包括外部監査結果に基づく措置等の状況の公表 - wakayama...和行経第30号...

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包括外部監査結果に基づく措置等の状況の公表 令和2年9月2日 和歌山市監査委員

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Page 1: 包括外部監査結果に基づく措置等の状況の公表 - Wakayama...和行経第30号 令和2年 8月19日 (2020年) 和歌山市監査委員 様 和歌山市長 尾 花

包括外部監査結果に基づく措置等の状況の公表

令和2年9月2日

和歌山市監査委員

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和 行 経 第 3 0 号

令和2年 8月19日

(2020年)

和歌山市監査委員 様

和歌山市長 尾 花 正 啓

包括外部監査結果に基づく措置等の通知について

包括外部監査の結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として講じた措置等について、

地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の38第6項の規定により、別紙のと

おり通知します。

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

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包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

1 市全体の公共施設マネジメントに対する結果及び意見

(3) 個別施設計画の実効性を担保するための取組に関する事項

イ 公共施設等総合管理計画の改訂を見据えた検討について

 改訂指針の中で、「総合管理計画は、策定・改訂の検討時点において把握可能な公共施設等の状態(建設年度、利用状況、耐震化の状況、点検・診断の結果等)や取組状況(点検・診断、維持管理・更新等の履歴等)を整理し策定されたいこと。また、総合管理計画の内容については、策定後も、総合管理計画及び個別施設計画の策定に伴い実施する点検・診断や個別施設計画に記載した対策の内容等を反映させるなど、不断の見直しを実施し順次充実させていくことが適当であること」と記載されている。 平成30年4月23日に総務省が開催した、「公共施設等総合管理計画の更なる推進に向けた説明会」で配布された資料においてPDCAサイクルのイメージ図が示されており、個別施設計画に基づく対策効果を反映した経費見込みや対策による効果額も含め、平成33年度までに公共施設等総合管理計画を改訂することが求められている。 個別施設計画に基づく対策効果を反映した経費見込みや対策による効果額については、経費だけでなく財源見込みも記載することとなっている。 当然のことながら、公共施設等総合管理計画の改訂は個別施設計画に基づいて行うため、個別施設計画策定の段階で、経費だけでなく財源まで見込んでおくことが望まれる。その上で、財政見通しに組込んで、投資計画と財政計画のすり合わせを行っていくことが有効である。

 和歌山市公共施設マネジメント基本方針改訂の際には、総務省からの指針の改定及び説明会資料に沿った内容に改訂します。

財政局財政部管財課

(4) 個別施設計画の策定体制に関する事項

ア 公共施設マネジメント専門部署の設置について

 基本方針は管財課内に平成26年4月1日に設置された資産経営推進班(班長以下班員2名)が中心となって策定された。策定後、資産経営推進班は解散しており、現在は財産管理活用班が「公有財産の管理及び活用の総括に関すること」、「市有施設の老朽化対策及び未利用地対策の推進に関すること」といった事務を担っている。 しかし、財産管理活用班にはこれらの他に13の事務があり、主務者、補助者ともに複数の事務を兼務している状況である。他課が所管している公共施設に関する既存計画の内容や新たな計画等の検討状況は十分に熟知しておらず、今後の公共施設の在り方検討を中心となって推進していく体制にないとのことである。そのため、公共施設の状況は、固定資産の異動報告等で事後的に把握しているのみといった状況である。 公共施設マネジメントは財政局の重点施策として位置付けられているが、現在の状況を踏まえると、個別施設計画策定の進捗を管理し、計画間の調整を行っていくには体制が不十分であるため、専任組織を設置することを検討されたい。また、先に述べたとおり、今後は公共施設マネジメントと財政運営は一体的に行い実効性を高めていくことが重要であるため、財政的な観点を持って取組を推進していくことが可能な組織体制とすることが望まれる。

 財政運営の観点を持った実効性の高い公共施設マネジメントに取り組むことができるよう、適切な人員配置を含め、効率的な組織体制の構築に向けた検討を進めます。

総務局企画部行政経営課

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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イ 公有財産利活用等検討委員会の役割について

 公有財産利活用等検討委員会は主に普通財産の利活用の検討の場であり、公共施設マネジメントを主導していく役割は果たしていない。当委員会が、個別施設計画の策定の拠り所となる方針の協議・決定の場となり、公共施設マネジメントを主導していく役割を果たしていくことが望ましい。

 施設管理担当課が個別施設計画の策定を進める過程で公有財産利活用等検討委員会が計画策定の議論の場となるように、委員会事務局である管財課が体制作りを整えていきたいと考えています。 また、個別施設計画だけでなく公共施設マネジメント推進に寄与する委員会にしていきたいと考えています。

財政局財政部管財課

(5) 施設規模適正化の数値目標に関する事項について

ア 保有面積の縮減目標の明確化について

 公共施設等総合管理計画の策定・改訂にあたっては、計画の実効性を確保するため、計画期間における公共施設等の数・延べ床面積等に関する目標やトータルコストの縮減・平準化に関する目標などについて、できるかぎり数値目標を設定するなど、目標の定量化に努めることとされている。定量的な目標は、計画期間内で定めたPDCAサイクルの期間ごとに、設定した数値目標に照らして取組を評価し、総合管理計画の改訂につなげていくなど、PDCAサイクルの確立に必要なためである。 基本方針には、「本市は今後30年間で保有面積を19.9%縮減すれば、財政的に持続可能であると推計されます」と記載されているが、この推計結果を「念頭に」公共施設マネジメントを進めていくとの曖昧な記載にとどまっており、縮減目標として明確に謳っているわけではない。 もちろん、この推計は極めて簡易な方法により行われているため、その方法で算出した19.9%という数値が独り歩きすることも適切ではない。そのため、財政との整合性を持った目標として明確化することが望ましい。

 30年間で保有面積19.9%縮減を数値目標としているが、基本方針の策定後に更新された施設が一部あり、財政状況も変動しています。基本方針見直しの際には基礎データを精査し、財政との整合性を考慮した明確な目標を定めます。

財政局財政部管財課

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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イ 施設類型別の縮減目標の明確化について

 個別施設計画を策定するためには、施設類型別の縮減目標を明確化する必要がある。しかし個々の施設類型だけを見ていては公共施設全体の縮減目標をどのように施設類型別に配分していけばよいのか検討することは難しいと言える。地域別やまちづくりといった広い視野を持たなければ、何をどれだけ縮減できる可能性があるのかが見えづらいためである。 複合化による縮減を例に取れば、これは地域別の視点で親和性のある施設同士の老朽化状況等を検討することによって初めて見出せる可能性があり、民間施設の活用による縮減を例に取れば、これは官民の枠を越えて検討することによって初めて現れる選択肢である。 施設類型別の縮減目標を明確化するにあたっては、全庁体制で検討を行うことが必要となる。現状の個別施設計画策定プロセスの見直しも検討し、個別施設計画の指針となる再配置方針等を策定し、その中で公共施設全体の縮減目標を施設類型別に配分していくのが望ましい。

 施設類型別の縮減目標については、公共施設マネジメント基本方針の改定の際に実施していきます。

財政局財政部管財課

ウ 縮減目標のアップデートについて

 縮減率19.9%という数値はあくまで策定時のものであり、固定的なものではない。したがって、目標算出の前提が大きく変化した際には見直すべきであり、平成33年度の基本方針の改訂時がひとつの目安となるが、改訂が個別施設計画をベースとすることを踏まえると、個別施設計画策定の前段階で、目標の妥当性を検討することが望ましい。

 縮減率19.9%は30年後の目標値であり、各々の個別計画では個々の数値が設定されてくると考えています。これらを踏まえ全計画を精査し令和3年度の基本方針の改定の際に見直しを実施します。

財政局財政部管財課

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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(6) その他の事項

エ 施設評価に用いる稼働率について

 施設評価にあたって施設利用度を考慮すべき施設については、施設評価に際して本来必要な「施設がどの程度利用されているか」を示していない「施設管理システム」の稼働率を用いることは適切とはいえず、今後の施設管理に求められる意思決定に使用することが困難な指標であると考えられていることから、各施設管理担当課において把握している稼働率データを用いるべきである。

 施設利用度を考慮すべき施設の再構築や複合化などを検討するときは、各施設管理担当課において把握している稼働率データの提示を得て検討を進めます。

財政局財政部管財課

オ ネーミングライツの活用について

 指定管理者制度導入施設については募集要項においてネーミングライツに関する提案を求める等の工夫をすることも検討されたい。

 公有財産利活用等検討委員会において平成30年度にネーミングライツの専門部会の設置の承認を得て、関係課と共にネーミングライツ導入の検討を行い、公用車と歩道橋について広告掲載事業を実施することになりました。公用車広告については管財課が平成31年4月に募集し6月に実施しました。歩道橋については令和2年度中に道路管理課が実施の予定です。コミュニティセンターなどの建築物については、ヒアリングにおいて興味を示す事業者がいませんでしたが、引き続き導入に向けて手法を検討していきます。

財政局財政部管財課

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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5 市民文化系施設

(2) 施設の所管と管理運営の不整合について

 和歌山市南出島地区集会所、和歌山市北出島・有家西集会所、和歌山市新中島地区集会所及び和歌山市有家地区集会所の各集会所施設の所管と管理運営については、平成22年度の定期監査による指摘から8年が経過しているにも関わらず、建設された経緯と今後の建替えを含めた老朽化対策を考慮し、建設した保険総務課と、管理している自治振興課との間で現在も解消に至っていない。 現在、上記施設は、自治振興課所管の和歌山市地区会館条例(昭和48年条例第24号)に既に登載されている施設であり、地区住民の福祉の向上を図るための公の施設である。集会所は地区住民の自治振興に寄与するための施設であり、現在、自治振興課が地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項から第11項に規定する「指定管理者」を地元自治会に対し導入しており、事実上の運営・管理は全て自治振興課で事務手続きが実施されている。 同様の施設は保険総務課の所管するものを含め合計9施設存在しており、それぞれの建設された経緯と、地区住民が建設する本来の集会所施設の在り方を踏まえ、今後課題となる施設の老朽化に伴う大規模修繕や、建替え費用の負担について、和歌山市事務分掌条例(昭和51年条例第1号)及び和歌山市行政組織規則(平成15年規則第13号)といった各規程との整合性を図りつつ早急に市としての方向性を決定し、現在の所管と管理運営の状況の不整合について解消することが望まれる。

 それぞれの施設の現在の所管と管理運営の状況の不整合については、施設が建設された経緯と、地区住民が建設する本来の集会所施設の在り方や、各規程との整合性を踏まえながら、解消に向けて調整します。

総務局企画部行政経営課

市民環境局市民部自治振興課

健康局保険医療部保険総務課

6 社会教育系施設

(1) 博物館における指定管理者制度の活用について

 これまで集客への取組が不足していたことが、大幅に赤字が生じている原因とのことである。今後施設を維持するにあたり、学芸的なものについては市が管理し、ハコモノの管理については委託業者に委託する等、指定管理者制度の利用等民間の力を活用して収支の改善を図るべきである。

 令和元年度から引き続き、市民により親しまれる博物館づくりを目指すべく、今後の取り組み、施設の機能のほか、管理運営の在り方、来館者増への方策などを博物館の「基本計画」として策定中です。それに基づいて、民間ノウハウの活用や収支改善の方法について検討したいと考えています。

産業交流局文化スポーツ部文化振興課(博物館)

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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7 スポーツ・レクリエーション系施設

(1) スポーツ・レクリエーション系施設の指定管理について

 現状、体育館を管理している所管課はスポーツ振興課と公園緑地課に分かれている。体育館という機能に着目して包括的に指定管理者への委託を実施していくことが望まれる。また、施設機能の観点から一定の方針を示すことができるため、担当課の枠組に限らない一体的な個別施設計画の策定が有効と考えられる。

 包括的な指定管理者への委託について、現在は同一の指定管理者による管理が行われているため、結果として包括的な運営が実現できております。包括的な委託についても、指定管理の公募時期が異なる等の課題がありますが、今後も検討を続けていきます。また公園緑地課が所管する東公園体育館に関しては、公園の長寿命化計画を策定した際に、併せて体育館の個別施設計画も策定しているため、他の体育館と一体的に個別施設計画を策定することは出来ませんが、他の体育館の計画策定の際には、内容を踏襲するなど方針を揃えるように努めます。

産業交流局文化スポーツ部スポーツ振興課

都市建設局都市計画部公園緑地課

10 産業系施設

(1) 善明寺大型共同作業場について

 稼動していない期間が長ければ、より一層建物の老朽化も進んでいくことから、協力企業を見つけて施設の利用ができるように運営委員会に促すこと、施設の利用目的の変更等、地域住民の利用を見据えた検討を行うことが望まれる。ただし、効果的な利用が見込めなければ廃止という選択肢を検討することも考えられる。

 地域の状況を踏まえ、協力企業の誘致や施設の有効活用を運営委員会と協議・検討していきます。

産業交流局産業部商工振興課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

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包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

1 水道事業及び工業用水道事業全体に対する意見

(1) 水道事業及び工業用水道事業の持続可能な経営の実現について

ア 持続可能な経営を支える会計データについて

 平成26年度改正によって、地方公営企業会計がより民間の企業会計基準に近い形になったとされ、他の地方公営企業や民間企業との比較や適切な経営成績及び財政状態の開示が可能になったとされる。より適切な開示がされるようになった決算書において、持続可能な経営に向けて課題になると考えられる点が、資本的支出の増大である。 地方公営企業会計は企業会計と官庁会計の調整のため、損益計算書、貸借対照表の他、収益的収支と資本的収支を示した決算書を作成することになる。収益的収支は損益計算書項目とほぼ同一であり、資本的収支は貸借対照表の主な項目、例えば固定資産や企業債の増減を示す項目が開示されることになる。そこで資本的支出の内容を確認すると、今回の監査では「固定資産の取得価額の計上内容について①、②」に記載のとおり、撤去費と思われる項目が資本的支出に計上されていたり、平成26年度改正によって収益的支出とされたものが、相変わらず資本的支出となっているものが認められた。 これらの費用を区分するのは会計処理として煩雑であり、かつ、収益的支出、すなわち損益計算書の費用に計上すると損益赤字に陥る可能性があるとの意見が市から出されたが、それこそが水道事業及び工業用水道事業の適切な経営成績及び財政状態であり、市が明らかにすべき数値である。また、資本的支出に計上した当該年度は赤字を回避できたかもしれないが、資本的支出への計上はいわゆる経費の繰り延べにしかならず、翌年度以降減価償却費として結局は費用に計上していくことになるから、このような処理を継続していくと、費用が雪だるま式に膨らんでいき、結局は将来世代に負担をかけていくことになる。

 会計規程及び経理の手引きにおいて、固定資産の取得価額は、「直接要した価額及び附帯費」となっており、また、新設工事を行うために必要な撤去費については起債対象にもなることから、新設のために必要な撤去費は附帯費に含まれると考えることができるという認識で会計処理を行っています。 今後は、今回の意見を踏まえ、撤去費について取得原価を構成するものと、固定資産の取得価額に含まれない撤去費を、予算編成及び執行時に精査するようにします。

企業局経営管理部経理課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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イ 持続可能な経営を実現していくための経営戦略について

 すべての地方公営企業は令和2年度までに経営戦略を策定することが求められており、市は平成30年度、水道事業及び工業用水道事業の経営戦略を策定した。しかし、現在の経営戦略では将来投資額が不足しており、持続可能な経営に向けて不安の残る状態となっている。また、現在の財政シミュレーションでは一時的に企業債残高が減少していくが、後半にかけて更新投資が増えていくため、計画期間末においては平成30年度と比べて企業債残高が増加する結果となっている。 従来、企業債の発行は当該社会資本を使用することが見込まれる将来世代にもその整備に関する費用を負担させるという意義があったが、人口減少社会においては当該社会資本を使用する将来世代が減少するため、世代間負担の公平性の観点から企業債の発行を抑制していく必要があるという考え方がある。また、企業会計では将来世代の負担は企業債の償還ではなく、減価償却費という形で表されることになる。企業債を財源に投資を続けていけば、更新投資のための資金は留保されず、更新投資の時期には再度企業債を発行せざるを得ず、企業債がさらに増加してしまうおそれがある。 持続可能な水道事業及び工業用水道事業の経営を行っていくには、企業債に過度に依存した取替・更新投資から自己資金を活用した取替・更新投資へ転換することで、将来世代の負担を織り込んだ事業経営から将来世代にレガシーを残す事業経営を目指していくことも考えられる。

 装置産業である水道事業は、浄水場、配水池、管路などの設備投資に多額の資金が必要となるため、その「投資試算」(施設・設備に関する投資の見通しを試算した計画)と「財源試算」(財源の見通しを試算した計画)を均衡させることが、持続可能な水道事業を実現するうえで、非常に重要になります。 将来世代への過度な負担を残さないためにも、徹底した事業の効率化に取り組み、事業運営にかかる経常的なコストの削減を進めることで「経営基盤の強化」を図るとともに、水需要に見合った水道施設や管路のダウンサイジングなど「投資の合理化」を進めることが必要と考えています。 この投資財源について、企業債残高の抑制に配意していきます。

企業局経営管理部経理課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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(2) 固定資産の減損会計について

2 地方公営企業会計

企業局経営管理部経理課

 減損会計は平成26年の地方公営企業会計制度の改正により新たに規定された会計処理である。減損会計適用の検討には、①固定資産のグループ化、②減損の兆候の判定、③減損損失の認識の判定、④減損損失の測定の4つのステップを踏んでいく必要がある。減損会計の検討は地方公営企業法施行規則第8条第3項第3号の規定に基づき毎期行うこととされている。 市は地方公営企業会計基準の改正以降、減損の兆候を認識しておらず、減損損失も計上していない。これは、減損損失を検討する上で最初のステップである固定資産のグループ化を行う際、遊休資産については個別の資産ごとにグループ化することとなっているところ、重要性が乏しいと判断した遊休資産については個別の資産ごとにグループ化せず、結果的に各会計ともに一の資産グループとした上で減損の兆候の判定を行っているためである。 しかし、市における重要性の基準は、市が減損会計の適用を判断するにあたって示された資料には明記されておらず、市の説明によれば、資産総額における1%で重要性を判断したとのことではあるが、一定の割合のみで判断するのではなく、損益に及ぼす影響等も考慮して総合的に検討すべきである。 なお、将来の利用が具体的に見込まれていない市の保有する遊休固定資産については、個別資産ごとにグループ化する可能性がある。減損の兆候の判定については事業活動でのキャッシュの獲得がなく、将来的な利用計画も見込まれていないことから「使用範囲又は使用方法について回収可能価額を著しく低下させる変化」に該当し、減損の兆候があると判定され、減損の兆候が認められた固定資産については減損の兆候に関する注記を記載することが望まれる。 次に、キャッシュの獲得が売却でしか見込まれないことから、割引前将来キャッシュ・フローが時価で評価され、時価が帳簿価額より下回ることとなる遊休土地については、減損損失を認識し、減損損失の計上が必要になる可能性がある。市の提出資料から監査人が試算すると、約25百万円の減損損失が発生すると算出された。 市は重要性の基準について一義的な割合のみで判断するのではなく、財務諸表利用者の視点に立ち総合的な見地で重要性の基準を設定する必要がある。約25百万円の減損損失は平成30年度の当年度純利益の約4%にあたる。 そのうえで監査人が試算した約25百万円が、当年度純利益や総資産等の指標を基にどの程度の影響を及ぼすかを市内部において検討し、減損の兆候の注記や減損損失の計上を行うかどうかを判断することが望まれる。また、減損会計適用に関する資料はその判断に至る過程を明瞭に記載し、適切な上席者の決裁を受けるべきである。

 遊休資産を個別資産ごとにグループ化するか否かについては、当該遊休資産の価額が資産総額に占める割合により判断していましたが、令和元年度決算からは、一義的割合のみではなく、他の側面も考慮し、判断していきます。

※他の側面:遊休資産となった経緯等(受贈により取得した財産で、本来の投資計画にはなかったものであるのかどうか、業務効率化のため他の資産に機能を移管したことにより遊休資産となったかどうか等)

 判断に至る過程などについては、適切な上席者の決裁を受けるようにしました。

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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(3) 固定資産の取得価額の計上内容について①

 市では固定資産の取得に際しても従来から慣例的に撤去費等の固定資産の取得に見合わない費用が建設改良費に計上されていた恐れがある。 市はこれら撤去費と思われる項目の内容を予算計上時に査定し、固定資産の取得価額に含まれない撤去費は固定資産除却費に計上することが望まれる。

会計規程及び経理の手引きにおいて、固定資産の取得価額は、「直接要した価額及び附帯費」となっております、また、新設工事を行うために必要な撤去費については起債対象にもなることから、新設のために必要な撤去費は附帯費に含まれると考えることができるという認識で会計処理を行っています。 今後は、今回の意見を踏まえ、撤去費について取得原価を構成するものと、固定資産の取得価額に含まれない撤去費を、予算編成及び執行時に精査するようにします。

企業局経営管理部経理課

(4) 固定資産の取得価額の計上内容について②

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構から受けている補助金の一部を財源として2,296,373円について固定資産の取得財源の一部として計上されている。従来は開発費等として繰延資産として計上してきたが、繰延資産は平成26年の地方公営企業会計基準改正で廃止されている。また、当該補助金はビジョン策定のためのものであり、ビジョン策定段階で支出された固定資産の取得と関連性が多岐に及ぶものは、固定資産に計上する際には慎重に検討すべきである。

 今後、固定資産の取得の際は、関連性を検討したうえで取得することとしました。

企業局水道工務部水道企画課

(5) 長期前受金の計上内容について

 水道事業及び工業用水道事業の平成30年度決算における貸借対照表上、負債の部に計上されている長期前受金の内訳として「その他資本剰余金」という項目があるが、一般に資本の部に設定される勘定科目であり、負債の部に計上することは適切ではない。負債の部に計上されている「その他資本剰余金」については、その内容に照らして適切な勘定科目を設定すべきである。

和歌山市公営企業会計規程を改正し、令和2年4月1日から施行しています。

企業局経営管理部経理課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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(6) たな卸資産の期末棚卸について

 市は年度末、貸借対照表のたな卸資産の金額を確定させるため、たな卸を実施している。たな卸とは、在庫の数量を数え、その数量を基に在庫金額を算定するとともに、在庫の管理状況を把握し、在庫の評価について把握することで、適切な損益計算を実施するための方法である。 一般的にたな卸を実施する際には、2名1組となって検数者と記入者に分かれて回り、たな卸表に実施した在庫の数量を記入のうえ、チェック者の押印等の証跡を残すこととされている。また、たな卸の実施の際には、たな卸実施者以外の在庫の管理者と直接関係のないものが立会を行い、たな卸の状況を観察するとともに、検数の正確性を担保するため、サンプルで数件の在庫を数えてたな卸表に記載されている数量との整合性を確認することが望ましい。 市は決算に際してたな卸表を作成しているが、たな卸表自体はシステムから出力し、チェックの証跡のないものであり、実際のたな卸には同じくシステムから出力したチェック表を使用しているとのことである。監査人がチェック表を閲覧したところ、チェック表にはその数量との整合性を確認しているが、検数者と記入者の証跡が残されていなかった。チェック表にはたな卸の責任の所在を明らかにするため、検数者と記入者の証跡を残すべきである。また、チェック表に基づきたな卸表を作成することは、一般的に転記ミスなど数値の相違を生じさせるおそれがあるため、新たにたな卸表を作成するのではなく、チェック表をたな卸表とすることが望ましい。 なお、市から提出された当該チェック表は5月末において実施されたたな卸の際の資料であり、年度末の資料の提出を求めたところ、年度末のチェック表は決裁後廃棄されており、適切に保管されていないという状況であった。このような状況であると年度末のたな卸資産の状況や金額の信頼性が損なわれ、適切な金額で計上されているかどうかについても疑義が生じる恐れがある。金額等の信頼性を担保するためにも適切な資料の保管が必要である。

 令和2年3月31日に行ったたな卸の際に、たな卸の責任の所在を明らかにするため、検数者と記入者の証跡をチェック表に残し、たな卸資産の状況に疑義が生じることのないよう適切に保管しています。

企業局経営管理部契約課

(7) 補填財源の管理について

 当年度分損益勘定留保資金の金額を計算する際には、3条予算における費用のうち現金の支出を必要としない費用(減価償却費等)から長期前受金戻入相当額等を差し引いた額として計上される。したがって、当年度分損益勘定留保資金の補填財源金額の計算においては当年度分減価償却費と資産減耗費の決算額の合計から長期前受金戻入等の金額を差し引く形で計算すべきである。

令和元年度決算において、ご指摘の通り対応しました。

企業局経営管理部経理課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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(9) キャッシュ・フロー計算書の作成について

(11) 和歌山市公営企業会計規程について

 市の精算表では、賞与引当金の調整額が収益的支出と資本的支出の合計額で行われて算出されていた。収益的支出と資本的支出に係る賞与引当金は、それぞれ業務活動によるキャッシュ・フローの区分と投資活動によるキャッシュ・フローの区分に対応するため、分けて調整すべきである。

令和元年度決算において、ご指摘の通り対応しました。

企業局経営管理部経理課

 現在の地方公営企業会計基準では、有形固定資産の減価償却の方法は定額法又は定率法が主に用いられることとなっており(則第7条第1項)、減価部分については減価償却累計額として計上するか(間接法)、直接取得価額から控除するか(直接法)、いずれかの方法が認められている。減価償却累計額ではなく引当金を用いることは現在の会計基準では認められていない。なお、市は地方公営企業会計基準どおり減価償却累計額として計上している。実態と規程が異なっているため、当該記載については「間接法により償却する」旨の記載に改訂すべきである。

和歌山市公営企業会計規程を改正し、令和2年4月1日から施行しています。

企業局経営管理部経理課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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91

3 経営戦略

(4)

(1) 水需要の見積方法(水道事業)について

 経営戦略の人口想定については平成27年10月に策定した人口ビジョンと、直近の平成30年度の実際の人口を基に将来の推移を試算したものである。また料金収入の元となる年間総有収水量については、1人当りの有収水量について直近3年の減少率の平均を反映した結果となっている。しかし直近5年の1人当り有収水量の推移を分析したところ、直近5年の減少率のほうが大きいことが判明した。 企業会計において収益を計上する場合、出来るだけ確実なものだけを慎重に計上する保守主義の原則が採用される。料金収入のような不確実性の高い収益についてシミュレーションを行う場合にも、このような保守的な考え方を採用し、減少幅の大きい直近5年の減少率を採用して年間総有収水量について監査人が独自に見積もりを実施した。その結果、市水道事業経営戦略に記載されている予測値より年間総有収水量は令和10年度は2,301千㎥、令和20年度は3,926千㎥減少すると試算された。 水需要は水道事業において最も重要な収益源泉である。そのため、経営戦略の進捗管理と見直しの際には、直近の年間総有収水量の減少について複数のパターンを準備し、当該結果を参考に確実な収益のみを算入する保守的な検討が望ましい。

 経営戦略を見直しする際は、今回の指摘内容を踏まえていくつかの収入パターンを算出して採用することとします。

企業局経営管理部経理課

経営戦略への資金残高の記載(水道事業、工業用水道事業)について

 市水道事業経営戦略及び市工業用水道事業経営戦略では資金残高の将来予想についての記載がない。資金残高は事業の運営に大変重要な指標であり、本来は経営戦略に記載する必要があると考えられる。今後経営戦略の毎年度進捗管理や定期的な見直し(ローリング)を実施する際には資金残高についても触れることとすることが望ましい。

 今後経営戦略の見直し(ローリング)を実施する際には、資金残高の記載について検討します。

企業局経営管理部経理課

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〔監査テーマ〕水道事業(工業用水道事業を含む)に関する財務事務の執行及び経営に係る事業の管理について

包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:令和元年度)

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

95企業局経営管理部経理課

(7) 経営戦略の進捗管理と見直し(水道事業)について

 戦略の見直し(ローリング)について、投資・財政計画と実績との乖離の検討、収支ギャップの解消を3~5年ごとを目途にと記載されているが、これまでの記載とおり収益や今後の投資、企業債の状況等について、課題が多くみられる。毎年度最新の状況を把握し、見直しを検討したうえで、住民への理解に資する情報を公表することが望ましい。 近年は特に自然災害の発生など、事業の安定性を脅かす事象もある。事業の運営や資金の確保について、経営戦略とその見直しの重要性がより増加していることに留意されたい。

 毎年、経営及び施設の状況を表す経営指標を活用し、類似団体と比較した「経営比較分析表」を作成する等により、経営状況の把握に努めます。経営戦略の基本的な改定期間は3~5年毎としていますが、状況に応じて見直しを行います。 また、経営比較分析表をホームページで公開し、市民への周知を図っています。

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和 教 政 第 300号

令和2年 8月19日

(2020年)

和歌山市監査委員 様

和歌山市教育委員会

教育長 富 松 淳

包括外部監査結果に基づく措置状況の通知について

包括外部監査の結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として講じた措置等について、

地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の38第6項の規定により、別紙のとお

り通知します。

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〔監査テーマ〕公共施設マネジメントに関する財務事務の執行について

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包括外部監査結果に基づく措置状況(監査実施年度:平成30年度)

 令和2年度は学校施設に係る個別施設計画について、文部科学省が地方自治体に求めている提出期限となっており、令和2年度中に同計画を策定する予定です。

教育委員会事務局教育学習部教育政策課教育施設課

(3) 長寿命化計画の策定について

 今後の施設マネジメントの観点から市民に対し、今後の施設の在り方を示すために個別施設計画は重要である。したがって、市は速やかに各施設の概況を把握し個別施設計画を策定すべきである。

2 学校教育系施設

監査結果等 措置等の内容及び状況担当局部課等名

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和歌山市公報

令和二年九月二日

号外第十一号

別冊