保健医療福祉 つなげる医療 「国際モダンホスピタルショウ 2012 … ·...
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健康福祉社会の発展に寄与するこ
とを目的とした国内最大級の総合展
示会「国際モダンホスピタルショウ
2012」が,2012年7月に東京ビッ
グサイトにて開催され,NTTグルー
プ各社による共同出展を行いまし
た.ここでは,「つなぐ.明日の医
療を.」をテーマに医療分野におけ
るNTTグループの取り組みを紹介し
たNTTグループブースでの展示につ
いて紹介します.
国際モダンホスピタルショウ2012
国際モダンホスピタルショウは,病院をはじめ,保健・医療・福祉分野における質の向上,充実に役立つ機器,製品,システム,サービスなどを幅広く展示し,最新情報の発信,および情報交流の場を提供することにより,健康福祉社会の発展に寄与することを目的とした国内最大級の総合展示会です.また,日本病院会および日本経営協会が主催し,今回で39回目となる歴史の古い展示会です.「国際モダンホスピタルショウ2012」は,「いのちの輝きを!未来を創る健康・医療・福祉~さらなる連携を目指して~」をテーマに2012年7月18~20日までの3日間,東京ビッグサイト東
展示棟にて開催されました.来場者数は昨年より4 000人ほど多い81 550人にのぼりました.展示は317社の出展者により「医療機器,環境設備ゾーン」「医療情報システムゾーン」「看護ゾーン」「介護・リハビリゾーン」「健診・ヘルスケアゾーン」「施設運営サポート・サービスゾーン」の6つのゾーンで構成され,海外からは,中国から11社と,マレーシアから1社による出展がありました.今回は昨年より来場者・出展者ともに多く,盛況のうちに幕を閉じました.
NTTグループ展示
NTTグループは,医療情報システムゾーンにおける「医療連携・セキュリティ対策コーナー」にグループブースを構え,グループ各社による共同展
示を行いました.これまでNTTグループとしては,国際モダンホスピタルショウには2005年から出展を開始し,グループ共同出展は本年で8回目となります.今回は過去最多のグループ11社が参加し(表1),「つなぐ.明日の医療を.」をテーマに,医療分野におけるNTTグループの取り組みとして,病院内・病院間の診療情報を共有・活用するシステムや地域医療連携システムなど,さまざまなソリューション,サービス,先端技術を一堂に展示しました(写真1).各展示は,「つなぐ」をキーワード
に「安心をつなぐ」「地域をつなぐ」「時間をつなぐ」「情報をつなぐ」という4つのコーナーを設け,来場者にNTTグループ連携による総合力を分かりやすくアピールできるよう整理しました(図).
NTT技術ジャーナル 2012.1154
「国際モダンホスピタルショウ2012」出展報告
ほ ん だ しんくろう
本田 新九郎NTT研究企画部門
保健医療福祉
つなげる医療
NTTグループ
写真1 NTTグループブース外観
表1 NTTグループ出展社一覧
NTTNTT東日本NTT西日本NTTコミュニケーションズNTTデータNTTドコモNTTファイナンスNTTアイティNTTソルコNTTレゾナントサイバー・ラボ
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(1) 「安心をつなぐ」コーナー「遠隔健康相談システム」の導入
事例として,淀川キリスト教病院,北海道喜茂別町・島牧村・積丹町・ニセコ町,檜枝岐村,福島県立医科大学への導入事例が紹介されました.それぞれ,報道発表(1)やTVコマーシャル(2)で紹介された事例などであり,来場者に臨場感をもってアピールするデモンストレーションとなりました.さらに遠隔健康相談から一歩進んだ先進的な取り組みとして,「Continua対応テレヘルスシステム」の展示にて医療法人鉄蕉会亀田総合病院との遠隔医療共同実証トライアル(3)が紹介さ
れました.さらには,医療情報処理に関するセキュリティ技術として,「秘密計算技術による医療統計分析」の展示(4)を行いました.これら2件の展示は,研究所技術に基づいた先端的な取り組みの参考展示として紹介されました.そのほか,「介護予防システム」「特定健診受診奨励サービス」「地域のシニアコミュニティ創出」の展示を行いました.
(2) 「地域をつなぐ」コーナー地域医療連携を実現するうえで重
要となる情報流通やID認証などの基盤として,「利用者認証基盤」「臨床検査データ連携プラットフォーム」,医
療連携におけるリアルタイムコミュニケーションを実現する「F2F KizunaVision over Cloud」が展示されました.また地域医療連携ネットワークシステム事例として「とねっと」「測ることから始めよう,gooからだログ」が紹介されました.
(3) 「時間をつなぐ」コーナー「光タイムライン 診療情報連携
システム」の展示では,社会医療法人財団慈泉会相澤病院での運用トライアルを経て,システムの提供開始が展示会直前に報道発表されたことで注目を浴びました(5).また,これと関連して,光タイムラインでも利用され,医
EVENTREPORTS
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図 NTTグループの展示一覧
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療情報を安全に流通させるための「医療・健康共通基盤ソフトウェア」もパネルにて紹介しました.またNTT東日本関東病院における取り組みとして,次の2つの展示を行いました.まずは,来院者満足度向上のため
のICT活用として,タブレットやスマートフォンによる通訳電話サービスを用いた外国人来院者対応など,先端ICT技術を活用した取り組みの紹介,そしてNTT東日本関東病院が2011年3月に取得した国際的な医療評価機構JCI(Joint CommissionInternational)の認証について,その取得ノウハウを活かし開発されたPDCA管理・書類管理のためのJCIマネジメントシステムが紹介されました.また本コーナーでは,診療所向け電子カルテサービス「Future Cl inic21ワープ」,およびその導入事例の展示がありました.
(4) 「情報をつなぐ」コーナーこのコーナーでは,グループ各社の
医療ICTソリューションの展示が行われました.医療用画像データや重要データを信頼性の高いデータセンタに保管するクラウド型サービス「クラウド型医用画像総合管理」や,レセプトチェック業務の効率化を進めるシステム「レセプト博士NEO」をはじめ,「リーズンホワイチェッカー」「ファイナンスサービス」「viaPlatz」「遠隔画像 診 断 補 助 システム i-Stroke」「MI・RA・Is/PX」「かいけい博士」を紹介しました.これらの展示は,来場者アンケートから「よく理解できた」といった声も多く,NTTグループの医療・健康ICTに関する取り組みが伝わりやすい展示となりました.中でも,地域医療連携ネットワークシステム事例「とねっと」「光タイムライン 診療情報連携システム」は特に多くの来場者が興味を持ったというアンケートからのフィードバックがありました.
セミナーの開催
NTTグループブースでは,展示に加え,著名な先生方によるセミナーを開催しました(表2).地域医療連携や診療情報連携,病院内の情報活用などのトピックについて,NTTグループの取り組みを交えながら,現場の実体験に基づく視点で分かりやすく解説いただき,どの講演も大変多くの来場者に聴講いただくことができました(写真2~4).来場者の目的が,最新の業界動向調査に加えてセミナー聴講という回答も多く,注目度の高いものとなり,ブース集客の一役を担いました.
グループ出展を終えて
NTTグループ11社による国際モダンホスピタルショウ2012への出展は,グループ出展社数,セミナー講演者数
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表2 セミナー講演者一覧
講演タイトル
成長型長寿社会の実現を目指すSmart Wellness Cityの重要性
医事業務におけるオペレーションマネジメント
ICTが医療・健康の意識を変える(新たな可能性を光に求めて)
“ひかり”を活用した未来型健康村づくり
地域の医療ニーズに応え,かつ強力な生き残り戦略 その答えは,現場にある!!
講演者
筑波大学 教授/株式会社 つくばウェルネスリサーチ 代表取締役社長久野譜也氏
慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 准教授 森川富昭氏
北海道喜茂別町 町長 菅原章嗣氏
檜枝岐村 村長 星光祥氏檜枝岐村役場 住民課 主幹(保健師)橘まゆみ氏
株式会社 リーズンホワイ 代表取締役/立命館大学MOT大学院 テクノロジー・マネジメント研究科 塩飽哲生氏
診療所で使いやすい電子カルテとは 耳鼻咽喉科めぐみクリニック 院長 塚田悦恵氏
透析クリニックでの電子カルテFuture Clinic21ワープの活用 医療法人社団 明生会東葉クリニック佐原 技士長 高橋貞信氏
スマートホスピタルを目指して(JCI受審の経験から) NTT東日本関東病院 院長 落合慈之氏
光タイムライン診療情報連携システムの考え方 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 情報システム部 部長 熊井達氏
地域医療連携における光タイムラインの有用性 小見山医院 医師 小見山祐一氏
福島における地域医療再生と情報連携 福島県立医大 副理事長 竹之下誠一氏
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が過去最多であり,報道発表に伴い,メディアからの注目度が高い展示も多く,盛況のうちに終えることができました.たくさんの方々に来訪いただき,およそ1 500枚集まったアンケートから,来訪者の25%が病院・クリニック関係者で,実際の医療に携わる方々に直接アピールできたことが分かりました.またNTTグループの医療に対する取り組みを「以前から知っている」方々が38%であり,まだまだNTTグループの医療健康ICT分野への取り組みをアピールしていく必要があることが分かりました.一方,「今回の展示会で知った」という回答が53%を占めていることから,今回の展示会への出展が一定の成果を上げたことも分かりました.NTTグループ幹部の来訪者に加え外部からも多数来訪いただき,グループ内外にわたり取り組みを認知していただくことができました.
出展の準備にあたっては,グループ各社でバラバラなものにならないよう,NTT東日本が事務局となってNTTグループ連絡会を開催し,各社間で密に情報交換しながらグループ連携による総合力をアピールできる展示を企画してきました(写真5).これらの取り組みの経験から,今後のNTTグループの医療健康ICT関連ビジネスにおけるグループ連携や情報共有の推進が期待されます.
今後の展望
少子高齢化などの要因により日本の医療の危機が叫ばれる中,医療の効率化,質の向上が求められており,ICTが担う役割は小さくありません.そのような状況において,NTTグループが果たし得る役割は一層高まってきています.今後も引き続き,NTTグループ総合力を活かした医療健康ICT分野への取り組みをアピールするとともに,グループ連携によるビジネス展開を推進していきます.
■参考文献(1) http://www.ntt -west .co. jp/news/1202/120221a.html
(2) h t t p : //www.n t t - e a s t . co . j p/bus ines s/rict/hinoemata.html
(3) http://www.ntt.co.jp/news2012/1202/120201a.html(4) http://www.ntt.co.jp/news2012/1202/120214a.html(5) http://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20120711_01.html
EVENTREPORTS
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本田 新九郎
今回の展示では,グループ各社で力を合わせNTTグループ総合力による取り組みをアピールすることができました.今後もさらなる医療健康ICTの推進に貢献していきます.
◆問い合わせ先NTT研究企画部門プロデュース担当TEL 03-5205-5378FAX 03-5205-5853E-mail shin.honda hco.ntt.co.jp
写真2 セミナーの様子 写真3 NTT東日本関東病院 院長 落合慈之氏
写真4 相澤病院 情報システム部部長 熊井達氏
写真5 グループ各社メンバ