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日本企業の越境 EC の展開 ―中国、米国、ロシアを対象にー 経営学部経営学科 4 椙本

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日本企業の越境 EC の展開 ―中国、米国、ロシアを対象にー

経営学部経営学科 4 年 椙本

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目次 1. はじめに 2. 越境 E C とは

2-1 越境 ECの定義と特徴 2-2 市場規模と利用動向 2-3 成長要因 2-4 メリット・デメリット

3. 中国の越境 EC 市場について 3-1 越境 EC市場の現状と背景 3-2 越境 EC利用動向 3-3 日本へのインバウンドとの関係性 3-4 主要 ECサイト 3-5 独身の日

4. 米国の越境 E C 市場について 4-1 越境 EC市場の現状と背景 4-2 越境 EC動向 4-3 主要 ECサイト 4-4 日本企業例「楽天グローバルマーケット」

5. ロシアの越境 E C市場について 5-1 越境 EC市場の現状と背景 5-2 越境 EC動向 5-3 主要 ECサイト 5-4 ロシア向け越境 ECサイト「kupijapan」

6. 越境 ECにおける課題 7. おわりに 参考文献

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1. はじめに

近年、日本において人口減少や少子高齢化が経済的問題とされ、これは国内市場の縮小要因となっている。日本の総人口は、2008 年のピークを境に減少に転じ、2017 年の 1 年間の人口減少数は 40 万人 1に迫る数であった。このように、日本国内の消費市場が縮小していっている中、製造業、小売業、サービス業など多くの日本企業が国内に留まらず、新たな顧客を獲得するため海外市場に目を向けるようになってきた。EC 業界においても同様である。国内の大手EC 事業者は、下図表 1 から読み取れる通り、世界の EC 市場規模は年々増加傾向にあり、2018 年は 2.84 兆米ドル(日本円に換算すると約 312 兆円 2)、2021 年には 4.88 兆米ドル(日本円に換算すると約 537 兆円 3)にまで増加すると予測されている。対前年比成長率においても、2019 年 21.5%の伸びがあり 2021 年まで対前年比 2 桁成長が見込まれている。日本の EC 市場規模においても、2018 年には約 18 兆円となり EC 化率 4とともに年々増加しているのが現状である。図表 3 のように世界の E C 市場から見ると、中国やアメリカが圧倒的な規模を誇るが、世界の中でも 4 番目の規模であり今後も更なる成長が見込まれている 5。

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成

1 中原(2018)15-16 頁 2 日本銀行 https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/ex2018.pdf(2019/12/05 最終アクセス) 東京為替市場における取引状況(2018)に基づき平均レート 1 米ドルあたり 110 円で計算し算出 3 同上 4 EC 化率とはすべての商取引市場規模に対する EC 市場規模の割合のこと 5 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)6-8、96-97 頁

1.852.30

2.84

3.45

4.14

4.88

25.6% 24.8% 23.3% 21.5% 19.8% 18.0%0%

20%

40%

60%

80%

100%

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

2016 2017 2018 2019 2020 2021

図表1:世界のEC市場規模(単位:兆米ドル)

小売EC売上高(兆USドル)

対前年比変化率(%)

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図表 2:日本の EC 市場規模

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成 この背景には、「スマートフォン等、従来よりも安価に入手できるデバイスの普及」、「インターネット人口の増加」、「マーケットプレイスや物流システムの充実」、「決済機能多様化への対応」、「オンラインショッピングのインフラ整備 (インターネットアクセスポイントの増加、ネットワークスピード )」等が起因していると考えられる 6。加えて経済のグローバル化、 I C T 化、情報の国際的なやりとりが活発化したことにより、海外への事業展開が可能となったことで「越境 EC」と呼ばれる一戦略が話題となっている。今後、国内の消費市場が少子高齢化などにより成長鈍化が避けられない中で越境 EC という市場が EC 業界を更に成長させていくための一つの起爆剤として重要な存在となっていくと考える。

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成

本稿では、インターネットの進展と共に EC 業界で注目されている「越境 EC」について深く検討し、日本企業の越境 EC を展開するために重要なことは何かを明らかにしていく。その中で、世界で一番大きい市場を誇る中国と ECサイトにおける一人当たりの消費金額が一番高い米国と支配的な EC サイトがない最後の新興市場で越境 EC の利用割合が高いロシアに注目し、日本企業のビジネスの可能性を考察していく。

6 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)96 頁

15,267

5,232

1,236

1,093

11,153

4,549

1,126

953

0 5,000 10,000 15,000

中国

米国

英国

日本

図表3:世界の各国別市場規模2017/2018(単位:億米ドル)

20182017

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2. 越境 EC とは

2-1 越境 ECの定義と特徴 越境 ECとは、インターネットの通信販売サイトを通じて行う国際的な電子商取引(EC)

のことである。基本的には日本国内よりも、海外の消費者に向けて国内の商品を販売することを目的としている。日本においても人気の EC モールが新たに海外モールに出店をしたり、越境 ECの支援サービスを提供する企業が登場したりするなど、越境 EC 市場が活性化している 7。 越境 ECの特徴は、以下の 3点である。第 1に、EC サイトを運営する企業側は、海外に

直接出店しなくとも国際ビジネスかができる点である。これは海外出店する場合のリスクやコストの軽減につながり、しかも従来よりも商圏が広くなることに特徴がある。また初期投資およびランニングコストを抑えながら海外進出が狙えるというメリットもある。このことは経営資源が乏しい中小企業や新規ベンチャーにとって好機となるであろう。第 2に、「越境 EC」を利用する消費者側は、自国では購入できない財・サービスを購入することができる点である。この際、使用される通貨単位は外国通貨となる。第 3 に、インターネットの特性から、サーバーの設置場所や企業の所在地は世界のどこでもよい。顧客も世界のどこにいてもよいことになる。換言すれば「クラウド(雲)の中」ということになる 8。 2-2 市場規模と利用動向

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成

世界の越境 EC 市場においても拡大傾向にある。拡大の背景には、EC 市場規模そのもの

7 E-Commerce Magazine https://www.future-shop.jp/magazine/ec_cross_border (2019/12/02 最終アクセス) 8 越境 EC と中国人消費者 http://www.ibi-japan.co.jp/jaibs/html/convention/2017meiji-unv/dwnld/2017_meiji_B_3.pdf (2019/12/08 最終アクセス)

2,3303,040

4,0005,300

6,760

8,260

9,940

25.5%30.5% 31.6% 32.5% 27.5% 22.2% 20.3%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

図表4:世界の越境EC市場規模

世界の越境EC市場規模(億USドル)

対前年比変化率(%)

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が拡大するにつれて、「品質のよい商品を低価格」で購入することが可能であり、海外からのインターネットショッピングであっても、安心して取引できる「マーケットプレイス」や越境 EC支援会社が発達してきた事情がある。また、「PCやスマートフォンの普及」で、いつでもどこでも越境 EC が利用できる環境が整いつつあることが考えられる。下図表 4 は、全世界の越境 EC の市場規模を表しており、2018 年には 6,760 億米ドル、対前年比成長率は 27.5%の伸びがあり 2020 年まで対前年比 20%台の成長率が見込まれている 9。EC 市場と同様に 2 桁成長である。 2014 年における世界の越境 EC利用者数は約 3億人であり、2020 年には約 9億人にまで増える 10というデータがある。また、国別の越境 E C利用者は第 1位が中国の 7,000 万人、第 2位がアメリカ 3,400万人、第 3 位がイギリス 1,400 万人、第 4 位ドイツ・フランス 1,200万人と続く。日本は 900 万人 11であり中国と比べると少なく感じるが、世界全体で見るとトップ 10 に入るほどの規模である。中国のインターネットユーザーは拡大傾向にあることから、今後も越境 ECユーザー数は増え、市場は拡大していくことが予想される。 次に日本の越境 EC 市場について述べていく。経済産業省は日本、中国、米国を対象に 3

カ国間の越境 EC市場規模について調査し、下図表 5のようにデータを公表している。そのデータを参考に見てみると、中国の消費者が日本の EC 事業者から商品を購入した金額が 1兆 5,345億円、米国の消費者が日本の EC 事業者から商品を購入した金額は 8,238 億円となっている。一方、日本がこの 2 カ国から商品を購入した金額は、、米国経由の市場規模は2,504 億円、中国経由の市場規模は 261 億円、日本の越境 EC(中国・米国)の総市場規模は 2,765億円となっている 12。この数値からも読み取れる通り、圧倒的に海外の消費者が日本の商品を購入する規模の方が大きく、逆に日本は海外の商品を購入する機会が少ないことが分かる。

図表 5:越境 EC市場規模(日本・米国・中国)2018 (単位:億円)

9 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)98-99 頁 10 トランスコスモス株式会社(2019)17 頁 11 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)100 頁 12 同上 103-104 頁

国(消費国) 日本からの

購入額

米国からの

購入額

中国からの

購入額 合計

日本 (対前年比)

― 2.504 (7.6%)

261 (7.4%)

2,765 (7.6%)

米国 (対前年比)

8.238 (15.6%)

― 5,683

(15.0%) 13,921 (15.3%)

中国 (対前年比)

15,345 (18.2%)

17,278 (18.5%)

― 32,623 (18.4%)

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(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成 2018 年以降の日本における中国と米国からの越境 EC 取引額の推移は下図表 6 のようになると予測されている。2018 年の中国と米国の EC 利用者による日本からの越境購入金額は、前年比 117%の約 2 兆円。2022 年には、約 1.7 倍の約 4 兆円規模にまで拡大する見込みである。2018 年以降の伸び率は 17%となり 20%を切っているが、世界の越境 EC市場の成長の中で、2019年以降も着実に日本の市場は拡大していくと考えられる。

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月、平成 30 年 4 月 )より作成 また、越境 ECポテンシャルとしては、中国のインフラ整備状況が先進国並みになり、EC に関心の高い層を取り込むことができた場合、2020 年時点の中国 EC市場規模は、2兆円を超えるという 13。人口減少などによって、今後国内の消費市場が危うい中で、海外の消費市場は重要な存在であると言える。 2-4 成長要因 越境 EC の市場規模が大きく成長している要因として 3つの要素が考えられる。 (1) スマートフォンの普及率向上 2012 年の世界のスマートフォンユーザー数は 11.3 億人でしたが、2015 年には 18.6 億人の 1.6 倍になり、2020 年には、28.7 億人に伸びることが予想されている。以前は、PCを使える人だけが、インターネットにアクセスすることができたが、スマートフォンが普及したことによって、より多くの人が世界のどこからでも、簡単にインターネットにアクセスすることができるようになった。その結果、世界中の EC サイトから、自分が欲しい商品をいつでもどこでも購入することが可能になった。

13 原田良雄「越境 e コマースの現象と展望」4 頁

合計 (対前年比)

23,582 (17.3%)

19,783 (17.0%)

5,944 (15.6%)

49,309 (16.9%)

8,238 9,457 10,810 12,291 13,925

15,34518,184

20,73023,217

25,14423,58327,641

31,54035,508

39,069

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

2108 2019 2020 2021 2022

図表6:日本における米中からの越境EC取引額の推移

中国米国

(億円)

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(2) 決済方法の簡素化 今までは、海外から商品を購入しようと思った場合、国内の金融機関に高い手数料を支払い、海外送金を行っていた。しかし現在では、PayPal 等に代表されるWeb決済代行会社を通して、クレジットカード・デビットカードで簡単に決済を行い、海外からでも簡単に商品を購入することができるようになった 14。 (3) インバウンド観光客のリピート購入 訪日外国人数は、2016 年の約 2,400 万人から 2018 年には 3,100 万人 15と 77%増となっている。年々着実に増えており、今後 2020 年には東京オリンピックが開催されサラある増加が見込まれる。日本政府においても 2020 年には 4,000 万人、2030 年には 6,000 万人 16に増やす計画がなされている。このように訪日外国人が増えると、観光地で商品を購入される機会が増え、帰国後に同じ商品をリピート購入するという行動につながる。さらに 2018 年に中国人が日本の越境 EC を利用した金額 1 兆 5,345億円に対し、同じ年に中国人が実際に日本へ訪問した際の消費額は 8,110 億円 17で、越境 EC がインバウンドを上回っている。 このように、世界中でネットインフラが普及し、越境 ECに最適な環境が整ったことでこの市場の拡大につながっている。 2-5 メリット・デメリット 次にメリット・デメリットについて述べていく。 <メリット> ・商圏が広がる 少子高齢化により縮小傾向のある国内市場とは異なり、中国や 6億人を超える ASEAN市場、購買力の高い欧米市場など、世界の市場人口は増加傾向にある。国を跨ぐ ECモール拡大、言語・通貨の壁を破るテクノロジーの発展により、容易に巨大市場へアクセスできるようになった。 ・コストの軽減 インターネットなどの環境が発展した現在は、越境 EC という手段を使って低コストで海外を対象にした事業を開始することが可能となった。また、現地に実店舗を構えるよりも各段にリスクが低く押さえられる。 <デメリット>

14 佐藤(2017)15 頁 15 日本政府観光局(JNTO)https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/marketingdata_outbound.pdf (2019/12/10 最終アクセス) 16 観光庁資料(平成 30 年 12 月 12 日) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jisedai_health/shin_jigyo/pdf/010_09_00.pdf (2019/12/10 最終アクセス) 17 観光庁「訪日外国人消費動向調査」http://www.mlit.go.jp/common/001283138.pdf (2019/12/10 最終アクセス)

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・決済、言語、規制の違い 国ごとに通貨単位や言語が異なるため、商品情報をすべて多言語化する必要があります。 日本国内のような多様な決済手段が用いられるのは一部先進国のみであり、銀行口座やクレジットカードが機能していない国もある。そのため、価格帯とターゲット層が使う決済手段を事前に調べ、金流を段取りすることが大切になる。しかし、モールを活用する場合には、この手間が省略できる。売り場に限らず、食品や化粧品、電化製品や一部アパレル商品などは各国の法律によって規制されているため、それぞれに認証や届出が必要な場合があり、各国が定める書類の提出はハードルが高い現状がある 18。 ・配送料や手数料が高い 越境 EC では商品を海外発送するため、送料が国内よりも高額である。さらに、地域によって送料が大きく変わるため、送料込みの価格を表示することも実現しにくいのが実情。流通事情も異なるので、商品が顧客へ到着するまでの日数も読みきれない。また、為替は常に変動するため、購入時期によっては同じ商品でも価格が異なる。そのため、低価格を武器にした販売戦略は難しいと言える 19。 このようにメリットだけではなくデメリットも存在するため、しっかりとリスクを把握し戦略を考えることが必要である。国によって様々な事情があり、消費金額、市場規模は異なる。さらに、日本製品は「高品質」「定評のある」「カッコイイ・センスがいい」と世界に評価 20され、図表 5 からも読み取れる通り日本製品の海外需要は増加しているが、国によって商品のニーズは異なる。日本企業が越境 EC市場において成功、拡大していくためには「どの国で、そんな商品で勝負するか」は一つの鍵となってくると言える。次章では、世界一の市場規模である中国と第二位のアメリカ、次に高い越境 EC化率を誇るロシアの市場について説明していく。

3. 中国の越境 EC 市場について

18 S-POOL https://www.spool.co.jp/service/logi/overseas/ekkyouec.html (2019/12/11 最終アクセス) 19 発注ラウンジ https://hnavi.co.jp/knowledge/blog/cross_border_ecommerce/ (2019/12/11 最終アクセス) 20 木戸(2017)98-100 頁

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3-1 越境 EC市場の現状と背景

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成 中国における越境 EC 市場規模は、2018 年には 62,938 億円、対前年比変化率は 5.9%増で 2019 年以降も拡大傾向にある(図表 7)21。その中で対日本の越境 EC 市場規模は 15,345億円であり、中国越境 EC の購入先として日本が 58%22と最も多くなっている。 中国越境 EC市場が急速に発展している背景には、大別して 3つの要因が挙げられる。

(1) 中国のインターネット人口の増加 インターネット人口は、2008 年の 2 億 9,800 万人に対し、2018 年には 8億 2,851 万人の規模となっている。また、インターネット普及率は、2008年 22.6%から 2018 年には 59.6%23

21 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)121 頁 22 Baidu 百度 https://www.baidu.jp/info/538/ (2019/12/13最終アクセス) 23 CLARA ONLINE「第 43 回中国インターネット発展状況統計(抜粋・参考訳)」

https://www.clara.jp/wp-content/uploads/2019/03/20190311_CNNIC2018.12_claraonline.pdf

34,053

50,40359,458 62,938

67,44474,021

81,571

0

20,000

40,000

60,000

80,000

2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

図表7:中国越境EC市場規模(単位:億円 16.5円/中国元で計算)

29,80038,400

45,73051,31056,40061,75864,87568,82673,12577,19882,851

22.6%28.9%

34.3%38.3% 42.1%

45.8% 47.9%50.3% 53.3%55.8%59.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

図表8:中国インターネット人口および普及率の推移

利用者数 普及率

(億人)

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10

まで上昇している。このように中国の EC市場は成長性が高く、更なる発展の可能性があると言える (図表 8)。 (出所)CLARA ONLINE「第 43 回中国インターネット発展状況統計(抜粋・参考訳)」より作成 (2) スマートフォンユーザーの増加 中国インターネット情報センター(CNNIC)によるとスマートフォンユーザー数はインターネット人口とともに増加し、2018 年には 8億人を超え、インターネット人口全体の 98%24

に当たる。これは世界で一番多い数である。中国の人々の生活において必要不可欠なものとなっていると言える。 (3) 海外製品に対する意識の高揚 中国では 10 年余り前に化学物質のメラミンが混入した国産粉ミルクが販売され、少なくとも乳児6人が死亡、約 30 万人に健康被害が及び、食品の安全性が制度面でなおざりにされている実態が浮き彫りとなった 25。このような製品の安全問題が頻繁に発生した影響で、国内製品に対する不信感が強くなり、海外製品への需要が高まるようになった。その中でも化粧品やベビー用品などへの安心・安全意識が高まったことで、この分野の人気は特に高まっている。そのため、インターネットを通じて、より信頼性の高い日本製品の購入者が増えている。 3-2 越境 EC 利用動向 トランスコスモス株式会社 26の集約によると、2018 年末時点で頻繁な越境 EC 利用者数は前年対比 34%増の 8,850 万人を記録し、その中でも特に、25〜35 歳の利用者が多く、全体の約 6割近くを占めている。海外商品を購入する際、国内事業者が運営する越境 ECサイトを利用することが主流となっている。購入先として一番多い国は日本(21.5%)、二番目に米国(16.4%)27となっている。また、中国の越境 EC において人気の商品カテゴリーは、①化粧品・美容品(45.7%)、②マザー・ベビー(39.3%)、③食品・健康(38.6%)、④衣料・靴・帽子(38.0%)、⑤デジタル用品(30.6%)28となっている。経済産業省 29の調査によると中国人が越境 EC で日本から商品を購入する際に重視する項目は、①「品質」(69.6%)、②「ブランド」(58.6%)、③「安全性」(56.8%)、④「価格」(54.5%)、⑤「デザイン」(40.4%)と続く。 このように、日本の商品は高く評価されており、中国人消費者が品質やブランドなどの付

(2019/12/13 最終アクセス)

24 同上 25 Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLPNST6K50XT01

(2019/12/20 最終アクセス) 26 トランスコスモス株式会社(2019)38 頁 27 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)115 頁 28 テクノクリエイト「中国越境 EC の現状と将来展望」 29 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)128 頁

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加価値を求めて、日本の越境 ECを利用していることがわかる。今後日本企業が越境 EC ビジネスを展開していくにあたり日本独自の良さをうまく引き出し日本ブランド、日本製品をアピールすることができれば、成功の可能性の余地はあると言える。 3-3 日本へのインバウンドとの関係性 日本において訪日外国人数は年々増加傾向にある。日本政府観光局(JNTO)30によると、2018年には 3,000万人を超え、訪日中国人客は 2018年世界最多となる 838万人を記録し、2015 年から 2018 年にまで 4 年連続で 1 位 31となっている。そんな中国において中国人消費者が越境 EC を利用する理由の一つに「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」32を挙げている。これは、訪日中国人客が旅行中に購入した商品を帰国後にまた購入するという消費行動が発生していることになる。実際に自分の目で確認し、信頼性を持った上で越境 EC を利用するという行動をとっているのである。このようにインバウンドと越境 EC には密接な関係があると言える。 今後、訪日外国人数は東京オリンピックなどの開催に伴い更なる増加が予想され、日本での消費行動も増加していくと考えられる。日本での消費行動、経験が増えることで越境 ECの利用者数、市場規模拡大も期待できる。 3-4 主要 ECサイト 中国の主な ECサイトは、アリババ傘下の「天猫(Tmall)」と JD傘下の「京東(JD.com)」の 2 大オンラインマーケットプレイスが市場を牽引しており、上位 2 社で約 8 割以上のシェアを握っている。中国越境 EC サイトにおいては、ネットイース子会社が展開する「Kaola.com(網易考拉海購)」、アリババ傘下の「Tmall Global(天猫国際)」の利用が多く、両社で越境 EC 市場シェア約 5 割 33を記録している。中国国内では、「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」のシェアが高いが、越境 ECにおいては「Kaola.com(網易考拉海購)」がトップシェアを誇っている。この「Kaola.com(網易考拉海購)」は現在アリババが買収交渉をおり、これが実現すると越境 EC 市場においても大きなプレゼンスを持つことになると考えられる。 3-5 独身の日 中国ではオンラインショッピングフェスティバルが年間複数回開催されている。その中で近年特に注目されているのが、毎年 11 月 11 日に開催されている「独身の日」である。この「独身の日」は、元々独身を祝うためのイベントであったが、2009 年にアリババが大きな割引キャンペーンを仕掛ける日としてマーケティングを始めたことがきっかけとなり、

30 日本政府観光局(JNTO) https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/marketingdata_outbound.pdf

(2019/12/31 最終アクセス) 31 池上(2019) 32 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)133-134 頁 33 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)122-123 頁

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この日には多くの EC 事業者が売り上げを競い合う大イベントとなっている。アリババは この日を「11」が並ぶことから「双十一」と名付けて商標登録している 34。この大きなイベントを催しているアリババは、EC 事業にとどまることなく、物流事業やリアルショップ、クラウドコンピューティング、金融事業などにも手を広げており、2016 年の流通総額は 57兆円 35を誇る。このイベントは中国国民だけでなく世界中から注目され、双十一セールの流通総額は年々増加し、2018 年には 3,143 億元(約 5兆 1,860億円)36にまで達している。その中で、日本は 3 年連続でアリババ傘下の「天猫(Tmall)」における流通総額第一位を記録している。数多くの日本企業がこのセールに参入しており、日本企業のブランド別流通総額ランキングにおいて 1 位にユニチャームの「Moony」、2 位に「ムーニー」、3 位に「資生堂」37がランクインしている。日本製品の中でも特に、化粧品を中心とした美容関連カテゴリーが人気を集めている。 この経済的効果の大きい「独身の日」のセールは、中国市場を開拓するにあたって重要になる。また世界が注目しているこの場で、売上高を求めるだけでなく、ブランドの認知やリピーター獲得、最新技術を披露する場としても活用していくべきであると考える。

4. 米国の越境 EC 市場について

4-1 越境 EC市場の現状と背景 米国における越境 EC 市場規模は、中国に次ぐ世界第 2 位である。経済産業省 38による

34 同上 129 頁 35 田中(2017)232-233 頁 36 同上 129 頁 37 日経 BP https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00037/00009/ (2019/12/31 最終アクセス) 38 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)105 頁

8,238 9,457 10,810 12,291 13,925

5,6836,524

7,4578,479

9,60613,921

15,98118,267

20,76923,531

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

2018 2019 2020 2021 2022

図表9:米国越境 ECの市場予測

中国

日本

(億円)

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と 2018年米国は越境ECにおいて日本から 8,238億円、中国からは 5,683億円の合計 13,921億円の規模であり、前年比は 15.3%増である。また、日本、中国を相手国とした場合、越境EC 市場規模は年々増加する見込みであり、2018 年から 2022 年まで越境 EC成長率は 1.69倍にまで拡大すると予測されている(図表 9)。

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成

越境 EC ユーザーに関しても中国に次いで多く、3,400 万人 39と推計され、EC 利用者全体のおよそ 30%程度を占めるとされている。このため、海外から商品を購入すること自体にはそれほど抵抗感はないと考えられる。 米国越境 EC市場が拡大している背景には、主に 2 つの要因が挙げられる。

(1) 米国のインターネット人口の増加 中国と同様に米国においても年々インターネット人口は増加傾向にある。世界全体でインターネットユーザー数は 2019年 6月末時点で約 45億人となり、58.8%の普及率となった。地域別における普及率は、アメリカ合衆国を含む北米が一番高く 89.4%40を記録した。近年、市場を牽引しているのはモバイル ECであり、その中でも特にスマートフォン経由の購買が市場規模拡大への原動力となっている。現在 EC 市場全体に占めるモバイル EC の割合は約4 割 41で年々増加傾向にあり、今後も年率 20%以上の高成長を続ける見込みである。 (2) ソーシャルメディアの普及 近年、情報の発信方と受信方の距離感を近いものとするソーシャルメディアの普及により、インターネットを中心に新たな時代が形成されつつある。このソーシャルメディアには、シェア機能による情報拡散力という他のメディアにない大きな特徴がある 42。その中で米国におけるソーシャルメディアの利用率は 7割を超え、6 割である日本と比べると利用率が高いことがわかる。消費者の購買意欲を高めるために、このソーシャルメディアを活用したマーケティングに力を入れて取り組んでいる。一つの事例に、「ある生活用品店舗においてInstagramを活用し、外部ツールの連携やインフルエンサーマーケティングを行った結果 4ヶ月でフォロワー数 300%増を記録し、認知度アップと集客に成功」43がある。このように世界全体で普及しているソーシャルマーケティングをうまく活用し、国境を超えた繋がりが強化していけば更なる越境 ECの可能性が生み出すことができると言える。 上記の他にも米国は英語圏であり、英語はグローバルビジネス・商取引において世界共通語になっている。母国語が英語とは異なる国であっても、英語対応ができる国は数多くあり、販売網は拡大していく。さらに 2018 年のアメリカ人の ECサイト一人当たりの年間平

39 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)100 頁 40 Internet World Stats https://www.internetworldstats.com/stats.htm (2019/12/31 最終アクセス) 41 トランスコスモス株式会社(2019)81 頁 42 林(2018)12 頁 43 海外向け SNS 運用 https://lifepepper.co.jp/abroad/sns-marketing (2019/12/31 最終アクセス)

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均購入金額は世界トップであり、1,952ドル(約 21 万円)44を記録している。この数値は日本と比較すると約 2 倍となり、アメリカ人がいかに EC サイトを活用しているかがわかる。 4-2 越境 E C 利用動向 経済産業省によると米国のインターネット利用者は、3億 2,677 万人 45に上り、総人口のうち 95.6%の利用率となる。国別の越境 EC 利用者数は、中国に次ぐ 3,400 万人であり、実際に消費している国としては米国が 400 億米ドルと一番高い。その裏付けとして、EC利用頻度において「月に 2、3回以上」は 70%46を超え、いかにオンラインショッピングが身近であり、日常的に利用されているかが伺える。アメリカ人消費者の利用者層は、ミレニアム層(2000 年以降に成人を迎える世代)が一番多く、デジタル機器とソーシャルネットワークを自在に操る人々がマーケットの重要な位置を占めている 47。今後も米国市場は、中国に次ぐ市場として拡大していくことが期待される。また、越境 ECにおいてアメリカ人消費者の商品購入先は、中国が約 6割を占めている。米国において中国の ECサイトの認知度や需要は高いことがわかる。米国の越境 EC において人気の商品カテゴリーは、①衣類・アパレル、靴、アクセサリー(61%)、②ジュエリー、腕時計(44%)、③玩具・ホビー(41%)である。その他にも、JETRO48の調査によると日本産食品の購買意欲は 70%を超え、日本のインスタントラーメンや日本産緑茶、日本のチップス等が特に人気が高い。今後、購入意欲の高い食品分野は越境 EC において需要が増していくと考えられる。 4-3 主要 ECサイト

44 トランスコスモス株式会社(2019)24-26 頁 45 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)138 頁 46 同上 140-141 頁 47 JETRO「米国における電子商取引市場調査(2018 年 3 月)」

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/95e21f6518a9912d/20170136.pdf (2019/12/31 最終アクセス)

48 JETRO「米国における EC 利用者実態調査」https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2019/e8dc52f9e67db23b/201906rh.pdf (2019/12/31 最終アクセス)

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米国 EC市場において主要 EC サイトは、Amazon が最も大きなシェアを占め、2018 年には 48%49と半数近くを占めている(図表 10)。

(出所)経済産業省 商務情報政策局情報経済課 (平成 31 年 5 月 )より作成

米国の中で一強とも言えるAmazonの 2018年の売上高は、前年比 30.9%増の 2,328億 8,700万ドル、オンラインストア売上は、同 13.5%増の 1,229 億 8,700 万ドルを記録した 50。また、米国国内のプライム会員数は 1 億人を突破し、会員向けサービスの拡充に取り組んでおり、更なる発展が見込まれる。 米国越境 EC 市場の主要サイトは、eBay、Amazon、Etsy の 3 社が挙げられる。越境販売の利用率は、eBayが 59%と最も高く、次いで Amazon が 38%、Etsyが 26%と続いている。この eBay は、米国内外の消費者間売買のプラットフォームとして人気があり、多くの消費者が国内で手に入らない商品や海外の希有な商品を購入する場として利用されている。また集客戦略の一つとして、SNS を活用し販促キャンペーンを行い、競合 Amazon との差別化を図っている。SNSの中でも主に日本国内でも人気である Instagramや Snapchat を利用したインフルエンサーマーケティングが起用され、大きな効果をもたらしている。 4-4 日本企業例「楽天グローバルマーケット」 日本の越境 E C サイトから米国市場に参入している事例の一つとして「楽天グローバルマーケット」を取り上げる。ここ数年で販売額は、5年前に比べ 7 倍以上に成長し、販売額全体に占める米国の割合は約 10〜15%で、特に円安が進むタイミングで購入額が増える傾向にある。楽天市場において人気のある商品は、日本のスポーツ用品や化粧品、高級バッグなどである 51。現在、料金や配送サービスなどに対する課題はあるが、それらの課題を克服

49 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)139 頁 50 JETRO「米国における電子商取引市場調査(2018 年 3 月)」

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/95e21f6518a9912d/20170136.pdf (2019/12/31 最終アクセス)

51 JETRO「有料会員制プログラムで EC 利用者を増やすアマゾン」https://www.jetro.go.jp/biznews/2017/10/b5f23fa8147eb5f6.html (2019/12/31 最終アクセス)

48%

図表10:米国EC市場における事業者シェア

Amazon主要企業その他

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するために「楽天グローバルエクスプレス」といった代行配送サービスを取り組むなど様々な課題に向き合っている。多くのニーズに対応できるようになれば、海外からの利用者の増進に繋がり、日本製品を求めているアメリカ人消費者を囲い込む事ができると考える。

5. ロシアの越境 EC 市場について

5-1 越境 EC市場の現状と背景 ロシアの EC 市場規模は、約 1兆 8000 億円 52であり、その内の約 3分の 1 を越境 ECが占めている。ロシアの EC市場は、他のヨーロッパ諸国と比べるとやや遅れをとっているものの年々増加傾向にあり、今後 5 年間で 170%53の成長が見込まれている。しかし現状ロシア国内では、様々な製品が見つけられない、入手できないといった状況も多々ある。これを理由に、越境 ECを積極的に活用する傾向が強く、EC 全体に占める割合も 36%と高くなっている(図表 11)。これは、世界で 4番目に大きい市場規模である 54。富裕層のロシア国民にとって、日本の製品は高い信頼を誇るが、その一方で流通しているブランドはまだ少なく、現状は中国製品が圧倒的に多く購入されている。

(出所)itsumo.(株式会社いつも)より作成 ロシア越境 EC 市場が拡大している背景には、主に 2つの要因が挙げられる。

(1) インターネットユーザー数の増加 ロシアの総人口 1 億 4,340 万人(2016)のうち 72%にあたる 1 億 310 万人がインターネットを利用している。ロシアのインターネット普及率は、2007 年 24.7%から 2016 年には

52 itsumo. https://itsumo365.co.jp/service/global/russia-ec.html (2019/12/31 最終アクセス) 53 eccLab「ロシア e コマース、今後 5 年間で 170%の成長見込み」

https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/55755 (2019/12/31 最終アクセス) 54 FNN PRIME https://www.fnn.jp/posts/000000033_000012573 (2019/12/31 最終アクセス)

71% 71% 67% 64%

29% 29%33%

36%12,264 13,07215,824

17,888

0

5,000

10,000

15,000

20,000

2014 2015 2016 2017

図表11:ロシアEC市場規模

国内EC 越境EC

(億円)

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76.4%55にまで上昇し、インターネットユーザー数は 1億人を超えている。インターネット人口の増加に伴い、インターネットショッピングの利用者数においても 2013 年の 2400 万人から 2016 年には 5000 万人と 2 倍にまで増加している。現在ロシアでは、インターネットショッピングにおける決済方法として、現金志向からキャッシュレス化の動きが高まっており、この環境が確立していけば更なる利用者増が見込まれると考える。 (2)消費金額の増加 経済産業省 56によると、インターネットの普及に伴い、ロシア人消費者の年間のインターネットショッピングにおける平均購入額は年々上昇している。2015 年には 595 ドル(約 6万 5,450 円)から 2016 年には 655 ドル(約 7 万 2,050 円)に拡大した。2016 年以降もモバイルの普及やソーシャルメディアの普及などによりインターネットを利用する人は増え続け、オンライインでの消費額も更に拡大していくと考えられる。 その他にも、ロシアの大手ネット事業者の Yandex とスベルバンクの共同で設立された「Yandex.Market」が越境 EC 事業を始めるなど、越境 EC サービスが拡充し、注目度が高くなっている。このように世界的に見ても越境 EC の市場規模の大きいロシアは、今後も引き続き拡大していく余地があり、成長が見込まれる。 5-2 越境 E C 利用動向 経済産業省 57によると、ロシアのインターネットショッピングにおける男女比率は、ほぼ半々である。モバイルによるインターネットショッピング利用者は、女性が 6 割を占めている。利用頻度としては、毎月利用する人が 37.5%、月に 2〜3 回利用する人は 29.1%、毎週利用する人は 13,4%となっている。年に数回だけの利用者の割合が低いことから、ロシア人消費者は、定期的にインターネットショッピングを利用し、商品購入に至っていることがわかる。また、ロシアにおける越境 EC 利用者は、年々増加し、売上の 80%が中国からの製品である。ロシアの越境 ECにおいて人気の商品カテゴリーは、①衣類・靴・アクセサリー(36%)、②電子機器・家電(33%)、③オートパーツ(7%)である。 次に、日本商品を購入するロシア人消費者についてである。インターネットショッピングユーザーの 80%が女性であり、その中でも 23〜35 歳の美容や健康などに興味がある女性が大半を占めている。その他にも、ロシアでは日本の包丁や釣り用品、スポーツ用品などが人気を集めている 58。ロシア人消費者にとって日本製品は信頼性が強く、評価は高いがまだまだ流通量は少ないのが現状である。しかし、2018 年 5 月 25 日に日ロ郵便の協力により

55 経済産業省委託事業「ロシア・中南米地域における インターネット上の模倣品対策に関する調査」 56 経済産業省委託事業「ロシア・中南米地域における インターネット上の模倣品対策に関する調査」 57 同上 58 YAHOO!ニュース「露向け越境 EC サービス情報&最新の市場動向まとめ」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190917-00000001-netshop-sci&p=2(2019/12/31 最終アクセス)

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日本製品の販売に向けた越境 ECサイトが立ち上げられ 59、今後更なるサービス拡大が見込まれており、日本製品の流通量はより高まっていくと言える。 5-3 主要 ECサイト ロシアには、まだ支配的な EC サイトがない最後の主要新興市場である。そんなロシアにおける代表的な EC モールは次のようなものがある。 ・Ozon:ロシア国内最大手の EC サイトであり、書籍から電気製品まで幅広いジャンルの

製品が取り扱われており、ロシア版アマゾンとも呼ばれている。 ・Ulmart:販売総額は 1,000 億円を超え、家電製品を中心に様々なカテゴリーの商品を取

り扱っており、現在、宅配サービスの拡大に力を入れている。 ・Citilink:電気製品に特化した EC サイトであり、1日 30万人以上が訪問している。 ・Wildberries:1,000 を超えるブランド、10 万点の品と 250 万人以上のユーザーを抱えて

いる、ロシアのアパレル際大手の ECサイトである。 日本製品の信頼が厚い中で、日本企業がロシアの EC モールに進出することは容易なことではなく、現地ローカルの物流会社を利用することが一般的になっていた。そんな中で、日露郵便協力により日本製品の販売に向けた越境 EC サイト「kupijapan」が立ち上げられ、ロシアにおける日本製品の流通量拡大が期待される。次に、この「kupijapan」について説明していく。 5-4 ロシア向け越境 ECサイト「kupijapan」 「kupijapan」は、「株式会社いつも.」とロシア郵便によって立ち上げられた越境 EC サイトである。これは、2108 年 5月 25 日にロシア郵便と日本郵便によって締結され、2109 年11 月 29日に実際に販売が開始された。この設立の背景には、ロシア国内のオンラインショップにおいて、高品質として認知されている日本製品の需要が高まっていることにある 60。「株式会社いつも.」61は、「日本の未来を EC でつくる」をスローガンとし、越境 EC を積極的に支援し、このロシア市場に広告費や固定費なしで、様々な情報を提供し、最小リスクで日本製品を掲載、販売するサービスを展開している。サービスの特徴は、第一に「0円から越境 EC での販売が可能」、第二に「商品はいつも.の日本の倉庫に送るだけ」の 2 つである 62。日本企業は、予算など考えずに、商品を用意するだけで販売が可能であり、「株式会社いつも.」が様々な手続きやロシアへの配送まで代行する(図表 12)。今後は、ロシア人消費者のニーズを分析した上で、商品ジャンル、掲載商品数を増やしていき、日本のシェア拡

59 JETRO「「株式会社いつも.」とロシア郵便、日本製品販売に向けたロシア向け越境 EC サイトを立ち上げ」https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/1810c06090f18576.html(2019/12/31 最終アクセス)

60 JETRO「「株式会社いつも.」とロシア郵便、日本製品販売に向けたロシア向け越境 EC サイトを立ち上げ」https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/1810c06090f18576.html(2019/12/31 最終アクセス)

61 itsumo. https://itsumo365.co.jp/service/global/russia-ec.html (2019/12/31 最終アクセス) 62 同上

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大を目指している。このような支援サービスは、国境を越えて販売する越境 EC を展開し成功させるための一プロセスである。このサイトが立ち上げられたことにより、日本製品、そして日本ブランドがロシア中に拡散され、需要は高まり、日本企業の越境 EC の可能性は大きくなっていくと考える。

図表 12:ロシア越境スキーム図

(出所)itsumo.(株式会社いつも)

6. 越境 EC における課題

越境 EC は、世界全体でも、日本でも市場規模は年々拡大し続けているが、その一方で課題は多々ある。国内 ECとは異なり、国をまたいでいるため国によって様々な違いが存在する。そのため、容易に参入はできず、不安や不満を抱いている国、企業も少なくない。この越境 ECが成長、拡大していくためには、しっかりと課題を把握し、対応していくことが必要となる。本章では、日本企業において越境 ECを展開していくにあたり、現在直面している課題を経済産業省 63のデータを参考に説明していく。 (1) ビジネス戦略 ビジネス戦略における主な課題は、言語対応や情報不足、価格戦略などがある。国によって言語は異なるため、販売国に合わせた言語対応化が必要となる。サービスを展開するにあたり、翻訳やお客様対応などのサポート面の強化は必須なことである。また、多くの国、企業が存在する中で競争していくためには、市場の情報や事情を把握しておく必要がある。為替変動リスクを考慮できているか、現地に即した価格で販売できているかなど、その国の情

63 経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31 年 5 月)134-136 頁

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報やデータから様々な戦略を立てていく必要がある。 (2) 法律・制度 国境をまたぐ取引になるため、日本とは異なる法律や規則が存在してくる。そのため、事前に販売国の法律、規則を調べると共に、販売国の文化や慣習の日本との相違を理解し、対応する必要がある。また、顧客に被害があったときどう対処していくかなど、しっかりと対策しなければ、大事件を招きかねない。 (3) 物流 越境 ECでは、商品を海外に発送するため国内 E C と違ってコストがかかる。その輸送コストをいかに抑えて、顧客の満足度を上げられるかが重要になる。中国では最低コストで輸送するためにいくつかの輸送ルートがあり、使い分けている。また、配送においていかに早く、商品の品質を維持し、顧客に届けられるかも課題である。最適な在庫数、最適な配送ルートを見極め、低コストで対応してくべきである。 (4) 税関 国によって輸入可能な物と不可能な物がある。そのため、販売国の輸入禁止の商品を把握する必要がある。また、「アンダーバリュー」などの要請、いわゆる不正に対応し、法に従ったビジネスを展開できるよう対策を練らなければならない。 (5) 決済 決済方法にはクレジットカードやデビットカード、現金など様々な方法がある。そのため国によって決済手段は異なる。中国では「Alipay」や「銀聯カード」、米国では「PayPal」等が主流である。そのため多くの国の消費者に対応するためには、幅広い決済手段を用意しなければならない。また、クレジットカードの不正利用が起きないよう、安全な決済手段を確保する必要がある。 このように、越境 ECには魅力的なメリット、将来性がある中で様々なハードルも存在する。越境 EC市場規模が拡大し、進出企業が増加していく中で、これらの課題に背くことはできない。これらの課題を一つ一つクリアし、国同士の繋がりが強化していけば、越境 ECのビジネスの幅は広がっていくと考える。

7. おわりに

本稿では、インターネットの進展と共に EC 業界で注目されている「越境 EC」について深く検討し、日本企業の越境 EC を展開するために重要なことを明らかにするために、世界で一番大きい市場を誇る中国と EC サイトにおける一人当たりの消費金額が一番高い米国と支配的な ECサイトがない最後の新興市場で越境 EC の利用割合が高いロシアに注目し、日本企業のビジネスの可能性を考察してきた。結論としては、国によって求める商品のニーズや決済方法、消費金額などが異なるため、販売国のマーケット情報やニーズをしっかり理解し対応していくことが日本企業にとって重要であると結論付けた。日本は、これから少子高

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齢化が進み、人口は減少し、それに伴い消費は低下していく恐れがある。そのため、この海外市場を取り込む「越境 EC」というビジネスは、需要なビジネスとなっていくと考えられる。一時期、中国人の「爆買い」が日本の小売業界に大きな影響を及ばした。このインバウンド効果は、越境 EC においても大きな影響を及ぼし、インバウンドの増加と連動する形で越境 EC の利用も増加している。2020 年には東京オリンピック、パラリンピック、さらに2025 年には大阪万博が開催され、多くの外国人が日本を訪れることになる。このオリンピックによるインバウンドで、帰国後の日本商品のリピート購入は日本企業にとって大きな一つの機会となる。また今回、中国、米国、ロシアについて説明してきたが、比較してみると三ヶ国だけでも様々な違いがあり、展開していくためにはその国に合わせた対応が必要であることがわかった。しかし、そこにはあらゆる課題が存在し、その課題に目を背けず取り組むことが必要になる。日本企業が越境 EC を展開していくにあたり、中国市場は無視できない存在であると考える。市場規模は拡大を続け、高品質で安全な日本製品を求めている中国人消費者は多くなっている。また、中国の二大プラットフォームにおける日本商品の売り上げシェアは高く、独身の日のセールでは日本が売上高 1 位を獲得している。中国との越境 ECは、インバウンド需要より大きな市場であり越境 ECインフラが整っており、特に注目すべき市場であると言える。 世界規模で拡大を続ける「越境 EC」は、インターネットの普及や IT サービスの進化などにより今後も注目されるビジネスの一つである。多くのハードルが存在しているのは事実だが、それ以上に得られるものも大きい。日本企業が越境 EC市場において成功、拡大していくためには「どの国で、そんな商品で勝負するか」は一つの鍵となってくる。そのために、各国々のニーズを捉え、展開していくことが重要となる。

参考文献 (日本語文献) ・池上重輔(2019)『インバウンド・ビジネス戦略』日本経済新聞出版社 ・木戸良彦(2017)『超日本製品論 SUPER JAPAN PRODUCT これから来るスーパージャ

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パン時代の基礎データ&マーケティング入門』日経 BP社 ・佐藤亘(2017)『越境 EC&海外販売攻略ガイドブック』株式会社技術評論社 ・田中道昭(2017)『アマゾンが描く 2022 年の世界 すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」』PHP研究所

・トランスコスモス株式会社(2019)『海外 EC ハンドブック 2019』株式会社インプレス ・中原圭介(2018)『AI×人口減少 これから日本で何が起こるのか』東洋経済新報社

・林雅之(2018)『デジタル時代の基礎知識 SNS マーケティング「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール』翔泳社

(参考URL) ・E-Commerce Magazine「越境 EC とは?インバウンドを上回る越境 EC のメリットと可能性」https://www.future-shop.jp/magazine/ec_cross_border (2019/12/02 最終アクセス)

・eccLab「ロシア eコマース、今後 5年間で 170%の成長見込み」 https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/55755 (2019/12/31 最終アクセス) ・伊田昌弘・多田和美「越境 EC と中国人消費者-中小企業連携による新しい国際ビジネス」

http://www.ibi-japan.co.jp/jaibs/html/convention/2017meiji-unv/dwnld/2017_meiji_B_3.pdf (2019/12.02最終アクセス)

・itsumo.HP https://itsumo365.co.jp/service/global/russia-ec.html (2019/12/31 最終アクセス)

・Internet World Stats https://www.internetworldstats.com/stats.htm (2019/12/31 最終アクセス)

・S-POOL logistics「拡大し続ける越境 EC とは?越境 EC導入事例までわかりやすく紹介」https://www.spool.co.jp/service/logi/overseas/ekkyouec.html (2019/1211 最終アクセス)

・FNNPRIME「「世界の越境 EC市場」に関するデータを新たに発表」 https://www.fnn.jp/posts/000000033_000012573 (2019/12/31 最終アクセス) ・海外向け SNS 運用 https://lifepepper.co.jp/abroad/sns-marketing (2019/12/31最終アクセス) ・観光庁観光地域振興部 観光資源課(平成 30年 12月 12 日)「観光庁資料(次世代ヘルスケア産業協議会第 10 回新事業創出WG)」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jisedai_health/shin_jigyo/pdf/010_09_00.pdf (2019/12/10 最終アクセス)

・観光庁「訪日外国人消費動向調査」http://www.mlit.go.jp/common/001283138.pdf (2019/12/10最終アクセス) ・CLARA ONLINE「第 43 回中国インターネット発展状況統計(抜粋・参考訳)」 https://www.clara.jp/wp-

content/uploads/2019/03/20190311_CNNIC2018.12_claraonline.pdf (2019/12/13最終

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アクセス) ・経済産業省委託事業「ロシア・中南米地域におけるインターネット上の模倣品対策に関する調査(2018 年 3 月)」

https://www.meti.go.jp/policy/ipr/reports/pdf/k_russia_tyunanbei_set.pdf (2019/12/31最終アクセス)

・経済産業省 商務情報政策局情報経済課(平成 31年 5月)「平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)」 https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002-1.pdf (2020/01/10最終アクセス)

・JETRO「「株式会社いつも.」とロシア郵便、日本製品販売に向けたロシア向け越境 ECサイトを立ち上げ」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/1810c06090f18576.html (2019/12/31 最終アクセス)

・JETRO「米国における EC 利用者実態調査」 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2019/e8dc52f9e67db23b/201906rh.pdf (2019/12/31最終アクセス)

・JETRO「米国における電子商取引市場調査(2018 年 3月)」 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/95e21f6518a9912d/20170136.pdf (2019/12/31 最終アクセス) ・JETRO「有料会員制プログラムで EC 利用者を増やすアマゾンー楽天は越境サイトを通じ販売を 7 倍以上に」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2017/10/b5f23fa8147eb5f6.html (2019/12/31 最終アクセス)

・テクノクリエイト「中国越境 EC の現状と将来展望」 http://www.techno--create.co.jp/monthly_report/pdf/170613month_vol23.pdf (2019/12/31 最終アクセス) ・日経 BP「アリババ「独身の日」セールを分析、資生堂が売上高を前年比 3 倍」 https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00037/00009/ (2019/12/31最終アクセス) ・日本銀行「東京外為市場における取引状況(2018 年中)」

https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/ex2018.pdf(2019/12/05 最終アクセス)

・日本製作観光局(JNTO)「年別訪日客数、出国日本人数の推移」 https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/marketingdata_outbound.pdf (2019/12/31 最終アクセス)

・Bai du 百度 JAPAN HP https://www.baidu.jp/info/538/ (2019/12/13 最終アクセス) ・発注ラウンジ「越境 ECとは?市場規模の拡大で流目されるメリットと越境 ECの始め方」

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https://hnavi.co.jp/knowledge/blog/cross_border_ecommerce/ (2019/12/11 最終アクセス)

・原田良雄「越境 eコマースの現状と展望―EC 事業者の中国市場への取り組みー」 https://journal.osaka-sandai.ac.jp/pdf/2013.12001-026.pdf (2019/12/31最終アクセス) ・Bloomberg「中国産への不信消えず、粉ミルク不祥事から 10 年―外国勢に商機も」 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLPNST6K50XT01 (2019/12/20最終アクセス) ・YAHOO!ニュース「ロシアの EC 市場はどんな状況?露向け越境 ECサービス情報&最新の市場動向まとめ」 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190917-00000001-netshop-sci&p=2 (2019/12/31最終アクセス)