地域テクノセンター報 · 期校として設置され、平成25年に創立50周年...

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ISSN 0918-7499 地域テクノセンター報 (第  24  号) 平成 27 6 独立行政法人 国立高等専門学校機構 八戸工業高等専門学校 地域テクノセンター

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  • ISSN 0918-7499

    地域テクノセンター報

    (第  24  号)

    平成27年6月

    独立行政法人 国立高等専門学校機構

    八 戸 工業高等専門学校地 域 テ ク ノ セ ン タ ー

    24

    276

  • 巻 頭 言:地域への技術的貢献を目指して-地域テクノセンターの役割- ………… 校長 岡田 益男 … 1

    研究室紹介 機械システムデザインコース:熱流体数理研究室 ………………………………… 助 教 木村 祐人 … 2 電 気 情 報 工 学 コ ー ス:卒研室1 …………………………………………… 助 教 佐々木修平 … 3 マテリアル・バイオ工学コース:分離工学実験室 …………………………………… 教 授 長谷川 章 … 4 環境都市・建築デザインコース:水環境工学研究室 ………………………………… 教 授 矢口 淳一 … 5

    新任教員紹介 総 合 科 学 教 育 科:助 教 若狭 尊裕 …………………………………………………………… 6 総 合 科 学 教 育 科:准教授 佐藤  健 …………………………………………………………… 7 電 気 情 報 工 学 コ ー ス:准教授 秋田 敏宏 …………………………………………………………… 8 マテリアル・バイオ工学コース:助 教 福松 嵩博 …………………………………………………………… 9 マテリアル・バイオ工学コース:助 教 金子 賢介 …………………………………………………………… 10

    平成26年度科研費・共同研究・受託研究・受託事業 ……………………………………………………………… 11

    平成26年度補助金の概要 大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業 … 環境都市・建築デザインコース 教授 矢口 淳一 … 14 産業財産権標準テキストを創成科目に活用した知的財産教育 … 電気情報工学コース 教授 工藤 憲昌 … 14 地(知)の拠点整備事業 …………………………………… 機械システムデザインコース 教授 沢村 利洋 … 15

    産学官金連携協定 ……………………………………………………………………………………………………… 16

    平成26年度八戸工業高等専門学校産業技術振興会事業 …………………………………………………………… 18

    地域テクノセンター主催事業 研究室めぐり(八戸地域高度技術振興センター) ……………………………………………………………… 19 学による企業見学会(八戸地域高度技術振興センター) ……………………………………………………… 19 弘前大学・八戸高専・一関高専・岩手大学 4校学術交流会 ………………………………………………… 20 キャリア教育プログラム 企業内容説明会 ……………………………………………………………………… 20 第7回教育研究支援センター技術発表会 ………………………………………………………………………… 21 教育研究支援センターの活動 ……………………………………………………………………………………… 22

    教育・研究活動 公開講座[平成26年度実施状況、平成27年度実施計画] ……………………………………………………… 23 在外研究員・内地研究員の派遣 …………………………………………………………………………………… 24 技術職員研修 ………………………………………………………………………………………………………… 24 研究成果:論文発表 ………………………………………………………………………………………………… 25      口頭発表 ………………………………………………………………………………………………… 29 八戸工業高等専門学校紀要(第49号)目次 ……………………………………………………………………… 38 平成26年度 専攻科 特別研究テーマ一覧 ……………………………………………………………………… 39 平成26年度 本科  卒業研究テーマ一覧 ……………………………………………………………………… 41

    産学連携活動 地域産業界等への技術協力・助言 ………………………………………………………………………………… 46 主な試験・分析機器 ………………………………………………………………………………………………… 48

    地域テクノセンター 規 則 ………………………………………………………………………………………………………………… 53 技術相談申込書 ……………………………………………………………………………………………………… 55 組織図・委員名簿・編集後記 ……………………………………………………………………………………… 57

    地域テクノセンター報(第24号)目次

  • - 1-

    ― 巻 頭 言 ―

    地域社会へのさらなる貢献を目指して

    — 地域テクノセンターの役割—

    本校は昭和 38 年に国立高等専門学校の第二

    期校として設置され、平成 25年に創立 50周年

    を迎え、平成 26年度は新たな八戸高専を目指し

    踏み出した第 1歩にあたる1年でした。創立 50

    周年記念ホールは 170名の収容ができる多機能

    なホールとして 3月末日完成致しました。設立

    に際してご協力いただいた後援会、同窓会の皆

    様、地域や産業界の皆様、本校の関係者各位の

    温かいご支援とご協力に対して、あらためて深

    甚の感謝を申し上げたいと存じます。

    平成27年4月から学科と専攻科が再編されま

    した。本校は地域のニーズにさらに即した学科

    編成とすべく、青森県や八戸市等の将来計画や

    地域企業等からの要望を基に、1 学科 4 コース

    制としました。特に、この青森県の三八地域に

    は優秀な金属系企業が多数にあることから、金

    属系や建築系のカリキュラムや研究の充実を推

    進いたします。学科名を産業システム工学科と

    して、機械システムデザインコース、電気情報

    工学コース、マテリアル・バイオ工学コース、

    環境都市・建築デザインコースの 4コースを設

    置しました。平成 27年度新入生からの適用とな

    ります。

    また、平成 26年度に本校は文部科学省の「地

    (知)の拠点」プログラムに採択されました。

    本校は地域を志向した教育・研究・社会貢献の

    取組を遂行し、地域活性化のための中核拠点と

    しての役割を担います。本事業では、青森のリ

    ソース(海・山の幸、太陽光・風力などの自然

    エネルギー、人財など)のコンピテンシィ(能

    力や適格性)を育成することを目的に、青森県、

    八戸市ならびに関連団体と連携協力のもとに本

    事業を実施します。特に、研究プログラムとし

    て、地域ニーズの受け入れ体制の強化、卒業研

    究・特別研究における地域志向テーマの推進や、

    地域課題の学内周知と早期解決に向けた支援を

    推進します。

    本校における地域社会への貢献を担う研究施

    設として「地域テクノセンター」があります。

    センターでは、学科教員等の研究成果を通して

    先駆的、独創的且つ幅広い視野に立脚した実践

    的技術者を養成するとともに、産・学・官交流

    の拠点として、また、地域企業との共同研究等

    の場を通して地域への技術的貢献を積極的に行

    い、地域社会の発展に寄与することを目的とし

    て次の事業を実施しております。(1)産・学・官

    交流に関する事業、(2)地域企業に対する技術指

    導・助言、(3)共同研究のマッチング事業及び推

    進、(4)受託研究及び試験研究の実施、(5)公開

    講座、地域開放特別事業の実施、(6)講演会及び

    講習会の実施、(7)地域企業等で主催する講演会

    及び講習会への協賛・協力並びに講師派遣、(8)

    学内における共同教育研究の促進。

    本年度は環境都市・建築デザインコースの矢

    口淳一教授をセンター長、副センター長にマテ

    リアル・バイオ工学コースの齊藤貴之准教授、

    電気情報工学コースの中ノ勇人教授、産学交

    流・キャリア教育支援コーディネータには佐藤

    勝俊本校名誉教授にお願いし、受入体制も整備

    しております。本地域テクノセンター報はこの

    ような本校の研究・教育活動等の事業について、

    より多くの皆様にご理解頂くための一助として、

    発刊致しました。

    本報が地域企業の皆様と本校・産業技術振興

    会会員企業同士・産学官それぞれの連携・協力

    活動のより一層の発展のための架け橋となるこ

    とを期待するところです。共同研究や技術相談

    等ございましたら、ご遠慮なく地域テクノセン

    ターあるいは教員までお問い合わせいただくよ

    うにお願い申し上げます。

    最後に、八戸市近辺はもとより県内外各地の

    企業の今後の更なるご支援、ご指導をお願い申

    し上げ、巻頭のご挨拶とさせて頂きます。

    顔写真1

    八戸工業高等専門学校

    校長 岡田 益男

  • - 2-

    <研究室紹介>

    研究内容

    本研究室では計算機シミュレーションを主な

    手段として複雑な流動現象や熱現象、相転移現

    象に関する研究に取り組んでいる。 ここでは固気混相流の解析手法の開発、およ

    びガラス転移現象の理論的研究について紹介す

    る。 研究テーマ

    (1) 固気混相流の解析手法の開発

    気体・液体・固体といった物質の状態を相と

    呼び、二つ以上の相が混ざり合った流れを混相

    流と呼ぶ。例えば、気体と個体が混ざり合った

    混相流は固気二相流と呼ばれる。字面を見ると

    難しそうな単語であるが、例えば PM2.5などの大気中の微粒子の運動、サイクロン掃除機内の

    埃の運動、地吹雪などの風雪現象など、身近な

    例を挙げれば枚挙にいとまがない。 本研究室では風雪現象の解析を念頭において

    シミュレーション手法の開発を行っている。 固体粒子を代表粒子で表し、気体の流れ場は格

    子を用いて差分化する。これらを発展させるこ

    とで、吹きだまり等の現象を再現し、防災・減

    災に役立てることを目標としている。

    (2)ガラス転移現象の理論的研究

    ガラスは物質状態の一つであり、分子の配置

    が液体のようにランダムなまま固化した状態の

    ことである。ガラス形成物質を溶融状態から冷

    却すると粘性が急激に上昇し、ある温度で流動

    性を失って固化に至る。この物質がガラスに変

    化する現象をガラス転移と呼び、ガラス転移が

    発生する点をガラス転移点と呼ぶ。ガラス転移

    点近傍では粘性率の上昇に伴い、系の密度ゆら

    ぎの緩和時間が急激に大きくなる。しかし、分

    子の配置は液体状態と同様ランダムなままであ

    るため、臨界現象に見られるような相関長の発

    散は見られず、ミクロな立場から理論的にどの

    ように理解し、記述するかという点が着目され

    ている。 モード結合理論は臨界現象を解析するために

    提案された理論であるが、ガラス転移現象にも

    応用され、一定の成功をおさめている。モード

    結合理論では、ある点で系の緩和時間が有限か

    ら無限大になるという、エルゴード・非エルゴ

    ード転移が観測される。転移点の予測だけでは

    なく、中間散乱関数などの物理量も転移点近傍

    で実験やシミュレーションと似た振る舞いを示

    す。しかし、転移点が実験やシミュレーション

    のガラス転移点に比べて高温側に存在する、緩

    和関数において大きな振動が現れるといった問

    題が指摘されている。 本研究室では非畳み込み型射影演算子法を用

    いて導出されたモード結合方程式が、一般的な

    畳み込み型射影演算子法に基づくモード結合方

    程式に比較して、より現実的な転移点を与える

    ことを数値計算により示した。

    顔写真

    コ ー ス 名 機械システムデザインコース

    研 究 室 名 熱流体数理研究室

    担当教員名 助教 木村 祐人

    -0.2

    0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1

    -2 -1 0 1 2 3 4

    F s(q

    ,t)

    log10(t)

    流 れ

    固体粒子

    図1: 解析モデルの概念図

    粒子同士の衝

    突?

    地面からの影

    響?

    図 2:非畳み込み型(実線)と畳み込み型(破線)に基づ

    く理論によって計算された自己中間散乱関数の比較

  • - 3-

    <研究室紹介>

    研究内容

    本研究室では、超電導バルク体および線材(導

    体)を用いた次世代の電気機器・システムに関

    する研究を行っている。ここでは、電気エネル

    ギー分野と磁気浮上分野について紹介する。 研究テーマ

    (1)超電導エネルギー貯蔵装置

    化石燃料の大量消費による資源の枯渇問題や

    地球温暖化などの環境問題が懸念されている。

    これにより、資源の枯渇のおそれがなく、環境

    への影響が少ない(二酸化炭素を排出しない)、

    自然エネルギーを用いた発電システムをより一

    層導入することが必要である。しかし、自然エ

    ネルギーは気候に左右されるため、図 1のよう

    に単独での安定した電力を供給することが難し

    い問題がある。

    時間t [s]

    出力

    P[k

    W]

    出力目標値

    充電 (余剰電力)

    放電 (不足電力)

    図 1 自然エネルギーにおける出力変動例

    磁気浮上回転子(永久磁石)

    固定子(超電導体)

    図 2 超電導体を用いたエネルギー貯蔵・発電システム

    そこで、本研究では、自然エネルギーにおけ

    る出力変動を補償するために、電気エネルギー

    と回転エネルギーの変換によってエネルギーの

    貯蔵・発電を行う、図 2のような超電導体を用

    いた磁気浮上回転機の開発に取り組んでいる。

    本提案装置は、同一軸でありながら、両側独立

    した回転駆動が可能であるため、充放電同時に

    制御することができる特徴を有している。また、

    超電導体を冷却するための冷媒を用いた発電を

    検討しており、システム全体の高効率化を図っ

    ている。

    (2)磁気浮上型超電導免震装置

    地震大国である日本は、東北地方太平洋沖地

    震をはじめ大規模地震の発生によって多大なる

    被害をもたらされ、今後も全国どこでも大規模

    地震が発生する可能性がある。大規模地震の発

    生による被害は尋常ではなく、復旧に要するエ

    ネルギーや費用は莫大なものである。地震後に

    おいても、精神的ストレスは計り知れず、万全

    な地震対策が望まれている。 そこで、本研究では、超電導バルク体特有の

    磁気力を利用して免震対象物となる建物や設備

    機器を基礎から磁気浮上させ、大規模地震にお

    いても確実に地震被害を抑制する、図 3のよう

    な新たな振動除去(免震・除振併用)装置の開

    発を目指している。現在は、免震対象物を支持

    するための磁気浮上力の向上、および鉛直振動

    に対する挙動について検討を進めている。

    永久磁石レール

    超電導体

    xy

    z

    図 3 超電導バルク体の磁気浮上の様子(写真)と

    磁気浮上型超電導免震装置の概略図

    顔写真

    学 科 名 機械工学科 研 究 室 名 流体工学実験室 担当教官名 助手 澤村 利洋

    顔写真

    コ ー ス 名 電気情報工学コース

    研 究 室 名 卒研室 1

    担当教員名 助教 佐々木 修平

  • - 4-

    <研究室紹介>

    研究内容

    アルミナは石油留分からの脱硫触媒、パラフィ

    ンやオレフィンの脱水素反応、あるいはナフサや

    天然ガスを原料とした水蒸気改質反応など多種 多様な触媒に応用されている。なかでも燃料電池

    自動車や家庭用燃料電池等、エネルギー分野で利

    用が急増する水素製造システムでは、アルミナの

    性能向上によって製造コストを大幅に低減する ことができる。また、自動車の排気ガス浄化触媒

    としても耐熱アルミナの需要は非常に大きい。本

    研究室で開発した耐熱アルミナは、きわめて高い

    耐熱性を有しており、このほど国内外で特許登録

    された。ここでは、耐熱アルミナを用いた触媒の

    研究例について紹介する。 研究テーマ

    (1)新規耐熱性γ-アルミナの合成

    γ-アルミナは、多孔質構造を有しており大き な表面積を有することから触媒担体として幅広 く利用されている。しかし、800℃を超える高温、高圧の水蒸気雰囲気中で反応が行われる水素製造

    プロセスでは、γ-アルミナはα-アルミナに相 転移し、表面積や強度の低下が起こる。そのため

    従来の水素製造用触媒は、表面積が極めて低いα-アルミナの整形体を使用しており、高表面積の耐

    熱性アルミナの開発が望まれていた。 本研究室では、量産可能な簡便な手法によりア

    ルミナの粒子形態制御や添加物の効果により、高

    温・高圧の水蒸気雰囲気中や 1200℃以上の高温 焼成においても100m2/g以上の高比表面積を維持する耐熱性アルミナの開発に成功した。図1の電

    子顕微鏡写真に示したように従来品は焼結によっ

    て粒子が大きく成長しているのに対し、開発品は

    粒成長が起こりにくい。 (2)水素合成触媒の開発

    ナフサや天然ガスを原料に水蒸気改質反応を 行う場合、高い耐熱性と同時に触媒表面への炭素

    の付着現象(コーキング)を抑制することが重要

    である。アルミナ等の触媒担体に固体酸性の添加 剤を多量に添加すると、コーキング現象によって

    触媒活性が低下することが知られている。本研究

    室では、アルミナ担体の耐熱性向上に用いる添加

    物の種類や添加量を最適化することによってコー

    キングの起こりにくい水素製造触媒の開発を行っ

    ている。本研究テーマは、平成 26 年度より新エネルギー・産業技術開発機構の委託事業として大

    学、企業および産業技術総合研究所等と共同研究

    を実施しており事業化が期待されている。 (3)自動車排気ガス浄化触媒の開発

    自動車から排出される排気ガスには、一酸化炭

    素、窒素酸化物および炭化水素のような有害成分

    が含まれている。また、ディーゼル車の場合これ

    らの成分に加えて粒子状物質が含まれており、こ

    れらを除去する役割を自動車触媒が担っている。

    自動車触媒に求められる浄化能力は、年々強化さ

    れる傾向にあり、加えて自動車触媒に使用される

    貴金属(白金、ロジウム、パラジウム)は、極め

    て高価であるばかりか資源量も限られている。従

    来の自動車触媒は、水蒸気を含む高温の排気ガス

    に長時間さらされるため、表面積の大幅な低下と

    貴金属粒子径の増大を引き起こしていた。本研究

    室で開発された耐熱アルミナを自動車触媒に応用

    したところ、長時間高温、水蒸気中にさらされ るエージング試験においても高い浄化性能を維 持するばかりか、貴金属使用量の削減についても

    有意な結果が得られている。現在、大学、企業等

    とともに共同研究を実施している。

    図 1 アルミナの電子顕微鏡写真 左:従来法、右:開発品

    顔写真

    学 科 名 機械工学科 研 究 室 名 流体工学実験室 担当教官名 助手 澤村 利洋

    顔写真

    コ ー ス 名 マテリアル・バイオ工学コース

    研 究 室 名 分離工学実験室

    担当教員名 教授 長谷川 章

  • - 5-

    <研究室紹介>

    研究内容

    水環境工学では微生物を利用した保全技術が

    中心となっており、微生物解析には近年分子生

    物学的手法が取り入れられている。本研究室で

    は、従来の生物学的排水処理技術に加え、この

    ような分子生物学的手法を利用したテーマにつ

    いて研究開発を行っている。現在実施している

    研究テーマについて以下に紹介する。 研究テーマ

    (1)微生物による排水処理技術

    湖沼や内湾など外部との水の出入りが少ない

    閉鎖的な水域では、現在藻類が異常発生する富

    栄養化現象が起こっている。しかし富栄養化の

    原因物質である窒素・リンは現在の排水処理シ

    ステムでは十分に除去できず、今後は有機物と

    同時に窒素・リンも除去できる高度処理施設の

    導入が必要になっている。 そこで本研究室では、数学モデルを活用した窒素、リンの効率的除去

    法の開発に取り組み、窒素を除去できるバクテ

    リアとリンを除去できるバクテリアの定量方法

    を確立した。またリンを過剰摂取できるポリリ

    ン酸蓄積菌を活性汚泥に添加して、リン除去の

    安定化と効率化をはかる研究も行っている。 (2)新しい微生物指標の開発

    最近、水環境中には培養できないものの活性

    のある状態で生きている細菌(VBNC;Viable but nonculturable)が多数存在することが明らかになってきた。 病原菌による水環境の汚染は、現在大腸菌を指標として診断しており、大腸菌

    の検出方法は培養によってきたため、検出に約

    1日間かかり、また VBNC状態の細菌は不活性と見なされ、消毒などの不活化効果を過大に評

    価してきた可能性が指摘されている。そこでわ

    れわれは PCR(Polymerase Chain Reaction)法を利用して、数時間で大腸菌を検出する方法を

    研究開発した。さらに核酸染色試薬である PMA (Propidium monoazide)とリアルタイム PCR法を組み合わせ、VBNC状態を含む真に生きて

    いる大腸菌のみを検出する PMA-PCR 法を研究開発した。PMA-PCR法を下水処理水に適用したところ、塩素処理水中に生理的活性のある

    細菌が多数認められ、塩素消毒は培養可能な大

    腸菌と比べて VBNC 状態の大腸菌には不活化効果が非常に低いことが知られた。現在、さら

    に河川や海域中の生理的活性のある大腸菌のみ

    を測定し、病原菌からの感染リスクの再評価を

    検討している。 (3)糞便汚染の調査

    ウミネコの繁殖地として有名な八戸市蕪島海

    水浴場や仙台市の水源となっている七ヶ宿ダム

    など、わが国の水環境において糞便性細菌によ

    る汚染が問題になっている。わが国の水環境は

    著しく改善されたが、合流式下水越流水(CSO)問題などいまだに糞便に由来する病原性細菌や

    ウイルスによる水域汚染が海域や湖沼で報告さ

    れており、これらによる人間への感染リスクは

    決して低くない。八戸市近郊の蕪島海水浴場で

    は、平成 14 年の開設前の水質調査で糞便性大腸菌群数が要改善の基準を超えたため平成 20年度まで遊泳禁止措置が執られ毎年開設が危惧

    される状況が続いている。そこで本研究室では

    八戸市蕪島海水浴場に関して継続して調査を行

    っている。 蕪島海水浴場の糞便性大腸菌群数は、春から夏に増加する傾向を示し、秋から冬にか

    けては低濃度だった。海域等で得られた大腸菌

    の DNA断片を PCR法で増幅させ、アガロース電気泳動によって得られる DNA フィンガープリント(図

    1)から汚染源を追跡

    することも

    試みたが、

    原因の解明

    には至らな

    かった。

    顔写真

    学 科 名 機械工学科 研 究 室 名 流体工学実験室 担当教官名 助手 澤村 利洋

    顔写真

    コ ー ス 名 環境都市・建築デザインコース

    研 究 室 名 水環境工学研究室

    担当教員名 教授 矢口 淳一

    図 1 アガロースゲル電気泳動写真

  • - 6-

    <新任教員紹介>

    1.専門分野

    ・解析数論 ・リーマンゼータ関数 ・ディリクレの L関数

    2.研究課題

    ・リーマンゼータ関数の偏角の明示的上界 ・リーマンゼータ関数の偏角のΩ-評価 ・ディリクレの L関数の偏角の明示的上界

    3.研究概要

    主にリーマンゼータ関数の零点や臨界線上の

    偏角について研究しています。リーマンゼータ

    関数の複素零点については、その実部がすべて

    1/2 であろうという有名な未解決問題「リーマン予想」があり、私の研究はリーマン予想に関

    連するものとなっています。特にリーマンゼー

    タ関数の偏角の分布に関する研究を主軸にして

    おり、そこでは臨界線上の偏角を表す関数を扱

    うことが多いです。 リーマンゼータ関数の研究において中心とな

    る大きなテーマの 1つに零点の分布に関するものがありますが、その零点が素数と関係が深い

    ことを踏まえると、リーマンゼータ関数の偏角

    は素数分布と密接な関係を持つ整数論における

    重要な研究テーマの一つであるといえるでしょ

    う。そのような零点、偏角を扱う上でよく登場

    する式として、リーマンゼータ関数の零点の個

    数を数え , 近似する公式「 Riemann-von Mangoldt formula」があります。零点を数え上げるという単純そうな式ではありますが、この

    中にはリーマンゼータ関数の偏角が登場し、非

    常に複雑な挙動をもって零点の研究を困難にし

    ています。ただ一方で、その偏角の挙動を精密

    に調べ把握することができれば零点の挙動も把

    握することができることになり, またそこから素数分布へ大きく貢献できるというわけです。 しかし偏角の挙動は極めて複雑であり、その

    ままでは新たな展開が中々見出せないのも事実

    です。また、古典理論が大きな割合を占め、新

    たな分野の開拓も難しいのです。 そこで私が取り組んでいるのは偏角の周辺を

    探ろうという動きです。偏角を積分したものを

    考え、偏角の平均をとってその挙動をつかもう

    と試みています。その中で偏角の精密な評価を

    行えると信じています。また、リーマンゼータ

    関数の拡張版として、ディリクレの L関数というものも存在します。リーマンゼータと密接に

    関わる L関数の研究も行うことで、本来の目的であるリーマンゼータ関数の研究の糸口を見つ

    けられればと思っています。 偉大な先駆者が業績を残しつつも、今日に至

    るまで 100年以上に渡り研究され続け、今もな

    お全貌を捉えきれないという神秘的な魅力と、

    数論の大きな命題「素数分布」に関連している

    という重要性が私の研究の特色でしょう。私の

    研究は複素解析および積分を用いた評価方法に

    重点を置いていますが、同様の手法を用いる分

    野でも特に「偏角そのものの精密な評価」に研

    究の焦点を当てるというのはあまり類を見ない

    ものです。 また私の研究ではそのような類まれ

    な研究が、ゼータ関数の零点や素数分布に影響

    を及ぼすといった重要な意味を持っているとも

    いえるでしょう。

    顔写真

    総合科学教育科 助教 若狭 尊裕

  • - 7-

    <新任教員紹介>

    1.専門分野

    生体電磁環境、環境電磁工学 2.研究課題

    ・電磁環境の計測および表示法 ・ICNIRPガイドラインの適合性評価 3.研究概要

    近年、電磁界から受ける生体への影響につい

    て関心が非常に高まっており、ニュースや新聞

    などのメディアでも数多く報じられています。

    その背景には、携帯電話やスマートフォンの急

    激な普及、オール電化住宅やスマートシティの

    発展があり、これらの機器や環境から発せられ

    る電磁界が健康に与える影響が懸念されていま

    す。小児がんや脳腫瘍などの悪影響を論じる一

    方で、医療の分野では MRI やハイパサーミアのように積極的に電磁界を利用し診療や治療に

    活用するといった事例も見られます。 さて、私たちが電磁界へ不安を持つ理由のひ

    とつとして、影響の有無や程度が不明確である

    ことがあげられますが、これまでに多くの疫学

    研究やばく露評価による検証が行われ、電磁界

    を安全に利用するガイドラインが制定されてい

    ます。不安を持つもうひとつの理由として、電

    磁界が目に見えないことがあげられます。ガイ

    ドラインで安全なばく露レベルが制定されてい

    たとしても、目の前にある空間がその基準値以

    下なのか、それとも基準値を超えているのかが

    分からないため「電磁波=不安」という考えを

    持ってしまいます。そこで本研究では空間的な

    電磁界分布を計測し可視化する手法について研

    究しています。 ・電磁界分布の測定法 家庭用電気機器の適合性評価の手法は国際規格

    IEC62233 として制定されており、例えば IH調理器は調理台から30 cm離れた場所で測定すればよいとされています(図1)。しかし私たち

    が実際に調理をする場合は、上から覗き込んだ

    り顔を近づけたりもします。そうした場合に電

    磁界分布がどの程度になっているかを知ること

    は非常に重要です。そこで電磁界メータを自由

    に走査することで空間的な分布を表示する手法

    について研究しています。

    図 1:適合性試験における電磁界分布測定法

    ・測定例 図 2に IH調理器周辺の電磁界分布測定例を示します。鍋の底周辺において基準値を大きく超

    える強度が観測されていますが、調理器から離

    れることで急激に強度が減少している様子が分

    かります。

    図 2:IH調理器周辺の低周波磁界分布

    このように可視化することで不安を軽減させる

    ことが可能になります。 本研究ではこうした可視化をより手軽に行うた

    めに、Raspberry-Piや Xtionといった汎用機材を用いた手法の確立を目指しています。

    顔写真

    総合科学教育科 准教授 佐 藤 健

  • - 8-

    <新任教員紹介>

    1.専門分野

    信号処理、画像処理、組込みシステム

    2.研究課題

    ・ 産業用 CTシステムと画像再構成原理 ・ 局所特徴量削減による屋外特定物体認識 ・ 教育用分解組立型電気自動車教材開発 ・ 組込み技術による各種信号処理システム

    構築

    3.研究概要

    ○産業用 CTシステムと画像再構成原理 産業用非破壊検査では、安価で高速な CT システムが要求されています。本研究では、再構

    成アルゴリズムを簡素化するために、投影方法

    を工夫して投影方向数を大幅に削減し、ウェー

    ブレット標本化モデルと特異値分解法を組み合

    わせた再構成原理を提案しています。本手法に

    より、高速でかつ Fig.1 に示すように良好な再構成画像が得られます。

    (a) 原画像 (b) 再構成画像 Fig.1 提案手法による処理結果例

    ○局所特徴量削減による屋外特定物体認識

    屋外環境下では、カメラ撮影画像から物体を

    認識する際、認識したい物体以外に人や車、樹

    木などの不要な物体が含まれていることが多く

    あります。本研究では、BRISK(Binary Robust Invariant Scalable Keypoints)特徴量による局所特徴量記述と RANSAC アルゴリズムに基づく幾何学的整合性チェックにより、不要な特徴量の

    削減と物体の認識を行っています。本手法によ

    り、Fig.2 に示すように多くの特徴量を削減し(約 96%)、特定物体の認識を従来よりも高速に行うことができます。

    (a) 従来手法 (b) 提案手法 Fig.2 特徴量削減結果例

    ○教育用分解組立型電気自動車教材開発

    岩手県では産学官が連携して、東日本大震災

    からの復興を目指して、平成 24年度から 28年

    度までの期間で地域イノベーション事業を実施

    しています。その中で次世代モビリティの開発

    人材の育成のために、分解組立型電気自動車

    PIUSとモータ・制御系教育教材の開発を産学連携により行っています。教材は、工業高校や大

    学等におけるモノづくり教育の一貫として導入

    できるものを目指して開発を進めています。

    <参考 URL>

    ・ PIUS Education ver.紹介ホームページ、 http://www.pius-kitcar.com/education.html ・ 地域イノベーション事業ホームページ、

    http://www.joho-iwate.or.jp/mobility/

    ○組込み技術による各種信号処理システム構築

    カメラや各種センサの情報から、組込みマイ

    コンによる処理・制御システムの構築を行って

    います.OpenCV による画像処理や MATLAB/ Simulink、LabVIEW、UML&C/C++によるモデルベース開発を行っています。これまで、ステ

    レオカメラによる 3次元位置推定、運転者の視線方向推定、移動体の振動解析のシステムにつ

    いて研究してきています。

    顔写真

    電気情報工学コース 准教授 秋田 敏宏

  • - 9-

    <新任教員紹介>

    1.専門分野

    高分子化学、物理化学 2.研究課題

    ・高分子骨格構造と電荷移動度との相関 ・高分子-ナノ粒子フォトニック結晶 3.研究概要

    高分子材料(プラスチック)は軽量、フレキ

    シブル、加工しやすさなど、無機材料には持ち

    合わせていない特徴を持っていることからさま

    ざまな分野で利用されています。この中で、「高

    分子同士を混ぜて新たな材料を作り出す」とい

    う技術はポリマーアロイと呼ばれており、有用

    な材料開発に向けて盛んに研究が行われていま

    す。私の研究では、ポリマーアロイ利用するこ

    とで、高分子の凝集構造と電荷移動度との関係

    を調べる研究、フォトニック結晶材料の簡便な

    作成方法に関する研究を行っています。 ①高分子骨格構造と電荷移動度との相関 近年、高い電荷移動度を持つ共役高分子の開

    発が進んでおり、有機薄膜太陽電池や有機 ELへの応用が期待されています。共役高分子の電

    荷移動度は骨格構造に大きく依存しているため、

    どのような骨格構造が電気を流すのに有効かを

    知ることが重要です。そこで、私の研究では、

    共役高分子を高分子マトリクスに混ぜこむこと

    で骨格構造の制御を行い、骨格構造と

    電荷移動度との相関を評価しています。例えば、

    代表的な p 型共役高分子である Regioregular poly(3-hexylthiophene)(P3HT)を高分子マトリクスに混ぜ込むことで、凝集構造が変化するこ

    とを電子吸収スペクトルにて観測しました。ま

    た、混合する濃度を変化させるにつれ電子吸収

    スペクトル、電荷移動度も変化することを確認

    しています(図 1)。この研究をさらに進めることで、高い電荷移動度を有する共役高分子の合成

    指針を与えることを目標としています。 ②高分子-ナノ粒子フォトニック結晶 機能性塗装材料の開発が進んでおり、長寿命

    化、遮熱性など、さまざまな用途に向けた改良

    が行われています。その中で、フォトニック結

    晶は特定の波長の光を反射するというユニーク

    な性質により、『退色しない色材』として応用が

    期待されています。一方、現在のナノ構造体作

    製手法では精密な加工技術が必要であり、色材

    として用いるにはコストがかかり、大面積化が

    困難です。そこで、自己集積によるポリマーコ

    ンポジット型フォトニックナノ構造体の簡便な

    作製手法の開発について研究しています。具体

    的には、ポリスチレン等のマトリクス中に粒子

    径が一定の無機材料を混合し、ナノ粒子の自己

    集積能力を駆動力とすることで、簡便かつ迅速

    なナノ周期構造体作製を行います(図 2)。このように、『簡単に作れる色あせない塗装』の開発を

    目指して研究を行っています。

    図 2. ポリマーコンポジット型フォトニック結晶のイメージ

    図 1. P3HTにマトリクスを混ぜた時の電子吸収スペクトルと電気伝導度

    顔写真

    マテリアル・バイオ工学コース 助教 福松 嵩博

    <新任教員紹介>

    1.専門分野

    高分子化学、物理化学 2.研究課題

    ・高分子骨格構造と電荷移動度との相関 ・高分子-ナノ粒子フォトニック結晶 3.研究概要

    高分子材料(プラスチック)は軽量、フレキ

    シブル、加工しやすさなど、無機材料には持ち

    合わせていない特徴を持っていることからさま

    ざまな分野で利用されています。この中で、「高

    分子同士を混ぜて新たな材料を作り出す」とい

    う技術はポリマーアロイと呼ばれており、有用

    な材料開発に向けて盛んに研究が行われていま

    す。私の研究では、ポリマーアロイ利用するこ

    とで、高分子の凝集構造と電荷移動度との関係

    を調べる研究、簡便なフォトニック結晶材料を

    開発する研究を行っています。 ①高分子骨格構造と電荷移動度との相関 近年、高い電荷移動度を持つ共役高分子の開

    発が進んでおり、有機薄膜太陽電池や有機 ELへの応用が期待されています。共役高分子の電

    荷移動度は骨格構造に大きく依存しているため、

    どのような骨格構造が電気を流すのに有効かを

    知ることが重要です。そこで、私の研究では、

    共役高分子を高分子マトリクスに混ぜこむこと

    で骨格構造の制御を行い、骨格構造と

    電荷移動度との相関を評価しています。例えば、

    代表的な p 型共役高分子である Regioregular poly(3-hexylthiophene)(P3HT)を高分子マトリクスに混ぜ込むことで、凝集構造が変化するこ

    とを電子吸収スペクトルにて観測しました。ま

    た、混合する濃度を変化させるにつれ電子吸収

    スペクトル、電荷移動度も変化することを確認

    しています(図 1)。この研究をさらに進めることで、高い電荷移動度を有する共役高分子の合成

    指針を与えることを目標としています。 ②高分子-ナノ粒子フォトニック結晶 機能性塗装材料の開発が進んでおり、長寿命

    化、遮熱性など、さまざまな用途に向けた改良

    が行われています。その中で、フォトニック結

    晶は特定の波長の光を反射するというユニーク

    な性質により、『退色しない色材』として応用が

    期待されています。一方、現在のナノ構造体作

    製手法では精密な加工技術が必要であり、色材

    として用いるにはコストがかかり、大面積化が

    困難です。そこで、自己集積によるポリマーコ

    ンポジット型フォトニックナノ構造体の簡便な

    作製手法の開発について研究しています。具体

    的には、ポリスチレン等のマトリクス中に粒子

    径が一定の無機材料を混合し、ナノ粒子の自己

    集積能力を駆動力とすることで、簡便かつ迅速

    なナノ周期構造体作製を行います(図 2)。このように、『簡単に作れる色あせない塗装』の開発を

    目指して研究を行っています。

    図 2. ポリマーコンポジット型フォトニック結晶のイメージ

    図 1. P3HTにマトリクスを混ぜた時の電子吸収スペクトルと電気伝導度

    顔写真

    マテリアル・バイオ工学コース 助教 福松 嵩博

  • - 10 -

    Thyrsiferyl 23-acetate (1)

    <新任教員紹介>

    1.専門分野

    天然物化学、生合成 2.研究課題

    ・海藻類が産生する二次代謝産物の生合成酵素

    の解析 ・海洋生物由来の新規活性物質の探索 3.研究概要

    海洋生物が産生する二次代謝産物の単離・構

    造決定および生理活性評価を行う一連の研究は、

    海洋天然物化学と呼ばれる。これまでに、5,000

    以上もの化合物が海洋生物から単離・報告され

    ている。海洋生物は、自身が産生する二次代謝

    産物を介して、同種や異性の誘因、外敵に対す

    る忌避作用・摂食阻害といった生物間相互作用

    を行っていると考えられている。とりわけ海藻

    類は、生育環境を移動することができないため、

    捕食者に対する忌避や摂食阻害といった防御手

    段は極めて重要である。そのため、海藻類は多

    様な二次代謝産物を産生し、それらを介した生

    物間相互作用を巧みに利用して自身の生育環境

    を確保している。

    このような背景から、海藻由来の二次代謝産

    物は、新規の医薬・工業面で有効活性を示す化

    合物のソースとして注目されており、その探索

    研究は世界中でおこなわれている。国内におけ

    る一例としては、北海道の特定の沿岸域に生育

    する紅藻マギレソゾ由来の含臭素トリテルぺノ

    イド類 thyrsiferol 類縁体 (1) が挙げられる。

    同化合物は、マウス白血病細胞株 P388 に対し

    て低濃度で細胞毒性を示し、プロテインフォス

    ファターゼ 2A の活性を特異的に阻害する。加

    えて、乳がん細胞におけるアポトーシス誘導も

    報告されている。これらの活性から、抗腫瘍薬

    や、抗がん剤への応用が期待される。

    生物由来の天然化合物を産業面へ応用するに

    は、効率良く多量に供給することが必要となる。

    しかしながら、一個体、一群体より得られる天

    然物は微量であるため、海藻類をはじめとした

    多くの海洋生物由来の二次代謝産物は、有効活

    性が見出されながらも、産業面で応用・実用化

    されているものは少ない。

    一方で、近年、有用活性を示す天然物の供給

    において、有機合成のほかに、二次代謝産物が

    酵素によって生体内で合成されるしくみ (生合

    成) に着目した研究が注目されている。酵素を

    用いた合成は、一般に常温常圧下での反応の進

    行が可能であり、立体選択性も高いと考えられ

    ている。そのため、有機合成と組み合わせるこ

    とで、より簡便な合成・供給方法の確立が期待

    されている。また、二次代謝産物の全生合成酵

    素の遺伝子を解明した後、それらを大腸菌など

    の培養の容易な生物へ遺伝子導入し、二次代謝

    産物を得る試み (異種生産技術) に関しても、

    開発や研究が進められており、菌類由来の二次

    代謝産物において、数十件の成功例もある。こ

    ちらの方法では、宿主となる生物を培養するこ

    とで、代謝産物の適時適量供給が可能となり、

    これまで大量供給の難しかった有用二次代謝産

    物に関して、新たな合成手法として期待されて

    いる。

    私の研究では、海洋生物が産生する二次代謝

    産物の活性に着目し、新規有用活性を示す二次

    代謝産物の探索を進めるとともに、海藻類が産

    生する二次代謝産物の生合成経路を解明し、生

    合成酵素を用いた合成法の確立を通して、未利

    用資源の産業面への応用・実用化を目指してい

    る。

    顔写真

    マテリアル・バイオ工学コース 助教 金子 賢介

  • - 11 -

    ※所属・役職は平成 27年 4月 1日現在

    平成26年度 科学研究費補助金・学術研究助成基金助成金

    研究種目 研究課題 研究者

    奨励研究 ブラックボックス化されている GNSS測量機の機能・原

    理可視化教材の開発

    教育研究支援センター

    技術職員 小屋畑 勝太

    基盤研究C 新しい適応アルゴリズムを用いた民俗芸能演奏の IT化

    とその普及・継承

    電気情報工学コース

    教授 工藤 憲昌

    基盤研究C 摩擦面温度制御によるPEEK樹脂軸受の焼付き防止

    システムの開発

    機械システムデザインコース

    教授 赤垣 友治

    基盤研究C NURBS基底関数を用いた特性ガラーキン法による

    高精度流体解析手法の開発

    環境都市・建築デザインコース

    教授 丸岡 晃

    基盤研究C 土骨格変化を考慮した火山灰質地盤の地震時挙動と効

    果的な対策工の提案

    環境都市・建築デザインコース

    准教授 清原 雄康

    基盤研究C 英国「マネー・ドクター」に関する研究‐オットー・ニ

    ーマイヤー卿と大不況下の世界

    総合科学教育科

    准教授 佐藤 純

    基盤研究C PMA 試薬と分子生物学的手法による水系細菌感染リス

    クの再評価に関する研究

    環境都市・建築デザインコース

    教授 矢口 淳一

    基盤研究C 水道水質基準を満たすためのカビ臭物質除去機能を

    有する新規高分子膜の開発

    総合科学教育科 教授 菊地 康昭

    挑戦的萌芽研究 無線センサネットワークで切り拓くリアルタイムレス

    ポンスアナライザーの創製

    電気情報工学コース

    教授 工藤 隆男

    挑戦的萌芽研究 分子軌道法と分子動力学法を活用した新たな教材と教

    育法の開発

    電気情報工学コース

    教授 松橋 信明

    若手研究B がん・生活習慣病予防のための新規ゲノムディフェンダ

    ー食品の開発

    マテリアル・バイオ工学コース

    准教授 山本 歩

    若手研究B 臍帯血流予測シミュレーション技術とそれを用いた臨

    床胎児状態評価支援システムの開発

    機械システムデザインコース

    准教授 森 大祐

    基盤研究A(分担研究) 北リアスにおけるQOLを重視した災害復興政策研究

    -社会・経済・法的アプローチ

    総合科学教育科

    教授 河村 信治

    基盤研究B(分担研究) スロッシングで被害を受けた貯水槽の原因究明とそ

    の制振対策に関する研究

    環境都市・建築デザインコース

    教授 丸岡 晃

    基盤研究A(分担研究) 半導体非線形ナノメカニカル素子の研究 電気情報工学コース

    教授 中ノ 勇人

    基盤研究B(分担研究) 越波型波力発電開発に向けた越波量の定式化とそのシ

    ミュレーション技術の開発

    環境都市・建築デザインコース

    教授 南 將人

    基盤研究C(分担研究) 企業の女性技術者人材活用に関する実証的研究ー卒後

    含む工学女子長期キャリア教育構想

    総合科学教育科

    教授 阿部 恵

    基盤研究C(分担研究) 希土類の生体への影響:希土類の新規機能(抗菌)材料化

    に向けた生物学的アプローチ

    マテリアル・バイオ工学コース 准教授 山本 歩

    基盤研究C(分担研究) 岩手沿岸北部被災地復興における地域連携型のコンパ

    クトな居住モデルの導出

    総合科学教育科

    教授 河村 信治

    基盤研究C(分担研究) アジアにおける日本の技術者高等教育プログラムの相

    対的達成度と課題

    総合科学教育科

    准教授 菊池 秋夫

    基盤研究C(分担研究) 空間図形と数式の関連付けが線形代数の理解度を深め

    るしくみの研究

    総合科学教育科

    准教授 丹羽 隆裕

    基盤研究C(分担研究) 新しい適応アルゴリズムを用いた民俗芸能演奏の IT化

    とその普及・継承

    電気情報工学コース

    教授 釜谷 博行

    基盤研究C(分担研究) PMA 試薬と分子生物学的手法による水系細菌感染リス

    クの再評価に関する研究

    マテリアル・バイオ工学コース

    准教授 山本 歩

    挑戦的萌芽研究(分担研

    究)

    前庭系刺激によるパーキンソン病の姿勢反射障害改善

    効果

    機械システムデザインコース

    講師 黒沢 忠輝

  • - 12 -

    ※所属・役職は平成 27年 4月 1日現在

    平成26年度 共同研究

    研究題目 研究者

    金属射出成形法による生体材料製品の開発 機械システムデザインコース

    准教授 古谷 一幸

    膨潤型鉱物層間多孔物質の合成 マテリアル・バイオ工学コース 准教授 本間 哲雄

    アーク放電による新規ダイヤモンドコーティング装置の開発 マテリアル・バイオ工学コース

    教授 齊藤 貴之

    炭素繊維複合材料のリサイクル利用技術の開発 マテリアル・バイオ工学コース

    嘱託教授 杉山 和夫

    炭素繊維複合材料のリサイクル利用技術の開発 マテリアル・バイオ工学コース

    嘱託教授 杉山 和夫

    ウォータジェットを活用した中型魚用魚体処理装置の開発 機械システムデザインコース

    教授 沢村 利洋

    リサイクル炭素繊維強化熱可塑性プラスチック製造用中間原料の開発 マテリアル・バイオ工学コース

    嘱託教授 杉山 和夫

    光半導体における励起子効果を用いたデバイス機能の研究 電気情報工学コース

    教授 熊谷 雅美

    地域農産物の機能性分析 マテリアル・バイオ工学コース

    准教授 山本 歩

    炭素繊維複合材料のリサイクル利用技術の開発 マテリアル・バイオ工学コース 嘱託教授 杉山 和夫

    都市計画学領域における東日本大震災からの復興住民活動の活発化手法の検討 総合科学教育科

    教授 河村 信治

    ナノメカニカル構造における量子状態の研究 電気情報工学コース

    教授 中ノ 勇人

    炭素繊維複合材料のリサイクル利用技術の開発 マテリアル・バイオ工学コース 嘱託教授 杉山 和夫

    工場排水を有効利用したマイクロ水力発電装置の開発とその実証試験

    機械システムデザインコース

    教授 沢村 利洋

    環境都市・建築デザインコース

    教授 南 將人

    平成26年度 受託研究

    研究題目 研究者

    ウォータージェットを活用した中型魚用魚体処理装置の開発 機械システムデザインコース

    教授 沢村 利洋

    リサイクル炭素繊維強化熱可塑性プラスチック製造用中間原料の開発 マテリアル・バイオ工学コース

    嘱託教授 杉山 和夫

    化学研磨液による銅エッチングの速度論的解析 マテリアル・バイオ工学コース

    教授 松本 克才

    Cu合金及びAI合金の電気化学的な物性の研究 マテリアル・バイオ工学コース

    教授 松本 克才

    「平成26年度 新規希少金属プロジェクトのための事前検討」水素製造用触媒

    分野における貴金属削減・軽希土類活用の検討/耐熱性γ-アルミナの調整方法

    検討

    マテリアル・バイオ工学コース

    教授 長谷川 章

    金属射出成形法による生体材料製品の開発 機械システムデザインコース 准教授 古谷 一幸

  • - 13 -

    ※所属・役職は平成 27年 4月 1日現在

    平成26年度 受託事業

    研究題目 研究者

    平成26年度人材育成支援事業「CAD/CAMシステムの基礎と実際」講座 機械システムデザインコース

    准教授 村山 和裕

    平成26年度「産学連携・課題解決型医療福祉関連機器等研究開発モデル実証業

    務」(体内流動状態観察システムの開発~CTデータと 3Dプリンタを活用したシス

    テム構築に向けた流れの可能化手法開発~)

    機械システムデザインコース

    教授 沢村 利洋

    平成26年度「産学連携・課題解決型医療福祉関連機器等研究開発モデル実証業

    務」(3Dプリンタと組み込み技術を用いた高血圧改善ハンドグリッパの創成)

    電気情報工学コース

    教授 工藤 隆男

    平成26年度八戸市粉体関連特性調査事業 機械システムデザインコース

    准教授 古谷 一幸

  • - 14 -

    <平成 26年度 大学改革推進等補助金>

    大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業

    事業担当者:環境都市・建築デザインコース 教授 矢口 淳一

    本プロジェクトは、東北地区6高専が連携のもとに被災地の短・中・長期的なニーズに基づき各高専

    のシーズとマッチングさせて、課題解決できる人材育成システムを産学官連携により構築し地域社会に

    定着させることを目的に実施するものであり、文部科学省の平成 23~27 年度「大学等における地域復興のためのセンター的機能整備事業」として採択されている。このうち八戸・一関高専では港湾施設、

    河川堤防、宅地盛土などインフラ整備や、復興計画への参画を通じて地域を支援できる技術者を育成す

    る。平成 26 年度は、復興道路とも呼ばれている現在建設中の三陸縦貫道、階上伸張工事現場と東北電力㈱八戸技術センターのメガソーラー施設を 12 月4日に見学した。また1月6日に「復旧・復興に向けた取り組み」と題して、現在実際に復興事業に携わっている岩手県山田町の助川和典氏と若築建設㈱

    の下机洋輔氏をお招きして講演会を実施した。岩手県野田村への支援活動は、5~3月まで月1回程度定期的に学生ボランティア支援活動を行い、農地の整備、農業の手伝い、イベントの準備など被災者と

    の交流を継続して行った。また 8月 18~21日には第4回野田村シャレット・ワークショップを他団体と共に実施し、1泊の民泊を含めより深い3日間の地元体験を持ち帰り、実践的な復興まちづくり提案

    を2月に野田村で行った。防災教育の調査・研究では、震災で崩壊した岩手県二戸市の宅地盛土現場の

    シラスにセメントを混合し、セメント固化による液状化強度向上に関する効果について検討した。また

    水分、粒度の液状化に及ぼす影響について解析した。 <平成 26年度 知的財産に関する創造力・実践力・活用力開発事業に係る開発推進校 教育実践経費>

    産業財産権標準テキストを創成科目に活用した知的財産教育

    事業担当者:電気情報工学コース 教授 工藤 憲昌

    本事業は(独)工業所有権情報・研修館(INPIT)による事業で本校は H24年度から参加している。本事業では、産業財産権標準テキストを基にした討論、特許検索を通じて、知的財産マインドの育成を図

    り利活用の素地をつくることを目標としている。本校では、学生が企画立案し、各種の方式検証や実験

    を通して、創造性を高めることを目的とした電気情報工学科 4学年の「創成実験」において、部分的に知的財産権教育を展開した。また、H22年度から 5学年の選択科目「知的財産権」を開講している。 電気情報工学科4年の「創成実験」において、知的財産権の概要、知的財産権の活用,権利侵害とそ

    の対応について数回に渡って説明し,パテントトロールの DVD を部分的に視聴した。また、1 回目の講演「知的財産権の制度と利点」では、発明、産業上の利用可能性、新規性についての演習を行った(85名参加)。2回目の講演「知的財産権の検索方法と事例紹介」では、本県の知的財産権の活動状況の説明を含め講演の復習を行ってもらった後、特許電子図書館(IPDL)検索を行った(86 名参加)。さらに、創成実験の成果物の中から4点選び,弁理士の方を前に成果物の技術説明・先行技術調査結果の説明す

    ることで技術相談をした。客観的な質問に答えることで、 非常に勉強になったようである。 5学年の「知的財産権」では、知的財産権の基礎的事項、 パテントマップガイダンスを用いた表示件数の絞込みの 方法等の検索実習に加え、卒業研究等の内容について簡易 的な明細書を作成しパテントマップを基に先行技術調査を 行ってもらった。これらにより、知財マインドを養成でき たと考えている。

    <外部講師による講演会>

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    <平成 26年度 大学改革推進等補助金>

    地(知)の拠点整備事業

    事業担当者:機械システムデザインコース 教授 沢村 利洋

    本事業は、大学等が自治体を中心とした地域社会と連携し、全学的に地域を志向した教育・研究・社

    会貢献を進めることで、さまざまな人材、情報、技術が集まる、地域コミュニティの中核的存在となる

    ことを目的とした文部科学省の事業であり、本校は平成 26年度から平成 30年度の実施期間で採択されている。なお、平成 26年度は、全国の国公私立大学等から 237件の申請があり、25件が採択され、本校は高専で唯一の採択校であった。本校の事業は「青森の資源や人財のコンピテンシィ育成拠点プログ

    ラム」と題し、青森県の産業の中心都市、八戸市およびその周辺地域において、良質な農水産資源や多

    様なエネルギーの有効利用、産業の活性化と国際的人材育成という課題に対して、地域との効果的な連

    携を構築しながら解決を図り、平成 27 年度より実施されている学科再編に伴う組織改革・カリキュラム改正に反映させることで、地域志向性をより高くした教育を展開し、地域ニーズに応じた社会貢献を

    実施するものである。平成 26 年度は、実施体制の整備および内容の準備に加え、地域へのPR活動を主として行った。平成 27年 2月 11日には、地域への本事業の周知を目的として、八戸ポータルミュージアムはっちにおいて、キックオフフォーラムを開催した。特別講演、パネルディスカッションとも今

    後の展開における指針を示すものとなり、来場者にも好評であった。平成 27 年度より本格的に地域と連携した教育・研究・社会貢献を実施していく予定である。 〈キックオフフォーラム〉

    〈特別講演中の講師 阿部 哲也 氏〉 〈パネルディスカッションの様子〉

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    <産学官金連携協定>

    平成 27年 4月 1日現在 八戸工業高等専門学校は、研究者の学術相互交流・相互履修・教育交流・教育研究協力を目的とした学学協定、人材の活用・ノウハウの共有を目的とした学官協定、地域社会への貢献を目的とした学金協

    定、及び国際交流を目的とした協定を締結した。 ◎協定締結状況

    締結年月日 締結機関 協定の標題

    平成 17年 9月 1日

    東北大学大学院工学研究科・情

    報科学研究科・環境科学研究科

    八戸工業高等専門学校

    一関工業高等専門学校

    宮城工業高等専門学校

    仙台電波工業高等専門学校

    秋田工業高等専門学校

    東北大学大学院工学研究科、情報科学研究

    科及び環境科学研究科と八戸工業高等専

    門学校、一関工業高等専門学校、宮城工業

    高等専門学校、仙台電波工業高等専門学校

    及び秋田工業高等専門学校との学術交流

    に関する協定

    平成 17年 12月 1日 フランス共和国リールA技

    術短期大学

    八戸工業高等専門学校

    日本国八戸工業高等専門学校とフランス

    共和国リールA技術短期大学における学

    術交流に関する協定

    平成 18年 1月 27日 弘前大学理工学部 八戸工業高等専門学校

    弘前大学理工学部と八戸工業高等専門学

    校との間における相互履修に関する協定

    平成 18年 3月 10日 八戸市 八戸工業高等専門学校

    八戸工業高等専門学校と八戸市との相互

    友好協力協定

    平成 18年 8月 30日 商工組合中央金庫八戸支店 八戸工業高等専門学校

    産学連携の協力推進に係る協定

    平成 19年 6月 8日 八戸聖ウルスラ学院高等学校 八戸工業高等専門学校

    八戸工業高等専門学校と八戸聖ウルスラ

    学院高等学校との教育交流に関する協定

    平成 19年 10月 26日 八戸工業大学

    八戸大学

    八戸工業高等専門学校

    八戸工業大学、八戸大学及び八戸工業高等

    専門学校の学術交流に関する協定

    平成 19年 11月 15日 青森銀行 八戸工業高等専門学校

    八戸工業高等専門学校と株式会社青森銀

    行との連携協力協定

    平成 19年 11月 22日 みちのく銀行 八戸工業高等専門学校

    八戸工業高等専門学校と株式会社みちの

    く銀行との産学連携協力協定

    平成 20年 3月 25日 弘前大学大学院理工学研究科 八戸工業高等専門学校

    弘前大学大学院理工学研究科と八戸工業高等専

    門学校との教育研究協力に関する協定

    平成 20年 5月 1日

    東北大学大学院医工学研究科

    八戸工業高等専門学校

    一関工業高等専門学校

    宮城工業高等専門学校

    仙台電波工業高等専門学校

    秋田工業高等専門学校

    鶴岡工業高等専門学校

    福島工業高等専門学校

    東北大学大学院医工学研究科と東北地区

    7高専の学術交流協定

    平成 21年 2月 12日 エドグレン高等学校 八戸工業高等専門学校

    2校間の姉妹校締結

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    協定締結状況

    締結年月日 締結機関 協定の標題

    平成 21年 3月 6日 公立大学法人青森県立保健大学 八戸工業高等専門学校

    2校間の学術研究に関する交流協定

    平成 21年 9月 28日 青森県立図書館 八戸工業高等専門学校

    2機関の連携・協力に関する協定

    平成 21年 10月 28日 山形大学工学部 八戸工業高等専門学校

    2校間の教育研究交流に関する協定

    平成 22年 4月 29日 フランス共和国リールA技

    術短期大学

    八戸工業高等専門学校

    日本国八戸工業高等専門学校とフランス

    共和国リールA技術短期大学における学

    術交流に関する協定の更新締結

    平成 22年 5月 4日 フランス共和国エックサン

    プロバンス技術短期大学

    八戸工業高等専門学校

    日本国八戸工業高等専門学校とフランス

    共和国エックサンプロバンス技術短期大

    学における学術交流に関する協定

    平成 22年 5月 10日 フランス共和国リールA技

    術短期大学

    東北地区高等専門学校

    日本国東北地区高等専門学校とフランス

    共和国リールA技術短期大学における学

    術交流に関する包括協定

    平成 23年 4月 1日 東北大学サイバーサイエン

    スセンター

    東北地区高等専門学校

    東北大学サイバーサイエンスセンターと 八戸工業高等専門学校、一関工業高等専門

    学校、仙台高等専門学校、秋田工業高等専

    門学校、鶴岡工業高等専門学校、福島工業

    高等専門学校との学術交流に関する協定

    平成 23年 10月 20日

    弘前大学大学院理工学研究科

    八戸工業高等専門学校

    岩手大学工学部

    一関工業高等専門学校

    4校の研究・教育分野の相互協力に関する

    協定

    平成 23年 11月 22日 北陸先端科学技術大学院大学 八戸工業高等専門学校

    北陸先端科学技術大学院大学と八戸工業

    高等専門学校との推薦入学に関する協定

    平成 24年 3月 2日

    フィンランド国ヘルシン

    キ・メトロポリア応用科学大

    学、トゥルク応用科学大学

    東北地区高等専門学校

    フィンランド国ヘルシンキのメトロポリ

    ア及びトゥルクの両応用科学大学と東北

    地区6高専との学術交流協定

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    平成26年度 八戸工業高等専門学校産業技術振興会事業

    期 日 内 容 等 場 所

    平成 26年

    6月 20日

    役 員 会:平成 25年度事業・決算報告、平成 26年度事業計画・予算

    承認

    定時総会:平成 25年度事業・決算報告、平成 26年度事業計画・予算

    承認

    講 演 会

    演題:「電子ビームを用いた金属版3Dプリンターの特徴と将来展望」

    講師:東北大学金属材料研究所

    准教授 小泉 雄一郎 氏

    参加者:73名

    八戸グランド

    ホテル

    12月2日

    研究室めぐり(八戸地域高度技術振興センター主催)

    (1) 各学科研究事例紹介(研究シーズの提案) 4件

    (2) 教員の専門分野、研究題目の紹介

    (3) 研究室見学 4室(4専門学科)

    参加者:37名

    八戸高専

    平成 27年

    3月 3日

    八戸工業高等専門学校 キャリア教育プログラム 企業内容説明会

    目 的:産業技術振興会会員企業及び、過去 5年間に採用実績のある企業

    が事業内容を紹介する場を提供し、学生の職業観や勤労観を涵養

    する。

    対 象:八戸高専本科第 4年生、専攻科第 1年生等とその保護者

    参加者:企業 119社、本科 4年生、専攻科 1年生等、保護者 12名

    八戸高専

    第一、 第二

    体育館

    2月 24日

    学による企業見学会

    見学先企業:ニッコーム株式会社

    参加者:八戸高専 5名、他機関 7名

    ニッコーム株

    式会社

    八戸高専の

    教育研究援

    助に関する

    事業

    1.教育研究助成

    (1) 国際学会出席 1件

    2.学校運営助成

    (1) 産学官連携に関する会議等

    (2) 外部評価受審に係る助成

    (3) その他

  • - 19 -

    平成26年度 八戸高専「研究室めぐり」

    「研究室めぐり」は、地域企業が課題解決、技術開発、経営革新及びそれに基づく新規事業展開のヒントを得ること、また、八戸高専の研究者が企業等のニーズを収集し今後の研究進展の方向性を探るこ

    とを目的に平成 8 年度から実施している。平成 26 年度は、製造業を中心とした企業技術者、一般市民

    など 20名が参加し開催された。

    各学科の教員 4名による研究事例紹介が行われ、引き続き各学科長より所属教員の研究分野と特色あ

    る研究課題の説明が行われた。

    その後、各学科の教員 4名に関連する実験室・実験設備の見学が行われた。

    最後に、企業の抱える技術的ニーズや技術的課題に関する質疑があり、制限された短時間ながら専門

    的な応答が行われた。

    日 時 : 平成 26年 12月 2日(火)13時 30分~16時 30分 会 場 : 八戸工業高等専門学校 主 催 : 公益財団法人八戸地域高度技術振興センター、八戸高専地域テクノセンター 後 援 : 八戸高専産業技術振興会 № 発表者 発表課題 見学場所

    1 機械工学科

    助教 白田 聡

    重力補償機構を搭載したヒューマノイド

    ロボットの開発

    知能機械実験室

    (機械工学科棟2階)

    2 電気情報工学科

    准教授 中村 嘉孝

    パーソナル・ヘルスケアのための生体情報

    センシング用高感度センサー材料の開発

    材料準備室

    (電気情報工学科棟2階)

    3 物質工学科

    准教授 佐藤 久美子

    ポリオキサゾリンを用いた機能性高分子

    材料および有機/無機複合材料の開発

    高分子化学実験室

    (物質工学科棟2階)

    核磁気共鳴室

    (地域テクノセンター2階)

    4 建設環境工学科

    准教授 馬渡 龍 八戸高専・低燃費住宅について

    CAD室

    (建設環境工学科棟2階)

    第10回 学による企業見学会

    大学・高専の研究者が企業や工場等を見学し、企業が現在抱えている技術的課題や研究開発についての認識を深め、企業のニーズを研究テーマとして取り入れ、地域産業の更なる高度化を促すことを目的

    として実施された。10回目となる今回は、三沢市のニッコーム株式会社の製造技術・作業工程を見学し、

    併せて同社が抱えている技術課題について活発な質疑応答が行われた。 主 催 : 公益財団法人八戸地域高度技術振興センター 会 場 : ニッコーム株式会社

    日 時 : 平成 27年 2月 24日(火) 14時~17時

    参 加 者 : 八戸高専教職員 5名、他機関 7名

  • - 20 -

    弘前大学大学院理工学研究科・八戸工業高等専門学校・一関工業高等専門学校・

    岩手大学工学部 学術交流会

    平成 26年 7月 18日、「弘前大学大学院理工学研究科・八戸工業高等専門学校・一関工業高等専門学

    校・岩手大学工学部 学術交流会」が岩手大学工学部を主管校として開催された。

    この「学術交流会」は弘前大学・岩手大学・一関高専・八戸高専の学術協力協定に基づいて、研究内

    容・産学連携の事例の紹介を通じて研究者、学生同士の交流を図り、地域企業との産学官連携を深める

    契機とするもので、毎年開催している。

    今回も、学生の発表を中心に、ショートプレゼンテーション 33件、ポスター発表 3件が行われた。

    4校で 83名の参加があり、活発な質疑応答が行われた。

    平成26年度「八戸工業高等専門学校キャリア教育プログラム」

    企業内容説明会

    本校学生に対するキャリア教育の一環として、学生に企業の事業内容を紹介する場を提供し、将来の

    職業観や勤労観を涵養させることを目的として実施した。参加企業は過去 5年間に本校から採用実績の

    ある企業で、昨年度より 24社多い 119社が参加した。午前は企業によるプレゼンテーション、午後は

    企業によるブースごとの説明という形式で行われた。ほぼ全ての参加企業がまた参加したいとのことで、

    本校学生からも大変好評であった。

    日 時:平成 27年 3月 3日(火) 9時 15分~16時

    会 場:八戸高専 第 1、第 2体育館

    参 加 者:本科 4年生、専攻科 1年生等、保護者、企業 119社

  • - 21 -

    第7回教育研究支援センター技術発表会

    技術長 吉田 光男

    教育研究支援センターの技術発表会は、本校の教育研究活動を支援する技術職員の研究成果や技術のノウハウ及

    び参加した研修会の内容を共有することを目的として開催している。教育研究支援センターとして7回目となる今

    回は、本校教職員16名が参加して行われた。

    1:期 日 平成27年2月26日(木) 15:00~

    2:会 場 八戸工業高等専門学校 中会議室

    3:日 程

    挨拶 教育研究支援センター長 矢口 淳一

    研修報告および技術発表

    ① 技術発表「新しく導入した3Dプリンタについて」 研修報告「平成26年度東日本地域国立高等専門学校技術職員特別研修会報告」

    技術専門職員 遠田 達也

    ② 研修報告「第16回東北地区国立高等専門学校技術職員研修報告」 技術専門職員 赤坂 徹

    ③ 技術発表「高効率水車を探究するエネルギー環境教育教材の開発」 技術職員 小屋畑 勝太

    ④ 研修報告「平成26年度東北地区国立大学法人等技術職員研修報告」 技術専門職員 大澤 啓志

    ⑤ 研修報告「平成26年度 IT人材育成研修会及び情報担当者研修会報告」 技術専門員 伊藤 光博

    謝辞 技術長 吉田 光男

  • - 22 -

    教育研究支援センターの活動

    技術長 吉田 光男

    技術職員の組織化は、平成10年4月に学生課に所属する技術室として発足し、平成16年4月から地域テクノ

    センターの所属となった。更に、平成20年12月に教育研究支援センターという新たな組織としてスタートした。

    平成26年度の教育研究支援センター長は建設環境工学科の矢口淳一教授が担当し、技術長以下、常勤の技術職

    員9名、非常勤(再雇用)の技術職員1名の体制で支援している。

    教育研究支援センターには教育研究・実験支援グループと教育実習支援グループが置かれ、それぞれの技術職員

    が、学生の実験・実習及び卒業研究や特別研究等における技術支援、教員の教育研究活動に伴う技術支援、ものづ

    くりセンターへの技術支援、総合情報センターへの技術支援、地域テクノセンターへの技術支援など多岐にわたる

    業務を行っている。また、人材育成事業「CAD/CAMシステムの基礎と実際」、本校公開講座「第二種電気工事

    士技能試験事前講習会」、地域開放特別事業「化学の学校」、その他、多くの公開講座や地域公民館への出前講座な

    どで活躍している。平成27年度も同様の支援を実施する予定である。

    また、平成26年度は東北地区連携の推進のため次に掲げる取り組みを行った。

    ① 第16回東北地区国立高等専門学校技術職員研修への参加 平成26年度は鶴岡高専を主管校として、8月27日(水)~8月29日(金)に開催された。参加者は、

    31名、7件の技術課題の発表が行われ、全員による討議を行った.八戸高専からは3名参加し、技術課題の

    発表は1名1件の参加をし、技術情報交換会にも参加した。

    ② 技術長会議への参加 上記の技術職員研修会に合わせて、平成26年度東北地区国立高等専門学校技術長会議が鶴岡高専で開催さ

    れ、6高専7名の技術長が集まり、鶴岡高専の鈴木技術長を議長に、4件の協議題と10件の承合事項につい

    て討議と情報交換を行った。

    その他、次の研修会等に参加した。

    ① 独立行政法人国立高等専門学校機構東日本地域高等専門学校技術職員特別研修会(電気系)への参加 平成26年度は、福井高専の主管で8月20日(水)~22日(金)、長岡技術科学大学を会場に開催され

    た。本校からは1名の技術職員が参加した。

    ② 東北地区国立大学法人等技術職員研修会への参加 平成26年度は東北大学の主催で9月16日(火)~19日(金)まで開催され、本校から1名の技術職員が参

    加した。

    ③ 東北地区国立大学法人等中堅職員研修会への参加 平成26年度は福島大学の主催で10月8日(水)~10日(金)まで開催され、本校から1名の技術職員

    が参加した。

    ④ IT人材育成研修会(無線LAN)への参加 高専機構主催で平成26年10月14日(火)から16日(木)まで開催され、本校から1名の技術職員が参加

    した。

    ⑤ 情報担当者研修会への参加 高専機構主催で平成26年11月10日(月)から12日(水)まで開催され、本校から1名の技術職員が参加

    した。

  • - 23 -

    平成26年度八戸高専公開講座実施状況

    講 座 名 開催日[日数、時間数] 開 催 場 所 対 象 参加

    人員

    建設環境工学公開講座シリーズ

    -まちづくり講演- 6月 14日(土) [1日、3時間] 合併教室 一般市民、中学生 15

    メカ noワールド体験塾 Aコース 6月 28日(土) [1日、6時間] 機械工学科

    創造設計室ほか

    中学生

    中学校教員 26

    建設環境工学公開講座シリーズ

    -ソイルブリッジコンテスト- 7月 19日(土) [1日、3時間]

    建設環境工学科

    Z4・Z5教室

    中学生、保護者

    中学校教員 6

    第二種電気工事士技能試験事前講習会 7 月 19 日(土),20 日(日),21 日(月)

    [3日間、15時間]

    電気情報工学科

    創造工房、その他

    第二種電気工事士

    技能試験受験者 11

    ジュニアロボット教室 7月 21日(月) [1日、3時間] 電気情報工学科

    電気電子実験室

    小学校 5年生以上

    及び中学生、保護

    16

    ロケットはなぜ飛ぶか

    ~PETボトルロケットコンテスト~ 8月 23日(土) [1日、3.5時間]

    機械工学科

    教室ほか 小学生 11

    建設環境工学公開講座シリーズ

    -ブリッジコンテスト- 9月 6日(土) [1日、4.5時間]

    建設環境工学科

    Z4・Z5教室

    中学生、保護者

    中学校教員 10

    メカ noワールド体験塾 Bコース 9月 6日(土) [1日、6時間] 機械工学科 創造設計室ほか 中学生、中学校教員 24

    ジュニア柔道 クリニック イン 高専 9月 8日(月),9日(火),10日(水)

    [3日間、6時間]

    八戸高専武道館及び

    体育館 小・中学生 9

    建設環境工学公開講座シリーズ

    -建築模型- 9月 27日(土) [1日、4時間]

    建設環境工学科

    Z4・Z5教室

    中学生、保護者

    中学校教員 12

    建設環境工学公開講座シリーズ

    -防災- 10月 4日(土) [1日、4.5時間]

    建設環境工学科

    Z4・Z5教室

    中学生、保護者

    中学校教員 3

    平成27年度八戸高専公開講座実施計画

    講 座 名 開催日[日数、時間数] 開