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内服薬投与時の患者誤認事例を 通じた当院の取組 社会医療法人 ハートライフ病院 医療安全管理者 玉城秀美

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内服薬投与時の患者誤認事例を通じた当院の取組

社会医療法人 ハートライフ病院

医療安全管理者 玉城秀美

中南部の東海岸の海沿いに位置

急性期医療地域完結型医療救急医療(24時間二次救急)病床数:300床 無料個室177床・有料個室45床

無菌室10床(NASA Class 100)骨髄移植・骨髄採取

平均在院日数:13.9(H24年度)利用率:93%7:1看護体制 看護単位:14単位職員総数:803名(H25年9月20日現在)

当院の紹介 【病院の理念】わたしたちは、心と心を結ぶ信頼される医療を目指します

当院の年度別インシデント報告件数

655 670

561

702792

982

0

200

400

600

800

1000

19年 20年 21年 22年 23年 24年件数/年度

24年度インシデント発生内容件数

56

286

63

165

60 5924

53

216

0

50

100

150

200

250

300

350

指示・伝達に関する項目

薬剤・輸血に関する項目

治療・処置に関する項目

医療用具(機器)、ドレーン・チューブ類に...

検査に関する項目

療養上の場面に関する項目

給食・栄養に関する項目

その他の場面に関する項目

転倒・転落に関する項目件数/内容

n=982

インシデント発生後の取組状況□毎朝(月曜日~金曜日)9:00 看護部に於いて

師長ミーティングを実施

・ベッドコントロール

※その際、朝9時までに発生したインシデント報告を

行い、情報を共有・再発防止へ活かす

日々の報告からインシデント報告内容は違うが、

同スタッフが繰り返し報告している傾向があると

各師長からの意見が聞かれた

なぜ・・

□きっと・・いつも確認していないから・・

何回も繰り返す

□安全意識が低い

個別集計してみよう・・・・

インシデントの内容(H24年度)

合計

過剰与薬 1 1 3 4 7 5 1 23

過少与薬 1 0 0 1 0 0 1 3

与薬時間・日付間違い 0 3 0 8 3 3 2 19

患者間違い 0 0 2 0 0 0 0 2

薬剤間違い 1 0 1 0 0 0 0 2

投与方法間違い 1 1 0 0 0 0 0 2

無投与 2 0 7 1 4 4 2 20

投与遅れ 0 0 0 0 1 0 0 1

その他のエラー(患者にて服用間違いも含む)

1 0 1 1 2 4 0 9

n=81

報告者の経験年数(H24年度内服関連)

13

78

2

5

2 2

7

32

7

14

4 4

01

0

2

4

6

8

10

12

14

16

0年 1年 2年 3年 4年 5

年6年7年8年 9年

10年

11~15年

16~20年

21~25年

26~29年

当事者複数

n=81

件数/年

発生場面(内服)

薬剤準備時 投与時(看護師) 患者自身で服用 患者へ説明不足

2 0 2 1

0 7 0 0

8 5 1 0

2 7 5 1

1 11 5 1

9 6 0 1

1 3 1 1

合計 23 39 14 5

n=81

個別集計から見えてきたもの①

【人】

経験年数1年未満の看護師と11年~15年の看護師が最も多い

限定された種別のインシデントではなかった

5R確認のルールは知っているが、実際は4R・

3Rの確認で終了している

個別の聴き取り:共通して確認作業は、した

つもり又は面倒くさい

個別集計から見えてきたもの②【システム】

確認の為、電子カルテの画面を幾つも開けないといけない

ワークシート

カレンダー

薬歴情報医師・看護指示入力画面

薬剤確認に関する当院のルール

5R確認順序の統一・正しい患者名・正しい薬剤名・正しい量・正しい経路・正しい時間(親指から順番よく確認)

指さし呼称

事 例 紹 介

男性 79歳病名:2型糖尿病【経過】入院当日、21時に眠剤を投与翌朝レベル低下あり処置を施行しレベルは回復※家族への経過説明時に、日頃から眠剤の服用をしていないことが、分かり誤薬に気付く

【指示】眠剤の投与指示はなかった【その他】・同日、名字が同じ、名前が一文字違いの患者が同じ病棟へ入院・一名は持参薬あり

事例の結果からみえたもの

□指示の確認をせず投与

□名乗ってもらったが、確認画面との照合は

していない

□入院患者・同姓患者・一字違い患者の情報

を得ていない

個別集計・事例の結果から分かったこと

【確認方法の個別チェック】

□5R確認の順序は正しいか・・

□患者へ名乗ってもらった時点で、何と照合して

いるか・・

※個別のチェック方法を検討し、チェック結果を

フィードバックする必要がある

【システム】

□内服薬画面の統一(オーダー内服と持参薬)

沖縄県リスクマネジャー交流活動

リスクマネジャー活動目的

医療安全管理者同士の連携と相互支援を目的として、

2005年に沖縄県看護協会主催で、第1回医療安全管理者交流会が開催された。その後、地域ネットワークを生かした支援体制づくりを目的として、2008年12月に地域グループ(3つのグループ)が結成された。

2009年2月より地域グループ活動を開始、月1回の定例会では、各施設の医療安全に関する情報共有やテーマに沿った意見交換が行われている。また現在ではメールによるネットワークを活用し、日々の連携と速やかな相互支援活動が可能となっている。

地域グループ活動は、これまで孤軍奮闘していた医療安全管理者にとって重要な役割を果たしている。

各施設の位

各施設紹介病院名 施設基準

オリブ山病院 343床 療養・精神科・精神急性期

ハートライフ病院 300床 一般・急性期

北中城若松病院 233床 一般・療養・精神科

玉木病院 211床 精神科単科

与那原中央病院 170床 一般・療養・急性期

同仁病院 154床 一般・療養・急性期

翔南病院 90床 一般・療養

上村病院 62床 産婦人科・小児科単科

定例会の開催 毎月 第2水曜日又は木曜日

時間 14:00~17:00

開催場所は各施設で持ち回り

活動実践

年間目標に添った取り組み

2009年:誤薬事故を0にする

2010年:RCA分析の勉強会(転倒・転落事例)

医療安全に関する職員アンケートを共同で作成し実施

2011年:繰り返される事例への対応

2012年:3年間の活動評価、学会発表(リスクマネジメント学会)

2013年:医療安全マニュアルのグループ内標準化

各施設の問題点に対する取り組み

年2回の医療安全勉強会に関する情報交換

メールを活用した情報交換

活 動 方 法

リスクマネジャー活動成果目 標 成 果

2009年 誤薬0を目指して 5R確認の方法について話し合った内容を基に病院独自のチェックリスト作成

インシデント内容(インスリン関連)について地域グループで分析後、院内対策としてインスリン投与に関する表示内容を改善

2010年 RCA分析の勉強会(転倒転落事例)グループで分析

各施設事例を持ちよりRCA分析を行った

2011年 繰り返される事例への対応

グループ内他施設の様式を参考に高齢者の特性とそのリスクについて説明用紙を作成し運用している

2012年 3年間の活動評価 3年間の活動をまとめ学会発表(日本医療マネジメント学会)

2013年 医療安全マニュアルのグループ内標準化

グループ内共通の基本的患者誤認防止対策マニュアルを作成(それを基に病院用にアレンジ)