これだけは知っておきたい! 労働法の基礎知識 -...
TRANSCRIPT
これだけは知っておきたい! 労働法の基礎知識
厚生労働省 岩手労働局 花巻労働基準監督署
1 労働法って何?
労働法は様々な法律の集合体
労働法といっても、「労働法」と言う名前のついた一つの法律があるわけではありません。
労働問題に関するたくさんの法律をひとまとめにして労働法と呼んでいます。
・労働基準法 ・労働組合法 ・最低賃金法 ・労働安全衛生法 ・労働者災害補償保険法 ・雇用保険法
・男女雇用機会均等法 ・労働者派遣法 ・育児・介護休業法 ・労働契約法 ・高年齢者雇用安定法 ・障害者雇用促進法 etc
あなたが会社に就職しようとする場合、あなたと会社の間で「働きます」「雇います」という約束=労働契約が結ばれます。
労働法の意義
★「労働契約」とはどのような契約か?
民法上は独立対等な当事者間の自由な合意に基づく契約関係を想定・・・
民法の条文
第623条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して
労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
現実の労使関係は対等ではありません!
働くことに関する契約を全く自由にしてしまうと・・・・
実際には立場の弱い労働者にとって、低賃金や長時間労働など劣悪な労働条件に従わなければならないような不利な契約内容になってしまう恐れ。
このような問題に対処すべく生成・発達したのが
労働法
★しかし・・・
関連する憲法の規定
第27条第1項 勤労権の保障
第28条団結権・団体交渉権・団体行動権
★労働法の基本的考え方は憲法から・・・
第22条第1項 職業選択の自由 第14条第1項 法の下の平等
5
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
第27条第2項 勤労条件の基準の法定
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
民法の一般原則の中には、
判例を通じ労働法の世界にも生きてきた
大事なものがあります。
○信義誠実の原則
○権利の濫用の禁止
労働者及び使用者は、労働契約を順守するとともに、信義に従い誠実に権利を行使し、義務を履行しなければならない。(労働契約法第3条第4項)
労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
(労働契約法第3条第5項)
現在は、労働契約法に規定
2 事例 その1
明日から来て
くれよ。給料は
働きぶりを見て
決めるから。
給料日・・
まだ
慣れない
みたいだ
から、時給
600円で
計算
しといた
よ。
ご苦労
さん!
今月末で
会社たたむことに
したよ。
悪いけど今月分の
給料払えないから。
翌月・・・
★ 労働条件についての差別禁止
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならないこととされています。(労働基準法第3条)
差別的取扱いの禁止
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められる一定の場合に、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととされています。 (雇用対策法第10条)
★ 募集、採用についての均等な機会
★性別による差別の禁止
「男女雇用機会均等法」(以下「均等法」)には、募集・採用から配置・昇進・降格・教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新について、労働者を性別によって差別することを禁止する規定が設けられています。(均等法第5条、6条)
※賃金は、労働基準法第4条により性別による差別的取扱いが罰則付きで禁止されています。
また、「間接差別」(性別以外の事由を要件とする措置であっても、要件とすることによって実質的に一方の性に不利益になり、性別を理由とする差別となる恐れのあるもの)も一定のものについて合理的な理由がない限り禁止されています。(均等法第7条)
労働者の募集に当たっては 男女に均等な機会を与えなければなりません。
男女雇用機会均等法違反には罰則は科されませんが、厚生労働大臣や労働局長から 指導、勧告がなされたり、それに応じない時は企業名の公表がされたりします。
男女雇用機会均等法違反
労働条件の明示
★労働契約を結ぶ際には、労働者に対し労働条件をきちんと明示することが、使用者の義務です。(労働基準法第15条第1項)
次の5項目については、書面により労働者に明示しなければなりません。(労働基準法第15条第1項等)
①労働契約の期間 ②仕事をする場所、仕事の内容 ③仕事の始めと終わりの時刻、早出・残業等の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務がある場合のローテーション等
④賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期
⑤退職に関すること(解雇の事由を含む)
明日から来て
くれよ。給料は
働きぶりを見て
決めるから。
採用の際には賃金などの労働条件を明示しておかなければなりません
労働条件があやふやな場合は、必ず確認し、書面での提示を求めましょう
労働基準法は、違反については原則として罰則を科しています。
労働基準法違反
最低賃金
★賃金の最低基準については、最低賃金法により定められています。都道府県ごとに定められる地域別最低賃金と、都道府県内の特定の産業に適用される特定最低賃金があり、ほぼ毎年改正されています。
★最低賃金は、パートやアルバイトなどの雇用形態にかかわらず全ての労働者に適用されます。
地域 地域最低賃金額
発効年月日
岩手県 678円 平成26年10月4日
宮城県 710円 平成26年10月16日
青森県 679円 平成26年10月24日
東京都 888円 平成26年10月1日
大阪府 838円 平成26年10月5日
愛知県 800円 平成26年10月1日
鳥取県 677円 平成26年10月8日
★最低賃金には次の賃金は含まれません。 ① 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当 ② 臨時に支払われる賃金(結婚手当等) ③ 1月を超える期間ごとに支払われる 賃金(賞与など) ④ 時間外労働、休日労働及び深夜労働 の手当
給料日・・
まだ
慣れない
みたいだ
から、時給
600円で
計算
しといた
よ。
ご苦労
さん!
最低賃金法違反
最低賃金(2014年10月現在岩手県内678円)を 下回る時給の約束は無効であり、岩手県内では、会社は時給678円を払わなくてはなりません。 最低賃金法違反にも罰則が科されます。
賃金
★賃金とは、給料、手当、賞与その他名称にかかわらず、労働の対価として使用者が労働者に支払うものとされています。(労働基準法第11条)
★賃金の支払い方については、4つの原則があります。(労働基準法第24条)
①通貨払いの原則 賃金は、現金で支払わなければなりません。 ただし、労働者の同意を得た場合には、口座振込によって支払うことができます。
②直接払いの原則 賃金は、直接本人に支払わなければなりません。第三者に支払ってはなりません。
③全額払いの原則
賃金は、全額支払わなければなりません。 ただし、税金・社会保険料など法令で定められたも
のや、労使協定で定めた組合費などの控除は認められています。
④毎月1回以上定期 払いの原則
賃金は、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければなりません。 ただし、臨時に支払われる賃金、賞与などは除きます。
今月末で
会社たたむことに
したよ。
悪いけど今月分の
給料払えないから。
翌月・・・
労働基準法違反
会社を廃業する場合も、賃金の全額払いの義務は免れられません
当社で働くため
のルールは、
就業規則に
書いてあります。
始業9時
終業18時
週休2日
フムフム
3 事例 その2
職場配属の日・・・
うちの課は、
全員、毎日
終電まで
残業だからね。
おはよー新人くん・・
会社からの命令であれば 際限なく残業させられるのでしょうか?
言い忘れてたけど、
残業代は月20時間
しか、つけられ
ないよ。
1ヶ月後
残業に見合う賃金の支払いって?
あっ、そうそう!
うちの会社、36協定の署名は
当番制なんだ。
来年は君の番ね。
8ヶ月後・・・
36協定? 署名? 当番制? それって許される?
就業規則
★「就業規則」とは、労働者が職場で守らなければならない規律や労働条件の詳細などについて、労働者の意見を聴いたうえで使用者が作成するルールブックです。
★就業規則に必ず記載しなければいけない事項
◇始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務がある場合のローテーション
◇賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期、昇給に関すること
◇退職に関すること(解雇の事由を含む)
(労働基準法第89条)
★常時10人以上の労働者を使用する使用者は、必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。(労働基準法第89条)。
★就業規則の作成・変更をする際には、必ず労働者側の意見を聞かなければなりません。(労働基準法第90条)
★就業規則は、掲示したり、配布したりして、労働者がいつでも内容が分かるようにしておかなければなりません。(労働基準法第106条)
★就業規則の内容は、法令や労働協約に反してはなりません(労働基準法第92条、労働契約法第13条)。
労働時間
★労働時間とは、一般的に労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間をいいます。
★使用者は、1週間に40時間、1日8時間を超えて労働者を働かせてはいけないことが原則となっています。(労働基準法第32条)
常時10人未満の労働者を使用する商業、映画、演劇業、保健衛生業、接客娯楽業の例外(1週44時間)あり。(労働基準法第40条)
★一定の要件の下、一定の期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、1日当たりの労働時間が8時間を超えたり、1週当たりの労働時間が40時間を
超えることを認める変形労働時間の制度があります。これにはフレックスタイムも含まれます。
休憩時間
★休憩時間とは、労働時間の途中に労働から離れることを保障された時間のことをいいます。
★使用者は、労働時間が6時間を超えるときには45分以上、8時間を超えるときには1時間以上の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。(労働基準法第34条)
原則として、休憩時間は労働者に自由に利用させなければなりません。
休日
★休日とは、労働義務がない日のことです。
★使用者は、原則として1週間に1日、または4週間に4日以上の休日を与えなければなりません。(労働基準法第35条)
職場配属の日・・・
うちの課は、
全員、毎日
終電まで
残業だからね。
おはよー新人くん・・
残業の協定(36協定)を締結していても、基準を超えた長時間の残業は行政指導の対象になります。
もし夜12時まで毎日残業すると・・ 1週間で1日14時間×5日=70時間 40時間をはるかにオーバーします。
時間外労働・休日労働・深夜労働
★時間外労働とは、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超える労働のことをいい、また、深夜の時間帯(原則午後10時から午前5時まで)に労働させることを「深夜労働」といいます。法定休日(1週1日が原則)に働かせる場合を「休日労働」といいます。
★労使間協定の締結
時間外労働や休日労働をさせるには、労働者の過半数で組織する労働組合、又は、労働者の過半数を代表する者と労使協定を結び、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。(労働基準法36条。通称「36(サブロク)協定」)と呼ばれています。
労働者の過半数を代表する者の選任は適正な方法で行なわなければいけません。
★時間外労働の限度基準
期間 限度 時間
期間 限度 時間
期間 限度 時間
1週間 15時間 1ヶ月 45時間 1年間 360時間
2週間 27時間 2ヶ月 81時間
4週間 43時間 3ヶ月 120時間
36協定の内容は、上記基準に適合するようにしなければなりません。(変形労働時間制のときは別基準)
基準を超える時間外労働が必要な特別の事情が予想されるときはその時間数や手続きを定めた「特別条項付き36協定」を結ぶ必要があります。
36協定には、1日についての延長時間のほか、2日~3カ月の期間、
及び1年間の延長時間を定めなければなりません。
あっ、そうそう!
うちの会社、36協定の署名は
当番制なんだ。
来年は君の番ね。
8ヶ月後・・・
36協定の 労働者代表を 会社が指名したり 選任方法を勝手に決めるのは違法です
★割増賃金
使用者が労働者に時間外労働等をさせた場合には、割増賃金の支払いが義務付けられます。割増賃金は、通常の賃金に、次の割増率を乗じて算出します。
割 増 率 時間外労働 2割5分以上 深 夜 労 働 2割5分以上 休 日 労 働 3割5分以上
「通常の賃金」とは、家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金等を除いた賃金のことです。
1カ月60時間を超える時間外労働については50%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。
(中小企業は当分の間猶予され25%)
法定労働時間8時間 (休憩時間1時間)
休日労働 35%以上
時間外労働 25%以上
深夜労働 25%以上
時給1000円 時給1250円以上 時給1500円以上
9:00
18:00
22:00
翌5:00
(労働日の場合)
★割増賃金の計算方法
(休日の場合)
時給1000円と仮定
休日労働 35%以上
深夜労働 25%以上
時間外労働 25%以上
深夜労働 25%以上
時間外労働 25%以上
時給1350円以上 時給1500円以上 時給1600円以上
9:00
22:00
24:00 翌5:00
言い忘れてたけど、
残業代は月20時間
しか、つけられ
ないよ。
1ヶ月後
実際に行なったすべての残業時間に対する割増賃金を支払わなければなりません。
年次有給休暇
★労働者には、休日以外に有給で自分の希望する日に休みをとる権利が認められており、これを年次有給休暇といいます。
★使用者は、入社後6ヶ月間勤務し、全労働日の8割以上勤務した労働者に対し、最低10日の有給休暇を与えなければなりません。(労働基準法第39条第1項、第2項) ・・・勤続年数に応じ20日まで日数が増加
勤続年数 6ヶ月 1年 6ヶ月
2年 6ヶ月
3年 6ヶ月
4年 6ヶ月
5年 6ヶ月
6年 6ヶ月
日 数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
年次有給休暇は利用目的を問われることなく取得できますが、会社の正常な運営を妨げることになるときは、会社は別の時季に休暇の日を変更することが出来ます。
パート・アルバイトの年次有給休暇
週所定 労働日数
1年間の所定労働日数
勤 続 年 数
6ヶ月 1年 6ヶ月
2年 6ヶ月
3年 6ヶ月
4年 6ヶ月
5年 6ヶ月
6年 6ヶ月
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日
パート・アルバイトでも①6カ月の継続勤務、②全労働日の8割以上の出勤と言う要件を満たせば年次有給休暇が取れます。
所定労働日が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の場合は、有給休暇の日数は所定労働日数に応じ下記の日数になります。
安全・健康の確保
★職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として、労働安全衛生法が定められています。労働安全衛生法は、事業者に仕事が原因となって労働者が事故にあったり病気になったりしないように措置する義務などを定めています。
例えば、事業者は労働者を雇い入れた際とその後も原則として1年に1回、医師による健康診断を行わなければなりません。 (労働安全衛生法第66条)
労働保険・社会保険
◆雇用保険 「雇用保険」とは、労働者が失業したときに必要な給付を行うことにより、1日も早く再就職が可能となることを主たる目的とする保険です。
雇用保険では、失業者を対象とする「求職者給付」(いわゆる失業手当)のほか、育児・介護休業を取得する労働者を対象とした「育児休業給付」や「介護休業給付」、一定の在職者や離職者を対象に、教育訓練経費の一部を補助する「教育訓練給付」などもあります。
◆労災保険 「労災保険」とは、労働者が業務上の原因でケガや病気をしたり、あるいは通勤の途中で災害を受けたときに、療養補償や休業補償など各種の給付を行うことにより、労働者の社会復帰の促進や援護等を図ることを目的とする保険です。
★労働保険
適 用 事 業 所 労働者を1名以上雇用している事業所には、加入
が義務付けられています。
適 用 労 働 者
適用事業所に雇用される労働者は、原則として全て被保険者となります。 ただし、パートタイム労働者等短時間労働者の場
合は、次のいずれにも該当する場合に雇用保険の被保険者となります。 ①所定労働時間が週20時間以上であること ②31日以上の雇用見込みがあること
保険料の負担 事業主と労働者が一定の割合で負担します。
給 付 の 内 容 失業した時に受けられる失業給付、育児休業給付、教育訓練給付等
雇用保険のしくみ
労災保険のしくみ
適 用 事 業 場 労働者を1名以上雇用している事業所には、加入
が義務付けられています。
適 用 労 働 者 正社員・臨時・パートタイムなどの雇用形態に関
係なく、全員に適用されます。
保険料の負担 全額事業主が負担します。
給 付 の 内 容 療養のための給付、休業した時の給付、障害が残った場合の給付、死亡の場合の遺族への給付等
◆健康保険 「健康保険」とは、労働者やその家族が、業務外においてケガや病気をしたり、出産したときの負担を軽減するための医療保険です。
◆厚生年金保険 「厚生年金保険」とは、労働者が高齢で働けなくなったり、ケガ等で障害が残ってしまったり、死亡した場合に、労働者やその家族の生活の安定を図るため、年金や一時金が支給される制度です。
適 用 事 業 所
事業所を単位として適用され、①国、地方公共団体又は法人の事業所あるいは②一定の業種で常時5人以上を雇用する個人事業所は強制適用となっています。
被 保 険 者
適用事業所で働く労働者は、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者等を除いて、すべて被保険者となります。 また、パートタイム労働者は、勤務時間・勤務日数
が一般労働者の概ね4分3以上であれば被保険者となります。
保険料の負担 被保険者の報酬に応じて決められ、それを被保険者
と事業主が折半で負担します。
健康保険・厚生年金保険のしくみ
母性保護
★女性労働者の母性を保護することは、女性に対する優遇や男性に対する差別ではありません。
例えば、出産を予定している女性労働者は、請求により産前6週間休業することが出来ます。産後8週間は、原則として女性労働者を就業させることが禁止されます。(労働基準法第65条)
★均等法でも母性保護に関する規定があり、妊産婦検診等に必要な時間を確保するための措置が事業主に義務付けられています。(均等法第12条)
★妊娠・出産、産前産後休業の取得等を理由とする解雇、降格等の不利益取扱いは均等法で禁止されています。(均等法第9条)
仕事と家庭の両立
★男女労働者が育児や介護と仕事を両立して働き続けることが出来るようにするための制度として、育児休業、介護休業等の制度があります。
育児 介護
休業 育児休業(1歳未満の子1人について原則1回)、育児休業給付
介護休業(要介護状態の家族1人について通算93日)介護休業給付
短時間勤務 3歳未満の子について(6時間原則)
要介護状態の家族について(フレックス・時差出勤等との選択)
所定外労働の制限
3歳未満の子について
―
休暇 看護休暇(小学校就学前の子について年5日、2人以上年10日)
介護休暇(要介護状態の家族について年5日、2人以上年10日)
時間外労働・深夜業の制限
小学校就学前の子について (時間外労働月24時間、年150時間以内、深夜業の禁止)
要介護状態の家族について (時間外労働月24時間、年150時間以内、深夜業の禁止)
不利益取り扱いの禁止
上記権利の行使などを理由とする不利益取り扱いの禁止
上記権利の行使などを理由とする不利益取り扱いの禁止
退職
4 仕事を辞める時・辞めさせられる時
★退職とは、労働契約が定年、期間満了、労働者の申出等により終了することをいいます。
自己都合退職 (労働者の意
思に基づく退職)
労働契約や就業規則の定めに従って退職の意思を会社に伝え、必要な手続きをします。特段の定めがない時は
①契約期間に定めのない労働契約の場合は、2週間以上前に申し入れすることで退職できます。(民法第627条)
②契約期間に定めのある労働契約の場合は、やむを得ない事由がある場合を除き契約期間の満了までは退職することはできません。(民法第628条)
定年退職
期間満了退職
各会社の就業規則で明記されている一定の年齢に達した場合に雇用が終了する退職です。定年年齢は各企業によって様々ですが 希望があれば65歳までの雇用確保が必要です。 (高年齢者雇用安定法9条) 契約期間の定めがある場合には、その満了による退職です。
会社都合退職 会社側の事情・理由で労働契約が終了するもののうち、労働者が納得して退職するものです。経営悪化で人員整理が必要な場合に、希望退職や退職勧奨に応じるものなどがあります。
解雇
★解雇とは、使用者の労働者に対する一方的な意思表示によって労働契約が終了するもので、次の3つの種類があります。
①普通解雇 就業規則による解雇事由をもって行われる労働契約の解除
②整理解雇 会社の経営上の理由により人員削減が必要な場合に行われる解雇
③懲戒解雇 労働者の重大な規律違反をした場合の懲罰として行われる解雇
★解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合でなければ、解雇権を濫用したものとして無効になります。(労働契約法第16条)
47
★法令上の解雇制限事由 次のような場合は、解雇が禁止されます。(労働基準法第19条)
これらのほかに、次のようなことを理由とする解雇も許されません。
①業務上の病気やケガで労働者が、療養のため休業している期間とその後30日間
②産前産後(産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間)の休業している期間とその後30日間
①国籍、信条、社会的身分(労働基準法第3条)
②事業場の法令違反を申告したこと(労働基準法第104条)
③結婚・妊娠・出産したこと、産前産後休業の請求や取得等(均等法第9条)
④育児・介護休業・子の看護休暇等の申出、及びこれらの取得 (育児・介護休業法第10条、16条、16条の4等) ⑤労働組合の組合員であること、組合に加入しようとしたこと等(労働組合法第7条)
⑥個別労働関係紛争の援助を求めたこと (個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条)
★解雇の手続き
使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に予告しなければなりません。解雇予告をしないで即時に解雇する場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。(労働基準法第20条)
ただし、解雇しようとする労働者が下表に該当する場合は、解雇予告や解雇予告手当の支払いをすることなく、即時に解雇することができます。(労働基準法第21条)
労働者の態様 解雇予告が必要のない期間
①試の使用期間中の者 雇用されて14日以内
②4ヶ月以内の季節的業務に従事する労働者 各々の契約期間内
③契約期間が2ヶ月以内の者
④日雇い労働者 雇用されて1ヶ月以内
◆ 採用内定により労働契約が成立したと認められる
場合には、採用内定取消しは解雇に当たります。したがって、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、採用内定取消しは無効となります(労働契約法第16条)。
◆ 内定取消しが認められる場合には、通常の解雇と
同様、使用者は解雇予告等解雇手続きを適正に行う必要があるとともに、採用内定者が採用内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、遅滞なくこれを交付する必要があります。
★採用内定取り消しについて
総務部
労働基準部
職業安定部
雇用均等室
労働担当部
労働基準監督署
労働基準監督署
労働基準監督署
ハローワーク (公共職業安定所)
ハローワーク (公共職業安定所)
ハローワーク (公共職業安定所)
厚生労働省
地方公共団体
職業能力開発校
地方労働委員会
連携
都道府県労働局
都道府県
需給調整事業室
5 困った時はどこへ?・・労働行政組織
労働行政組織の所掌事務や権限
★労働基準監督署
賃金、労働時間、安全衛生等についての監督指導、労働基準関係法令に基づく許可、認可等を行う。
労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等の法違反について、労働者が申告することが出来る。
労働災害にあった労働者からの労災保険の申請の審査や支給決定を行う。
★ハローワーク(公共職業安定所)
国が運営する地域の総合的雇用サービス機関として、仕事を探している方には職業相談・職業紹介・職業能力開発センターへの入校あっせん、雇用保険の給付を、企業には求人受付、雇用管理指導を行う。
★都道府県労働局雇用均等室
労働局の内部組織で、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等を所掌。男女差別や職業と家庭の両立に関する問題について労働者が相談したり、労働局長の援助や調停を求めることが出来る。
法違反について企業に報告を求めたり、助言、指導、勧告、企業名公表の実施の事務を行う。
★地方労働委員会
都道府県が設置する委員会で、労働組合と会社との団体交渉が不調の時のあっせん、調停を行ったり、不当労働行為について労働組合からの申し立てにより審査を行い、必要な場合に救済命令を発する。
働く人のための相談窓口
・都道府県労働局や労働基準監督署等に設置している相談拠点。
・労働条件、募集・採用、男女均等取扱い、いじめなど労働問題に関するあらゆる分野についての労働者、事業主からの相談に対応。
・専門の相談員が、面談或いは電話で相談に応じる。
・費用は無料
★総合労働相談コーナー