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応用分野「仕事力の評価」
「人生100年時代」に求められるスキル
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社会人基礎力
専門スキル
社内スキル
キャリア意識、マインド
パフォーマンス
年齢
• 全ての基盤• 絶えず持ち続けることが必要
• 社会人としての基礎スキル• 初期に身につけておく必要
• 人材としての付加価値の源泉• 絶えず新たなスキルの獲得や
アップデートが必要
• 職場によって異なる
専門スキル
社会人としての基盤能力
【OS】
業界等の特性に応じた能力
【アプリ】
人生100年時代の働き手は、【アプリ】と【OS】を常に“アップデート”し続けていくことが求められる。
今までの「社会人基礎力」とは
経済産業省が主催した有識者会議により、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を「社会人基礎力(=3つの能力・12の能力要素)」として定義。
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意見の違いや立場の違いを理解する力
自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
主体性
物事に進んで取り組む力
働きかけ力
他人に働きかけ巻き込む力
実行力
目的を設定し確実に行動する力創造力
課題発見力
新しい価値を生み出す力
現状を分析し目的や課題を明らかにする力
課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
計画力
前に踏み出す力 (アクション)~一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力~
考え抜く力 (シンキング)~疑問を持ち、考え抜く力~
チームで働く力(チームワーク) ~多様な人々とともに、目標に向けて協力する力~
発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力
傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力
柔軟性
情況把握力
規律性 社会のルールや人との約束を守る力
ストレスの発生源に対応する力ストレスコントロール力
主体性
物事に進んで取り組む力
働きかけ力
他人に働きかけ巻き込む力
実行力
目的を設定し確実に行動する力
~一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力~
『前に踏み出す力(Action)』
指示待ちにならず、一人称で物事を捉え、自ら行動できるようになることが求められている。
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~疑問を持ち、考え抜く力~
課題発見力
現状を分析し目的や課題を明らかにする力
計画力
課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
創造力
新しい価値を生み出す力
『考え抜く力(Thinking)』
論理的に答えを出すこと以上に、自ら課題提起し、解決のためのシナリオを描く、自律的な思考力が求められている。
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~多様な人々とともに、目標に向けて協力する力~
発信力自分の意見をわかりやすく伝える力
傾聴力相手の意見を丁寧に聴く力
柔軟性意見の違いや相手の立場を理解する力
情況把握力自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
規律性社会のルールや人との約束を守る力
ストレスコントロール力ストレスの発生源に対応する力
『チームで働く力(Teamwork)』
グループ内の協調性だけに留まらす、多様な人々との繋がりや協働を生み出す力が求められている。
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「人生100年時代の社会人基礎力」とは
これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力
能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らのキャリアを切り開いていくうえで必要
「認知機能」はその人の情報の入力・処理・出力の特性
自身の認知機能の特性を知り、自身にあった対処法と強みを活かした仕事の仕方を見つけていくことが重要
仕事の仕方やコミュニケーションに大きく影響
自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らのキャリアを切り開いていくうえで必要
思考力 - 考え抜く力を鍛える
<思考力を高めることの意味>
①問題解決ができる与えられた問題を解決するための手段を選ぶことができる
②先を見通すことができる与えられた条件のなかでの最善策を取ることができるようになる
③対人関係をより良くすることができる相手にこう接したら相手はこう感じるな、と相手の立場に立って考えるこ
とができるようになる
「我慢」は思考力を低下させる 9
言葉にする
意識する
行動する
考える壁に当たる
考え抜く力=試行錯誤する力
情報処理のアウトプット
注意制御とワーキングメモリ
ワーキングメモリ(作業記憶)と注意力は「何かをするために使われる記憶」 「情報を取捨選択する力」
「仕事力」に大きな影響を及ぼす
「コミュニケーションと遂行機能」
感覚入力
知覚 認知意思決定
運動制御
運動出力
長期記憶
作業記憶(ワーキングメモリ)
注意制御
情報のフィルター
五感からの情報の把握
記憶との照合
判断
情報処理の特性を考える視点
注意制御
情報の選択・転換・分割
書く・話す
無意識の情報の取捨選択
意識下の情報の取捨選択
職場環境、コミュニケーション、仕事の仕方は認知機能と関係が深い
対環境 対人 対仕事
抑うつ状態
ミスマッチ
メンタルヘルス不調
プレゼンティズム(presenteeism)出勤していながらも、体調不良やメンタルヘルス不調などが原因で、従業員のパフォーマンスが低下している状態
感覚入力
知覚 認知意思決定
運動制御
運動出力
長期記憶
作業記憶(ワーキングメモリ)
注意制御
(情報フィルター)
無意識の情報選択
• 見落とし• 見誤り• 聞き逃し• 聞き間違い
• 記憶との照合間違い
• 仕事のミス• ヒヤリハット
• 間違った判断疲労や睡眠不足によって情報制御ができない状況になる
認知機能の低下による仕事への影響
注意制御(複雑性注意)意識的な行動制御
SPL(上部頭頂小葉) 注意の焦点を特定の対象に向ける「注意の切り替え」DLPFC(背外側前頭前野) 「注意を保持」ACC(前部帯状回) 注意を向けるべき対象をうまくキャッチしてそうでない対象を
「抑制する」
ワーキングメモリと注意力
ワーキングメモリの点数が低い人は決して覚えるのが苦手なのではなく、「注意の移動」が苦手であるつまり、覚えなくていい対象に注意が向けられていたりして、覚えるべき対象に正しく注意が向けられていない
喫茶店で、原稿を書きながらコーヒーカップに手を伸ばしてコーヒーを口に含む熱いなと思ってフウッと息を吹きかける誰か見ていなかったかなと周囲をチラリと見回す誰も見ていなかったので安心して一口飲む砂糖を入れ忘れたと感じてカップを置くその瞬間に素晴らしいフレーズが頭に浮かび原稿用紙にペンを走らせるそしておもむろにコーヒーカップに砂糖を入れて口に運ぶ...
ワーキングメモリと注意制御
注意の移動と処理配分がうまくいかない
注意を移動するワーキングメモリで処理する
コーヒーを吹き出す
原稿用紙を汚す
ワーキングメモリの円滑な作業実行には注意の制御が不可欠
認知症
脳内の病理的変化
認知機能の低下
社会生活上の障害
セルフケアの介助
軽度認知障害
就労能力の低下
加齢やストレスによる認知機能低下
脳の機能変化による認知機能低下
無症候期40代
※WM:ワーキングメモリ
記憶力(できごと記憶)注意力(注意分割)計画力
記憶力(できごと記憶)注意力(注意分割)計画力
見当識(時間→場所→人)空間認識力見当識(時間→場所→人)空間認識力
前頭葉機能と認知機能低下
記憶力(作業記憶:WM※)注意力(持続・選択・分配)抑制力・処理速度
記憶力(作業記憶:WM※)注意力(持続・選択・分配)抑制力・処理速度
前頭葉の老化
加齢や過度なストレスによりワーキングメモリや注意制御が低下する
「仕事力」の重要因子である遂行機能・コミュニケーション力が低下
中高年齢者の職業適性評価
中高年齢者は身体的精神的老化から、これまでと同じように職務が遂行できない場合がある
<仕事探しのプロセス>① 中高年離職者の職務経験を詳しく分析② それら経験職務をこれまでと同じように遂行できるかどうか検討③ これから後に遂行できる職務を見つけ、あるいは職務遂行の方法、労働時間などの職務遂行上の負荷を調整
④ 適合する求人を労働市場から探す
記憶、特に短期記憶と作動記憶(ワーキングメモリ)を取り上げ、②③に関連して、ホワイトカラー経験者が、これまでと同じように職務が遂行できるかどうか経験を活かすことができるのかを心理学的な方法で評価し、どのような職務につくべきか、どのように仕事をすればよいのかを、中高年齢者自身が判断するための材料を提供する
独立行政法人労働政策研究・研修機構(ホワイトカラーを中心とした中高年離職者の再就職支援等に関する研究「再就職のための自己理解支援ツール開発」)
空で足し算をするとき、一の位を合計し、その余りと繰り上がりを忘れないで十の位の足し算をし、その余りと繰り上がりを足してというように計算を進め、最後に記憶している各桁の数を読み上げて合計とします。こうしたことができるのは情報を保持しつつ別の情報を処理するというワーキングメモリーが働いているからです。複雑な手順のパズルを解いたり、長い文章を読んで意味を理解できるのもワーキングメモリーがあるからです。ただ、ワーキングメモリーは加齢とともに機能が低下するといわれています。年のせいか、うっかり用事を忘れてしまったとか、話の脈絡がつかなくなったりするのはワーキングメモリーがうまく働かなくなったからです。
交渉や売買、契約など、複雑な判断と意思決定が求められるホワイトカラーの仕事も、ワーキングメモリーが機能しないとうまく処理することはできません。このテストであなたのワーキングメモリーがどの程度老化しているか調べて、若いときと同じように複雑な業務処理ができるかどうか考えましょう。
ワーキングメモリー(作業記憶)は、経営判断や交渉、売買、契約など複雑な判断と意思決定のともなうホワイトカラー職種の職務にも、作動記憶が大きな機能を果たしています。
ワーキングメモリモデルのチェック&トレーニング
仕事(作業)をしているときは、大脳の外側面をつなぐシステムである実行系が、ワーキングメモリを総動員して注意を懸命に分配・転換・集中しながら前頭葉に集まった情報を正しく分析して仕事(作業)をうまくこなしている
分配性注意
転換性注意
持続性注意
作業記憶
遂行する=「できる」
処理速度
労働時間の短縮
有給休暇の取得促進
ノー残業デー
効率的に業務をこなす「遂行能力」の向上が必要
本人が自覚している点は意外に少なく、コミュニケーションがうまくいかない原因がわかっていないことが多い
仕事において周囲とのよりよい関係性を築くためには、自身のコミュニケーションの特性に応じた対応が必要
「聴覚からの情報だけだと理解できない」
相手が話をしている顔が見える、見えないで理解が異なるのか、電話で話をする場合にやりとりそのものができないのか、メモを取るような同時処理が必要なときにできないのか、会話の際に周囲に視覚や聴覚情報が多いと理解できないのか、仕事上のいろんな場面を想定して質問していきながら、自身の特性の気づきの機会を作ることが重要。本人も、そのことを考えて言語化することは、自身のことをより知ることになるだけでなく、自らが働きやすい環境づくりにつながる。
感覚入力
知覚 認知意思決定
運動制御
運動出力
長期記憶
作業記憶(ワーキングメモリ)
注意制御
情報のフィルター
五感からの情報の把握
記憶との照合
判断
情報処理の特性を考える視点
注意制御
情報の選択・転換・分割
書く・話す
無意識の情報の取捨選択
意識下の情報の取捨選択
この図を頭にイメージしながら、入力、処理(知覚~意思決定)、出力の段階で、どのような特性があるかを考えながらコミュニケーションをとる
• 五感のうち特に視覚、聴覚、嗅覚、触覚の過反応・低反応のあるなし• 聴覚・視覚・言語の情報入力の得手不得手、ワーキングメモリ(作業記憶)の大小、記憶との照合は言語かイメージか、
• 処理速度は速いか遅いか、• 集中力や注意の切替はどうか、• 継次と同時処理、• アウトプットは書く、話すのどちらが得意か、その情報形態は、等
CogEvo[コグエボ]を補助ツールとして活用
職場環境、コミュニケーション、仕事の仕方は認知機能と関係が深い
対環境 対人 対仕事
抑うつ状態
マッチングキャリアチェンジ環境調整
メンタルヘルス不調
CogEvo[コグエボ]を補助ツールとして活用
• 聴覚からの情報処理がワーキングメモリの大きさや聴覚過敏、注意障害(集中力や注意の転換など)が原因で苦手な人の場合、複数の人が話し出すような場面になったときには、話し手を一人に絞って、話をクロージングさせてから次の意見を促すようにする。
• 相談を持ち掛けられた時には、対面、skype、メール、チャットコミュニケーション等、その人が得意な方法で行う。
• 聴覚の情報理解や処理が苦手で視覚優位(文字情報の理解が得意)な場合は、対面で話をせずにLINEのようなチャットコミュニケーションを活用するほうが良いが、処理速度が遅い方はメールを使ったほうが相談を受ける側のストレスは少ない。
• ワーキングメモリ(作業記憶)が小さい人は話がそれがちなので、相手が話した内容を復唱したり、LINEでは途中で相談の趣旨の確認するなどの工夫が必要。
• 口頭、メール、スライド等の資料を通じて伝えるときには、最初に全体像を示して、どのような話をするのかを意識させてから話す・書くこと。
• スライドを使って文章で示すときも、理解できる文字数が少ないので、3~5つの項目を箇条書きにする
• 長文のメールを書く場合には、他者への想像が苦手で文面どおりに理解したり言葉尻に拘ったりしがちなので間違った理解につながることも少なくないため、冗長的な表現にもなるが、文章内に捕捉説明や行間の部分を、括弧書きにして挿入することで、理解をすすめる工夫をする。
具体的な対処法の事例
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企業向けの新たなアプローチ
仕事のパフォーマンス(遂行機能)
のチェックとトレーニング
情報処理に関わる認知機能(注意力・作業記憶)を中心に
• 年齢(年齢なりの点数が反映)
• 取組時間(処理速度が反映)
• 12のタスクすべてに注意力・作業記憶が関与
分類 トレーニング項目
前頭葉 頭頂葉 側頭葉
持続性注意
分配性注意
視覚探索力
抑制力作業記憶
計画力協調運動
見当識視空間認知
言語理解
計算短期記憶
見当識 見当識 〇 〇 〇 ●
注意力
視覚探索 ● ● 〇 〇 〇
双子探し ● 〇 〇 〇 〇
ストップウォッチ 〇 ●
記憶力
フラッシュライト 〇 ● 〇
カード記憶 〇 ● ●
ストーリー 〇 〇 〇 〇
計画力
ルート99 〇 〇 ● 〇
ステップ 〇 ● 〇 〇
ナンバーステップ 〇 〇 〇 ● 〇
空間認知力
ジャストフィット 〇 〇 ●
さめがめ 〇 〇 〇 〇 ●
12のタスクを取り組む際に必要な認知機能(●:主機能・〇:副機能)
注意力+作業記憶(WM)トレーニング
無計画な行動をする、物事の優先順位をつけられない、いきあたり
ばったりな行動になってしまう、効率よく仕事ができない、指示さ
れないと行動が開始できない
パフォーマンス(遂行機能)の低下している人の特徴
遂行機能障害でよくみられる認知・行動上の変化
行動に関する変化• 最初に思いついたことを何も考えずに行動する• 自分の問題点がどの程度なのかをよくわからず、将来について言辞的でない• 人前で他人が困るようなことを言ったりやったりする• ごくささいなことで腹を立てる• 状況でどう振る舞うべきかを気にかけない• 落ち着きがなく、少しの間でもじっとしていられない• たとえすべきでないとわかっていてもついやってしまう• 自分の行動を他人がどう思っているか気づかなかったり関心がなかったり
認知に関する変化• 実際になかったことが、本当にあったかのように思い、人にその話をする• 過去の出来事がごちゃまぜになり、実際にはどういう順番で起きたかわからなくなる• 何かをやりはじめたり、話始めると、何度も繰り返してしまう• 何かに集中することができず、すぐに気が散ってします• 物事を決断できなかったり、何をしたいのかを決められなかったりする
情動に関する変化• 物事に夢中になりすぎて、度を越してしまう• 物事に対して無気力だったり熱意がなかったりする• 感情をうまくあらわせられない (Wilson BA.et al:Bury St. Edmundes.1996)
(鹿島晴雄ら,BADS遂行機能障害症候群の行動評価,新興医学出版,2003)