政府におけるitガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1....

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1 政府における IT ガバナンスの確立・強化に向けて 平成 23 年3月2日 政府情報システム改革検討会 はじめに メインフレームの導入に始まり、クライアント/サーバ、インタ ーネット、クラウドコンピューティングなど、近年の急速な情報 通信技術(IT)の進化に伴い、政府における情報システムの利用 分野も急速な広がりを見せている。また、近年諸外国で進められ ているオープンガバメントの取組では、政治への国民参画にソー シャルメディアを積極的に活用している例もみられる。 IT は、行政の効率的運営や国民の利便性を飛躍的に向上させる ことにとどまらず、政府と国民との関係ひいては民主主義の在り 方にも大きな変革をもたらす可能性を秘めている。その便益を最 大限に享受するためには、IT のポテンシャルに対する深い洞察力 に基づいた明確なビジョンと、これを実現するための能力(IT バナンス)が必要不可欠である。しかしながら、これまでの電子 政府の取組を振り返る限り、我が国政府における IT ガバナンスは 十分機能しているとはいえない。 今後も進化し続けるであろう IT の変革の波に飲み込まれること なく、国民本位の電子政府を着実に推進するためには、政府にお ける IT ガバナンスの確立・強化が急務である。 当検討会では、このような認識の下、IT 投資管理をはじめとす る政府の IT ガバナンスを有効に機能させる方策について検討を行 い、今般、下記のとおり提言を取りまとめた。

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Page 1: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

1

政府における IT ガバナンスの確立・強化に向けて

平成 23 年3月2日

政府情報システム改革検討会

はじめに

メインフレームの導入に始まり、クライアント /サーバ、イン タ

ー ネ ッ ト 、 ク ラ ウ ド コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ な ど 、 近 年 の 急 速 な 情 報

通 信 技 術 ( IT) の 進 化 に 伴 い 、 政 府 に お け る 情 報 シ ス テ ム の 利 用

分 野 も 急 速 な 広 が り を 見 せ て い る 。 ま た 、 近 年 諸 外 国 で 進 め ら れ

て い る オ ー プ ン ガ バ メ ン ト の 取 組 で は 、 政 治 へ の 国 民 参 画 に ソ ー

シャルメディアを積極的に活用して いる例もみられる。

IT は、行政の効率的運営や国民の 利便性を飛躍的に向上させる

こ と に と ど ま ら ず 、 政 府 と 国 民 と の 関 係 ひ い て は 民 主 主 義 の 在 り

方 に も 大 き な 変 革 を も た ら す 可 能 性 を 秘 め て い る 。 そ の 便 益 を 最

大限に享受するためには、 IT のポテンシャルに対する深い洞察力

に基づいた明確なビジョンと、これ を実現するための能力( IT ガ

バ ナ ン ス ) が 必 要 不 可 欠 で あ る 。 し か し な が ら 、 こ れ ま で の 電 子

政府の取組を振り返る限り、我が国 政府における IT ガバナンスは

十分機能しているとはいえない。

今後も進化し続けるであろう IT の変革の波に飲み込まれること

な く 、 国 民 本 位 の 電 子 政 府 を 着 実 に 推 進 す る た め に は 、 政 府 に お

ける IT ガバナンスの確立・強化が急務である。

当検討会では、このような認識の下、 IT 投資管理をはじめとす

る政府の IT ガバナンスを有効に 機能させる方策について検討を行

い、今般、下記のとおり提言を取りまとめた。

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1. IT 投資管理の確立・強化

(1) 政府における IT 投資管理の在り方(業務・システム 適化の

見直しについて)

① 成果主義への転換

現在の政府における IT 投資の効率化のための取組としては、

業務・システム最適化の取組がある。これは、米国連邦政府で

採用されていた EA( Enterprise Architecture)の手法を導入

し 、 政 府 の 業 務 及 び 情 報 シ ス テ ム を よ り 効 率 的 な 姿 に 再 設 計

(最適化)する取組であり、投資対効果の事前検証や評価のサ

イクルも導入するなど、政府における IT 投資管理のフレーム

ワークとして活用されているところである。

しかしながら、現在推進さ れている最適化の取組の多くは情

報システムのコスト削減に傾注しており、また、行政手続のオ

ンライン化の取組のように、そもそも手段で あるべき IT 投資

が目的化してしまったような取組な どもみられ、本来重視すべ

き 国 民 の 利 便 性 向 上 や 行 政 運 営 の 効 率 化 へ の 波 及 効 果 は 目 に

見える形で現れておらず、利用者視 点での取組や業務改革が不

十分であると認識している。

コスト管理が重要であることは論を 待たないが、政府におけ

る IT 利用の拡大に伴い業務と情報システムが密接不可分とな

った現状において、情報シ ステムのコスト削減のみに注力して

国 民 の 利 便 性 向 上 や 行 政 運 営 の 効 率 化 の 視 点 を 忘 れ た 取 組 は 、

却 っ て 全 体 の パ フ ォ ー マ ン ス を 下 げ る 場 合 も あ り 、 IT 投 資 と

しては適切とは思われない。

民 間 企 業 や 諸 外 国 政 府 に お い て は 、 IT に よ る 全 体 最 適 化 が

常識として定着している。政府にお いても、業務活動と IT を

一体で捉え、成果とコスト を一体でマネジメントするフレーム

ワークとして、業務・システム最適化を改めて捉え直す時期に

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きていると考える。

このためには、コスト削減のみではなく IT 投資によって得

られる利益(投資対効果)の検証が重要となる。民間では、以

前から ROI1に着目し、投資による利益を最大化する観点から、

IT 投 資 の 投 資 対 効 果 の 検 証 を 行 っ て い る 。 政 府 に お い て も 、

投資に対する効果を最大化する観点 から、このような検証を適

切に行うとともに、成果管理を徹底すべきと考える。一方、行

政の場合、民間企業等と異なり、投資による効果が財務上の数

値としてすべて明確化できる性質のものでは ない。これを鑑み、

政 府 に お け る 特 性 を 踏 ま え た 、 IT 投 資 の 投 資 対 効 果 の 検 証 の

フレームワークを構築していくこと が必要であるが、その際ポ

イントとなる点について、以下に述べる。

○ 業務・システム最適化の取組における成果管理を徹底する

ためには、戦略から導かれた俯瞰的 かつ明確な政策目標・改

革目標の設定と、評価指標( KPI2)への落とし込み(現状値

の 測 定 、 目 標 値 の 設 定 及 び 成 果 の 測 定)が重要な鍵となる。

当 検 討 会 に お い て 紹 介 し た 諸 外 国 の 取 組 事 例 に も み ら れ る

ように、行政サービスの価値向上や業務効率化の面からみた

評価指標を設定し、継続的な改善活動を行っていくことが必

要である。

○ 業務・システム一体となった抜本的な業務改革・制度改革

に取り組むためには、トッ プダウンのアプローチによる政策

目標・改革目標や評価指標の設定が必要である。同時に、ボ

トムアップのアプローチにより、現場における気付きをベー

ス と し た 業 務 改 善 活 動 を 実 効 あ る も の と す る 取 組 も 重 要 で

1 R e t u r n o n I n v e s t m e n t。 投 資 収 益 率 。 投 下 し た 資 本 が ど れ だ け の 利 益 を 生 ん

で い る の か を 測 る 際 に 使 わ れ る 指 標 。 2 K e y P e r f o r m a n c e I n d i c a t o r

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図 1

ある。

ボト

識の高

の人材

効率的

を最適

○ なお

ト 削 減

分 留 意

成 果 重 視

トムアッ

高い現場職

材育成効果

的な業務

適化の取組

お 、コス

減 の 取 組

意 し 、 長

視 の 取 組 へ

プでの 取

職員 を育

果も 期待

プロセス

組に 反映

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が 却 っ て

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へ の 転 換 (

4

取組は、短

育て、モチ

待できる。

スを追求す

映するプロ

方策に関し

て 高 コ ス

野 に 基 づ

( イ メ ー ジ

短期的な

チベーシ

。継続的な

するため

ロセスを

しては、短

ト を 招 く

く 方 策 を

ジ )

効果の創

ョンを 向

な業務 改

にも、こ

確立す べ

短期 的な

く 場 合 も

を 検 討 す る

創 出や、改

向上させ る

改善活動 に

このよう な

べきであ

な視野での

あ る こ と

る 必 要 が

改 革意

るなど

による

な取組

る。

のコス

と に 十

あ る 。

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図 2

S

3 「 E x

米 国 保 健

y s te m) 3

② 個別

これ

の業務

しかし

務 の 無

ザイン

を再設

って得

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また

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行政

x h i b i t 3 0 0

健 福 祉 省 に

適から利

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しながら、

無 駄 や 情

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組を強化す

た、前 述の

は、利用者

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」 ( 米 国 保

に お け る 評

利用者視

業務・シ

テムレベル

、EA の本

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務とシス

いくこと

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保 健 福 祉 省

5

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点を踏ま

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複 を 洗 い

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にある。

反省をもと

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まえた全体

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システムや

出 す こ と

両面を見

今後は

とに、よ

管理を徹 底

プロセス

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何らかの

に 作 成 。

( C C I D V a

体 適 の

取組にお

作業 は行

や組織 の

と で 全 体

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、これ ま

り全体 最

底した取

改革や、

オ ー プ ン

サービス

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の取組へ

お いても、

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最 適 の 姿

全体のプ ロ

までの取 組

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取 組にシフ

諸外国 に

ガ バ メ ン

ス(価値)

a c k i n g

、個々

きた。

えて業

姿 を デ

ロセス

組によ

点から

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におい

ン ト を

を提

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供することにある以上、利用者ニーズに沿った取組を行う必

要がある。先に、行政サービスの価値向上の視点からみた評

価指標設定の必要性について述べた が、この指標は、利用者

のニーズ把握を基に検討されるとと もに、これを踏まえた業

務プロセス改革を徹底して行う必要がある。

また、諸外国のオープンガ バメントの取組にみられるよう

に、透明性、国民参加、民間部門との協働といった点にまで

視野を広げ、将来のビジネ スモデルを検討する必要があると

考える。

この前提として、これまでの業務・システム最適化の取組

の現状把握が重要となるが、現在進められている最適化計画

の多くは、おおむね平成 23 年度までに終了するものと承知

し て い る 。 こ の た め 、 既 に 最 適 化 が 完 了 し た も の な ど か ら 、

現時点での達成度等を検証し、教訓 の整理を行った上で、更

な る 発 展 や 改 善 方 策 の 検 討 を 行 っ て い く こ と が 必 要 で あ る 。

なお、現在、総務省において整備が進められている政府共

通プラットフォームは、全体最適を推進するための重要な基

盤であり、その積極的な活用が望まれる。

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図 3

(2)

今 後 の 業

リスクマ

これまで

やスケ ジ

を 管 理 す

た。現 在

ー ル や コ ス

ているが、

回避、あ る

リスクマ

、リス ク

発生した 段

階からリ ス

洗い出し、

にフォロ ー

英 国 政 府

業 務 ・ シ ス

マ ネジメ

で の業務

ジュール

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ス ト が 当

リスク マ

るいは影

マ ネジメ

クをマネ

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スク(ス

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府 で は 、

ス テ ム 最 適

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を検討す

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リ ス ク マ

7

適 化 の 在 り

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ク マ ネ ジ

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本質は、リ

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の 視 点 が

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観 点 か ら

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が 生 じ

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る。

ジ ェ ク

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図 4

4 O f f i cと し て

英 国 公

・プロ グ

ゲートウ ェ

先進的な 民

報等のデ ー

マネジ メ

れらの取 組

第三者に よ

なお、制

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O GC G a

c e o f G o v e

2 0 0 0 年 に

共 機 関 の

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制 度の導入

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e r n m e n t に 英 国 財 務

調 達 に 関 す

各段階に

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析し、各

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ュー制度

入 に当た

。 各 府 省

経験する

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e v ie w の 枠

C o m m e r c務 省 の 独 立

す る 方 針 、

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に おいて第

導 入し、一

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る ことに

政 府全体

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e。 英 国 商

立 機 関 と し

手 続 、 指

第 三者に

一 定の成果

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人材育成

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より、職 員

の IT 発 注

商 務 局 。 英

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。我が国

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国 の 公 共

現 在 は 、内

成 な ど を 実

価を行う

げている。

様変更、品

ら定量的に

国において

ーンにお

る。

ットで取り

に あ る 職

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底 上げする

調 達 改 革

内 閣 府 に 所

実 施 し て い

、OGC4

また、

品質 情

にリ ス

ても こ

おけ る

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員 が 、

ト能 力

る こと

の 一 環

所 属 )。

る 。

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9

(3) 事後評価

現在の業務・システム最適化の評価 は、コストをはじめとする

アウトプットの評価が中心で、本来の成果目標であるアウトカム

の評価が行われていない。

そもそも、当初から政策目 標に基づく具体的な成果目標が設定

されていない点に問題があるが、本来、当初予定した成果の刈り

取 り こ そ が 最 も 重 要 で あ り 、 そ の た め に は 、 繰 り 返 し に な る が 、

計画段階での目標設定、評価指標設 定と導入後の事後評価が重要

になる。

また、事後評価において、当初予定した成果が得られていない

場合、その原因追究と対応策の検討 が必要となる。現在は、実施

主体による自己評価を中心としていることか ら、課題や成功要因

の分析が不十分であり、知識・経験が政府部内において十分に蓄

積・共有されていない。今後は、上記の第三者のレビュー制度の

導入による客観的な評価を基盤として、得られた知識・経験を政

府内で蓄積・共有し、政府全体の IT 発注力の向上につなげてい

くことが重要である。

(4) 業務・システム 適化の推進体制

導入した情報システムが使われなかったり、思ったような効果

が得られない場合は、業務部門のコ ミットメント不足、当事者意

識の欠如、業務改革への意識の希薄 さに起因することが多い。

業務部門は、情報システムの導入に おける責任主体として、担

当者のみならず部門の責任者も成果をコミットする必要がある。

情報システム部門( PMO5等)やその支援事業者は、これを IT 導

入の側面から支援するのが本来の姿であり、また、投資と成果達

成を最終的に承認するのは CIO6の役割である。

5 P r o g r a m M a n a g e m e n t O f f i c e 6 C h i e f I n f o r m a t i o n O f f i c e r

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10

なお、これからの PMO の役割について付言したい。PMO は、EA

の維持・管理を通じて、府省内の業務プロセスと情報システムの

構造を横断的にみることができる唯 一の組織である。日々変化し

ている IT の最新動向についての理 解力も有しており、業務部門

では判断できない技術的な提案やコストの妥 当性評価も、PMO で

あれば判断できる場合も少なくない。

しかしながら、行政における情報システムの利用分野の拡大に

伴い、PMO 自身、情報システムの運用に多くの労力をかけざるを

得ず、本来取り組むべき PMO としての活動( IT を活用した業務

プロセス改革を含めた全体最適の推進)に十分な時間が割かれて

いない現状にある。このため、後述する政府共通プラットフォー

ムの活用により、このような負荷を軽減し、今後は、府省におけ

るより効率的・効果的な業務プロセ スの在り方なども業務部門に

対して積極的に提案を行う、改革の推進者としての役割に注力す

ることを期待する。

業務・システム最適化の取組を成功に導くには、業務部門と情

報システム部門の協働が必要不可欠である。さらには、受託事業

者とも、明確な役割分担の下、協力 して取り組むことが必要であ

る。

多額の投資を行ったにも関わらず、関係者間の連携不足によっ

てプロジェクトが頓挫するようなことがあれば、民間企業であれ

ば、経営トップの責任問題になることすらあ る。 CIO は、業務・

システム最適化の責任者としての立 場をよく認識し、業務部門と

情報システム部門を統括することが 求められる。

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2. 政府の IT ガバナンスを支える基盤

(1) IT ガバナンスの確立・強化に必要な機能

政府情報システムの効率的かつ確実 な整備・運用を図るために

は、前述したとおり、しっかりとした IT 投資管理のフレームワ

ークを確立することに加え、

・ シ ス テ ム の 整 備 ・ 運 用 に 係 る グ ラ ン ド デ ザ イ ン を 策 定 し 、 推

進する機能

・ 各 府 省 が 参 照 す べ き 各 種 標 準 、 ツ ー ル の 開 発 ・ 普 及 を 行 う 機

・ 個々のプロジェクトをモニタリング 、サポートする機能

などが政府において必要となる。

これらは、政府全体として 整合性を持って戦略的に進められる

必 要 が あ る と と も に 、 し っ か り と し た 技 術 力 や 経 験 に 裏 打 ち さ

れた実現可能なものでなければならない。

韓 国 政 府 に お い て は 、 行 政 安 全 部 と 政 府 の 基 盤 シ ス テ ム の 整

備 ・ 運 用 を 行 う 同 部 の 政 府 統 合 電 算 セ ン タ ー に こ れ ら 機 能 を 集

約し、いわば企画部門と実施部門が 一体となって政府の IT ガバ

ナンスを支えている。

我が国においても、このような取組を参考に、政府の IT ガバ

ナ ン ス の 中 核 を 担 う べ き 機 能 ( セ ン タ ー ・ オ ブ ・ エ ク セ レ ン ス

( COE))の整備について検討すべきである。

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図 5

C e n t e r o

ま た 、

国 民 に オ

け る IT

状 況 の 評

っ て い る

における

かたちで

o f E xc e l l e

ガ バ ナ ン

ー プ ン に

支 出 に 係

価 と と も

。 我 が 国

IT 投資

情報提供

e n c e を 中 核

ン ス を 有 効

に す る こ

係 る 情 報

も に 、 ウ

国 に お い

に係る 取

供 してい

12

核 と し た

効 に 機 能

と が 重 要

を 当 該 支

ェ ブ サ イ

て も 、 こ

取組状況 を

く方策に

I T ガ バ ナ

能 さ せ る た

要 で あ る 。

支 出 に 係 る

イ ト に お い

こ の よ う な

を、国民

について検

ナ ン ス の 確

た め に は

。 米 国 で

る プ ロ ジ

い て 公 表

な 取 組 を

に対し、

検討すべ

確 立( イ メ

は 、 取 組 状

で は 、 政 府

ジ ェ ク ト の

表 す る 取 組

を 参 考 に 、

分かりや

きである

ー ジ )

状 況 を

府 に お

の 実 施

組 を 行

政 府

や すい

る。

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図 6

(2)

7 連 邦

に 提 供

米 国 連 邦

人材の育

業務改革

的な IT 戦

という人 材

民間企業

画 部 門 は 経

べ き 人 材

いても、こ

門への人 材

政 府 の I

す る ウ ェ

邦 政 府 に お

育 成・確

革 や IT に

戦略に基 づ

材マネジ

業 におい

経 営 戦 略

を こ れ に

このよう

材配置も

T 投 資 に 関

ブ サ イ ト 。

お け る I T

に関する

づき、ど

ジ メントが

いては、組

略 部 門 と 一

に 配 置 す る

な観点か

検討する

関 す る 情 報

。 13

ダ ッ シ ュ

人材の育

のように

が 重要と

組織横断

一 体 化 し

る ケ ー ス

か ら、キ

る 必要が

報 を 視 覚 的

ボ ー ド 7の

育成・確保

に 人材を配

なる。

での改革

し て お り 、

も 増 え て

ャリアパ

ある。

的 に わ か り

の 取 組

保 に つい

配 置し管

革を図るた

将 来 幹

て き て い

パスの一環

や す い か

いては、中

管理してい

ため、 IT

幹 部 職 員 と

る 。 政 府

環として

た ち で 、

特徴

中長 期

いく か

T の企

と な る

府 に お

IT 部

一 元 的

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14

また、政府における IT 人材が不足 している現状を踏まえると、

内 部 人 材 の 育 成 は 、 長 期 的 な 取 組 が 必 要 と な る と 考 え ら れ る 。

したがって、当面は、外部人材の活 用や IT 人材の集中管理など

の 方 策 に よ り 対 応 す る と と も に 、 前 述 の レ ビ ュ ー 制 度 の 実 施 な

ど を 通 じ た 内 部 人 材 の 育 成 に 取 り 組 ん で い く こ と が 必 要 で あ る 。

CIO 補佐官を含む高度 IT 人材を集中的に管理し、専門性の強

化 を 図 る と と も に 、 こ れ ら 人 材 を 各 府 省 の 支 援 の た め に 政 府 全

体 で 活 用 す る な ど に よ っ て 、 全 体 と し て の ガ バ ナ ン ス や マ ネ ジ

メ ン ト 能 力 の 向 上 を 図 る こ と が 効 率 的 で あ る 。 ま た 、 そ の た め

には、客観的な評価軸による CIO 補佐官の評価や優秀な人材を

確保するためのキャリアパスの形成 も重要である。

また、前述の COE については、IT 人材の育成においても中心

的な役割を果たすことが期待される。 COE において、 IT 人材育

成 の た め の 教 育 プ ロ グ ラ ム の 作 成 や 研 修 の 実 施 を 行 う と と も に 、

実 践 的 な 人 材 育 成 を 図 る 観 点 か ら 、 各 府 省 の 情 報 シ ス テ ム 部 門

との人事交流が積極的に行われることを期待する。

(3) 政府共通プラットフォームの役割

政府共通プラットフォームは、クラウドコンピューティング

技術等の最新の技術を活用し、各府省別々に整備・運用してい

る政府情報システムの統合・集約化や共通機能の一元的提供等

を 行 う 基 盤 と し て 整 備 さ れ る シ ス テ ム で あ る が 、 そ の 役 割 は 、

情報システムの質の向上や IT コスト削減にとどまらない。

前 述 し た と お り 、 政 府 共 通 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 活 用 に よ り、

PMO をはじめとする情報システム部門の運用・保守に係る負荷

を軽減することも可能となり、これにより、情報システム部門

は、府省内の業務プロセス 改革を推進するドライバとしての役

割に注力することも可能となる。すなわち、政府共通プラット

フォームは、人材の有効活 用や各府省のガバナンス強化にも資

Page 15: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

図 7

するもの

また、

ら れ た 知

政府部内

の強化に

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こ と で 、

政府に

割をよく

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がある。

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の である。

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内 に展開

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において

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とにより、

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る 最 新 技 術

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コ ン セ プ ト

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Page 16: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

16

3. 調達

情 報 シ ス テ ム の 調 達 に お い て は 、 真 に 技 術 力 の あ る 事 業 者 を 適

正な価格で調達することが重要である。

こ れ ま で 、 政 府 に お い て は 、 分 離 ・ 分 割 調 達 に よ り 競 争 環 境 を

確 保 し 、 こ れ に よ り 調 達 価 格 を 適 正 化 す る 取 組 を 行 っ て き て い る

が 、 戦 略 性 を 欠 い た 分 離 ・ 分 割 に よ り 余 計 な コ ス ト や リ ス ク が 発

生 し た り 、 要 件 の 曖 昧 さ も あ っ て 発 注 者 と 事 業 者 間 で 意 思 疎 通 を

欠 い た ま ま 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 工 程 が 大 幅 に 遅 延 す る な ど の 事 態 に

陥っている事例もみられる。

情 報 シ ス テ ム の 調 達 に 際 し て は 、 発 注 者 と し て 、 業 務 分 析 に 基

づ く 要 件 定 義 を 的 確 に 行 う と と も に 、 プ ロ ジ ェ ク ト マ ネ ジ メ ン ト

力 を 向 上 さ せ る 必 要 が あ る 。 ま た 、 個 々 の 情 報 シ ス テ ム の 特 性 に

応 じ た 適 切 な 調 達 手 法 の 検 討 、 事 業 者 の 技 術 力 の 適 正 な 評 価 に 加

え、民間等の事例収集、IT 市場の動 向把握も重要である。さらに、

公 共 工 事 に み ら れ る よ う な 、 過 去 の 事 業 結 果 の 蓄 積 と 調 達 へ の 反

映を図っていく取組も必要である。

職員の IT 発注力(業務分析力、要件定義力、情報システム理解

力、見積力、プロジェクトマネジメ ント力など)向上のためには、

前 述 の 人 材 育 成 な ど と も 関 連 し て 、 政 府 全 体 で 組 織 的 に 取 り 組 む

必要がある。

4. 今後の取組について

政 府 は 、 以 上 の 提 言 内 容 を 確 実 に 実 施 す る た め 、 「 業 務 ・ シ ス

テ ム 最 適 化 指 針 」 、 「 情 報 シ ス テ ム に 係 る 政 府 調 達 の 基 本 指 針 」

等 の 各 種 ガ イ ド ラ イ ン の 必 要 な 見 直 し 、 政 府 共 通 プ ラ ッ ト フ ォ ー

ムの着実な整備を行う必要がある。

Page 17: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

17

各 府 省 に お い て も 、 こ れ ら の 取 組 に 沿 っ て 、 現 在 の 最 適 化 を 見

直すなど、 IT の活用主体として、 積極的に取り組む必要がある。

おわりに

これまでの電子政府の取組については、コスト削減面を中心に、

一定の成果を上げてきたが、多大な 投資をしながらも十分な成果

が出ていないプロジェクトも散見される。

問題が生じている案件の多くは、当初の目標設定の不十分さや、

発注者としての責任・能力の欠如、 周囲が拙速に結果を求めすぎ

たこと、情報システム部門のキャパ シティを超える要求をしたこ

となどが主な原因として考えられる。

今後は、過去の過ちを繰り返さず、 明確な目標に向かって着実

に我が国の電子政府を推進し、目に みえる効果を上げられるよう、

政府における ITガバナンスの確立・強化を早急に行うべきである。

今般の提言内容の実現に当たっては 、現場レベルでの改善活動

は当然のことながら、政府全体の意 識改革が重要である。現在、

IT戦略本部において、「電子行政推 進の基本方針」の策定に係る

検討が進められていると承知している。政府 における ITガバナン

スの確立・強化のためにも、同基本 方針に可 能な限り 提言の主 旨・

内容が反映されるとともに、これに 沿った改革の取組が早期に行

われることを強く期待する。

当検討会としても、引き続き、提言 の施策の具体化等に係る検

討・議論を行うとともに、政府における ITガバナンスの確立・強

化のため、必要な協力を惜しまない 所存である。

Page 18: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

(別 紙)

18 

政府共通プラットフォームの整備に 当たって留意すべき事項

政府共通プラットフォームの整備に 当たっては、確実な成果を上

げながら、戦略的かつ着実に取組を 進める観点から、以下のような

点に留意することが求められる。

1 対象システムの考え方

政府情報システムの全体最適をより 一層推進し、政府のITガ

バナンスを確立・強化する観点から 、原則として、すべての政府

情報システムを対象に統合・集約化 を図っていくべきである。

特定の技術 ・動作環境に依存したり、特段の高度な情報セキュリ

ティ対策が求められるなど当面統合 ・集約化に馴染まないと考え

られるものについても、将来的な統 合・集約化に向け、段階的に

標準化・共通化を図るなど必要な検 討を継続的に行っていくべき

である。

2 情報資産の棚卸し、不 要な情報システムの廃止

統合・集約に当たっては、その前提 として、各府省において、

現に保有する情報資産をすべて洗い 出し、棚卸しすることが必要

である。その上で、利用状況等シス テム整備による効果を十分検

証の上、費用対効果の観点から維持 ・整備の必要性が乏しいシス

テムについては、廃止すべきである。

3 仕様の標準化・共通化

統合・集約化効果を最大化しつつ、 政府のITガバナンスの確

立・強化に資する共通基盤システム として整備する観点から、基

盤ソフトウェアなどのシステム動作 環境は、極力標準化・共通化

を推進していくべきである ( ※ ) 。

Page 19: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

19

※ そ の 際 、シ ス テ ム 全 体 と し て の 相 互 運 用 性( イ ン タ ー オ ペ ラ ビ リ テ ィ )

確 保 の 観 点 や 、 調 達 の 競 争 性 確 保 の 観 点 か ら 、 マ ル チ ベ ン ダ 対 応 可 能 な

標 準 的 な 仕 様 を 採 用 す る こ と が 望 ま し い 。

4 業務継続性の確保

政府情報システムの統合・集約化の 基盤システムとして、シス

テム停止の影響がより広範囲に及ぶ こととなる政府共通プラット

フォームの重要性に鑑み、自然災害 等によるシステム停止の影響

を極小化するため、バックアップセ ンターの設置を含めた適切な

バックアップ対策を実施していくべきである。

5 整備の進め方

確実な成果を上げつつ着実に取組を 進める観点から、各システ

ムの更改時期等を勘案の上、可能な ものから順次統合・集約対象

システムを拡大していくなど、段階 的に整備を進めることが適当

である。

Page 20: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

20 

参 考

Page 21: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

(参考1)

21 

「政府情報システム改革検討会」構成員名簿

( 敬 称 略 、 五 十 音 順 )

【構成員】

岩丸いわまる

良よし

明あき

総務省行政管理局技術顧問

◎大山おおやま

永なが

昭あき

東京工業大学像情報工学研究所教授

神岡かみおか

太郎た ろ う

一橋大学商学研究科教授

座間ざ ん ま

敏如としゆき

総務省行政管理局技術顧問

○村上むらかみ

文洋ふみひろ

㈱三菱総合研究所地域経営研究本部主席研究員

村林むらばやし

聡さとし

㈱三菱東京 UFJ 銀行執行役員システム部長

廉ヨム

宗ジョン

淳スン

e-CORPORATION.JP㈱代表取締役社長

◎:座長

○:座長代理

Page 22: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

(参考2)

22 

政府情報システム改革検討会の開催状況

○第1回

平成 22 年9月3日

議題:これまでの政府情報システムの 刷新の取組について

○第2回

平成 22 年 10 月 26 日

議題:政府情報システムの今後の改革 方策について

○第3回

平成 22 年 11 月5日

議題:レガシーシステムに関するこれ までの取組について

韓国における IT ガバナンスの実態について

○第4回

平成 22 年 11 月 24 日

議題: IT ガバナンスの強化について

○第5回

平成 22 年 12 月 17 日

議題:政府情報システムの改革方策 に関する提言についての

論点整理

○第6回

平成 23 年1月 28 日

議題:政府情報システムの改革方策について

○第7回

平成 23 年2月 14 日

議題:政府情報システムの改革方策について

○第8回

平成 23 年3月2日

議題:提言(案)について

Page 23: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

(参考3)

23 

米国におけるオープンガバメントの取組

Page 24: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎IT D

概要

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Page 25: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎Reco

概要

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Page 26: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎Chal

概要

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Page 27: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎Data

概要

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Page 28: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎アプ

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概要

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Page 29: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎市の

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Page 30: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

◎Wind

概要

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Page 31: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

(参考

4)

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31 

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Page 32: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

32

◎ Gate 2(推進戦略)のレビュー項目

レビュー項目 レビューの視点

1.推進方策の評価 1.1 デリバリに関連する全オプションを調査し、自省のビジネスニーズと政府の優先順位付けとの関連の双方を考慮しているか?

1.2 ビジネスニーズはサービス利用者及び運用実施者に理解されているか?

1.3 プロジェクト成果物は要求仕様として的確に反映されているか?

1.4 調達ルートのオプションは、供給側のリソースも考慮したうえで評価しているか?

1.5 プロジェクトはマーケットの興味を引きそうか? 1.6 提案した調達手順は評価しているか? 1.7 推進戦略は定義され、認められたものか? 1.8 推進戦略に影響を及ぼす要素は記述されているか? 1.9 推進戦略は関係者間全員のコミュニケーションと協力を促進

するものか? 1.10 サプライヤに関する十分な知識を有しているか?(調達の有

力な候補者も見込みを持っているか) 1.11 契約管理戦略は強固な内容か? 1.12 プロジェクト体制は、EU 調達規則に準拠しているか? 1.13 評価戦略(value for money をどのように表現するかを含む)

は利害関係者に認められ、EU 調達規則に準拠しているか?

2.ビジネスケースと利害関係者

2.1 ビジネスケースは、ビジネスニーズとビジネス戦略に継続して貢献しているか?

2.2 計画の方向性は未だに適切か? 2.3 計画上の取り決めは、プロジェクト全体の value for money を

獲得するものか? 2.4 コストは予算内か? 2.5 組織の担当能力は、成果獲得を実現できそうか? 2.6 プロジェクトスコープは明確に定義されているか? 2.7 業務変化によって生じるリスクと問題事項は理解されている

か?これらの問題事項を記述した初期計画はあるか? 2.8 利害関係者はプロジェクトを支持しているか?組織的に完全

にコミットしているか? 2.9 プロジェクトのデリバリ上の利益は利害関係者に理解され、合

意されているか?利益を換算して評価するための初期計画はあるか?

3.リスクマネジメント

3.1 主要なリスクと問題事項は、推進戦略の決定の際に考慮されているか?

3.2 リスクマネジメント計画はあるか? 3.3 特定した問題事項は解決したか? 3.4 外部(規定されたプロセス、コミュニケーション、広報、環境

問題を含む)の問題は記述されたか?

4.当フェーズでのレビュー

4.1 プロジェクトは管理されているか? 4.2 計画を逸脱するような原因はあるか? 4.3 他フェーズで逸脱が発生した際の回避にはどんな行動が必要

か? 4.4 ゲート1で記述した条件のうちで、実証できなかったものはあ

るか?

5.次フェーズへの準備

5.1 次フェーズのプロジェクト計画は実現可能か? 5.2 プロジェクトスケジュールは、適切かつ EU ルールに準拠して

いるか? 5.3 次フェーズの手配するものは何か?活動は特定されている

か? 5.4 プロジェクトは、必要な場所に適切なスキルと経験者がいる

か?

Page 33: 政府におけるITガバナンスの確立・強化に向けて は …2 1. IT投資管理の確立・強化 (1) 政府におけるIT投資管理の在り方(業務・システム最適化の

33

◎ Gate 3(投資の決定)のレビュー項目

レビュー項目 レビューの視点

1.提案されたソリューション の評価

1.1 提案されたソリューションは、ビジネスニーズを満たしているか?

1.2 サプライヤ(若しくはパートナー)は入札時に何か代替案やオプションを提案していたか?

1.3 提案されたソリューションは、ビジネスケースで記述されたビジネスニーズを解決するものか?

1.4 提案されたソリューションは、業務変化へ向けた戦略に影響を及ぼしているか?

1.5 提案されたソリューションは、業務面の期待に影響を及ぼしているか?

1.6 クライアントとサプライヤは、投資実行による開発~移行・運用に至るプロセスへ準備ができているか?

1.7 業務面と技術面の双方に関する論点記述した計画はあるか? 1.8 契約条項以外に追加した参加者間の責任は明確に理解されて

いるか? 1.9 契約/協定に定められた義務を果たすための業務上利用可能な

資源はあるか? 1.10 技術的な可能性が評価されているか?(IT プロジェクトでは、

情報保障及びセキュリティや e-ビジネスやレガシーシステムのインパクトなど)

1.11 プロジェクトには、投資成果物を獲得するために適切なスキル・経験を持った者が適切なポジションに配されているか?

2.ビジネスケースと利害関係者

2.1 プロジェクトはまだ必要とされているか? 2.2 ビジネスケースは完成しているか? 2.3 入札時の投資内容から再考された推奨方法は、ビジネスニーズ

を満たしているか? 2.4 オプションは適切なものが選択されたか? 2.5 民間との取り決めは、プロジェクト品質の適切な水準を確保す

るものか? 2.6 クライアントは変化を管理するに十分な能力があるか? 2.7 投資内容を盛り込んだビジネスケースは、経済的利便性を未だ

に満たすものとなっているか? 2.8 利害関係者に合意された利益を現実的にする計画(利益実現の

重要成功要因の特定、特定要因を獲得する責任者の明示、利益測定・評価プロセスの確定)はあるか?

2.9 契約案や投資案の承認に、利害関係者や業務やユーザの代表は関わったか?

3.リスクマネジメント

3.1 リスクと問題事項の管理計画は 新化されたものか? 3.2 当フェーズに関係する全ての主要なリスクは解決済みか? 3.3 業務への影響の 小化のための危機対応や継続性に係る合意

や計画はあるか? 3.4 契約内容は、標準的な記載事項と契約当事者間のリスク責任分

解点を反映しているか? 3.5 契約終了時の契約見直しに関するレビューポイントなどの論

点が考慮されているか?

4.当フェーズにおける成果物のレビュー

4.1 プロジェクトは管理されているか? 4.2 計画を逸脱するような原因はあるか? 4.3 他フェーズで逸脱が発生した際の回避にはどんな行動が必要

か? 4.4 OGC ゲートウェイレビュー1と2での全ての仮定は、実証して

いるか? 4.5 必要な調達と技術的なチェックは行われたか? 4.6 プロジェクトは推進戦略で計画したステップを踏襲したか?

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34

レビュー項目 レビューの視点

4.7 ドキュメントの品質レビューは行われたか?

5.次フェーズへの準備

5.1 プロジェクト内の人間関係は良好か? 5.2 計画したリソースとクライアント側の資金は適切か? 5.3 サプライヤのリスク管理計画は適切で現実的なものか? 5.4 クライアント側の計画とサプライヤ側の計画は、整合したもの

か? 5.5 長期的な契約管理計画と利益測定プロセスは完成している

か? 5.6 次フェーズへの計画内容とプロセスはすべて設計済みか? 5.7 SLA の管理計画は完成しているか? 5.8 移行へ向けた管理プロセスは完成しているか? 5.9 納品基準は明確に文書化されているか? 5.10 実施のための戦略があるか?

◎ Gate 4(サービス開始前)のレビュー項目

レビュー項目 レビューの視点

1.ビジネスケースと利害関係者

1.1 プロジェクトはまだ必要とされているか? 1.2 プロジェクトはビジネスニーズを満たしているか? 1.3 ビジネスケースはまだ有効か? 1.4 業務変化へ向けた計画に影響を及ぼすような変化が契約締結

~移行/テストに至る間にあったか? 1.5 組織は業務変化に向けた準備ができているか? 1.6 組織は新たなサービスを実施した場合に、現存のサービスを維

持できるリソースが準備出来ているのか? 1.7 適切なスキルと経験者が利用可能な状態になっているか?

2.リスクマネジメント

2.1 契約締結時に特定したリスクと問題事項は、解決したか? 2.2 実施フェーズに関係するリスクと問題事項は、適切に識別し、

管理されているか? 2.3 未解決事項がある場合は、プロジェクトを延期せずに実施する

ことのリスクはどんなものがあるか?

3.当フェーズの成果物のレビュー

3.1 プロジェクト成果物は合否判定基準を満たしているか? 3.2 プロジェクトは管理されているか?進捗状況は計画通りかつ

予算内か? 3.3 全ての利害関係者の重要指摘事項は対応されているか? 3.4 新しいシステム/サービス/業務プロセスのテスト及び検収(ま

たは以降)の手続は完成しているか? 3.5 関係者は皆、試験結果と要求されたアクションプランを受諾し

たか? 3.6 導入、実施、運用のための実行可能でテストされた移行計画、

継続計画、切り戻し計画はあるか? 3.7 サプライヤと内外の関係者は、変更管理、マイグレーション及

びデータ移行、クライアント及びサプライヤの実施、展開に関する計画に合意しているか?

3.8 契約の変更は記録されて承認されているか? 3.9 組織は、運用下において契約を管理する準備ができているか?

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レビュー項目 レビューの視点

4.次フェーズへの準備

4.1 運用開始に向けて全てのプロジェクト要素は準備しているか?

4.2 運用開始後のオーナーシップが明確に理解されているか? 4.3 クライアントは、新たな仕事の方法(業務プロセス、利用する

情報等)に向けた準備ができているか? 4.4 長期的な契約管理プロセスがあるか? 4.5 パフォーマンスの管理・測定プロセスはあるか? 4.6 利益の管理・測定プロセスはあるか? 4.7 運用コストと維持コストについて詳細に検討されているか? 4.8 運用時レビュープロセスがあるか?

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(参考5)

36 

米国 GAO のリスク評価の視点

米国においても、GAO(Government Accountability Office)は、IT 投資意思決

定ガイドラインにおいて、投資の選択のフェーズにおいて、戦略整合性、ミッショ

ンへの貢献、組織へのインパクト、費用対効果とともにリスクについて評価するこ

ととしており、リスク評価について次のような視点を例示。

評価項目 評価の視点

ス ケ ジ ュ ー ル

リスク

提案されているプロジェクト/システムは、

スケジュール遅延への対応(リスク軽減策)について調達戦略

や契約で明確になっているものか

参画する要員のスキル・経験が十分であるか

プロジェクトのスケジュール計画は、無理な期限を定めていな

いか

コ ス ト セ ン シ

ティブ

提案されているプロジェクト/システムは、

コスト見積もりにおける複雑性は低いか

ソフトウェアの見積もりの場合、積算根拠が明確になっており、

妥当なものであるか

テ ク ニ カ ル リ

スク

提案されているプロジェクト/システムは、

組織の技術標準に即したものであるか

組織内で採用実績があるか

汎用ソリューションとして実績があるものか、それとも独自開

発が必要か

組織リスク 提案されているプロジェクト/システムは、

組織や業務プロセス、要員に対して大きな変更・変革を求める

ものか

そのような変更リスクに対する対応策が検討されているか

実 施 し な い リ

スク

提案されているプロジェクト/システムは、

今実施する意義が高いか(今実施しないと改善機会(コスト削

減、住民サービス向上)を失うものであるか)

※ GAO:Government Accountability Office。政府説明責任局。議会に属する機関で、

行政活動の評価を実施している。

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(参考6)

37 

韓国政府における電子政府関連指針と基準の整備状況

共通業務委託契約要領

大手ソフトウェア事業者参与制限

- 中小企業を保護するために資本金や売上規模による入札制限

ソフトウェア技術性評価基準

- 総合評価時に技術点の算定基準

ソフトウェア事業対価基準

- 情報システム予算算定の際の人件費基準

わかりやすい機能点数

- アプリケーションの開発予算算定基準

原価計算による予定価格作成基準

電子政府事業管理要領

- 総合的な観点から電子政府事業推進に関する推進基準

電子政府支援管理指針

- 情報システム開発需要に対して、韓国電算院が技術支援(仕様書の

作成~検収までの基準)

情報システム構築運営技術ガイドライン

- 自治体向けの基準

情報システム管理運営指針

- 中央省庁向けの基準

情報システムハードウェア規模算定ガイドライン

- ハードウェアの規模算定基準

情報資源管理マニュアル

- ハードウェアの効率的な利用の為の基準

電子政府アーキテックチャー(EA)導入の為の実務ガイド

- システム連携などを考慮して技術標準

交渉による契約締結基準

- 特定企業との単独入札に関する基準