これで大丈夫!...
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これで大丈夫!
経口抗がん薬の正しい使い方
2013.3.21 市民公開がん講座
がん薬物療法認定薬剤師 坂田 幸雄
さかた ゆきお
Hakodate Hakodate Hakodate Hakodate Municipal Municipal Municipal Municipal HospitalHospitalHospitalHospital
語句の解説
経口抗がん薬?
経口・・・一般的に物質が口から入ること
(内服:消化管を経由)
抗がん薬・・・がん細胞をやっつける薬
イメージは・・・髪の毛が抜ける
むかむかしてご飯が食べれなくなる
口内炎ができたり、下痢になるなど
抗がん薬には副作用が付き物
一般薬一般薬一般薬一般薬ではではではでは薬薬薬薬のののの効果効果効果効果がががが先先先先にににに出出出出てそのあとてそのあとてそのあとてそのあと薬薬薬薬のののの濃度濃度濃度濃度がががが高高高高くなるとくなるとくなるとくなると副作用副作用副作用副作用をををを生生生生じるじるじるじる
がががが、、、、大多数大多数大多数大多数のののの抗抗抗抗がんがんがんがん剤剤剤剤はははは薬薬薬薬のののの効果効果効果効果よりもよりもよりもよりも低低低低いいいい濃度濃度濃度濃度でででで副作用副作用副作用副作用をををを生生生生じるじるじるじる....従従従従ってってってって,,,,
抗抗抗抗がんがんがんがん剤剤剤剤のののの投与投与投与投与にはにはにはには副作用副作用副作用副作用はははは避避避避けられないけられないけられないけられない....
薬理作用・・・薬の効果 中毒作用・・・薬の副作用
錠剤 カプセル剤 粉薬・顆粒
経口抗がん薬の剤形
抗がん薬の種類
経口抗がん薬
注射抗がん薬
外用抗がん薬
殺細胞
分子標的
ホルモン
免疫賦活
投与方法 分類(グループ)
経口抗がん薬
・殺細胞抗がん薬
・分子標的治療薬
・ホルモン療法薬
・免疫賦活薬
殺細胞抗がん薬
特徴
薬品
がん細胞を壊して増殖を抑えて癌の治療をする。
一方で一部の正常な細胞まで壊してしまう。
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
エンドキサン シクロホスファミド
プロカルバジン プロカルバジン
テモダール テモゾロミド
メソトレキセート メトトレキサート
ゼローダ カペシタビン
ユーエフティ(E)
テガフール
ウラシル
アルケラン メルファラン
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
ティーエスワンティーエスワンティーエスワンティーエスワン
テガフールテガフールテガフールテガフール
ギメラシルギメラシルギメラシルギメラシル
オテラシルオテラシルオテラシルオテラシルKKKK
スタラシド シタラビン
ロイケリン メルカプトプリン
フルダラ フルダラビン
ユーゼル ホリナートCa
ハイドレア ヒドロキシカルバミド
ベプシド エトポシド
分子標的治療薬
特徴
薬品
細胞の増殖や浸潤、転移などに関わるがん細胞
特有の分子をターゲット。(がん細胞のみ標的)
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
イレッサ ゲフェチニブ
タルセバ エルロチニブ
グリベック イマチニブ
ネクサバールネクサバールネクサバールネクサバール ソラフェニブソラフェニブソラフェニブソラフェニブ
スーテント スニチブ
サレド サリドマイド
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
タシグナ ニロチニブ
スプリセル ダサチニブ
タイケルブ ラパチニブ
アフィニトール エベロリムス
レブラミド レナリドミド
ベサノイド トレチノイン
ホルモン療法薬
特徴
薬品
ホルモンの分泌を促進または抑制する薬剤を用
いる治療薬。
(乳がん・子宮体がん・前立腺がん)
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
タスオミン タモキシフェン
トレミフェン トレミフェン
アリミデックス アナストロゾール
エキセメスタン エキセメスタン
フェマーラ レトロゾール
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
プロゲストン メドロキシPg
ビアセチル エストラムスチン
ビカルタミド ビカルタミド
免疫賦活薬
特徴
薬品
商品名商品名商品名商品名 一般名一般名一般名一般名
クレスチン PSK
ベスタチン ウベニメクス
抗がん剤との併用によりがんの再発抑制や延命
効果の期待。がん細胞を直接攻撃するわけでは
ないので、強い副作用はない。
H25.1.23 北海道新聞 夕刊
The Moacone West Building
San Francisc, Ca.
2013201320132013
� 膵癌補助化学療法研究グループJapan Adjuvant Study
Group of Pancreatic cancer(JASPAC)の略であり、
JASPAC01試験はこのグループで実施された一つ目の
試験。
� これまで、膵癌手術後の補助化学療法として注射剤
であるゲムシタビン 6ヵ月間投与が標準療法。
� JASPAC01は、膵癌切除後においてゲムシタビンに対す
るTS-1の効果を検証した試験。
JASPACとは
ゲムシタビン
6ヶ月間投与
ティーエスワン
6ヶ月間服用
膵膵膵膵がんがんがんがん手術後手術後手術後手術後
対象対象対象対象::::がんががんががんががんが肉眼的肉眼的肉眼的肉眼的にににに
取取取取りりりり切切切切れたれたれたれた患者患者患者患者さんさんさんさん
目的:膵癌切除後の補助化学療法として、
ゲムシタビン療法に対するティーエスワン
療法の生存期間における効果を検証する。
R 無作為にどちらかに割り付けられる
JASPAC01JASPAC01JASPAC01JASPAC01((((TSTSTSTS----1111膵癌術後試験膵癌術後試験膵癌術後試験膵癌術後試験))))試験試験試験試験デザインデザインデザインデザイン
生存期間生存期間生存期間生存期間
2年後
2年後
ゲムシタビン
6ヶ月間投与
ティーエスワン
6ヶ月間服用
膵膵膵膵がんがんがんがん手術後手術後手術後手術後
対象対象対象対象::::がんががんががんががんが肉眼的肉眼的肉眼的肉眼的にににに
取取取取りりりり切切切切れたれたれたれた患者患者患者患者さんさんさんさん
この試験は、ティーエスワンを服用した187人と従来の治療であるゲ
ムシタビンを投与された191人についての結果であるが、理解しやす
いために「100人中○○人」として表現している。
100人中
71717171人
100人中
51515151人
再発再発再発再発するするするする
危険性危険性危険性危険性
再発再発再発再発するするするする
危険性危険性危険性危険性
100人中
47474747人
死亡死亡死亡死亡するするするする
危険性危険性危険性危険性
100人中
30303030人
死亡死亡死亡死亡するするするする
危険性危険性危険性危険性
ティーエスワン投与によりゲムシタビンと比べて
死亡する危険性を44%低下。
JASPAC01JASPAC01JASPAC01JASPAC01((((TSTSTSTS----1111膵癌術後試験膵癌術後試験膵癌術後試験膵癌術後試験))))データデータデータデータ概要概要概要概要
白血球白血球白血球白血球
ヘモグロビンヘモグロビンヘモグロビンヘモグロビン
血小板血小板血小板血小板
クレアチニンクレアチニンクレアチニンクレアチニン
口内炎口内炎口内炎口内炎
ASTASTASTAST
ALTALTALTALT
食欲不振食欲不振食欲不振食欲不振
嘔吐嘔吐嘔吐嘔吐
下痢下痢下痢下痢
有害事象有害事象有害事象有害事象
テガフールテガフールテガフールテガフール
5555----FUFUFUFU
がんをがんをがんをがんを小小小小さくするさくするさくするさくする
症状症状症状症状をををを軽軽軽軽くするくするくするくする
骨髄機能骨髄機能骨髄機能骨髄機能のののの抑制抑制抑制抑制
消化管障害消化管障害消化管障害消化管障害
オテラシルカリウオテラシルカリウオテラシルカリウオテラシルカリウ
ムムムム
((((副作用副作用副作用副作用をををを和和和和らげるらげるらげるらげる))))
ギメラシルギメラシルギメラシルギメラシル
((((分解分解分解分解をををを抑抑抑抑えるえるえるえる))))
分解物分解物分解物分解物
((((休薬休薬休薬休薬によりによりによりにより回復回復回復回復))))
ティーエスワンティーエスワンティーエスワンティーエスワンはははは,,,,がんがんがんがん細胞細胞細胞細胞のののの増殖増殖増殖増殖をををを抑抑抑抑ええええ小小小小さくするさくするさくするさくする作用作用作用作用をををを持持持持っていてっていてっていてっていて,,,,カプセルカプセルカプセルカプセル
のののの中中中中にはにはにはには3333種類種類種類種類のののの成分成分成分成分がががが入入入入ってるってるってるってる。。。。
テガフールテガフールテガフールテガフール::::体体体体のののの中中中中でででで,,,,徐徐徐徐々々々々にににに5555----FUFUFUFUにににに変換変換変換変換されされされされ,,,,がんがんがんがん細胞細胞細胞細胞のののの増殖増殖増殖増殖をををを抑抑抑抑えるえるえるえる。。。。
ギメラシルギメラシルギメラシルギメラシル::::テガフールテガフールテガフールテガフールからからからから変換変換変換変換されたされたされたされた5555----FUFUFUFUのののの分解分解分解分解をををを抑抑抑抑ええええ,,,,5555----FUFUFUFU濃度濃度濃度濃度をををを高高高高めるめるめるめる。。。。
オテラシルカリウムオテラシルカリウムオテラシルカリウムオテラシルカリウム::::5555----FUFUFUFUのののの副作用副作用副作用副作用であるであるであるである消化管障害消化管障害消化管障害消化管障害をををを抑抑抑抑えるえるえるえる。。。。
****骨髄機能骨髄機能骨髄機能骨髄機能のののの抑制抑制抑制抑制とはとはとはとは・・・・・・・・・・・・血液血液血液血液のののの成分成分成分成分をををを作作作作るるるる機能機能機能機能がががが抑制抑制抑制抑制されされされされ,,,,白血球白血球白血球白血球,,,,血小板血小板血小板血小板,,,,ヘモグロビンヘモグロビンヘモグロビンヘモグロビンなどがなどがなどがなどが減少減少減少減少することすることすることすること。。。。
ティーエスワンティーエスワンティーエスワンティーエスワンのののの作用作用作用作用
吸収吸収吸収吸収
分布分布分布分布
代謝代謝代謝代謝
排泄排泄排泄排泄
脳
肺
心臓
胃
小腸
肝臓
腎臓
のう
はい
しんぞう
かんぞう
じんぞう
しょうちょう
い
血中
濃度
血中
濃度
血中
濃度
血中
濃度
くすりのくすりのくすりのくすりの
「「「「血中濃度血中濃度血中濃度血中濃度」」」」というというというという
言葉言葉言葉言葉をををを知知知知っていますかっていますかっていますかっていますか????
●●●●1111日日日日にににに3333回服用回服用回服用回服用するくすりのするくすりのするくすりのするくすりの場合場合場合場合
(毒性発現最小濃度)
効効効効きききき目目目目がががが
現現現現れるれるれるれる範囲範囲範囲範囲
(最小有効濃度)
効効効効きききき目目目目がががが
現現現現れないれないれないれない範囲範囲範囲範囲
副作用副作用副作用副作用がががが
現現現現れるれるれるれる範囲範囲範囲範囲
くすりのくすりのくすりのくすりの「「「「血中濃度血中濃度血中濃度血中濃度」」」」とはとはとはとは・・・・・・・・・・・・
ティーエスワンティーエスワンティーエスワンティーエスワン のののの飲飲飲飲みみみみ方方方方
�身長身長身長身長とととと体重体重体重体重からからからから計算計算計算計算されるされるされるされる体表面積体表面積体表面積体表面積によってによってによってによって投与量投与量投与量投与量がががが決定決定決定決定するするするする。。。。
�通常通常通常通常2~~~~3カプセルカプセルカプセルカプセル((((またはまたはまたはまたは顆粒顆粒顆粒顆粒))))をををを 1日日日日2回回回回、、、、食後食後食後食後にににに服用服用服用服用。。。。
�原則的原則的原則的原則的にににに 28日間服用日間服用日間服用日間服用したしたしたした後後後後 14日間休薬日間休薬日間休薬日間休薬しししし、、、、これをこれをこれをこれを繰繰繰繰りりりり返返返返すすすす。。。。
※※※※ 状況状況状況状況にににに応応応応じてじてじてじて、、、、投与量投与量投与量投与量をををを少少少少しししし減減減減らしたりらしたりらしたりらしたり、、、、副作用副作用副作用副作用のののの状況状況状況状況からからからから
1111週間週間週間週間やややや3333週間週間週間週間のののの投与投与投与投与でででで休薬期間休薬期間休薬期間休薬期間をとるをとるをとるをとる場合場合場合場合もあるもあるもあるもある。。。。
繰り返す
7777日間日間日間日間おおおお休休休休みみみみ
繰り返す
標準的標準的標準的標準的なななな飲飲飲飲みみみみ方方方方
状況状況状況状況にににに応応応応じてじてじてじて・・・・・・・・
28日間毎日続けて飲む
繰り返す
28282828日間日間日間日間 毎日続毎日続毎日続毎日続けてけてけてけて飲飲飲飲むむむむ 14141414日間日間日間日間 おおおお休休休休みみみみ
14141414日間日間日間日間 おおおお休休休休みみみみ
14141414日間日間日間日間 毎日飲毎日飲毎日飲毎日飲むむむむ
14141414日間日間日間日間 毎日飲毎日飲毎日飲毎日飲むむむむ
※ 休薬期間をもうける理由
は骨髄機能抑制などの副作
用の回復を待つため。
食前食前食前食前
食事食事食事食事をするをするをするをする前前前前、、、、30303030分分分分からからからから
1111時間以内時間以内時間以内時間以内にににに服用服用服用服用するするするする
食間食間食間食間
食事食事食事食事とととと食事食事食事食事のののの間間間間
前前前前のののの食事食事食事食事からからからから2222時間時間時間時間ぐらいぐらいぐらいぐらい後後後後
<<<<食事食事食事食事のののの最中最中最中最中にににに服用服用服用服用することではないすることではないすることではないすることではない>>>>
寝寝寝寝るるるる前前前前
寝寝寝寝るるるる30303030分分分分からからからから1111時間前時間前時間前時間前にににに服用服用服用服用するするするする((((就寝前就寝前就寝前就寝前))))
食後食後食後食後
頓服頓服頓服頓服
症状症状症状症状をををを一旦抑一旦抑一旦抑一旦抑えるためえるためえるためえるため、、、、症状症状症状症状がががが出出出出たたたた時時時時にににに服用服用服用服用するするするする
<<<<例例例例えばえばえばえば>>>>熱熱熱熱がががが出出出出たたたた時時時時にににに服用服用服用服用するするするする
痛痛痛痛みがみがみがみが出出出出たたたた時時時時にににに服用服用服用服用するするするする
食事食事食事食事がががが終終終終わったわったわったわった後後後後、、、、30303030分分分分
以内以内以内以内にににに服用服用服用服用するするするする
服用方法服用方法服用方法服用方法
経口抗がん薬
・殺細胞抗がん薬
がん細胞を壊して増殖を抑えて癌の治療をする。一方で一部
の正常な細胞まで壊してしまう。
ティーエスワン
殺細胞抗がん薬による副作用
がん細胞のように速く増える細胞を攻撃するように作
られているが、正常な細胞にも増える速度がはやい
ものがあり、これらの細胞にも薬の影響が出てしまい、
副作用として現れる。
TS-TS-TS-TS-1111
どうして正常な細胞まで壊してしまうの?
抗がん剤の副作用 - 発現時期 -
では、実際に記入してみましょう
3 25 4 73/25 3/26 3/27 3/28 3/29 3/30 3/31
4/1 4/2 4/3 4/4 4/5 4/6 4/7
4 8 4 214/8 4/9 4/10 4/11 4/12 4/13 4/14
4/15 4/16 4/17 4/18 4/19 4/20 4/21
×○ ○○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
○○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2
4 1
ネクサバール
薬薬薬薬のののの服用方法服用方法服用方法服用方法
のののの確認確認確認確認
薬薬薬薬のののの服用方法服用方法服用方法服用方法
のののの確認確認確認確認
副作用副作用副作用副作用::::
手足手足手足手足のののの状態状態状態状態
副作用副作用副作用副作用::::
手足手足手足手足のののの状態状態状態状態
ネクサリンクに参加された方々の意見・感想
�携帯にかけてもらってるので、仕事しているけど電話は面倒ではない。
�結婚式があって高脂肪食が出ると思うんだけど、薬を何時に飲めば良
いのかわからなかったので、飲む時間を教えてもらって助かった。
�手足の症状出て来た時に、電話あって相談でき良かった。もし、電話な
かったら自分で薬止めてたかもしれない。
�毎週電話がかかってくるので安心です。
�手や足に圧力がかかるのがいけないのは聞いてたんだけど、ゴルフが
好きなんだよね。でも、薬剤師さんや看護師さんが一生懸命サポートして
くれるので、ゴルフは我慢してます。
�薬をお茶でのんでたんですけど、言われた通り必ずお水で飲んでます。
まとめ
経口抗がん薬は
① 殺細胞性、分子標的、ホルモン、免疫賦活薬
などの種類がある。
② 副作用や治療効果など、注射抗がん薬と同
等に取り扱う必要がある。
③ 注射抗がん薬と併用して使用する場合もある。
④ 服用方法を守って使用すれば、薬の効果が
最大限発揮でき、外来での治療が可能である。