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Sustainability Report 2018 GRI Report 83 環境 マネジメント 地域社会 個人(お客様) 環境 持続可能な容器 基本的な考え方 コカ・コーラシステムでは、製品パッケージは、環境にやさしいと同時に使いやすくなければな らないと考え、これを「サスティナブル・パッケージ(持続可能な容器)」と呼んでいます。 2020年までに、持続可能な素材をすべてのコカ・コーラ社製品に採用するため、軽量化や空容器 の回収・リサイクル推進の取り組みに加え、PETボトルを使用するすべてのコカ・コーラ社製品 に、植物由来の原材料を使用したPET樹脂またはリサイクルPET樹脂を使用したPETボトルを採 用することを目指します。 製品パッケージは、使う人にやさしくなければ環境にやさしいことの魅力も半減してしまいま す。例えば、軽量化すると強度が落ちる可能性があります。強度が落ちると注ぎにくくなったり、 飲みにくくなったり、持ちにくさや、輸送・保管の最中の容器の変形が生じたりします。 私たちは、こういった課題を考慮しつつ、製造時からお客様が購入されてボトルをリサイクルす る時まで、すべての段階で容器の軽量化を進めてきました。 そして、「地球と人にやさしい」だけではなく、「ファンタ」で採用している「バブルボトル」 「アクエリアス」で採用している「エアーボトル」、「綾鷹」で採用している「湯呑み型ボトル」など、 コカ・コーラシステムならではの、FUN(楽しさ)が感じられる製品パッケージ開発も推進しています。 「使いやすさ」「環境対応」「FUN」の3 拍子が揃った製品パッケージが私たちの目指す 「サスティナブル・パッケージ」です。 サスティナブル・パッケージの考え方 地球と人に やさしい容器 リデュース リユース リサイクル ユニバーサル デザイン コカ・コーラシステム らしさ 環境対応 使いやすさ FUN

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Page 1: 持続可能な容器 - Coca-Cola(Japan)Company · 授賞式に出席した日本コカ・コーラ技術・サプライチェーン本部グループマネージャーの柴田充

Sustainability Report 2018 GRI Report 83

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

基本的な考え方

コカ・コーラシステムでは、製品パッケージは、環境にやさしいと同時に使いやすくなければな

らないと考え、これを「サスティナブル・パッケージ(持続可能な容器)」と呼んでいます。

2020年までに、持続可能な素材をすべてのコカ・コーラ社製品に採用するため、軽量化や空容器

の回収・リサイクル推進の取り組みに加え、PETボトルを使用するすべてのコカ・コーラ社製品

に、植物由来の原材料を使用したPET樹脂またはリサイクルPET樹脂を使用したPETボトルを採

用することを目指します。

製品パッケージは、使う人にやさしくなければ環境にやさしいことの魅力も半減してしまいま

す。例えば、軽量化すると強度が落ちる可能性があります。強度が落ちると注ぎにくくなったり、

飲みにくくなったり、持ちにくさや、輸送・保管の最中の容器の変形が生じたりします。

私たちは、こういった課題を考慮しつつ、製造時からお客様が購入されてボトルをリサイクルす

る時まで、すべての段階で容器の軽量化を進めてきました。

そして、「地球と人にやさしい」だけではなく、「ファンタ」で採用している「バブルボトル」

「アクエリアス」で採用している「エアーボトル」、「綾鷹」で採用している「湯呑み型ボトル」など、

コカ・コーラシステムならではの、FUN(楽しさ)が感じられる製品パッケージ開発も推進しています。

「使いやすさ」「環境対応」「FUN」の3 拍子が揃った製品パッケージが私たちの目指す

「サスティナブル・パッケージ」です。

サスティナブル・パッケージの考え方

地球と人にやさしい容器

●リデュース●リユース●リサイクル

●ユニバーサル デザイン

●コカ・コーラシステム らしさ

環境対応 使いやすさ

FUN

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Sustainability Report 2018 GRI Report 85

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

1つ目の柱:PETボトルにおける石油由来原材料の削減

①容器軽量化と次世代素材

容器の軽量化とさまざまなデザイン

コカ・コーラシステムでは、限りある資源を有効に利用する取り組みとして、製品の容器包装の

軽量化を1970 年代より進めてきました。軽量化の代表的な例として、天然水ブランド

「い・ろ・は・す」の炭酸製品を除く1,020ml以下のPETボトルでは、飲んだ後にしぼりやすい設計が

特徴の「ecoるボトル しぼる」を採用しています。

また、2015 年より「い・ろ・は・す」の285ml PETボトルで、国内製造初かつ最軽量となる10g 以下

となった9.8g のPETボトルを導入しました。このほか、1.5L の炭酸飲料用PETボトルに国内製

造最軽量の容器を採用しています。2016年に「綾鷹」は525PETボトルで最軽量となる17gを達

成しました。2017年には「2017日本パッケージングコンテスト」(主催:公益社団法人日本包装

技術協会)において、パッケージングデザイン賞を受賞しました。

また、つぶしやすさと注ぎやすさを両立した新しい大型PETボトル「ペコらくボトル」を開発。

2015年は全2L 製品に導入しました。「ペコらくボトル」の重量は29g、角柱型のデザインを採用

することによって、対角線方向に軽く力を入れるだけで簡単につぶすことができます。また、つ

ぶしやすさに加えて、容器デザインに改良を重ねて注ぎやすさを兼ね備えることに成功しまし

た。対角線方向につぶした後、底を折り曲げたサイズは従来の2L PETボトルに比べて、約半分に

なります。

「ペコらくボトル」は、「2015日本パッケージングコンテスト」(主催:公益社団法人日本包装技

術協会)において、最高賞「ジャパンスター賞」の一つであり、環境適合化への努力が優れている

と認められたものに付与される「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞しました。ジャパンス

ター賞は、2009年に「ecoるボトル しぼる」も受賞しています。

なお、「い・ろ・は・す」の小型PETボトルについては、その革新性、持続可能性、廃棄物の削減と

いった観点において、過去に、「製品部門 最優秀賞」(平成21年度容器包装3R推進環境大臣賞 

主催:環境省)、「農林水産大臣賞」(主催:平成21年度リデュース、リユース、リサイクル推進協議

会)、「環境大臣賞」(第19回地球環境大賞、主催:フジサンケイグループ)をはじめ、海外も含めて、

多くの賞を受賞しています。

「ecoるボトル しぼる」 「ペコらくボトル」

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Sustainability Report 2018 GRI Report 86

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

②「ボトルtoボトル」リサイクル

コカ・コーラシステムでは、使用済みPETボトルをそのままPETボトルにリサイクルする、「ボト

ルtoボトル」を導入しています。以前からケミカルリサイクルPETを使用した「ボトルtoボトル」

を実施していましたが、2015年度からはメカニカルリサイクルPETの導入を開始しました。

メカニカルリサイクルでは、分別収集したPETボトルを粉砕、洗浄して表面の汚れを取り除いた

あと、高温処理によって樹脂内部にある汚染物質を揮発して除染し、精製してPET樹脂に再生し

ます。安全性の管理は常に優先されている重要事項です。

メカニカルリサイクルPETは、ザ コカ・コーラ カンパニーが定める世界共通の品質基準を満た

し、厚生労働省のガイドラインに準拠していることを確認しています。2015年夏以降、さまざま

な製品に採用されています。

メカニカルリサイクルPETを導入することで、バージンPETと比べて約50%のCO2削減効果が見

込まれています。

日本のコカ・コーラ社製品の容器軽量化の変遷

(2010年以前「い・ろ・は・す」の容量は500ml)

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Sustainability Report 2018 GRI Report 87

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

※1 2009年-2017年の「プラントボトル」の販売実績

に基づき自社にて算出しています

「プラントボトル」を使用した「い・ろ・は・す」のボトル

③再生可能な植物由来素材を使用した「プラントボトル」

コカ・コーラシステムでは、「サスティナブル・パッケージ(持続可能な容器)」の新たな取り組み

として、2009 年から再生可能な植物由来素材を一部(5〜 30%)使用した次世代型PETボトル

「プラントボトル」を導入しています。「プラントボトル」は、形状・重量・強度が変わらず、既存の

リサイクル工場で100% リサイクルできるのが特長で、天然水ブランド「い・ろ・は・す」(2L PET

ボトルを除く)およびフレーバーウォーター各種に採用しています。

「プラントボトル」の導入による環境負荷低減効果としては、2009年から2017年末までに約

15,365kl※1相当の原油使用量削減と同等の効果となりました。

「プラントボトル」は、サトウキビなどから砂糖が精製される工程の副産物である糖蜜(廃糖蜜)

などを原材料として素材の一部(5〜30%)に使用することで、非再生資源である石油への依存

軽減に寄与します。

PET樹脂は、重量の30%を占めるモノエチレングリコール(MEG)と70%を占める精製テレフタ

ル酸(PTA)という2種類の素材からできています。このうちMEGを植物由来素材でつくり出すこ

とが可能です。また、PET樹脂の製造開始時および終了時に植物由来素材の含有量が変動します

が、無駄なく材料を使うため、植物由来素材の混合率は最小5%から、最大30%となります。

将来的に100%植物由来の容器の実現を目指して海外での開発研究が継続的に進められています。

「プラントボトル」がバイオマス製品普及推進功績賞を受賞

2017年10月26日、日本コカ・コーラは「プラントボトル」でバイオマス製品普及推進功績賞を受

賞しました。バイオマス製品普及推進功績賞は、環境問題への取り組みや、持続可能な社会を維

持する取り組みを行っている企業とコミュニティーを表彰するものです。今回の受賞は、植物由

来素材を使用した「プラントボトル」で容器の軽量化と容易なリサイクルを実現したことが評価

されたものです。

授賞式に出席した日本コカ・コーラ技術・サプライチェーン本部グループマネージャーの柴田充

は、「2020年までにすべてのPETボトルに植物由来素材を使用するという目標を掲げ、取り組みを

進めています。また、東京2020のワールドワイドパートナーとして、大会に向けて引き続き環境活

動を展開していきたいと考えています」と語りました。

受賞会場での展示の様子

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Sustainability Report 2018 GRI Report 88

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

「プラントボトル」製造方法

サトウキビの糖蜜(廃糖蜜)

精製テレフタル酸(PTA)

ペレットを製造PET樹脂(レジン)

小さな試験管のようなPETボトルの原型

重量比、混合率は最低5%から最大30%

プリフォーム

プリフォームに空気を吹き込み、風船を膨らませるようにして成形

ブロー成型機でボトルに成形

発酵および蒸留

エタノール

エチレン

モノエチレングクコール(bioMEG)

植物由来素材の製造方法

PE Tボトルの製造方法

70% モノエチレングリコール(bioMEG)

30%

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Sustainability Report 2018 GRI Report 89

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

2つ目の柱:国内の回収・リサイクル率向上への貢献

①空容器の回収・リサイクル促進

コカ・コーラシステムでは、資源の有効利用の鍵となる取り組みとして、容器の回収・リサイク

ルを積極的に推進しています。ボトラー社およびそのグループ会社が運営するリサイクルセン

ターが全国に4ヵ所あり、回収した空容器の分別・圧縮などを行っています。

このうち、株式会社北陸リサイクルセンターについては、容器包装リサイクル法に対応した再商

品化事業者として登録されており、自社製品だけでなく自治体が回収した空容器のリサイクル

も行い、地域の空容器全般のリサイクル推進にも貢献しています。

空容器の回収とリサイクルの流れ

PETボトル

砕かれた片(フレーク)と

なりアルミ地金になって 溶解されて

鉄鋼資材などに衣料・

カーペット・文房具などに

ガラスびん(ワンウェイ)

砕かれた片(カレット)と

なり

ガラスびんなどに

紙カップ・紙バック

ガラスびん(リターナブル)

製紙工場で再生処理されて

トイレットペーパーなどに

コカ・コーラの工場で洗浄・検査・再利用

アルミ缶へ

アルミ缶 スチール缶

ボトリング工場

コカ・コーラ営業所

コカ・コーラ回収

分別・リサイクルセンター(自社)

ボトリング工場自動販売機

自治体回収

分別・リサイクルセンター

(自治体・民間)

ファストフード店・飲食店

小売店・スーパー・コンビニエンスストア

株式会社北陸リサイクルセンター

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Sustainability Report 2018 GRI Report 90

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

②リサイクルの推進

再生PETの積極的な活用

コカ・コーラシステムでは、オフィスの事務用品や空容器回収ボックス、ユニフォームなどの業

務用資材に、回収PETボトルを原材料にした再生PET素材使用品を積極的に導入しています。

また、再生PET素材を利用する取り組みは、家具や衣料品など、コカ・コーラトレードマークのラ

イセンス製品にも広がっています。今後も、資源リサイクルのさらなる促進を目指して、事業活

動における再生素材利用の取り組みを幅広く展開していきます。

空容器分別回収・リサイクル推進活動

コカ・コーラシステムでは、清涼飲料メーカーの責任として1960 年代より空容器の回収促進に

努めています。地域社会の一員として全国各地でクリーンアップ活動を継続するほか、空容器の

分別回収を呼びかける広報活動にも取り組んでいます。

emeco社製のイス「111 Navy Chair」再生PETボトルを1脚あたり約111本使用している

空容器分別回収・リサイクル推進活動

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Sustainability Report 2018 GRI Report 91

環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

環境持続可能な容器

3つ目の柱:清掃活動を通じた地域の美化と啓発活動

日本コカ・コーラ株式会社およびコカ・コーラシステム関連会社の従業員は、国際海岸清掃ボラン

ティア活動(ICC:International Coast Clean Up)の一環として、毎年海岸の清掃活動を実施して

います。

ICCとは、海洋生物に関する環境教育センターとして設立し、全米一の海洋自然保護団体

「オーシャン・コンサバンシー(Ocean Conservancy)」の主催ではじまった世界最大規模の海岸

クリーンアップキャンペーンです。

ザ コカ・コーラ カンパニーは、1995年より22年間に渡りICCのスポンサーとして世界各国で

活動を展開し、Ocean Conservancy’s International Coastal Cleanup(ICC)Programに参加して

きました。この活動では、ゴミを拾うだけではなく、集めたゴミを分類して原因を分析することで

ゴミの発生原因を調べ、行動改善に役立つデータを収集しています。

日本では2007年からICC活動をスタートし、これまでに琵琶湖や屋久島、宮城県七ヶ浜海岸、

茨城県常総市利根川周辺など、全国各地でコカ・コーラシステムの社員がボランティア活動を

行ってきました。

2017年も、茨城県土浦市霞ヶ浦湖畔の沖宿付近にて清掃活動を実施しました。湖畔清掃に先立ち、

日本コカ・コーラ株式会社代表取締役社長ホルヘ・ガルドゥニョを含む計135人の社員たちは、

地元NPOや自治体からの代表者より、地域での環境保全に関する情報を得たほか、コカ・コーラ

ボトラーズジャパン(株)茨城工場が取り組む、原材料の水資源でもある霞ヶ浦での環境保全

活動について理解を深めました。その後、およそ4kmにわたり湖畔清掃をしながら、約8トンの

ごみの収集、分別を実施しました。

コカ・コーラシステム社員は、「コカ・コーラ アンバサダー」として本活動に参加することで、地域

社会の一員としてより良い社会の実現に貢献するだけでなく、容器ゴミや海洋ゴミに関する

理解を深めていきます。そして、コカ・コーラビジネスを通じてどのような貢献ができるかに

ついて、各人がその専門領域において考えるきっかけとし、日々取り組んでいきます。

茨城県土浦市霞ヶ浦湖畔での清掃活動