札 幌 市 省エネルギー技術講座 第2回 (空調設備編) - sapporo ·...
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札 幌 市
省エネルギー技術講座
第2回
(空調設備編)
株式会社 藤原環境科学研究所
代表取締役 藤原 陽三
お話しする内容
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1.空調設備の概要
2.省エネ実施手順
3.空調設備の省エネの取り組み事例
4.省エネ効果の検証方法について
5.まとめ
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1.空調設備の概要
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1.1 熱源機の種類(1)冷温水熱源機(燃焼系)
• 直焚冷温水発生機(都市ガス焚、油焚)
• 真空式温水機(温水ヒーター):ボイラ技士等が不要。
• 温水ボイラ
など
• 炉筒煙管:保有水量が多く負荷変動に強い。
• 貫流ボイラ:起蒸時間が短い。コンパクトで省スペース。
• 水管ボイラ:高圧大容量の蒸気発生に適。起蒸時間が短い。
など
(2)蒸気ボイラ(燃焼系)
(3)電動冷凍機、ヒートポンプ
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• 空冷式チラー
• 空冷式ヒートポンプ
• 水冷式チラー
(4)吸収式冷凍機
• 単効用(一重効用)吸収式冷凍機
• 二重効用吸収式冷凍機
• 三重効用吸収式冷凍機
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1.2 空調システムの概要と特徴
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4
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<出所>空気調和・衛生工学会編「空気調和設備計画設計の実務の知識」((株)オーム社、平成12年2月25日 第1版第6刷)
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1.3 空調設備の構成例
空気調和設備の基本的な構成例<出所>空気調和・衛生工学会編「空気調和設備計画設計の実務の知識」((株)
オーム社、平成12年2月25日 第1版第6刷)
送風機
熱源機
ロードヒーティング
導入外気量の調整
熱源機の小型化
配管の保温
ナイトパージ
冷水温度の変更
空気比の改善
室外機
室外機の清掃
ロードヒーティングの調整
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2.省エネ実施手順
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省エネ対策メニューによる省エネ対策の抽出
省エネ可能性の目論み
省エネ可能量・省コストの試算• シミュレーションによる試算
(例:各地の365日24時間の外気温度・湿度データ→平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅))
• 実測によるバックデータの収集
省エネ提案書の作成• 省エネ内容
• 実施方法
• 予想される効果と償却年数
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省エネ提案
省エネの実施
省エネ効果の検証
省エネ効果の報告
省エネ方法の見直し
省エネ効果の確認
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3.空調設備の省エネの取り組み事例
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3.1 図書館の事例
(1)導入外気量の検討
• 図書室は書架がかなりの面積を占めており、人が留まるスペースは限られている。
• 図書室の設計上の在室人員1人当り占有面積は、一般に2m2/人。
• したがって、空調機の導入外気量は、実際の人員に必要な外気量より多大な量が取り込まれていると考えられた。
• そこで、導入外気量を削減することにより、都市ガス消費量を削減できると目論んだ。
①目論み
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設計風量 空調対象室
系統名 送風量 外気量 面積
[m3/h] [m3/h] [㎡]
ACU-1 1F図書室 23,500 10,740 537 1,630 195 202
ACU-2 アトリウム 15,700 5,760 288 260 31 -
ACU-3 2F図書室 23,900 10,410 520 1,370 164 114
ACU-4 3F図書室 8,600 5,200 260
ACU-5 埋蔵文化財センター 10,500 10,500 525
ACU-6 B1F図書室 9,900 4,080 204
ACU-7 講堂 9,300 9,300 465
一人当り外気
量を20m3/(人・
h)とした場合の
人員数 [人]
書架を除く面
積を60%とし、
5㎡に一人在
室したとした場合の人員
H21年度のビ
ル管法による
室内環境測
定時の最大人員
②設計風量と実在室人員
• ACU-1系統 空調対象室面積 1,630m2 外気量から求めた人員数 537人→ 3m2/人
• 外気量を1/2にすることが可能。
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(例)ACU-1の場合
設計外気量 10,740m3/h
1人当たり20m3/hとすると・・・537人を収容した場合の外気量に相当
実際には・・・・書架などがあり計算上は195人程度が最大人数と想定・実際も202人が在室していた
外気量を設計より下げられるのでは?15
③実測によるバックデータの収集:ダクトの風速測定
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• ダクト内の風速を測定するために、ダクト表面に風速計を挿入できるネジ蓋のある筒状の風量測定口を設ける。
• 国交省の機械設備工事共通仕様書では、取り付け個数はダクト取り付け辺(長辺)により、長辺300mm以下:1個、300を超え700以下:2個、700を超えるもの:3個となっている。
風量測定口<写真出所>F社ホームページより
③-1 ダクトの風速測定風量測定口
③-2 熱線風速計の種類
熱線風速計の例(1)<写真出所>T社ホームページより
熱線風速計の例(2)<写真出所>C社ホームページより
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③-3 風速測定方法1)空気調和・衛生工学会「換気・空調設備の現場風量測定
法」
• 建築設備定期検査業務基準書を参考。• 直管部の長さが確保できるなどの条件が
揃えば、少ない測定点数でも実用上の精度(おおむね10%)を確保できるとした測定方法。
• 測定点は最低5点とし、それらの算術平均値を平均風速とする。
• 測定位置の上流に十分な直管長が取れない場合は、測定点を追加し、精密測定法に近づける。
<出所>(公社)空気調和・衛生工学会「空気調和・ 衛生工学会規格 SHASE-S
117_2010 換気・空調設備の現場風量測定法」
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2)簡易測定方法
5cm
風量測定口ダクト
5cm
中央
風量測定点
• 基本的に、全ての風量測定口について風速測定を行う。
• 測定点は、一つの風量測定口について、ダクト壁から5cmの点
と中央の3点。
• 測定は20秒の平均値としている。
• 風速計では測定時間の平均を表示する機能があるものもある。
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空調機外気取り入れダクト
風量測定口
ダクトの保温が50mmであるの で 、 風 量 測 定 口 は 高 さ50mmのものを使用している。
風量測定口
③-4 空調機廻りの測定箇所
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③-5 測定結果
設計風量 測定平均 外気風量
系統名 送風量 外気量 風速 実測 設計との差
m3/h m3/h m/s m3/h m3/h
ACU-1 1F図書室 23,500 10,740 8.0 11,576 836
ACU-2 アトリウム 15,700 5,760 6.9 5,438 -322
ACU-3 2F図書室1) 23,900 10,410 - - -
ACU-4 3F図書室 8,600 5,200 5.2 4,230 -970
ACU-5 埋蔵文化財センター 10,500 10,500 7.5 10,886 386
ACU-6 B1F図書室 9,900 4,080 6.7 5,027 947
ACU-7 講堂2) 9,300 9,300 - - -
1)外気ダクトの風量測定口が腐食のため開けられなかったため測定不能。
2)外気導入CO2制御のため、外気ダクトに風量測定口が設置されていなかった。
※実測においても設計時と同程度の外気導入があった。
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まず考えられるもの
・ダンパーで給気量を絞る 風量測定ができない系統もあり風量調整が困難である。
・インバータで風量を減らす・送風機の運転台数を減らす→1台運転の場合できない
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④外気量を減らす方法
22
⑤中央図書館の空調機の制御方式
単一ダクト変風量方式(VAV)
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⑥省エネ対策の実施• 変風量方式のため、導入外気量を削
減した場合の省エネ効果の推定が難しい。
• ペリメーターにはファンコイルユニットが設置されていたので、空調機の導入外気量削減と空調機による冷房負荷対応を削減するために、空調機送排風機のインバータ周波数を45Hzから35Hzに変更して運転。
• その結果、室内のCO2濃度が上昇。• 周波数を下げたため空調機の風量が
低下し、導入外気量が大幅に削減されたためと考えられた。
• 室内環境を維持しながら、導入外気量と空調機動力を削減するために、空調機の間欠運転を試すこととなった。
インバータで風量を低減
二酸化炭素濃度が上昇
間欠運転を検討
そこで
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(2)空調機の間欠運転
①目論み
• ダクト方式は搬送動力が大きく、間欠運転によって搬送動力の削減が計れる。
• 空調機の間欠運転は導入外気量の削減にもつながり、都市ガス消費量の削減が計れる。
• 暖房期は室温が一度立ち上がると、照明などの内部発生熱や日射により、暖房をしなくても室温は上昇、あるいは、維持されるため空調機の停止が可能。
• ただし、空調機停止により、室内環境の悪化が危惧されるため、室内の二酸化炭素濃度の確認が必要。
考慮しなければならないこと
・暖房時期と冷房時期での違い
冷房時期に風量を減らすと
室温が上昇してしまう
・風量を減らすと
二酸化炭素濃度が上昇する
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②「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(ビル管法)
測定項目 基準値 測定時期
浮遊粉塵量 0.15mg/m3 2ヶ月以内に1回
一酸化炭素 10ppm以下 2ヶ月以内に1回
二酸化炭素 1,000ppm以下 2ヶ月以内に1回
温度 17℃以上 28℃以下 2ヶ月以内に1回
相対湿度 40%以上 70%以下 2ヶ月以内に1回
気流 0.5m/sec以下 2ヶ月以内に1回
②-1 ビル管法における室内環境基準
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• ビル管法の室内環境基準値を下回ることが義務づけら
れており、ビル管法のCO2濃度基準は1,000ppm以下と
定められている。
• ただし、この1,000ppm以下は、午前、午後の2回の測定
の平均値が1,000ppm以下となるようにするもので、常
時1,000ppm以下に保つというものではない(「ビル管法
施行規則第3条の2、2号」による)。
②-2 ビル管法と室内CO2濃度
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③必要換気量
Q =𝑀
𝐶 − 𝐶0 × 10−6
Q:必要換気量[m3/(h・人)]
M:CO2発生量[m3/(h・人)]
C:CO2許容限度[ppm]
𝐶0:外気のCO2濃度[ppm]
二酸化炭素濃度の年平均値(気象庁の観測点)<出所>気象庁ホームページ
• 必要換気量は、CO2濃度の低い外気を取り入れて、人体から発生するCO2を希釈する。
• 外気のCO2濃度は、昭和の終わり頃は350ppm 程 度 で あ っ た が 、 現 在 は400ppm程度に増加している。
28<出所>空気調和・衛生工学会編「空気調和・衛生設備の知識(改訂3版)」(オーム
社、平成27年4月5日改訂3版第7刷
15
29
• 人体のCO2発生量0.015m3/(h・人)、外気のCO2濃度350ppm、許容濃度を1,000ppmとすると、必要換気量は23m3/(h・人)である。
• 上記条件で外気のCO2濃度を400ppmとすると、必要外気量は25m3/(h・人)と若干多くなる。
• 建築基準法の中央管理方式の空気調和設備における有効換気量は20m3/(h・人)となっているが、現在の外気のCO2濃度では、外気導入による希釈によって許容濃度を1,000ppm以下に抑えるのは難しくなっている。
<出所>空気調和・衛生工学会編「空気調和・衛生設備の知識(改訂3版)」(オーム社、平成27年4月5日改訂3版第7刷
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④間欠運転時間と二酸化炭素濃度変動④-1 4時間運転時の二酸化炭素濃度変動
空調機4時間運転では、ビル管法の基準を安定的にクリアすることが難しいと思われることから、運転時間を4時間以上にする必要がある。
16
31
④-2 8時間運転時の二酸化炭素濃度変動
8時間運転では、まだ、余裕がある。
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④-3 6時間運転時の二酸化炭素濃度変動
6時間運転でも、十分に、ビル管法の要件を満足しており、空調機運転は、6時間の間欠運転が推奨される。
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⑤省エネルギー効果の試算
⑤-1 削減電力量と削減効果
記号 名称 仕様 動力 kWh
ACU-1 1階図書系統 インバータ制御給気量 23,500CMH 外気量 10,740CMH 18.5 還気量 23,400CMH 排気量 10,640CMH 15.0 全熱交換器
ACU-2 アトリウム系統 インバータ制御給気量 15,700CMH 11.0
ACU-3 2階図書系統 インバータ制御給気量 23,900CMH 外気量 10,410CMH 15.0 還気量 23,800CMH 排気量 10,310CMH 15.0 全熱交換器
ACU-4 3階図書系統 インバータ制御給気量 8,600CMH 外気量 5,200CMH 5.5 還気量 7,600CMH 排気量 4,200CMH 3.7 全熱交換器
1)空調機仕様
運転時間 月・火・木・金 8:30~20:00 11.5時間土・日・水 8:30~17:30 9.0時間
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• ACU-2(アトリウム系統)は既に停止。
• 1日4時間、ACU-1・3・4を停止するものとする。
• インバータで45Hzの運転が実施されていたので、実際の動力
は75%として試算する。(動力は周波数の比の3乗に比例)
• ACU-1・3・4の動力合計:72.7kW
• インバータによる実動力:72.7kW×75%=55kW
• 日停止時間4時間、月運転日数25日とする。
• 月削減電力量:55kW×4時間×25日=5,500kWh
• 業務用電力単価を18円/kWhとする。
• 月削減電気料金:5,500kWh/月×18円/kWh=99,000円/月
→9.9万円/月
2)空調機停止による削減電力量と電気料金の試算
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35
⑤-2 空調機停止による削減都市ガス量と都市ガス料金の試算
札幌の月別日平均外気温度
年 月日平均
外気温度 ℃2010年 11月 5.9
12月 0.62011年 1月 -3.8
2月 -1.13月 0.74月 6.9
平均 1.5
• 1日4時間、ACU-1・3・4を停止。• A C U -1 ・ 3 ・ 4 の 外 気 量 の 合 計 は
26,350m3/h
• インバータで45Hzの運転が実施されていたので、実際の導入外気量は90%として試算する。(風量は周波数の比に比例)
• 導入外気量:26,350m3/h×90%=23,700m3/h
• 空調機の停止月は、11月から翌年4月までの6ヶ月間とする。
• 停止期間中の平均外気温度は1.5℃とし、空調機で22℃まで加熱
するものとする。したがって、加熱温度差は20度とする。
• 空調機停止による導入外気削減熱量
: 23,700m3/h×20K×0.33W/ ( m3/K ) ×4 時 間 / 月 ×25 日 / 月
=15,642kWh→56,300MJ/月
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• 全熱交換効率60%、熱源機効率80%、都市ガス発熱量45MJ/m3
とした場合の月都市ガス削減量
:56,300MJ/月×(100%-60%)÷80%÷45MJ/m3=625m3/月
• 都市ガス単価を100円/m3とした場合の月都市ガス削減金額
:625m3/月×100円/m3=62,500円/月→6.25万円/月
⑤-3 空調機一日5時間停止による省エネ効果
• 月削減電力量:5,500kWh
• 月都市ガス削減量: 625m3/月
• 月削減料金
電気料金 9.9万円
都市ガス料金 6.25万円
合計 約16万円
19
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⑤-4 空調機一日5時間停止による省エネ提案書(案)
• 図書館系統の空調機を日中4時間停止し、エネルギー
消費量の大きな部分を占める搬送動力を削減して省エネを行います。
• 事前のCO2濃度測定によ
り、室内環境に影響がないことを確認済。
【試算結果】• 月削減電力量:5,500kWh
• 月都市ガス削減量:625m3/月• 月削減料金
電気料金 9.9万円 都市ガス料金 6.25万円 合計 約16万円
■空調機一日5時間停止による省エネ提案
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⑥実際の省エネルギー効果
⑥-1 全体電力量
⑥-2 全体都市ガス量
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①中央図書館の熱源システム
貯湯
槽
貯湯
槽
空調機系統
FCU
系統
空調機系統
FCU
系統
直暖系統
PA
C
系統
RH
系統
直暖系統
PA
C
系統
RH
系統
真空式
温水機
真空式
温水機
吸収式
冷温水機
吸収式
冷温水機
GM
都市ガス
冷温水ヘッダー(往)冷温水ヘッダー(還)
温水ヘッダー(還)温水ヘッダー(往)
冷却塔
[凡例]
超音波流量計
配管表面温度測定
ビデオ撮影
(ガスメーター表示値)
(3)老朽化した熱源の更新と小型化の提案
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主要熱源機器
名称 仕様 台数
都市ガス焚吸収式冷温水機 冷房能力 110usRT(387kW)暖房能力 430kW都市ガス消費量 13A 冷房 32.5Nm3/h
暖房 40.6Nm3/h
2
都市ガス焚真空式温水機 定格出力 733kW都市ガス消費量 72.3m3/h(13A)
2
密閉式冷却塔 冷却水量 1,870L/min 2
熱交換器 ロードヒーティング用 プレート式SUS製 熱交換能力 374kW
1
21
41
②目論み
• 中央図書館は、平成2年の竣工で20年が経過しており、熱源機器の劣化が懸念される。
• 熱源機器の効率低下がエネルギー消費に与える影響は大きい。
• 更新を見極める上でも、現状の熱源機の運転効率を把握することが重要である。
• また、一般に、設計熱源容量は実容量より大きい場合が多く、実測により現状の熱源容量を把握し、更新の際の適正な熱源容量を提言する。
③実測によるバックデータの収集:熱源機効率把握のための測定の実施
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③-1 熱源機の出入口温度
• 配管表面に熱電対を圧着し、熱源機往側と還側の冷温水温度
を測定する。
• 熱電対の上部には、周辺空気温度の影響をなくすため、保温
剤で覆う。
③-2 冷温水流量測定
• 超音波流量計で冷温水の流量を測定する。
③-3 燃料消費量把握
• 熱源機用のガスメーターや油メーターの流量表示をビデオやコ
マドリ写真撮影する。
22
③-4 現場における実際の測定方法
43
1)熱源機の出入口温度測定
• 感度を良くするために、配線を細くして薄くハンダ付けした熱
電対、あるいは、シート状の熱電対を用意する。
• 細い熱電対、あるいは、シート状熱電対を耐熱アルミテープ
で配管表面に圧着する。
シート状熱電対 シート状熱電対
配管表面圧着用アルミテープ
2)流量測定(超音波流量計)
• 超音波流量計は、機械室のポンプなどの雑音に影響を受ける
ことがあるので、うまく取れない場合は、複数の超音波流量計
を試すことも必要になる。
44
23
超音波流量計表示部
データロガー
超音波流量計カプラント
45
3)超音波流量計の設置
• データ収集は、1秒間隔とした。
• 住宅等の給湯システムでは、給湯間隔が短いため、1秒間隔での記録が必要と考えられるが、ビル建物などの一定規模の設備システムでは1分間隔程度のデータ収集で問題ないと考えられる。
冷水を測定する場合、配管表面に結露水が生じるため、つゆ受けを設ける。
超音波流量計センサー
データロガー
超音波流量計表示部
46
24
都市ガスメーター撮影用ビデオカメラ
都市ガスメーター冷温水配管表面温度測定用熱電対
47
4)配管表面温度測定用熱電対と都市ガスメーター表示値撮影用ビデオカメラの設置
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④測定結果
• 午前中と午後で交互に運転している。
④-1 冷水温度変動と流量変動
0
1
2
3
4
5
6
0
5
10
15
20
25
30
0:0
0
1:0
0
2:0
0
3:0
0
4:0
0
5:0
0
6:0
0
7:0
0
8:0
0
9:0
0
10:0
0
11:0
0
12:0
0
13:0
0
14:0
0
15:0
0
16:0
0
17:0
0
18:0
0
19:0
0
20:0
0
21:0
0
22:0
0
23:0
0
流速
m/s
冷水
温度℃
8月25日 時
RB1-2 流速
RB1-2往温度
RB1-2 流速
RB1-1還温度RB1-1往温度
RB1-2還温度
RB1-1
25
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• 直焚冷温水発生機の効率は100~110である。
• 測定結果、都市ガス焚冷温水発生機の効率は、1台が72%でもう1
台が75%であり、定格効率より2割程度低下していることが分かった。
④-2 生産熱量と効率
時RB1-1熱量
RB1-2熱量
冷熱量計都市ガス熱量
都市ガス量
効率
kJ/h kJ/h kJ/h kJ/h m3 %0 0 0 0 0 0.01 0 0 0 0 0.02 0 0 0 0 0.03 0 0 0 0 0.04 0 0 0 0 0.05 0 0 0 0 0.06 0 0 0 0 0.07 444,786 25 444,811 1,050,782 22.8 42.38 603,664 0 603,664 811,340 17.6 74.49 575,658 0 575,658 830,219 18.0 69.3
10 575,909 0 575,909 790,619 17.2 72.811 552,578 800 553,378 821,931 17.8 67.312 0 669,436 669,436 1,147,480 24.9 58.313 0 708,878 708,878 966,057 21.0 73.414 0 726,244 726,244 982,173 21.3 73.915 0 743,208 743,208 965,596 21.0 77.016 0 705,714 705,714 954,085 20.7 74.017 0 37,252 37,252 9,209 0.218 0 0 0 0 0.019 0 0 0 0 0.020 0 0 0 0 0.021 0 0 0 0 0.022 0 0 0 0 0.023 0 0 0 0 0.0
計 2,752,594 3,591,558 6,344,152 9,329,491 203 68.0
運転時間平均効率
名称冷熱量計[kJ]
都市ガス熱量 [kJ]
平均効率
RB-1 1,755,230 2,432,179 72.2%RB-2 2,884,044 3,867,910 74.6%
50
④-3 冷房負荷出現頻度の割合
11.1%
2.8%
6.0%
4.5%
11.9%12.2%
15.1%
10.4%
4.1%5.3%
9.8%
5.3%
0.8% 0.6% 0.2% 0.0%0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
14%
16%
18%
20%
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160
頻度
の構
成比
冷房負荷 usRT
冷房負荷50~80usRTで全体の約50%を占める。
26
51
• 冷温水発生機は部分負荷効率が高いものが販売されている。
• 小容量化により効率の高いところでの運転時間を長くできる。
• したがって、直焚吸収式冷温水発生機の更新と小型化の提案を行った。
④-4 熱源の更新と小型化の提案
⑤熱源更新時の容量検討の提案
単純な機器更新ではなく実測に基づいた検討が重要である。
<出所>P社ホームページ
(参考)熱源機(冷温水)の効率の算出
52
(1)熱源の種類:直焚冷温水発生機、真空式温水機など(2)熱源機効率
熱源機効率 % =供給熱量 MJ
燃料消費量 # × 発熱定数 MJ #
#:燃料固有値(3)供給熱量
(供給熱量[MJ])=|(出口温度[℃])-(入口温度[℃])|×(流量[L])
×(水の密度[kg/L])×(水の比熱[MJ/(kg・K)])※不凍液を使用する場合など密度、比熱に注意。
参-1. 冷温水熱源機(燃焼系)
27
参-2.蒸気ボイラ(燃焼系)
53
(1)蒸気ボイラの種類:炉筒煙管、貫流ボイラ、水管ボイラなど(2)熱源機の効率の算出
熱源機効率 % =供給熱量 MJ
燃料消費量 # × 発熱定数 MJ #
#:燃料固有値(3)供給熱量の把握
(供給熱量[MJ])=|(蒸気比エンタルピー[kJ/kg])-(給水比エンタルピー[kJ/kg)|
×(給水量[L])×(水の密度[kg/L])
参-3.電動冷凍機、ヒートポンプ
54
(1)熱源の種類:空冷式チラー、空冷式ヒートポンプ、水冷式チラー(2)熱源機の効率の算出
成績係数 COP =供給熱量 kWh
電力量 kWh
(3)供給熱量の把握(供給熱量[kWh])=|(出口温度[℃])-(入口温度[℃])|×(流量[L])
×(水の密度[kg/L])×(水の比熱[kJ/(kg・K)])÷3,600
※不凍液を使用する場合など密度、比熱に注意。
28
55
3.2 小学校の事例:ボイラ室での蒸気配管等からの放熱ロスを低減する
(1)蒸気熱損失の抑制※1
• 蒸気が使用される病院では、消費先が不明、つまり熱損失の割合が年間12%になっている例がある。
• 蒸気熱損失の抑制対策 蒸気使用箇所を減らす 蒸気配管の保温強化とつり部の保温(ローラ吊りからチェーン
吊りへ) 蒸気トラップの漏れ量の点検、あるいは、低損失蒸気トラップ
への更新 蒸気供給が不要な箇所、時期、時間帯の蒸気供給停止 中間期・冬期の蒸気圧力(温度)の見直し~蒸気吸収式冷凍
機に必要な高圧蒸気供給の不要な時期 蒸気バルブ等の共通仕様で保温不要とされている部分の保
温施工※1.湯澤秀樹:エネルギーマネジメントが拓く未来、工作舎、2015年12月25日
56
①国土交通省の保温仕様
<出所>国土交通省大臣官房官庁営繕部監修:公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編) 平成28年版
29
57
平成28年版仕様書
②国土交通省の保温仕様の変更
<出所>国土交通省大臣官房官庁営繕部監修:公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編) 平成28年版
58
③建築物省エネ法の給湯配管の計算に用いられている保温仕様
<出所>国土交通省 国土技術政策総合研究所国立研究開発法人 建築研究所:モデル建物法入力支援ツール Ver.2.1.4 入力マニュアル(2016 年6 月24 日版)
30
59
(2)目論み
• 百合が原小学校の機械室の蒸気配管は、国土交通省
の保温仕様が適用されており、蒸気配管等からの熱損
失が大きいと予想される。
• 機械室内の蒸気配管等を保温することによって、熱損失
を防止し、都市ガス消費量を削減することができる。
60
(3)百合が原小学校の蒸気配管等の保温実施
31
61
(4)蒸気配管等の保温による室温低下
62
(5)蒸気配管等の保温による室温低下の省エネと節約効果
• 蒸気配管保温による室温低下 6.5℃• ボイラ室容積 144m3
• 換気回数 15回/h
• 1時間当り削減熱量144m3×6.5K×1.24kJ/(K・m3)×15回/h=17,410kJ/h
• 1年間の削減熱量17.41MJ/h×7h/日×180日/年=21,936.6MJ/年
• 年間削減都市ガス量21,936.6MJ/年÷80%÷45MJ/m3=609.35m3/年
80%:ボイラ効率 45MJ/m3:都市ガス発熱量• 都市ガス単価を100円/m3とした場合の削減額
約6万円
32
3.3 青少年科学館における事例
63
(1)ナイトパージによる省エネ
①目論み
• ナイトパージは、夏期などの冷房時期に、昼間に建物内部・躯体に蓄積された熱を、夜間の温度が低い外気を取入れ冷却し、日中の冷房負荷を軽減するもの。
• 青少年科学館は窓等の開口部が少なく、コンクリート躯体への蓄熱が期待できる。
• 青少年科学館は、単一ダクト方式であり、自動制御の機能として外気冷房運転があり、スケジュール運転が可能である。
• 上記事由から、青少年科学館では、ナイトパージによる省エネが期待できる。
64
熱源設備 (北側)温熱源 熱交換器(地域熱供給)
シェル&チューブ型加熱能力 900Mcal/h
一次側 高温水 278L/min(140℃~80℃)二次側 温水 2,940L/min(54.5℃~60℃)
冷熱源 単効用吸収式冷凍機 冷凍能力 300usRT
冷水 3,000L/min(7℃~12℃)高温水 610L/min(142℃~100℃)
熱源設備 (南側)温熱源 熱交換器(地域熱供給)
プレート式(SUS316) 222Mcal/h
一次側 高温水 62L/min(140℃~80℃)二次側 温水 370L/min(50℃~60℃)
冷熱源 単効用吸収式冷凍機 冷凍能力 160usRT
冷水 1,580L/min(7℃~12℃)高温水 225L/min(140℃~85℃)
②設備概要
33
65
空調設備 単一ダクト方式主な空調系統(北側)
AC-1 事務所系統AC-2 エントランス系統AC-3 プラネタリウム系統AC-4 展示室南系統AC-5 展示室北系統
(南側)ACU-1 サイエンスホール系統ACU-2 2階特別展示室系統ACU-3 2階常設展示室系統ACU-4 3階常設展示室系統ACU-5 バーチャリウム系統
66
③夏季ナイトパージ(夜間外気冷房)の実施
③-1 ナイトパージ実施前後の室温及び外気温度変動
ナイトパージ実施日は、早朝4時から7
時までの3時間に空調機によって外気を導入した。運転は自動制御盤のスケジュール運転によった。
ナイトパージ実施前の室温変動
自動制御盤
34
67
ナイトパージ実施日の室温変動
ナイトパージ実施していない日の室温変動
68
③-2 青少年科学館の日報
■室温と外気温度
35
69
■高温水熱量
70
④ナイトパージの省エネ効果
36
71
ナイトパージを行った日と行わなかった日の9~17時までの平均外気温度は、ナイトパージを行った日が26.7℃で、行わなかった日が26.2℃とほぼ同じであった。
日平均使用熱量は、北側と南側で、以下の通りであった。北側 ナイトパージ無し 3.10Gcal/日
ナイトパージ有り 2.88Gcal/日削減熱量 0.2Gcal/日削減率 7.5%
南側 ナイトパージ無し 6.90Gcal/日ナイトパージ有り 6.20Gcal/日
削減熱量 0.7Gcal/日削減率 10.8%
72
ナイトパージによる送風機動力の1日の増加分は、以下の通りである。
空調機送風機動力 57kW
ナイトパージ実施時間 3h/日増加分電力量 171kWh/日
電気従量料金単価を12円/kWhとすると、増加分の電気代は、以下のように算出できる。
増加分電気代=増加分電力量×電気従量料金単価=171kWh/日×12円/kWh
=2,052円/日
37
73
ナイトパージによる地域熱供給の高温水削減熱量による削減金額は、以下のように算出できる。
熱単価 3.15円/MJ=13.186円/Mcal
削減熱量=北側削減熱量+南側削減熱量=0.2 Gcal/日+0.7Gcal/日=0.9 Gcal/日
削減熱量による削減金額=削減熱量×熱単価=0.9 Gcal/日×13.186円/Mcal
=11,867円/日
ナイトパージによる削減金額は、以下のように算出できる。ナイトパージによる削減金額
=削減熱量による削減金額-増加分電気代=11,867円/日-2,052円/日=9,815円/日
したがって、ナイトパージによって、1日約1万円の節約となると考えられる。
74
ナイトパージを行った日と行わなかった日の9~17時までの平均外気温度は、ナイトパージを行った日が26.7℃でしない日が26.2℃とほぼ同じであった。
日平均使用熱量は、北側と南側で、以下の通りであった。北側 ナイトパージ無し 3.10Gcal/日
ナイトパージ有り 2.88Gcal/日削減熱量 0.2Gcal/日削減率 7.5%
南側 ナイトパージ無し 6.90Gcal/日ナイトパージ有り 6.20Gcal/日
削減熱量 0.7Gcal/日削減率 10.8%
(2)吸収式冷凍機の冷水温度変更による省エネ効果の検証
• 一般に、吸収式冷凍機は、冷水温度を高くした方が、効率が良くなるといわれている。
• しかし、一方で、冷水温度を下げて、短時間で空調を行うと省エネルギーになるという専門家もいる。
• 現状、青少年科学館では、冷水は10℃で運転している。ここでは、冷水温度を7℃に下げ、冷水温度を高くした場合の省エネ効果について検証することとした。
単効用吸収式冷凍機 冷水温度
①目論み
38
75
②冷水温度の変更を行わなかった日と行った日の南側日平均外気温度と高温水日使用熱量の関係
76
③冷水温度の違いによる高温水日使用熱量
• 南側平均外気温度は、冷水温度を7℃にした場合の方が若干低
いが、北側及び南側ともに、日使用熱量は22%増加している。
• 冷水温度を低くすることは、省エネルギーとはならず、冷水温度
は可能な限り高い温度で運転することが省エネルギーになる。
冷水温度の違いによる南側平均外気温度と北側及び南側の平均日使用熱量
①冷水10℃ ②冷水10℃→7℃ 使用熱量比(②÷①)
南側平均外気温度 23.80 23.19 -
南側日平均使用熱量 6.86 8.35 1.217
北側日平均使用熱量 3.10 3.81 1.228
39
3.4 音楽ホールの事例:真空式温水ヒーターの空気比の改善
77
排ガス酸素濃度14%のときの空気比21/(21-14)=3.0
(1)現状の真空式温水ヒーターの空気比
78
(2)目論み
• 現状の空気比が高く、適正な値とすることによって、省エネ効果が期待できる。
(3)空気比の適正化
40
79
ガス使用量年間3.4%削減。金額にして、約65万円/年の削減。
(4)省エネルギー効果
80
3.5 札幌ドームの事例(1)札幌市施設のパッケージ型空調機屋外機の清掃によ
る省エネ効果の検討
パッケージ型空調機の屋外機は、一般に屋外に設置されており、
熱交換器フィン表面へのほこりなどの付着により、屋外機の熱交換
効率が低下し、圧縮機の入力が増加するため、機器効率が低下す
ることが指摘されている。
そこで、屋外機清掃による効率改善効果を把握するため、実際に
屋外機の清掃を行った。
①目論み
41
81
②第4電気室パッケージ型空調機動力系統への電力計の設置
電力量計
82
③電気室冷房用パッケージ型空調機の屋外機の清掃の実施
洗浄準備状況
洗浄後の排水放水方法の確保
洗浄状況
42
83
洗浄状況
洗浄前の汚れたコイル面
洗浄後のコイル面
洗浄水
84
④清掃による効果の検討清掃前
パッケージ電力量
第4電気室電力量
日平均外気温度
kWh kWh ℃
9/21(土) 213.9 18260 19.69/22(日) 186 19220 16.7
9/23(月) 153.9 17650 16.19/24(火) 124.5 15600 18.4
9/25(水) 137.2 19750 14.69/26(木) 106.5 15670 12.8
9/27(金) 84.2 7310 12.89/28(土) 84.2 6360 15.5
9/29(日) 87.8 7060 18.59/30(月) 90.9 7300 17
10/1(火) 120.7 15450 16.910/2(水) 138.1 17600 19.6
10/3(木) 100.2 8090 16.310/4(金) 108.2 15250 13.5
10/5(土) 137.5 16340 16.310/6(日) 169.9 17640 16
10/7(月) 99.2 6430 17.4
清掃後パッケージ電力量
第4電気室電力量
日平均外気温度
kWh kWh ℃10/9(水) 89.5 6800 12.8
10/10(木) 99 6410 14.810/11(金) 96.5 6010 1710/12(土) 76.9 5640 16.210/13(日) 77.8 5410 12.110/14(月) 76.1 5990 1410/15(火) 77.3 6020 12.310/16(水) 75.1 5950 6.910/17(木) 72.2 6230 8.210/18(金) 69.3 6270 9.710/19(土) 76.6 7310 9.610/20(日) 105.4 13390 11.410/21(月) 77 6990 12.610/22(火) 78 6480 11.710/23(水) 79 6960 11.410/24(木) 73.6 5950 11.610/25(金) 72.4 5990 1310/26(土) 73.3 5520 1110/27(日) 63.5 5790 8.6
43
85
④-1 パッケージ型空調機日消費電力量と第4電気室日電力量の関係
86
④-2 清掃前のパッケージ型空調機の電力量と電気室電力量及び日平均外気温度の関係(重回帰分析)
概要
回帰統計重相関 R 0.861991重決定 R2 0.743029補正 R2 0.706318標準誤差 20.42716観測数 17
分散分析表
自由度 変動 分散観測された分散比有意 F回帰 2 16891.36 8445.679 20.24038 7.4E-05残差 14 5841.764 417.2689合計 16 22733.12
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95% 下限 95.0%上限 95.0%切片 -45.3927 41.81358 -1.0856 0.295997 -135.074 44.28846 -135.074 44.28846第4電気室電力量 0.005743 0.001002 5.731031 5.19E-05 0.003594 0.007892 0.003594 0.007892日平均外気温度 5.712712 2.462668 2.319725 0.035978 0.430815 10.99461 0.430815 10.99461
t値 ≥ 2.0 → 説明変数は有意t値 ≤ 2.0 → 説明変数は有意ではない
44
概要
回帰統計重相関 R 0.720743重決定 R2 0.51947補正 R2 0.455399標準誤差 6.516513観測数 18
分散分析表
自由度 変動 分散観測された分散比有意 F回帰 2 688.591 344.2955 8.107759 0.004101残差 15 636.974 42.46494合計 17 1325.565
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95% 下限 95.0%上限 95.0%切片 19.04144 20.66058 0.921631 0.371307 -24.9955 63.07843 -24.9955 63.07843第4電気室電力量 0.005161 0.003 1.720157 0.105962 -0.00123 0.011555 -0.00123 0.011555日平均外気温度 2.26607 0.595981 3.802253 0.001735 0.995767 3.536373 0.995767 3.536373
87
④-3 清掃後のパッケージ型空調機の電力量と電気室電力量及び日平均外気温度の関係(重回帰分析)
第4電気室電力量 t値 ≤ 2.0 → 説明変数は有意ではない
※清掃後のパッケージ型空調機の電力量が小さいのは、外気温度の影響と考えられる。
88
⑤パッケージ型空調機屋外機の清掃による省エネ効果について
⑤-1 札幌ドーム事務所棟のパッケージ型空調機屋外機の清掃による省エネ効果
※清掃の効果はほとんどみられない。
45
89
⑤-2 パッケージ型空調機屋外機の清掃による省エネ効果について
• 空調機器清掃の専門家によると、パッケージ型空調機やエアコンの屋外機清掃については、外気温が高く湿度70%を超える様な時に20%を超える電流値であれば、洗浄が有効と判断しているとのことであった。
• また、最も簡単な見分け方としては、高圧ゲージが18kg/cm2以上の場合洗浄と判断するのが良いとのことであった。
• パッケージ型空調機屋外機の汚れがひどい場合に清掃の効果が期待できるものと考えられる。
• 熱交換器は、熱交換部分の汚れなどにより熱交換効率が低下すると、熱交換気表面温度が冷熱の場合は低下し、温熱の場合は上昇し、周囲温度との温度差が拡大する。
• 熱交換気表面温度と周囲温度との温度差が拡大すると、熱交換器表面からの放熱量が増加する。
• また、一次熱源側の温度差が小さくなり、熱源の効率が低下することが考えられる。
• 札幌ドームには冷水蓄熱及び放熱用のプレート式熱交換器があり、竣工後10年が経過しており、プレート式熱交換器の汚れによる熱交換効率の低下が危惧されたため、熱交換機内部の洗浄を実施、省エネ効果を検証することとした。
(2)プレート式熱交換機の清掃による省エネ効果①目論み
90
46
②洗浄対象熱交換機
二次側(
負荷側)
より還水
二次側(
負荷側)
へ送水
91
清掃を行ったプレート式熱交換機の仕様
名 称 仕 様
EX-3 冷水 熱 交 換器(空冷チラ ー 冷 水用)
プレート式(水-水)SUS304
冷水交換熱量 576,000kcal/h
一次冷水 1,380L/min(6-13℃)二次冷水 1,380L/min(14-7℃)
EX-4 冷水 熱 交 換器(蓄熱槽放 熱 冷 水用)
プレート式(水-水)SUS304
冷水交換熱量 498,000kcal/h
一次冷水 1,190L/min(6-13℃)二次冷水 1,190L/min(14-7℃)
• 洗浄剤をプレート式熱交換器一次側及び二次側に注入し、12時間以上循環させプレート表面の洗浄。
• 熱交換器内の汚れにより、若干色がついてきている。
• 水質管理がしっかりしており、洗浄水の汚れは予想より少ない。
③洗浄方法
92
47
93
94
48
④洗浄効果
洗浄工事費 :330千円(税込)削減電力量 :5,400kWh/年電気料金 :20円/kWh削減金額 :108千円/年単純回収年数:約3年
EX-4 清掃前後の熱交換効率
一次側熱量 二次側熱量 熱交換効率
MJ/30min MJ/30min %
清掃前 2,178.0 2,299.2 94.7%
清掃後 1,973.7 2,004.9 98.4%
熱交換効率差 3.7%
95
• プレート式熱交換器は、一般に保温されることは少なく、表面からの熱損失が危惧される。
• 保温を行っていないプレート式熱交換器に、実際に保温を行い、その前後の熱損失を把握し、保温による省エネルギー効果について検討を行った。
対象としたプレート式熱交換器は、洗浄を行った冷水用プレート式熱交換器とした。
(3)プレート式熱交換器の保温による省エネ効果
②対象機器と保温仕様
96
①目論み
49
③プレート式熱交換器の保温による省エネルギー効果
97
保温による省エネルギー効果
1分平均流量
1 分 平 均温度差
1分平均熱量
熱交-室温温度差
室温と熱交温度差1度当り熱量
L/分 K kcal/分 K kcal/(K・分)
1,449.94 0.4178 605.83 7.67 78.98
夏期温度差=28℃(室温)-
10℃(冷水)
夏期1分損失熱量
夏期稼働時間
夏期損失熱量
電力量(COP=3)
電気料金
K kcal/min h Mcal kWh 円/年
18 1421.668 300 25,590 9,919 119,023
■単純回収年数• 熱交換器保温工事費 130,000円(税込)• 単純回収年数 1.1年
98
50
99
(4)ロードヒーティングの省エネ運転
①ロードヒーティングの蒸気量
• 月別のロードヒーティング蒸気量をみると、12月と1月では、ロードヒーティング蒸気量は総蒸気供給量の31~33%となっている。
• 11月から翌年2月までのロードヒーティング蒸気量は、全体の28%と約3割を占めており、省エネルギー、並びに、省コストの観点から、ロードヒーティング蒸気量の削減が望まれる。
100
②運転状況
• 連続加熱運転時は、送水温度が40℃で一定となり、還水温度は徐々に上昇し、33~34℃まで上昇している。
• 路面温度はかなり高く維持されているものと思われる。
51
101
• 12月のロードヒーティングの運転状況をみると、連続加熱運転時は、送水温度が40℃で一定となり、還水温度は徐々に上昇し、33~34℃まで上昇している。
• 融雪を行うには、路面温度をプラス温度に保てばよいと思われるが、実際の運転状況をみると、路面温度はかなり高く維持されているものと思われる。
• ロードヒーティングの省エネを行うためには、加熱が必要ないときに加熱を停止することが有効と考えられる。
③目論み
102
ロードヒーティング
温水40℃一定送水
低圧蒸気
温度センサー
温度センサー
融雪用温水
ポンプ
融雪用蒸気-温
水熱交換器
④札幌ドームのロードヒーティングシステム
52
103
外気温度
設定値以下
路面温度低下 路面水分検知
AND条件
赤外線式降雪検知
OR条件
AND条件
融雪用温水ポンプ ON/OFF
⑤札幌ドームのロードヒーティングシステムの制御方法
104
⑥間欠加熱運転方法の提案
<間欠加熱運転の提案>
外気温度
設定値以下
路面温度低下 路面水分検知
AND条件
赤外線式降雪検知
OR条件
AND条件
融雪用温水ポンプ ON/OFF
還水温度
設定値(例えば、30℃)
熱交換器一次側蒸気バルブ閉
還水温度
設定値(例えば、20℃)
送水温度制御
⑥-1 間欠加熱運転方法
53
105
⑥-2 間欠運転の運転状況
• 間欠加熱運転に変更後は、還水温度が28℃程度に達すると加熱が停止し、還水温度が20℃に低下すると再び加熱が開始され変更前に比べ、加熱時間は減少。
• 管理委託会社のその後の調査で、単位降雪量当り約14%の省エネが確認された。
0
1
2
3
4
5
6
-20
-15
-10
-5
0
5
10
1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時
1/5(日) 1/6(月) 1/7(火) 1/8(水) 1/9(木) 1/10(金) 1/11(土)
路面
降雪
見地
目盛
1で
検知
温度
[℃]
スカイウォーク路面降雪検知 外気温度
0
1
2
3
4
5
05
101520253035404550
1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時1時 6時 12
時
18
時
1/5(日) 1/6(月) 1/7(火) 1/8(水) 1/9(木) 1/10(金) 1/11(土)
路面
降雪
見地
目盛
1で
検知
温度
[℃]
スカイウォーク路面降雪検知 EX-6二次側送水温度 EX-6二次側還水温度
106
3.6 本庁舎の事例:排気系統の見直し
(1)目論み• 地下2階、地上19階、塔屋2階• 地下1階搬入口から多量の侵入外気がある。• 地下1階搬入口が開いたときの外気流入風速は3m/sを超えて
おり、地下1階から1、2階の室内環境に悪影響を及ぼしていると考えられる。
搬入口ドア閉鎖時 搬入口ドア開放時
54
107
• 主たる空調機械室が、19階、8階、地下2階の3フロアに分散している。
• 空調機への外気は、19階、8階、1階のガラリから導入されている。
• 1階のガラリは、地下2階機械室の空調機へ導入するためのものである。また、排気は、19階と地下2階に排風機が設置され、排気されている。
• 地下厨房の排気や東西にある倉庫系統の排気など、専用の排気が日中常時運転されており、施設下階からの多量の外気侵入の原因となっていると考えられた。
• 低層階の環境改善と暖房用エネルギーの削減を目的として、排気量の削減について検討を行うこととした。
108
(2)外気取り入れ量と排気風量測定①空調ダクト系統図
55
109
②現状の風量バランス
3F
1F
B2F
19F
18F
4F
8F
風量バランス(現状)
全体バランス(2.5%の正圧)
極度の負圧
B1F搬入口から外気
流入の要因
建物内 1,874m3/h の正圧OA 77,573m3/h EA 75,698m3/h
OA 9,512m3/h EA 38,113m3/h
OA 59,167m3/h
OA 8,894m3/h EA 37,585m3/h
110
• 19階は、導入外気が約9,500m3/hで、排気が38,100m3/hとなっており、排気の方が多い。
• 8階は外気導入のみで、59,100m3/hの外気が取り入れられている。
• 地下2階から3階についてみると、外気導入量が約9,000m3/hであるのに対し、排気が37,600m3/hとなっており、排気量が圧倒的に多くなっている。
• 建物全体でみると、若干導入外気量の方が多く、2.5%の正圧となっている。
• 4階から上部は、1階玄関や地下1階搬入口からの外気の影響がほとんどなく、8階からの大量の外気導入もあり、正圧が保持されていると考えられる。
• しかし、地下2階から3階にかけては、極端な負圧となっており、これが、地下1階搬入口からの強い外気侵入の要因となっていると考えられる。
56
111
③停止可能な排気系統の停止提案とその場合の風量バランス
3F
1F
B2F
19F
18F
4F
8F
風量バランス(正圧化検討)
全体バランス(30%の正圧)
極度の負圧
B1F搬入口から外気
流入の要因
建物内 17,845m3/h の正圧
高層部西側倉庫系統排気ファン(15,970m3/h)を停止した場合
EA 59,728m3/hOA 77,573m3/h
OA 9,512m3/h EA 22,143m3/h
OA 59,167m3/h
OA 8,894m3/h EA 37,585m3/h
• 排気系統で停止が可能な系統を検討した結果、19階に設置されている高層部西側倉庫系統が挙げられた。
• 建物全体では、導入外気が排気より30%多い正圧となり、地下1階搬入口からの外気流入も緩和されると考えられる。
112
• 停止を提案した高層部西側倉庫系統排気ファンは、既に、2013年11月中頃より停止されていた。
• このため、地下1階搬入口の流入外気風速は、2012年度は最大風速が3.5m/s
程度であったが、2013年度は2.5m/s程度と風速が遅くなっており、流入外気が減少したものと考えられた。
• 下図の停止後(2013年12月以降)の方が高温水熱量が少なくなっており、これ
以外の種々の省エネの工夫による効果も含んでいると思われるが、高層部西側倉庫系統排気ファンの停止も空調用高温水熱量の削減に寄与したものと考えられる。
y = -66741x + 1E+06R² = 0.5821
y = -92392x + 822977R² = 0.9623
0
200000
400000
600000
800000
1000000
1200000
1400000
1600000
1800000
-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2
空調
用高
温水
熱量
[MJ/
月]
月平均外気温度(札幌管区気象台)[℃]
高層部西側倉庫系統停止前(2010.12~2013.3)
高層部西側倉庫系統停止後(2013.12~2014.2)
(3)高層部西側倉庫系統排気ファン停止による影響
57
4.省エネ効果の検証方法について
113
4.1 暖冷房用エネルギー消費量の比較
• 空調用のエネルギー消費は、気象条件によって変動するた
め、これと関連の深い外気温度との相関によって補正する。
• 補正式は、冷房と暖房の月平均外気温度と月都市ガス消費量
の近似式を用いる。
(1)月平均外気温度による補正
114
y = -1824.6x + 16254R² = 0.906
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
-6 -4 -2 0 2 4 6
月都
市ガ
ス使
用量
m3
月平均外気温度 ℃
(2)暖冷房用エネルギー消費量の外気温度補正の例
①2007年から2010年までの月平均外気温度と月都市ガス消費量の関係
①-1 暖房用都市ガス消費量
58
115
①-2 冷房用都市ガス消費量
y = 873.78x - 10262R² = 0.9105
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
0 5 10 15 20 25
月都
市ガ
ス使
用量
m3
月平均外気温度 ℃
116
②外気温度補正による省エネルギー効果算出例:図書館の例
• 外気温度補正値と平成22年度の実績値をみると、11月を除く全ての月で平成22年度実績値が下回っており、省エネルギー効果がみられる。
• 9月~2月までの6ヶ月間の総削減量は9,894m3で、月平均削減率は13.4%であった。
59
117
4.2 電力量の比較
• 暖冷房用の電力量を除いた電力量は、外気温度等に左右されないため、外的な要因による経年的な変動は少ない。
• したがって、比較する前の2~3年度の平均値を基準電力消費量とすることが考えられる。
■図書館の例
• 3カ年平均値と平成22年度の実績値をみると、全ての月で平成22年度実績値が下回っており、省エネルギー効果がみられる。
• 空調機間欠運転などの効果のためと考えられる。• 9月~2月までの6ヶ月間の総削減量は83.2MWhで、月平均削減率は13.6%で
あった。
5.まとめ
118
○ 空調設備の概要
熱源機の種類
空調システムの概要と特徴等
○ 空調設備の省エネの取り組み事例
図書館の事例
小学校の事例
青少年科学館における事例
音楽ホールの事例
札幌ドームの事例
本庁舎の事例
○ 省エネ効果の検証方法について