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1/6 News Letter 2019 7 24日 株式会社タニタ 健康総合企業の株式会社タニタ(東京都板橋区前野町 1-14-2、社長・谷田千里)は、夏本番に向けて「熱中症に 関する意識・実態調査 2019を実施しました。本調査は全国の 1569 歳の男女 1000 人を対象に、熱中症への理解 度や対策の実施状況について、2019 5 23 日ー24 日の 2 日間、インターネットリサーチにより調査したものです。今回、 本調査を男女年代別で集計を行ったところ、女性の方が熱中症の症状に対する理解が深く、男性の方が熱中症対策を行っ ていない実態が判明。特に、男性の 20 代から 40 代の子育て世代の意識や対策が低い傾向にあることが明らかになりました。 また、本調査から読み取れる人々の熱中症への意識や対策をもとに、熱中症の予防に向けたアドバイスと今年の熱中症予防 のポイントを中京大学スポーツ科学部教授で医学博士・スポーツドクターの松本孝朗先生に伺いました。 2019 6 25 日に「熱中症に関する意識・実態調査 2019」の第 1 回集計データを発表しています。 *本調査内容の転載にあたりましては、「タニタ調べ」と付記の上、ご利用くださいますようお願い申し上げます。 専門家に聞く今回の調査からみる「熱中症予防のポイント」 今回の調査では、熱中症の予防のために注意を払っている項目として、 「湿度」への意識が男女ともに低く、男性では「日差し」も低いという傾向 が出ています。いずれも熱中症予防に気を配っていただきたい重要な項 目です。熱中症の発症に湿度が大きく関係するのは、湿度が高くなるとか いた汗が蒸発せず、熱をからだから逃がすことができないからです。気温が 低くても湿度が高いと、熱中症になる恐れがあります。また、日差しは赤 外線を含んでおり、日差しを浴びることで、直接そして地面や壁面に反射 した赤外線によってからだが温められます。日差しが強いと気温の影響以 上にからだへの影響が大きいので、熱中症の予防には日差し(熱源)を 遮ることが大切です。女性は日傘の使用率が高く、日差しを意識できて いるようです。しかし、日焼けを意識した日差し対策になってしまっていて、 真夏の炎天下に長袖を着ている人を見かけることがあります。これは衣服 によって体熱の放散を妨げることになります。熱中症の予防には、日差し を遮ることと合わせて、通気性がよく、熱を逃がしやすい服装を心がけてほ しいと思います。 松本 孝朗(まつもと たかあき)先生 中京大学スポーツ科学部スポーツ健康科学科教授 医師、医学博士、スポーツドクター。専門分野は環 境生理学、温熱生理学、生気象学、運動生理学、 スポーツ栄養学など。日本スポーツ協会や環境省が 刊行する熱中症の予防に向けたガイドブックやマニュ アル等の著者として熱中症予防に向けた活動も行っ ている。 (こちらに続いてお聞きした今年の夏の特徴を踏まえた熱中症予防に向けたポイントを本レターの 6 ページ目に掲載しています。) 調査結果トピックス ■「熱中症になったことがある」若い世代の方が多く、10 代女性が 41%で最多 ■男性の方が熱中症にならない自信あり。20 代男性の3人に 1 人以上が「熱中症にならない自信がある」 ■「熱中症の予防のために注意を払っている項目」男女ともに「湿度」が低く、男性は「日差し」も低い 「湿度」への意識は男女差よりも年代での差が顕著 ■「熱中症の症状」に対して全般的に女性の方が理解が深く、特に男性は初期症状についての意識が低い傾向 ■男性の 3 人に 1 人は熱中症対策を行っていない。日差しを意識した対策は男女で実施率に大きな差 【熱中症に関する意識・実態調査 2019】男性より女性の熱中症への意識が高く、対策を行っている傾向 熱中症対策で気にするべき「湿度」への意識は男女よりも年代での差が顕著 熱中症の発症リスクが増す梅雨明けの夏本番に気を付けるポイントは?

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Page 1: News Letter - TANITA · 2019-07-24 · 1/6 News Letter 2019年7月24日 株式会社タニタ. 健康総合企業の株式会社タニタ(東京都板橋区前野町1-14-2、社長・谷田千里)は、夏本番に向けて「熱中症に

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News Letter

2019年 7月 24日 株式会社タニタ

健康総合企業の株式会社タニタ(東京都板橋区前野町 1-14-2、社長・谷田千里)は、夏本番に向けて「熱中症に関する意識・実態調査 2019」※を実施しました。本調査は全国の 15ー69歳の男女 1000人を対象に、熱中症への理解度や対策の実施状況について、2019年5月23日ー24日の2日間、インターネットリサーチにより調査したものです。今回、本調査を男女年代別で集計を行ったところ、女性の方が熱中症の症状に対する理解が深く、男性の方が熱中症対策を行っていない実態が判明。特に、男性の 20 代から 40 代の子育て世代の意識や対策が低い傾向にあることが明らかになりました。また、本調査から読み取れる人々の熱中症への意識や対策をもとに、熱中症の予防に向けたアドバイスと今年の熱中症予防のポイントを中京大学スポーツ科学部教授で医学博士・スポーツドクターの松本孝朗先生に伺いました。 ※2019年 6月 25日に「熱中症に関する意識・実態調査 2019」の第 1回集計データを発表しています。

*本調査内容の転載にあたりましては、「タニタ調べ」と付記の上、ご利用くださいますようお願い申し上げます。

専門家に聞く今回の調査からみる「熱中症予防のポイント」 今回の調査では、熱中症の予防のために注意を払っている項目として、「湿度」への意識が男女ともに低く、男性では「日差し」も低いという傾向が出ています。いずれも熱中症予防に気を配っていただきたい重要な項目です。熱中症の発症に湿度が大きく関係するのは、湿度が高くなるとかいた汗が蒸発せず、熱をからだから逃がすことができないからです。気温が低くても湿度が高いと、熱中症になる恐れがあります。また、日差しは赤外線を含んでおり、日差しを浴びることで、直接そして地面や壁面に反射した赤外線によってからだが温められます。日差しが強いと気温の影響以上にからだへの影響が大きいので、熱中症の予防には日差し(熱源)を遮ることが大切です。女性は日傘の使用率が高く、日差しを意識できているようです。しかし、日焼けを意識した日差し対策になってしまっていて、真夏の炎天下に長袖を着ている人を見かけることがあります。これは衣服によって体熱の放散を妨げることになります。熱中症の予防には、日差しを遮ることと合わせて、通気性がよく、熱を逃がしやすい服装を心がけてほしいと思います。

松本 孝朗(まつもと たかあき)先生 中京大学スポーツ科学部スポーツ健康科学科教授 医師、医学博士、スポーツドクター。専門分野は環境生理学、温熱生理学、生気象学、運動生理学、スポーツ栄養学など。日本スポーツ協会や環境省が刊行する熱中症の予防に向けたガイドブックやマニュアル等の著者として熱中症予防に向けた活動も行っている。

(こちらに続いてお聞きした今年の夏の特徴を踏まえた熱中症予防に向けたポイントを本レターの 6 ページ目に掲載しています。)

調査結果トピックス ■「熱中症になったことがある」若い世代の方が多く、10代女性が 41%で最多 ■男性の方が熱中症にならない自信あり。20代男性の3人に 1人以上が「熱中症にならない自信がある」 ■「熱中症の予防のために注意を払っている項目」男女ともに「湿度」が低く、男性は「日差し」も低い 「湿度」への意識は男女差よりも年代での差が顕著 ■「熱中症の症状」に対して全般的に女性の方が理解が深く、特に男性は初期症状についての意識が低い傾向 ■男性の 3人に 1人は熱中症対策を行っていない。日差しを意識した対策は男女で実施率に大きな差

【熱中症に関する意識・実態調査 2019】男性より女性の熱中症への意識が高く、対策を行っている傾向 熱中症対策で気にするべき「湿度」への意識は男女よりも年代での差が顕著

熱中症の発症リスクが増す梅雨明けの夏本番に気を付けるポイントは?

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【調査概要】 調査タイトル:熱中症に関する意識・実態調査 2019 調 査 対 象:全国の 15歳-69歳の男女 調 査 期 間:2019年 5月 23日ー5月 24日 調 査 方 法:インターネット調査 有効回答数:1,000 サンプル ※6月 25日に発表した「熱中症に関する意識・実態調査 2019」のデータは、タニタホームページ (URL:https://www.tanita.co.jp/)よりご参照いただけます。 ※今回発表した男女のクロス集計データについても上記ホームページに掲載しています。

■「熱中症になったことがある」若い世代の方が多く、10代女性が 41%で最多 熱中症による救急搬送数においては、例年高齢者が多い一方、今回の調査では、若い世代の熱中症経験者が多いことが判明しました。特に 10代から 30代男性と 10代女性で熱中症経験者が多い傾向にあります。 ■男性の方が熱中症にならない自信あり。20代男性の3人に 1人以上が「熱中症にならない自信がある」 「熱中症にならないという自信があるか」という問いに対しては、どの年代でも女性に比べ男性の方が多く、特に 20 代男性が最も多くなりました。

調査結果サマリー

Q.自身が熱中症になったことがあるか【単一回答】

Q.「熱中症にならない」という自信があるか【単一回答】

男性【n=500】 女性【n=500】

男性【n=500】 女性【n=500】

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■「熱中症の予防のために注意を払っている項目」 男女ともに「湿度」が低く、男性は「日差し」も低い 「湿度」への意識は男女差よりも年代での差が顕著 「熱中症にならないために注意を払っている項目」について聞いたところ、男女別でみると「気温」と答えた人が最も多くなりました。「湿度」について気にする人は、男女ともに 40%を下回っています。年代が低くなるほど湿度に注意を払っていない傾向で、男女差よりも年代での差が顕著です。最も低い 10代女性(21.7%)は最も意識が高い 60代女性(59.0%)の約 3分の1で意識に大きな違いがみられます。また、日差しについては男性が意識する人が少なく、男女で大きく意識が分かれました。性年代別でみると、暑さ指数(WBGT)を除く多くの項目において、注意を払っている男性の割合が女性を下回っている実態が明らかになりました。特に、30代と 40代男性では「特になし」と答えた割合が 5人に 1人に上っています。

Q.熱中症の予防のために注意を払う項目【複数回答】

◇熱中症予防のために「湿度に」注意を払う割合

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■「熱中症の症状」に対して全般的に女性の方が理解が深く、特に男性は初期症状についての意識が低い傾向 いずれも熱中症の症状に該当する選択肢から「熱中症の症状だと思う項目」を選んでもらい、男女別に集計したところ、多くの項目で男性が女性を下回り、男性の方が熱中症の症状への意識が低いことが分かりました。項目別にみると、「めまい・立ちくらみ」が最も多く、男女ともに 60%を超えています。続く項目を見ると、「吐き気・おう吐」については、男性が 51.4%、女性が 64.8%で、「頭痛」については男性が 42.4%、女性が 59.8%となりました。このことから、女性に比べて男性は熱中症の初期症状についての理解が進んでいない実態が浮き彫りになりました。性年代別で見ると、多くの項目で20代、30代、40代の男性において熱中症の初期症状を中心に、熱中症の症状をそれと認識する人が少なくなりました。また、30代と40代の男性において「熱中症の症状だと思うものはない」と答えた割合は 15%前後となり、他の性年代と比べ多くなりました。

Q.熱中症の症状だと思うもの 【複数回答】

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■男性の約 3人に 1人は熱中症対策を行っていない。日差しを意識した対策に男女で実施率に大きな差 「暑い時期に熱中症対策を行っているか」について聞いたところ、行っていると答えた割合は女性 79.2%に対し、男性は 67.6%で、男性の約 3人に 1人が対策をしていないことが分かりました。さらに、実際に行っている熱中症対策を聞いたところ、男性は「帽子を着用」、「日陰を歩く」、「外出・運動を控える」、「日傘を使用」など日差しを避けるための項目で女性より大幅に少ない傾向となりました。また、「水分をこまめにとる」、「扇風機・エアコンを使用」についても、男性は女性を大きく下回りました。

※本調査の第 1回集計の全データはタニタホームページ(URL:https://www.tanita.co.jp/)よりご参照いただけます。

Q.熱中症対策として行っていること 【複数回答形式】 対象:暑い時期に熱中症対策を行っている人

Q.暑い時期に熱中症対策を行っているか 【単一回答】

男性【n=500】 女性【n=500】

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※1 ページから続く内容です

専門家に聞く「熱中症予防のポイント」 (中京大学スポーツ科学部教授 松本 孝朗 先生)

<今年の夏の熱中症対策のポイント> 今年の夏は、気温が低い日が長く続いた梅雨が明ける時期と1年で最も気温が高くなる時期が重なるので、特に梅雨明けとなるこのタイミングに熱中症になる危険性が増します。熱中症の予防には、十分に発汗して体温調節ができるように、からだを暑さにならしておくこと(暑熱順化)が有効です。汗をうっすらとかく運動などを毎日1時間程度することで、高強度の運動をする人であれば1週間すれば暑熱順化*1 できます。通常の人であれば2週間程度が必要で、積極的な運動が難しい高齢者であれば1カ月を要します。今年はゴールデンウイークに一度暑くなりましたが、その後気温の低い日が続いたため、その時期に暑熱順化が進んだ人でも既に元に戻っています。身の回りの環境に気を配り、服装や水分補給などで十分に予防することが必要です。 *1 本調査で「熱中症対策として行っていること」を聞いたところ、「暑さに慣れておく」と答えた割合は男性13.6%、女性11.6%にとどまって

おり、対策を行っている人が少ないことが分かっています。(本紙 P5 に掲載)

<熱中症の発症状況/熱中症予防に向けて気を付けてほしいシチュエーション> 近年の熱中症による死亡統計を見ると、60-70 代以降の高齢者女性が多く、次に労働時の成人や運動時の学生の男性が続きます。今回の調査では、熱中症に対する男性の意識が女性に比べて低い傾向がみられていますが、からだの構造上、筋肉が多い男性の方が熱を発生させやすく、熱中症にかかりやすいと考えられます。*2日常生活では、激しい運動や労働をする人を除いては、成人では死亡にいたる重度の熱中症にかかるリスクはそれほど高くありません。気を付けてほしいのは、アミューズメントパークに行く、スポーツ観戦やイベントに参加するなど日常の活動から離れた想定外の暑さにからだがさらされるときです。例えば、冷房が効いた会場で行われるイベントに参加するつもりで出かけても、混雑や警備の影響などで会場に着くまでに熱中症になるというケースもあります。「ラスト1マイル」に潜む危険を意識して、水分補給や衣類などの熱中症対策をしておく必要があります。 *2 本調査で「熱中症の症状だと思う項目」を選択してもらったところ、女性の方が正しく熱中症の症状を理解している人が多い結果になり

ました。(本紙 P4に掲載)また、「熱中症にならない自信があるか」を聞いたところ、男性 25.6%、女性 15.2%となり、男性で自信が

ある人が多いことが明らかになりました。(本紙 P2 に掲載)

<熱中症の予防に向けた啓発> 熱中症の死亡者は高齢者を除いて減少傾向にあり、熱中症による死亡事故の予防に向けた人々の意識は高まっているとみられます。「熱中症の予防」は、発症者を減らそうとするか、死亡者を減らそうとするかによって視点は異なってきますが、熱中症の発症を予防するには、暑さの 4 要因(気温・湿度・風・日差し)の意味や熱中症の仕組みなどを理解することが役立ちます。WBGT は暑さの 4 要因すべてを反映した指数で、手軽に熱中症が発症する危険度を知ることができます。WBGT についての理解が広まれば熱中症予防に役立つと考えています。*3 *3 本調査ではWBGT に注意を払っている人は、男性 5.6%、女性 3.8%にとどまりました。(本紙 P3 に掲載)暑さ指数(WBGT)を

知っていたか聞いたところ、「知らなかった」は 58.0%となりました。他方、「名前は聞いたことがあった」は 30.2%、「どのような指標か知っ

ていた」は11.8%となりました。(第 1回調査集計 https://www.tanita.co.jp/cms/press/pdf/2019/heatstroke_research.pdf P4

に掲載) 松本 孝朗(まつもと たかあき)先生 中京大学スポーツ科学部スポーツ健康科学科教授。医師、医学博士、スポーツドクター。専門分野は環境生理学、温熱生理学、スポーツ栄養学など。 環境生理学の中でも、ヒトの暑熱適応、特に熱帯地住民の長期暑熱順化を主テーマとして取り組んできた。近年は運動・スポーツ・健康を中心テーマとし、運動時のヒトの体温調節・エネルギー代謝への雨・風の影響、熱中症の予防、夏季スポーツ大会の暑熱対策などを対象に幅広い研究を行っている。 また、「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(日本スポーツ協会)、「熱中症 環境保健マニュアル 2018」(環境省)、「日常生活における熱中症予防」(2016)(日本生気象学会)などの資料の著者として、熱中症予防に向けた活動も行っている。