコミュニケーションの増加
• 他分野からの参入ハードルを低減し、ブリ・コラージュを促進する
• 派生物の公開、蓄積による信頼性の高いコミュニティの形成
• 不特定多数の「ゆらぎ」を取り込んだ多様性の生成
文化資源(情報)オープン化の設計ポイント• アーカイヴは「いま・現在」から始めないとうまくいかない
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(過去の文化資源は権利者が見つからないor複雑化によりアーカイヴ化が難航している…)
• 「CC ver4.0」 or 「CC0」を活用する
• 「特に断りがないかぎり、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス【表示 4.0 ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅
International】のもとで利用できます」などと、デフォルトをオープンにしつつ、©にも配慮した設計
• CCコンテンツの検索機能をつける(ex. Europiana)
• 「東京」x「文化」という視点で文化資源(情報)のオープン化をひっぱるのが最適解
• 広報・PRとは別視点のリテラシーを有した人材と組織の必要性(育成も含め)