「経濟的不安.定の問題」...「経濟的不安.定の問題」 ジ紹 介...
TRANSCRIPT
紹 介
ジ
「経濟的不安.定の問題」
アメリカンo°エコノミック・
レグ子ユし誌
一九五〇年九月號よ弧
此塵に紹介する「維濟的不安定の問題」はアメリカ維濟
(註一) (註二) ’
學魯の公共問題委員會の小委員會によつてなされた報告
, へ註三㌧
で、そのメンバーは、主席ドナルド・H・ウォーレス(プ’
(註四し
りγストン大學)以下エミール・ディスプレス(ウイリ
、 ・ 、 (註五)
アムス・カμツヂ)、ミルトン・プリ4ドマン(シカゴ大.
(註六)
學)、アルバ.ート・G・ハート(コロンビア大學)及びポ
払のA°サ」ミエル総孕サζ↓・ツエ奨學)の五
氏である。
帽此の一報告の紹介に先山払ち贈右干の注出思黙を塁・げると、
「経濟的不安定の問題」
第
白
石
四
郎
一に此の報告は專門家を…封象とする竜のでなく此の問題
覧 一
に關心を有する大衆に「アメリカ合衆國にに於ける畢時
’の維濟的不安定の問題」に就て経濟學者達が如何に老え
’
て居るかを理解せしめんと意圖されたものである。
随つて叙述の方法は複雑な問題を簡輩且つ明瞭に読明
すべく注意されて居る、併し此の紹介は更に簡略化レた
爲必す.しも簡箪明瞭且つ大衆的のものではない。第二に
此の報告がコ十時」のア入リカ経濟を封象として居り朝
鮮の 動齪の初まる前の一九四九年に書かれた墓・が注意さ
一五三
れねばならぬ。第、三にアメリガ維濟がその謝象でアメリ
カ維濟の猫自性との關蓮に於て常に此の報告は理解され
ねばならぬ。随つて、此の報告の具罷的政策をその儘後
・進諸圃に適合させる事は不適當である。此の報告は大衆
向と銘付つてはあるが正に維濟的安定に樹する綜合政策
へ
の理論的解明である。 ,
そこには長期的・構造的の維濟獲展策こそ存在しない、
が、既に政府の経濟的役割の根本的重覗が見られる他、
「景氣循環の諸性絡」「國民所得計算についての問題」「自
動的安定装置」「年次豫算均衡に代る、一景氣循環期の
豫算均衡繊暗示」「百%準備銀行の問題」ゴアメリカでの
み考えられ得る金本位の問題」「グレ書アム計書」等は
特に興味ある諸黙であろう。
へ
此の報告は七部に分れ第一部では維濟的安定に關蓮す
る驚勲述べられ・第二部は問題の賢的記録、第三
部は理論的な基本的諸理念、第四部は財政政策、第五部
一丑四
金融政策、第六部國.際…的諸要素の考慮、第七部市場政策
となつて居る。
最後に、.此の報告の云ヶ「経濟的不安定の問題」とは「如
何にしで生産の順調なる増加を維持しつ製、大量失業及
び物債水準の重乱八なる波動を避けるかの問題」の事・であ
る9~
(註九)
第一部諸目的
A 物便及雇傭
國内維濟安定には二つの要件、離ち完全雇傭の保持と
物債水準の安定が必要である。 、 ‘
「完全雇傭」とは「現行の賃銀水準で仕事を求める、一
・定の能力ある人が、相當期間延ばす事なしに生産的活動
・に從事し得る」事である、之にば仕事を欲せぬ人汝の強
制徴用を含まぬ、又それは失業の皆無を意味せす、「集團
的失業の存在しない」事であつて韓職等による一時的失・
業は問題外である。此の基準では第二次大職中の米國は
.
完全雇傭乃至超完全雇傭である。之’に…樹立する不完全羅
傭…の害悪、即ち生塵力の死藏9失業等の望ましからざる
事は読明を要しない。
.「物償水準の安定」とは「一般的物便水準に於ける如何
なる著しい趨勢或は鋭い短期的攣動の存在しない」事で
あつて、治費者需要叉は生産條件の攣動に件う個汝の諸
へ
財貨間の相封的贋絡攣化は静態的物債水準と矛盾するも
のではない。物債水準安定の必要性は、その下落に於け
.る大量的失業とその上昇部ちインフ濯ーションに於ける
、漿階勢優利と展大衆の生活難、それに讐國民内
部に於ける…集鳳間の利害封立にと云う事智ハにより湘説明さ
れる。
り
・B 他の肚會的目的との關係 ‘ 嶋、.
.「軍和」等進歩L及「自由」は肚會的政策の重要なる目
ゴ
的であつて、経濟的安定は其等と共に促進される事が多
いが、時には経濟的安定の手段の申の若干と、上記の目
「経濟的不安定の問題」
■
的とに關蓮して、人々の間に…兄解の樹立を招く事がある。
帥ち経濟的安定の爲に前記三目的の一部或は全部を犠牲
にする事があり。その犠牲がその敷果に相磨するや否や.
の闇題が生する事がある。此の關係項目では第一に、米、,・
國の維濟的安定及繁榮が世界の他の大部分に於ける築和
と民主制度の強化に必要である。印ち米國の不況は他國
へ波及し、それは干和を脅かす㍗み6’5。第二に経濟的
‘
キ ハ モ
進歩は當然に攣化・摩擦を伴うものであるが、此の限り
の摩擦は生産條件の革新と老れへの適懸の爲の生産及雇
傭に於ける攣動であるから止.む得ねものである。第三に
維濟的自由は統制或は計聲と樹立するもので、各個人に
「間違い」の自由を認めて居るの.である。此の「間違い」
は攣化の意味を含み、之により維濟的波動が考えられ
る。他方著しい維濟的不安定は肚會各階層間の封立を起
し自由[と民主・王義とを破壊に導くものである。
C 制 度
一五置
〆鴨
釆國に於ては多くの「個入の自由」、多くの「私的企業」
及び多くの「政府事業」が行われて居る。此の前提に立
ち「維濟的安定」が論ぜられるのであつて、私的企業と
津 説
’政
{事業の混在の條件の下では各人、各會就は、螢業、
し ら
投資、雇傭、或は生産等は政府の直接的指圖によるので
なく、.圭として種々の政府活動により間接的に影響され
ると見徹される。叉、現在大多歎の米画人は此の制度を
欲して居ると見…骸される。即ち此の報告では、聞接統制
による維濟的安定が問題となされるのである。
第二部 歴史的記録 “
’第二部は米國の経濟的不安定の歴史的記録を顧みる事
によりその重要なる諸性絡が論ぜられる。
米國に於ては緯濟的不安定は慢性的なもので(債絡あ,
攣化では植民時代から既に大艦十年毎に大きな振動の記
録があゆ、生産については南北職寧當時から不況とブー
云の交替が存在レて居り、覧近年に到る迄、雇傭と失業の
一五六
記録は経濟的不安定を誰明して居る。此の維濟的不安定
は、「景氣循環」の名の下に分析され、それは、不況-
回復-旗張i後退-.牧縮と云う循環経路を辿る傾向が認
められて居る。
A 不況
「不況」億非常に生産力を無駄にするもので、米國の歴
奥に於ける大不況は一八三七年以降の歎年・聞、 一八七〇
年代及一八九〇年代の不況、更.に生産せられ得て生産せ
\
られ得なかつた額が千億ドルに上る一九三〇年代の大不
牌
、況があり、其他小ズランプが相當記録されて居る。・尚産
り
出額のスランプには「不況の中(罪齢≧試う現象麓.
㌧ ’
々生じた事が記録されて居る。-
、
B インフレーショシ
米國に於ては職時及職後を除いては、物債の廣汎な急
にして且つ五十%以上の上昇を示したインフレーション
・ はなかσた。即ちそれ以上のインフレレションは~猫立革
縄
ぶ
命、 繭八一一.一年の職…璽、.南…北職醤{、.第∵次及第二次世田外
大職と蓮絡せるものである。手時の物債上昇は大した事
はなかつた。
C、持績せる繁榮
持績せる繁榮は飴砺ないが、-一八八〇年代、一八九九
年から.一九一三年の間の大部分及び一九二三年から一九
へ
二九和†の朋同は、多少のスラ臥プはあつたが、大髄に於て
繁榮期とされる。 畠
■
D 景氣循環に就て-の砦干の重要な諸性絡
/
齊一性、 ・(一)農{菜部門以外 の諸物}慣及生産は涌一堂…同,
ロ
方向に騰落する潭 (二)耐久財に封する総支出は非耐久
財に欝する支出よりも大なる比牽で攣動する。資本財に
樹する総私的史出は滑費麦出より大なる比率で攣動す
る。 (三)総産出額及総雇傭は耐久財産業に於ける方が・
非耐久財産業に於けるより大なる比牽で攣動する。・,
(四)総産出額及総雇傭は建築或は資本設備に於ける方が
「輕濟的不安定の問題」
溝費財に於けるより大なる比率で攣動する。・(五)事業
.在庫品の維常費は絡販費の経常費より大なる比率で攣動
する。 (六)総産出額及総雇傭…或拡物債水準に於ける大
きな攣化には常に担貝徹畳黒帥ち現金及預金通化貝の同一方向
の大なる攣化と、.貨幣の流通速度の攣化が件う4 (七).
債格の攣動は或種の財、’例えば食糧に於て著しく、別の
或種の財例えば製造品に於て綾慢である。(八)絡利潤率
の
は他種の牧入より遙に大な「る比率で攣動する。
不齊一性、(一)循環の長さ(}十均すれば約三年牛)は各
汝大いに異る。・例えば循覆に於ける波の最低から最底の
間を計算すると、∴九二七年と一九三 二年の間は五年の
循環であり、頂上から頂上の間見ると嚥九二九年と一.九
三七年の間に八年の循環があ軌、別に一九一九年-一九」
二二年の間、一九二σ年ー一九二三年の間は三年の短いげ
循環がある。故に此の黙では過表の経瞼は絵り役立た
ーぬ。 (二)循環振動の幅も非常に不規則である。一九二
一・五七
三年⊥西年の下降振動では製造.器出額は約繭減少
したが、一九三七年・i三八年のそれは略々牛分に近い減
少であつた。故に、此の幅ρ黙でも、「正常」の幅と云う
ものはなく、’又時代の維過につれて循環の激化、或は綾
和があるとは云えないコ 、(三)循環に於ける「籏張」の.
或るものは産出額を完全雇傭…水準にまで上げ、他のあ
るものは依然と七て相當の失業を保有する所謂「沈めら
.(註=)
れて居る頂土」‘と武5現象を是する。前者.の例は一九二
五ー二七年に見られ、後者の例は一八九五年及一九三七,
年に見られる。,(四)何如なる二つり循環も、商品債
格、謹券債絡ρr在庫品便絡、外債、或は建築等の如き種
汝なる要素の占める相封的役割は杢然、正確忙相似して
居ない、一九一九コニ0めブ」ム,では在庫晶、建築物及
貨物の債格に樹する投機から生じ西績いて債格の崩壊が
あつた、他方一九二九年・暮のブームどそれに綾《崩壊は
ノ
市場の投機と外債の投…槻によるもので診つた。 卿論(五)景
一五八 き
へな
氣循環の性格の中の齊一性に關する知識を以て維濟活動
の將來のコー°スを豫知すべき努力,がなされて來たが、未
,∠ ’
だ豫知に關する限り國家の.政策に信頼レ得る様なものに
なつて居ない。
以上の如き諸…性格σ知識も種ゐの條件の攣化を考慮し
て磨用せねばならないつ
最後匹経濟の記録は、米國経濟はインフレーシ慣ン
kにはなり難いが、不況にはなり易いと云う性格を持つ事
を示す。尚、軍備籏張の肚會保障の強化、確働組合の強
化等はインフレ1ションになむ易い要因むある。°而し
て、軍事的緊張が緩和されると不況になる可能性が彊い
故に、その揚合、政府活動を彊張する學者達為あり、
亦、慢性的失業傾向と西漫性的インフレーンヨpン傾向の
結び付きの危険を読く人汝竜存在して居る。
第三部 基本角諸概念 .: ノ
.慌景氣循環の研究の成、果は歴史的知識に加うるに有用な
嚇
、
’
る分析があり、此爾者は維濟的安定の爲に有敷なる基礎
を與えるものであるが、之に樹して、 (A)繕濟學者聞
に意見の一致が充分でない事、 (B)敷果的安定政策は
景氣波動の原因の理解がなされた場合にのみ可能で、未
だその充分なる理解がなされて居ない事、 (C)將來の
継濟的攣化を正確に豫知し.得ない事等は不安定を豫防し
得ない、と云う諸観念が存在する。(A)に劃しては経濟
學者間の意見の不一致は外部の見る程根本的のものでな
昭騒韓離瓢疑叢縫縫器鴛
つて、それは基本的問題に關するものでなく、随つて一
般的政策の樹立に困難ガ孔來す程のものでない。更に公共
モ る
政策に樹する意見め不薮は分析上霜違よりも寧ろ根
本の主義の相違で、民主浸義の精髄滋公共政策に野する
諸々の意見の甥立にも拘らす一般的諸政策を可能に・する
選鐸と要協がある事である。b叉多少の意見の.相違は將來
「経濟的不安定の問題」
’
の不確實である部分を定め、.その結果、政策に融通性を
與えるものである。(B)については、洪水を防止するに
雨や雲についての細かい知識を必要としない如く、(C)r
については完全の豫防は不可能なりとも、輕く濟ます事、
は可能である程σ知識は存在するものである、
(A) 支出及その決定の分類
全経濟に於で㍉総支出額の重大なる攣化は総雇傭額及
Lび物債水準の重大なる攣化を意味する。此の総支出は次
雛齢郷るγ纂羅集蕪
讐成)、 (三)財及サーヴ婿スに樹する政府支出。’(四)
外國貿易差額である。之を支出決定の見地から再分する
と」淘費支出は耐久財と非耐久財とに分れ、耐久財の
中、家屋の購入温きは事業型のみと見徹さ般肇
と分類される、之に反し中位の.耐久性の財は消費之分類
される。國内私的投資は利潤未配分①會魅の事業目的の
・ 一五九
’
爲の追加的財貨購入に用いる現金、新謹雰の費上金、銀.
行よりの借入金の支出を現わし、その主要構成物は新設
ノ
備装置、在庫品追加、神勅家屋の購入等である。政府の沿…
費支出は政府傭員の支彿、、私的企業よりの購入等の他、
恩給、肚會保障の爲の皮錦の如き交換にょらざる支梯即
(註一二)
ち「振替麦彿」がある。
(B) 生塵及購入の決定
生薦及滑費に關する決定ば政府事業以外は私的決定
、
で、その生産決定は一般沿費者、‘政府及外國よりの需要
ど、.原料晶及資金の供給とに麦配される。清費者支出の
決定は主とし、て所得に依存する。此の所得は生廃所得支
ヤ ロ ズ
出生産の循環の申匿見られるものであるが會融、企業等
の貯蓄、資本形成、在庫品追加等にょり修韮を受ける。
會砒の投資麦出は事業の現駄及び將來の見透しに支配さ
れる。政府の財政活動は課視による治…費春所得の減少、
恩給等にょるとその増加等を通じて、前述σ循環を修正
/
一 一六〇
するQ ・°
國民所得の計算上、現在の産出額の総償値を國民所得
と見徹す事は全生産物が現在の便格で販費可能なりと假
定するもの、で、か玉る假定の現實化は殆んど不可能な場
合が多いから、所得と産出額の債値の同一覗は誤りであ-・
る。’
糖支出及総所得の攣化は経濟に於ける種汝の軍位の支
出の攣化を反映するものである。総清費支出或は総投資
支出は種汝なる條件、例えば貯蓄性向、、税牽、叉は事業
ノ リ
・歌況、技術修叩件竺Vの憂化にょり攣動するものであり、瓢以
府支出、租視構造及び純貿易差額も亦攣動するもので、
°その攣動は叉、総支出及紹所徽の衣準・に影響するもの・で
あるつその影響が如何なるグループによつてむ、その受
!領額と比例して支出を増大させ様とする決定は、総て総
支肛及総所得を増拠せレめる。、受領額と比例して、そめ・」
支出を減少せしめんどする決定は、総て総所得を減少せ、
しめるものである。而して総所得及総支出を上昇せしめ
る滑費者【、事・…菜會肚、及び政府の決定は、他の若干の決
定に攣化がなければ、必す産出額及び雇傭叉は物債水準
に於ける、.叉はその三者共に於ける増進をなさしめる。
反樹に総支出及総所得を低下せしめる決定はその蓮の数
果を生ぜしめる。
更に総所得の塘減を左右する會祉及家庭の決定は亦貨
幣的諸要素印燭現金保有量、流通資産(政府讃券其他)
保有量及び銀行其他の信用機關の爲の費用や、その利用
の難易等の亜至索にょり影響を受ける〔此の黙は金融政策
の読明の爲に特に精しい叙蓮を必要とするが紙数の關係、
で簡軍に蓮べる。〕會鮭及家庭に於ける現金其他の流動的
、資薩の保有量は、その富の総計と釣合ふ様に所有され
キ
る、帥ち流動資産と非流動資産との問に最も合理的な
比率を保走うとする努力がなされる。同檬に借金の場合
は利子率の高低にょり投資が影響される。而して流動資
「纏濟的不安定の問題」
竣保有率が大である場合、之の費治を大にぜんとする結
果、投資が増大し総所得を上向せしめる。その蓮の場合
は絡所得を下向に導く力がある。
’
以上の事から経濟的牧縮を打破するには個人及會肚の
-総保有現金及流動資産量を塘加せしめて沿…費を容易に,
し内且つ銀行の貸出費用を輕減させ、利用を容易にする
様に金融的な操作を行う事である。.反封に経、濟的籏張が
過度の場合には前の逆を行う事が必要である。銀行業務
は事業活動及び物債の上昇期に籏大し、事業不振の場合
はその逆である。
銀行信用の不安定性はその預金債務に翼して分激的な
準備しか持たぬと云う大きな伸縮性の爲に増大される、
へ
郎ち槻行は準備額の激倍の貸出をなして、預金通貨の形
で購買力を創造し得る。現在の米國の制度及び慣習では
四或は五倍に等しい購買力が創造され得るのであつて、
はそれは蓑退期には準備額の牽を増大して預金通貨の牧
一六一
ロ
縮を強制してデフレ的傾向を助長し、櫨張期ばは蓮に準
備率を下げでインフレ的傾向を助長し易い。銀行信用の
籏大牧縮は部分的には事業活動の反映であるが、併し以
上の如き理由から経濟的波動を籏大せしめるに役立つた
事は、程度の差こそあれ、等しく経濟學者間に信ぜられ.
て居る。故に現行の銀行制度は数果的統制なかりせば経
濟の自動的不安定装置である。
(註一三)
以上の分析手段の理論的照合の爲に國民的計算が必要
で、此の照合なきも・のは読明に不充分で、その幽忌見の探
用は危瞼…である。 ・
維濟の諸構成要素の色汝な將來の攣化の前兆の豫知は
以上の如く相當に可能になるのであるが、維濟的安定政
策の目的は経濟の構威要素の波動を全部防止するのでは
なく、色汝の分野に於ける動潅を総態的見地から粗殺或
は輕減せんとするものである。
(C) 政策を容る玉飴地
一六二 ’
此の報告は基本的自由を尊重する安定方法を前提せる
ものであるが、同時に理論なき張制も亦目的を達せぬで
あろう。
安定方法の手段として各部門別に個別的安定化手段を
とる事が一部に云われるが、それは一部門の生産物その」
ものの需要の攣動に直面すれば全く不安定になろう事、
便絡協定等の爲に産出額の安定を犠牲にする事、屡々産
出額の鯉罪や便漿準の攣動が望芒い場合のある
び事、、新しい経濟的な生産物の醤きものに糞する代位など
の進渉の望ましい事、等は部門別安定方法の不可性を誰
明する。勿論多少の個別的方法を受入れる飴地はあるが、
その結果は、部門内部での自由を侵害しょう。故に安定
化整の秀る責任は糞政府や聯熱醗聾駐継篤
の如き公共團盟に.ある。而して勢働者の大部分が私的事
業に雇傭されて居る制度の下では.政府の安定政策は主と
して一般経濟歌勢の調整安定を計るにあつて、その手段
へ
の廣汎なる攣化の中、.重要なる若干の黙は次の如きもの
である。 (一)個人及事業牧入に封する租税量の攣化、
之は所得量の攣化に件つて生する。 「(二)「振替支彿」の
量の攣化。 (三)公共事業費或は政府の直接購入物に欝
ノ げ
する支出量の攣化。 (四)税率及租税繊…造と「振替麦彿」
の率及び薯、或は保謹し姿出の種類に於ける礎化。,
(五)通貨當局の統制よりする銀行の貸付費用、或は利用
難易性の攣化。 (六)通貨或は債券管理政策よりずる政
府財政資産及公債の樽成の繍孤化。 (七)將來の政府活動
に…封する獲表及見透しにょる事業界へ,の影響。 (八)政
府の}慣絡…及賃銀糖就制。 (九)國際経濟…政策。
第四部 財政々策/
A財政及金融政策の運用原理
第四部及第五部の財政及金融政策の爲には先づ歌の如、
き蓮用原理が必要である。 、 .
(一)政府の租税牧入は、政府支出に比し董大な失業
「経濟的不安定の問.題」
期に於けるよりも、高雇傭…期に於て相酎的に必す大であ
る。 (二)貨幣及信用は、高雇傭期に相封的に逼迫し、
重大な失業期に相封的に綾和される。
此の二つの原理は総貨…幣需要の波動を中和すべく意圖
されたものであつて、政府の操作に當つ。ての根本原理で
ある、そレて大部分の経濟學・者間に根本的原理に關して
は意見の」致が存在し、意見の不一致は實際の鷹用に際
!しての手段に關して存在するものである。
畠B 政府の財政政策の重要性
..米國に於ては既に政府活動が國民維濟姦監日す決充
的伽財響を與える程度に到達して居る、一例を羅げれば
一九四九年の國民所得約三千億ドルの中、聯邦政府、州
政府及地方政府の支出は約六百億ドル、而も今後鴬分の
間政府麦出の穴いなる減少は考えられぬので、.その影響
、力は意圓の有無に響す映定的なものである。政府は豫
算の二つの面帥ち一方に於ける傭…員の賃銀、公債利子、恩
一六三
給其他の支梯に於ける面と、他方の租税徴集の面の二つ
へ
を通じて∀事業活動に影響し、前者は事業からの滑費財の
購入に向けちれ市場を籏大し雇傭及物債を上昇せしめ、
後者は治費基金、.投資基金を略奪するもので市場を縮少
させる傾向があ巻。伺支出と牧入の量のみならす質の黙
帥ちその維濟的敷果の相違に注意する事が必要である。
安定化への財政手段は次の三つのタイプに分たれる。
(」し財政制度として形成ざれ自動的に作用するもの。-
(二)特別の將來醗生可能事に適慮すべき動態的手段。
(三)臨時的一時的手段。 、
(註一七)
C 財政制度に於ける自動的安定装置
ノ
自動的安定装置とは聯邦政府の財政操作により「相手
駐方に磐て毒う」と云う馳避鰍凶・盃期には支
出璽大好況期には高視徴牧と云う艦系的方策をもつ安
定化手段である。此の方法は豫算の規模の籏大の結果、
重要になり、大いに諸経濟州學者[により概究されて居るも
一六四
のである。好昆夙氣の繍…所得の増大翻期には{貝勤的に租綱祝牧
-入は政府支出に比して増大し、不況期には此の蓮現象が
生じ、共にイγプレ又はデフレを部分的に相殺する傾尚
がある。政府麦出面では不況期に失業補償、救濟金、農
業補助金等失業の檜加と共に上り、繁榮期では此の逆と
なる。牧入面では租視牧入は國民所得と同方向で上下す
る、更に「累進的課税」は此の方向を助長する、就中、
法入所碍に封する法入税攣動の度合は著しく失業保瞼金
は國民所得に大罷比例して動くものである。之を具罷的
に云うと一九四九年における聯邦財政の自動的安定に…封
’する影響は、大腱國民所得百億ドルづ玉の上下により三
゜十億ドルづ玉の牧入塘或は牧入減があり、之は更に政府
支出との關係に於て豫算不足は不況期には一厘強くなる
傾向があると云える。
D 年汝豫算均衡に代るもの。
第一に、前に述べられた如き政府牧入を支出の關係に
於て高牧入を全部支凪せん乏すればイγプレ!ションを
助長し、或は税率を下げると之亦同襟の敷果を生する。
不況期に於て牧入不足に支出減少、或は高税牽等の措置
をとれば釜汝不況に導く。故に年々均衡豫算を持つと云
の
う傳統は既に放棄さるべきものである。年桟豫算均衡主
義の放棄には政府麦出が滅少した場合には税を輕減する
と云う長期的豫算政算の原理を園民に良く理解させる事
が必要である。何人も季節的攣動を顧慮せざる月汝の均
の
衡を擁護しないであろう、同様に景氣循環を顧慮しな払噛
,年凌の豫算均衡が重覗せられねばならぬ理由は存在しな
いだろう。勿論、景氣循環の長サ、幅、及び不況及繁榮
期の相樹的期間に封する不確實性は問題を困難にするが
一景氣循環に亘る豫算の均衡と云う問題は充分綿密な老
察を受くる資格があろう。
第二に、 一定の「正常的」或は「目標的」の線を設定
ハ
し好況期の高牧入期に蓄積し、不況期に、それを牧入減
「経濟的不安定の問題」
と支出壇に萬る豫算不足に用いると云う方法であるが、
併し何が「正常的」「目標的」なりやと云う基礎を提供
する事は誠に困難である。
第三のものは、繁帥果安定の時期で不況及インフレーシ
ョンの危険四の無い場合に、政府支出の新しい増減に相慮
して税率の關係に於て、牧入を修正するま蒸う竜のであ
るが常に税牽上昇に俘う犠牲と新支出曾の数果との比較
秤量が生じ問題が困難になり易く且つ不況或はインフレ
ーシ冒ン期には役立たぬものである。
第四には、 一定の基準或は公式を持たす、た貸政府支
出との關蓮め下に経濟を安定せしめる…檬に総牧入を攣え
ると云う方策で、之は経濟的豫知の不充分な塵には確固’
たる原則は樹立し得ない、と云う主張に裏付けられて居
るものである。
E随時適宜の安定化活動-
自動的安定装置を排外的に信じて居る会は随時的適
=ハ五
宜方策には (a)適宜に芯剛途を豫測する事・の不可能、
へb)政府活動の不確實性の不安定的影響、(c)特別の利,
害ある政治的歴力の活動、等の理由で良い虚より悪い方
が多いと反封する。自動的安定装置は大部分の経濟學者
達に實行の可能を保謹されて居るが、それだけで安定に,
充分であるとは云い得・ない。或程度以上の朱業及イン・フ・
レーションには追加的争段が必要である。その随時的適
宜の財政手段のタイプは次の四つである噂(一)税率及租
税構造の費、帥ち不況期の馨低減・インフイ福.
ン期の税牽生思力の如きものである。 八二)「振替支佛」に
於ける攣更、邸ち第一に失㎝菜期に聯邦政府が地方政府のボ
救濟活動を助け、更に不況期には庶民信用の如きも㊧を・
る
充分籏大する事などである。併し・無償で金を與園る救濟け
行爲そのものに疑念を持つ入々が居る。 (三)公共事業
支出に於ける攣更、帥ち不況期には公共事業を籏大し雇
傭…と流通貨幣量を大にし、繁榮期には反翼に縮少してイ
一六六
ンフレーションに備える、但し、M公共事業は長期的なも
のが多く、此の爲に長期的豫測を必要乏すると共に、事
業中途で休止せねば激らぬ事態、等が生じ易い、樹道路維
持、資源保持に封する全く察想的な計聲、食糧管理等の
短期的な公共事業は支出の適磨性及び時期の適合性を持
ち容易籔凍を學ザ得るものである(四)政府活動毎
の鑛大又は縮少。聯邦政府の活動の範園と規模を攣更・
しゅ経濟的安定の爲,に前述の諸方法と共に用いる。
以上の撞宜的手段に酎し以下のごつの問題がある。
(一)何入が上述の措置の時間的、種別的の決定をなすか
の構力の問題である。ぬ(二)此の決定をなすに如何なる
基準が必要か、の問題である。前途が豫測されれば成功、 ・
、 ’
失敗が容易に測定されるから何庭にその権力があつても
大鰹同じ決定゜に到るから(一)(二)ともに問題でないが、
芯剛述の正確階!.な豫測不可能の場…A自には{谷目易でない。邸ち立
法府の櫃力保持は諸方策の實行に敏速を期し難,く、大艦
逞延するを當とする、法律改正手警や、公賠會討論等
いたづらに時聞を費す傾向があり、他方、権力委任は政
府執行機・の強化となり、逆に政治的駆力が行政府に藥中
ポ
する結果を・生じ易い。.此の欄題に封しては、.部分的には
立法府が融通性ある法律、例えば、或一定の基準を設け
て、それを超んた場合、或概の方策、印「む減視とか増税、
叉は公共事業を増減するとかし得る様な法律を制…定して
置く事にょり綾和し得る、但し此の前以ての基準の設定
は制度的の自動的安定手段に接近する屯のである。
第五部金融政策
,
燉Z政策は銀行及信用-會砒及家庭の信用を得る難
、易及利子牽「公債及びその管理、並びに貨幣本位に關
ずる諸政策を含む。
°A銀行政策 、
銀行政策は以前には決定的な重大性を持つと見倣され
へ
て居たが、近時は大髄、適切なものは大いに助けになる
」「纏濟的不安定の問題」
が不適切なものは有害であると云う程度の重要性しか
持たぬ。大部分の経濟學者は銀行政策に關し次の諸難に
ついて意見が一致して居る。 ・(一)金融引締めは需要の
供給に封する一般的超過を俘う償絡インフレーションを
抑止するに役立つものである。 (二)金融引締めは経濟
活動の下降的振動を大いに張化し得る、そしで、穏和な
不況を深刻な不況に轄換させよヶ。 (三)金融綾和はそ
れだけでは深い不況には不充分な救濟策であるが、併し
助けにはな澄。
上部の學者達は金一融緩和は穏和な不況の救濟策で、適
切なる金融政策は穏和な不況が深刻な不況になるの遊防
ぐ
止するものだと考えて居る。
銀行信用政策には二種の主要な線がある、質的の統制
と数量的統制で、前者の實行は仲欧困難であるが、後者.
は多分に数果的であると思はれる。 .
質的統制。質的統制とは特定、特種の目的の爲に貸付
=ハ七,
巳
贈 ρ㌔、
、、
を刺戟、制限或は安定すぺく意圖された手段で、不況”期
には信用め塘敬人の爲に沿農者或は事業に謝する貸出基準
.を綾和しいインフレーション期には貸出制限の爲に、例え
ば手形交換讃標諄統制などを行う職時職後の制限的信
用統制や、波動達少くする爲に、長期的豫想から、銀行
が貸出及債雰投資を判断して信用準が循環に鯨り敏感に
、 ・ (註一九)
ならぬ様にするを目的とせる一九三十年代後期の銀行調
査基準の修正等がその例である。伺インフ,レ抑制の爲の
手段として.の質的統制の数果に關しては噛 一.部の學者は
大いに期待するが大部分の者は抜ケ道のある事、及び質
的統制が選定された部面にのみ影響し、 一般的水準を統
制すべく意圖された竜のが特定のもののみに強く作用す
る事は望ましくないと、飴り期待して居ない。
激量的統制 銀行信用の敷量的統制は銀行の貸出及投
資能力を決定する支彿準備率を通じて行はれる。銀行は
準備として聯邦準備銀行匿預金して居かねばならぬ、そ
一六八 .
して銀行はその準備の一定の逆比率の限界で貸出及投資.
つ
をなし得る、故に、大藏省或は準備…制度が此の潅㍗備率を
攣更する、即ち金融緩和が望ましい時は準備率を下げ、
反樹の場合には上げる事にょり、叉は準備制度が「再割
引率」を攣更する事により統制し得る。更に國庫資金を
∂ 、
商業銀行ど聯邦準備銀行との聞に攣動させる事にょり準
備歌熊を攣更し得る。 - ’
(註二〇)
最も有力な金融政策の手段は「公開市場操作」で、之
ド
は大藏…雀或は聯邦準備銀行が政府誰券を費買する事によ
るもので、その販費は購入者から準備…銀行に小切手の流
入があり、それだけ商業銀行の準備からの引出しを結果
し、逆に政.府設券.の購入は準備銀行より小切手の流出が
あり、それを銀行が集めた時、それだけ準備が追加され
る事になる,のである。
聯邦準備銀行は自己の計算により大藏省の財政代理機
關として毎週大量の讃券を賞買するが、此の操作が販費
増、或は購買増の場合にはそれぞれ、前述の如き敷果を
.持つ、一九四六年から四八年の間の公開市場操作は政府
讃券の債絡維持の爲のものであったが、市中銀行の信用
構帆
蛯フ爲の謹券販曹〔は制…限された。
激量的統制は経駿によると、、信用籏大を刺戟する場合
よりも、信用籏大を抑制する場合に有数でみる。帥ち準
倦…額の{減少は必然的に信用の縮減があちが、汕準備額の増
大には必然的の信用鑛大がないからである。た樽不況の、
時には信用デワレーションによる下降促進を避けるのみ
炉
であり、インフレーシィン時代の信用抑制には量大な数
果がある。 ・
・ 銀行の不安定的諸傾向は高い準備必要額の設定により
減少される。現行の二十%準備制では一九二〇年代の十
%準備制に於ける通貨膨張も或は準備銀行に樹する負債.
の一定量を皆濟して通貨牧縮を行う事も行い難い。
一部の學者は此の不安定の源も最小限にする爲に百%.・
「経濟的不安定の問題」
準備銀行制度を主張する。之は現在の銀行の機能の中、
保管者、小切手清算者とのでの機能と貸出機能とを分離
し、現在の貸出機能を新しい制度で代位させる事を主張
するものである。此の新制度は現在の銀行の貸出部分よ
り成る事が期待され、その基金は引出の常に行わ、れる預
金より寧ろ、誰雰嚢行にょり、、獲るとと云うので、之に
より現存銀行構造申の不安定要件を除去し自動的安定手
段或は随時的貨幣藪量統制を容易にし、他方貸付市場に
野する過重の政府統制を避けんとするものである。・多く
の経濟學者は此の手段の敷果を疑い、且つ思激なる攣化
は移行に諸困難を伴うと思い、飴り急激ならざる方法で
銀行制度の基礎を安定せん事を欲して居る。
B 公債政策
國債には政府…槻欄及聯邦「準借贈銀行以外のものに保有さ
れ、一九四九年では、約二干億ドルで大艦國民所得一年
゜分の約九十%に達し、其中千億ドルは市中銀行及他種の
一六九
信暴關が保備し他の牟分を個人、法人及努政府が保
有し、公衆の手に渡る債雰利子は年約四十五億ドルで
ある。 ・ 、
職時中及職學直後、聯邦準備銀行は規定債格で何時で
も政府讃券の購入を引受けた、之は政府謹舞便絡の維持、
低金利の保持の爲めのものであるが、他方市中銀行の政
府誼券販幽買が河寵の爲に信用インフレーションを助長し
た。聯邦準備當局な其後便絡維持政策の代りに政府謹券
市場の秩序ある歌態を維持する弾力的政策に攣えた、此
(註二一) 、
の政策は甦循環的安定装置としての金融政策を可能にわ
するが、未だ慣絡安定に重心を置きすぎ・て居る。
多籔の學者は聯邦準備銀行が政府謹券便絡維持を基本
的原理とせす、金融市場の望ましき引締め、或は緩和を
基礎にして政府讃雰を費買せよと主張する。之に封して
」 ノ
別の多一くの學者は斯」る州封策は(一)豫篁つ上の費田川が大
鴨 になり易い、 (二)斯…玉る政策が政府誰券市場を混齪さ
網七〇
、・せるならば米國の金融機關の支綿能力に重大なる衝撃を
馳與う、(ミ)利卒の引締めは之を元に直すには長年・月を要
する。齢ちインフレ」ショシが長く績《事を豫知し得ぬ
なちば斯る政策は悪い黙の方が多いと考える。
銀行保有の政府謹券による市場混齪を統制せんとする
提案に銀行は、預金準備として現在の現金準備に加う為
に政府誼券をも保有せねばならぬと云う謹券準備の提案
がある。之を有敷にするには、斯る準備になり得る謹券
,の量を限定せねばならぬ、但し此場合他種の誰券利率の
攣更は可能とされる。噺くて銀行は現金化出來る大量の
謹雰の中で相當量を誰糠宏ルて残して置かねばならぬだ
ろう。斯る準備制度の提唱は一九四六年から四八年のイ
ンフレi記ヨン期にそれに樹する緊急手段として準備銀
・行 及若干の學者により擁護されたが、本質的な黙で硯金
準備必要額の増加に等しい、唯異る黙は利子左銀行が受
取る塵にあるだけで、現金準備額の上昇と同様の敷果し
かもたぬであろう。
C 貨幣本.位
貨幣本位の問題は普通)金との關係に於て論ぜられて・
居るが、國際通商に於ける重要性を別にしてな、米國の
金準備は金本位を維持するにインフレーシ・ソの可能性
・を含む程互額である。他方一九三〇年代の維験の示す如
く、金本位はデフレーション及失業に何等の保誰を興詫
得ない。更に金債格攣更による國内経濟塵理は國内的に
縫箪である立ハに・國驕係の破婆招しものであ
、
る。金は國内貨幣政策と國際問題とを給合させるリンク
であつ・て、米國で一オンス三五セントで購入して居る事
の意義は、援助せんとする諸國、就中、スターリ」ング地
域諸國の生塵物に市場を創造し、°他方友好諸國の貨幣準
備に米國商品で計られた償値を與える事である。併し政「
ゆ
治的考慮を除けば、金を欲しない米國は直接贈與の形で
援跡した方が数果的且り維濟的である。長期的見地では
「纏濟的不安定の問題」
大部分の學者は貯藏庫訴埋めて仕舞,ηれる蓮命の金生産
は浪費と見徹して居る、一部の學者は金の貨幣制度に於
ける役割の復蹄を主張するが、別の一部の學者は金の貨
整としての役割左完全に除外せよと主張する、併し多ぐ
の學者は金の役割の基本的攣更は國際的困難の存在する
現在、不適當であると老えて居る。
経濟的安定促進の爲の貨幣本位改革の一提案として
「財墓備制度垂二~クYアム舞一薪る・之援
府の貨幣獲行額を、個定せる便絡で基準化された、貯藏.
(註二四)
し得る原料品の「複合的財貨の束]の購入及販費を何時
でも引受ける制度を設けてドルに安定せる眞實贋値を與
えんとする計書で、此の引受けは購入面では政府の紙幣
獲行力と貯藏能力により、販費面では貯藏せる諸財貨の
準備により裏付けられる。此の財貨準備計垂の長所はそ
れ自艦有力な自動的安定装置となり得る事である。印…ち
不況期には準備財貨の購入にょり貨幣量を増し、原料品
一七一
生慶者の牧入減退を防ぎ一此の生産者の使用する財の市
場を維持する。他方イγフレーション的ブーム⑳時には
マ る し
準備より財を販費しで貨幣量を減少し超過沿…費力を吸牧
し、原料品の有数な供給を追加するのである。併し此の
計書の實行には未だ研究が必要で、就中、「「複合的財貨」
の内容、農業及食糧政策どの關係、國際財貨協定との關9
係、及び鯨剰品の用途には特に研究を要する。
D 財政汝策と金融政策との關係
爾者の關係は、極めて密接で、 一方の決定は必す他方に
影響する、特爬直接に接燭する黙は不足の腱理と飴剰の
使用である。例えば前述の如く安定化財政汝策で、は、失
㎜業時は赤山子財政、インフレ喜シーヨン時には里燧+財~政で
あり、金一融政策では失豊添期には金融は綾和し、インフレ
ーシ戸ン時には逼迫する、故に此の爾者を綜合する事が
望ましい。爾此の爾政策の中」前春は立法行爲により後
ψ
者は聯邦準備制度及大藏省により支配されて來た。此の
●
一七二
統制の由、元化が大多数の學者により望まれて居る。
第六部若干の國際的要素、
外國貿易に樹する依存度の高い國汝、師ちその生慶物
め相當部分を輸出し、その國内需要の爲に大いに輸入に
依頼する國汝は、外國貿易に影響する外部的妨害、例え
ば金及び外國爲替準備量の滅少、外國よりの援助或は被
信用能力の制限、輸出晶市場の需要減退等に紳維過敏に
ならざるを得ぬ。而して輸出の減少は輸入の減少で埋合
わせねばならす、國内経濟の不安定に導く、即ち國外事
業の攣 動に影郷冒され不安定になり易く、安定政策は容易
へ
でない。米國は海外依存度は極く少い。之健亘大な金準
備に起因する、更に外國貿易の全維、濟に占める比率は少
く、且つ現在諸外國の金及外國爲替準備が少い爲、米國
よりの輸入は統制されて居るので、米國の輸人は直ちに・
輸出で封鷹し得るからである。此め事は米國で不況期に
輸入橿壁を高めても役立たぬ事を意味する、米國の外國
貿易依存度は低いが、諸外闘門の…封米貿易依存度は彊いの
で、来國の繁榮叉は不況は諸外國に直接影響する。伺米
の
國の一九三〇年代め不況の維験の繰返しを避ける爲不況
の場合、諸外國の米國品輸入に極度の制限が老えられ、
その場合、米國の世界維濟に於ける孤立が老えられる、之
よりも米國は相互依存を絶封望むあので、此の爲に、第
一に繁榮を完成維持し、第二に輸入橋壁を低滅すべきで
ある。米國[の世田外経濟に於ける役割は蝕りにも重大であ
る。米國は外國の維濟力には支配されぬもので診るが、
例えば政治歌勢帥ち軍事的問題、経濟援助問題等には影
響を受ける、例えば國際悟慰勢の亜心化はインフレ可ション
的影響力を持つなどと云う事である。
第七部 市揚政策
維濟的安定には更に債格賃銀及利潤についての政策或
は統制が必要である。之に際し(一)かの三者の動き方と
(二)その動く度合はどの檬なものであるかの疑問が生す
「輕濟的不寮定の間題」
るが(一)については未だ確實な分析は無く(二)について
は廣汎な意見の相淫がある。
賃銀については組織螢働力の彊化による賃上げ要求の
強化によりインフレーシ器ソの危瞼がある、邸ち大艦毎
年平均二%の螢働生産九の上昇があり、此の限度の賃銀
上昇は問題ないが、それ以上はインフレーション的作用
が診る。
,賃銀上昇にょる慢性インフレ,ーショ/ンは財政汝策及金
融政策をディレンマに陥れる、●帥ち金融引締めも産出額
及雇傭…の減少しか結果せぬ事になる。諸學者の之に野す
る封策は非實際的、曖昧なもので直接統剃は自由維濟組
織と樹立し、彊制仲裁は螢資双方から反封され、、ストラ
イキ樋の制限も絵り役立たぬ。之には組合員が=層維濟
的事態を理解する事が一番重要な事である。侮前述の生
産性壇加と賃銀との關係は特定會肚、或は特定塵業のみ
!
の生産性増加に適合しない、それは全産業の生産性増加
一七三
の場合にのみ適合する事に注意せねばならない。同時に
賃銀率は全産業大膣同一であらねばならない。
や ぜ
物摺臥及賃銀の螺旋的{動向は上下共に経濟的安定に窟口害
で、下降期に於て、賃銀の切下げは不況をよび、下況は
亦賃銀切下げをよぶ、反野に、イン.フレーション期には
賃銀上昇は物贋高をよび、それは亦、賃銀上昇をよぶ。
爾組織螢働力の彊化はイツフレージョン的傾向を助長す
るが、デフレーション的傾向には…封抗・する。
動態経濟に於ては進歩に伴い物債及利潤の攣動が行わ
れるもので、常に新事態に…封する適慮と調整がなざれて
居る故に、粘着ぜる特定の債格等は寧ろ維濟的不安定へ
導くので、響的行爲は維濟の安定を害蒼と考えられ
る。結論として、累積的の賃銀及び物債の螺旋的上下は
安定を破壊する事、生産性の卒均的増加に饗鷹する賃銀
㊨順調的漸次の上昇と諸財貨贋絡の順磨性とが結合する
ならば安定的繁榮に大いに役立つと云う事が云える。
一七四
,市場政策に於ける問題の程度及びその手段に關しては
経濟學者間に意見の不一致がある。
、
謌黷フ意見は、.政府は凡ゆる競璽の障壁を除去すべき
で、そこで賃銀、物便及利潤の競寧的市場の自動的操作
により決定さるべきであの隔而して競學が充分活動し傳
ぬ庭にのみ政府のカで規則すべきであるとの見解であ
る。箔二の口兄鯉川は、政府は重要維濟部門一で僧ハ柊州及賃銀吟
の
統制を行い、斯くて賃銀、物償及利潤に影響を與えると
ノヒ
云う實質的手段を確保せよと云う意見で、此の場合私的
{
な力は切詰めちれ、政府の力の籏張がある。第三の意見,
は大會肚の協同、及び勢働組合の如き有力加私的グルー
プは我汝の肚會には固有なもので、之を除去出來るもの
でない、故に賃銀及物債を政府が統制せすに、組織化さ
れたグループにその私的動向に責任を持つべき規則を設
け此の規則が各グループにその自由意志で承認される様
に試みるべきだと云う見解で.ある。併し之は私的の力の
切詰めでない代り其等が公共的機能を充分に履行するか
は疑問で診る。勿論此の見解は競璽を可能的に敷果あら
しめ、高度の猫占性ある事業を公有化或は公の操作の下
に置く試みを除外し・て居るものではない。
以上の如き見解及計書の相違は物債賃銀及利潤の問題
の未解決である事を示すものであるが、併し此の分野に
ぐ於ける困難は、総牧入及総支出生産及雇傭の波動を制限・
せんとする財政汝策及金融政策の最艮の行使を妨げるも
のではない。
. 註 委員の中ミルトン・フリードマyは市場政策に家の如き
註鐸を加えて居る。. 、
一、此σ報肯の、「市場政策〕の一般的大意及主要なる結論
に不賛成である。 .
二、市場政策は金融及財政々策と経濟的安定に關し全然異
ノ
る關係にある。金融及財政々策は、物便及雇傭の一般的
攣化を中和する一般的手段であるが、特定の諸便格及諸
賃銀に於ける強制は種々なる部門間への資源及生産物の゜
「輕濟的不婆定の問題」
し
ノ 噸
割當には適合するが、一般雇傭産出額及物便の一般的攣
動を中和するには適さぬ。
三、経濟的不安定の問題に於ける布場政策の存在.理由は不
営な市場政策即ち特定のグループによる統制を可能にす
る如きものを排除するにあつて(政府統劇で之に代位す
ると云5事ではない。
コ
四、賃銀と物便とに射する政策が別に考慮されて居るが賃
銀及生産物の憤格は同一の立場に立つて居るもので爾活
共通に考5べきである。問題は一般的安定的手段にあ
り、その成功によつて賃銀及物便の螺旋的動向が操除し
得るのである。
五、特定の諸便絡、或は賃銀率の減退又は上昇は種々なる
部門間の調整を容易にする右益な機能を持つのであるか
ら「組織勢鋤力」の強化はインフレーシヨソ的傾向に於
けると同じく不況’的傾向時にも塑ましからぬものであ
る。
一七五
tへ ド 註註註註註・註註註註(
註一〇)
(ヘス(.((.(註誰註註註註註一 一 _ _ _ 一 _
(註一.八)
(註一九)
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一) .》旨Φ吋一〇餌旨国OO”Oヨ一〇〉ω切OO一”餓O昌・
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一二
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八) OぴUo9貯毬゜
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一) 匂o賃げ日O吋σqOαbO四評゜
一一
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一二
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四) OO目”O昌O口e° 、.
五) 周o魁Φ暢9”o。。窪くoω矯珍oB°
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七) b口什OB餌¢Oωけ9げ出一NO同゜ . 、
]UずO”P団19◎ωー《σ賃IoqO勺陀一昌O一”一の
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一七六
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